19 / 259
19話 「異世界の絵本 その1」
しおりを挟む
僕の部屋には、絵本がいっぱいあります。よく姉のアーネが読みに来ます。
「これはむかしって書いてあるの。これはくまさん」
アーネは僕に文字を教えようと絵本を近づけます。でも寝ている僕からは絵本の表紙しか見えないのですよ。最近は4歳になって姉らしく振舞っていますね。お誕生日会があったらしいのですが、僕はずっと寝ていたそうです。参加出来なくて残念した。
「えぐううう(痛いよ)」
「ねえメンテ、ちゃんと見てよ」
「アーネちゃん、メンテくんの顔に本を押しつけてはダメです」
カフェさんが僕からアーネと本をどかしてくれました。僕はついつい持っていた魔力ボールを投げ捨てます。だって痛かったんだもん。
「ふうぅぅん、えっぐぅ……」
「大丈夫よ~。ほら、よしよし抱っこしようか」
「メンテ痛かった? ごめんね」
僕が嘘泣きを始めるとカフェさんが抱っこしてくれます。アーネはピュアハートなので、しっかりと謝ることの出来るいい子なのです。
今日は、カフェさんと新人メイドが5人と人がいっぱいですね。僕はナンス家のメイドさんが多すぎて名前を把握できていません。その理由は、使用人の家族がバイトのように働きに来ているからです。お金が必要になった、子どもが成長したので働かせたい、仕事の体験をさせたいなどなど理由は様々あります。そういうときは、ナンス家がメイドとして雇ってくれるそうです。才能があればお店で働くこともあるようですよ。男性の場合は、屋敷の外の管理やら警備をするそうです。
長々と語ってしまいましたが、今日はメイドさんいっぱいです!
5人いますが全員新人です。そのため僕やアーネと遊んだことがなく、接し方に困っているようですよ。
「アーネちゃんは弟のメンテくんに、絵本を朗読しようと頑張っておられます。しかし、少し難しそうなので誰かお手伝いできませんか?」
アーネは最近文字を勉強しています。きっと姉は本が読めるんだぞと威厳を示したいのですね。兄も同じようなことしてきましたよ。似たもの兄弟ですね。
「私に任せて!」
一人のメイドさんが声を上げました。どう考えても年齢が兄貴ぐらいな気がします。あきらかに子供ですよね。
そのメイドさんはアーネに近づくとよろしくねと挨拶をしました。そして、アーネの耳元で何かをつぶやきました。
「私はモドコ・キスイダっていうの。モドコでいいよ」
「モドコ? さん、よろしくお願いします」
「うん、モドコよ。実はね、あなたのお兄ちゃんにあなたの面倒をみてと頼まれたの」
「え?! ほんとーなの?」
「そういうわけでよろしくね。アーネちゃんこっちで絵本読もーよ」
「うん!」
僕にはなぜか声が普通に聞こえましたよ。小さい声だったようですが、僕には聞き取れちゃうのです。それより兄貴に異性のお友達がいることの方がびっくりです。あと他のメイドさんより年齢が近いせいかアーネが恥ずかしがってました。年の近いお姉さん的なね。
「残った方々はメンテくんのお世話をしますよ」
「「「「かしこまりました」」」」
◆
それからは、最近見た新人さんへの指導と同じでしたね。
みなさん子供や赤ちゃんと遊んだことがないらしいので、まず一度やってみろと体験させます。難しいと理解させると、次にお手本を見せていくという定番の流れです。
「今日はメンテくんのお世話に慣れているメイドを紹介します。しっかり見習ってくださいね。ニーホさん、入ってきなさい」
扉が開くとニーホさんがこちらに来ます。みなさんお忘れかもしれませんが、ニーホ・ヤモリンさんですよ。どうやら二週間ぐらい先輩のニーホさんがお手本を見せるようです。なんだかいつもと違う雰囲気です。私できるメイドですよえへん! とカッコつけてますな。
僕とニーホさんのしっぽを使った遊びを始めました。
「しっぽ握れるかな? ほらほら~」
「だあぶう~」
僕が握る前にしっぽがスルっと抜けていきます。目の前に動くしっぽがあると、僕の体が勝手に動いちゃうのです。ついつい笑顔になってしまいますね。
「これはニーホさんの必殺技、しっぽ掴みゲームです。これが始まるとメンテくんは、笑いがとまらなくなるのです」
カフェさんの解説付きです。なんという茶番なんでしょうね! でも僕も手伝ってたね!!
あとはカフェさんとニーホさんがこうしたらいいよと説明していきます。あとは実践あるのみだそうです。毎回同じようなことを言っている雰囲気がしますね。きっとこれが黄金パータンなのでしょう。
カフェさん指導のもと新人が新人を育てる環境があるようです。
「ではみなさん、メンテくんと遊びましょう」
カフェさんの言葉で僕の目が光ります。
さあ、みなさんお待ちかねのおっぱいタイムです! さあ僕を抱っこして甘えさせて!!!!
「メンテー、絵本読むからこっちきてー」
Oh……。
「これはむかしって書いてあるの。これはくまさん」
アーネは僕に文字を教えようと絵本を近づけます。でも寝ている僕からは絵本の表紙しか見えないのですよ。最近は4歳になって姉らしく振舞っていますね。お誕生日会があったらしいのですが、僕はずっと寝ていたそうです。参加出来なくて残念した。
「えぐううう(痛いよ)」
「ねえメンテ、ちゃんと見てよ」
「アーネちゃん、メンテくんの顔に本を押しつけてはダメです」
カフェさんが僕からアーネと本をどかしてくれました。僕はついつい持っていた魔力ボールを投げ捨てます。だって痛かったんだもん。
