無能と呼ばれ、婚約破棄されたのでこの国を出ていこうと思います

由香

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第16話

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 初めてアイリーンさんに会った日から3年が経った。

「ねえ、クロード。いつになったらアイリーンをご両親に紹介するわけ?付き合って3年だよ?」

「紹介したいけど、知ってるだろ。私は王位継承権を持っている王子だ。しかもアイリーンさんは精霊の村の村長の娘で、いきなり王族になれとは言えないだろ。しかも両親を説得できるかどうか分からないんだ」

「そうだけど、きっとアイリーンのこと受け入れてくれるよ。私も説得するの手伝うし」

「わかったよ。アイリーンさんに聞いてみる」

「約束だよ」

「約束」

 ミシェルと約束を交わした。

 でもアイリーンさんは私と精霊の国へ来てくれるだろうか?




「突然伺ってごめんね。話したいことがあって」

「大丈夫ですよ。何でしょうか?」

「私と一緒に精霊の国へ行って両親に会ってくれないか?」

 アイリーンさんは驚いた顔をした。

「私でいいんですか?私はきっとあなたにはふさわしくない……」

 アイリーンさんは俯いた。

「あなたがいいんだ。他の誰でもないあなたが!!私が愛しているのはアイリーン、あなた一人です。きっとこの先もずっとあなた以外を愛することは無い」

 私がそう言うとアイリーンさんは涙を流した。

「私も一生あなた以外を愛することは無いです」

そう言いながら抱きついてきた。私も抱きしめ返した。

「クロードさん、私のことアイリーンって初めて呼び捨てで読んでくれましたね。嬉しいです」

「あっ、ごめん。勢いで呼び捨てにしてしまった。ちょうどいい機会だから、この際お互い呼び捨てでいこう?」

「そうですね。ク、クロード」

アイリーンは顔を真っ赤にして言った。

もうかわいすぎる!!

「アイリーン、両親に結婚を許して貰えるように頑張るから」

「私も気に入っていただけるように努力します」

「お互いに頑張ろう」

「はい」



 私は扉の前でなかなかノックできないでいた。いつもならばこんなことは無いのだがやはり緊張しているみたいだ。

 父上はなんて仰るだろうか?

賛成してくれるだろうか?父上はこういうことには厳しいからなぁ

よし!!覚悟を決めて話そう

私はノックをし部屋に入った。

「失礼します。父上、お話ししたいことがあります」

「わかった。そこに座りなさい」

「はい」

私はソファーに座った。父上も反対側に座られた。

「さて、話したいこととは何かな?最近、頻繁に出掛けていることに関係があるのかな」

さすがにばれていたか。

「はい。そのことと関係があります」

「では聞こう」
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