505 / 520
第十八章
釣りには新鮮なエサが必要です
しおりを挟む
大捕り物を前に、10人を超える騎士団員が夜のサンサトローズを静かに進む。
重厚な鎧を身に付けながらなぜ音がしないのか。
間にクッションのような布をかませているからだと教えてもらったのだが、それはそれで大変なような気がする。
魔法の世界なんだし消音魔法とかじゃダメなのかなぁ。
「そろそろ現場につきます。」
「うむ、いつ出てくるかわからない以上各自気を張り過ぎないように注意しておけ。」
「ハッ!」
後ろをついてきていた騎士団員がシルビア様の指示で散っていく。
そろそろトリシャさんの家の近くか。
逃げられないよう家をぐるりと取り囲むように団員の皆さんが持ち場につく。
蟻の隙間もないとはまさにこの事。
今回は凶悪な強盗犯が一般人の家に潜んでいる、という事になっている。
もちろんそんなことはありえないが、団員にはウェリスの正体を隠さなければならないので苦肉の策というわけなんだが・・・。
「ちょっとやり過ぎじゃないですかね。」
「そんなことはないぞ、ウェリスもそれなりの手練れだからな。」
「そうとは言え、これは怪我では済まないような気が・・・。」
「それぐらいでちょうどいいとシュウイチも賛同したではないか。」
いやまぁそうなんですけど・・・。
凶悪犯という扱いなので騎士団の皆さんがやる気満々なんですよ。
シャルちゃん印のポーションがあるとはいえ不安だなぁ。
「なに、大丈夫だ。出来るだけ穏便に捕縛するように指示は出している。」
「くれぐれもやり過ぎない様おねがいします。」
「各員配置につきました!」
「対象が出てくる前に住民が先に出てくるはずだ、素早く保護するようにな。」
「ハッ!」
静寂があたりを包む。
俺とシルビア様は離れた所で様子を見ながらその時を待ち続けた。
「む、動いたな。」
先程まで真っ暗だったトリシャさんの家に明かりが灯る。
中の様子まではうかがえないが、人影が二つ動いているのが見えた。
「待ってください!イナバ様は無理に動くなって!」
「そんなこと言っていたらあいつ等が来ちまうだろ、行くしかねぇんだよ。」
「ウェリスさん!」
先に出て行こうとしたウェリスをトリシャさんが引き留めるような恰好になっている。
あれ、さっきの話ではトリシャさんが先に出てくるはずじゃ・・・。
「いたぞ!捕まえろ!」
「観念しやがれ!」
「保護対象も一緒だ、抵抗される前に制圧しろ!」
ウェリスが一歩家から出たその瞬間に、隠れていた団員たちが飛び出していく。
突然の襲撃に一瞬でウェリスも反応するが時すでに遅し。
なんとトリシャさんが入り口を閉めて鍵をかけてしまったのだ。
締め出された格好になり、慌てて走り出そうとするもどの方向からも騎士団員が迫ってくる。
「くそ!なんでここが!まさか俺の居場所をばらしやがったな!」
「おい、何か言ってるぞ。」
「構うな、捕縛しろ!」
「離しやがれ!俺はこんな所で捕まるわけにはいかないんだよ!」
最初に行く手を遮った一人目をヒラリと躱し、次いで現れた二人目を手で制しながら路地へと走るウェリス。
だがその先の路地からも三人、四人目の団員が出てきたので慌ててターンするも背後からさらに三人迫っていた。
さすがサンサトローズ騎士団ナイスチームワークですね!
あれよあれよという間に組み敷かれ、手に紐を掛けられるウェリス。
「おい、離せ!俺が何したって言うんだよ!」
「うるさい騒ぐな!」
「強盗犯が何を偉そうに、言い訳は詰め所で聞かせてもらおうか!」
「観念しろ!」
「強盗犯!?何かの間違いだろ、おい!」
てっきり居場所が見つかり捕まったと思っていたウェリスだが、あらぬ罪で捕まったと知りさらに抵抗を強める。
無理やり羽交い絞めにする騎士団員も動きが荒くなり、このままではけが人が出そうな感じだ。
「ふむ、流石にこれ以上はまずいか。」
「シルビアお願い出来ますか?」
「うむ、シュウイチが行くよりも私が行った方が円滑に話は進むだろう。」
暴れるウェリスを見かねてシルビア様の重たい腰がやっと上がったようだ。
俺が行くとウェリスがまた変な事を考えそうなので、ここはシルビアにお任せする。
「何をしている!速やかに犯人を連行しろ!」
「申し訳ありません、すぐに!」
「ちょ、おい!なんでアンタがここにいるんだよ!」
「シルビア様に向かってなんて口の利き方だ!黙ってろ!」
「おい、助けてくれ!俺は強盗犯なんかじゃない!頼む!」
ウェリスがシルビア様にすがろうとするが興味なさそうに指示だけ出してその場を離れるシルビア様。
最後には猿轡をかまされ、叫ぶことも出来ずウェリスは連行されていった。
自分で言いだしておいてなんだけど、これでよかった・・・んだよな?
「取り合えずこれで一安心だな。」
「急ぎ騎士団に戻ってウェリス・・・というか団員の誤解を解きましょうか。」
「牢に入れてしまえば問題はない、騒ごうが何しようがいつもの事だ。」
「絶対に恨まれますよね、これ。」
想定よりもかなり手荒くなってしまった。
致し方ないとはいえ当分言われるんだろうなぁ。
「あいつが私達の手を借りないと先に言ったのだ、手荒くなったのも致し方のない事。最初から素直に話を聞いていればこんなことにはならなかった、そうだろ?」
「そう・・・ですね。」
「そこまで心配ならお前は先に行き様子を見てくるが良い、私はトシリャ殿に話をしてくる。」
そうか、一番驚いているのはトリシャさんか。
最初に話していたよりもかなり過激になってしまったからショックを受けている事だろう。
そっちはシルビア様にお願いして、俺はウェリスの誤解を解いておくとしよう。
とんとんと戸をノックする音を背中で聞きながら、俺は先を行く団員の皆さんを追いかけて騎士団へと急いだ。
「やっぱりお前が犯人かよ。」
「人を犯人呼ばわりするのはやめて貰えます?」
「うるせぇ、お前のせいでボコボコにされたんだぞ?一発殴らせろ。」
「怪我はポーションで治してやったんだ、それでおあいこだろ。」
鉄格子の向こう側に胡坐を組んだウェリスが恨めしそうな顔で俺を睨んで来る。
あの後すぐに騎士団へと向かい、ウェリスに事情を説明した。
最初こそ驚いた顔をしたが、シルビア様の登場もあって大方感づいていたんだろう。
「よりによって騎士団に捕まえられるとか、全部終わりじゃねぇか。」
「そんな事ないぞ?」
「なんでだよ。これで俺が逃げたって事がばれちまった、最悪死刑よくても炭鉱送りだ。」
ったく、負のスパイラルに落ちやがって。
俺が居ながらそんなことさせるわけないだろうが。
「今、目の前にいるのは強盗犯のウェリースってチンケな男だから俺達の知っている元盗賊のウェリスじゃない。騎士団には逃走ではなく仕事で別の場所に行かせているという内容の書類を偽造・・・もとい作製して提出しているし当分は大丈夫だろ。」
「お前、それ本気で言ってるのか?」
「カムリ騎士団長も快く書類を受け取ってくれたんだ。まったく、うちの奴隷に名前が似ているから慌てて確認しに来たが、とんだ無駄足だったな。」
「・・・で、俺に何をさせるつもりだ?」
せっかく状況を説明してあげたのに俺の演技はガン無視ですか。
後で覚えとけよ。
「まずは状況確認と行かせてもらいましょう。どういう流れでこうなったのか、話してくれますよね。」
「話さなかったらどうなるんだ?」
「チンケな強盗ウェリースとして尋問されるだけ。但し、元騎士団長直々のきついやつですが。」
「最悪だな、前に捕まった時だってそこまでされなかったぞ。」
「あの時は協力的でしたからね。今回も盗賊団壊滅にご協力いただけるのであれば、それなりの対応をしてあげましょう。」
「その話し方、一年前と全く同じだな。」
そういえばそうだな。
ウェリスを最初に捕まえたのも春先だった気がする。
店が開店する前だしあっている・・・はずだ。
「今回も同じだよ。お前と一緒に盗賊団を壊滅させて、家に帰る、それだけだ。」
「二人は無事なんだよな?」
「今は騎士団員が護衛についてる、だから安心して俺達に助けられろよ。」
「ったくなんでお前らはそんなお人好しなんだよ。」
「帰ったらちゃんと二人に土下座して詫びろよ、ウェリス。」
「俺はウェリースじゃなかったのか?」
「おっと、言い間違えた。」
俺のふざけた様子にまた大きなため息をつく。
だが次に顔を上げた時には、いつものような真剣な顔に戻っていた。
「わかった。知っていることも有ると思うが全部話そう。話すと長くなるが・・・。」
「シルビアが戻ってくるまで時間はあります、たっぷり聞かせてもらいましょうか。」
時系列はこんな感じだ。
まずウェリスがサンサトローズに一人で買い物に行く。
街に到着後予定通り買い物を終え戻ろうとした時に向こうから声を掛けられる。
話に聞いていた通り、コッペンの元仲間で昨年壊滅させた盗賊団の残党らしい。
どうして捕まっていなかったかというと遠くでしのぎをしており、一網打尽というわけにはいかなかったそうだ。
盗賊団は壊滅、崇拝していたリーダー二人は死亡。
にもかかわらずウェリスを含めた裏切り者は奴隷という身分ではあるが、食うに困ることも無く平々凡々と生活している。
そのことを偶々村に出稼ぎに来ていた残党の仲間が発見し、残党のリーダーに報告。
その後は労働者に紛れて監視を続け情報収集していたようだ。
そして今回ウェリスが一人になったのを好機とみて接触してきたらしい。
「じゃあ、裏切り者は死ねとかそういう風に言われていたわけではないんだな?」
「そうだな。連中からしてみれば俺が生きていることはむかつくが、殺すのもまた面倒という感じのようだ。それよりも有効利用して金を稼ぎたかったんだろう。」
「なるほど、盗賊団にいる時はウェリスが稼ぎ頭だったからか。」
「別に俺だけの知恵じゃないんだが・・・、いまさら言っても仕方ないだろう。」
話は大体読めてきた。
つまりはだ、奴らはただ金が欲しいだけでそれ以外は特に悪さをしないという事だな。
じゃあ話は早い。
金を稼がせてやればいい。
ある程度稼いで満足したらどこかに行くだろうから、二度と手を出すなと脅してやればちょっかいをかけてこないだろう。
え、それじゃ裏取引だって?
裏取引だけどそれにも裏があれば最終的には表に戻ってくるから。
終わり良ければ総て良しってやつですよ。
「コッペンの所に言った理由は?」
「この一年近く村にいてこっちの情報なんて何もなかったからな、それを知るために利用したんだ。」
「そして、コッペンが余計な事までしゃべってくれたおかげで二人が人質に取られてない事を知り逃げ出したと。」
「無事ならばわざわざ言う事を聞く必要はないからな。だが、逃げ出してからこのままじゃ帰れない事に気が付いた。」
「戻ればまた狙われると考えて一人で何とかしようとしたわけだな。」
「お前たちが探しに来ることは想像がついていたが、逃亡したとみなされる状況でさすがに騎士団に行く勇気はなかったよ。」
まぁ結局はこうやって騎士団のご厄介になっているわけだけどね!
