98 / 259
98話 「魔力の覚醒 その1」
しおりを挟む
僕は兄貴から借りた本を大事に読んでいます。
そのせいで大人達からは、あの本が気に入ったのねと言われていますが。でも僕は文字が読めちゃう赤ちゃんですから内容を理解しています。このことは秘密なので、普段はこの本の感触が大好きなのと振舞っています。本にはこう書かれていました。
○魔力
世界中どこにでもある魔法の源となるもの。
人間は体内で生成が可能である。
個人差はあるものの、1歳以降に魔力を扱う器官が発達する。
○魔力感知
魔力を認識する力。
○魔力操作
魔力を動かす。または別の力に変換する力。
○魔法
魔力を別の力に変換することで生じる現象。
スキルによって得意、不得意がある。
○スキル
才能や技能。
身体や心、得意な魔法に影響するなど多岐にわたる。
後天的に覚えることもある。
○ユニークスキル
特定の人だけが使えるスキル。
詳細は不明。
いろいろ専門的な単語が出てるけど、めっちゃゲームみたいな感じです。僕にとってこの本はいい感じの説明書なのですよ!
最初から兄貴の勉強を見学していればよかったよ。兄貴は外で魔法の練習しかしてないイメージでした。アーネだけでなく兄貴も勉強熱心だったなんてねえ。
専門用語が難しいとか覚えられない方には、こちらをおすすめしますよ!
○魔力
なんかすごい力の源。
○魔力感知
感じとる能力。
○魔力操作
コントロール。
○魔法
魔力を使った不思議な現象。
○スキル
ノーマルな能力。
○ユニークスキル
レアな能力。
僕の考えはこんな感じなのです。いちいち難しく考える必要はないのですよ。
この本から僕が知りたかった事も分かりました!
僕は魔力を扱う器官が未発達みたいです。魔力を感じ取ったり、体内で作ることが出来てないから魔法を使えないってことですよ!
この魔力を扱う器官を”魔力器官”と呼びますね。この魔力器官ですが、どこにあるのかというと不明です。身体に宿るやらただの感覚であるとか書かれていたね。つまり詳しい場所は分かってないけどあるらしいです。どうやって見つけたんでしょうかね?
別に体内で魔力を作らなくても、そこらへんにある魔力使えばいいんじゃない? と思ったけど、魔力操作出来ない僕には無理なのです。それ以前に認識する力(魔力感知)すら発達していません。前世に魔力なんてなかったから扱い方も知らないしなあ。ましてやそういうスキルも僕になかったのですよ。
……あれれ? この世界の僕って、本当にただの赤ちゃんじゃない???
うん、気のせいだね!
まあいつかは魔法を使うことが出来るようになるでしょう。魔力が目覚める理由は、人それぞれで違うらしいのです。それまではゆっくり待ちますよ。
それにしてもこの本はとても参考になったなあ。よし、この本を褒めちゃおう!
「ちゅぱぱ~(えらいぞ~)」
「あら、メンテちゃんが舐めてるのはアニーキ―の本よね。いいの?」
「なんかあの本を気に入っちゃってね。もう全部読んだからいいよ……」
兄貴はこの本は読み終えたそうです。欲しいから貰っちゃいますよ。可愛い弟へのプレゼントってことで許してね!
ちなみに僕とアーネが、勝手に兄貴の部屋に侵入したことが大人達にバレたけど問題なかったです。勝手にどこでも行っちゃうから、あまり目を外さないようにと監視が厳しくなりましたが。
「メンテよかったねー」
「えっぐ。ちゅぱ~」
ご機嫌なメンテであった。
◆
その日の夜。
僕と母はお風呂が終わって両親の寝室にいます。そろそろ寝る時間です。
「メンテちゃん、その本邪魔なんだけど……」
「ちゅぱ~」
今は恒例になったおっぱいタイム中ですが、この本を手離すと手の届かないところへ片づけられそうなのでずっと持っています。
「その手を離してくれないとママ痛いの。本がお腹に当たってるのよ」
「ちゅぱ~」
これは大事な本です。僕が知りたかったことがいっぱい書かれています。だから持ちながらでもおっぱいは止めませんよ?
