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第十七章
冒険者(無理やり)始めました
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翌朝。
空は気持ちがいいぐらいに澄み渡っていた。
元の世界の季節で行くとそろそろ4月。
普通であれば新生活、新年度という感じだが今の俺も似たようなものか。
新しい環境で新しい仕事。
しかも単身赴任と来た。
まさか俺が単身赴任するとはなぁ。
しかも奥さん二人を置いてだよ。
一年前じゃ考えられないね。
さて、到着早々あれだけ豪語したのだから今回の仕事は絶対に失敗できない。
特に今回は自分も含めて命がかかっている。
と、いう事で朝食もそこそこに自室へ戻り昨日同様机に向かった。
何事をするにもまずは準備が必要だ。
マリアンナさんを冒険者にするとして何が必要か。
いや、何が足りていないかを考える方が早いかもしれないが、ともかくその線から行ってみよう。
ついでに俺が冒険者になるにあたっても同じことをしなければならない。
何よりもまずは冒険者についてだ。
そもそも冒険者とは何者か。
何をする存在か。
これは昨日マリアンナさんに聞いた内容と同じだけど、簡単に言えば『魔物と戦いながら』人々の依頼をこなしていく、もしくは『魔物と戦いながら』ダンジョンを攻略し生計を立てる、それが冒険者だ。
どちらにも言えることは『魔物と戦う』という事。
それが無ければ冒険者とは言い難い。
街の中だけで完結できる依頼ももちろんあるし、それで食いつないでいる初心者冒険者もたくさんいる事は否定しない。
でも、冒険者である以上魔物と戦う事はどうしても避けて通れない道だ。
魔物と戦う。
口で言うのは簡単だけど、これは命のやり取りをするのと同じことだ。
相手の命を刈り取り素材を集める。
もちろん相手は死に物狂いで抵抗してくるし、こちらも死に物狂いで戦わなければならない。
常に命の危険と隣り合わせの仕事、それが冒険者だ。
じゃあそんな危険な冒険者になるのに必要な条件とは何だろうか。
まず最低限必要なのは健康な肉体。
病気や四肢に欠損があるとなれないわけじゃないけれど、かなりの危険を伴う事になる。
冒険者は体が資本。
そういう意味ではマリアンナさんも俺も合格と言えるだろう。
次に運動神経。
適当に武器を振り回してどうにかなるならいいけれど、残念ながら現実はゲームのイージーモードのようにうまくいかない。
先ほども言ったように命のやり取りをするんだ。
相手の動きを見て、考えて、行動する。
それを瞬時に行えなければ待っているのは死あるのみだ。
運動神経のついでに筋力や体力も必要だな。
武器を振り回すだけが筋力じゃない。
依頼をこなすために遠征に出る。
ダンジョンに潜る。
その為には多くの道具が必要になる。
食料、燃料、薬、武器防具、寝具etc・・・
そのすべてを自分で持ち動き回らなければならない。
それが出来なければそもそも冒険者になんてなれないだろう。
と、いう事で第一条件が決まったな。
『体力』これでいこう。
それが出来れば次は武具の選定。
何が適しているか。
そもそも使用できるのか。
もし、そこまで行けたら冒険者としてのスタートラインに立つことが出来る。
え、常識はどうしたって?
あー、うん。
わかってますよ?
昨日あれだけ『貴女には常識が無い』なんて言っちゃったもんだから正直朝から顔を合わせにくかったんだけど、お陰様でその件はあまり気にしておられなかったようだ。
よかったよかった。
あ、常識だったね。
それに関しては昨日あれだけ言ったけど、別に気にしていない。
常識のない冒険者なんて世の中にたくさんいる。
それもそうだ、農家に生まれてまともに教育も受けず冒険者になる人が多い世界なんだからむしろマリアンナさんはまだ常識のある方だと言えるだろう。
でもそれは対人的な常識だ。
マリアンナさんには物の知識、お金の知識、生活するうえで無意識に積み上げられていくそういった常識がない。
それは昨日も言ったように順次積み上げていくしかないだろう。
お金とは何か、から始める必要はない。
サービスを受けるには対価が必要だというような常識だけでいいんだ。
賢い人だからそういった部分はすぐに覚えられるだろう。
と、俺は信じている。
でもまぁ座学はある程度必要だよな。
それもちゃんと組み込んでおくか。
そんじゃま、それを踏まえたうえで俺が今日しなければならない事はというと・・・。
「とにもかくにも冒険者ギルドだな。」
色々と書き込んだ紙を見ながらボソッとつぶやく。
餅は餅屋。
冒険者の事はギルドに聞くのが一番だ。
あそこなら初心者に向けた教本とかそういうものも置いているかもしれない。
武器のお試しコーナー的なものもあると嬉しいなぁ。
「となればまずは行動だな。他にも行きたい場所もあるし、そうだアポ取った方がいいんだろうか。」
王都について今日で二日目。
昨日は一切で歩かなかったので今日が初日みたいなものだ。
王都についたらやりたいこと結構あるんだよね。
それ全部を今日終わらせることはできないけれど、ある程度目星をつけながら終わらせればいいだろう。
時間はたっぷりある。
明日明後日で帰るわけじゃないんだ、ゆっくりやろう。
身支度を整えて最後に短剣を腰にぶら下げる。
これだけでも多少の威嚇になるはずだ。
いつものように誰かがついていてくれるわけではない。
もちろん呼べばディーちゃんやドリちゃんが来てくれるかもしれないけれど、それを期待して動くのはナンセンスだ。
自分の身は自分で守る。
これもまた冒険者に必須の項目か。
「イナバ様お出かけですか?」
部屋を出てすぐイケメン執事がこちらに気づき素早く駆け寄ってきた。
「えぇ、観光がてら冒険者ギルドなどを回ろうかと思いまして。」
「おひとりで大丈夫ですか?よろしければご一緒致しますが。」
「これもありますし大丈夫でしょう。」
そう言いながら腰にぶら下げたダマスカスの短剣を軽く揺らしてみる。
「お帰りはどのぐらいになりますでしょうか。」
「夕刻の鐘を目安に戻るつもりです。」
「では夕食のみご準備してお待ちしております。何かお力になれることがあれば何なりとお申し付けください。」
前回は拉致されてきたから自由に動き回るなんてことできなかったからなぁ。
これを機に一人で散策してみたいというのが本音だ。
異世界に来た者の俺の知っている世界は店と、村と、サンサトローズぐらい。
RPGのように自由に王都を歩いて回りたい、というのが夢だったんだよね。
それが叶えられる絶好のチャンスだ。
とはいえ、全て一人ではできないので使えるものは遠慮なくつかわせてもらおう。
「では以前お世話になったのでホンクリー家へ挨拶に行きたいんです。面会の許可を貰って頂けますか?急いでいませんので先方の予定に合わせます。」
「商家五皇ホンクリー家にも顔が利くのですね、さすがイナバ様です。」
「いえいえ、ちょっとしたご縁があっただけですよ。」
誘拐されたとはさすがに言えない。
色々あったけど、今でも時々手紙が来るぐらいには関係は良好だ。
せっかく王都に来たんだし挨拶ぐらいはしておかないとな。
って、そうなるとメルクリア家にも挨拶した方がいいのか?
あーでも、向こうは別にご縁があったわけではないし・・・。
商店連合の本部に顔を出すぐらいでいいか。
「では急ぎ先方に遣いを出します。どうぞお気を付けて。」
「マリアンナ様とアニエス様によろしくお伝えください。」
客として迎えてもらっている身で勝手に出かけるんだし一応ね。
イケメン執事にギルドまでの道を聞いて屋敷を出る。
部屋から見た空以上に外は明るく、そして温かい。
あれかな、店よりも王都の方が若干南側にあるのかな?
ってかあれか?
そもそもこの世界は丸いのか?
