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171話 「魔法で遊びたいの その2」
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「遊びたいの? 仕方がないわねえ(本当に中身は子供なのね)。……でも危ないのはなしよ?」
「うん、分かった! 今日は安全のためお家の上で実験するよ。ついて来て!」
僕とシロ先生は、猫エレベーターの魔法を使って上昇します。上昇が終わったらお家の屋根に飛び移ります。スムーズに到着出来ましたね。
高さ的に1階から屋上への移動。これぞまさにエレベーターというわけですな。まあ1階というかここは屋外ですがね。今度やるときは家の中で実験しようかな?
いやあ~、魔法で前世にあった物を再現出来るっていいね。楽しくなってきたよ!
「前もここまでは順調だったわよね。この後が思い出したくないけど……」
「そうそう、上に行くまでは良かったよね。そういう意味では猫エレベーター自体は完成してるかなあ。でも降りた後の移動が未完成ってわけだから欠陥なんだよね。だから今度は坂道をいい感じに改良したいと思います!」
僕は猫バリアを利用し、ぎゅわーんと大きな坂道を作ります。
この前失敗したときは、板を空中に置いて歩ける道を作ってみたというイメージでした。でも今回の坂道は、猫バリアごと地面に着いていているのです! 安定感が全然違います。この坂を横から見たら直角三角形に見えるかと思います。
「前回は坂道そのものが落下しちゃったからね。今回は安定感を重視で作ってみたよ!」
「おー」
「さらにここからあるものもを坂につけちゃいます。これでより安全ってわけだね!」
「安全? ……もしかしてあれかしら、踏み外して落ちないようにする柵だっけ? この前思ったんだけど高いところではあれがあるとないとでは違うわ。メンテの魔法はそういう気遣い出来るところ好きよ」
「えへへ。そうかなあ~?」
「そうよ、さすがメンテよ!!(メンテは褒めれば出来る子だから褒めまくりましょ。そうしたら早く終わりそうだし)」
おお、珍しくシロ先生が褒めてくれました。こだわって改良したかいがあるってもんですよ!
※シロ先生は早くこの遊びを終わらせて寝たいだけです。心から褒めているわけではありません。
「というわけで坂道に柵を付けました~! より安全性が増したね!」
「すごいわ~。じゃあ行きましょう(ふう、これならすぐ終わりそうなの)」
「――待った!」
「にゃ?!」びくっ
「そのまま歩くとね、もしものときが危険だよ!」
「は、はあ……(やだ、また面倒くさいことを言い出したの)」
「だから猫バリアの中に入りながら坂道を移動します。早くシロ先生も入って。安全第一!」
「まあそれぐらいなら……」
僕とシロ先生は坂道の前に立つと、サイコロ状の猫バリアの中に入ります。準備よしっと。
「では落ちます」
「――は?」
僕達が入った猫バリアの横に別の猫バリアを作ります。下から持ち上げるのと同じような原理で横方向から押し出してみましょう。すると横方向に移動が可能になるのです! すごいでしょ?
でも僕はあえて坂道とは違う方向に押し出します。あ、そっちは地面だね。ははは、ちょっとミスしちゃった(嘘)。
ドー―――ン!
「あ、ちょ?!!!! そっち坂道じゃないわよ。あっちあっち!」
「だね」
「だねじゃないわよ?! ……にぃやぁぁぁあああああ!」
「わーい!」←楽しそうなメンテ
ひゅー、ずどーん! と屋根から落下して地面に突き刺さる猫バリア。でも僕達2匹にはかすり傷ひとつないのです。すごいでしょ~?
「ね? 猫バリアがあるから安全だったでしょ。これなら坂道から飛び降りても大丈夫だよ~」
「し、心臓に悪いわよ! そういうのは先に言って頂戴!! 全くメンテはなんでこう『猫リラックス!!』……………………ふう、その魔法の効果やばくない? 今まで体験した中で一番実感があるんだけど」
怒る前に落ち着かせました。ナイス僕。う~ん、なんだかシロ先生は違う意味で驚いているような気もしますがスルーしましょう。
「だって不測の事態が起きたらこんな感じでしょ? 教えたら効果が薄くなると思って内緒にしてたんだ。ごめんねシロ先生」
「……確かにそうかもね」
可愛い顔で悪気はなかったのアピールをすると、シロ先生は怒るに怒れなくなりました。ぐぬぬって顔をしています。ええ、これはもちろん全部計算済みです。僕の武器は可愛さなので利用しまくりますよ。ぐへへへへ。
「た、確かに安全だったわね。でもこれだとメンテがいないと使えないわよ?」
「そういうときはこれだね。猫魔法・猫トランポリン!」
ぼよ~んとした猫バリアを広げます。地面から少し上にね。
「にゃ?! また新しい魔法……?」
「新しいというよりは猫バリアの応用だね。飛び降りても安全に着地出来るんだ。まずは猫トランポリンを使う前に坂道を登ってみようか。歩いて大丈夫か確認しなきゃ」
こうして2匹で坂道を登ります。何事もなくお家の屋根まで到着出来ましたよ。
「確かに前みたいに落ちないの。これなら下りも大丈夫そうね」
「でしょ~? ちなみにこうやって猫バリアをこっちに回転させると……」
「にゃ?!」
「何もしなくてもここに乗るだけで上がったり下がったり出来るよ。まさに猫エスカレーターなんちゃって。じゃあちょっと乗ってみようよ!」
と言い僕とシロ先生の二匹は仲良く猫エスカレーターを使います。前世にあったエスカレーターを再現してみました。何回も上って下ってと繰り返し安全チェックです。ふむふむ、これなら普通の猫でも使えそうです。でも最初乗るときと最後の降りるときだけはおっとっととなりました。他の猫に使うときはここ注意って教えなきゃね。休憩がてら屋根の上でシロ先生の感想を聞きますか。
「いやいやいや、いろいろ進化しすぎでしょ……(ちょっと褒め過ぎたかしら?)」
「これで坂道は完成かな~? じゃあ次は猫トランポリンだよ。使い方は言うより見た方が早いかも。まずは僕が使ってみるからしっかり見ててね、シロ先生!」
僕は屋根から飛び降ります。すると地面に着く前に猫トランポリンに体が触れてぼよぼよ~んと上に飛び跳ねます。おお、成功だ!
「な、何今の?! メンテがすごく跳ねたわよね? いったいこれどうなってるの??」
「こんな感じで猫バリアを薄~く伸ばすとゴムみたいになるんだよ」
「ゴム?」
「バリアに弾力性が出るみたいに思ってくれたらいいかな」
「へえ、メンテは難しい言葉を知ってるのね」
「にゃ~?」
「あら可愛い顔」
時折来るシロ先生の鋭い攻撃は可愛い顔でブロックします。その回答はスルーだぜ。
「それでね、今僕がやったみたいに高いところから降りても大丈夫なんだ。耐久性もほら、バッチリだね。まさに僕が思っていた通りの出来だよ!」
「へえ、そうなの」
「それに前もって設置しておけば僕がいなくても使えると思うよ」
ふむふむ、この猫トランポリンなかなかいい感じかもしれません。坂道とトランポリンを同時に作ればより安全性が高まりますね。
「じゃあシロ先生もこの上に乗ってみてよっか。えい」
「え、私はいいわ。あ、ちょっと待って?!」
僕はしっぽを伸ばしてシロ先生を屋根から突き落とします。僕のしっぽは何メートルも伸びるから余裕で届いちゃいます。魔法を使う猫なのでこれぐらい普通でしょう。
「にゃああああああ………………あら? 何これ、不思議な感じ。すごくジャンプしちゃうの。結構面白いわね」
最初は不思議がっていたシロ先生。でもコツを掴んだのかピョンピョン跳ねて遊び始めましたよ。
「ね、楽しいでしょ?」
「……なるほど。これ面白い魔法ね。これなら高いところから落ちても平気ね。いいんじゃないかしら?」
「それだけじゃなくて遊びでも使えるよね。今度集会があるときに使ってみようかなあ」
思ったよりシロ先生に好評でした。これなら他の猫達も安全に使えるかな? 実はさっき思いつきで作った魔法だから安全面を全く考えてなかったというのは内緒です。
「ところでこの猫トランポリンだっけ? 空中じゃなくて地面に使えないのかしら?」
「え? どうかなあ。やったことないからやってみるよ」
シロ先生のリクエストに答えて地面に使ってみます。地面を覆うように魔法を広げてみました。その上をシロ先生が走ります。何をしてるのかな?