「……メンテちゃん」
「ちゅぱちゅぱ~」
「ママあっち行っちゃうわね。今日はおっぱいなしよ」
「ちゅぱぱ~」
そんなことするはずないと話は聞いてませんでした。そんな脅しは僕に通じません。おっぱいの前では全てがおっぱいなのです。
「もう、メンテちゃん! 今日からおっぱいは卒業よ!! わかった?」
「えぐぅ?!」
ななななんと、母は実力行使をしてきたのです!!
僕におっぱいを吸わせないように押しのけ、立ち上がってしまいました。
「うっぐぅううううう!」
「泣いたってダメだからね!」
「うえええええーーーーーーーーーーーーーーーーん!」
「もうママ知らないわよ!」
母は部屋の外に行ってしまいました。
「うぐぅ……(おっぱい……)」
外では父と母の声が聞こえますが、僕はショックでそれどころではありません。
「おや? ママ、メンテはどうした?」
「メンテちゃんが言うことを聞かないの。だからおっぱいを卒業することにしたのよ」
「はっはっは、それはいい機会かもしれないな」
「甘えさせるとわがままな子に育っちゃうわ。それにおっぱいを止める気なさそうだし、今回は丁度良いと思うのよ」
「はっはっは。パパがちょっと様子を見てこようかな」
父が寝室に入ってきます。
「おーい、メンテ大丈夫か?」
「えっぐ、えぐ、えぐううう、えぐうう。えっぐううえぐうっぐううぐえうぐえうげうげうぐえ、えっぐううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
「……」
……バタン。
「ママ、メンテが信じられないような声で泣き叫んでいたんだが……」
「……大丈夫よ」
「全然大丈夫そうに見えなかったぞ?!」
急な卒業宣言により、僕は叫び狂っていました。
「えぐううううううううう……んぐぅ!?」
そして……。
「あぐ?(何だこれ?)」
この日、メンテはしょうもない理由で魔力が覚醒した。
そのせいで大人達からは、あの本が気に入ったのねと言われていますが。でも僕は文字が読めちゃう赤ちゃんですから内容を理解しています。このことは秘密なので、普段はこの本の感触が大好きなのと振舞っています。本にはこう書かれていました。
○魔力
世界中どこにでもある魔法の源となるもの。
人間は体内で生成が可能である。
個人差はあるものの、1歳以降に魔力を扱う器官が発達する。
○魔力感知
魔力を認識する力。
○魔力操作
魔力を動かす。または別の力に変換する力。
○魔法
魔力を別の力に変換することで生じる現象。
スキルによって得意、不得意がある。
○スキル
才能や技能。
身体や心、得意な魔法に影響するなど多岐にわたる。
後天的に覚えることもある。
○ユニークスキル
特定の人だけが使えるスキル。
詳細は不明。
いろいろ専門的な単語が出てるけど、めっちゃゲームみたいな感じです。僕にとってこの本はいい感じの説明書なのですよ!
最初から兄貴の勉強を見学していればよかったよ。兄貴は外で魔法の練習しかしてないイメージでした。アーネだけでなく兄貴も勉強熱心だったなんてねえ。
専門用語が難しいとか覚えられない方には、こちらをおすすめしますよ!
○魔力
なんかすごい力の源。
○魔力感知
感じとる能力。
○魔力操作
コントロール。
○魔法
魔力を使った不思議な現象。
○スキル
ノーマルな能力。
○ユニークスキル
レアな能力。
僕の考えはこんな感じなのです。いちいち難しく考える必要はないのですよ。
この本から僕が知りたかった事も分かりました!
僕は魔力を扱う器官が未発達みたいです。魔力を感じ取ったり、体内で作ることが出来てないから魔法を使えないってことですよ!
この魔力を扱う器官を”魔力器官”と呼びますね。この魔力器官ですが、どこにあるのかというと不明です。身体に宿るやらただの感覚であるとか書かれていたね。つまり詳しい場所は分かってないけどあるらしいです。どうやって見つけたんでしょうかね?
別に体内で魔力を作らなくても、そこらへんにある魔力使えばいいんじゃない? と思ったけど、魔力操作出来ない僕には無理なのです。それ以前に認識する力(魔力感知)すら発達していません。前世に魔力なんてなかったから扱い方も知らないしなあ。ましてやそういうスキルも僕になかったのですよ。
……あれれ? この世界の僕って、本当にただの赤ちゃんじゃない???
