『幸せ』を掴むまで

峠 凪

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特別編

年末年始

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「ママ!何作っているの?」
「うーんとね、年末年始の特別なお菓子かな」
「なんか真白のと真っ赤なのと2つあるけど、どっちが特別なお菓子?」
「どっちも特別なお菓子」
 そう娘が答えるとくすくす楽しそうにママが笑った。

「私もお手伝いする!」
「じゃあ、手洗って来てね」
「うん!」

 ぱたぱた音を立てて洗面所に走って行く娘を見送ると、ひょっこりパパがキッチンに顔を出した。

「どう?今年の出来は?」
「今年もいい感じ。この後はあの子にも手伝って貰うの」
「僕も手伝っていいかい?」
「だーめ。これは女性が作ってこそでしょ?」
「ふふふ、そうだね。じゃあ、あっちで大人しく待っているよ」
「えぇ、そうしてちょうだい」
 夫婦でくすくす笑っていると、
「あー!パパ!私の仕事また取るの!」
 娘が膨れてそう言った。
「またって。またあの子に何かしたの、パパ?」
「えっと、ね」
「あのねママ!私がお皿を運んでいたらねパパが取って机に持って行っちゃったの!」
「また?パパまたあの子の仕事取っちゃったの?それぐらいさせてあげてよ」
「だって、落として怪我でもしたらって考えたらね」
「もう。いろいろ自分でやりたいんだから、そっと見守ってあげて」
「分かったよ」
 まったくっていう風に苦笑しながらパパを見るママとママに叱られてしょんぼりするパパの間で、ふん!って笑顔で威張っている娘の姿があった。

「じゃあパパはあっちに行っててね。私はこの子と一緒に作るから」
「パパはあっちー!」
 
 ママと娘に追い出されてさらにしょんぼりしながらキッチンから立ち去った。

「よし!パパも行ったし作ろうか」
「うん!何したらいい?」
「これをちぎってちっちゃい卵ぐらいの大きさに丸めてくれるかな?できる?」
「うん!できる!」

 ママから生地が入ったボールを受け取りせっせと丸めてお皿にのせていった。ママは娘が作った生地を平たくし中央にジャムをのせて半分にしたものを作りレンジへ。

「ママ!終わった!」
「ありがとう。後は焼けるのを待つだけだからパパのところに行ってて」
「はーい!」



 ☆   ☆   ☆



 空が茜色に染まり次第に漆黒に染まった夜中に


「よっし、今年も後10分くらいかな?今年もお疲れ様!乾杯!」
「「乾杯!」」
 夫婦はワインを娘はぶどうジュースを手に乾杯しご飯を食べ始めた。いつもならもうとっくに寝ている時間なのに起きているってことに興奮している娘を微笑ましく見つめながら、そっと1口飲んだ。

「そろそろかな?お菓子持ってくるね」
「ああ、お願い」
「お菓子?」
「お手伝いしてくれたあのお菓子よ」
「わーい!」

 ワクワクしているのが丸わかりの様子の娘を可愛く思いついパパがなでなでしているとママがお菓子を持ってきた。年末年始の特別な紅白のお菓子が。


 リーンリーンリーン・・・・・・


「おっ、新しい年になったな。今年もよろしくな」
「えぇ、今年もよろしく」
「えっと、今年もよろしく?」
 夫婦の真似をしつつも疑問形になった娘を前にくすくす笑いながらお菓子をママが渡した。
「割ってごらん」
「パキッて?」
「そうだよ」
  夫婦に見守られる中娘はお菓子を割った。中から黄色いジャムが出てきた。
「おっ黄色か」
「このお菓子の中に1つだけ赤いジャムが入っているから食べながら探してね」
「うん!絶対見つける!」

 うんって夫婦揃って頷きあーだこーだ言いながら割って食べている娘を見守った。



 ☆   ☆   ☆



 あとがき

 皆様あけましておめでとうございます。今年もミーナ (チル) と共によろしくお願いします。私個人の挨拶は近況ボードに書きますのでそちらをご覧下さい。
 
 今回はミーナ達の年末年始の様子を書かせて頂きました。ミーナの幼少期の頃を書きました。最近のミーナはいろいろ巻き込まれ幸せと程遠いところにいるので幸せだったであろうこの頃を書きました。本編はこれから少しずつ幸せに近付いていくのでこれからもよろしくお願いします。




    
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