大きな大陸が幾つかあるのは知っているけれど、今思えば俺もそういう所までは知らないんだなぁ。
後で勉強しておこう。
貴族街をのんびりと歩きながらまず向かうは大通りだ。
この前も歩いたけど、やっぱり大きいなぁ。
そして春に来いと言われた意味が良くわかる。
どこを見ても、花、花、花。
どこかしこに美しい花があり自然と目に飛び込んでくる。
そしてそれと同じぐらいたくさんの人がいる。
人種も様々、亜人もいるようだ。
サンサトローズでは少なかったイメージだけど、ここではごく自然にいるんだなぁ。
この前はさすがにそこまでの余裕は無かったし、仕方ないか。
えーっと、大通りにでたらそのまま正門の方に向かうんだな。
冒険者ギルドがあるのは正門のすぐそばだ。
王都だけあって冒険者の数もかなり多いので入り口付近の方が何かと都合がいいんだろう。
そりゃそうだよな。
魔物の死骸とかをぶら下げて街の中を歩かれても困るし。
中央を馬車が行き来している。
結構往来が激しいけど事故とかないんだろうか。
と思いながら見ていると、時々馬車の通行を止めて人を行き来させている場所があった。
そういえば元の世界でも警察官が手で交通整理していたなぁ。
停電の時とか。
あれ、やっている方は大変だろうけど見てるの結構楽しいんだよね。
踊ってるみたいでさ。
なんてよそ見をしながら歩いていたら前の人にぶつかってしまった。
「すみません、失礼しました。」
ぶつかったのはかなり強面の冒険者。
某狂戦士が背負っているような巨大な剣を背負い、強固な鎧を身に着けている。
ヤバっと一瞬構えこそしたが、ジロリと睨まれただけで文句を言われることは無かった。
危ない危ない。
サンサトローズな冒険者にも顔が利くので特に問題になることも無いが、ここは王都だ。
変なことになって怪我はしたくない。
気を付けて歩こう。
それからはその人と少し距離を開けて大通りを進み続けた。
だが、いつまでたってもその人が俺の目の前から居なくなることはなく、気づけばギルドの前。
多くの人が出入りする巨大な扉にその人は吸い込まれていった。
って当たり前か。
どう見ても冒険者だったもんな、むしろギルドに行かない理由は無いだろ。
一瞬立ち止まると俺の後ろを歩いていた人が邪魔だなって感じで追い抜いていき、同じくギルドの中に吸い込まれていく。
まさかここまで来てビビってるとか?
そんなことないない。
むしろこの一年冒険者相手に商売しておいて今更ビビるとかありえない話だ。
と、いう事で邪魔にならないうちに俺もギルドの扉を押し中へ入る。
そこは・・・。
なんていうか、別世界だった。
サンサトローズのギルドもそれなりに野蛮でうるさ居場所だったけど、ここはその非じゃない。
先程のような屈強な冒険者たちがいたるところで大声で話をし、その奥を見れば大量の魔物の素材がつみあげられている。
あれってもしかして買取の順番待ちか?
それまた奥を見るとカウンターに冒険者が並び、見たことのある制服を身に着けたギルド職員とやり取りしている。
一人じゃない、三人いる。
すごいな、買い取りだけで三人体制か。
んでもって、正面のカウンターが受付になるのかな?
「ちょっと貴方。」
あの掲示板は依頼の張り出しだろうか。
それとも仲間募集?
あ、さっきの冒険者が掲示板に貼ってある紙をちぎってカウンターにもっていくぞ。
やっぱり依頼だったようだ。
「ちょっと、貴方聞こえてます?」
「え、私ですか?」
「貴方しかいませんよ。さっきから声をかけているのに、まぁこれだけ五月蠅ければ仕方ないと思いますけど。」
「すみません気づきませんでした。」
突然横から声を掛けられ、慌ててそちらを見ると呆れた表情で俺を見る職員らしき男性。
あ、この人亜人だ。
シャルちゃん達と同じ兎人種だろうか。
「ギルドに何か用ですか?仕事の依頼でしたら右奥、苦情でしたら左奥、冒険者希望でしたら正面に進んでください、後ろ詰まってますから。」
「えっと、そのどちらでもないんですけど。」
「じゃあ何しに来たんです?」
「初心者冒険者になるにはどうすればいいのか色々調べたくて・・・。」
「ですから冒険者希望でしたら正面のカウンターに行って下さい。話はそこで聞きますから。」
「いや、なりたいわけじゃなくてですね。」
「はい、次の方、そうそこの貴女ですどうしました?」
ハイ邪魔!
って感じで肩を掴まれて正面カウンターの方に送り出されてしまった。
そのまま流れるように正面カウンターまで到着してしまうと・・・。
「ようこそ冒険者ギルドへ、冒険者希望の方ですね説明はお聞きになりましたか?」
「いや、冒険者希望とかじゃなくて・・・。」
「え、説明聞いてないんですか?もぅ、ラビったらちゃんと説明してからここに送り出してよね。」
って話聞いちゃいねぇ。
なんだココは、話が通じない魔境か何かか?
とりあえず何でここに来たのか説明しないと。
「初心者冒険者の手続きについて聞きに来たんです。素質とか、教本とか、そういうのがあれば教えて頂きたいんですけど。」
「えぇ、そこから?素質とかそんなのありませんよ。冒険者になりたい人がここに来る、私達はその人達に手続きを促し、管理し、必要であれば援助します。ギルドは冒険者の皆さんの味方ですから困ったことがあれば二階の相談室に行ってください。じゃあとりあえず登録しちゃうんで右手出してもらえますか?」
「いや、ですから登録しに来たのではなくあくまでも話を聞きに来ただけで・・・。」
「話は登録の後で相談室で聞きますから。っていってもいつも並んでいるんでゆっくり話したかったら朝一で並ぶ必要ありますけど。ともかく、右手、右手出して下さい!」
受付のギルド職員が身を乗り出して俺の右腕を掴んでくる。
なんだこの子、幼い見た目の割にアグレッシブだなってそりゃそうか!
ギルド職員って事は元冒険者、身のこなしが素早くて当然かって何冷静に解析してるんだよ。
あれよあれよというまに受付の女子中学生風(失礼な)の職員に右手を掴まれ、見覚えのあるオーブの上に手をのせられた。
「えーっと、イナバ=シュウイチさん、位は5ですか。それなりに魔物と戦ってきたんですね。え、でも知識ばっかりで筋力少ないなぁ。でもまぁこれから伸びる可能性もあるし・・・。まぁ細かい事は左の職員に聞いて下さい!はい、次の方どうぞ!」
「いや、だから冒険者になりたいわけじゃなくって!」
「はいはい、話はこちらで聞きますから。イナバさんですね、冒険者になるのは初めて?説明は後でしますからとりあえず登録しちゃいますねー、はいもう一度右手お願いします!」
っと、そのまま左に押し出されたと思ったら別の職員さんにがっちりと掴まれ再びオーブの上に手を押し付けられる。
はじめは透明だったオーブだが、手をのせた途端に赤緑青と目まぐるしく色を変え、最終的に緑色で落ち着いたようだ。
「はい、イナバさんの登録終わりました。まずは初心者冒険者から始めますのでこのまま隣の職員から話を聞いて下さいね、イナバさんの特性に合わせて助言してくれますから。では良い冒険者生活を!」
おかしい、話を聞きに来ただけなのに何故か流されるまま冒険者登録が完了してしまったようだ。
確かに冒険者にはなりたかったけど、ちょっとこれは強引過ぎないだろうか。
こんなので本当に初心者としてやっていけるのか?
その辺も含めて詳しく話を聞きたいんだけども・・・。
と、再び左へ流されていき、また新しい職員さんの前に到着する。
ってか今の人いる?
登録用にオーナーを分けるのはわかるけど一人でいいんじゃない?
え、効率?
大事なことなんだからもっとちゃんとやるべきじゃないの?
って考えているうちに気づけばカウンターの一番端、ここが最後のようだ。
「はい、イナバさんお疲れさまでした。登録が簡単すぎてびっくりしました?」
「あ、はい、もう何が何やら。」
「春節は登録希望者が多いのでいつもこんな感じなんですよね、すみません。あ、それでイナバさんの適正なんですけど・・・。」
最後の職員さんは話を聞いてくれる当たりまともなのかなと思ってしまう。
エミリアと変わらないぐらいの年齢だろうか。
若すぎずでも老けすぎず。
同い年よりかはやっぱり少し若い。
あ、耳がとがっているって事はエルフィーか。
だからエミリアみたいに見えたんだな。
エミリアみたいに胸は無いけど・・・。
「どうかしました?」
「いえ、何でもありません。」
胸元から慌てて目をそらし顔を見ると少し首をかしげて不思議そうな目で俺を見てくる。
すみませんワザとじゃないんです。
「イナバさんの適正はですね、ジャジャーンずばり!精霊師です!って、えぇ!?」
「え?」
俺の適性が書かれているであろう書類を見て驚いた顔をする職員さん。
えーっと、何でそんな顔をするんですかね。
時が止まったように固まってしまった職員さんを前に棒立ちで次のアクションを待つ事しかできない、初心者冒険者イナバ=シュウイチ(32)であった。
空は気持ちがいいぐらいに澄み渡っていた。
元の世界の季節で行くとそろそろ4月。
普通であれば新生活、新年度という感じだが今の俺も似たようなものか。
新しい環境で新しい仕事。
しかも単身赴任と来た。
まさか俺が単身赴任するとはなぁ。
しかも奥さん二人を置いてだよ。
一年前じゃ考えられないね。
さて、到着早々あれだけ豪語したのだから今回の仕事は絶対に失敗できない。
特に今回は自分も含めて命がかかっている。
と、いう事で朝食もそこそこに自室へ戻り昨日同様机に向かった。
何事をするにもまずは準備が必要だ。
マリアンナさんを冒険者にするとして何が必要か。
いや、何が足りていないかを考える方が早いかもしれないが、ともかくその線から行ってみよう。
ついでに俺が冒険者になるにあたっても同じことをしなければならない。
何よりもまずは冒険者についてだ。
そもそも冒険者とは何者か。
何をする存在か。
これは昨日マリアンナさんに聞いた内容と同じだけど、簡単に言えば『魔物と戦いながら』人々の依頼をこなしていく、もしくは『魔物と戦いながら』ダンジョンを攻略し生計を立てる、それが冒険者だ。
どちらにも言えることは『魔物と戦う』という事。
それが無ければ冒険者とは言い難い。
街の中だけで完結できる依頼ももちろんあるし、それで食いつないでいる初心者冒険者もたくさんいる事は否定しない。
でも、冒険者である以上魔物と戦う事はどうしても避けて通れない道だ。
魔物と戦う。
口で言うのは簡単だけど、これは命のやり取りをするのと同じことだ。
相手の命を刈り取り素材を集める。
もちろん相手は死に物狂いで抵抗してくるし、こちらも死に物狂いで戦わなければならない。
常に命の危険と隣り合わせの仕事、それが冒険者だ。
じゃあそんな危険な冒険者になるのに必要な条件とは何だろうか。
まず最低限必要なのは健康な肉体。
病気や四肢に欠損があるとなれないわけじゃないけれど、かなりの危険を伴う事になる。
冒険者は体が資本。
そういう意味ではマリアンナさんも俺も合格と言えるだろう。
次に運動神経。
適当に武器を振り回してどうにかなるならいいけれど、残念ながら現実はゲームのイージーモードのようにうまくいかない。
先ほども言ったように命のやり取りをするんだ。
相手の動きを見て、考えて、行動する。
それを瞬時に行えなければ待っているのは死あるのみだ。
運動神経のついでに筋力や体力も必要だな。
武器を振り回すだけが筋力じゃない。
依頼をこなすために遠征に出る。
ダンジョンに潜る。
その為には多くの道具が必要になる。
食料、燃料、薬、武器防具、寝具etc・・・
そのすべてを自分で持ち動き回らなければならない。
それが出来なければそもそも冒険者になんてなれないだろう。
と、いう事で第一条件が決まったな。
『体力』これでいこう。
それが出来れば次は武具の選定。
何が適しているか。
そもそも使用できるのか。
もし、そこまで行けたら冒険者としてのスタートラインに立つことが出来る。
え、常識はどうしたって?
あー、うん。
わかってますよ?
昨日あれだけ『貴女には常識が無い』なんて言っちゃったもんだから正直朝から顔を合わせにくかったんだけど、お陰様でその件はあまり気にしておられなかったようだ。
よかったよかった。
あ、常識だったね。
それに関しては昨日あれだけ言ったけど、別に気にしていない。
常識のない冒険者なんて世の中にたくさんいる。
それもそうだ、農家に生まれてまともに教育も受けず冒険者になる人が多い世界なんだからむしろマリアンナさんはまだ常識のある方だと言えるだろう。
でもそれは対人的な常識だ。
マリアンナさんには物の知識、お金の知識、生活するうえで無意識に積み上げられていくそういった常識がない。
それは昨日も言ったように順次積み上げていくしかないだろう。
お金とは何か、から始める必要はない。
サービスを受けるには対価が必要だというような常識だけでいいんだ。
賢い人だからそういった部分はすぐに覚えられるだろう。
と、俺は信じている。
でもまぁ座学はある程度必要だよな。
それもちゃんと組み込んでおくか。
そんじゃま、それを踏まえたうえで俺が今日しなければならない事はというと・・・。
「とにもかくにも冒険者ギルドだな。」
色々と書き込んだ紙を見ながらボソッとつぶやく。
餅は餅屋。
冒険者の事はギルドに聞くのが一番だ。
あそこなら初心者に向けた教本とかそういうものも置いているかもしれない。
武器のお試しコーナー的なものもあると嬉しいなぁ。
「となればまずは行動だな。他にも行きたい場所もあるし、そうだアポ取った方がいいんだろうか。」
王都について今日で二日目。
昨日は一切で歩かなかったので今日が初日みたいなものだ。
王都についたらやりたいこと結構あるんだよね。
それ全部を今日終わらせることはできないけれど、ある程度目星をつけながら終わらせればいいだろう。
時間はたっぷりある。
明日明後日で帰るわけじゃないんだ、ゆっくりやろう。
身支度を整えて最後に短剣を腰にぶら下げる。
これだけでも多少の威嚇になるはずだ。
いつものように誰かがついていてくれるわけではない。
もちろん呼べばディーちゃんやドリちゃんが来てくれるかもしれないけれど、それを期待して動くのはナンセンスだ。
自分の身は自分で守る。
これもまた冒険者に必須の項目か。
「イナバ様お出かけですか?」
部屋を出てすぐイケメン執事がこちらに気づき素早く駆け寄ってきた。
「えぇ、観光がてら冒険者ギルドなどを回ろうかと思いまして。」
「おひとりで大丈夫ですか?よろしければご一緒致しますが。」
「これもありますし大丈夫でしょう。」
そう言いながら腰にぶら下げたダマスカスの短剣を軽く揺らしてみる。
「お帰りはどのぐらいになりますでしょうか。」
「夕刻の鐘を目安に戻るつもりです。」
「では夕食のみご準備してお待ちしております。何かお力になれることがあれば何なりとお申し付けください。」
前回は拉致されてきたから自由に動き回るなんてことできなかったからなぁ。
これを機に一人で散策してみたいというのが本音だ。
異世界に来た者の俺の知っている世界は店と、村と、サンサトローズぐらい。
RPGのように自由に王都を歩いて回りたい、というのが夢だったんだよね。
それが叶えられる絶好のチャンスだ。
とはいえ、全て一人ではできないので使えるものは遠慮なくつかわせてもらおう。
「では以前お世話になったのでホンクリー家へ挨拶に行きたいんです。面会の許可を貰って頂けますか?急いでいませんので先方の予定に合わせます。」
「商家五皇ホンクリー家にも顔が利くのですね、さすがイナバ様です。」
「いえいえ、ちょっとしたご縁があっただけですよ。」
誘拐されたとはさすがに言えない。
色々あったけど、今でも時々手紙が来るぐらいには関係は良好だ。
せっかく王都に来たんだし挨拶ぐらいはしておかないとな。
って、そうなるとメルクリア家にも挨拶した方がいいのか?
あーでも、向こうは別にご縁があったわけではないし・・・。
商店連合の本部に顔を出すぐらいでいいか。
「では急ぎ先方に遣いを出します。どうぞお気を付けて。」
「マリアンナ様とアニエス様によろしくお伝えください。」
客として迎えてもらっている身で勝手に出かけるんだし一応ね。
イケメン執事にギルドまでの道を聞いて屋敷を出る。
部屋から見た空以上に外は明るく、そして温かい。
あれかな、店よりも王都の方が若干南側にあるのかな?
ってかあれか?
そもそもこの世界は丸いのか?
大きな大陸が幾つかあるのは知っているけれど、今思えば俺もそういう所までは知らないんだなぁ。
後で勉強しておこう。
貴族街をのんびりと歩きながらまず向かうは大通りだ。
この前も歩いたけど、やっぱり大きいなぁ。
そして春に来いと言われた意味が良くわかる。
どこを見ても、花、花、花。
どこかしこに美しい花があり自然と目に飛び込んでくる。
そしてそれと同じぐらいたくさんの人がいる。
人種も様々、亜人もいるようだ。
サンサトローズでは少なかったイメージだけど、ここではごく自然にいるんだなぁ。
この前はさすがにそこまでの余裕は無かったし、仕方ないか。
えーっと、大通りにでたらそのまま正門の方に向かうんだな。
冒険者ギルドがあるのは正門のすぐそばだ。
王都だけあって冒険者の数もかなり多いので入り口付近の方が何かと都合がいいんだろう。
そりゃそうだよな。
魔物の死骸とかをぶら下げて街の中を歩かれても困るし。
中央を馬車が行き来している。
結構往来が激しいけど事故とかないんだろうか。
と思いながら見ていると、時々馬車の通行を止めて人を行き来させている場所があった。
そういえば元の世界でも警察官が手で交通整理していたなぁ。
停電の時とか。
あれ、やっている方は大変だろうけど見てるの結構楽しいんだよね。
踊ってるみたいでさ。
なんてよそ見をしながら歩いていたら前の人にぶつかってしまった。
「すみません、失礼しました。」
ぶつかったのはかなり強面の冒険者。
某狂戦士が背負っているような巨大な剣を背負い、強固な鎧を身に着けている。
ヤバっと一瞬構えこそしたが、ジロリと睨まれただけで文句を言われることは無かった。
危ない危ない。
サンサトローズな冒険者にも顔が利くので特に問題になることも無いが、ここは王都だ。
変なことになって怪我はしたくない。
気を付けて歩こう。
それからはその人と少し距離を開けて大通りを進み続けた。
だが、いつまでたってもその人が俺の目の前から居なくなることはなく、気づけばギルドの前。
多くの人が出入りする巨大な扉にその人は吸い込まれていった。
って当たり前か。
どう見ても冒険者だったもんな、むしろギルドに行かない理由は無いだろ。
一瞬立ち止まると俺の後ろを歩いていた人が邪魔だなって感じで追い抜いていき、同じくギルドの中に吸い込まれていく。
まさかここまで来てビビってるとか?
そんなことないない。
むしろこの一年冒険者相手に商売しておいて今更ビビるとかありえない話だ。
と、いう事で邪魔にならないうちに俺もギルドの扉を押し中へ入る。
そこは・・・。
なんていうか、別世界だった。
サンサトローズのギルドもそれなりに野蛮でうるさ居場所だったけど、ここはその非じゃない。
先程のような屈強な冒険者たちがいたるところで大声で話をし、その奥を見れば大量の魔物の素材がつみあげられている。
あれってもしかして買取の順番待ちか?
それまた奥を見るとカウンターに冒険者が並び、見たことのある制服を身に着けたギルド職員とやり取りしている。
一人じゃない、三人いる。
すごいな、買い取りだけで三人体制か。
んでもって、正面のカウンターが受付になるのかな?
「ちょっと貴方。」
あの掲示板は依頼の張り出しだろうか。
それとも仲間募集?
あ、さっきの冒険者が掲示板に貼ってある紙をちぎってカウンターにもっていくぞ。
やっぱり依頼だったようだ。
「ちょっと、貴方聞こえてます?」
「え、私ですか?」
「貴方しかいませんよ。さっきから声をかけているのに、まぁこれだけ五月蠅ければ仕方ないと思いますけど。」
「すみません気づきませんでした。」
突然横から声を掛けられ、慌ててそちらを見ると呆れた表情で俺を見る職員らしき男性。
あ、この人亜人だ。
シャルちゃん達と同じ兎人種だろうか。
「ギルドに何か用ですか?仕事の依頼でしたら右奥、苦情でしたら左奥、冒険者希望でしたら正面に進んでください、後ろ詰まってますから。」
「えっと、そのどちらでもないんですけど。」
「じゃあ何しに来たんです?」
「初心者冒険者になるにはどうすればいいのか色々調べたくて・・・。」
「ですから冒険者希望でしたら正面のカウンターに行って下さい。話はそこで聞きますから。」
「いや、なりたいわけじゃなくてですね。」
「はい、次の方、そうそこの貴女ですどうしました?」
ハイ邪魔!
って感じで肩を掴まれて正面カウンターの方に送り出されてしまった。
そのまま流れるように正面カウンターまで到着してしまうと・・・。
「ようこそ冒険者ギルドへ、冒険者希望の方ですね説明はお聞きになりましたか?」
「いや、冒険者希望とかじゃなくて・・・。」
「え、説明聞いてないんですか?もぅ、ラビったらちゃんと説明してからここに送り出してよね。」
って話聞いちゃいねぇ。
なんだココは、話が通じない魔境か何かか?
とりあえず何でここに来たのか説明しないと。
「初心者冒険者の手続きについて聞きに来たんです。素質とか、教本とか、そういうのがあれば教えて頂きたいんですけど。」
「えぇ、そこから?素質とかそんなのありませんよ。冒険者になりたい人がここに来る、私達はその人達に手続きを促し、管理し、必要であれば援助します。ギルドは冒険者の皆さんの味方ですから困ったことがあれば二階の相談室に行ってください。じゃあとりあえず登録しちゃうんで右手出してもらえますか?」
「いや、ですから登録しに来たのではなくあくまでも話を聞きに来ただけで・・・。」
「話は登録の後で相談室で聞きますから。っていってもいつも並んでいるんでゆっくり話したかったら朝一で並ぶ必要ありますけど。ともかく、右手、右手出して下さい!」
受付のギルド職員が身を乗り出して俺の右腕を掴んでくる。
なんだこの子、幼い見た目の割にアグレッシブだなってそりゃそうか!
ギルド職員って事は元冒険者、身のこなしが素早くて当然かって何冷静に解析してるんだよ。
あれよあれよというまに受付の女子中学生風(失礼な)の職員に右手を掴まれ、見覚えのあるオーブの上に手をのせられた。
「えーっと、イナバ=シュウイチさん、位は5ですか。それなりに魔物と戦ってきたんですね。え、でも知識ばっかりで筋力少ないなぁ。でもまぁこれから伸びる可能性もあるし・・・。まぁ細かい事は左の職員に聞いて下さい!はい、次の方どうぞ!」
「いや、だから冒険者になりたいわけじゃなくって!」
「はいはい、話はこちらで聞きますから。イナバさんですね、冒険者になるのは初めて?説明は後でしますからとりあえず登録しちゃいますねー、はいもう一度右手お願いします!」
っと、そのまま左に押し出されたと思ったら別の職員さんにがっちりと掴まれ再びオーブの上に手を押し付けられる。
はじめは透明だったオーブだが、手をのせた途端に赤緑青と目まぐるしく色を変え、最終的に緑色で落ち着いたようだ。
「はい、イナバさんの登録終わりました。まずは初心者冒険者から始めますのでこのまま隣の職員から話を聞いて下さいね、イナバさんの特性に合わせて助言してくれますから。では良い冒険者生活を!」
おかしい、話を聞きに来ただけなのに何故か流されるまま冒険者登録が完了してしまったようだ。
確かに冒険者にはなりたかったけど、ちょっとこれは強引過ぎないだろうか。
こんなので本当に初心者としてやっていけるのか?
その辺も含めて詳しく話を聞きたいんだけども・・・。
と、再び左へ流されていき、また新しい職員さんの前に到着する。
ってか今の人いる?
登録用にオーナーを分けるのはわかるけど一人でいいんじゃない?
え、効率?
大事なことなんだからもっとちゃんとやるべきじゃないの?
って考えているうちに気づけばカウンターの一番端、ここが最後のようだ。
「はい、イナバさんお疲れさまでした。登録が簡単すぎてびっくりしました?」
「あ、はい、もう何が何やら。」
「春節は登録希望者が多いのでいつもこんな感じなんですよね、すみません。あ、それでイナバさんの適正なんですけど・・・。」
最後の職員さんは話を聞いてくれる当たりまともなのかなと思ってしまう。
エミリアと変わらないぐらいの年齢だろうか。
若すぎずでも老けすぎず。
同い年よりかはやっぱり少し若い。
あ、耳がとがっているって事はエルフィーか。
だからエミリアみたいに見えたんだな。
エミリアみたいに胸は無いけど・・・。
「どうかしました?」
「いえ、何でもありません。」
胸元から慌てて目をそらし顔を見ると少し首をかしげて不思議そうな目で俺を見てくる。
すみませんワザとじゃないんです。
「イナバさんの適正はですね、ジャジャーンずばり!精霊師です!って、えぇ!?」
「え?」
俺の適性が書かれているであろう書類を見て驚いた顔をする職員さん。
えーっと、何でそんな顔をするんですかね。
時が止まったように固まってしまった職員さんを前に棒立ちで次のアクションを待つ事しかできない、初心者冒険者イナバ=シュウイチ(32)であった。
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