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23話 「雨の日の出来事 その1」
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「よしメンテ、今日はこれに乗って町にいくぞー」
「えぐううう!(やったー)」
「タクシー、こっちに来てくれー」
「だぁ~ぐぅううう!!(へい、タクシー!!)」
僕は興奮のあまり近くにあった魔力ボールとガラガラをポイっと投げ捨てます。いえーい!
「今日は雨よ。どこにいくのかしら?」
母が父に尋ねました。
「ママ、ついにベビーカーが完成したのだ!」
「やっと完成したのね」
「そうそう、一般向けのベビーカーだ! 乗り心地と雨水防止機能もチェックしたいのだよ。それに今日メンテを連れて店に行くと言ってしまったからね」
どうやら僕の知らぬ間に外出が決まっていたようです。
「どうしようかしら、アーネもパパと一緒にお出かけする?」
「服濡れるのいやー」
「珍しいわね。アニーキ―はどうなの?」
「俺も今日は魔法の勉強をしたいで行きません。ちょうど雨なので水魔法の練習します」
「そうなの。それならママも家に残りましょうかしら。パパ、メンテを任せてもいいかしら?」
「はっはっは、今日はパパに任せなさい。タクシーも一緒だから問題ないさ!」
そして、昼食後に出かけました。赤ちゃんの食事は外では大変なのです。だから家で済ませちゃう方が楽なのです。
本当はおっぱいが恋しかったというのもありますが、そこは内緒でお願いします。
◆
「さあて、魔力を込めるとこうだ!」
「だあああぶぅ!」
「簡易版ですが成功ですな」
雨が当たらなくなる魔法が発動しました。
「これでメンテに雨がかからないぞ!」
「んぐううう!」
父が僕を押して雨の中に突入します。雨水は僕に当たる前に避けていきます。この魔法の効果はベビーカーの半径1メートルでしょうか? 球体ではなく立方体のような形ですね。
「旦那様は少し濡れてしまいますな。やはりこの距離が限界になりますね」
「赤ちゃんを守ることを優先としているから仕方がないさ」
「うぐぅ?」
どうやら一般向けのベビーカーはしょぼいようです。乗り心地も前よりはあまりよくありませんが問題ないと思いますよ。
「だあーぐぅー!」
「おやおや、メンテ様は待ちきれないようですな」
「よーし、メンテいくぞー」
◆
10分もかからずにお店に着きました。雨に濡れることはなく快適でした。
今日はお客ではないため関係者入口から入ります。そのせいかニンさんに会えなくて残念です。
中に入ると開発研究室ってところに着きましたよ。
「みんなお疲れ―」
と父がいうと研究室にいた人が集まってきます。
「ダンディさん、雨水はどうでしたか?」
「そっちの子は噂のメンテくん?」
「タオル持ってきます」
「これ見てください。だいぶよくなりました」
もうバラバラですね。研究員の方々からは自由さを感じます。
「はっはっは、この子は私の息子のメンテだ。みんなよろしくな」
父もぼくの腕を掴んでブンブン振りますね。挨拶のときはよくやられるんですよ。
「だああぶうううう!」
僕はすごいニコニコの笑顔で返事をします。もしかするとここで働くかもしれませんからね!
「かわいいね」
「元気ねー」
「何歳ですか?」
「癒されるわあ」
「メンテ様は魔法や魔道具が大好きなのですよ。新しいおもちゃも開発しませんとな」
好評だったようでなによりです。機嫌の良い赤ちゃんにしか見えないもんね!
そこからは問題点とかいろいろ話し合っていました。
僕は女性の研究員に抱っことかスリスリして遊んでいますが、聞き耳を立てて聞いていましたよ。
オリジナルと比べると廉価製品になるのは仕方ないという話をしていますね。魔法が弱いため重さに上限がある、収納魔法が使えない、これを押す人は雨で多少濡れる、防犯システムがないなどと劣っているそうですよ。勝っているのはカラーバリエーションが豊富なのと安さぐらいだとか。
ちなみち現在この世界で普及しているベビーカーは浮いていません。日本のものとさほど変わらないようです。タイヤごろごろって引くあれです。
いやいやいや、オリジナルがおかしくね?! どう考えてもぶっ壊れ性能だよ。
そういえば初めて町に行ったときにジロジロ見られてましたね。そりゃあ目立って当然でした。
その後、なんやかんやで発売日が決定しました。浮遊+雨でも安心なベビーカーが異世界で広まるようですね。
父がすごすぎると判明したのであとで甘えましょう。
そろそろ帰るのかなと思っていたら父は僕にいいました。
「よしメンテ、タクシー。本番のあれを実験するぞー」
「えぐぅ?」
「準備は出来ております。旦那様、メンテ様、行きましょう」
おやおや、これは何かを企んでますね。タクシーさんは、オリジナルのベビーカーを持っていました。
「はっはっは、メンテの大好きな魔法の実験だぞ~?」
「だあああぶうううう!(いえーい!)」
「今日は絶好の天気でしょう」
父にベビーカーを押してもらいながら店を出ました。
二人ともニヤニヤと悪い顔をしてますねえ。
しばらく歩くと町の門が見えてきました。門を潜り抜けるとそのまま外に出ていきます。
「んぐぅ?!」
「メンテが外に出るのは初めてだな、はっはっは」
するとすごいスピードで駆け抜けました。早すぎてびっくりです。
「やはりオリジナルは違いますな。離れていても雨は当たらず安定しております」
「はっはっは、私も身体強化がいい感じだぞ」
「ぐぅうう?!」
え? なにそれ。
「ひと気のない広い場所はどこかあるかな」
「旦那様、あちらはいかがでしょうか」
「もうちょと奥に行こうか。タクシー、周りの確認を頼む」
「かしこまりました、旦那様」
……ヤバい実験でもするのかな?
それにしても初めて見る外の景色ですが、綺麗ですね!
「えぐううう!(やったー)」
「タクシー、こっちに来てくれー」
「だぁ~ぐぅううう!!(へい、タクシー!!)」
僕は興奮のあまり近くにあった魔力ボールとガラガラをポイっと投げ捨てます。いえーい!
「今日は雨よ。どこにいくのかしら?」
母が父に尋ねました。
「ママ、ついにベビーカーが完成したのだ!」
「やっと完成したのね」
「そうそう、一般向けのベビーカーだ! 乗り心地と雨水防止機能もチェックしたいのだよ。それに今日メンテを連れて店に行くと言ってしまったからね」
どうやら僕の知らぬ間に外出が決まっていたようです。
「どうしようかしら、アーネもパパと一緒にお出かけする?」
「服濡れるのいやー」
「珍しいわね。アニーキ―はどうなの?」
「俺も今日は魔法の勉強をしたいで行きません。ちょうど雨なので水魔法の練習します」
「そうなの。それならママも家に残りましょうかしら。パパ、メンテを任せてもいいかしら?」
「はっはっは、今日はパパに任せなさい。タクシーも一緒だから問題ないさ!」
そして、昼食後に出かけました。赤ちゃんの食事は外では大変なのです。だから家で済ませちゃう方が楽なのです。
本当はおっぱいが恋しかったというのもありますが、そこは内緒でお願いします。
◆
「さあて、魔力を込めるとこうだ!」
「だあああぶぅ!」
「簡易版ですが成功ですな」
雨が当たらなくなる魔法が発動しました。
「これでメンテに雨がかからないぞ!」
「んぐううう!」
父が僕を押して雨の中に突入します。雨水は僕に当たる前に避けていきます。この魔法の効果はベビーカーの半径1メートルでしょうか? 球体ではなく立方体のような形ですね。
「旦那様は少し濡れてしまいますな。やはりこの距離が限界になりますね」
「赤ちゃんを守ることを優先としているから仕方がないさ」
「うぐぅ?」
どうやら一般向けのベビーカーはしょぼいようです。乗り心地も前よりはあまりよくありませんが問題ないと思いますよ。
「だあーぐぅー!」
「おやおや、メンテ様は待ちきれないようですな」
「よーし、メンテいくぞー」
◆
10分もかからずにお店に着きました。雨に濡れることはなく快適でした。
今日はお客ではないため関係者入口から入ります。そのせいかニンさんに会えなくて残念です。
中に入ると開発研究室ってところに着きましたよ。
「みんなお疲れ―」
と父がいうと研究室にいた人が集まってきます。
「ダンディさん、雨水はどうでしたか?」
「そっちの子は噂のメンテくん?」
「タオル持ってきます」
「これ見てください。だいぶよくなりました」
もうバラバラですね。研究員の方々からは自由さを感じます。
「はっはっは、この子は私の息子のメンテだ。みんなよろしくな」
父もぼくの腕を掴んでブンブン振りますね。挨拶のときはよくやられるんですよ。
「だああぶうううう!」
僕はすごいニコニコの笑顔で返事をします。もしかするとここで働くかもしれませんからね!
「かわいいね」
「元気ねー」
「何歳ですか?」
「癒されるわあ」
「メンテ様は魔法や魔道具が大好きなのですよ。新しいおもちゃも開発しませんとな」
好評だったようでなによりです。機嫌の良い赤ちゃんにしか見えないもんね!
そこからは問題点とかいろいろ話し合っていました。
僕は女性の研究員に抱っことかスリスリして遊んでいますが、聞き耳を立てて聞いていましたよ。
オリジナルと比べると廉価製品になるのは仕方ないという話をしていますね。魔法が弱いため重さに上限がある、収納魔法が使えない、これを押す人は雨で多少濡れる、防犯システムがないなどと劣っているそうですよ。勝っているのはカラーバリエーションが豊富なのと安さぐらいだとか。
ちなみち現在この世界で普及しているベビーカーは浮いていません。日本のものとさほど変わらないようです。タイヤごろごろって引くあれです。
いやいやいや、オリジナルがおかしくね?! どう考えてもぶっ壊れ性能だよ。
そういえば初めて町に行ったときにジロジロ見られてましたね。そりゃあ目立って当然でした。
その後、なんやかんやで発売日が決定しました。浮遊+雨でも安心なベビーカーが異世界で広まるようですね。
父がすごすぎると判明したのであとで甘えましょう。
そろそろ帰るのかなと思っていたら父は僕にいいました。
「よしメンテ、タクシー。本番のあれを実験するぞー」
「えぐぅ?」
「準備は出来ております。旦那様、メンテ様、行きましょう」
おやおや、これは何かを企んでますね。タクシーさんは、オリジナルのベビーカーを持っていました。
「はっはっは、メンテの大好きな魔法の実験だぞ~?」
「だあああぶうううう!(いえーい!)」
「今日は絶好の天気でしょう」
父にベビーカーを押してもらいながら店を出ました。
二人ともニヤニヤと悪い顔をしてますねえ。
しばらく歩くと町の門が見えてきました。門を潜り抜けるとそのまま外に出ていきます。
「んぐぅ?!」
「メンテが外に出るのは初めてだな、はっはっは」
するとすごいスピードで駆け抜けました。早すぎてびっくりです。
「やはりオリジナルは違いますな。離れていても雨は当たらず安定しております」
「はっはっは、私も身体強化がいい感じだぞ」
「ぐぅうう?!」
え? なにそれ。
「ひと気のない広い場所はどこかあるかな」
「旦那様、あちらはいかがでしょうか」
「もうちょと奥に行こうか。タクシー、周りの確認を頼む」
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