病弱だと思われていた王子は最強でした~情報屋がおくる日常~

玲夜

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8、悪魔

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「はぁ、しょうがないなぁ。情報屋さんはこれから仲間になるからあまりこういう方法は使いたくなかったがしょうがないね。リックお願い。」

第1王子がそう言うと宰相は後ろに控えていたが「はい」と言い前に出てきた。それに俺は警戒し身構える。宰相と第1王子を交互に警戒する。

「情報屋さん、大丈夫だよ。何もしないから。ちょっと見るだけだからね」

第1王子は子供をあやすような言い方で俺に言う。
思わず子供扱いしているのかとキレそうになるが相手の思惑にはまるのは癪だからと自分で言い聞かせおさめた。
宰相はあの時のように目を細めた。先程は横から見た為あまり見えなかったが正面から見ると睨んでいるようにしか見えなかった。これが巷の噂の原因なのだろう。
魔眼で何を見ているのかは知らないがもう防ぎようがない為そんな事を考えていた。

「王子見終わりました。結果は嘘です」
「ご苦労様。分かったかな?賢い君なら全てを言わなくても分かるよね。これから一緒に色々な事をしていくんだ。こういう関係でやっていこうじゃないか」

第1王子は手を広げ天使の笑みを浮かべるが俺には全て計算し尽くされた悪魔の笑みに見えた。
俺は驚いた。最初に宰相の素をバラした時はバカかと思ったがそれはわざとで先まで計算しての事だったのか。どういうことかというと第1王子は俺の素が違うというのは宰相の素をバラした時に分かっていたらしい。そしてその後のことも。
第1王子は表に出ていない分情報が少なすぎた。だからこそ警戒を怠らなかったが俺より第1王子の方が1枚上手だったらしい。

「完敗だ。俺にこれを言わせた奴はお前が初めてだ。これから仲良くしていこう」

俺は笑顔だった表情をいつもの無表情と言われるラフな表情に戻り言った。
プライドはない訳でもないがこれでも筋は通す方だ。それに第1王子に今の俺は敵わない。だから第1王子の元にいて手の内を探ってやる。俺は結構気長だからどんなに時間がかかろうとも大丈夫だ。

「うん。そう言ってくれて嬉しいよ。今日は急いで準備してくれてありがとう。部屋は僕の隣の部屋で情報屋さんは僕の執事として明日からお願いね。執事は最近ね僕を殺そうとしたの。だから王家反逆罪で捕まったんだ。ちょうど良かったよ。リック案内お願いね」
「あっはい。分かりました」

今まで分かったことだが宰相の素はドジらしい。さっきから後ろで控えていたが何回か躓きかけていた。何もないところで……

「あっそうそう情報屋さんの名前何?あと僕は名前呼びでいいから。もちろん3人だけの時にね。多分リックにも色々助けてもらいたいこともあるからリックも名前呼びでいいよ」
「じゃ…じゃあロイ様…と」

俺達が外に出ようとした時第1王子は思い出したように一気に言ってきた。宰相は名前呼びの許可を貰ったことが余程嬉しかったらしく初恋をしたような顔で名前を呼んだ。

「ロイ」
「あはは、リックが言ったから様ずけするかなと思ったけど呼び捨てか。一本取られたね。うん…それにしてもいい顔してる。そんなに嬉しかった?」

そりゃ嬉しいに決まってる。俺は負けず嫌いだからこんな些細なことでもさっき負かされた相手に一本取れるのは嬉しい。
自然と表情が緩んでいく。だが俺の表情の見分け方は長年いる零でもやっとなくらいだ。俺は表情を引き締めた。ロイに表情を読み取られるのは癪だ。

「俺の名前はフィールだ。フィーとでも呼んでくれ。じゃあまた明日」
「うん。依頼の細かい詳細は明日話すよ。フィー、リックおやすみなさい」
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