もっと甘やかして! ~人間だけど猫に変身できるのは秘密です~

いずみず

文字の大きさ
上 下
61 / 259

61話 「誕生日に向けての目標」

しおりを挟む
 メイクばあばとイブシじいじが王都に帰る日となりました。

 僕は馬車に乗るまでずっとくっ付いて甘えてましたね。二人ともいかないでアピールで別れる前のサービスってやつですよ。祖父母は寂しいから帰らないと言い出すと、レンタカーさんが必死に止めてましたね。頑張れレンタカーさん!

 帰りは最初ほど盛大なことをせず、ただただ静かに帰っていきました。やっぱり虹とか花火を使うようなお迎えはおかしいもんね。僕の家族や使用人達はちょっと変なのかもしれませんな。

 それと馬車の中の会話が僕には聞こえていましたよ。また3か月後に会えるから我慢するわとメイクばあばの声が。また近いうちに会えるってことでしょうねえ。


 二人ともまたね!


 別れは寂しかったですが、僕は1歳になる前にやっておきたいことが二つ出来ました。


 一つ目は、歩くことです。

 だって僕って幼馴染より小さな赤ちゃんじゃないですか。ハイハイで結構動けるようになりましたが、まだ立つことすら出来ないのです。せめて伝え歩きまではいきたいですね。これを祖父母に見せたら、もっと甘えさせてくれるでしょう。


 二つ目は、ずばりスキルについて知りたい!

 僕に何の才能があるのか気になるよね。あとはどんなスキルがあるのか調べたいところです。僕にこんなスキルがあるんだと夢が広がるもんね!


 赤ちゃんとして歩くのが目標、ついでにスキルを調べましょう!


 言葉に関しては勉強しなくても大丈夫です。大人からしたら気持ち悪いぐらい理解してますので。そういえば赤ちゃんって何歳ぐらいから言葉を理解するのかな? 少しずつ分かったよとアピールもせねばなりませんね。赤ちゃんは赤ちゃんでやることいっぱいで大変です。


「メンテちゃん、帰る前におばあちゃんから貰ったお菓子食べるわよ~」
「えっぐ!(やったー!)」


 あとでゆっくり考えましょう。メイクばあばが選んだお菓子なら美味しいこと間違いないです。


 ◆


 今、食堂でお菓子を食べています。

 アーネもアニーキ―も大人と同じお菓子でズルいですねえ。ふわふわして甘そうなパン? ですかね。まあ僕赤ちゃんですから食べられませんよね。でもアピールはしましょう。


「うぁー!」指プイ
「それはまだメンテちゃんには早いわよ」
「あぅ……」


 ダメでしたね。まあ分かりきったことなので我慢しましょう。

 僕には薄くて柔らかいせんべい? が出てきましたよ。これは唾液があれば赤ちゃんでも簡単に食べられます。最近よく食べますよ。それとは別に、たまごボーロみたいなお菓子も出て来ました。これがメイクばあばとのお菓子でしょうか? ちょっと口どけが違いますね。でも赤ちゃんにぴったりです。

 一応下の歯は2本あります。上の歯がなくても食べられましたが、やはり上下にないと噛みにくいですね。下の歯だけでも柔らかければ砕けますよ。いつ生え揃うのでしょうね。


「あーあー?(ママー?)」
「どうしたのメンテちゃん?」
「んぐぅー。うっぐ~(スキル教えて。出来るだけ詳しく)」
「またママのおっぱいが欲しいのかな~?」
「えっぐ!(そうそう!)」


 言葉が通じないので、スキルを調べるのは簡単じゃないですね。ちゅぱ~。


 ◆


 気づいたら子供部屋のベットで寝ていました。ナンス家は全員揃っていますが、僕が起きたことに気付いていませんね。むしろ起きないようにアーネと離れた位置で遊んでいます。アニーキ―は一人で読書してますね。


 ちょうどいいので少し考え事をします。


 目標の一つ目、歩くことはまあ簡単ですね。この部屋には、そこらじゅうに掴まれそうな物があります。それにナジミは母親を利用して立ち上がっていましたね。つまりメイドさんと遊んでいればいいということです! ふふふ、僕には分かりますよ。


 で、問題なのが二つ目。スキルを知ることですよ。さっき母に聞いたら別なことを提案されました。その魅力には僕のスキルを知りたいという目標などゴミ同然で敵いませんでしたが。

 んー、いっそのことしゃべれるようになればいいのかな? 伝わらないものはどうしようもないもんね。でもしゃべったら赤ちゃんが扱い終わっちゃうような……。

 いや、よく考えればこの世界って。でも猫って人間と同じようにスキルあるの? というかハイハイじゃ会えないので却下かな。人じゃなく猫に教えて貰おうにも会えないからさ。いい案だと思ったのですがね。


 う~ん、ダメだねえ……。アイディアが全然浮かびませんね。これは困りました。


 よし、運動でもして気分を変えましょう。


「ふわぁ~、うぐぅ」


 僕は大きなあくびをして体を伸ばします。これが気持ちいいのです。メイクばあばは、赤ちゃんは伸びをして少しずつ成長するんだよ、可愛いなあメンテちゃんはちゅっちゅちゅちゅちゅ! とキスしながら言ってましたね。メイクばあば以外にも、こそっと隠れて僕にキスをする人は結構多いのですよ。で、僕は意識せず毎回この伸びをやってましたよ。鏡見たことないから分からないけど、この行動は可愛いのかな?

「メンテおきたよー!」
「そうみたいだね。俺もメンテ遊ぼうかなあ」
「うぐぅううう!」


 今日は兄弟といっぱい遊びました。ナンス家は、祖父母が帰って寂しくなるどころか騒がしいものなのです。

しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

このやってられない世界で

みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。 悪役令嬢・キーラになったらしいけど、 そのフラグは初っ端に折れてしまった。 主人公のヒロインをそっちのけの、 よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、 王子様に捕まってしまったキーラは 楽しく生き残ることができるのか。

目覚めたら地下室!?~転生少女の夢の先~

そらのあお
ファンタジー
夢半ばに死んでしまった少女が異世界に転生して、様々な困難を乗り越えて行く物語。 *小説を読もう!にも掲載中

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。  無言で睨む夫だが、心の中は──。 【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】 4万文字ぐらいの中編になります。 ※小説なろう、エブリスタに記載してます

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。 これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。 それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

処理中です...