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第1話
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「ノエル・ノワール、そなたとの婚約破棄をここで宣言する!」
私を睨みつけながら婚約破棄を宣言した男は、この国の第2王子である。そして、私の婚約者でもある。
私は突然の婚約破棄に頭が痛くなった。大勢の来賓の前で婚約破棄を告げられたことに、流石にもう我慢の限界だった。
今までどこの誰に何を言われようが私は必死に耐えてきたけど、もうこれ以上耐えられない。私はこの国を出ていくことを決心した。でもその前にこの男に確かめたいことがある。
「殿下、婚約破棄の理由をお聞きしてもよろしいでしょうか」
「そんなことも分からないのか……それはそなたが実の妹であるユリアをいじめていたからだ」
「はぁ」
私は呆れてしまった。何を言ってるのかわかっているのかこの男は。しかも、各国の来賓が居る前で……
「なんだその顔は!!言っておくがとぼけても無駄だぞ。そなたがユリアをいじめていたことは本人から聞いている」
そう私に言うと殿下はユリアを自分の傍に呼び寄せた。
「ユリア、言ってやれ」
「お姉様、もう私をいじめるのはどうかやめてください……」
ユリアはそう言うと泣き出してしまった。泣き出したユリアを見た殿下はより私を睨みつけてきた。私はそれをみて、本当に勘弁してくれと心から思った。
昔からユリアは泣いたりすることで私が悪い、自分はなんて可哀想なのだと周りに思わせるよう仕向ける。
そうすることによって自分の味方を増やしていく。両親もそうだ。いつも私よりもユリアを信じ、私の言葉は聞きもしないし、信じない。今もどこからかこの光景をみているのだろう。
「いつ私がいじめたというのですか?まさか証拠もなしに仰っているわけではないですよね」
「はっ、証拠も何もユリアがそなたにいじめられたと言っているのだから本当のことだろう」
「殿下、あなたはそれでもこの国の王子ですか……このことは陛下は知っているのでしょうか?」
「いや父上はこのことを知らない」
やはり、陛下は知らなかったか。知っていたら止めていただろう。しかし、この場には陛下はいない。
「勝手に婚約破棄を決めたのですか。この婚約は陛下が決めたはず……この意味がわかりますか?婚約破棄されればどうなるのかわかっているのですか……本当にこんなことが許されると思っているのですか」
「わかっているさ。何も問題ない。ユリアがいるんだから。それにユリアとはやく婚約したかったんでな。それにそなたのご両親は婚約破棄とユリアとの婚約に承諾なさったのでな」
「分かりました。そこまで仰るなら婚約破棄を受け入れましょう」
「えらく素直だな……もっと粘ると思っていたのだが。まぁいい、とっととこの場から消え失せろ」
私は一礼すると、ユリアをみた。私に勝ち誇った顔を向けているが、この出来事がこのあとどんな結果になるかも知らずに能天気だなと思った。せいぜい苦労してね。
私は振り返りもせず、この場から立ち去った。
「はぁー」
なんか一気に疲れたな……
そう考えていると呼び止められた。
「おい無能」
この声はお父様か……
振り返るのも嫌だったが仕方がない。
「何か私に御用でしょうか?」
「いやぁ、婚約破棄された娘を慰めてやろうかと思ってね」
心にも思ってないことをよく言えるなと考えているといきなり殴られた。
「何黙ってんだよ!!無能のくせに。俺がわざわざ話しかけてやってんだから返事ぐらいしろよ」
私は殴られた頬をおさえながら、こいつをどうしてやろうかと考えていた。考えているとまた私に殴りかかってきたので魔法を使ってその動きを止めた。
「なにっ、お前魔法が使えたのか……」
「知らなかったのはあなた達だけですよ。散々私を無能と言っていじめていましたね。魔法が使えることは王様に口止めをされていたので黙っていましたが、婚約破棄された今その必要もなくなったので」
私は最後の挨拶をした。
「今までありがとうございました。もう二度とお会いすることはないでしょうが、これからどうぞ頑張ってくださいね」
私は父だった男にそう言うと精霊を召喚した。そのときにこの国に施していた結界も解いた。
さて結界を解いたこの国はどうなるかな?
私はそう思いながら精霊と共にこの国から去った。
私を睨みつけながら婚約破棄を宣言した男は、この国の第2王子である。そして、私の婚約者でもある。
私は突然の婚約破棄に頭が痛くなった。大勢の来賓の前で婚約破棄を告げられたことに、流石にもう我慢の限界だった。
今までどこの誰に何を言われようが私は必死に耐えてきたけど、もうこれ以上耐えられない。私はこの国を出ていくことを決心した。でもその前にこの男に確かめたいことがある。
「殿下、婚約破棄の理由をお聞きしてもよろしいでしょうか」
「そんなことも分からないのか……それはそなたが実の妹であるユリアをいじめていたからだ」
「はぁ」
私は呆れてしまった。何を言ってるのかわかっているのかこの男は。しかも、各国の来賓が居る前で……
「なんだその顔は!!言っておくがとぼけても無駄だぞ。そなたがユリアをいじめていたことは本人から聞いている」
そう私に言うと殿下はユリアを自分の傍に呼び寄せた。
「ユリア、言ってやれ」
「お姉様、もう私をいじめるのはどうかやめてください……」
ユリアはそう言うと泣き出してしまった。泣き出したユリアを見た殿下はより私を睨みつけてきた。私はそれをみて、本当に勘弁してくれと心から思った。
昔からユリアは泣いたりすることで私が悪い、自分はなんて可哀想なのだと周りに思わせるよう仕向ける。
そうすることによって自分の味方を増やしていく。両親もそうだ。いつも私よりもユリアを信じ、私の言葉は聞きもしないし、信じない。今もどこからかこの光景をみているのだろう。
「いつ私がいじめたというのですか?まさか証拠もなしに仰っているわけではないですよね」
「はっ、証拠も何もユリアがそなたにいじめられたと言っているのだから本当のことだろう」
「殿下、あなたはそれでもこの国の王子ですか……このことは陛下は知っているのでしょうか?」
「いや父上はこのことを知らない」
やはり、陛下は知らなかったか。知っていたら止めていただろう。しかし、この場には陛下はいない。
「勝手に婚約破棄を決めたのですか。この婚約は陛下が決めたはず……この意味がわかりますか?婚約破棄されればどうなるのかわかっているのですか……本当にこんなことが許されると思っているのですか」
「わかっているさ。何も問題ない。ユリアがいるんだから。それにユリアとはやく婚約したかったんでな。それにそなたのご両親は婚約破棄とユリアとの婚約に承諾なさったのでな」
「分かりました。そこまで仰るなら婚約破棄を受け入れましょう」
「えらく素直だな……もっと粘ると思っていたのだが。まぁいい、とっととこの場から消え失せろ」
私は一礼すると、ユリアをみた。私に勝ち誇った顔を向けているが、この出来事がこのあとどんな結果になるかも知らずに能天気だなと思った。せいぜい苦労してね。
私は振り返りもせず、この場から立ち去った。
「はぁー」
なんか一気に疲れたな……
そう考えていると呼び止められた。
「おい無能」
この声はお父様か……
振り返るのも嫌だったが仕方がない。
「何か私に御用でしょうか?」
「いやぁ、婚約破棄された娘を慰めてやろうかと思ってね」
心にも思ってないことをよく言えるなと考えているといきなり殴られた。
「何黙ってんだよ!!無能のくせに。俺がわざわざ話しかけてやってんだから返事ぐらいしろよ」
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「なにっ、お前魔法が使えたのか……」
「知らなかったのはあなた達だけですよ。散々私を無能と言っていじめていましたね。魔法が使えることは王様に口止めをされていたので黙っていましたが、婚約破棄された今その必要もなくなったので」
私は最後の挨拶をした。
「今までありがとうございました。もう二度とお会いすることはないでしょうが、これからどうぞ頑張ってくださいね」
私は父だった男にそう言うと精霊を召喚した。そのときにこの国に施していた結界も解いた。
さて結界を解いたこの国はどうなるかな?
私はそう思いながら精霊と共にこの国から去った。
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