もっと甘やかして! ~人間だけど猫に変身できるのは秘密です~

いずみず

文字の大きさ
上 下
15 / 259

15話 「町にお出かけ その6」

しおりを挟む
 僕が魔道具に感動しているとアニーキ―が戻ってきました。そういえば一人だけ別行動していたのをすっかり忘れていました。


「アニーキ―は何か気になるものがあったの?」
「聞きたいことがあればパパが教えてあげよう、はっはっは」
「俺はギルドと共同研究をしている内容にが興味あります」


 ギルド? もっと詳しく。


「ポーション改良計画のことか。魔道具で保存状態を長くすることはできた。それ以外にも新たな効果を付与できないかという内容だな。今のところは難航しているから詳しく話すことはできないな」
「最近新しいポーションができるという噂は本当だったんですね。この店に売っているのかと探しましたが見当たりませんでした」
「それはギルドで販売する予定だ。ポーションは魔道具というより薬だからな」


 どうやらこの世界には、ギルドやポーションが存在するみたいです。これらは異世界の定番だね!

 ギルドは何をしているのか聞けませんでしたが、成長したら行ってみよう。そう思いました。


「それとこれをメンテに」
「だぶぅ?(僕を呼んだ?)」


 アニーキ―は僕に向かって何かを渡しました。


「あなたは優しい子ね。ママ嬉しいわ」
「はっはっは、アニーキ―は立派な兄に成長してきたな」
「そろそろ必要になりますな」


 それはおしゃぶりでした。アニーキ―は自分の目的だけではなく、僕のために魔道具を探してくれました。もうアニキすぎます。これからは兄貴あにきと呼びましょう!


「えぐぅう~(兄貴~)」
「メンテ様も喜んでいますなあ」


 おしゃぶりを持ってバンバン叩いて遊んでいるとニンとアーネがこっちに来ました。


「これ買ってー」
「アーネちゃんパズル気に入っちゃいました」


 アーネは100ピースのパズルを持っています。遊ぶ前は10ピースですら難しかったのに、今では10倍もできるようになったとか。パパにパズルを何度もぶつけて買ってアピールしています。


「時間だしそろそろ帰りましょうか」
「ではパパが買ってくるよ」


 時間ですね。最後にニンさんに甘えようと思い、僕は兄貴に貰ったおしゃぶりをぶん投げます。兄貴には悪いですが、僕はこれよりニンとふれ合うほうが大事です!! アニーキ―は複雑な顔になりましたが、それはスルーです。


「ぐぅうえーーーーん(おっぱーーーーーい)」

「メンテ様がぐずりだしましたな。ベビーカーは嫌ですか、では奥様……? おや、違うみたいですね」


 僕はタクシーをニンの近くまで誘導しました。僕はニンと目が合うとずっと見つめます、キラキラとした目でじっとです。


「ええ、わたしですか?!」
「どうやらニンのようですな」
「きっとニンちゃんと別れるのが寂しいのね。抱っこしてもいいわよ」
「わかりました。メンテくんおいで」


「えぐうううううううううう(やったーーーーー)」


 いつものように胸にダイブしてグリグリからのクンカクンカです。はあ、はあ最高です!! 今日はさらにちゅぱちゅぱしましょう。服の上からでも僕は気にしません。げへへへへへへへ、たまりませんわ~。こういうところは赤ちゃんで良かったと思います!


「ちゅぱー。ぐふぅ~♪」
「ちょ?! メンテくんすごく舐めてきますよ」
「あらあら、お腹がすいたのね。こっちにいらっしゃい」


 母が僕をニンから離そうとしますが、それを無視してちゅぱちゅぱします。僕はただお別れが寂しいのです。


「ごめんねニンちゃん、もう少し落ち着くまでそのままでいてくれると嬉しいわ」
「うう……、わかりましたってメンテくん?!」


 我を忘れてに暴走しました。赤ちゃんが甘えているだけなので全然問題ないよね!


 ◆


 ここはナンス家へ向かう帰り道、僕はベビーカーに乗っています。アーネの歩くスピードに合わせているのでゆっくりです。

 町に出るといろいろな情報が手に入りました。異世界ということは分かっていましたが面白いですね。何よりこの世界は魔法が素晴らしい。おっぱいも最高に素晴ら……間違えました、どれだけ甘えても許されるのがいいですね!


「ばぶぅ~(この町は平和だなあ)」
「このまちはな」
「ぐぅう??(誰?)」


 誰かが僕の独り言に返事をしました。赤ちゃんの言葉がわかる人を見たことがありません。


「ん? お前は言葉わかるのかにゃ?」
「だぁ~(お前じゃなくてメンテだよ)」
「お前メンテっていうのか。少し右だよ」


 少し振り向くと目の前に猫がいました。汚れていて茶色っぽです。


「ぶう?(猫?)」
「人間としゃべれるなんて思わなかったぜ」
「ばぁ~ぐ(僕もだよ。あ、もう行っちゃうけどまたね)」
「にゃはは、またな」


 へえ。この世界の猫はしゃべれるんだね!

 ふわぁ、なんだか眠くなってきたよ。 ベビーカーに揺られてメンテは眠ってしまいました。






「フフッ、さっきのメンテちゃん見てました? すごくかわいかったわ」
「はっはっは、猫に驚いていたな」
「まるで
「メンテは面白い子だ、はっはっは」

しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

このやってられない世界で

みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。 悪役令嬢・キーラになったらしいけど、 そのフラグは初っ端に折れてしまった。 主人公のヒロインをそっちのけの、 よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、 王子様に捕まってしまったキーラは 楽しく生き残ることができるのか。

目覚めたら地下室!?~転生少女の夢の先~

そらのあお
ファンタジー
夢半ばに死んでしまった少女が異世界に転生して、様々な困難を乗り越えて行く物語。 *小説を読もう!にも掲載中

白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。  無言で睨む夫だが、心の中は──。 【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】 4万文字ぐらいの中編になります。 ※小説なろう、エブリスタに記載してます

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。 これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。 それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ

Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_ 【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】 後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。 目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。 そして若返った自分の身体。 美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。 これでワクワクしない方が嘘である。 そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。

処理中です...