7 / 259
07話 「初めて魔法を見た」
しおりを挟む
ぼくメンテ、1か月半ぐらいでちゅ~。今日は僕の部屋にアーネが遊びに来たよ。
赤ちゃんのおもちゃって何があるのか。僕はガラガラしか知らないんだけどねえと心の中で思うが、ここは異世界なのだ。ちょっと期待していたのだが……。
「メンテちゃん~」
「あぐぅ」
「ほらほらー」
「うぐぅ」
ガラガラだった。丸い球体に棒が刺さっているタイプではなく、ただのボールのようなやつだ。
正直がっかり感があるが僕は赤ん坊。だが勝手に動いてしまう。僕の母はあやすのが上手なのだ。
「わたしもやりたーい」
母からガラガラを奪っていくアーネ。僕がガラガラを持とうと腕を動かすたびにアーネも動く。少しずらす、ずらす、ずらす。うん、完全に遊ばれています。
僕はまだ首がすわっていないので寝たきりの状態。手の届かない位置にガラガラを置かれると動けません。
部屋の扉が開いて父がやってきた。
「アーネとメンテは仲がいいな! はっはっは」
「わたしメンテの面倒みてるのー」
「よーしよし、いい子だ」
父がアーネの頭をなでる。アーネは嬉しそうだ。
「アーネ、ちょっとそのガラガラを貸してくれないか」
「え~まだ遊びたい」
「ちょっとだけだでいいから」
「……パパ、はーい」
「アーネありがとう」
父がガラガラを持つと何かを唱え始めた。
「火の力よ、ここに集まれ」
するとガラガラが赤色に光りだした。
「あぐぅ!?」
えっ!? いったい何が起きたの???
「この魔力ボールは魔力を込めると色が変わるんだよ。力を入れすぎると壊れてしまうから少しだけ魔力を使うのがポイントだぞ。ほらアーネもやってごらん」
「わかった、えっとねこう」
ガラガラは水色に光りだした。
「できた、見て見てメンテ~」
アーネ近すぎて見えないよ。ガラガラは光ってるけど温度の変化はない。というか魔力ボールって名前だったんだあのガラガラ。
「アーネはもう水の魔法がうまく使えるんだな」
「ママに教えてもらったの~」
魔法だって!? 生まれて初めてみたよ。ここは魔法が使えるファンタジーな世界だったみたいだ。
「最近のアーネはお姉ちゃんね。メンテが生まれたてからすごく成長したわね。ママ嬉しくて泣いちゃいそうよ」
「えへ」
「はっはっは、パパも嬉しいよ」
僕の姉はすごく頑張っているらしい。姉としての自覚が芽生えたのかなと思う。弟がこんなこと考えているのは黙っておこう。
「あぐぅ」バシッ
「あっ」
僕はアーネからボールを奪うことに成功した。ボールをぶんぶんぶん回す。しばらくしてボールの色が元に戻った。
「はっはっは、メンテが喜んでるわ」
「メンテちゃんはおもちゃに興味津々なのね。面白いわ~」
初めて見た魔法に興奮してめちゃくちゃ遊んでた。それはもう見た目も中身もただの赤ん坊でした。
赤ちゃんのおもちゃって何があるのか。僕はガラガラしか知らないんだけどねえと心の中で思うが、ここは異世界なのだ。ちょっと期待していたのだが……。
「メンテちゃん~」
「あぐぅ」
「ほらほらー」
「うぐぅ」
ガラガラだった。丸い球体に棒が刺さっているタイプではなく、ただのボールのようなやつだ。
正直がっかり感があるが僕は赤ん坊。だが勝手に動いてしまう。僕の母はあやすのが上手なのだ。
「わたしもやりたーい」
母からガラガラを奪っていくアーネ。僕がガラガラを持とうと腕を動かすたびにアーネも動く。少しずらす、ずらす、ずらす。うん、完全に遊ばれています。
僕はまだ首がすわっていないので寝たきりの状態。手の届かない位置にガラガラを置かれると動けません。
部屋の扉が開いて父がやってきた。
「アーネとメンテは仲がいいな! はっはっは」
「わたしメンテの面倒みてるのー」
「よーしよし、いい子だ」
父がアーネの頭をなでる。アーネは嬉しそうだ。
「アーネ、ちょっとそのガラガラを貸してくれないか」
「え~まだ遊びたい」
「ちょっとだけだでいいから」
「……パパ、はーい」
「アーネありがとう」
父がガラガラを持つと何かを唱え始めた。
「火の力よ、ここに集まれ」
するとガラガラが赤色に光りだした。
「あぐぅ!?」
えっ!? いったい何が起きたの???
「この魔力ボールは魔力を込めると色が変わるんだよ。力を入れすぎると壊れてしまうから少しだけ魔力を使うのがポイントだぞ。ほらアーネもやってごらん」
「わかった、えっとねこう」
ガラガラは水色に光りだした。
「できた、見て見てメンテ~」
アーネ近すぎて見えないよ。ガラガラは光ってるけど温度の変化はない。というか魔力ボールって名前だったんだあのガラガラ。
「アーネはもう水の魔法がうまく使えるんだな」
「ママに教えてもらったの~」
魔法だって!? 生まれて初めてみたよ。ここは魔法が使えるファンタジーな世界だったみたいだ。
「最近のアーネはお姉ちゃんね。メンテが生まれたてからすごく成長したわね。ママ嬉しくて泣いちゃいそうよ」
「えへ」
「はっはっは、パパも嬉しいよ」
僕の姉はすごく頑張っているらしい。姉としての自覚が芽生えたのかなと思う。弟がこんなこと考えているのは黙っておこう。
「あぐぅ」バシッ
「あっ」
僕はアーネからボールを奪うことに成功した。ボールをぶんぶんぶん回す。しばらくしてボールの色が元に戻った。
「はっはっは、メンテが喜んでるわ」
「メンテちゃんはおもちゃに興味津々なのね。面白いわ~」
初めて見た魔法に興奮してめちゃくちゃ遊んでた。それはもう見た目も中身もただの赤ん坊でした。
0
お気に入りに追加
235
あなたにおすすめの小説


このやってられない世界で
みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。
悪役令嬢・キーラになったらしいけど、
そのフラグは初っ端に折れてしまった。
主人公のヒロインをそっちのけの、
よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、
王子様に捕まってしまったキーラは
楽しく生き残ることができるのか。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。
無言で睨む夫だが、心の中は──。
【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】
4万文字ぐらいの中編になります。
※小説なろう、エブリスタに記載してます

記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される
マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。
そこで木の影で眠る幼女を見つけた。
自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。
実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。
・初のファンタジー物です
・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います
・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯
どうか温かく見守ってください♪
☆感謝☆
HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯
そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。
本当にありがとうございます!
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる