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06話 「私あらため僕になったよ」
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僕の名前はメンテ。生まれてから1か月ぐらいだよ。
ナンス家のメンテだからメンテ・ナンスだってさ、笑っちゃうよね。みんなこの名前が素晴らしいとか言うけど頭の中をメンテナンスした方がいいと思ったよ。
何か違和感があるって人いるみたいだね。それは僕のことかな? ちょっと前まで一人称が私だったけど、今は僕に変えたのには理由があるんだよ。
◆
数日前のメンテの部屋。
目が覚めると私の母と兄と姉がいた。兄と姉が部屋に遊びに来ていたようだ。
私の部屋はもともと兄と姉の遊び部屋だったみたいで、そこらじゅうにおもちゃらしき物がある。そこに新生児が使うベットが置かれたようだ。このベットは、柵があって落ちないようなっているよ。安全対策はバッチリだ。
「あ、メンテ起きたよ」
「ママー」
アニーキ―の言葉を聞いてアーネが母を呼んだ。
「はいはい、メンテちゃんおはよう~」
母は私のおしめを変え終わったら抱っこをして床に座った。アーネは私のほっぺをつんつん突いてくる。
「ママのおっぱいでちゅよ~」
そのまま私は授乳タイムである。ちゅぱちゅぱしているとアニーキ―とアーネが母親に近づいてきた。
「ママー」
「なあに?」
「お兄ちゃんがね、お兄ちゃんなのにおれっていうの」
「それがどうしたっていうの?」
「わたちもおれなの?」
母が困惑しているとアニーキ―から補足説明が入る。
「アーネはね、僕が俺って言ってることを真似したいんだって。アーネが自分のことを俺って呼ぶのは変だから止めてって言ってるのに嫌々言うんだよ」
「アーネもおれになりたいの!」
「ほらね」
母は何を言っているのかやっと理解した。
「あら、アーネは男の子じゃないから俺って言葉は使わないのよ」
「えーなんでー?」
「女の子は私っていうのよ。わ・た・し」
「アーネはわたし?」
「そうよ。私でもいいのよ。今までどおりにアーネでもいいけどね」
「わたしはわたしでいいの?」
「そうそう、上手に言えたわね。ママ感動しちゃうわ」
母は娘の成長を喜んだ。弟のメンテが生まれてからアーネはぐんぐん成長している。
「そういえばアニーキ―はいつから俺になったのかしら? ママ詳しく知りたいわ」
「うう……」
「どうしたの? 恥ずかしがらなくてもいいのに」
「……、友達がね……。僕じゃなくて俺って言うようになったの」
「ふふ、そういうことね」
兄も順調に育っているようだ。
「二人ともちょっと大きくなったわねえ」
えへへとアーネは照れ、アニーキ―は顔が赤くなった。
「メンテちゃんがしゃべれるようになったら何ていうのかしらね。小さい子は俺なんて言わないから僕よね。僕メンテだよ~っていうのかなあ。私って言葉は教えてないから言うわけないし男の子だもんね」
「ゲフッ! お、おえっーッ!!!」
「メンテちゃん!! むせちゃったの」
「ふんぎゃああああああ」
「「メンテ大丈夫ー?」」
私あらため僕メンテ。僕の母はなんでも見透かしているようです。
ナンス家のメンテだからメンテ・ナンスだってさ、笑っちゃうよね。みんなこの名前が素晴らしいとか言うけど頭の中をメンテナンスした方がいいと思ったよ。
何か違和感があるって人いるみたいだね。それは僕のことかな? ちょっと前まで一人称が私だったけど、今は僕に変えたのには理由があるんだよ。
◆
数日前のメンテの部屋。
目が覚めると私の母と兄と姉がいた。兄と姉が部屋に遊びに来ていたようだ。
私の部屋はもともと兄と姉の遊び部屋だったみたいで、そこらじゅうにおもちゃらしき物がある。そこに新生児が使うベットが置かれたようだ。このベットは、柵があって落ちないようなっているよ。安全対策はバッチリだ。
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「ママー」
アニーキ―の言葉を聞いてアーネが母を呼んだ。
「はいはい、メンテちゃんおはよう~」
母は私のおしめを変え終わったら抱っこをして床に座った。アーネは私のほっぺをつんつん突いてくる。
「ママのおっぱいでちゅよ~」
そのまま私は授乳タイムである。ちゅぱちゅぱしているとアニーキ―とアーネが母親に近づいてきた。
「ママー」
「なあに?」
「お兄ちゃんがね、お兄ちゃんなのにおれっていうの」
「それがどうしたっていうの?」
「わたちもおれなの?」
母が困惑しているとアニーキ―から補足説明が入る。
「アーネはね、僕が俺って言ってることを真似したいんだって。アーネが自分のことを俺って呼ぶのは変だから止めてって言ってるのに嫌々言うんだよ」
「アーネもおれになりたいの!」
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「あら、アーネは男の子じゃないから俺って言葉は使わないのよ」
「えーなんでー?」
「女の子は私っていうのよ。わ・た・し」
「アーネはわたし?」
「そうよ。私でもいいのよ。今までどおりにアーネでもいいけどね」
「わたしはわたしでいいの?」
「そうそう、上手に言えたわね。ママ感動しちゃうわ」
母は娘の成長を喜んだ。弟のメンテが生まれてからアーネはぐんぐん成長している。
「そういえばアニーキ―はいつから俺になったのかしら? ママ詳しく知りたいわ」
「うう……」
「どうしたの? 恥ずかしがらなくてもいいのに」
「……、友達がね……。僕じゃなくて俺って言うようになったの」
「ふふ、そういうことね」
兄も順調に育っているようだ。
「二人ともちょっと大きくなったわねえ」
えへへとアーネは照れ、アニーキ―は顔が赤くなった。
「メンテちゃんがしゃべれるようになったら何ていうのかしらね。小さい子は俺なんて言わないから僕よね。僕メンテだよ~っていうのかなあ。私って言葉は教えてないから言うわけないし男の子だもんね」
「ゲフッ! お、おえっーッ!!!」
「メンテちゃん!! むせちゃったの」
「ふんぎゃああああああ」
「「メンテ大丈夫ー?」」
私あらため僕メンテ。僕の母はなんでも見透かしているようです。
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