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第十七章
敵前逃亡は基本です
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暗い道をまっすぐに進む。
慎重に、一歩ずつ、辺りを警戒しながら進む。
だが当初の予定とは裏腹に一番奥まで行っても誰にも遭遇することは無かった。
足跡は確かにここまで来ている。
でも、誰もいない。
もちろん古い足跡だったという可能性も十分ある。
陰日前に駆け込みでダンジョンに潜りあたりを探索して帰った初心者集団。
無い話じゃない。
でもなぁ、そういうのじゃないと思うんだよなぁ。
一番奥はもちろん行き止まり。
足跡もそこで止まっている。
ぬかるんだ地面にくっきりと残る足跡。
特にこの辺りは湿気が多いのかぬかるんでいる。
でも不思議な事にさっきまで感じていた不快なにおいはこの辺では感じられないな。
急に空気が澄んだような感じ。
まるで脱臭剤を撒いたように臭いが無い。
ふーむ。
ダンジョン内の同一階層って環境が均一だと思っていたけどそうじゃない場所もあるんだな。
ここで襲われるだろうと緊張していただけに肩の力が抜けドッと疲れが出てきた。
その場に座り込みたい所だが、ぬかるんでいるためにそれも嫌だ。
とりあえず壁に背中を預けてっと・・・。
行き止まりの壁に背中を預けた次の瞬間、『ズズズ』と鈍い音を立てて壁が動いた。
慌てて壁から離れ状況を確認する。
マジで、今動いたよなこいつ。
松明で地面を照らしてみるとぬかるんだ地面にずれたような跡がくっきりと残っている。
それと足跡の半分が壁の向こうに消えているのも確認できた。
そこから導き出される答え。
「隠し通路か。」
そう、ダンジョンでおなじみの一見壁に見えるけど実は繋がっていました!ってやつだ。
もう一度壁に手を付き思いっきり力を入れる。
すると先程同様ズズズズと音を立てながら行き止まりであるはずの壁が動き出した。
地面がぬかるみ滑りやすくなっているからだろうか、巨大な壁が俺一人の力で動く。
しばらく押すと別の道が右側に現れた。
そうか、なんか変だなと思っていたらこの通路左右に二か所細い道があったはずなんだよ。
左側の通路は見つけたけど右側の通路が無いなと不思議に思っていた理由はこれだったのか。
途中で道が遮られていたらそりゃ道が無いはずだよ。
隠し通路の先は他の道と同じく魔灯がぽつぽつ光っているようだが、その奥にそれとは明らかに違う光が見える。
それはユラユラと揺れ、明るさも強い。
あれは松明の火だ。
俺は慌てて松明を消して様子を伺う。
『深淵を覗き込んでいる時深淵もまたこちらを見ている。』
それと同じく向こうを見ている時、向こうもまたこちらを見ているのだ。
そこに同じようなユラユラとした光が見えたらこちらの存在がばれてしまう。
幸い魔灯があるから真っ暗じゃないし、罠もそんなに多いダンジョンじゃない。
ゆっくり進めば大丈夫だろう。
相手がどれぐらいいるかもわからないので慎重に行動しないと。
可能であれば制圧。
無理なら戻って急ぎ伝達して、一網打尽にしたい所だ。
ぬかるんだ地面に足を取られないようにゆっくりと通路の奥へと進む。
あそこも行き止まりだったはずだ。
でも、他と違って小さな小部屋になっているのでそこを待機所か何かに利用しているのかも。
普通の何倍もゆっくりと進むと小部屋に近づくにつれ話声が聞こえてきた。
何を言っているかまではさすがにわからないが、誰かいるのは間違いない。
時々後ろを確認するも誰かがついてきている様子はない。
そしてついに小部屋の手前まで到着した。
「なぁ、陰日なのにまだここにいないといけないのか?」
「仕方ないだろ例の商人がダンジョンに入ったって連絡があったんだ。そいつをどうにかするまではここで待機だとよ。」
「ってことはこのまま待機でいいんだよな?」
「今の所はな。」
ほぉ、やっぱり連絡が来ているのか。
という事は一人は念話を使えるってことだな。
魔術師か僧侶そのどちらかだろう。
「くそ、この前みたいないい女だったらこの三日楽しめたのによ。」
「お前がヘマして逃がすからだろ?縛ったら面白くないとかいうからあんなことになるんだ。」
「おかげで新米どもを壊すのが上にばれちまった。せっかく面白い遊びだったのによ。」
「上で人を殺せば犯罪者だがここで殺せば魔物のせいに出来る。しばらく大人しくしていればまた獲物が自分からくるだろ、ようはバレなきゃいいんだよばれなきゃ。」
「ジンギルド長ならまだしもマッチじゃ見つけられないって。魔物が怖くてよく冒険者なんてやれたよな。」
「腕が良かったんだよ。聞いた話じゃギルド長のナニにぞっこんだってよ。」
「マジかよ。女を犯すどころか男に犯されて何が面白いのか全然わからねぇ。」
「ハハハ、ちがいねぇ。」
声の感じから二人、いや三人はいるだろうか。
ユラユラと揺れる陰じゃ正確な人数は判別できないが、複数人要るとなると流石に俺一人じゃどうしようもない。
となるとさっさと戻って一網打尽にするのが得策か。
敵前逃亡?
戦えないのならむしろ常套手段ですよ。
しかし、いい話が聞けた。
内容から察するにこいつらが初心者を襲撃していたので間違いないだろう。
しかも実行犯は同じ冒険者だ。
てっきり例の連中がやっていると思ったが、冒険者を雇うという最悪の方法で行っていたようだな。
元の世界でもPKのあるMMOじゃ良く初心者がカモにされていたけれど、リスポンのあるゲームと違ってここは現実世界だ。
死ねば終わり。
さぁこれからという状況で魔物ではなく先輩冒険者に殺されるとは思わなかっただろう。
しかも女の場合は犯されて殺される。
最悪の死に方だ。
とりあえず急ぎ上に戻って・・・。
中を覗き込むのを止め、戻ろうと体をねじった時だった。
ぬかるみに足を取られ体制を崩してしまった。
慌てて壁に手をつくもカバンが壁に当たり、ガシャンという音が通路に反響する。
「誰だ!」
その音に素早く反応し、通路の奥からガチャガチャという音が聞こえてきた。
ヤバい!
ばれてしまった以上静かに動く必要はない。
急いで体制を戻して一目散に来た道を戻る。
「おい、待て!」
「何でここがバレてんだよ!ちゃんと閉めなかったのか?」
「お前も一緒に閉めただろうが!いいから追え!見た感じ初心者冒険者だ、囲んで殺せ!」
なんともまぁ随分と過激な事を言ってくれるじゃないか。
一瞬後ろを振り返ると追いかけてきているのはやはり三人。
暗くて服装まではわからないが、一人の獲物が長剣だってことまでは確認できた。
どうする、このまま戻ったっていつかは追いつかれるぞ。
道を覚えているとはいえ一階層まで走り抜ける体力はさすがにない。
じゃあ逆にモア君達がいるであろう奥へ向かうか?
いやいや、奥にはもっと危険な要注意スポットがある。
このままそこに突っ込むのは死にに行くようなものだ。
どうする。
考えろ。
後ろから聞こえる怒号とガチャガチャという防具のすれる音に注意を向けながら必死に頭を回転させる。
俺にシルビア様みたいな技量があったらこの場で切り伏せてやるのに!とない物ねだりをしてしまうあたりまだ余裕があるなと思えてくる。
そうだ、別に戦う必要はない。
幸いここは迷路のような場所、時間さえ稼げばどうにかなる。
そう判断してからの行動は早かった。
走りながらカバンを開けランタンを取り出し、それを右手に持ち反対の手をカバンに戻し火打石を探す。
だが、焦っているせいかなかなか見つからない。
くそ、さっき荷物を減らしたのに何でほしい時に出てこないんだよ。
「おい、遅くなったぞ!」
「今だ追いつけ!」
「待てコラ!殺すぞ!」
殺すぞと言われてはいそうですかと言えるわけがない。
だがこのままでは追いつかれるのもまた事実。
俺は魔灯の下で速度を落とすと明かりを頼りにカバンの中を確認する。
火打石火打石・・・あった!