うん、気のせいだね!
まあいつかは魔法を使うことが出来るようになるでしょう。魔力が目覚める理由は、人それぞれで違うらしいのです。それまではゆっくり待ちますよ。
それにしてもこの本はとても参考になったなあ。よし、この本を褒めちゃおう!
「ちゅぱぱ~(えらいぞ~)」
「あら、メンテちゃんが舐めてるのはアニーキ―の本よね。いいの?」
「なんかあの本を気に入っちゃってね。もう全部読んだからいいよ……」
兄貴はこの本は読み終えたそうです。欲しいから貰っちゃいますよ。可愛い弟へのプレゼントってことで許してね!
ちなみに僕とアーネが、勝手に兄貴の部屋に侵入したことが大人達にバレたけど問題なかったです。勝手にどこでも行っちゃうから、あまり目を外さないようにと監視が厳しくなりましたが。
「メンテよかったねー」
「えっぐ。ちゅぱ~」
ご機嫌なメンテであった。
◆
その日の夜。
僕と母はお風呂が終わって両親の寝室にいます。そろそろ寝る時間です。
「メンテちゃん、その本邪魔なんだけど……」
「ちゅぱ~」
今は恒例になったおっぱいタイム中ですが、この本を手離すと手の届かないところへ片づけられそうなのでずっと持っています。
「その手を離してくれないとママ痛いの。本がお腹に当たってるのよ」
「ちゅぱ~」
これは大事な本です。僕が知りたかったことがいっぱい書かれています。だから持ちながらでもおっぱいは止めませんよ?
「……メンテちゃん」
「ちゅぱちゅぱ~」
「ママあっち行っちゃうわね。今日はおっぱいなしよ」
「ちゅぱぱ~」
そんなことするはずないと話は聞いてませんでした。そんな脅しは僕に通じません。おっぱいの前では全てがおっぱいなのです。
「もう、メンテちゃん! 今日からおっぱいは卒業よ!! わかった?」
「えぐぅ?!」
ななななんと、母は実力行使をしてきたのです!!
僕におっぱいを吸わせないように押しのけ、立ち上がってしまいました。
「うっぐぅううううう!」
「泣いたってダメだからね!」
「うえええええーーーーーーーーーーーーーーーーん!」
「もうママ知らないわよ!」
母は部屋の外に行ってしまいました。
「うぐぅ……(おっぱい……)」
外では父と母の声が聞こえますが、僕はショックでそれどころではありません。
「おや? ママ、メンテはどうした?」
「メンテちゃんが言うことを聞かないの。だからおっぱいを卒業することにしたのよ」
「はっはっは、それはいい機会かもしれないな」
「甘えさせるとわがままな子に育っちゃうわ。それにおっぱいを止める気なさそうだし、今回は丁度良いと思うのよ」
「はっはっは。パパがちょっと様子を見てこようかな」
父が寝室に入ってきます。
「おーい、メンテ大丈夫か?」
「えっぐ、えぐ、えぐううう、えぐうう。えっぐううえぐうっぐううぐえうぐえうげうげうぐえ、えっぐううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
「……」
……バタン。
「ママ、メンテが信じられないような声で泣き叫んでいたんだが……」
「……大丈夫よ」
「全然大丈夫そうに見えなかったぞ?!」
急な卒業宣言により、僕は叫び狂っていました。
「えぐううううううううう……んぐぅ!?」
そして……。
「あぐ?(何だこれ?)」
この日、メンテはしょうもない理由で魔力が覚醒した。
0
お気に入りに追加
235
あなたにおすすめの小説

このやってられない世界で
みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。
悪役令嬢・キーラになったらしいけど、
そのフラグは初っ端に折れてしまった。
主人公のヒロインをそっちのけの、
よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、
王子様に捕まってしまったキーラは
楽しく生き残ることができるのか。

白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。
無言で睨む夫だが、心の中は──。
【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】
4万文字ぐらいの中編になります。
※小説なろう、エブリスタに記載してます

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。
これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。
それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ
Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_
【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】
後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。
目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。
そして若返った自分の身体。
美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。
これでワクワクしない方が嘘である。
そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる