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16話 「新人メイドの教育」
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町に行ってから一週間が経過した。あの町ではたくさんの情報が入ってきて楽しかった。
そして現在のメンテはこうである。
「うだぁあああ(暇だあああ)」
「どうしよう、メンテくんの機嫌が悪いわ」
「ぐうううううう(町に行きたいいいい)」
「今奥様は出かけているから私たちで頑張らないとね」
メイドにかなり迷惑をかけていた。
魔力ボールもおしゃぶりもポイポイ投げ捨て、近くにいたメイドが拾い上げていた。まさか暇だからという理由で暴れていると思うはずもない。
「よーしよしよし。私がママの変わりよ」
「んだぁ?(本当?)」
「抱っこがいいのね、ほらほら~」
「えげげげへへ(おっぱいだあ)」
「ちょっと歩きましょうか」
「ふごぉおおおお(いえーい)」
メンテは普通の赤ちゃんではないのだ!!
まあ本能で生きているという意味では、メンテも赤ちゃんも大差ない。そのため大人たちには、メンテはただ甘えん坊な赤ちゃんとしか思われていないのである。つまり誰も気づかないのでやりたい放題な赤ちゃんなのである。
今ここにいるのはメンテとメイドが3人の計3人。場所はメンテのお部屋である。
よーし、ここからは僕が名前を覚えたから紹介していくね!!
一人目はカフェさん。で、今僕を抱っこしている。僕が生まれたころは遠慮がちだったけど、両親がいない日に面倒を頼まれるようになったのだ。最初はぎこちなかったけど今ではあまあま慣れた感じである。僕の両親がいるときはメンテ様というけど、いないときはメンテくんと呼ぶよ。まあそれは他の使用人達も同じだけどね。やっぱりタクシーさんとキッサさんと似た匂いがするので落ち着くなあ。
二人目のメイドはミミギ・ウーサ。白いうさぎの耳と丸いしっぽのある兎のメイドである。すでに結婚して子供がいると言っていました。僕がおもちゃを落とすとすぐ反応して拾ってくれますね。とても足が速いです。ふわふわな心地がするので大好きなメイドの一人です。
三人目のメイドはニーホ・ヤモリン。リザードマンらしいが人間に見えます。魔法を使うと鱗が浮かび上がるとかなんとか。新人メイドなのでカフェさんに指導中だそうです。
「今日はニーホさんにメンテくんのお世話をしてもらいます。これもメイドの勉強です、分かりましたか?」
「わかりました。先輩!」
「では」
カフェさんが僕をベットに降ろします。ニーホさんにバトンタッチしました。
「……」
「えっぐぅ?」
「……ニーホさん?」
どうしたのでしょう? 僕と見つめあったまま動きません。
「先輩……、何をしたらいいかわかりません」
「子供のお世話をしたことは?」
「ありません。赤ちゃんも初めてです」
そうでしたか。最初は誰でもそんなもんですよね。よし、僕が動こう!
「えぐぅー、うぐう。だぁ~ぶう」
「メンテくんが呼んでいますね。ミミギさん、ニーホさんにお手本を」
「わかりました」
ミミギさんが僕を抱っこしてくれました。モフモフで気持ちいですね。
「ぐううう(モフモフ)」
「よしよし。こんなかんじで甘えてきますよ~」
「ふえ~」
ニーホさんが関心しています。カフェさんが次はニーホさんと言いました。ミミギさんからニーホさんに僕がバトンタッチされます。
「あ、思ったより軽いです~」
あ、思ったより胸がないです。全くないわけではないのですが崖に近いです。
「だぁあぶうー」
「あ、あれれ?メンテくんが暴れますよ先輩」
「ミミギさん、例のあれを」
「カフェちゃん、あれですね。ニーホちゃん、いったんメンテくんを床に置いてください」
「は、はい」
僕は床に優しく置かれました。この部屋の床はクッション素材でも使っているのか柔らかいですぞ。
「ニーホさん、よく見ていなさい」
「はい、先輩」
ミミギさんは自分の耳を使って僕のほっぺをツンツンします。僕は腕をウサミミまで伸ばし、5本の小さな指で掴みとろうとします。強く握る前にウサミミは僕の手の中から脱出し、また僕の顔をツンツンします。僕の指が届く範囲をツンツンするので僕はまた手が伸びます。それをずっと繰り返しました。
なんだか楽しい気分になっていきますね。
「こ、これは?!」
「これはミミギさんの必殺技、ウサミミ掴みゲームです。メンテくんだけでなく、幼かったアーネちゃんもこれで泣き止んだとんでもない技です」
「えぐう?!(アーネも?!)」
「すごい……」
僕はミミギさんの耳に手が伸びてしまいます。何も考えていないのに勝手に伸びちゃいます。気づけばこれしか考えられなくなっていました。恐ろしい技です。
ミミギさんは耳を動かすのをやめました。そのまま僕にお尻を向けてきます。
「先輩、ミミギさんはいったい何を?」
「ニーホさん、これもよーく見ていなさい。あれが出るわよ」
ミミギさんは僕を丸いしっぽの上に乗せました。モフモフしてもう動きたくありません。なんだか眠気がしてきました。
「先輩、メンテくんの目がとろ~んですよ?!」
「よく気づいたわね。あれこそミミギさんの究極奥義、しっぽモフモフ!! あの毛先まで綺麗でモフモフなしっぽの前には誰も逆らうことができないの。気づいたら夢の中よ」
「ひええええ。ミミギさん半端ないですね」
「ぐぅ~、すぴ~」
僕は寝ちゃいました。あれは最強です。ミミギさんのお子さんが羨ましいですね。
「ニーホさん、私には耳やしっぽがありません。でもあなたには綺麗なしっぽがあります。それがあなたの武器になりますよ」
「ええ?! 私にはミミギさんみたいな真似できませんよ……」
「ニーホちゃん、そこまで深く考えなくてもいいのよ。例えば、しっぽで私の耳みたいな遊びでもできるでしょ? メンテくんは何でも興味深々で喜んじゃうからね~」
「本当に私でもできるのでしょうか……、心配です」
「それぐらい大丈夫よ。私も子供が生まれるまでこんなあやし方をしようとは思わなかったわ。ニーホちゃん若いんだからやってみるものよ」
「そうですよねえ。私、頑張ってみます!」
こうして新人メイドは成長していくのであった。ついでにメンテも寝て成長するのであった!
「どこかに素敵な旦那様いないかなあ……」
「カフェちゃん?」
「え、先輩?」
「いえ、なんでもありません。奥様が帰る前にお仕事を終わらせますよ。はい、早く動いて」
「いい人見がつかるといいわねえ、お仕事しましょう」
「えー先輩、そこを詳しく! 全然ごまかしてませんし(笑)」
「……クビにしますよ?」
「いえ。何でもないです。張り切って仕事しっちゃいますよー!」
そして現在のメンテはこうである。
「うだぁあああ(暇だあああ)」
「どうしよう、メンテくんの機嫌が悪いわ」
「ぐうううううう(町に行きたいいいい)」
「今奥様は出かけているから私たちで頑張らないとね」
メイドにかなり迷惑をかけていた。
魔力ボールもおしゃぶりもポイポイ投げ捨て、近くにいたメイドが拾い上げていた。まさか暇だからという理由で暴れていると思うはずもない。
「よーしよしよし。私がママの変わりよ」
「んだぁ?(本当?)」
「抱っこがいいのね、ほらほら~」
「えげげげへへ(おっぱいだあ)」
「ちょっと歩きましょうか」
「ふごぉおおおお(いえーい)」
メンテは普通の赤ちゃんではないのだ!!
まあ本能で生きているという意味では、メンテも赤ちゃんも大差ない。そのため大人たちには、メンテはただ甘えん坊な赤ちゃんとしか思われていないのである。つまり誰も気づかないのでやりたい放題な赤ちゃんなのである。
今ここにいるのはメンテとメイドが3人の計3人。場所はメンテのお部屋である。
よーし、ここからは僕が名前を覚えたから紹介していくね!!
一人目はカフェさん。で、今僕を抱っこしている。僕が生まれたころは遠慮がちだったけど、両親がいない日に面倒を頼まれるようになったのだ。最初はぎこちなかったけど今ではあまあま慣れた感じである。僕の両親がいるときはメンテ様というけど、いないときはメンテくんと呼ぶよ。まあそれは他の使用人達も同じだけどね。やっぱりタクシーさんとキッサさんと似た匂いがするので落ち着くなあ。
二人目のメイドはミミギ・ウーサ。白いうさぎの耳と丸いしっぽのある兎のメイドである。すでに結婚して子供がいると言っていました。僕がおもちゃを落とすとすぐ反応して拾ってくれますね。とても足が速いです。ふわふわな心地がするので大好きなメイドの一人です。
三人目のメイドはニーホ・ヤモリン。リザードマンらしいが人間に見えます。魔法を使うと鱗が浮かび上がるとかなんとか。新人メイドなのでカフェさんに指導中だそうです。
「今日はニーホさんにメンテくんのお世話をしてもらいます。これもメイドの勉強です、分かりましたか?」
「わかりました。先輩!」
「では」
カフェさんが僕をベットに降ろします。ニーホさんにバトンタッチしました。
「……」
「えっぐぅ?」
「……ニーホさん?」
どうしたのでしょう? 僕と見つめあったまま動きません。
「先輩……、何をしたらいいかわかりません」
「子供のお世話をしたことは?」
「ありません。赤ちゃんも初めてです」
そうでしたか。最初は誰でもそんなもんですよね。よし、僕が動こう!
「えぐぅー、うぐう。だぁ~ぶう」
「メンテくんが呼んでいますね。ミミギさん、ニーホさんにお手本を」
「わかりました」
ミミギさんが僕を抱っこしてくれました。モフモフで気持ちいですね。
「ぐううう(モフモフ)」
「よしよし。こんなかんじで甘えてきますよ~」
「ふえ~」
ニーホさんが関心しています。カフェさんが次はニーホさんと言いました。ミミギさんからニーホさんに僕がバトンタッチされます。
「あ、思ったより軽いです~」
あ、思ったより胸がないです。全くないわけではないのですが崖に近いです。
「だぁあぶうー」
「あ、あれれ?メンテくんが暴れますよ先輩」
「ミミギさん、例のあれを」
「カフェちゃん、あれですね。ニーホちゃん、いったんメンテくんを床に置いてください」
「は、はい」
僕は床に優しく置かれました。この部屋の床はクッション素材でも使っているのか柔らかいですぞ。
「ニーホさん、よく見ていなさい」
「はい、先輩」
ミミギさんは自分の耳を使って僕のほっぺをツンツンします。僕は腕をウサミミまで伸ばし、5本の小さな指で掴みとろうとします。強く握る前にウサミミは僕の手の中から脱出し、また僕の顔をツンツンします。僕の指が届く範囲をツンツンするので僕はまた手が伸びます。それをずっと繰り返しました。
なんだか楽しい気分になっていきますね。
「こ、これは?!」
「これはミミギさんの必殺技、ウサミミ掴みゲームです。メンテくんだけでなく、幼かったアーネちゃんもこれで泣き止んだとんでもない技です」
「えぐう?!(アーネも?!)」
「すごい……」
僕はミミギさんの耳に手が伸びてしまいます。何も考えていないのに勝手に伸びちゃいます。気づけばこれしか考えられなくなっていました。恐ろしい技です。
ミミギさんは耳を動かすのをやめました。そのまま僕にお尻を向けてきます。
「先輩、ミミギさんはいったい何を?」
「ニーホさん、これもよーく見ていなさい。あれが出るわよ」
ミミギさんは僕を丸いしっぽの上に乗せました。モフモフしてもう動きたくありません。なんだか眠気がしてきました。
「先輩、メンテくんの目がとろ~んですよ?!」
「よく気づいたわね。あれこそミミギさんの究極奥義、しっぽモフモフ!! あの毛先まで綺麗でモフモフなしっぽの前には誰も逆らうことができないの。気づいたら夢の中よ」
「ひええええ。ミミギさん半端ないですね」
「ぐぅ~、すぴ~」
僕は寝ちゃいました。あれは最強です。ミミギさんのお子さんが羨ましいですね。
「ニーホさん、私には耳やしっぽがありません。でもあなたには綺麗なしっぽがあります。それがあなたの武器になりますよ」
「ええ?! 私にはミミギさんみたいな真似できませんよ……」
「ニーホちゃん、そこまで深く考えなくてもいいのよ。例えば、しっぽで私の耳みたいな遊びでもできるでしょ? メンテくんは何でも興味深々で喜んじゃうからね~」
「本当に私でもできるのでしょうか……、心配です」
「それぐらい大丈夫よ。私も子供が生まれるまでこんなあやし方をしようとは思わなかったわ。ニーホちゃん若いんだからやってみるものよ」
「そうですよねえ。私、頑張ってみます!」
こうして新人メイドは成長していくのであった。ついでにメンテも寝て成長するのであった!
「どこかに素敵な旦那様いないかなあ……」
「カフェちゃん?」
「え、先輩?」
「いえ、なんでもありません。奥様が帰る前にお仕事を終わらせますよ。はい、早く動いて」
「いい人見がつかるといいわねえ、お仕事しましょう」
「えー先輩、そこを詳しく! 全然ごまかしてませんし(笑)」
「……クビにしますよ?」
「いえ。何でもないです。張り切って仕事しっちゃいますよー!」
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