50 / 259
50話 「祖父母が来た その1」
しおりを挟む
「メンテちゃん。おめかしするわよ~」
「んぐぅ?」
僕はいつも同じような服を着ています。赤ちゃんの快適な服ってやつですね。それの色違いを着まわしているという状況です。ですが、今日はおめかしをするそうです。生まれて初めてじゃないでしょうか?
もしかして今日は僕の誕生日なのか?!
「えっぐ~」バタバタ
「ちょっと動かないでメンテちゃん」
さて、何があるのでしょう?
◆
ナンス家一同とたくさんの使用人が家の前に並んでいます。僕はベビーカーに座ってぼけーっと観察中です。おめかしした服は動きづらいけどカッコいいのかな? 赤ちゃんにスーツ着せるのはどうなんでしょうね。
「今日はばあばとじいじが遊びに来るのよ。失礼のないようにね」
「ばあばとじいじが来るんだ。やったー!」
「俺は魔法を見てもらいたいな」
「わたしもなんか欲しいー!」
「はっはっは、二人ともおねだりするなら考えておけよ。パパは何か素材が欲しいな。もちろん高いやつをな」
「みんな、おねだりするときはさり気なくやるのよ。わかった?」
「「はーい」」「わかってるさ」
「……んぐぅ?」
おねだりするのは絶対なようです。それより父も一緒にねだるってどういうことかな。なぜか母も止めませんし。祖父母がどんな人なのか余計に気になっちゃいますよね。
ふ~ん、今日は僕の誕生日ではないのですね。ちょっとがっかりです。でも祖父母に会えるのは楽しみですね!
「馬車が来たわよ」
「はっはっは。よし、みんなで出迎えするぞー。準備はいいかー!」
「「「「「「「「「「おー!」」」」」」」」」」
「……んだぁ?」
何だか盛り上がっていますね。使用人達も何かするのかな?
馬車が止まると人が下りてきました。あの人は老人に見えません。いったい誰でしょう?
「こんにちは。みなさんお久しぶりです」
「はっはっは、レンタカーが御者をしていたのか。久しぶりだな。元気にしてたか?」
「レンタさん久しぶりね」
「お久しぶりです。私は主の執事ですから何でもしますよ。今回はどちらかといえば付添い人になりますね」
「はっはっは、タクシーもいるし親子水入らずでゆっくり休むといいぞ」
「ありがとうございます。では主を呼んできますのでお待ちください」
この人はタクシーさんの息子なのかな? 名前的に絶対そうだよね!
レンタカーさんが馬車の扉を開けました。馬車の中でコソコソしゃべっていますが、僕には丸聞こえですよ。なんか揉めてる? みたいです。
「マダム、ミスター。到着しましたよ」
「マダムだなんて恥ずかしいわ。いつも通り名前で呼んで頂戴」
「いっそのわしらのことは呼び捨てでもいいんだがな」
「えー。威厳を示したいって言うからずっと一緒に練習したじゃないですか」
「今見えを張ってもいつかはバレるわよ。可愛い孫の前で格好をつけてずっと慣れないことをしていたってバレたときの方が余計に恥ずかしい思いをするから嫌よ」
「……それもそうじゃ。マダムとミスターは禁止だレンタカー。今まで通り呼びなさい」
「なんで今ここで言うんですか。もー分かったのでそろそろ行きましょうよ。遅いと俺が父に怒られちゃいますよ」
「怒られてもいいじゃないの別に。ねえ?」「うむ、そうだな」
「このジジイとババアがっ!!」
……どうしよう。これ聞いちゃダメの残念なやつだね。
「早く行きますよ。可愛いお孫さん達が待ってますよ~」
「よいしょとー。はいはい、行きますよ。あなたも後ろについて来てね」
「分かっとるよ」
「さあ、孫を可愛がってじじばばの立場を良い物にしちゃうわよ!」
「わしも多少はカッコつけてもいいだろうか?」
「いいんじゃない? あたいも理想のお婆ちゃんらしく振舞うから協力しなさいよ」
「わかった。では行こう」
「だからここで会議しないでください。あと俺も協力するんで頑張りましょうよ。一緒にお孫さんにいいとこ見せましょうよ。ね?」
「うう、ありがとうレンタカー」「お前を連れてきて良かったよ」
「う、なんで今泣くんですか……」
……やっぱり聞かなかったことにしてもいいかな?
どうやら孫に理想のおじいちゃんとおばあちゃんと思われたいようです。今の会話を聞く限り、僕の祖父母は案外チョロそうな人かもと思いました。多分僕の両親はこのことを知ってるけど黙ってますね。むしろ利用していると思うな。
よし、僕は赤ちゃんとして全力で祖父母をもてなしましょう。僕の理想の孫っぷりを二人に見せつけてやりますよ!
そうですねえ、まずは祖父母の名前から教えてほしいかなあ。
「んぐぅ?」
僕はいつも同じような服を着ています。赤ちゃんの快適な服ってやつですね。それの色違いを着まわしているという状況です。ですが、今日はおめかしをするそうです。生まれて初めてじゃないでしょうか?
もしかして今日は僕の誕生日なのか?!
「えっぐ~」バタバタ
「ちょっと動かないでメンテちゃん」
さて、何があるのでしょう?
◆
ナンス家一同とたくさんの使用人が家の前に並んでいます。僕はベビーカーに座ってぼけーっと観察中です。おめかしした服は動きづらいけどカッコいいのかな? 赤ちゃんにスーツ着せるのはどうなんでしょうね。
「今日はばあばとじいじが遊びに来るのよ。失礼のないようにね」
「ばあばとじいじが来るんだ。やったー!」
「俺は魔法を見てもらいたいな」
「わたしもなんか欲しいー!」
「はっはっは、二人ともおねだりするなら考えておけよ。パパは何か素材が欲しいな。もちろん高いやつをな」
「みんな、おねだりするときはさり気なくやるのよ。わかった?」
「「はーい」」「わかってるさ」
「……んぐぅ?」
おねだりするのは絶対なようです。それより父も一緒にねだるってどういうことかな。なぜか母も止めませんし。祖父母がどんな人なのか余計に気になっちゃいますよね。
ふ~ん、今日は僕の誕生日ではないのですね。ちょっとがっかりです。でも祖父母に会えるのは楽しみですね!
「馬車が来たわよ」
「はっはっは。よし、みんなで出迎えするぞー。準備はいいかー!」
「「「「「「「「「「おー!」」」」」」」」」」
「……んだぁ?」
何だか盛り上がっていますね。使用人達も何かするのかな?
馬車が止まると人が下りてきました。あの人は老人に見えません。いったい誰でしょう?
「こんにちは。みなさんお久しぶりです」
「はっはっは、レンタカーが御者をしていたのか。久しぶりだな。元気にしてたか?」
「レンタさん久しぶりね」
「お久しぶりです。私は主の執事ですから何でもしますよ。今回はどちらかといえば付添い人になりますね」
「はっはっは、タクシーもいるし親子水入らずでゆっくり休むといいぞ」
「ありがとうございます。では主を呼んできますのでお待ちください」
この人はタクシーさんの息子なのかな? 名前的に絶対そうだよね!
レンタカーさんが馬車の扉を開けました。馬車の中でコソコソしゃべっていますが、僕には丸聞こえですよ。なんか揉めてる? みたいです。
「マダム、ミスター。到着しましたよ」
「マダムだなんて恥ずかしいわ。いつも通り名前で呼んで頂戴」
「いっそのわしらのことは呼び捨てでもいいんだがな」
「えー。威厳を示したいって言うからずっと一緒に練習したじゃないですか」
「今見えを張ってもいつかはバレるわよ。可愛い孫の前で格好をつけてずっと慣れないことをしていたってバレたときの方が余計に恥ずかしい思いをするから嫌よ」
「……それもそうじゃ。マダムとミスターは禁止だレンタカー。今まで通り呼びなさい」
「なんで今ここで言うんですか。もー分かったのでそろそろ行きましょうよ。遅いと俺が父に怒られちゃいますよ」
「怒られてもいいじゃないの別に。ねえ?」「うむ、そうだな」
「このジジイとババアがっ!!」
……どうしよう。これ聞いちゃダメの残念なやつだね。
「早く行きますよ。可愛いお孫さん達が待ってますよ~」
「よいしょとー。はいはい、行きますよ。あなたも後ろについて来てね」
「分かっとるよ」
「さあ、孫を可愛がってじじばばの立場を良い物にしちゃうわよ!」
「わしも多少はカッコつけてもいいだろうか?」
「いいんじゃない? あたいも理想のお婆ちゃんらしく振舞うから協力しなさいよ」
「わかった。では行こう」
「だからここで会議しないでください。あと俺も協力するんで頑張りましょうよ。一緒にお孫さんにいいとこ見せましょうよ。ね?」
「うう、ありがとうレンタカー」「お前を連れてきて良かったよ」
「う、なんで今泣くんですか……」
……やっぱり聞かなかったことにしてもいいかな?
どうやら孫に理想のおじいちゃんとおばあちゃんと思われたいようです。今の会話を聞く限り、僕の祖父母は案外チョロそうな人かもと思いました。多分僕の両親はこのことを知ってるけど黙ってますね。むしろ利用していると思うな。
よし、僕は赤ちゃんとして全力で祖父母をもてなしましょう。僕の理想の孫っぷりを二人に見せつけてやりますよ!
そうですねえ、まずは祖父母の名前から教えてほしいかなあ。
0
お気に入りに追加
235
あなたにおすすめの小説

このやってられない世界で
みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。
悪役令嬢・キーラになったらしいけど、
そのフラグは初っ端に折れてしまった。
主人公のヒロインをそっちのけの、
よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、
王子様に捕まってしまったキーラは
楽しく生き残ることができるのか。


メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。
無言で睨む夫だが、心の中は──。
【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】
4万文字ぐらいの中編になります。
※小説なろう、エブリスタに記載してます
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。
これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。
それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる