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第十八章
理由が知りたい
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情報は鮮度が命だ。
昨日の夜聞いたというのならまだ可能性は残っている。
俺はすぐに準備をして馬に飛び乗った。
「シュウイチさん、わかっていると思いますが!」
「無理はしません、まずはシルビアと合流してから動きます。」
「ご主人様、どうかセレン様の為にも・・・。」
「セリスちゃんの為にも何が何でも引っ張ってきます。店は任せました!」
皆の視線を背に、俺は彼女の腹を蹴り上げた。
わかってるわよと言う感じでヒヒンと一声鳴くとグンと加速してあっという間にみんなが見えなくなる。
昨夜聞いた声が本当であれば、ウェリスはトラブルに巻き込まれたはずだ。
家で待つ二人に危害が加えられない為にその身を投げ出した、その可能性が高い。
問題は誰がそんなことをしたかだ。
村に来てからは特に問題も起こしていないし、恨まれるようなこともしていないはず。
あるとすれば、過去に関係を持った悪い連中という事になる。
サンサトローズを根城にしていただけに周辺の悪党とも顔なじみである可能性は高い。
ウェリスの手腕は中々だったからな、それを目当てに声をかけてきた可能性もある。
もちろんそうだとしてもウェリスは断るだろ。
だが、セレンさん達を人質にとなれば話は別だ。
今は俺達が近くにいて見張っているが、四六時中というわけにもいかない。
その隙をついて何かしてくる可能性だってある。
もちろんそんなことはさせないけれど、今はそれを話し合う時間も惜しい。
村をそのまま突っ切って、サンサトローズへ駆け抜ける。
途中ドリスのおっさんとすれ違ったが声をかける余裕はなかった。
だが俺の様子から何かを感じ取ってくれたはずだ。
てか、感じとれよオッサン!
夏が近づき空はまだまだ明るい。
このペースなら夕暮れまでには到着できるだろう。
久々の早駆けだけど、いつもと変わらずスムーズに走り続ける。
そんな彼女に身を任せて俺達は風のようにサンサトローズへの道を駆け抜けた。
「シルビアはいますか!?」
いつもなら南門まで廻り馬を預けるのだが今日はその時間が惜しい。
馬のまま西門を抜け、騎士団の前で馬から飛び降りる。
最初は何事かと身構えた騎士団員だったが、降りてきたのが俺だとわかるとその場で敬礼をしてくれた。
「シルビア様でしたら奥の執務室におられるかと。」
「わかりました彼女をお願いします!」
飛び降りた勢いもそのままに騎士団の中へと駆け込み、これまた驚いた顔をする騎士団員の皆さんだったが俺が入って来たとわかると・・・以下略
ともかくそのまままっすぐ執務室に飛び込むと、驚いた顔のシルビアが迎えてくれた。
カムリはというとチラッと俺の方を見ただけで表情は変わらなかった。
どうもいつもお世話になっております。
「シュウイチ、どうしてここに。」
「ウェリスの動向がわかったかもしれません。」
「なに!?」
「昨夜日付が変わる前に牡鹿亭の裏でそれらしい声を聴いたという冒険者が居ました。最初は酔っ払いの喧嘩かと思ったそうですが、『妻と娘に手を出すな!』という会話を聞いています。可能性としては十分に高いかと。」
「牡鹿亭、確か冒険者ギルド付近の安宿ですね。」
「昨夜の警備状況はどうだ?」
「その辺りを見回った団員からはそれらしい報告は上がっていないようです。」
カムリが素早く巡回記録か何かの冊子に目を通すが、情報は無し。
だがそれで諦める俺達ではない。
「牡鹿亭に行き他に同じような会話を聞いていないか確認してくれ、それと周辺の聞き込みもだ。」
「わかりました、すぐに手配しましょう。」
「すまんな、こんなことに団員の手を煩わせて。」
「ただの悪党に興味はありませんが、アイツとは夜通し話した仲ですので。」
「そういえば、そんなことも有りましたね。」
「それに、この街でよからぬことを行う連中がいるのであれば、それを取り締まるのが我らが騎士団の務め。皆が静穏に過ごすためにも、そのような輩を野放しにはできません。」
些細な情報であっても、俺達にとっては重要な情報であることに間違いはない。
聞き込みはシルビアと騎士団に任せ、俺は別の方面から情報を得るとしよう。
「そっちは任せますね。」
「何をする気だ?」
「怪しい輩の話は怪しい男に聞くのが一番です。」
「まさかコッペンに聞きに行くのか?」
「最近顔を出していませんでしたから、ついでに話を聞いてきます。」
王都に行っていた事はもちろん知っているだろうから、それ系の情報を欲している事だろう。
儲け話には眼が無い男だからな、それをネタに情報を仕入れればいい。
もちろん非合法なことはしませんよ?
そんなことしたら今までの苦労がすべて水の泡だ。
シュリアン商店はクリーンな商売を心掛けています。
「・・・無理をするなと言っても無駄そうだな。」
「ウェリスの為だけならここまでしませんが、あの二人の為ですから。」
「わかった。だがくれぐれも。」
「無茶をするなよ、ですよね。」
皆まで言うな、俺だってわかっている。
でも、そう言っても無茶をしてくるから怒られるんですけども・・・。
はい、本人は全然懲りてません!
だって、今動けるのは俺とシルビア様だけ。なら動ける人間が何とかしないと。
日暮れには一度騎士団に戻ってくるようにと釘を刺され、騎士団を出る。
戻って来なければ団員総出でコッペンの所に押しかけると、本人にもそう伝えろとも言われている。
さすがに新旧騎士団長に揃って押しかけられるのはコッペンとしてもよろしくないだろう。
だから、予めそう言っておけば無茶なことは要求してこないはず。そういう配慮もあるのかもしれない。
夕暮れの大通りを抜けて、いつものように壺屋へと向かう。
と、その道中の事だった。
すっぽりとしたローブで全身を隠したいかにも怪しい人物がこちらに向かってくる。
壺屋に行くにはこの裏道を通らなければならない。
普段人が通るような場所ではないだけに怪しさが半端ない。
どうする。
とりあえず威嚇の意味も込めて腰の短剣に手を掛けながら俺はその場で立ち止まった。
いつでも抜く準備は出来ている。
だが、そんなことを気にする様子もなくローブ姿のそいつはまっすぐ俺に向かって走ってきた。
心臓が早鐘のように脈打つ。
全神経を集中して相手の動きを目で追う。
そして俺の横を通り過ぎるその瞬間、少しだけ顔を上げ、そして通り過ぎて行った。
嘘だろ!?
慌てて後ろを振り返ろうとも思ったがあえてそれをせずに、予定通りに道を進む。
ウェリスだ。
間違いない。
一瞬だけ見えたあの目。
この一年ずっと顔を突き合わせてきたようなものだ、間違えるはずがない。
だけど何で声をかけてこない。
何故助けを求めない。
まるで俺が来ることがわかっていたように現れたくせに、探していることはわかっているはずなのに。
何故その素振りすら見せないのか。
それはウェリスが脅されている、もしくは弱みを握られているからだろう。
もしかしたら今もどこかでその連中が俺を見ているのかもしれない。
ウェリスの事を調べていたとするならば、俺の事も絶対に知っている。
俺が裏通りに来たものだからあわよくば俺も攫おうとウェリスをエサに使ったのかもしれない。
考えられることは山ほどある。
でも、どれが本当かはわからない。
それでも無事が確認できただけで十分な収穫だ。
待ってろよ、何が何でも助けて二人の所に戻してやるからな!
とはいえ、助けるにしても情報が無さすぎる。
一度戻って無事を伝えることも出来るが、いきなり騎士団に行けば怪しまれるのでこのままコッペンの所に向かった。
ここに来るのはいつぶりだろうか。
相変わらず中は暗く、バーカウンター付近の間接照明だけが中を照らしていた。
「よぉ、来る頃だと思ってたぜ。」
「それは喜んでいいんでしょうか。」
「俺は情報を売る、お前も情報を売る、それでお互いに幸せ。そうだよな?」
「そちらが裏切らないのであればそうですね。」
「おいおい、俺が裏切るだって?今までそんなことあったか?」
残念ながらグレーな返答だ。
バーカウンターに腰かけていたコッペンは俺の気配を察してすぐに挨拶してくる。
この反応に俺はまず警戒を一段階上げた。
いくら情報通のコッペンとはいえ、ついさっき来たばかりの俺がここに来るとどうしてわかるのだろうか。
答えは簡単だ、それを知っているやつがいる。
そしてもう一つの理由がコッペンの言葉だ。
『俺は情報を売る、お前も情報を売る、それでお互いに幸せ』そんなわかりきった事をわざわざ口に出すような野暮な男ではない。
そんなことを言わないでもお互いにお互いが利用するのは承知の通りだ。
それを口に出すという事は、そうしなければならない理由があるからだろう。
例えば、この部屋のどこかでそれを見ている奴がいるとかね。
「さぁ、どうでしょう。」
「つれない返事だな。とりあえず一杯飲んで行けよ、エールでいいか?」
「奢りなら、キンキンに冷えた奴でお願いします。」
「昨年はこれで儲けさせてもらった、今年もそうなるような奴を期待してるぞ。」
コッペンが指をパチンと鳴らすとバーテンダーさんが奥に引っ込み、小麦色の飲み物を運んできた。
グラスが白くなっている、よく冷えている証拠だ。
「何に乾杯するんです?」
「そりゃ金儲けにだろ。」
「情報にじゃないんですか?」
「それはお前次第だな。」
そう言いながらコッペンが二度片目を閉じる。
立ち位置としては俺が奥を、コッペンがバーカウンターの方を向いているのでコッペンの表情は向こうからわからない。
なるほど間違いなく見られている。
とりあえず今はうわべの会話だけ成立させて、後で詳しい話をしよう。
そういう感じだろうか。
せめて美人な奥様のウインクだったらよかったのに、何が悲しくてオッサンのウインクを二回も見せられないといけないのか。
仕方ない、これもウェリスを助ける為だと用意されたエールを一気に飲み干した。
ん?
味がおかしい。
こいつ、何か盛りやがったな。
「相変わらず美味しいですね。」
「そうだろ?どうだ気持ち良くなってきたか?」
「えぇ、とってもいい気分です。」
そういう風に持っていきたいのならその茶番に付き合ってやろうじゃないか。
無事に戻ってきた暁には、たっぷりと落とし前付けてもらうから覚悟してろよ。
少しふらついたフリをして、横の椅子に腰かける。
さぁ、どう出てくるんだ?
「それじゃあ仕事の話をしようじゃないか。」
「仕事の、話?」
「お前の所にウェリスって男がいるだろ?」
「ウェリス?あぁ、いるよ。」
「そいつが中々いう事を聞かないんだ、何かいいネタを持ってないか?」
ん?
ウェリスが言う事を聞かない?
どういうことだ?
さっきすれ違ったと思うんだが、それは計画済みじゃなかったのか?
「ウェリスを?」
「そうだ。いう事を聞かないどころか暴れまわって逃げやがった。どこに行ったか知らないか?」
「そうだなぁ・・・。」
逃げた?
マジか、あれ逃げたところだったのかよ。
じゃあ何で俺に助けを求めない。
俺に遠慮して?それとも逃げ出したことが公になってシルビア様たちに迷惑を掛けない為?
それか、自分で落とし前を付ける為だろうか。
仮にどれが正解だったとしても、俺は許さないからな。
お前に何かあったらあの二人になんて言えばいいんだよ。
お前だけの命じゃないんだぞ?
わかってんのかよ!
「おい、どうした?」
「行くとしたら騎士団か・・・白鷺亭だろ?」
「そこ以外にはないのか?」
「さぁ、知らないなぁ。」
「本当か?」
「あるとしたら、昔のアジト・・・じゃないのか?」
「昔のアジトか、確かにその可能性はあるな。」
そのままうつぶせになり眠ったようなフリをする。
どういう薬を飲まされたかわからないけど、おそらく自白剤か睡眠薬その辺だろう。
聞き出し方から察するに自白薬っぽい。
だが、残念なことに俺には龍の加護っていう大それたものを授かっていてね。
そういった薬とか毒は一切受け付けないんだ。
残念だったねぇ!
ちなみにアジトだと答えたのは本当にそこしか思いつかなかったのと、相手を誘導しやすいからだ。
逃げているという事は今は自由の身なんだろ?
じゃあ、遠慮なく捕まえられるってものだ。
「おい、イナバ、おい!ったく眠っちまいやがった。」
頭の上でコッペンの呆れたような声がする。
強く体をゆすられるが力を抜いて本当に眠っているように見せかける。
さてさて、この後どうなるのかな。
「おい、本当に寝てるのか?」
「なんだ俺の薬を疑ってるのか?お前のお仲間に使って効果は確かめただろ?」
「だがお前が嘘をついている可能性だってある。」
「へっ、このコッペン様を前にしてよく言うぜ。」
「裏切ってもなにをしても情報を売るのがお前の仕事、信じられるはずないだろうが。」
「じゃあどうするんだ?下手なことするとこいつの嫁さんが飛んでくるぞ、大方ここに来ることは伝えてあるだろうからじきにやってくるんじゃないか?」
さすがコッペン、わかっているじゃないか。
それを伝えそびれた!と内心焦ったが言う必要はなかったようだ。
「元騎士団長ごときに何が出来る。」
「その元騎士団長と現騎士団長が手を組んでるんだ、うちを戦場にするとただじゃおかねぇぞ。」
「・・・まぁいい、アイツの居場所さえわかればそれで十分だ。」
「そもそも逃がさなきゃこんなことにはならなかったんだよ。」
「むしろ人質がいないとバラしたのはお前じゃなかったのか?」
あ、コッペンがバラしたのね。
こいつ絶対わざとやってるだろ。
セレンさん達が無事だとわかったから無茶をして逃げ出したんだな。
まったく、後先考えずにやりやがって。
怪我とかしてないだろうな。
「けっ、そういうのはな、嘘を言ったやつが悪いんだよ。やるなら徹底的にやれ、お前らが喧嘩を売った相手はそういうやつだぞ。」
「その本人が目の前で眠っているわけだが・・・確かにそうだな、今ここで殺すのは簡単だが後が面倒だ。」
「とりあえず約束は守ったぞ、さっさと行けよ。」
「まだだ、アジトの場所も教えろ。」
「それは自分たちでやれ、昔の仲間だろ?」
「別にアイツの仲間になった覚えはない、俺達が信じたのはグランドの兄貴だけだ。」
んん?
なんだか聞き覚えのある名前なんだけど、思い出せない。
ってかこいつらウェリスの昔馴染みかよ。
「ったく、面倒ごとばかり持ち込みやがって。」
「その代わりお前の美人の嫁さんは無事に戻ってくるんだ、安いもんだろ。」
「あいつに何かあったら俺が追いかけてお前を殺してやるよ。」
「ただの情報屋が偉そうに。」
「ほら、ここだ!さっさと行きやがれ!」
俺の横でコッペンが何かを書いていた。
それが向こうに渡ったんだろうか、複数人の足跡が後ろを通り過ぎて行く。
途中誰かに脇腹付近を小突かれたが根性で耐えた。
誰だよ、このタイミングでわき腹狙ってくるやつ。
反則だろ!
そして足音が聞こえなくなり、コッペンの店に静寂が戻る。
「ったく、面倒なやつに喧嘩売りやがって。こいつの仲間に手を出してタダで済むと思ってんのかよ。」
「ほんと、どうするつもりなんですかねぇ。」
「お前!起きてやがったのか!?嘘だろ、念の為にあれだけ盛ったんだぜ?」
何事もなかったかのように起き上がった俺を見てコッペンが椅子から転げ落ちる。
いいねぇその反応。
でも、いまはそれどころじゃないんですよね。
「何を盛ったのかは知りませんが、色々と聞かせてもらいましょうか。もちろん、情報料は要りませんよね?」
満面の笑みを浮かべる俺に、コッペンは引きつった笑みを浮かべるしかなかった。
昨日の夜聞いたというのならまだ可能性は残っている。
俺はすぐに準備をして馬に飛び乗った。
「シュウイチさん、わかっていると思いますが!」
「無理はしません、まずはシルビアと合流してから動きます。」
「ご主人様、どうかセレン様の為にも・・・。」
「セリスちゃんの為にも何が何でも引っ張ってきます。店は任せました!」
皆の視線を背に、俺は彼女の腹を蹴り上げた。
わかってるわよと言う感じでヒヒンと一声鳴くとグンと加速してあっという間にみんなが見えなくなる。
昨夜聞いた声が本当であれば、ウェリスはトラブルに巻き込まれたはずだ。
家で待つ二人に危害が加えられない為にその身を投げ出した、その可能性が高い。
問題は誰がそんなことをしたかだ。
村に来てからは特に問題も起こしていないし、恨まれるようなこともしていないはず。
あるとすれば、過去に関係を持った悪い連中という事になる。
サンサトローズを根城にしていただけに周辺の悪党とも顔なじみである可能性は高い。
ウェリスの手腕は中々だったからな、それを目当てに声をかけてきた可能性もある。
もちろんそうだとしてもウェリスは断るだろ。
だが、セレンさん達を人質にとなれば話は別だ。
今は俺達が近くにいて見張っているが、四六時中というわけにもいかない。
その隙をついて何かしてくる可能性だってある。
もちろんそんなことはさせないけれど、今はそれを話し合う時間も惜しい。
村をそのまま突っ切って、サンサトローズへ駆け抜ける。
途中ドリスのおっさんとすれ違ったが声をかける余裕はなかった。
だが俺の様子から何かを感じ取ってくれたはずだ。
てか、感じとれよオッサン!
夏が近づき空はまだまだ明るい。
このペースなら夕暮れまでには到着できるだろう。
久々の早駆けだけど、いつもと変わらずスムーズに走り続ける。
そんな彼女に身を任せて俺達は風のようにサンサトローズへの道を駆け抜けた。
「シルビアはいますか!?」
いつもなら南門まで廻り馬を預けるのだが今日はその時間が惜しい。
馬のまま西門を抜け、騎士団の前で馬から飛び降りる。
最初は何事かと身構えた騎士団員だったが、降りてきたのが俺だとわかるとその場で敬礼をしてくれた。
「シルビア様でしたら奥の執務室におられるかと。」
「わかりました彼女をお願いします!」
飛び降りた勢いもそのままに騎士団の中へと駆け込み、これまた驚いた顔をする騎士団員の皆さんだったが俺が入って来たとわかると・・・以下略
ともかくそのまままっすぐ執務室に飛び込むと、驚いた顔のシルビアが迎えてくれた。
カムリはというとチラッと俺の方を見ただけで表情は変わらなかった。
どうもいつもお世話になっております。
「シュウイチ、どうしてここに。」
「ウェリスの動向がわかったかもしれません。」
「なに!?」
「昨夜日付が変わる前に牡鹿亭の裏でそれらしい声を聴いたという冒険者が居ました。最初は酔っ払いの喧嘩かと思ったそうですが、『妻と娘に手を出すな!』という会話を聞いています。可能性としては十分に高いかと。」
「牡鹿亭、確か冒険者ギルド付近の安宿ですね。」
「昨夜の警備状況はどうだ?」
「その辺りを見回った団員からはそれらしい報告は上がっていないようです。」
カムリが素早く巡回記録か何かの冊子に目を通すが、情報は無し。
だがそれで諦める俺達ではない。
「牡鹿亭に行き他に同じような会話を聞いていないか確認してくれ、それと周辺の聞き込みもだ。」
「わかりました、すぐに手配しましょう。」
「すまんな、こんなことに団員の手を煩わせて。」
「ただの悪党に興味はありませんが、アイツとは夜通し話した仲ですので。」
「そういえば、そんなことも有りましたね。」
「それに、この街でよからぬことを行う連中がいるのであれば、それを取り締まるのが我らが騎士団の務め。皆が静穏に過ごすためにも、そのような輩を野放しにはできません。」
些細な情報であっても、俺達にとっては重要な情報であることに間違いはない。
聞き込みはシルビアと騎士団に任せ、俺は別の方面から情報を得るとしよう。
「そっちは任せますね。」
「何をする気だ?」
「怪しい輩の話は怪しい男に聞くのが一番です。」
「まさかコッペンに聞きに行くのか?」
「最近顔を出していませんでしたから、ついでに話を聞いてきます。」
王都に行っていた事はもちろん知っているだろうから、それ系の情報を欲している事だろう。
儲け話には眼が無い男だからな、それをネタに情報を仕入れればいい。
もちろん非合法なことはしませんよ?
そんなことしたら今までの苦労がすべて水の泡だ。
シュリアン商店はクリーンな商売を心掛けています。
「・・・無理をするなと言っても無駄そうだな。」
「ウェリスの為だけならここまでしませんが、あの二人の為ですから。」
「わかった。だがくれぐれも。」
「無茶をするなよ、ですよね。」
皆まで言うな、俺だってわかっている。
でも、そう言っても無茶をしてくるから怒られるんですけども・・・。
はい、本人は全然懲りてません!
だって、今動けるのは俺とシルビア様だけ。なら動ける人間が何とかしないと。
日暮れには一度騎士団に戻ってくるようにと釘を刺され、騎士団を出る。
戻って来なければ団員総出でコッペンの所に押しかけると、本人にもそう伝えろとも言われている。
さすがに新旧騎士団長に揃って押しかけられるのはコッペンとしてもよろしくないだろう。
だから、予めそう言っておけば無茶なことは要求してこないはず。そういう配慮もあるのかもしれない。
夕暮れの大通りを抜けて、いつものように壺屋へと向かう。
と、その道中の事だった。
すっぽりとしたローブで全身を隠したいかにも怪しい人物がこちらに向かってくる。
壺屋に行くにはこの裏道を通らなければならない。
普段人が通るような場所ではないだけに怪しさが半端ない。
どうする。
とりあえず威嚇の意味も込めて腰の短剣に手を掛けながら俺はその場で立ち止まった。
いつでも抜く準備は出来ている。
だが、そんなことを気にする様子もなくローブ姿のそいつはまっすぐ俺に向かって走ってきた。
心臓が早鐘のように脈打つ。
全神経を集中して相手の動きを目で追う。
そして俺の横を通り過ぎるその瞬間、少しだけ顔を上げ、そして通り過ぎて行った。
嘘だろ!?
慌てて後ろを振り返ろうとも思ったがあえてそれをせずに、予定通りに道を進む。
ウェリスだ。
間違いない。
一瞬だけ見えたあの目。
この一年ずっと顔を突き合わせてきたようなものだ、間違えるはずがない。
だけど何で声をかけてこない。
何故助けを求めない。
まるで俺が来ることがわかっていたように現れたくせに、探していることはわかっているはずなのに。
何故その素振りすら見せないのか。
それはウェリスが脅されている、もしくは弱みを握られているからだろう。
もしかしたら今もどこかでその連中が俺を見ているのかもしれない。
ウェリスの事を調べていたとするならば、俺の事も絶対に知っている。
俺が裏通りに来たものだからあわよくば俺も攫おうとウェリスをエサに使ったのかもしれない。
考えられることは山ほどある。
でも、どれが本当かはわからない。
それでも無事が確認できただけで十分な収穫だ。
待ってろよ、何が何でも助けて二人の所に戻してやるからな!
とはいえ、助けるにしても情報が無さすぎる。
一度戻って無事を伝えることも出来るが、いきなり騎士団に行けば怪しまれるのでこのままコッペンの所に向かった。
ここに来るのはいつぶりだろうか。
相変わらず中は暗く、バーカウンター付近の間接照明だけが中を照らしていた。
「よぉ、来る頃だと思ってたぜ。」
「それは喜んでいいんでしょうか。」
「俺は情報を売る、お前も情報を売る、それでお互いに幸せ。そうだよな?」
「そちらが裏切らないのであればそうですね。」
「おいおい、俺が裏切るだって?今までそんなことあったか?」
残念ながらグレーな返答だ。
バーカウンターに腰かけていたコッペンは俺の気配を察してすぐに挨拶してくる。
この反応に俺はまず警戒を一段階上げた。
いくら情報通のコッペンとはいえ、ついさっき来たばかりの俺がここに来るとどうしてわかるのだろうか。
答えは簡単だ、それを知っているやつがいる。
そしてもう一つの理由がコッペンの言葉だ。
『俺は情報を売る、お前も情報を売る、それでお互いに幸せ』そんなわかりきった事をわざわざ口に出すような野暮な男ではない。
そんなことを言わないでもお互いにお互いが利用するのは承知の通りだ。
それを口に出すという事は、そうしなければならない理由があるからだろう。
例えば、この部屋のどこかでそれを見ている奴がいるとかね。
「さぁ、どうでしょう。」
「つれない返事だな。とりあえず一杯飲んで行けよ、エールでいいか?」
「奢りなら、キンキンに冷えた奴でお願いします。」
「昨年はこれで儲けさせてもらった、今年もそうなるような奴を期待してるぞ。」
コッペンが指をパチンと鳴らすとバーテンダーさんが奥に引っ込み、小麦色の飲み物を運んできた。
グラスが白くなっている、よく冷えている証拠だ。
「何に乾杯するんです?」
「そりゃ金儲けにだろ。」
「情報にじゃないんですか?」
「それはお前次第だな。」
そう言いながらコッペンが二度片目を閉じる。
立ち位置としては俺が奥を、コッペンがバーカウンターの方を向いているのでコッペンの表情は向こうからわからない。
なるほど間違いなく見られている。
とりあえず今はうわべの会話だけ成立させて、後で詳しい話をしよう。
そういう感じだろうか。
せめて美人な奥様のウインクだったらよかったのに、何が悲しくてオッサンのウインクを二回も見せられないといけないのか。
仕方ない、これもウェリスを助ける為だと用意されたエールを一気に飲み干した。
ん?
味がおかしい。
こいつ、何か盛りやがったな。
「相変わらず美味しいですね。」
「そうだろ?どうだ気持ち良くなってきたか?」
「えぇ、とってもいい気分です。」
そういう風に持っていきたいのならその茶番に付き合ってやろうじゃないか。
無事に戻ってきた暁には、たっぷりと落とし前付けてもらうから覚悟してろよ。
少しふらついたフリをして、横の椅子に腰かける。
さぁ、どう出てくるんだ?
「それじゃあ仕事の話をしようじゃないか。」
「仕事の、話?」
「お前の所にウェリスって男がいるだろ?」
「ウェリス?あぁ、いるよ。」
「そいつが中々いう事を聞かないんだ、何かいいネタを持ってないか?」
ん?
ウェリスが言う事を聞かない?
どういうことだ?
さっきすれ違ったと思うんだが、それは計画済みじゃなかったのか?
「ウェリスを?」
「そうだ。いう事を聞かないどころか暴れまわって逃げやがった。どこに行ったか知らないか?」
「そうだなぁ・・・。」
逃げた?
マジか、あれ逃げたところだったのかよ。
じゃあ何で俺に助けを求めない。
俺に遠慮して?それとも逃げ出したことが公になってシルビア様たちに迷惑を掛けない為?
それか、自分で落とし前を付ける為だろうか。
仮にどれが正解だったとしても、俺は許さないからな。
お前に何かあったらあの二人になんて言えばいいんだよ。
お前だけの命じゃないんだぞ?
わかってんのかよ!
「おい、どうした?」
「行くとしたら騎士団か・・・白鷺亭だろ?」
「そこ以外にはないのか?」
「さぁ、知らないなぁ。」
「本当か?」
「あるとしたら、昔のアジト・・・じゃないのか?」
「昔のアジトか、確かにその可能性はあるな。」
そのままうつぶせになり眠ったようなフリをする。
どういう薬を飲まされたかわからないけど、おそらく自白剤か睡眠薬その辺だろう。
聞き出し方から察するに自白薬っぽい。
だが、残念なことに俺には龍の加護っていう大それたものを授かっていてね。
そういった薬とか毒は一切受け付けないんだ。
残念だったねぇ!