「やはり思っていた通りね」
「え? 何が??」
「これ地面に敷いても効果あるの。ほら、普段よりジャンプが高いでしょ?」
「そうなの? 僕もやってみよー」
僕も地面を走ってみました。するとシロ先生が言っている意味が分かりました。
「わお、これ便利かも」
「そうよね。それに小石程度なら痛みを気にせず気にせず走れちゃうの。すごいわ! さすがメンテね」
「えへへ」
「よっ、天才メンテ! あなたの作る道は猫一安全よ!」
「じゃあこの魔法は猫ロードって名付けちゃおっと」
おお、よく分かりませんがシロ先生がめっちゃ褒めてくれましたよ。確かに険しい道でもこの猫ロードがあれば普通に歩けそうです。今回みたいにトランポリンみたいな効果を付与したら楽しい道の完成ってわけですな。
なるほどなあ、空中だけでなく地面にも猫バリアって使えそうですね。攻撃を防ぐことだけがバリアじゃないんだなあ。ようは使い方ですか。応用って大事だねー!
それにしても今日はシロ先生がやたら積極的に遊んでくれます。なんだか急にやる気が膨らんできましたよ。うおおおおおおおおおおおお!!!
※シロ先生は早く終わらせて寝たいだけです。心から褒めているわけではありません。
「やったわ、これで魔法完成ね。もう欠陥じゃないわね!」
「……え?」
「なんでそこ疑問形なのかしら……。私はもうこれでいいと思うのよ。空中散歩するときもこの魔法を坂道の周りに張り巡らせれば安全だと思うわ。実際に使ってみてそう思ったの。というわけで今日はもう終わりにしない? 私疲れちゃったわ~(思ったより早く済みそうね、褒めまくって早く終わらせる作戦成功かしら?)」
素直に魔法完成! と喜びたいところです。ですが、僕もっと遊びたい気持ちが高まってきているんですよね。よし、こうなったら……。
「きえええええええええええええええええええええええええええええええええ!」
ばきいいいいいいいん!!! と光る魔法の爪を伸ばして強引に猫トランポリンを破壊します。
「――にゃ!? な、何してるの?!!」
「ほら、割れた。……これじゃダメだ。耐久力が足りない」
「急にどうしたの? もう終わりでいんじゃないかしら?」
「こんなんじゃまだまだダメだよ。それに遊び足りない」
「……え?」
「もっと遊びたいなあ……」
どごごごごっごごごごごごごごおごごごご。
「にゃ?! ななな、何よこれ?!! 急に土が盛り上がって来たわよ?!!!!」
「猫土魔法だよ」
「ね、ねこつちまほー??!」
「うん。猫魔法で作った猫の土魔法。略して猫土魔法」
「いやいやいや、いったいどこに猫の要素があるのよ?!!!」
「ほら、あそこ。土の先端に耳があるでしょ? ネコミミだよ~」
「…………にゃあ?!(もしかしてこれ土で作った猫だっていいたいの?!)」
「トイレで砂を使う猫もいるでしょ? 砂も土も似てると思うんだ。つまり猫は土魔法を使えるんだよ」
「何そのぶっとんだ理論?!」
謎の理論で発動する魔法にシロ先生は混乱を極めた。その間にどんどん猫土魔法で帰り道を塞いでいくメンテ。もはやシロ先生に逃げ場はないのであった。
「いやあ~、楽しいなあ。もっと魔法で遊びたくなってきたなあ~」チラッ
「――!(ま、まさか褒めるのは逆効果だった?!)」
はっとしたシロ先生。これ作戦失敗したのでは? と思いメンテを見た。するともっと遊びたいなあ、いいでしょシロ先生? と可愛い目をしている子猫がいたという。
あ、これ遊ぶ気満だ。どうしましょう……。 byシロ
「えっと……、明日にしない?」
「やだー、もっと遊ぼうよ。人払いと音遮断の猫結界で大きな音を出しても平気だよ~。あははは、今の僕なら何でも出来そう。きええええええええええええええええええええ!」
ドゥゴゴゴッゴゴゴオーーー! キュイイイイイイイイン!!!!!!!!!!!!