「ふうぅぅん、えっぐぅ……」
「大丈夫よ~。ほら、よしよし抱っこしようか」
「メンテ痛かった? ごめんね」
僕が嘘泣きを始めるとカフェさんが抱っこしてくれます。アーネはピュアハートなので、しっかりと謝ることの出来るいい子なのです。
今日は、カフェさんと新人メイドが5人と人がいっぱいですね。僕はナンス家のメイドさんが多すぎて名前を把握できていません。その理由は、使用人の家族がバイトのように働きに来ているからです。お金が必要になった、子どもが成長したので働かせたい、仕事の体験をさせたいなどなど理由は様々あります。そういうときは、ナンス家がメイドとして雇ってくれるそうです。才能があればお店で働くこともあるようですよ。男性の場合は、屋敷の外の管理やら警備をするそうです。
長々と語ってしまいましたが、今日はメイドさんいっぱいです!
5人いますが全員新人です。そのため僕やアーネと遊んだことがなく、接し方に困っているようですよ。
「アーネちゃんは弟のメンテくんに、絵本を朗読しようと頑張っておられます。しかし、少し難しそうなので誰かお手伝いできませんか?」
アーネは最近文字を勉強しています。きっと姉は本が読めるんだぞと威厳を示したいのですね。兄も同じようなことしてきましたよ。似たもの兄弟ですね。
「私に任せて!」
一人のメイドさんが声を上げました。どう考えても年齢が兄貴ぐらいな気がします。あきらかに子供ですよね。
そのメイドさんはアーネに近づくとよろしくねと挨拶をしました。そして、アーネの耳元で何かをつぶやきました。
「私はモドコ・キスイダっていうの。モドコでいいよ」
「モドコ? さん、よろしくお願いします」
「うん、モドコよ。実はね、あなたのお兄ちゃんにあなたの面倒をみてと頼まれたの」
「え?! ほんとーなの?」
「そういうわけでよろしくね。アーネちゃんこっちで絵本読もーよ」
「うん!」
僕にはなぜか声が普通に聞こえましたよ。小さい声だったようですが、僕には聞き取れちゃうのです。それより兄貴に異性のお友達がいることの方がびっくりです。あと他のメイドさんより年齢が近いせいかアーネが恥ずかしがってました。年の近いお姉さん的なね。
「残った方々はメンテくんのお世話をしますよ」
「「「「かしこまりました」」」」
◆
それからは、最近見た新人さんへの指導と同じでしたね。
みなさん子供や赤ちゃんと遊んだことがないらしいので、まず一度やってみろと体験させます。難しいと理解させると、次にお手本を見せていくという定番の流れです。
「今日はメンテくんのお世話に慣れているメイドを紹介します。しっかり見習ってくださいね。ニーホさん、入ってきなさい」
扉が開くとニーホさんがこちらに来ます。みなさんお忘れかもしれませんが、ニーホ・ヤモリンさんですよ。どうやら二週間ぐらい先輩のニーホさんがお手本を見せるようです。なんだかいつもと違う雰囲気です。私できるメイドですよえへん! とカッコつけてますな。
僕とニーホさんのしっぽを使った遊びを始めました。
「しっぽ握れるかな? ほらほら~」
「だあぶう~」
僕が握る前にしっぽがスルっと抜けていきます。目の前に動くしっぽがあると、僕の体が勝手に動いちゃうのです。ついつい笑顔になってしまいますね。
「これはニーホさんの必殺技、しっぽ掴みゲームです。これが始まるとメンテくんは、笑いがとまらなくなるのです」
カフェさんの解説付きです。なんという茶番なんでしょうね! でも僕も手伝ってたね!!
あとはカフェさんとニーホさんがこうしたらいいよと説明していきます。あとは実践あるのみだそうです。毎回同じようなことを言っている雰囲気がしますね。きっとこれが黄金パータンなのでしょう。
カフェさん指導のもと新人が新人を育てる環境があるようです。
「ではみなさん、メンテくんと遊びましょう」
カフェさんの言葉で僕の目が光ります。
さあ、みなさんお待ちかねのおっぱいタイムです! さあ僕を抱っこして甘えさせて!!!!
「メンテー、絵本読むからこっちきてー」
Oh……。
0
お気に入りに追加
235
あなたにおすすめの小説

このやってられない世界で
みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。
悪役令嬢・キーラになったらしいけど、
そのフラグは初っ端に折れてしまった。
主人公のヒロインをそっちのけの、
よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、
王子様に捕まってしまったキーラは
楽しく生き残ることができるのか。

白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。
無言で睨む夫だが、心の中は──。
【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】
4万文字ぐらいの中編になります。
※小説なろう、エブリスタに記載してます

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。
これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。
それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる