もっと甘やかして! ~人間だけど猫に変身できるのは秘密です~

いずみず

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93話 「1歳になりました」

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 僕の名前はメンテ・ナンス。1歳になったばかりのベイビーです!

 昨日は誕生日会がありました。誰か偉い人でも来るのかなと思ったけど誰も来ませんでしたね。でも異世界定番の金持ち貴族と会うのは疲れるよね。これはこれで良かったんじゃないかと思います。

 ……まずこの世界って貴族がいるのかな?

 そこは体が大きくなったら調べましょう。もし面倒な存在がいたらイブシじいじやタクシーさんに頼んでボコボコにしちゃいますがね!


 話は戻りますが、誕生日会は特に何もなかったです。僕へのプレゼントすらなかったレベルです。夕食が少し豪華になったぐらいで、騒いでいたのは大人だけでした。

 まあ僕の場合、赤ちゃんだからこっちねと普通の食事しか出ないのです。そこは仕方がありませんよね。試しに大人の食べてるそれが食べたいと暴れてみましたが、まだあなたには早いのよと却下されました。悲しくて母のおっぱいで我慢したのです。

 そんなわけで来年の誕生日会も期待出来ません。まあケーキの出るぐらいの日だと思っておきます。


 誕生日の話はこれぐらいでいいでしょう。それよりも僕は1歳になったのです。こっちの方が重要です。1歳になってまずやる事。もちろんこれしかないでしょう! さあ見ていてください。


「うぐぐ(ギフト)」


 さあ、何かしら力が使えるはず!


「うぐぐ(ギフト)」


 ……おや? ではもう一度。


「うぐぐ(ギフト)」


 んんん? あれれれれ?


「うぐぐぐぐぐ!(ギフト!)」


 ……? 何も起きません。ふえ~?


 ギフトを使ってスキル鑑定が出来る年齢だよね? それなのに何も起きません。理由もさっぱり分かりません。ん~、どうしようかなあ。誰も僕の言葉分からないしさあ。


 よし、寝よう!


 というわけでお昼寝タイムです。邪魔しないでね。


 ◆


 目が覚めると、母が外出の準備をしていました。


「くわぁ~」
「あらメンテちゃん起きたの。今から教会に行くわよ」
「うぐぅ(うん)」


 ギフト貰えたわよの挨拶でもするのでしょう。僕も急いで準備しますよ。


「ぐぐぐぅー」バシバシ
「オムツを交換して欲しいのですね、メンテ様」
「えぐ(正解)」


 僕はカフェさんにオムツを替えて貰います。


「今日はこれを来ますよ」
「えっぐ!」


 オムツの次は、服を着せてと頼みます。


「あぐ」指ぷい
「今日はあれを使うのですか?」
「えぐ(正解)」


 僕はスタイを要求します。よだれかけのことですよ。これを着けるだけで赤ちゃん感が倍増するのです! 外出するときは必ず着けます。可愛いでしょ? ちなみにこのスタイは、家の中だとよだれがひどいときだけ使っていますね。あとは祖父母がいるときぐらいかな?


「メンテ様が次はこれこれと伝えてきますね。物事を覚えてきたのでしょうか?」
「そうかもしれないわ。最近のメンテちゃん急成長ね!」
「あぐー」


 成長アピールも続けています。少し賢いところを見せるだけで、大人は大喜びなのですよ。とてもチョロいのです。


「ママ―、準備出来た」
「俺はとっくに準備終わったよ」
「そろそろ行きましょうか」
「うん!」「行こう!」「えっぐ!」


 では教会に行きましょう!


 教会には歩いてすぐ到着しました。僕の家からそこそこ近いからね。あ、門のところにシロ先生がいます。


「えぐううう!(シロ先生ー!)」


 僕の声に気付いたシロ先生がこちらを見ました。


「なんだか久しぶりね。今日はどうしたの?」
「えぐえぐううう(ねえねえ、聞いて! 僕のスキル……ってちょっとママ待ってー!)」


 今日はベビーカーではなく、抱っこヒモを使って教会に来ました。ママ大好きで離れたくないのアピールのためです。現在進行形で甘えん坊な赤ちゃんを演じているのでした。忘れてたよ。

 母をバシバシ叩きますが、教会に興奮しているだけに見えているようです。全然気付いて貰えません。あああああ、シロ先生から離れちゃうよ。話がしたかったのにー。


「えっぐ、えぐううううう!(シロ先生、シロ先生ーーーーー!)」


 そのまま教会に入ってしまいました。ああ、シロ先生ー。


「……いつ来ても騒がしいわね」



 こんな1歳ですが、よろしくお願いします。

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