もっと甘やかして! ~人間だけど猫に変身できるのは秘密です~

いずみず

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74話 「王都への準備」

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 儀式の数日前に王都に行くよ!

 と大人達は言ってました。どうやら祖父母が早く僕に会いたいらしいです。儀式の前日までは祖父母とふれあいタイムを楽しもうってやつですかね?

 よし、今回も僕の赤ちゃんっぷりを全力で披露しましょう!

 この町から王都まで馬車でだいたい2日程掛かるようです。その場合、途中の村で1日休むんだって。特急馬車やら空を飛ぶと1日と結構王都は近いようですよ。へえ、この世界でも特急とか空を飛べるたりするんだ。ははは、面白いね。僕はどうやって行くんでしょう。

 王都に行くメンバーはナンス家の5人(父、母、アニーキ―、アーネ、僕)、タクシーさんとカフェさんの計7人です。キッサさんはこのお家に残るようです。お店はコサンさんの家族が頑張るようですよ。


 ここからは儀式に関してです。

 僕が聞いた情報によると、儀式は毎月あるようです。毎月1、2、3の最初の3日間だけスキルを鑑定出来るんだって。なぜこの3日間だけなのかという理由は分かりませんでした。

 みんな何歳から受けられるのか知りたいでしょ? 結論として生まれてすぐでも可能なようです。

 でも魔法を使えるようになるのは1歳以降になることが多いらしいよ。そのせいかはこの国では、1歳になる頃合いにこの儀式に参加する人が多いそうです。王都から離れている人は、ある程度子供が成長してから行くみたいですよ。まあ旅の負担を考えるとそうなるよね。0歳の赤ちゃん連れて長い旅とかきついよ。

 ちなみに僕は儀式が終わってからが誕生日らしいので、まだ0歳で受けるのです。もし僕が王都に住んでいたらすでにスキルが判明していたでしょうがね。

 いろいろ調べたおかげで魔法を使えな理由が判明しました! だって~、ぼくはまだぁぜぇろちゃい11かげっちゅだもん。まほーちゅかえなぃの。ばぶぅ~。



 でも僕のスキルは何かと考えるだけで夢が広がりますね!



 現在僕はお昼寝中です。うっすらと目を開けますが誰もこちらを見ていませんね。僕はお布団の上で寝ています。お布団ですよ、お布団。

 実は最近ベビーベッドを卒業したのです。だから大人が使うような普通のお布団を使い始めましたよ。布団の周りに落下とか脱走防止用の柵がなくなったので解放感がありますね。

 このことで一番変わったのは夜でしょう。夜寝るときは父、僕、アーネ、母という並びで寝ています。本当は母の横に行きたかったのにアーネがごねましてね。それで僕は父の横で寝ているのですよ。でも起きると毎回母の横にいるんです。不思議ですよねえ~。

 それはそうと、僕はこっそり起き上がってハイハイで誰も見えない位置に移動します。

 つかまり立ちが出来てから結構時間が経ちました。残念ながらこの世界には、日本で売っている赤ちゃんが使う歩行器がありません。ゴロゴロと手押し車のようなものはあるのですが、使ってみたら頭をぶつけたので使うのをやめました。危ないよあれ。日本で見たあの座って歩くタイプのベビーウォーカーが欲しいものです。何それと言う人は検索してください。見れば僕が何を言っているのか分かりますので。どうせならナンス家で作ってほしいものです。


「えっぐー(よっこいしょー)」


 僕は何もつかまる場所のないところで立ち上がります。ほら、普通に立てるでしょ? これは僕が祖父母を驚かせるための秘策です。このお家では誰にも見せていません。初めて見せるのは祖父母と決めていますから。


「うぐぅー(よいしょー)」タッタッタッ、トテッ。


 今のところ数歩だけなら歩けますね。前世では普通に歩いていたので、ある程度感覚は分かっているのですよ。途中で疲れて倒れこんでしまうのは赤ちゃんなので仕方ないよね。まだ成長中だもん。


「メンテくんどこですか~?」
「えぐ(あ、誰か来た)」


 物音を聞いてメイドさんがやってきましたよ。僕が起きて布団から脱走したみいに思われています。これも計算していたのです。


「あぐー(ここだよ)」タタタタッ←高速ハイハイ
「誰もいなくて探しちゃったのかな?」
「えぐえぐー(そうそう)」
「みんなのところに行きましょうね」←ヒョィっとメンテを抱っこするメイドさん
「きゃきゃきゃ(いえーい)」


 さて、僕の準備が出来ました!


 まあ0歳赤ちゃんなので荷物の準備なんてしていませんがね。僕の場合は、健康な体があればいいんだよ。今行くから待っててね、王都!



 そして、メンテは生まれて初めての王都へ向かうのだった。

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