一人で複数人と戦うのはさすがに無理があるんじゃないかなぁ。
一人身ならどうなってもいいだろうけど、今は守るべき人が増えたんだから。
それを考えたからこそ戻れなかったって気持ちはわかるけどね。
「あの時、私とすれ違いながらどうして話しかけなかったんですか?」
「追われている状況で戦えないお前なんか連れて行けるかよ!」
今思えばどう考えても足手まといですね、ありがとうございました。
「その後トリシャさんに出会ってかくまってもらい今に至ると・・・。これで話が繋がりましたよ。」
「まさかボコボコにされて騎士団に来ることになるとは思わなかったけどな。」
「いやいや、ボコボコにされたのはチンケな窃盗犯ウェリースだから。」
「で、どうするんだ?」
「それさっきも言いましたよね。」
「んなことどうでもいいんだよ、どうする、どうすればいい?」
鉄格子を両手で掴みガタガタと揺らす姿はどう見ても類人猿・・・いや、人は皆そうか。
そんな事よりもどうするかだ。
「この後コッペンを通じて貴方を探し回っているであろうお仲間さんと接触を図ります。表向きはウェリスの身柄引き渡し。利用しようとしているだけなら喜んで出て来てくれるでしょう。」
「雇い主のお前が引き渡すって、それは無理な話だろ。」
「いえいえ、貴方が勝手に逃げ出して別の場所で捕まれば私も責任を問われるから、あとは好きにしてくれて構わないとでもいえば言い訳が立ちますよ。」
「最低だな、お前。」
「だから表向きですって。」
「で、接触してどうする。」
「別の場所に呼び出して一網打尽にします。場所は懐かしい例の谷なんていかがでしょうか。」
例の谷と聞いてウェリスが目を丸くする。
「そう上手くいくのか?」
「シルビアにも同じことを言われましたよ。でもそれしか方法が思いつかないんですよね、代わりにいい案ありますか?」
「俺に聞くなよ。」
「では、そういう事で。騎士団の了承は取り付けていますので、後はまぁ何とかなりますよ。」
「お前が言うと本当にそうなるんだろうな。」
「いえいえ、間をつなぐのは私ですが最後は騎士団の皆さんにご登場願うだけです。」
今回も他力本願全開、でも途中は自力で何とかつないで見せましょう。
さっさと解決して、さっさと戻って、本業に精を出さないとね!
「シュウイチ、戻ったぞ。」
「あ、お帰りなさい。」
と、ナイスタイミングでシルビア様が戻ってきた。
鉄格子をつかんで向かい合う俺たちを見て苦笑いを浮かべている。
なんだろうその笑いは。
「一年ほど前に同じ光景を見た気がするのは気のせいか?」
「さっき同じことを話していました。」
「ウェリス、今回の件は事情が事情だけに特に咎めることはない。だがな、お前はもう一人じゃないんだ、何としてでも生きて帰る、その為には私たちに遠慮をするな。わかったな。」
「ありがとうございます。」
神妙な顔でウェリスが頭を下げる。
俺もこの間危なかったけど、最後の最後まであきらめなかったからこうやって生きていられる。
あきらめるな!と某太陽神も言っているしね。
「で、話は聞き出せたのか?」
「はい、今後の話まで伝えてあります。」
「せっかく捕まったんだ、最後の最後まで付き合ってもらうぞ。」
「もちろんだ、元はというと俺の不始末が原因だからな。」
「なに、お前はエサだ。エサはエサらしくしていればそれでいいから安心して使われていろ。」
シルビア様、その言い方はちょっと・・・。
でもまぁ本当のことだしまぁいいか。
ウェリスも無事に捕獲できたし、次はいよいよエサを使った一本釣りといきましょうかね。
重厚な鎧を身に付けながらなぜ音がしないのか。
間にクッションのような布をかませているからだと教えてもらったのだが、それはそれで大変なような気がする。
魔法の世界なんだし消音魔法とかじゃダメなのかなぁ。
「そろそろ現場につきます。」
「うむ、いつ出てくるかわからない以上各自気を張り過ぎないように注意しておけ。」
「ハッ!」
後ろをついてきていた騎士団員がシルビア様の指示で散っていく。
そろそろトリシャさんの家の近くか。
逃げられないよう家をぐるりと取り囲むように団員の皆さんが持ち場につく。
蟻の隙間もないとはまさにこの事。
今回は凶悪な強盗犯が一般人の家に潜んでいる、という事になっている。
もちろんそんなことはありえないが、団員にはウェリスの正体を隠さなければならないので苦肉の策というわけなんだが・・・。
「ちょっとやり過ぎじゃないですかね。」
「そんなことはないぞ、ウェリスもそれなりの手練れだからな。」
「そうとは言え、これは怪我では済まないような気が・・・。」
「それぐらいでちょうどいいとシュウイチも賛同したではないか。」
いやまぁそうなんですけど・・・。
凶悪犯という扱いなので騎士団の皆さんがやる気満々なんですよ。
シャルちゃん印のポーションがあるとはいえ不安だなぁ。
「なに、大丈夫だ。出来るだけ穏便に捕縛するように指示は出している。」
「くれぐれもやり過ぎない様おねがいします。」
「各員配置につきました!」
「対象が出てくる前に住民が先に出てくるはずだ、素早く保護するようにな。」
「ハッ!」
静寂があたりを包む。
俺とシルビア様は離れた所で様子を見ながらその時を待ち続けた。
「む、動いたな。」
先程まで真っ暗だったトリシャさんの家に明かりが灯る。
中の様子まではうかがえないが、人影が二つ動いているのが見えた。
「待ってください!イナバ様は無理に動くなって!」
「そんなこと言っていたらあいつ等が来ちまうだろ、行くしかねぇんだよ。」
「ウェリスさん!」
先に出て行こうとしたウェリスをトリシャさんが引き留めるような恰好になっている。
あれ、さっきの話ではトリシャさんが先に出てくるはずじゃ・・・。
「いたぞ!捕まえろ!」
「観念しやがれ!」
「保護対象も一緒だ、抵抗される前に制圧しろ!」
ウェリスが一歩家から出たその瞬間に、隠れていた団員たちが飛び出していく。
突然の襲撃に一瞬でウェリスも反応するが時すでに遅し。
なんとトリシャさんが入り口を閉めて鍵をかけてしまったのだ。
締め出された格好になり、慌てて走り出そうとするもどの方向からも騎士団員が迫ってくる。
「くそ!なんでここが!まさか俺の居場所をばらしやがったな!」
「おい、何か言ってるぞ。」
「構うな、捕縛しろ!」
「離しやがれ!俺はこんな所で捕まるわけにはいかないんだよ!」
最初に行く手を遮った一人目をヒラリと躱し、次いで現れた二人目を手で制しながら路地へと走るウェリス。
だがその先の路地からも三人、四人目の団員が出てきたので慌ててターンするも背後からさらに三人迫っていた。
さすがサンサトローズ騎士団ナイスチームワークですね!
あれよあれよという間に組み敷かれ、手に紐を掛けられるウェリス。
「おい、離せ!俺が何したって言うんだよ!」
「うるさい騒ぐな!」
「強盗犯が何を偉そうに、言い訳は詰め所で聞かせてもらおうか!」
「観念しろ!」
「強盗犯!?何かの間違いだろ、おい!」
てっきり居場所が見つかり捕まったと思っていたウェリスだが、あらぬ罪で捕まったと知りさらに抵抗を強める。
無理やり羽交い絞めにする騎士団員も動きが荒くなり、このままではけが人が出そうな感じだ。
「ふむ、流石にこれ以上はまずいか。」
「シルビアお願い出来ますか?」
「うむ、シュウイチが行くよりも私が行った方が円滑に話は進むだろう。」
暴れるウェリスを見かねてシルビア様の重たい腰がやっと上がったようだ。
俺が行くとウェリスがまた変な事を考えそうなので、ここはシルビアにお任せする。
「何をしている!速やかに犯人を連行しろ!」
「申し訳ありません、すぐに!」
「ちょ、おい!なんでアンタがここにいるんだよ!」
「シルビア様に向かってなんて口の利き方だ!黙ってろ!」
「おい、助けてくれ!俺は強盗犯なんかじゃない!頼む!」
ウェリスがシルビア様にすがろうとするが興味なさそうに指示だけ出してその場を離れるシルビア様。
最後には猿轡をかまされ、叫ぶことも出来ずウェリスは連行されていった。
自分で言いだしておいてなんだけど、これでよかった・・・んだよな?
「取り合えずこれで一安心だな。」
「急ぎ騎士団に戻ってウェリス・・・というか団員の誤解を解きましょうか。」
「牢に入れてしまえば問題はない、騒ごうが何しようがいつもの事だ。」
「絶対に恨まれますよね、これ。」
想定よりもかなり手荒くなってしまった。
致し方ないとはいえ当分言われるんだろうなぁ。
「あいつが私達の手を借りないと先に言ったのだ、手荒くなったのも致し方のない事。最初から素直に話を聞いていればこんなことにはならなかった、そうだろ?」
「そう・・・ですね。」
「そこまで心配ならお前は先に行き様子を見てくるが良い、私はトシリャ殿に話をしてくる。」
そうか、一番驚いているのはトリシャさんか。
最初に話していたよりもかなり過激になってしまったからショックを受けている事だろう。
そっちはシルビア様にお願いして、俺はウェリスの誤解を解いておくとしよう。
とんとんと戸をノックする音を背中で聞きながら、俺は先を行く団員の皆さんを追いかけて騎士団へと急いだ。
「やっぱりお前が犯人かよ。」
「人を犯人呼ばわりするのはやめて貰えます?」
「うるせぇ、お前のせいでボコボコにされたんだぞ?一発殴らせろ。」
「怪我はポーションで治してやったんだ、それでおあいこだろ。」
鉄格子の向こう側に胡坐を組んだウェリスが恨めしそうな顔で俺を睨んで来る。
あの後すぐに騎士団へと向かい、ウェリスに事情を説明した。
最初こそ驚いた顔をしたが、シルビア様の登場もあって大方感づいていたんだろう。
「よりによって騎士団に捕まえられるとか、全部終わりじゃねぇか。」
「そんな事ないぞ?」
「なんでだよ。これで俺が逃げたって事がばれちまった、最悪死刑よくても炭鉱送りだ。」
ったく、負のスパイラルに落ちやがって。
俺が居ながらそんなことさせるわけないだろうが。
「今、目の前にいるのは強盗犯のウェリースってチンケな男だから俺達の知っている元盗賊のウェリスじゃない。騎士団には逃走ではなく仕事で別の場所に行かせているという内容の書類を偽造・・・もとい作製して提出しているし当分は大丈夫だろ。」
「お前、それ本気で言ってるのか?」
「カムリ騎士団長も快く書類を受け取ってくれたんだ。まったく、うちの奴隷に名前が似ているから慌てて確認しに来たが、とんだ無駄足だったな。」
「・・・で、俺に何をさせるつもりだ?」
せっかく状況を説明してあげたのに俺の演技はガン無視ですか。
後で覚えとけよ。
「まずは状況確認と行かせてもらいましょう。どういう流れでこうなったのか、話してくれますよね。」
「話さなかったらどうなるんだ?」
「チンケな強盗ウェリースとして尋問されるだけ。但し、元騎士団長直々のきついやつですが。」
「最悪だな、前に捕まった時だってそこまでされなかったぞ。」
「あの時は協力的でしたからね。今回も盗賊団壊滅にご協力いただけるのであれば、それなりの対応をしてあげましょう。」
「その話し方、一年前と全く同じだな。」
そういえばそうだな。
ウェリスを最初に捕まえたのも春先だった気がする。
店が開店する前だしあっている・・・はずだ。
「今回も同じだよ。お前と一緒に盗賊団を壊滅させて、家に帰る、それだけだ。」
「二人は無事なんだよな?」
「今は騎士団員が護衛についてる、だから安心して俺達に助けられろよ。」
「ったくなんでお前らはそんなお人好しなんだよ。」
「帰ったらちゃんと二人に土下座して詫びろよ、ウェリス。」
「俺はウェリースじゃなかったのか?」
「おっと、言い間違えた。」
俺のふざけた様子にまた大きなため息をつく。
だが次に顔を上げた時には、いつものような真剣な顔に戻っていた。
「わかった。知っていることも有ると思うが全部話そう。話すと長くなるが・・・。」
「シルビアが戻ってくるまで時間はあります、たっぷり聞かせてもらいましょうか。」
時系列はこんな感じだ。
まずウェリスがサンサトローズに一人で買い物に行く。
街に到着後予定通り買い物を終え戻ろうとした時に向こうから声を掛けられる。
話に聞いていた通り、コッペンの元仲間で昨年壊滅させた盗賊団の残党らしい。
どうして捕まっていなかったかというと遠くでしのぎをしており、一網打尽というわけにはいかなかったそうだ。
盗賊団は壊滅、崇拝していたリーダー二人は死亡。
にもかかわらずウェリスを含めた裏切り者は奴隷という身分ではあるが、食うに困ることも無く平々凡々と生活している。
そのことを偶々村に出稼ぎに来ていた残党の仲間が発見し、残党のリーダーに報告。
その後は労働者に紛れて監視を続け情報収集していたようだ。
そして今回ウェリスが一人になったのを好機とみて接触してきたらしい。
「じゃあ、裏切り者は死ねとかそういう風に言われていたわけではないんだな?」
「そうだな。連中からしてみれば俺が生きていることはむかつくが、殺すのもまた面倒という感じのようだ。それよりも有効利用して金を稼ぎたかったんだろう。」
「なるほど、盗賊団にいる時はウェリスが稼ぎ頭だったからか。」
「別に俺だけの知恵じゃないんだが・・・、いまさら言っても仕方ないだろう。」
話は大体読めてきた。
つまりはだ、奴らはただ金が欲しいだけでそれ以外は特に悪さをしないという事だな。
じゃあ話は早い。
金を稼がせてやればいい。
ある程度稼いで満足したらどこかに行くだろうから、二度と手を出すなと脅してやればちょっかいをかけてこないだろう。
え、それじゃ裏取引だって?
裏取引だけどそれにも裏があれば最終的には表に戻ってくるから。
終わり良ければ総て良しってやつですよ。
「コッペンの所に言った理由は?」
「この一年近く村にいてこっちの情報なんて何もなかったからな、それを知るために利用したんだ。」
「そして、コッペンが余計な事までしゃべってくれたおかげで二人が人質に取られてない事を知り逃げ出したと。」
「無事ならばわざわざ言う事を聞く必要はないからな。だが、逃げ出してからこのままじゃ帰れない事に気が付いた。」
「戻ればまた狙われると考えて一人で何とかしようとしたわけだな。」
「お前たちが探しに来ることは想像がついていたが、逃亡したとみなされる状況でさすがに騎士団に行く勇気はなかったよ。」
まぁ結局はこうやって騎士団のご厄介になっているわけだけどね!