目的のものを取り出すとくるりと半回転して、正面から向かってくる三人に対峙した。
もちろん戦うわけじゃない。
「観念したか!」
「おい、男だ、遠慮するな殺しちまえ!」
「誰が簡単に殺されるかよ!」
ランタンを地面に置き火打石で着火する。
ランタンの芯はたっぷりの油で浸され小さな火花でもすぐに着火した。
三人との距離は15m程。
着火したランタンを再び持ち勢い良く振りかぶると少し先の地面に思いっきりたたきつけた。
ガラスの部分が割れ、蓋をしていた油が飛び散る。
それに先程の火が移り、オレンジ色の炎が俺と三人との間に壁を作った。
「くそ、火をつけやがった!」
「消せ!ここはまずい!」
何がまずいのかはわからないが奴らの足を止めれたのなら好都合だ。
さらにカバンからランタン用の追加燃料を取り出し炎に向かって投げつける。
容器が割れ追加燃料を加えて炎の壁は一気に燃え上がった。
勢いはすさまじく天井を焦がすような勢いだ。
「チキショウ油をまきやがった、これじゃ消せねぇ!」
「いやだ!こんな所で死にたくない!」
「とりあえず戻れ、このままじゃどうしようもねぇ!」
なんだ?
炎の壁ごときで何でそんなんビビるんだ?
確かに閉鎖空間での火事は怖いけど、酸素がなくなれば火は勝手に消えるし、ダンジョンだから煙は上階へと伝わるはず。
そこまでビビる必要はないと思うんだけど。
まぁいいか。
追いかけてこないのなら今のうちに逃げ出そう。
燃料を加えたとはいえいずれは消えてしまう。
それに、念話を使えるという事はこの状況も連中に伝わっている可能性は高いだろう。
二・三歩後ずさりながら来た道を戻ろうと身をひるがえす。
まずは最初の道まで戻ってそれから上に。
追いつかれるまでに戻れば俺の勝ちだ。
本当は捕まえたい所だけど熟練冒険者相手に戦えるはずがない。
隠し通路から出て最初の道まで戻る。
ふぅ、まずは第一関門突破。
壁際に寄せられた荷物を回収して上に戻ろうとした次の瞬間。
「いたぞ!アイツだ!」
「あいつは冒険者じゃない精霊師だ!注意してかかれよ!」
「精霊師ってマジかよ、大丈夫なんだろうな。」
「しるかよ、あの方に言われたのは捕まえるな殺せだ。殺せば一生遊べるぞ、いけ!」
先程降りてきた方向から複数人が走ってくるのが見えた。
くそ、上はダメか。
戻るのはもちろん論外だしここは先に行くしかない。
願わくばモア君達が戻ってきてくれますように!
荷物を回収するのを諦めダンジョンの奥へと走り出す。
この先は迷路になっている。
例え何度もここに通っている冒険者だとしても暗い道を間違えずに進むことは難しいだろう。
だが、俺には出来る。
小学生のころから攻略本でマップを覚えるのは得意だったんだ。
その能力が自分の命を救う事になるとは思わなかったけどね!
それからしばらくの間背後から聞こえてくる騒がしい音と声に気を取られないよう集中して俺はダンジョンを駆け抜けた。
途中魔物と遭遇するも戦っている暇なんてありゃしない。
むしろ後からくる連中の足止めをしてくれれば最高なのでちょっかいを出さずに放置した。
よかった、足の速い魔物がいなくて。
今いるのはダンジョンの四階層。
そしてこの角を曲がれば五階層への階段がある大広間に出る。
問題はここだ。
大広前の通路まで来たところで俺はへたり込むようにして座りこんだ。
ここまで休みなしで走り続けた。
途中横から飛び出してきた魔物に強襲され腕を切り裂かれたが幸いにも深手ではなかったようだ。
走りながら薬草をこすりつけたので今はうっすらと傷跡が残る程度までふさがっている。
傷は治る。
でも、疲れは取れない。
心臓がバクバクと鳴り、頭はバケツをかぶり頭を殴られたようにガンガンと痛む。
酸素が足りないんだ。
荒い呼吸で酸素を取り込み何とか立ち上がろうとするもここまでの疲れがそれを許さない。
ハァハァと激しく呼吸をしながら俺は通路の奥に視線を向けた。
大広間の真ん中に巨大な何かが居るようだ。
ここからではわからない。
でも、俺は知っている。
ダンジョンの見取り図に書いてあった名前はキュプロス。
過去に一度ゴア種とやり合った事はあるが、正直に言ってあれはまたもに戦ったとはいえない。
裏技を駆使して倒したけれど、今回はそれも使えない。
なんせ俺一人だ。
俺一人でアイツと戦わなければならない。
正直に言って初心者には荷が重いんじゃないだろうか。
そもそもソロでここに来るのが間違っていると言われたらそこまでだ。
それでもあの剛腕を喰らったらひとたまりもないと思うんだけど・・・。
少しずつだが呼吸が落ち着いてくる。
深呼吸を何度もしてそれをさらに加速させ、心臓の高鳴りはそのままにじっと耳を澄ます。
足音は聞こえない。
幸いにも追手はまだここまで来ていないようだ。
そうだとしても戻るという選択肢はない。
相手がだれであれ俺には前に進むしか道は無いわけだ。
カバンを漁り水筒を取り出す。
左右に振ると小さくチャポンと言う音が聞こえた。
封を開け水筒を真上に向けると一口分の水が落ちてきた。
全然足りないがないよりはましだ。
水筒をカバンに仕舞い、大きく息を吐く。
手は動く。
足は・・・パンパンだが動かないことは無い。
ゲームのように倒さないと先に進めないわけではない。
先程の階層のように逃げ回り階段を下りてしまえば魔物は追ってくることは無い。
今回もそれをやればいい。
さっきは足の遅い虫だったからなぁ。
粘着度の高い糸をまき散らされた時はどうなる事かと思ったけれど寸での所で階段にたどり着くことが出来た。
次も同じようにするだけ。
震える足に両手を置き背中を壁に預けながらズリズリと立ち上がる。
俺ならできる。
俺ならできる。
俺ならできる。
どこかで三回自分に言い聞かせればその通りになるという話を聞いたことがある。
嘘かほんとかわからないが、人の字を書いて呑み込むみたいなものだろう。
やらないよりやった方がマシ。
そんな気持ちで正面を向く。
前門のキュプロス、後門の追跡者。
心なしか後ろから足跡が聞こえてきたような気がする。
迷っている時間は無い。
震える足をもう一度叩き背筋を伸ばすと、おまじないが効いたのかまっすぐ立つことが出来た。
さぁ行くぞ。
短剣・・・ではなくショートソードを抜いて大広場までの通路を進む。
近づくたびに大きくなるキュプロス。
目を閉じ静かに相手を待っていたそいつは、俺が大広間に入った瞬間に巨大な一つ目を見開いた。
そして。
ニヤリ。
獲物が俺だけだとわかった瞬間、獲物を見つけた肉食動物のように口角を吊り上げそいつは笑った。
慎重に、一歩ずつ、辺りを警戒しながら進む。
だが当初の予定とは裏腹に一番奥まで行っても誰にも遭遇することは無かった。
足跡は確かにここまで来ている。
でも、誰もいない。
もちろん古い足跡だったという可能性も十分ある。
陰日前に駆け込みでダンジョンに潜りあたりを探索して帰った初心者集団。
無い話じゃない。
でもなぁ、そういうのじゃないと思うんだよなぁ。
一番奥はもちろん行き止まり。
足跡もそこで止まっている。
ぬかるんだ地面にくっきりと残る足跡。
特にこの辺りは湿気が多いのかぬかるんでいる。
でも不思議な事にさっきまで感じていた不快なにおいはこの辺では感じられないな。
急に空気が澄んだような感じ。
まるで脱臭剤を撒いたように臭いが無い。
ふーむ。
ダンジョン内の同一階層って環境が均一だと思っていたけどそうじゃない場所もあるんだな。
ここで襲われるだろうと緊張していただけに肩の力が抜けドッと疲れが出てきた。
その場に座り込みたい所だが、ぬかるんでいるためにそれも嫌だ。
とりあえず壁に背中を預けてっと・・・。
行き止まりの壁に背中を預けた次の瞬間、『ズズズ』と鈍い音を立てて壁が動いた。
慌てて壁から離れ状況を確認する。
マジで、今動いたよなこいつ。
松明で地面を照らしてみるとぬかるんだ地面にずれたような跡がくっきりと残っている。
それと足跡の半分が壁の向こうに消えているのも確認できた。
そこから導き出される答え。
「隠し通路か。」
そう、ダンジョンでおなじみの一見壁に見えるけど実は繋がっていました!ってやつだ。
もう一度壁に手を付き思いっきり力を入れる。
すると先程同様ズズズズと音を立てながら行き止まりであるはずの壁が動き出した。
地面がぬかるみ滑りやすくなっているからだろうか、巨大な壁が俺一人の力で動く。
しばらく押すと別の道が右側に現れた。
そうか、なんか変だなと思っていたらこの通路左右に二か所細い道があったはずなんだよ。
左側の通路は見つけたけど右側の通路が無いなと不思議に思っていた理由はこれだったのか。
途中で道が遮られていたらそりゃ道が無いはずだよ。
隠し通路の先は他の道と同じく魔灯がぽつぽつ光っているようだが、その奥にそれとは明らかに違う光が見える。
それはユラユラと揺れ、明るさも強い。
あれは松明の火だ。
俺は慌てて松明を消して様子を伺う。
『深淵を覗き込んでいる時深淵もまたこちらを見ている。』
それと同じく向こうを見ている時、向こうもまたこちらを見ているのだ。
そこに同じようなユラユラとした光が見えたらこちらの存在がばれてしまう。
幸い魔灯があるから真っ暗じゃないし、罠もそんなに多いダンジョンじゃない。
ゆっくり進めば大丈夫だろう。
相手がどれぐらいいるかもわからないので慎重に行動しないと。
可能であれば制圧。
無理なら戻って急ぎ伝達して、一網打尽にしたい所だ。
ぬかるんだ地面に足を取られないようにゆっくりと通路の奥へと進む。
あそこも行き止まりだったはずだ。
でも、他と違って小さな小部屋になっているのでそこを待機所か何かに利用しているのかも。
普通の何倍もゆっくりと進むと小部屋に近づくにつれ話声が聞こえてきた。
何を言っているかまではさすがにわからないが、誰かいるのは間違いない。
時々後ろを確認するも誰かがついてきている様子はない。
そしてついに小部屋の手前まで到着した。
「なぁ、陰日なのにまだここにいないといけないのか?」
「仕方ないだろ例の商人がダンジョンに入ったって連絡があったんだ。そいつをどうにかするまではここで待機だとよ。」
「ってことはこのまま待機でいいんだよな?」
「今の所はな。」
ほぉ、やっぱり連絡が来ているのか。
という事は一人は念話を使えるってことだな。
魔術師か僧侶そのどちらかだろう。
「くそ、この前みたいないい女だったらこの三日楽しめたのによ。」
「お前がヘマして逃がすからだろ?縛ったら面白くないとかいうからあんなことになるんだ。」
「おかげで新米どもを壊すのが上にばれちまった。せっかく面白い遊びだったのによ。」
「上で人を殺せば犯罪者だがここで殺せば魔物のせいに出来る。しばらく大人しくしていればまた獲物が自分からくるだろ、ようはバレなきゃいいんだよばれなきゃ。」
「ジンギルド長ならまだしもマッチじゃ見つけられないって。魔物が怖くてよく冒険者なんてやれたよな。」
「腕が良かったんだよ。聞いた話じゃギルド長のナニにぞっこんだってよ。」
「マジかよ。女を犯すどころか男に犯されて何が面白いのか全然わからねぇ。」
「ハハハ、ちがいねぇ。」
声の感じから二人、いや三人はいるだろうか。
ユラユラと揺れる陰じゃ正確な人数は判別できないが、複数人要るとなると流石に俺一人じゃどうしようもない。
となるとさっさと戻って一網打尽にするのが得策か。
敵前逃亡?
戦えないのならむしろ常套手段ですよ。
しかし、いい話が聞けた。
内容から察するにこいつらが初心者を襲撃していたので間違いないだろう。
しかも実行犯は同じ冒険者だ。
てっきり例の連中がやっていると思ったが、冒険者を雇うという最悪の方法で行っていたようだな。
元の世界でもPKのあるMMOじゃ良く初心者がカモにされていたけれど、リスポンのあるゲームと違ってここは現実世界だ。
死ねば終わり。
さぁこれからという状況で魔物ではなく先輩冒険者に殺されるとは思わなかっただろう。
しかも女の場合は犯されて殺される。
最悪の死に方だ。
とりあえず急ぎ上に戻って・・・。
中を覗き込むのを止め、戻ろうと体をねじった時だった。
ぬかるみに足を取られ体制を崩してしまった。
慌てて壁に手をつくもカバンが壁に当たり、ガシャンという音が通路に反響する。
「誰だ!」
その音に素早く反応し、通路の奥からガチャガチャという音が聞こえてきた。
ヤバい!
ばれてしまった以上静かに動く必要はない。
急いで体制を戻して一目散に来た道を戻る。
「おい、待て!」
「何でここがバレてんだよ!ちゃんと閉めなかったのか?」
「お前も一緒に閉めただろうが!いいから追え!見た感じ初心者冒険者だ、囲んで殺せ!」
なんともまぁ随分と過激な事を言ってくれるじゃないか。
一瞬後ろを振り返ると追いかけてきているのはやはり三人。
暗くて服装まではわからないが、一人の獲物が長剣だってことまでは確認できた。
どうする、このまま戻ったっていつかは追いつかれるぞ。
道を覚えているとはいえ一階層まで走り抜ける体力はさすがにない。
じゃあ逆にモア君達がいるであろう奥へ向かうか?
いやいや、奥にはもっと危険な要注意スポットがある。
このままそこに突っ込むのは死にに行くようなものだ。
どうする。
考えろ。
後ろから聞こえる怒号とガチャガチャという防具のすれる音に注意を向けながら必死に頭を回転させる。
俺にシルビア様みたいな技量があったらこの場で切り伏せてやるのに!とない物ねだりをしてしまうあたりまだ余裕があるなと思えてくる。
そうだ、別に戦う必要はない。
幸いここは迷路のような場所、時間さえ稼げばどうにかなる。
そう判断してからの行動は早かった。
走りながらカバンを開けランタンを取り出し、それを右手に持ち反対の手をカバンに戻し火打石を探す。
だが、焦っているせいかなかなか見つからない。
くそ、さっき荷物を減らしたのに何でほしい時に出てこないんだよ。
「おい、遅くなったぞ!」
「今だ追いつけ!」
「待てコラ!殺すぞ!」
殺すぞと言われてはいそうですかと言えるわけがない。
だがこのままでは追いつかれるのもまた事実。
俺は魔灯の下で速度を落とすと明かりを頼りにカバンの中を確認する。
火打石火打石・・・あった!
目的のものを取り出すとくるりと半回転して、正面から向かってくる三人に対峙した。
もちろん戦うわけじゃない。
「観念したか!」
「おい、男だ、遠慮するな殺しちまえ!」
「誰が簡単に殺されるかよ!」
ランタンを地面に置き火打石で着火する。
ランタンの芯はたっぷりの油で浸され小さな火花でもすぐに着火した。
三人との距離は15m程。
着火したランタンを再び持ち勢い良く振りかぶると少し先の地面に思いっきりたたきつけた。
ガラスの部分が割れ、蓋をしていた油が飛び散る。
それに先程の火が移り、オレンジ色の炎が俺と三人との間に壁を作った。
「くそ、火をつけやがった!」
「消せ!ここはまずい!」
何がまずいのかはわからないが奴らの足を止めれたのなら好都合だ。
さらにカバンからランタン用の追加燃料を取り出し炎に向かって投げつける。
容器が割れ追加燃料を加えて炎の壁は一気に燃え上がった。
勢いはすさまじく天井を焦がすような勢いだ。
「チキショウ油をまきやがった、これじゃ消せねぇ!」
「いやだ!こんな所で死にたくない!」
「とりあえず戻れ、このままじゃどうしようもねぇ!」
なんだ?
炎の壁ごときで何でそんなんビビるんだ?
確かに閉鎖空間での火事は怖いけど、酸素がなくなれば火は勝手に消えるし、ダンジョンだから煙は上階へと伝わるはず。
そこまでビビる必要はないと思うんだけど。
まぁいいか。
追いかけてこないのなら今のうちに逃げ出そう。
燃料を加えたとはいえいずれは消えてしまう。
それに、念話を使えるという事はこの状況も連中に伝わっている可能性は高いだろう。
二・三歩後ずさりながら来た道を戻ろうと身をひるがえす。
まずは最初の道まで戻ってそれから上に。
追いつかれるまでに戻れば俺の勝ちだ。
本当は捕まえたい所だけど熟練冒険者相手に戦えるはずがない。
隠し通路から出て最初の道まで戻る。
ふぅ、まずは第一関門突破。
壁際に寄せられた荷物を回収して上に戻ろうとした次の瞬間。
「いたぞ!アイツだ!」
「あいつは冒険者じゃない精霊師だ!注意してかかれよ!」
「精霊師ってマジかよ、大丈夫なんだろうな。」
「しるかよ、あの方に言われたのは捕まえるな殺せだ。殺せば一生遊べるぞ、いけ!」
先程降りてきた方向から複数人が走ってくるのが見えた。
くそ、上はダメか。
戻るのはもちろん論外だしここは先に行くしかない。
願わくばモア君達が戻ってきてくれますように!
荷物を回収するのを諦めダンジョンの奥へと走り出す。
この先は迷路になっている。
例え何度もここに通っている冒険者だとしても暗い道を間違えずに進むことは難しいだろう。
だが、俺には出来る。
小学生のころから攻略本でマップを覚えるのは得意だったんだ。
その能力が自分の命を救う事になるとは思わなかったけどね!
それからしばらくの間背後から聞こえてくる騒がしい音と声に気を取られないよう集中して俺はダンジョンを駆け抜けた。
途中魔物と遭遇するも戦っている暇なんてありゃしない。
むしろ後からくる連中の足止めをしてくれれば最高なのでちょっかいを出さずに放置した。
よかった、足の速い魔物がいなくて。
今いるのはダンジョンの四階層。
そしてこの角を曲がれば五階層への階段がある大広間に出る。
問題はここだ。
大広前の通路まで来たところで俺はへたり込むようにして座りこんだ。
ここまで休みなしで走り続けた。
途中横から飛び出してきた魔物に強襲され腕を切り裂かれたが幸いにも深手ではなかったようだ。
走りながら薬草をこすりつけたので今はうっすらと傷跡が残る程度までふさがっている。
傷は治る。
でも、疲れは取れない。
心臓がバクバクと鳴り、頭はバケツをかぶり頭を殴られたようにガンガンと痛む。
酸素が足りないんだ。
荒い呼吸で酸素を取り込み何とか立ち上がろうとするもここまでの疲れがそれを許さない。
ハァハァと激しく呼吸をしながら俺は通路の奥に視線を向けた。
大広間の真ん中に巨大な何かが居るようだ。
ここからではわからない。
でも、俺は知っている。
ダンジョンの見取り図に書いてあった名前はキュプロス。
過去に一度ゴア種とやり合った事はあるが、正直に言ってあれはまたもに戦ったとはいえない。
裏技を駆使して倒したけれど、今回はそれも使えない。
なんせ俺一人だ。
俺一人でアイツと戦わなければならない。
正直に言って初心者には荷が重いんじゃないだろうか。
そもそもソロでここに来るのが間違っていると言われたらそこまでだ。
それでもあの剛腕を喰らったらひとたまりもないと思うんだけど・・・。
少しずつだが呼吸が落ち着いてくる。
深呼吸を何度もしてそれをさらに加速させ、心臓の高鳴りはそのままにじっと耳を澄ます。
足音は聞こえない。
幸いにも追手はまだここまで来ていないようだ。
そうだとしても戻るという選択肢はない。
相手がだれであれ俺には前に進むしか道は無いわけだ。
カバンを漁り水筒を取り出す。
左右に振ると小さくチャポンと言う音が聞こえた。
封を開け水筒を真上に向けると一口分の水が落ちてきた。
全然足りないがないよりはましだ。
水筒をカバンに仕舞い、大きく息を吐く。
手は動く。
足は・・・パンパンだが動かないことは無い。
ゲームのように倒さないと先に進めないわけではない。
先程の階層のように逃げ回り階段を下りてしまえば魔物は追ってくることは無い。
今回もそれをやればいい。
さっきは足の遅い虫だったからなぁ。
粘着度の高い糸をまき散らされた時はどうなる事かと思ったけれど寸での所で階段にたどり着くことが出来た。
次も同じようにするだけ。
震える足に両手を置き背中を壁に預けながらズリズリと立ち上がる。
俺ならできる。
俺ならできる。
俺ならできる。
どこかで三回自分に言い聞かせればその通りになるという話を聞いたことがある。
嘘かほんとかわからないが、人の字を書いて呑み込むみたいなものだろう。
やらないよりやった方がマシ。
そんな気持ちで正面を向く。
前門のキュプロス、後門の追跡者。
心なしか後ろから足跡が聞こえてきたような気がする。
迷っている時間は無い。
震える足をもう一度叩き背筋を伸ばすと、おまじないが効いたのかまっすぐ立つことが出来た。
さぁ行くぞ。
短剣・・・ではなくショートソードを抜いて大広場までの通路を進む。
近づくたびに大きくなるキュプロス。
目を閉じ静かに相手を待っていたそいつは、俺が大広間に入った瞬間に巨大な一つ目を見開いた。
そして。
ニヤリ。
獲物が俺だけだとわかった瞬間、獲物を見つけた肉食動物のように口角を吊り上げそいつは笑った。
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青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
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【未完】
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「転生者はめぐりあう」 始めました。
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