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第9話
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クロード様の応接室の前に辿り着いた。
「失礼します」
エルが扉をノックし、中に入った。私もエルのあとに続いて入った。
「あさやっと来ましたか。どうぞ、そこに座って」
クロード様は笑顔で私たちをソファーへに座るように促した。私たちはソファーに座り、クロード様の話を聞く体勢になった。
「呼んだのは他でもないノエル、君のこれからのことを相談しようと思ってね」
「これからのことですか?」
「そうだよ。私としてはいつまでもこの国にいてもらっても構わないのだが……少々問題があってね」
そう言うクロード様は、どこか寂しそうだった。
「おじい様、もしかしてあの件のことが関わっているのでしょうか?」
「そうだよ……」
あの件?一体どういうことなんだろう??
「差し支えなければ、教えて頂けますでしょうか?」
「そうだね。君にも関係がある事だから」
そう言うとクロード様は、机の引き出しから何か物を取り出していた。
「これを君は覚えてるかな?」
そう言って机の上に置かれたのは、エメラルドのブレスレットだった。
私は見ても全然思い出せなかった……
「残念ながらわかりません」
「そんなに気に病むことではないよ。君が覚えていないのも無理はないから。これを君に渡したとき、君はまだ3歳だったから。」
えっ……小さい頃にもしかして会っていたのかな?
「私が3歳の時にですか?どうして私にそのようなものを……」
「これを君に贈ったのは、私の妻なんだ。」
クロード様は悲しそうに私に言った。
私はその様子をみて、もしやと思った。
「もしかして奥様はもう……」
私が言いかけないうちにクロード様は答えた。
「君が思ってる通りだよ。亡くなったんだ……あの忌まわしい出来事によって」
「おじい様!!落ち着いて」
エルはクロード様を落ち着かせようとそばにいき、手を握っていた。
私はクロード様から発せられる殺気で動くことさえも出来なかった。
「エル、もう大丈夫だよ」
「おじい様」
クロード様の殺気がなくなった。
落ち着きを取り戻したようだ。
「ノエル、ごめんね。少し取り乱してしまって」
「いえ、大丈夫です。私の方こそ、ごめんなさい。急に奥様のことを思い出させるようなことを言ってしまって」
「君は悪くないよ。話を持ち出したのは私の方だからね」
「そうだよ、ノエル。気にしないで、大丈夫だから」
クロード様だけでなく、エルにまで気を遣わせてしまった。
「実は妻が亡くなった背景には君の一族、ノワール家が関係しているんだ。」
「私の一族がですか?どうして」
「君の一族は代々優秀な魔法使いが生まれていることは知っているね?」
「はい。私の母がそうでしたから」
「実はノワール家は私たち祖先の血を引く一族なんだ」
「えっ……でも一族の誰もそのようなことを言ってませんでした」
「知らなくても仕方がないよ。この事実は王家によって闇に葬られたからね」
「そんなっ」
「ノワール家が精霊の血を引いているというだけで、王家にとっては脅威になるからね」
「その脅威をなくす為に闇に葬られたのですか。このような重大な事実を」
「仕方がなかったんだ。でもこのことがなかったら、妻は死なずに済んだかもしれない」
この言葉は今までで1番心に重く響いた。
「失礼します」
エルが扉をノックし、中に入った。私もエルのあとに続いて入った。
「あさやっと来ましたか。どうぞ、そこに座って」
クロード様は笑顔で私たちをソファーへに座るように促した。私たちはソファーに座り、クロード様の話を聞く体勢になった。
「呼んだのは他でもないノエル、君のこれからのことを相談しようと思ってね」
「これからのことですか?」
「そうだよ。私としてはいつまでもこの国にいてもらっても構わないのだが……少々問題があってね」
そう言うクロード様は、どこか寂しそうだった。
「おじい様、もしかしてあの件のことが関わっているのでしょうか?」
「そうだよ……」
あの件?一体どういうことなんだろう??
「差し支えなければ、教えて頂けますでしょうか?」
「そうだね。君にも関係がある事だから」
そう言うとクロード様は、机の引き出しから何か物を取り出していた。
「これを君は覚えてるかな?」
そう言って机の上に置かれたのは、エメラルドのブレスレットだった。
私は見ても全然思い出せなかった……
「残念ながらわかりません」
「そんなに気に病むことではないよ。君が覚えていないのも無理はないから。これを君に渡したとき、君はまだ3歳だったから。」
えっ……小さい頃にもしかして会っていたのかな?
「私が3歳の時にですか?どうして私にそのようなものを……」
「これを君に贈ったのは、私の妻なんだ。」
クロード様は悲しそうに私に言った。
私はその様子をみて、もしやと思った。
「もしかして奥様はもう……」
私が言いかけないうちにクロード様は答えた。
「君が思ってる通りだよ。亡くなったんだ……あの忌まわしい出来事によって」
「おじい様!!落ち着いて」
エルはクロード様を落ち着かせようとそばにいき、手を握っていた。
私はクロード様から発せられる殺気で動くことさえも出来なかった。
「エル、もう大丈夫だよ」
「おじい様」
クロード様の殺気がなくなった。
落ち着きを取り戻したようだ。
「ノエル、ごめんね。少し取り乱してしまって」
「いえ、大丈夫です。私の方こそ、ごめんなさい。急に奥様のことを思い出させるようなことを言ってしまって」
「君は悪くないよ。話を持ち出したのは私の方だからね」
「そうだよ、ノエル。気にしないで、大丈夫だから」
クロード様だけでなく、エルにまで気を遣わせてしまった。
「実は妻が亡くなった背景には君の一族、ノワール家が関係しているんだ。」
「私の一族がですか?どうして」
「君の一族は代々優秀な魔法使いが生まれていることは知っているね?」
「はい。私の母がそうでしたから」
「実はノワール家は私たち祖先の血を引く一族なんだ」
「えっ……でも一族の誰もそのようなことを言ってませんでした」
「知らなくても仕方がないよ。この事実は王家によって闇に葬られたからね」
「そんなっ」
「ノワール家が精霊の血を引いているというだけで、王家にとっては脅威になるからね」
「その脅威をなくす為に闇に葬られたのですか。このような重大な事実を」
「仕方がなかったんだ。でもこのことがなかったら、妻は死なずに済んだかもしれない」
この言葉は今までで1番心に重く響いた。
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