ちなみにアジトだと答えたのは本当にそこしか思いつかなかったのと、相手を誘導しやすいからだ。
逃げているという事は今は自由の身なんだろ?
じゃあ、遠慮なく捕まえられるってものだ。
「おい、イナバ、おい!ったく眠っちまいやがった。」
頭の上でコッペンの呆れたような声がする。
強く体をゆすられるが力を抜いて本当に眠っているように見せかける。
さてさて、この後どうなるのかな。
「おい、本当に寝てるのか?」
「なんだ俺の薬を疑ってるのか?お前のお仲間に使って効果は確かめただろ?」
「だがお前が嘘をついている可能性だってある。」
「へっ、このコッペン様を前にしてよく言うぜ。」
「裏切ってもなにをしても情報を売るのがお前の仕事、信じられるはずないだろうが。」
「じゃあどうするんだ?下手なことするとこいつの嫁さんが飛んでくるぞ、大方ここに来ることは伝えてあるだろうからじきにやってくるんじゃないか?」
さすがコッペン、わかっているじゃないか。
それを伝えそびれた!と内心焦ったが言う必要はなかったようだ。
「元騎士団長ごときに何が出来る。」
「その元騎士団長と現騎士団長が手を組んでるんだ、うちを戦場にするとただじゃおかねぇぞ。」
「・・・まぁいい、アイツの居場所さえわかればそれで十分だ。」
「そもそも逃がさなきゃこんなことにはならなかったんだよ。」
「むしろ人質がいないとバラしたのはお前じゃなかったのか?」
あ、コッペンがバラしたのね。
こいつ絶対わざとやってるだろ。
セレンさん達が無事だとわかったから無茶をして逃げ出したんだな。
まったく、後先考えずにやりやがって。
怪我とかしてないだろうな。
「けっ、そういうのはな、嘘を言ったやつが悪いんだよ。やるなら徹底的にやれ、お前らが喧嘩を売った相手はそういうやつだぞ。」
「その本人が目の前で眠っているわけだが・・・確かにそうだな、今ここで殺すのは簡単だが後が面倒だ。」
「とりあえず約束は守ったぞ、さっさと行けよ。」
「まだだ、アジトの場所も教えろ。」
「それは自分たちでやれ、昔の仲間だろ?」
「別にアイツの仲間になった覚えはない、俺達が信じたのはグランドの兄貴だけだ。」
んん?
なんだか聞き覚えのある名前なんだけど、思い出せない。
ってかこいつらウェリスの昔馴染みかよ。
「ったく、面倒ごとばかり持ち込みやがって。」
「その代わりお前の美人の嫁さんは無事に戻ってくるんだ、安いもんだろ。」
「あいつに何かあったら俺が追いかけてお前を殺してやるよ。」
「ただの情報屋が偉そうに。」
「ほら、ここだ!さっさと行きやがれ!」
俺の横でコッペンが何かを書いていた。
それが向こうに渡ったんだろうか、複数人の足跡が後ろを通り過ぎて行く。
途中誰かに脇腹付近を小突かれたが根性で耐えた。
誰だよ、このタイミングでわき腹狙ってくるやつ。
反則だろ!
そして足音が聞こえなくなり、コッペンの店に静寂が戻る。
「ったく、面倒なやつに喧嘩売りやがって。こいつの仲間に手を出してタダで済むと思ってんのかよ。」
「ほんと、どうするつもりなんですかねぇ。」
「お前!起きてやがったのか!?嘘だろ、念の為にあれだけ盛ったんだぜ?」
何事もなかったかのように起き上がった俺を見てコッペンが椅子から転げ落ちる。
いいねぇその反応。
でも、いまはそれどころじゃないんですよね。
「何を盛ったのかは知りませんが、色々と聞かせてもらいましょうか。もちろん、情報料は要りませんよね?」
満面の笑みを浮かべる俺に、コッペンは引きつった笑みを浮かべるしかなかった。
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その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
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「転生者はめぐりあう」 始めました。
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注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
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