上 下
92 / 96

#91 男子たちの不安

しおりを挟む
『それではこれより、今日寝泊まりする場所へ案内します。 一度に行くと混雑するのでまずはA組から移動をお願いします』


 美味しい晩ご飯の時間も終わり、真人達は彩雲館への移動を始めていった。

 真人達は見たことがあるが、ほとんどの生徒は初見なので、その大きさと綺麗さにかなり驚いていた。


「それではまず、お部屋に着いたらお風呂の準備をお願いします。 このままA組からの順番になりますので、女子は人数の関係上20分ほどしか入れませんから少し急いでください。 男子生徒は学年全体の人数が入っても大丈夫だと思いますから、長風呂をしていただいても構いません」


 A組の班はどこも男女同じ部屋に寝泊まりをする事になっていた。

 これは過去の一年生と比べてかなり珍しく、教員達からしたら非常に喜ばしい事だった。

 というのも、A組の生徒は真人達が割と人目を憚らずにイチャイチャしているのを近くで見ることが多いので、男子も女子も見本がいるおかげか他のクラスに比べてかなり仲良くなるのが早いのである。


「ひとまず荷物置きに行こっか!」

「うん、そうだね……」


 真人達は自分達の部屋に向かって荷物を置き、お風呂の準備をしていく。


「ウチらはちょっと急がないとっすね!」

「ダーリン、お風呂行ってくる」

「真人さんはゆっくりと入ってきても大丈夫ですよ」

「うん、ありがとう……」


 一旦真人と梓達4人は別れてそれぞれお風呂に向かっていった。

 真人は脱衣所で服を脱ぎ、この世界の男湯では湯浴み着と呼ばれるシャツと半ズボンを着るのがマナーなので、シュンはそれを着ていく。


「おっ、真人早いな」

「あっ、拓哉君……」

「後で湯船一緒に浸かろうぜ」

「うん、先に体洗っておくね……」


 真人は先に浴場に入ると、仕切りとカーテンで分けられた半個室のスペースに入った。

 その中にはシャワーやシャンプー、ボディソープが完備されていて、男性同士でもなるべくデリケートな部分は見せないようにするのが普通なのでこのような作りになっていた。

 真人はそこで自分の体をササっと洗っていく。

 いつも家では恋人の女性陣が甲斐甲斐しく洗ってくれたりするが、1人で洗えばそこまで時間はかからない。

 10分くらいで髪も体も洗い終わった真人は、湯船の方に向かってゆっくりと浸かっていった。


「ふぅ……」


 今日一日、楽しかったからあまり感じなかったが、こうして湯船に浸かってみると足がかなり疲れているのが分かった。


「真人、隣入るぞ?」


 真人が足を自分で揉んでいると、拓哉が隣に入っていた。


「はぁーっ、結構ここの施設綺麗だよな。 風呂の設備も整ってるし」

「そうだね……」

「それにこの後、女子と一緒の部屋で寝るのか…… なんかちょっと緊張するわ」

「そっか、そういうの初めてなんだもんね……」

「真人は全然緊張とかはしないのか?」

「緊張はしないかな……? でも、ドキドキはするよ……」

「な、なぁ、真人? その、女子に俺から体に触ったりとかするのってダメか……?」

「えっ……? いや、拓哉君の班、すごく仲良さそうだし良いと思うけど、まだあんまりそういう触れ合いはした事ないの……?」

「この前、真人にアドバイスもらって手を繋いだり、本当に軽くボディタッチくらいはしたけど、まだそれ以上はしてないな……」

「拓哉君は、班の子達の体に興味あるって事だよね……?」

「そ、そうだな」

「うん、そういう理由なら良いと思う…… 女の子達が頑張ってくれてるから自分も…… みたいな義務感じゃ無くて、シンプルに相手に興味を持ってそういう事思えるのはとっても良い事だよ……」

「言われてみるとそうなのかもな……」

「あ、あの、その話僕たちも聞きたいな?」


 拓哉と真人が話していると、同じクラスの他の男子達も近づいてきた。


「えっと、皆んなも拓哉君と同じような悩みかな……?」

「う、うん、そうなんだ。 女子達にどう接するのが良いのかなって」

「そうだね…… まず、スキンシップから始めるなら、軽く腕とかからまずは触ってみて、その先にも興味があれば二の腕とか肩、後はお腹とか太ももとかの僕たちとは柔らかさとかの感触が違うところを触っていくのがいいかな……」

「なるほど……」

「あっ、でも一番徹底しなきゃいけないのは、ちゃんと女の子に良いか悪いか聞きながらする事だね…… こうすれば気持ちいいだろうみたいな勝手な考えを押し付けたりはしないで、ちゃんと細かく感想を聞くのが良いと思う……」

「そうなのかっ」

「あと、出来るなら自分の体も女の子に触らせてあげるといいよ…… 皆んなが女の子達に興味を持つように、女の子達もきっと僕達男の体にも興味あるだろうから……」

「体触られるの、ちょっと怖いな……」

「これは僕の体験談になっちゃうけど、好きな女の子に体触られるのって凄くドキドキするし、気持ちいい事だから、怖がらずにちょっと期待するくらいで大丈夫だよ……」

「気持ちいいんだ?」

「うん…… でも、怖がったりしながらするとあんまり気持ちよさを感じれないかもだから、まずは何よりその触れ合いを楽しむ事を意識するといいよ…… 好きな子達が自分の体に興味を持ってくれるって思えばすごい嬉しいしドキドキするから……」

「おぉ…… そう言われると確かにちょっとドキドキするな」

「僕から言えるのはこんな所かな…… 流れも大切だからまずは簡単な所から初めて、もっと進展したいと思えたらどんどん新しい事もやってみるといいよ……」

「ありがとな、真人。 すごい参考になった」

「それなら良かった…… きっと皆んななら大丈夫だから、頑張って……!」


 拓哉を始め、他の男子達も真人にお礼を言い、皆んなで揃ってお風呂から上がった。

 服を着替えて外に出る拓哉達はちょっとの不安と大きな期待を胸に自分の部屋へと戻っていった。


(ちょっと長湯しちゃったな…… 部屋に戻ろう……)


 30分くらいお風呂に入っていた真人は、火照る体で部屋へと戻っていった。


「あっ、真人さんおかえりなさい」

「うん、ただいま……」


 真人が部屋に戻ると、他の4人は既に戻ってきており、髪を乾かしている最中だった。


「ドライヤーは各自の部屋でって言われたんだよね」

「順番があるもんね…… もうちょっとゆっくりお風呂入れたらいいだろうに……」

「でも、他の班の女の子達とのお風呂も楽しかったっすよ! なんか、青春って感じっす」

「すごい色々聞かれた」

「そんなに……? 何聞かれたの……?」

「主に男性との距離の詰め方だったりスキンシップの方法についてですね」

「ふふっ、そっか……」

「あれ? まさくん何で笑ってるの?」

「いや、僕もクラスの男子に似たような事聞かれたから…… ちゃんと皆んな仲良くやれてるんだなって……」

「そうだったんすね? じゃあ、ウチらがアドバイスしたのもあんまり意味なかったかもしんないっすね」

「きっとそれなら大丈夫だね!」


 そんな事を話しつつ、真人も加わって5人は髪を乾かし合っていった。

 真人の髪を乾かす人と真人に乾かしてもらう人を時間で交代しながら仲良く髪を乾かしていった。


「真人さん、髪乾かすの上手ですよね」

「普段からやってるから自然と上手くなったのかもね……」

「女の髪乾かしてくれる男性なんて中々いないっすよ♡」

「みんな喜んでくれるから、僕も楽しいよ……」

「まさくん、こっち来て♡?」


 梓は5つ並べられた布団の真ん中に真人を手招きした。


「ふふっ、えーいっ♡」

「わっ、梓……」


 すると梓はニコニコしながら真人を優しく布団に押し倒してきた。


「他の班だけじゃなく、私達も仲深めないとだよね♡?」

「むっ、出遅れた。 ダーリンっ♡」

「ウチらもいくっすよ由花っち♡」

「そうですね♡」


 梓が抱きついてきたのをきっかけに、他の3人も真人に身を寄せてきて、あっという間に真人は4人の恋人達に揉みくちゃにされていく。


「消灯まで3時間くらいあるから、たくさん楽しめるね♡」

「ダーリン、たくさん愛して♡?」

「ウチらも沢山ご奉仕するっす♡」

「この5人でするのもちょっと久々ですね♡」


 まだまだ夜は始まったばかりだ。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

異世界で至った男は帰還したがファンタジーに巻き込まれていく

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:333pt お気に入り:12

本当に愛しているのは姉じゃなく私でしたっ!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:1,996pt お気に入り:81

無慈悲な散歩は醜悪なイボと共に

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:27

異世界のんびり料理屋経営

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:177pt お気に入り:3,727

【掲示板形式】気付いたら貞操逆転世界にいたんだがどうすればいい

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:41

【R18】スライムにマッサージされて絶頂しまくる女の話

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:667pt お気に入り:3,983

孤高のCEOと子作りすることになりました!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:994

陽だまりへの妄執 〜金の鎖で縛られた愛人契約〜

恋愛 / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:100

処理中です...