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69話 「教会と白い猫 その2」
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「母さん、俺の知ってる教会がありません……」
「私もないわね……」
……なんだろ、この状況?
僕たちは教会に向かってたはずですよ。でもそこらじゅうに教会があるみたいです。意味が分かりませんね。
「なんか看板の文字増えてるよー」
「そだねー。どこの店も最後に教会って書いてあるよ」
「何があったのかしら……」
「えへへ、なんだか面白いねー。メンテこちょこちょー」
「きゃきゃきゃ」
どの店にも教会って文字が追加されているみたいです。前に来たときはこんな文字はなかったはずだよね。アーネは町の様子が面白いのか楽しそうですね。きゃきゃきゃ。
「では私が説明しましょう」
「え?! カフェさん知ってるなら俺に教えてよ!」
「私も知りたいわ」「じゃあわたしもー」「えぐー!(僕も!)」
さすがカフェさん。町のことはよく知っていますね。
「この前魔物騒ぎがあったのはご存じかと思います。その被害に遭ったニバンメの街では大規模な戦闘があり、特に教会を中心に被害が拡大していったそうです」
「へえ……ってそれヤバいじゃん」
「ニバンメはこの町より被害が大きかったのね」
「ぶしゅ~」「きゃきゃきゃ」←話に飽きて遊んでいるアーネとメンテ
教会で掃討作戦でもあったのかな? すごい戦闘があったんだって。あの狼本当はすごかったんだ……いえ、僕は魔物を見たことないから分かりません(大嘘)
「街の住民は巻き込まれる前に避難出来たのですが、戻ってくると町は壊滅状態、教会は瓦礫の山となっていたそうです。そこで国は避難した人々の受け入れ先を探しているのですよ。本来ならニバンメの教会が避難場所なのですが、なくなってしまったために他の町の教会を使うことになりました。コノマチの教会はそこそこ大きいですからね。王都に行くよりコノマチの方が近いので、ここに来る人が多いみたいです」
「へえ、だからみんなが受け入れやすいように教会って名乗ってるんだ」
「そうねえ、そのままここで働いたり住んでくれたら住人が増えるかもしれないわ」
「ちゅんちゅちゅん!」「きゃきゃきゃきゃきゃ!」
カフェさんのこの町って発音がおかしかったような? 気のせいかな。いい話だなあと思ったけどアーネが邪魔して来ます。こそばいから止め……きゃきゃきゃ。
※まだメンテはこの町の名前が”コノマチ”という事を知りません。
「被害の大きかった教会は、国から補助金が出るそうです。お金が欲しい町のみなさんは教会と名乗っています。ほぼすべての店が教会になるのも時間の問題ですね」
「結局金じゃん……」
「お金ね……」
「えへへへへー」「きゃきゃきゃー」
……全然感動的な話ではありませんでした。この世界でもお金は大事なのです。
「じゃあ気にせずに教会に行きましょうか。アーネ遊んでないで行くわよ」
「うん……。ひどい話だったね」「はーーーーーい!」「えっぐぅーきゃきゃ!」
というわけで僕はアーネに遊ばれながら教会に行くのでした。後日談ですが、いろいろな町で教会の名乗りが多すぎて国は混乱したそうです。
◆
そして、目的の教会に着きました。
「うぐぅ……」
はい、完全にゲームの世界ですね。目の前には、学校の体育館みたいにデカい建物があるんです。その建物の屋根は尖がったような構造で、中には鐘みたいなものがありますね。あれを鳴らしたら町中に響きそうですね。そして、意外なことに屋根のてっぺんに十字架はないです。十字架ではなく、○みたいな感じの丸い何かですね。何のシンボルかは不明です。
もしかするとニバンメの街では、あの鐘が合図になって戦闘とか避難が開始されたのかもね。それにここは庭が広いから戦いやすそうですし。どうせ支部だからどこも同じような作りになっていると思いますよ。チェーン店みたいに。まあ見たことないのでこれは僕の勘ですがね。
「メンテちゃんどう? 驚いたでしょ?」
「……んぐぅ(うん)」
ゲームだなあと思ったぐらいで教会には驚いてません。僕が茫然としているのは、教会の周りに子どもがいっぱい遊んでいたことです。避難してきた方かもしれませんが、大人よりも子供のほうが圧倒的に多いですね。
……ただの保育園じゃないここ?
確か前世でも教会の運営している保育園があった気がしますよ。教会の横にはみんなが住んでいる居住スペース? があるのですが、明らかに教会より大きいですね。教会より高さは低いのですが横に長い建物なのです。
じゃあ教会はただの体育館ってことかな……? いやいや、まさかねえ。
「あ、アーネちゃんだ」
「アニーキ―も来てるよ」
「「「「「「「「「「わーーーーーー!」」」」」」」」」」
子供たちがこちらに走って向かってきます。
「えへへ、みんな遊ぼうー」
「しょうがないな」←照れてるアニーキ―
僕の兄弟は教会に来たことあるようです。みんなの人気者みたいです。
「すげえ! これ浮いてるよ!」
「誰この赤ちゃん?」
「かわいいー!」
「「「「「「「「「「ざわざわ~」」」」」」」」」」
子供たちが僕に気付いたのか囲まれました。ベビーカーに驚いたり、この赤ちゃん誰やと騒がれます。アーネと同じような年齢からアニーキ―みたいな大きめの子もいますね。みんな走っているし、どうやら僕はこの中では一番年下かな? まあ僕ぐらいの年齢の子供って外を走り回ること出来ないよね。
ここはおしゃぶりを使って赤ちゃん感満載でいきましょう。首を少し傾けてお口をちゅぱちゅぱさせます。そして、可愛い声で一言。
「うぐぅ~?」
「「「「「「「「「「かわいい!」」」」」」」」」」
「弟のメンテだよ」
「わたしのおとーとなの!」
「フフッ、この子はメンテちゃんよ。みんな仲良くお願いね」
「「「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」」」
僕の赤ちゃんアピールも大成功です。子供はチョロいですよ。
ん~、僕にはこの教会がただの保育園にしか見えません。ここは何をする場所なのか調べる必要があるね。
よし、情報を集めましょう!
「私もないわね……」
……なんだろ、この状況?
僕たちは教会に向かってたはずですよ。でもそこらじゅうに教会があるみたいです。意味が分かりませんね。
「なんか看板の文字増えてるよー」
「そだねー。どこの店も最後に教会って書いてあるよ」
「何があったのかしら……」
「えへへ、なんだか面白いねー。メンテこちょこちょー」
「きゃきゃきゃ」
どの店にも教会って文字が追加されているみたいです。前に来たときはこんな文字はなかったはずだよね。アーネは町の様子が面白いのか楽しそうですね。きゃきゃきゃ。
「では私が説明しましょう」
「え?! カフェさん知ってるなら俺に教えてよ!」
「私も知りたいわ」「じゃあわたしもー」「えぐー!(僕も!)」
さすがカフェさん。町のことはよく知っていますね。
「この前魔物騒ぎがあったのはご存じかと思います。その被害に遭ったニバンメの街では大規模な戦闘があり、特に教会を中心に被害が拡大していったそうです」
「へえ……ってそれヤバいじゃん」
「ニバンメはこの町より被害が大きかったのね」
「ぶしゅ~」「きゃきゃきゃ」←話に飽きて遊んでいるアーネとメンテ
教会で掃討作戦でもあったのかな? すごい戦闘があったんだって。あの狼本当はすごかったんだ……いえ、僕は魔物を見たことないから分かりません(大嘘)
「街の住民は巻き込まれる前に避難出来たのですが、戻ってくると町は壊滅状態、教会は瓦礫の山となっていたそうです。そこで国は避難した人々の受け入れ先を探しているのですよ。本来ならニバンメの教会が避難場所なのですが、なくなってしまったために他の町の教会を使うことになりました。コノマチの教会はそこそこ大きいですからね。王都に行くよりコノマチの方が近いので、ここに来る人が多いみたいです」
「へえ、だからみんなが受け入れやすいように教会って名乗ってるんだ」
「そうねえ、そのままここで働いたり住んでくれたら住人が増えるかもしれないわ」
「ちゅんちゅちゅん!」「きゃきゃきゃきゃきゃ!」
カフェさんのこの町って発音がおかしかったような? 気のせいかな。いい話だなあと思ったけどアーネが邪魔して来ます。こそばいから止め……きゃきゃきゃ。
※まだメンテはこの町の名前が”コノマチ”という事を知りません。
「被害の大きかった教会は、国から補助金が出るそうです。お金が欲しい町のみなさんは教会と名乗っています。ほぼすべての店が教会になるのも時間の問題ですね」
「結局金じゃん……」
「お金ね……」
「えへへへへー」「きゃきゃきゃー」
……全然感動的な話ではありませんでした。この世界でもお金は大事なのです。
「じゃあ気にせずに教会に行きましょうか。アーネ遊んでないで行くわよ」
「うん……。ひどい話だったね」「はーーーーーい!」「えっぐぅーきゃきゃ!」
というわけで僕はアーネに遊ばれながら教会に行くのでした。後日談ですが、いろいろな町で教会の名乗りが多すぎて国は混乱したそうです。
◆
そして、目的の教会に着きました。
「うぐぅ……」
はい、完全にゲームの世界ですね。目の前には、学校の体育館みたいにデカい建物があるんです。その建物の屋根は尖がったような構造で、中には鐘みたいなものがありますね。あれを鳴らしたら町中に響きそうですね。そして、意外なことに屋根のてっぺんに十字架はないです。十字架ではなく、○みたいな感じの丸い何かですね。何のシンボルかは不明です。
もしかするとニバンメの街では、あの鐘が合図になって戦闘とか避難が開始されたのかもね。それにここは庭が広いから戦いやすそうですし。どうせ支部だからどこも同じような作りになっていると思いますよ。チェーン店みたいに。まあ見たことないのでこれは僕の勘ですがね。
「メンテちゃんどう? 驚いたでしょ?」
「……んぐぅ(うん)」
ゲームだなあと思ったぐらいで教会には驚いてません。僕が茫然としているのは、教会の周りに子どもがいっぱい遊んでいたことです。避難してきた方かもしれませんが、大人よりも子供のほうが圧倒的に多いですね。
……ただの保育園じゃないここ?
確か前世でも教会の運営している保育園があった気がしますよ。教会の横にはみんなが住んでいる居住スペース? があるのですが、明らかに教会より大きいですね。教会より高さは低いのですが横に長い建物なのです。
じゃあ教会はただの体育館ってことかな……? いやいや、まさかねえ。
「あ、アーネちゃんだ」
「アニーキ―も来てるよ」
「「「「「「「「「「わーーーーーー!」」」」」」」」」」
子供たちがこちらに走って向かってきます。
「えへへ、みんな遊ぼうー」
「しょうがないな」←照れてるアニーキ―
僕の兄弟は教会に来たことあるようです。みんなの人気者みたいです。
「すげえ! これ浮いてるよ!」
「誰この赤ちゃん?」
「かわいいー!」
「「「「「「「「「「ざわざわ~」」」」」」」」」」
子供たちが僕に気付いたのか囲まれました。ベビーカーに驚いたり、この赤ちゃん誰やと騒がれます。アーネと同じような年齢からアニーキ―みたいな大きめの子もいますね。みんな走っているし、どうやら僕はこの中では一番年下かな? まあ僕ぐらいの年齢の子供って外を走り回ること出来ないよね。
ここはおしゃぶりを使って赤ちゃん感満載でいきましょう。首を少し傾けてお口をちゅぱちゅぱさせます。そして、可愛い声で一言。
「うぐぅ~?」
「「「「「「「「「「かわいい!」」」」」」」」」」
「弟のメンテだよ」
「わたしのおとーとなの!」
「フフッ、この子はメンテちゃんよ。みんな仲良くお願いね」
「「「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」」」
僕の赤ちゃんアピールも大成功です。子供はチョロいですよ。
ん~、僕にはこの教会がただの保育園にしか見えません。ここは何をする場所なのか調べる必要があるね。
よし、情報を集めましょう!
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