「にゃあああああああああああああ?! 何今のー?!!!!!!」
「きええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」
こうして暴走スイッチがオンになった子猫は魔法で遊びまくったという。子供って何をするのか分からないし遊ぶときも全力。これは猫も人間も同じなのねとメンテが疲れて眠くなるまで遊びに付き合わされるシロ先生であった。
「うん、分かった! 今日は安全のためお家の上で実験するよ。ついて来て!」
僕とシロ先生は、猫エレベーターの魔法を使って上昇します。上昇が終わったらお家の屋根に飛び移ります。スムーズに到着出来ましたね。
高さ的に1階から屋上への移動。これぞまさにエレベーターというわけですな。まあ1階というかここは屋外ですがね。今度やるときは家の中で実験しようかな?
いやあ~、魔法で前世にあった物を再現出来るっていいね。楽しくなってきたよ!
「前もここまでは順調だったわよね。この後が思い出したくないけど……」
「そうそう、上に行くまでは良かったよね。そういう意味では猫エレベーター自体は完成してるかなあ。でも降りた後の移動が未完成ってわけだから欠陥なんだよね。だから今度は坂道をいい感じに改良したいと思います!」
僕は猫バリアを利用し、ぎゅわーんと大きな坂道を作ります。
この前失敗したときは、板を空中に置いて歩ける道を作ってみたというイメージでした。でも今回の坂道は、猫バリアごと地面に着いていているのです! 安定感が全然違います。この坂を横から見たら直角三角形に見えるかと思います。
「前回は坂道そのものが落下しちゃったからね。今回は安定感を重視で作ってみたよ!」
「おー」
「さらにここからあるものもを坂につけちゃいます。これでより安全ってわけだね!」
「安全? ……もしかしてあれかしら、踏み外して落ちないようにする柵だっけ? この前思ったんだけど高いところではあれがあるとないとでは違うわ。メンテの魔法はそういう気遣い出来るところ好きよ」
「えへへ。そうかなあ~?」
「そうよ、さすがメンテよ!!(メンテは褒めれば出来る子だから褒めまくりましょ。そうしたら早く終わりそうだし)」
おお、珍しくシロ先生が褒めてくれました。こだわって改良したかいがあるってもんですよ!
※シロ先生は早くこの遊びを終わらせて寝たいだけです。心から褒めているわけではありません。
「というわけで坂道に柵を付けました~! より安全性が増したね!」
「すごいわ~。じゃあ行きましょう(ふう、これならすぐ終わりそうなの)」
「――待った!」
「にゃ?!」びくっ
「そのまま歩くとね、もしものときが危険だよ!」
「は、はあ……(やだ、また面倒くさいことを言い出したの)」
「だから猫バリアの中に入りながら坂道を移動します。早くシロ先生も入って。安全第一!」
「まあそれぐらいなら……」
僕とシロ先生は坂道の前に立つと、サイコロ状の猫バリアの中に入ります。準備よしっと。
「では落ちます」
「――は?」
僕達が入った猫バリアの横に別の猫バリアを作ります。下から持ち上げるのと同じような原理で横方向から押し出してみましょう。すると横方向に移動が可能になるのです! すごいでしょ?
でも僕はあえて坂道とは違う方向に押し出します。あ、そっちは地面だね。ははは、ちょっとミスしちゃった(嘘)。
ドー―――ン!
「あ、ちょ?!!!! そっち坂道じゃないわよ。あっちあっち!」
「だね」
「だねじゃないわよ?! ……にぃやぁぁぁあああああ!」
「わーい!」←楽しそうなメンテ
ひゅー、ずどーん! と屋根から落下して地面に突き刺さる猫バリア。でも僕達2匹にはかすり傷ひとつないのです。すごいでしょ~?
「ね? 猫バリアがあるから安全だったでしょ。これなら坂道から飛び降りても大丈夫だよ~」
「し、心臓に悪いわよ! そういうのは先に言って頂戴!! 全くメンテはなんでこう『猫リラックス!!』……………………ふう、その魔法の効果やばくない? 今まで体験した中で一番実感があるんだけど」
怒る前に落ち着かせました。ナイス僕。う~ん、なんだかシロ先生は違う意味で驚いているような気もしますがスルーしましょう。
「だって不測の事態が起きたらこんな感じでしょ? 教えたら効果が薄くなると思って内緒にしてたんだ。ごめんねシロ先生」
「……確かにそうかもね」
可愛い顔で悪気はなかったのアピールをすると、シロ先生は怒るに怒れなくなりました。ぐぬぬって顔をしています。ええ、これはもちろん全部計算済みです。僕の武器は可愛さなので利用しまくりますよ。ぐへへへへ。
「た、確かに安全だったわね。でもこれだとメンテがいないと使えないわよ?」
「そういうときはこれだね。猫魔法・猫トランポリン!」
ぼよ~んとした猫バリアを広げます。地面から少し上にね。
「にゃ?! また新しい魔法……?」
「新しいというよりは猫バリアの応用だね。飛び降りても安全に着地出来るんだ。まずは猫トランポリンを使う前に坂道を登ってみようか。歩いて大丈夫か確認しなきゃ」
こうして2匹で坂道を登ります。何事もなくお家の屋根まで到着出来ましたよ。
「確かに前みたいに落ちないの。これなら下りも大丈夫そうね」
「でしょ~? ちなみにこうやって猫バリアをこっちに回転させると……」
「にゃ?!」
「何もしなくてもここに乗るだけで上がったり下がったり出来るよ。まさに猫エスカレーターなんちゃって。じゃあちょっと乗ってみようよ!」
と言い僕とシロ先生の二匹は仲良く猫エスカレーターを使います。前世にあったエスカレーターを再現してみました。何回も上って下ってと繰り返し安全チェックです。ふむふむ、これなら普通の猫でも使えそうです。でも最初乗るときと最後の降りるときだけはおっとっととなりました。他の猫に使うときはここ注意って教えなきゃね。休憩がてら屋根の上でシロ先生の感想を聞きますか。
「いやいやいや、いろいろ進化しすぎでしょ……(ちょっと褒め過ぎたかしら?)」
「これで坂道は完成かな~? じゃあ次は猫トランポリンだよ。使い方は言うより見た方が早いかも。まずは僕が使ってみるからしっかり見ててね、シロ先生!」
僕は屋根から飛び降ります。すると地面に着く前に猫トランポリンに体が触れてぼよぼよ~んと上に飛び跳ねます。おお、成功だ!
「な、何今の?! メンテがすごく跳ねたわよね? いったいこれどうなってるの??」
「こんな感じで猫バリアを薄~く伸ばすとゴムみたいになるんだよ」
「ゴム?」
「バリアに弾力性が出るみたいに思ってくれたらいいかな」
「へえ、メンテは難しい言葉を知ってるのね」
「にゃ~?」
「あら可愛い顔」
時折来るシロ先生の鋭い攻撃は可愛い顔でブロックします。その回答はスルーだぜ。
「それでね、今僕がやったみたいに高いところから降りても大丈夫なんだ。耐久性もほら、バッチリだね。まさに僕が思っていた通りの出来だよ!」
「へえ、そうなの」
「それに前もって設置しておけば僕がいなくても使えると思うよ」
ふむふむ、この猫トランポリンなかなかいい感じかもしれません。坂道とトランポリンを同時に作ればより安全性が高まりますね。
「じゃあシロ先生もこの上に乗ってみてよっか。えい」
「え、私はいいわ。あ、ちょっと待って?!」
僕はしっぽを伸ばしてシロ先生を屋根から突き落とします。僕のしっぽは何メートルも伸びるから余裕で届いちゃいます。魔法を使う猫なのでこれぐらい普通でしょう。
「にゃああああああ………………あら? 何これ、不思議な感じ。すごくジャンプしちゃうの。結構面白いわね」
最初は不思議がっていたシロ先生。でもコツを掴んだのかピョンピョン跳ねて遊び始めましたよ。
「ね、楽しいでしょ?」
「……なるほど。これ面白い魔法ね。これなら高いところから落ちても平気ね。いいんじゃないかしら?」
「それだけじゃなくて遊びでも使えるよね。今度集会があるときに使ってみようかなあ」
思ったよりシロ先生に好評でした。これなら他の猫達も安全に使えるかな? 実はさっき思いつきで作った魔法だから安全面を全く考えてなかったというのは内緒です。
「ところでこの猫トランポリンだっけ? 空中じゃなくて地面に使えないのかしら?」
「え? どうかなあ。やったことないからやってみるよ」
シロ先生のリクエストに答えて地面に使ってみます。地面を覆うように魔法を広げてみました。その上をシロ先生が走ります。何をしてるのかな?
「やはり思っていた通りね」
「え? 何が??」
「これ地面に敷いても効果あるの。ほら、普段よりジャンプが高いでしょ?」
「そうなの? 僕もやってみよー」
僕も地面を走ってみました。するとシロ先生が言っている意味が分かりました。
「わお、これ便利かも」
「そうよね。それに小石程度なら痛みを気にせず気にせず走れちゃうの。すごいわ! さすがメンテね」
「えへへ」
「よっ、天才メンテ! あなたの作る道は猫一安全よ!」
「じゃあこの魔法は猫ロードって名付けちゃおっと」
おお、よく分かりませんがシロ先生がめっちゃ褒めてくれましたよ。確かに険しい道でもこの猫ロードがあれば普通に歩けそうです。今回みたいにトランポリンみたいな効果を付与したら楽しい道の完成ってわけですな。
なるほどなあ、空中だけでなく地面にも猫バリアって使えそうですね。攻撃を防ぐことだけがバリアじゃないんだなあ。ようは使い方ですか。応用って大事だねー!
それにしても今日はシロ先生がやたら積極的に遊んでくれます。なんだか急にやる気が膨らんできましたよ。うおおおおおおおおおおおお!!!
※シロ先生は早く終わらせて寝たいだけです。心から褒めているわけではありません。
「やったわ、これで魔法完成ね。もう欠陥じゃないわね!」
「……え?」
「なんでそこ疑問形なのかしら……。私はもうこれでいいと思うのよ。空中散歩するときもこの魔法を坂道の周りに張り巡らせれば安全だと思うわ。実際に使ってみてそう思ったの。というわけで今日はもう終わりにしない? 私疲れちゃったわ~(思ったより早く済みそうね、褒めまくって早く終わらせる作戦成功かしら?)」
素直に魔法完成! と喜びたいところです。ですが、僕もっと遊びたい気持ちが高まってきているんですよね。よし、こうなったら……。
「きえええええええええええええええええええええええええええええええええ!」
ばきいいいいいいいん!!! と光る魔法の爪を伸ばして強引に猫トランポリンを破壊します。
「――にゃ!? な、何してるの?!!」
「ほら、割れた。……これじゃダメだ。耐久力が足りない」
「急にどうしたの? もう終わりでいんじゃないかしら?」
「こんなんじゃまだまだダメだよ。それに遊び足りない」
「……え?」
「もっと遊びたいなあ……」
どごごごごっごごごごごごごごおごごごご。
「にゃ?! ななな、何よこれ?!! 急に土が盛り上がって来たわよ?!!!!」
「猫土魔法だよ」
「ね、ねこつちまほー??!」
「うん。猫魔法で作った猫の土魔法。略して猫土魔法」
「いやいやいや、いったいどこに猫の要素があるのよ?!!!」
「ほら、あそこ。土の先端に耳があるでしょ? ネコミミだよ~」
「…………にゃあ?!(もしかしてこれ土で作った猫だっていいたいの?!)」
「トイレで砂を使う猫もいるでしょ? 砂も土も似てると思うんだ。つまり猫は土魔法を使えるんだよ」
「何そのぶっとんだ理論?!」
謎の理論で発動する魔法にシロ先生は混乱を極めた。その間にどんどん猫土魔法で帰り道を塞いでいくメンテ。もはやシロ先生に逃げ場はないのであった。
「いやあ~、楽しいなあ。もっと魔法で遊びたくなってきたなあ~」チラッ
「――!(ま、まさか褒めるのは逆効果だった?!)」
はっとしたシロ先生。これ作戦失敗したのでは? と思いメンテを見た。するともっと遊びたいなあ、いいでしょシロ先生? と可愛い目をしている子猫がいたという。
あ、これ遊ぶ気満だ。どうしましょう……。 byシロ
「えっと……、明日にしない?」
「やだー、もっと遊ぼうよ。人払いと音遮断の猫結界で大きな音を出しても平気だよ~。あははは、今の僕なら何でも出来そう。きええええええええええええええええええええ!」
ドゥゴゴゴッゴゴゴオーーー! キュイイイイイイイイン!!!!!!!!!!!!
「にゃあああああああああああああ?! 何今のー?!!!!!!」
「きええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」
こうして暴走スイッチがオンになった子猫は魔法で遊びまくったという。子供って何をするのか分からないし遊ぶときも全力。これは猫も人間も同じなのねとメンテが疲れて眠くなるまで遊びに付き合わされるシロ先生であった。
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