無能と呼ばれ、婚約破棄されたのでこの国を出ていこうと思います

由香

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第8話

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まずいことになった……

まさかこんなに早く事態が悪化するとは思ってもみなかった……



 ユリア嬢に処罰を言い渡してから3日後の朝、私は宰相が部屋に慌ただしく入ってくる音で目覚めた。私は何事かと思ったが、まずは話を聞くのが先だと宰相を落ち着かせ、説明を求めた。

「緊急事態です!!魔物の軍勢が森の奥から街へと押し寄せている模様です。原因はノエル様が施してた結界が解かれ、街を守っていた結界がなくなったからのようです」

原因など言われなくても分かっている!!

恐れていたことが、ついに起こってしまった……

いずれこのような事態になるとは思ってはいたが、まさか代わりの結界を施す前に起こってしまうとは

私はため息をついて、頭を抱えた。

 結界を施すには膨大な量の魔力が必要なのだ。ノエル嬢がいなくなったと知らせを聞いたときにもしやと思い、結界を確認してみると私の思った通り結界は解かれていたのだ。

 それから急いで魔法使いを集めて、結界を施していたが魔力量が全然足りなかった。それもそのはず、ノエル嬢の魔力量がおかしかったのだ。

あと最低でも2日あれば結界を施せるはずだったのだが……

なんにせよ。早く対策を講じなければ

「被害は?」

「まだ出ていません。しかし、時間の問題かと」

「直ちに街へ騎士団を派遣しろ。出来る限り多くな!!」

宰相は私の大きな声に驚いてたようだが、すぐに返事を返した。

「かしこまりました」

「それから国民に急いで王宮に避難するように伝えろ」

「王宮にですか?」

「ああ、王宮にいてもらったほうが守りやすい。王宮には結界を施しているから魔物は入って来れないはずだ」

「それはそうですが……反対するものがでるかと」

「それはわかっている。逆らうものは、その場で爵位剥奪と伝えろ!!何を言われようがな。これは王命だ」

「かしこまりました」

私が伝えると宰相は急いで部屋を後にした。



私は宰相が出ていったドアを眺めていた。

「はぁ。今回のこの出来事での犠牲者は避けられないだろう。さてどうしたものか」

 私が頭を抱えていると、第1王子で王太子であるカタールがやってきた。

「どうした」

「父上、この度は申し訳ありません」

 カタールは頭を下げた。

「頭を上げろ。そなたのせいではない。元はと言えば、私が悪いのだから……」

「そんなことはありません!!私は気づいていたのに……ノエルを助けようともしなかったんですから」

 悲しそうにカタールは言った。

「起こってしまったことはもうどうすることも出来ない。だからこそ自分にできることをしろ」

 私はカタールをみた。涙を堪えているようだった。

 私はその姿をみてカタールのそばにいき、抱きしめた。

「父上……」

「大丈夫だ。そんなに自分を責めるな……」

カタールがまさかこんなに自分自身を責めているとは思ってもいなかった。

今回の出来事はさまざまな形で大きな影響をもたらしている。

もしやり直すことができるなら、どれだけ幸せなのだろうか……
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