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118話 「1歳3か月」
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「メンテちゃん起きて。朝よ」
「んぐぅ。……まんあー?」
「はい、ママですよ」
「あんまー!」ぎゅ~
メンテは、目覚めて3秒でテンションが最大になるのだ! 起きてすぐに走り出すほど寝起きの良い赤ちゃんなのである。
「名前はもう少しで言えそうね。ママよ。ま・ま」
「えぐぅ」
「え? 今何って言ったの? もう1回言ってみなさい!」
「ま、まーんま」
「そうよ。ママよ」
今日も朝から特訓なのです。というわけでみなさん、こんにちは。僕の名前はメンテ。1歳と3か月ぐらいの男の子ですよ。まあ正確な日数は数えてないので、本当は2か月かもしれませんが。
「メンテちゃん。パパを起こしてくれるかな?」
「えぐぅ」
今日は休日です。だから父は寝ています。疲れているから今日ぐらい許してとなかなか起きないのですよ。そろそろ朝ごはんの時間なのにね。
では父を起こしましょう!
「まんまー」服をぐいぐい
「……」
「まあー。まんまー」顔をバシバシ
「……ん~。ママじゃなくてパパだ。パパだぞメンテ」
「まんあー」
「パパって言わないと寝ちゃうからな~。はっはっはぁ~……」
一応ですが父は起きました。でもすぐ布団に潜っちゃいましたね。まだ眠いんでしょう。
最近は名前を言えるようになってきたので楽しいです。僕はわざと名前を間違えて遊んでいますよ。おバカで可愛い子でしょ? のアピールをしてます。
よし、そろそろ僕の秘策を発動しましょう!
「……ぱんぱー?」
「……ん?! 初めてメンテがパパって言ったぞ」
「ぱぁんぱー」
「ほら。ママ聞いたかい? メンテがパパって言ってくれたぞ。はっはっはー!」
「あら良かったわねえ」
密かに練習したのです。父は喜んで布団をガバっとして起きました。言葉が伝わるっていいね!
「よーしよしよし。可愛い息子だ。こっちにおいで」
「んぐぅ。……すぴ~」
父は起き上がると僕をぎゅっと抱っこしました。そのまま布団に入ります。なんだか僕も眠くなってきたので父と一緒に寝ます。おやすみ。
「……ってメンテちゃん寝ちゃったの?! パパ何してるのよ! 早く起きなさい」
「う~ん、もう少しだけな。今日はメンテがパパって言ったから……」
「理由がおかしいわよ?!」
メンテは起きるのも寝るのも早い赤ちゃんなのであった。
「こうなったらアーネの出番ね。パパを起こしていいわよ。今日は特別にあれをやってもいいわ」
「え? いいの?」
「いいわよ。でもメンテちゃんが離れてからね」
レディーの横でぼけーっとして今までのやりとりを見ていたアーネ。だが特別と聞いてすぐに目が覚めた。
「メンテちゃ~ん、そのまま寝てたら今日で卒業よ」
「ぐぅ?!」
グワッと目を開いたメンテ。いつものメンテとは思えない素早い動きで布団から抜け出し、そのままレディーにくっついた。これぞ母の魔法の言葉であった!
「やりなさいアーネ」
「えへへ。パパ起きてー!」
「ぐぉお?!」
アーネは勢いよくダンディに飛び掛かった。
◆
はっ!? と気付くと僕は母にくっついていました。父にくっついて寝てしまったような気がするのですが……。記憶がないけど母に布団から出されたのかな? まあ朝ご飯の時間ですから起きなきゃダメだよね。
「やりなさいアーネ」
「えへへー。パパ起きて!」
「ぐぉお?!」
母のやれという言葉と共にアーネは勢いよくジャンプ! そのまま父に飛び掛かりました。アーネは膝から落ちていますね。あれ当たると超痛いやつです。ほら、父からすごい声が聞こえます。
「えい! えい!」
「ぐぉおおお?! やめなさいアーネ、ぐほおっ」
「フフッ。早く起きないからよ」
アーネは笑顔で飛び跳ねます。それ以上に母の顔も笑顔ですが、そこはスルーしましょう。触れてはいけない気がするので。
この起こし方が禁止になったのは、僕がこの部屋で寝始めたときですよ。父の横でアーネが飛び跳ねていたところ僕に当たりそうになりました。もし直撃したら重症だったのです。それを見た母が激怒したのですよ。いや~、怖かったですね。僕泣いちゃいましたよ。
こういうことは子供が二人以上いるところではよくあるかと思いますよ。年齢に差があると体格も違うので危ないこともあるんです。目を離してはいけませんね。
「えい。やー!」ドシドシッ
「ぐほぉ。アーネやめなさい。パパ死んじゃうかグフッ」
「ねえねえ、メンテもやろー」
「きゃきゃー!」
「え? メンテちゃんもやりたいの?」
「あぐぅ」コクコク
「フフッ。じゃあママ手伝っちゃうわ。メンテちゃん、ママが体を支えるからパパの上を歩くのよ。パパは動いちゃダメよ」
「えっぐ!」
というわけで父の上に乗って歩きます。わーい!
「ちょ、ママ?! メンテに変な事を教えるのは止めなさい。せめて背中ならマッサージに……って体が動かないぞ? まさかママの魔法?! 分かった、パパ起きぐぉおおおおおお! 誰か助けてくれー!」
今日もナンス家は平和です。
◆
父が起きたので朝食の時間です。
今日は猫が3匹近くにいます。シロ先生以外の猫は寝ていますね。猫達は僕と一緒に寝たり、子供部屋で寝たりしています。寝るときだけ教会に帰る猫もいるのですよ。そこらへんは自由なのです。好きにしてって言ってあるので。
「えっぐー(二匹とも早く起きて)」ぐいー
「「にゃあああああ?!」」
思いっきりしっぽを引っ張ると、イエローとピンクはすごい勢いで起きましたよ。
「ちょっとメンテ。猫のしっぱを強く引っ張るのは絶対ダメ! 怪我しちゃうわ」←シロ先生
「えぐ~(へえ。そうなんだ)」
「メンテも猫のとき引っ張られれると痛いでしょ?」
「えぐえぐ。んぐぅ(いや別に。手が増えたなあって感じだし)」
「……手? 面白いこというのね」
シロ先生に怒られちゃったけど知らなかったことを学べました。やっちゃダメなこともあるんですね。猫の知識は猫から聞くのが一番です。
「えっぐ。うぐぐぐぐー(ごめんね。じゃあ食べに行こうよ。今日は新作デザートあるってさ)」
「「「行くにゃあ!」」」
メンテ1歳3か月。人の名前をしゃべれるようになっただけでなく、猫の扱いも上手になっていた。
「んぐぅ。……まんあー?」
「はい、ママですよ」
「あんまー!」ぎゅ~
メンテは、目覚めて3秒でテンションが最大になるのだ! 起きてすぐに走り出すほど寝起きの良い赤ちゃんなのである。
「名前はもう少しで言えそうね。ママよ。ま・ま」
「えぐぅ」
「え? 今何って言ったの? もう1回言ってみなさい!」
「ま、まーんま」
「そうよ。ママよ」
今日も朝から特訓なのです。というわけでみなさん、こんにちは。僕の名前はメンテ。1歳と3か月ぐらいの男の子ですよ。まあ正確な日数は数えてないので、本当は2か月かもしれませんが。
「メンテちゃん。パパを起こしてくれるかな?」
「えぐぅ」
今日は休日です。だから父は寝ています。疲れているから今日ぐらい許してとなかなか起きないのですよ。そろそろ朝ごはんの時間なのにね。
では父を起こしましょう!
「まんまー」服をぐいぐい
「……」
「まあー。まんまー」顔をバシバシ
「……ん~。ママじゃなくてパパだ。パパだぞメンテ」
「まんあー」
「パパって言わないと寝ちゃうからな~。はっはっはぁ~……」
一応ですが父は起きました。でもすぐ布団に潜っちゃいましたね。まだ眠いんでしょう。
最近は名前を言えるようになってきたので楽しいです。僕はわざと名前を間違えて遊んでいますよ。おバカで可愛い子でしょ? のアピールをしてます。
よし、そろそろ僕の秘策を発動しましょう!
「……ぱんぱー?」
「……ん?! 初めてメンテがパパって言ったぞ」
「ぱぁんぱー」
「ほら。ママ聞いたかい? メンテがパパって言ってくれたぞ。はっはっはー!」
「あら良かったわねえ」
密かに練習したのです。父は喜んで布団をガバっとして起きました。言葉が伝わるっていいね!
「よーしよしよし。可愛い息子だ。こっちにおいで」
「んぐぅ。……すぴ~」
父は起き上がると僕をぎゅっと抱っこしました。そのまま布団に入ります。なんだか僕も眠くなってきたので父と一緒に寝ます。おやすみ。
「……ってメンテちゃん寝ちゃったの?! パパ何してるのよ! 早く起きなさい」
「う~ん、もう少しだけな。今日はメンテがパパって言ったから……」
「理由がおかしいわよ?!」
メンテは起きるのも寝るのも早い赤ちゃんなのであった。
「こうなったらアーネの出番ね。パパを起こしていいわよ。今日は特別にあれをやってもいいわ」
「え? いいの?」
「いいわよ。でもメンテちゃんが離れてからね」
レディーの横でぼけーっとして今までのやりとりを見ていたアーネ。だが特別と聞いてすぐに目が覚めた。
「メンテちゃ~ん、そのまま寝てたら今日で卒業よ」
「ぐぅ?!」
グワッと目を開いたメンテ。いつものメンテとは思えない素早い動きで布団から抜け出し、そのままレディーにくっついた。これぞ母の魔法の言葉であった!
「やりなさいアーネ」
「えへへ。パパ起きてー!」
「ぐぉお?!」
アーネは勢いよくダンディに飛び掛かった。
◆
はっ!? と気付くと僕は母にくっついていました。父にくっついて寝てしまったような気がするのですが……。記憶がないけど母に布団から出されたのかな? まあ朝ご飯の時間ですから起きなきゃダメだよね。
「やりなさいアーネ」
「えへへー。パパ起きて!」
「ぐぉお?!」
母のやれという言葉と共にアーネは勢いよくジャンプ! そのまま父に飛び掛かりました。アーネは膝から落ちていますね。あれ当たると超痛いやつです。ほら、父からすごい声が聞こえます。
「えい! えい!」
「ぐぉおおお?! やめなさいアーネ、ぐほおっ」
「フフッ。早く起きないからよ」
アーネは笑顔で飛び跳ねます。それ以上に母の顔も笑顔ですが、そこはスルーしましょう。触れてはいけない気がするので。
この起こし方が禁止になったのは、僕がこの部屋で寝始めたときですよ。父の横でアーネが飛び跳ねていたところ僕に当たりそうになりました。もし直撃したら重症だったのです。それを見た母が激怒したのですよ。いや~、怖かったですね。僕泣いちゃいましたよ。
こういうことは子供が二人以上いるところではよくあるかと思いますよ。年齢に差があると体格も違うので危ないこともあるんです。目を離してはいけませんね。
「えい。やー!」ドシドシッ
「ぐほぉ。アーネやめなさい。パパ死んじゃうかグフッ」
「ねえねえ、メンテもやろー」
「きゃきゃー!」
「え? メンテちゃんもやりたいの?」
「あぐぅ」コクコク
「フフッ。じゃあママ手伝っちゃうわ。メンテちゃん、ママが体を支えるからパパの上を歩くのよ。パパは動いちゃダメよ」
「えっぐ!」
というわけで父の上に乗って歩きます。わーい!
「ちょ、ママ?! メンテに変な事を教えるのは止めなさい。せめて背中ならマッサージに……って体が動かないぞ? まさかママの魔法?! 分かった、パパ起きぐぉおおおおおお! 誰か助けてくれー!」
今日もナンス家は平和です。
◆
父が起きたので朝食の時間です。
今日は猫が3匹近くにいます。シロ先生以外の猫は寝ていますね。猫達は僕と一緒に寝たり、子供部屋で寝たりしています。寝るときだけ教会に帰る猫もいるのですよ。そこらへんは自由なのです。好きにしてって言ってあるので。
「えっぐー(二匹とも早く起きて)」ぐいー
「「にゃあああああ?!」」
思いっきりしっぽを引っ張ると、イエローとピンクはすごい勢いで起きましたよ。
「ちょっとメンテ。猫のしっぱを強く引っ張るのは絶対ダメ! 怪我しちゃうわ」←シロ先生
「えぐ~(へえ。そうなんだ)」
「メンテも猫のとき引っ張られれると痛いでしょ?」
「えぐえぐ。んぐぅ(いや別に。手が増えたなあって感じだし)」
「……手? 面白いこというのね」
シロ先生に怒られちゃったけど知らなかったことを学べました。やっちゃダメなこともあるんですね。猫の知識は猫から聞くのが一番です。
「えっぐ。うぐぐぐぐー(ごめんね。じゃあ食べに行こうよ。今日は新作デザートあるってさ)」
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メンテ1歳3か月。人の名前をしゃべれるようになっただけでなく、猫の扱いも上手になっていた。
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