一人で複数人と戦うのはさすがに無理があるんじゃないかなぁ。
一人身ならどうなってもいいだろうけど、今は守るべき人が増えたんだから。
それを考えたからこそ戻れなかったって気持ちはわかるけどね。
「あの時、私とすれ違いながらどうして話しかけなかったんですか?」
「追われている状況で戦えないお前なんか連れて行けるかよ!」
今思えばどう考えても足手まといですね、ありがとうございました。
「その後トリシャさんに出会ってかくまってもらい今に至ると・・・。これで話が繋がりましたよ。」
「まさかボコボコにされて騎士団に来ることになるとは思わなかったけどな。」
「いやいや、ボコボコにされたのはチンケな窃盗犯ウェリースだから。」
「で、どうするんだ?」
「それさっきも言いましたよね。」
「んなことどうでもいいんだよ、どうする、どうすればいい?」
鉄格子を両手で掴みガタガタと揺らす姿はどう見ても類人猿・・・いや、人は皆そうか。
そんな事よりもどうするかだ。
「この後コッペンを通じて貴方を探し回っているであろうお仲間さんと接触を図ります。表向きはウェリスの身柄引き渡し。利用しようとしているだけなら喜んで出て来てくれるでしょう。」
「雇い主のお前が引き渡すって、それは無理な話だろ。」
「いえいえ、貴方が勝手に逃げ出して別の場所で捕まれば私も責任を問われるから、あとは好きにしてくれて構わないとでもいえば言い訳が立ちますよ。」
「最低だな、お前。」
「だから表向きですって。」
「で、接触してどうする。」
「別の場所に呼び出して一網打尽にします。場所は懐かしい例の谷なんていかがでしょうか。」
例の谷と聞いてウェリスが目を丸くする。
「そう上手くいくのか?」
「シルビアにも同じことを言われましたよ。でもそれしか方法が思いつかないんですよね、代わりにいい案ありますか?」
「俺に聞くなよ。」
「では、そういう事で。騎士団の了承は取り付けていますので、後はまぁ何とかなりますよ。」
「お前が言うと本当にそうなるんだろうな。」
「いえいえ、間をつなぐのは私ですが最後は騎士団の皆さんにご登場願うだけです。」
今回も他力本願全開、でも途中は自力で何とかつないで見せましょう。
さっさと解決して、さっさと戻って、本業に精を出さないとね!
「シュウイチ、戻ったぞ。」
「あ、お帰りなさい。」
と、ナイスタイミングでシルビア様が戻ってきた。
鉄格子をつかんで向かい合う俺たちを見て苦笑いを浮かべている。
なんだろうその笑いは。
「一年ほど前に同じ光景を見た気がするのは気のせいか?」
「さっき同じことを話していました。」
「ウェリス、今回の件は事情が事情だけに特に咎めることはない。だがな、お前はもう一人じゃないんだ、何としてでも生きて帰る、その為には私たちに遠慮をするな。わかったな。」
「ありがとうございます。」
神妙な顔でウェリスが頭を下げる。
俺もこの間危なかったけど、最後の最後まであきらめなかったからこうやって生きていられる。
あきらめるな!と某太陽神も言っているしね。
「で、話は聞き出せたのか?」
「はい、今後の話まで伝えてあります。」
「せっかく捕まったんだ、最後の最後まで付き合ってもらうぞ。」
「もちろんだ、元はというと俺の不始末が原因だからな。」
「なに、お前はエサだ。エサはエサらしくしていればそれでいいから安心して使われていろ。」
シルビア様、その言い方はちょっと・・・。
でもまぁ本当のことだしまぁいいか。
ウェリスも無事に捕獲できたし、次はいよいよエサを使った一本釣りといきましょうかね。
10
お気に入りに追加
202
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す
エルリア
ファンタジー
【祝!第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞!】
転売屋(テンバイヤー)が異世界に飛ばされたらチートスキルを手にしていた!
元の世界では疎まれていても、こっちの世界なら問題なし。
相場スキルを駆使して目指せ夢のマイショップ!
ふとしたことで異世界に飛ばされた中年が、青年となってお金儲けに走ります。
お金は全てを解決する、それはどの世界においても同じ事。
金金金の主人公が、授かった相場スキルで私利私欲の為に稼ぎまくります。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる