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第十五章
久々の買い物はみんなで
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「街に行くのって何時振りかな、とっても楽しみです!」
「僕も!美味しいお菓子とかいっぱい買うんだ!」
「コラ、いくらお小遣いあげたからって全部お菓子に使っちゃダメだからね。」
「いいじゃんか、僕のお小遣いだもん!」
「もぅ、迷子になっても知らないんだから。」
サンサトローズへ向う馬車の中。
ウサミミのお子様二人はいつも以上にはしゃいでいた。
それもそうか、奴隷としてダンジョンに来てその後はずっと村に居たんだよな。
別に外出させなかったわけじゃないんだけど、機会が無かったというか何と言うか。
ともかく喜んでくれるのなら良かった。
「あの、本当に良いんでしょうか私達もご一緒させてもらって。」
「元々俺はついていくつもりだったとはいえ、セレンは大丈夫なのか?」
「丁度お医者様に見てもらう用事がありましたから。それに、次いつ行けるか分からないのでこの子に必要な物も色々見ておきたいんです。」
「セレン様には私も同行いたします。何かあればすぐに対応できるよう向こうのお医者様とも連携しておりますのでウェリス様はどうぞ御安心を。」
「なら良いんだが・・・。」
ウェリスが心配そうな顔をしてセレンさんのお腹を見つめている。
幸い今日の馬車は揺れない奴なので安心して向う事ができる。
最初はいつもの馬車を手配するつもりだったのだが、まさかこんなことになるとは思っても見なかった。
「確かにこれほどの馬車を用意されると気が引けるな。」
「あ、シルビアもそう思いますか?」
「こちらから依頼しておいてアレだが返事が昨日の今日だぞ?いくらなんでも早すぎる。」
「朝出した手紙がまさか夕方戻ってくるとは思いもしませんでしたね。」
そう、この馬車は俺が手配したものではない。
例の変人貴族マイユール子爵が準備した馬車に乗り俺達はサンサトローズへと向っていた。
事の顛末はこうだ。
昨日の朝シルビアの書いた手紙をユーリに託し、ユーリが村の人にマイユール氏への手紙を手渡した。
その後手紙は商店連合に渡り、すぐさまマイユール子爵の家に送られることになる。
ここまでは良い。
手紙を出して向こうに到着した、それだけの話だ。
だがその後の展開が速すぎた。
到着した手紙はすぐさまマイユール子爵の手に渡り、中身を確認した子爵が返事をしたため家の者にシュリアン商店へ届けるよう命令したのが昼過ぎ。
その人が馬に乗りシュリアン商店へと到着したのが夕方。
帰ってきた手紙には簡潔にこう書かれていた。
『どちらもすぐに拝見したく明日馬車を向わせるのでそれに乗って参上いただきたい。』
まさかの展開に慌てふためき、とりあえず明日は用事があるので聖日明けではダメかと持ってきた方に聞いたのだが、聖日明けは用事があるのでどうしても明日でなければダメという事になってしまった。
こちらが依頼をしているので決定権はこちらにありそうなものだが、相手が相手かつ事情が事情だけに渋々向こうの要求を呑んだというワケだ。
それでも用意してもらった馬車はかなり上等なものだし、シャルちゃん達も同乗していいということなのでありがたく乗せて貰い今に至る。
午前中はシャルちゃん達の買い物に付き合い、昼過ぎにマイユール子爵の家に行き商談するというのが今日のスケジュールだ。
ちなみに帰りの馬車もこれと同じ物を準備してくれるらしい。
しかも二便も。
今回こちらが持参する品に向こうがどれほどの価値を見出しているのかは分からないが、かなり良い反応である事は間違いない。
「どうなりますかね。」
「わかりません。今の歓迎振りを見るとそれなりに期待できそうですが、欲をかいて失敗したくありません。慎重に行くつもりではあります。」
「目標はいくらだ?」
「角で金貨2.5枚、蜜玉で金貨12.5枚、合計で金貨15枚といった感じでしょうか。」
「かなり強気ですね。」
「もちろん状況を見て値段を下げるつもりではありますが、私の目標を考えると出来るだけ高く買って欲しいというのが本音です。」
なんなら金貨20枚といいたい所だが、当初の見積もり金額を考えるとこのぐらいが相場なのかもしれない。
自分の目標金貨10枚に関しては残り一節でなんとかするしかない。
がんばろう。
「とりあえず着いたらシャルの買い物だな?」
「そうですね市が立っていますから必要な物を買い求めてネムリの店に行きます。」
「その間に私は病院へ行きますね。」
「終わり次第ご主人様に合流いたします。」
「私もセレン様に同行しようと思うんですけどかまいませんか?」
「ニケさんもですか?」
「私は欲しい物ありませんし、それに将来の事も考えて色々聞いておきたいので。」
えーっと、その将来の事というのは具体的に何のことなのでしょうか。
あ、これって聞かないほうがいい奴です?
「それならば私も同行したいのだが・・・、やはり二人が心配だからな。」
「私も買いたい物があるのでご一緒できそうにありません、ユーリ、ニケさんよろしくお願いします。」
「お任せ下さい。」
「エミリアは何か買うのか?」
「あ、その・・・。」
なんだ?
急に俯いて顔を赤くしてしまったぞ。
あの、之も聞いちゃいけない系です?
「なるほど、そういうことなら私も同行しよう。構わないだろ?」
「もちろんです!実は一人では心細くて。」
「そういうことなら話は別だ、男二人に任せて私達は私達の成すべき事をしよう。」
「おいおい丸投げかよ。」
「二人に何かあったら承知しないからな。」
「そんな事させねぇよ。」
「うむ、だからこそ安心して任せられるというものだ。こちらの用事が終わればすぐに合流する、もし遅くなってもネムリの店で落ち合えば問題ないだろう。」
「わかりました。」
まぁ買い物するのにゾロゾロ付き合う必要も無いだろう。
女性の意見がなくなるのはあれだけど使うのはこの二人だし、二人が欲しいと思うものを買えば良い。
俺が付き合うのは交渉する為だ。
値切り交渉・・・、久々に血が騒ぐぜ。
ちなみにウェリスはその護衛、みたいなものだ。
見た目はアレだけど結構な大金を持ち歩いているからね、スラれたりしたら大変なのでその辺をお願いする。
「お昼はどうしますか?」
「買い物をしながら軽く済ませる予定です。夕食は子爵に正体されているので・・・。」
「夕食もかよ、大変だな。」
「一応今日中に帰る予定ではありますが、どう転ぶか分からないのでニケさんとユーリにはみんなと一緒に戻ってもらうことになると思います。申し訳ありません。」
「奴隷の身分で貴族の方と食事を一緒にするなどありえません、大丈夫です。」
「こちらの事はどうぞ御安心を。」
ほんと頼りになりますねぇ。
二人が居なかったら今頃今の半分も商店を回せていなかっただろう。
お金が無い、客が来ない、ダンジョンを上手く作れない。
なんてことになっていたかも。
こわやこわや。
「皆様そろそろサンサトローズへと到着します、東門に着けますが構いませんか?」
おっともう到着するのか。
街道を整備してからホントあっという間の距離になったなぁ。
「お医者様は何処におられるんでしたっけ。」
「東門のすぐのはずだ、騎士団でもよくお世話になっている。」
「じゃあ東門でお願いします。」
「かしこまりました。東門で待機しておりますのでお帰りの際はお声掛け下さい。」
「さぁチビ共久々の買い物だ、精一杯遊べよ。」
「うん!」
「が、頑張ります!」
ウェリスの掛け声に元気一杯応える子供達。
あぁ之が幸せって言うんだろうなぁ。
俺達もいずれ・・・。
うん、そんな未来の為にも今日を頑張ろう。
俺達を乗せて滑るように馬車が坂を下っていく。
眼下に見えるは堅牢な城壁に囲まれた都市。
そこで待ち受けるのは一体・・・。
なーんて、待ってるのは大量の買い物なんだけどね!
「では、これとこれとこれを合わせて買うので銀貨3枚はいかがでしょう。」
「いやいや、せめて5枚は貰わないと!」
「では一緒にこのお皿とこの鍋も一緒にして、合わせて4枚では?」
「あー、わかったわかった!四枚でもっていけ!」
「と、いうことですのでシャルちゃんお願いします。」
「はい!」
おやじとの値切り合戦に勝利し支払いをシャルちゃんに任せ買い物リストをつぶしていく。
皆と別れて市場をまわりはじめて一刻はたっただろうか。
いや、二刻?
ともかくこれでやっと半分って所だ。
一人暮らし始めた時にやったけど、新生活って何かとお金がかかるんだよな。
「なんていうかえげつないな。」
「何がです?」
「お店の人怒ってたよ?」
「怒ってませんよ、それに本当に売りたくなければきっちり断ってきます。ちゃんと利益を出しておられますからそこは大丈夫・・・のはずです。」
市場を回り必要な物をシャルちゃんたちが選びそれを俺が値切っていく。
最初はカモが来たみたいな顔をした店主も俺との交渉でどんどん顔色が悪くなっていく。
そしてギリギリまで値切り合い勝利を収めるのだ。
あぁ、やっぱり買い物って楽しいなぁ。
「お支払い完了しました!」
「じゃあ荷物はウェリスにお願いして次に行きましょうか。」
「おい、いくら何でもこれ以上は持てないぞ。」
と、次の店に行こうとしたらウェリスから抗議の声が上がってきた。
無視することも出来るけどそれをすると後が怖いからなぁ。
大きな木箱に荷物が積み上げられており、木箱を持つ指にも鍋なんかがぶら下げられている。
うん、流石に限界か。
エコバック的なものがあればいいんだけど残念なこの世界には普及していないようだ。
そりゃそうか、ビニールも無いんだから。
「ですが荷物を置きに行く時間ももったいないですし、護衛がいなくなるのも困ります。」
「じゃあどうするんだよ。」
「そんなときは・・・。」
俺はきょろきょろとあたりを見回す。
すると遠巻きに俺たちの様子を伺っていた高校生ぐらいの男の子がサッと駆け寄ってきた。
「どこまで運べばいいですか!?」
「東門の馬車まで、シュリアン商店の馬車と言えばわかります。いくらですか?」
「その量なら銅貨30枚ぐらいで・・・。」
「ではこれで。」
俺はポケットから銀貨を1枚取り出し青年の手に握らせそっと閉じる。
一瞬不思議そうな顔をするも中に握られていた硬貨の色を見て青年が目を輝かせた。
「後二回は運んでもらうことになると思います、この後ガラス製品も大量にあります、自信はありますか?」
「任せてください!」
「では初回はこれを、次が出たら声を掛けますね。」
「はい!」
青年はウェリスから荷物を受け取り元気よく走って行ってしまった。
プロ?だから大丈夫だと思うけどこけたりしないよね?
「高すぎないか?」
「一日拘束しますからあれぐらいでちょうどいいんです。」
「片方では値切れるだけ値切りもう片方では大盤振る舞い。まぁ、そのやり方は嫌いじゃないけどな。」
「一日でも美味しいご飯が食べられれば明日への希望が出ますから。私にできるのはこんな偽善ぐらいですよ。」
「でも、あのお兄さん喜んでました。イナバ様がしたことは間違いじゃないと思います。」
「あはは、シャルちゃん有難う。」
望んで貧しい人なんていない。
何かしらの理由があってその生活を強いられているだけなんだと俺は思っている。
仕事を回すのならそういった人に回したい。
もちろん市場で彼のように仕事を待っている子は大勢いるし、全員に仕事を回せればいいんだけど俺にはそんな財力も力もない。
ならせめてチャンスをつかんだ子ぐらいには手を差し伸べたい。
そう思っただけだ。
「さぁ、荷物持ちがの手が空きましたから次の買い物に行きますよ。」
「次は何を買うんだ?」
「えっと、食器も調理器具も買ったので・・・後は調味料とか備蓄とか日用品ぐらいです。」
「服は?」
「ティオの服が小さくなってきたからそれは買います。」
シルビア様に鍛えてもらってから急に背が伸びてきたもんね。
成長期の子供はすぐ大きくなるんだよな。
「自分の分も買っていいんだからね?」
「でも、私の分も買うとお金が無くなっちゃうし・・・。」
「せっかくこいつから金を撒きあげたんだからそんな事気にしてないで帰る時に買っておけ。」
「いや、巻き上げたって。」
「違ったか?」
「違います。」
「けっ、それぐらい大目に見てやれよ。」
「お姉ちゃんの服?なら僕のお小遣いで買ってあげる!」
「ううん、ティオは自分の好きな物かっていいからね。」
ここまで言ってもなかなか首を縦に振らないシャルちゃん。
まったく、頑固だなぁ。
「まぁ、服はまだ向こうの方ですし先に必要な物を買っておきましょう。あ、あそこで調味料を量り売りしていますね。値段も手ごろですし種類も豊富だ、次はあそこにしましょう。」
「お手柔らかにお願いします。」
「ええ、大船に乗った気持ちでいてください。」
次の標的はあそこだ。
さぁいっちょやったりますか!
っという感じで市場を荒らし?まわり予定通りネムリの店に到着した。
荷物運びの彼にはあれから二回程荷物を運んでもらっている。
残りはここで出るガラス瓶ぐらいだからもうちょっとだけ頑張ってもらおう。
「お、他のやつも戻ってきてるみたいだな。」
「そのようですね。」
窓から中を覗くとセレンさん達も戻ってきているようだ。
ちょっと買い物しすぎたかな?
でもまぁいいか。
「すみませんお待たせしました。」
「あ、お帰りなさい。買い物は上手くいきましたか?」
「はい!イナバ様がいっぱい値切ってくださいました!」
「すごかったんだよ!お店のおじさん泣きそうだったもん。」
「それは見ものだったな。でも、あんな大人になるんじゃないぞ?」
「「はい!」」
ちょっとシルビア様それはひどくないですかね!
一応彼らの為を思って頑張ったんですよ?
それを反面教師にしろとか・・・。
私は悲しい!君ならば私の心理を理解してくれると思っていたのに!
「セレン、どうだった?」
「お医者様のお話ではいつ生まれてもおかしくないそうです。でも、それに怯えて休んでばかりだと産む時に大変なので、お仕事は今まで通りしていいと言われました。」
「てっきり休めと言われると思っていたんだが・・・。まぁ、お前のしたいようにすればいい。」
「街道が整備されたので連絡が来たらすぐに来て下さるそうですから、安心して村で産めますね。」
「ここで産んでも・・・いや、お前はあそこがいいんだったな。」
「村にはみんながいますから、一人はやっぱり心細いです。」
あの村がセレンさんを安心させてくれる。
やっぱり皆がいるってことが一番大切なんだな。
「産気づいたらすぐにエミリアがノア殿に連絡し、商店連合が先生に連絡してくださるそうだ。お前は今まで通りドンと構えておけ。」
「んなこと言ってもなぁ。」
「お前が落ち着けずに家の前をうろうろするだろうって事は村の誰もが分かっている。気にするな。」
「んなことしねぇよ!」
「いや、しますね。だって私が同じ立場ならそうします。」
「お前と一緒とか・・・いや、そうかもしれねぇけどよぉ。」
「僕が一緒にいるから大丈夫だよ!」
「そうか、それなら安心だ。」
「うん!」
ティオ君が得意げな顔をウェリスに向ける。
その顔は実の父親に向けるものと全く変わらないようにみえた。
「時間もありますしやることやってからご飯にしましょうか。ネムリ、瓶と頼んでいた器具をお願いします。」
「わかりましたすぐ持ってきましょう。」
この後のメインイベントに向け出来ることから終わらせていこう。
みんな揃っているという事は、ジャパネットネムリの餌食になっているはずだしね・・・。
あ、あんまり高い物かってないといいなぁ。
なんて不安になったのは内緒だ。
「僕も!美味しいお菓子とかいっぱい買うんだ!」
「コラ、いくらお小遣いあげたからって全部お菓子に使っちゃダメだからね。」
「いいじゃんか、僕のお小遣いだもん!」
「もぅ、迷子になっても知らないんだから。」
サンサトローズへ向う馬車の中。
ウサミミのお子様二人はいつも以上にはしゃいでいた。
それもそうか、奴隷としてダンジョンに来てその後はずっと村に居たんだよな。
別に外出させなかったわけじゃないんだけど、機会が無かったというか何と言うか。
ともかく喜んでくれるのなら良かった。
「あの、本当に良いんでしょうか私達もご一緒させてもらって。」
「元々俺はついていくつもりだったとはいえ、セレンは大丈夫なのか?」
「丁度お医者様に見てもらう用事がありましたから。それに、次いつ行けるか分からないのでこの子に必要な物も色々見ておきたいんです。」
「セレン様には私も同行いたします。何かあればすぐに対応できるよう向こうのお医者様とも連携しておりますのでウェリス様はどうぞ御安心を。」
「なら良いんだが・・・。」
ウェリスが心配そうな顔をしてセレンさんのお腹を見つめている。
幸い今日の馬車は揺れない奴なので安心して向う事ができる。
最初はいつもの馬車を手配するつもりだったのだが、まさかこんなことになるとは思っても見なかった。
「確かにこれほどの馬車を用意されると気が引けるな。」
「あ、シルビアもそう思いますか?」
「こちらから依頼しておいてアレだが返事が昨日の今日だぞ?いくらなんでも早すぎる。」
「朝出した手紙がまさか夕方戻ってくるとは思いもしませんでしたね。」
そう、この馬車は俺が手配したものではない。
例の変人貴族マイユール子爵が準備した馬車に乗り俺達はサンサトローズへと向っていた。
事の顛末はこうだ。
昨日の朝シルビアの書いた手紙をユーリに託し、ユーリが村の人にマイユール氏への手紙を手渡した。
その後手紙は商店連合に渡り、すぐさまマイユール子爵の家に送られることになる。
ここまでは良い。
手紙を出して向こうに到着した、それだけの話だ。
だがその後の展開が速すぎた。
到着した手紙はすぐさまマイユール子爵の手に渡り、中身を確認した子爵が返事をしたため家の者にシュリアン商店へ届けるよう命令したのが昼過ぎ。
その人が馬に乗りシュリアン商店へと到着したのが夕方。
帰ってきた手紙には簡潔にこう書かれていた。
『どちらもすぐに拝見したく明日馬車を向わせるのでそれに乗って参上いただきたい。』
まさかの展開に慌てふためき、とりあえず明日は用事があるので聖日明けではダメかと持ってきた方に聞いたのだが、聖日明けは用事があるのでどうしても明日でなければダメという事になってしまった。
こちらが依頼をしているので決定権はこちらにありそうなものだが、相手が相手かつ事情が事情だけに渋々向こうの要求を呑んだというワケだ。
それでも用意してもらった馬車はかなり上等なものだし、シャルちゃん達も同乗していいということなのでありがたく乗せて貰い今に至る。
午前中はシャルちゃん達の買い物に付き合い、昼過ぎにマイユール子爵の家に行き商談するというのが今日のスケジュールだ。
ちなみに帰りの馬車もこれと同じ物を準備してくれるらしい。
しかも二便も。
今回こちらが持参する品に向こうがどれほどの価値を見出しているのかは分からないが、かなり良い反応である事は間違いない。
「どうなりますかね。」
「わかりません。今の歓迎振りを見るとそれなりに期待できそうですが、欲をかいて失敗したくありません。慎重に行くつもりではあります。」
「目標はいくらだ?」
「角で金貨2.5枚、蜜玉で金貨12.5枚、合計で金貨15枚といった感じでしょうか。」
「かなり強気ですね。」
「もちろん状況を見て値段を下げるつもりではありますが、私の目標を考えると出来るだけ高く買って欲しいというのが本音です。」
なんなら金貨20枚といいたい所だが、当初の見積もり金額を考えるとこのぐらいが相場なのかもしれない。
自分の目標金貨10枚に関しては残り一節でなんとかするしかない。
がんばろう。
「とりあえず着いたらシャルの買い物だな?」
「そうですね市が立っていますから必要な物を買い求めてネムリの店に行きます。」
「その間に私は病院へ行きますね。」
「終わり次第ご主人様に合流いたします。」
「私もセレン様に同行しようと思うんですけどかまいませんか?」
「ニケさんもですか?」
「私は欲しい物ありませんし、それに将来の事も考えて色々聞いておきたいので。」
えーっと、その将来の事というのは具体的に何のことなのでしょうか。
あ、これって聞かないほうがいい奴です?
「それならば私も同行したいのだが・・・、やはり二人が心配だからな。」
「私も買いたい物があるのでご一緒できそうにありません、ユーリ、ニケさんよろしくお願いします。」
「お任せ下さい。」
「エミリアは何か買うのか?」
「あ、その・・・。」
なんだ?
急に俯いて顔を赤くしてしまったぞ。
あの、之も聞いちゃいけない系です?
「なるほど、そういうことなら私も同行しよう。構わないだろ?」
「もちろんです!実は一人では心細くて。」
「そういうことなら話は別だ、男二人に任せて私達は私達の成すべき事をしよう。」
「おいおい丸投げかよ。」
「二人に何かあったら承知しないからな。」
「そんな事させねぇよ。」
「うむ、だからこそ安心して任せられるというものだ。こちらの用事が終わればすぐに合流する、もし遅くなってもネムリの店で落ち合えば問題ないだろう。」
「わかりました。」
まぁ買い物するのにゾロゾロ付き合う必要も無いだろう。
女性の意見がなくなるのはあれだけど使うのはこの二人だし、二人が欲しいと思うものを買えば良い。
俺が付き合うのは交渉する為だ。
値切り交渉・・・、久々に血が騒ぐぜ。
ちなみにウェリスはその護衛、みたいなものだ。
見た目はアレだけど結構な大金を持ち歩いているからね、スラれたりしたら大変なのでその辺をお願いする。
「お昼はどうしますか?」
「買い物をしながら軽く済ませる予定です。夕食は子爵に正体されているので・・・。」
「夕食もかよ、大変だな。」
「一応今日中に帰る予定ではありますが、どう転ぶか分からないのでニケさんとユーリにはみんなと一緒に戻ってもらうことになると思います。申し訳ありません。」
「奴隷の身分で貴族の方と食事を一緒にするなどありえません、大丈夫です。」
「こちらの事はどうぞ御安心を。」
ほんと頼りになりますねぇ。
二人が居なかったら今頃今の半分も商店を回せていなかっただろう。
お金が無い、客が来ない、ダンジョンを上手く作れない。
なんてことになっていたかも。
こわやこわや。
「皆様そろそろサンサトローズへと到着します、東門に着けますが構いませんか?」
おっともう到着するのか。
街道を整備してからホントあっという間の距離になったなぁ。
「お医者様は何処におられるんでしたっけ。」
「東門のすぐのはずだ、騎士団でもよくお世話になっている。」
「じゃあ東門でお願いします。」
「かしこまりました。東門で待機しておりますのでお帰りの際はお声掛け下さい。」
「さぁチビ共久々の買い物だ、精一杯遊べよ。」
「うん!」
「が、頑張ります!」
ウェリスの掛け声に元気一杯応える子供達。
あぁ之が幸せって言うんだろうなぁ。
俺達もいずれ・・・。
うん、そんな未来の為にも今日を頑張ろう。
俺達を乗せて滑るように馬車が坂を下っていく。
眼下に見えるは堅牢な城壁に囲まれた都市。
そこで待ち受けるのは一体・・・。
なーんて、待ってるのは大量の買い物なんだけどね!
「では、これとこれとこれを合わせて買うので銀貨3枚はいかがでしょう。」
「いやいや、せめて5枚は貰わないと!」
「では一緒にこのお皿とこの鍋も一緒にして、合わせて4枚では?」
「あー、わかったわかった!四枚でもっていけ!」
「と、いうことですのでシャルちゃんお願いします。」
「はい!」
おやじとの値切り合戦に勝利し支払いをシャルちゃんに任せ買い物リストをつぶしていく。
皆と別れて市場をまわりはじめて一刻はたっただろうか。
いや、二刻?
ともかくこれでやっと半分って所だ。
一人暮らし始めた時にやったけど、新生活って何かとお金がかかるんだよな。
「なんていうかえげつないな。」
「何がです?」
「お店の人怒ってたよ?」
「怒ってませんよ、それに本当に売りたくなければきっちり断ってきます。ちゃんと利益を出しておられますからそこは大丈夫・・・のはずです。」
市場を回り必要な物をシャルちゃんたちが選びそれを俺が値切っていく。
最初はカモが来たみたいな顔をした店主も俺との交渉でどんどん顔色が悪くなっていく。
そしてギリギリまで値切り合い勝利を収めるのだ。
あぁ、やっぱり買い物って楽しいなぁ。
「お支払い完了しました!」
「じゃあ荷物はウェリスにお願いして次に行きましょうか。」
「おい、いくら何でもこれ以上は持てないぞ。」
と、次の店に行こうとしたらウェリスから抗議の声が上がってきた。
無視することも出来るけどそれをすると後が怖いからなぁ。
大きな木箱に荷物が積み上げられており、木箱を持つ指にも鍋なんかがぶら下げられている。
うん、流石に限界か。
エコバック的なものがあればいいんだけど残念なこの世界には普及していないようだ。
そりゃそうか、ビニールも無いんだから。
「ですが荷物を置きに行く時間ももったいないですし、護衛がいなくなるのも困ります。」
「じゃあどうするんだよ。」
「そんなときは・・・。」
俺はきょろきょろとあたりを見回す。
すると遠巻きに俺たちの様子を伺っていた高校生ぐらいの男の子がサッと駆け寄ってきた。
「どこまで運べばいいですか!?」
「東門の馬車まで、シュリアン商店の馬車と言えばわかります。いくらですか?」
「その量なら銅貨30枚ぐらいで・・・。」
「ではこれで。」
俺はポケットから銀貨を1枚取り出し青年の手に握らせそっと閉じる。
一瞬不思議そうな顔をするも中に握られていた硬貨の色を見て青年が目を輝かせた。
「後二回は運んでもらうことになると思います、この後ガラス製品も大量にあります、自信はありますか?」
「任せてください!」
「では初回はこれを、次が出たら声を掛けますね。」
「はい!」
青年はウェリスから荷物を受け取り元気よく走って行ってしまった。
プロ?だから大丈夫だと思うけどこけたりしないよね?
「高すぎないか?」
「一日拘束しますからあれぐらいでちょうどいいんです。」
「片方では値切れるだけ値切りもう片方では大盤振る舞い。まぁ、そのやり方は嫌いじゃないけどな。」
「一日でも美味しいご飯が食べられれば明日への希望が出ますから。私にできるのはこんな偽善ぐらいですよ。」
「でも、あのお兄さん喜んでました。イナバ様がしたことは間違いじゃないと思います。」
「あはは、シャルちゃん有難う。」
望んで貧しい人なんていない。
何かしらの理由があってその生活を強いられているだけなんだと俺は思っている。
仕事を回すのならそういった人に回したい。
もちろん市場で彼のように仕事を待っている子は大勢いるし、全員に仕事を回せればいいんだけど俺にはそんな財力も力もない。
ならせめてチャンスをつかんだ子ぐらいには手を差し伸べたい。
そう思っただけだ。
「さぁ、荷物持ちがの手が空きましたから次の買い物に行きますよ。」
「次は何を買うんだ?」
「えっと、食器も調理器具も買ったので・・・後は調味料とか備蓄とか日用品ぐらいです。」
「服は?」
「ティオの服が小さくなってきたからそれは買います。」
シルビア様に鍛えてもらってから急に背が伸びてきたもんね。
成長期の子供はすぐ大きくなるんだよな。
「自分の分も買っていいんだからね?」
「でも、私の分も買うとお金が無くなっちゃうし・・・。」
「せっかくこいつから金を撒きあげたんだからそんな事気にしてないで帰る時に買っておけ。」
「いや、巻き上げたって。」
「違ったか?」
「違います。」
「けっ、それぐらい大目に見てやれよ。」
「お姉ちゃんの服?なら僕のお小遣いで買ってあげる!」
「ううん、ティオは自分の好きな物かっていいからね。」
ここまで言ってもなかなか首を縦に振らないシャルちゃん。
まったく、頑固だなぁ。
「まぁ、服はまだ向こうの方ですし先に必要な物を買っておきましょう。あ、あそこで調味料を量り売りしていますね。値段も手ごろですし種類も豊富だ、次はあそこにしましょう。」
「お手柔らかにお願いします。」
「ええ、大船に乗った気持ちでいてください。」
次の標的はあそこだ。
さぁいっちょやったりますか!
っという感じで市場を荒らし?まわり予定通りネムリの店に到着した。
荷物運びの彼にはあれから二回程荷物を運んでもらっている。
残りはここで出るガラス瓶ぐらいだからもうちょっとだけ頑張ってもらおう。
「お、他のやつも戻ってきてるみたいだな。」
「そのようですね。」
窓から中を覗くとセレンさん達も戻ってきているようだ。
ちょっと買い物しすぎたかな?
でもまぁいいか。
「すみませんお待たせしました。」
「あ、お帰りなさい。買い物は上手くいきましたか?」
「はい!イナバ様がいっぱい値切ってくださいました!」
「すごかったんだよ!お店のおじさん泣きそうだったもん。」
「それは見ものだったな。でも、あんな大人になるんじゃないぞ?」
「「はい!」」
ちょっとシルビア様それはひどくないですかね!
一応彼らの為を思って頑張ったんですよ?
それを反面教師にしろとか・・・。
私は悲しい!君ならば私の心理を理解してくれると思っていたのに!
「セレン、どうだった?」
「お医者様のお話ではいつ生まれてもおかしくないそうです。でも、それに怯えて休んでばかりだと産む時に大変なので、お仕事は今まで通りしていいと言われました。」
「てっきり休めと言われると思っていたんだが・・・。まぁ、お前のしたいようにすればいい。」
「街道が整備されたので連絡が来たらすぐに来て下さるそうですから、安心して村で産めますね。」
「ここで産んでも・・・いや、お前はあそこがいいんだったな。」
「村にはみんながいますから、一人はやっぱり心細いです。」
あの村がセレンさんを安心させてくれる。
やっぱり皆がいるってことが一番大切なんだな。
「産気づいたらすぐにエミリアがノア殿に連絡し、商店連合が先生に連絡してくださるそうだ。お前は今まで通りドンと構えておけ。」
「んなこと言ってもなぁ。」
「お前が落ち着けずに家の前をうろうろするだろうって事は村の誰もが分かっている。気にするな。」
「んなことしねぇよ!」
「いや、しますね。だって私が同じ立場ならそうします。」
「お前と一緒とか・・・いや、そうかもしれねぇけどよぉ。」
「僕が一緒にいるから大丈夫だよ!」
「そうか、それなら安心だ。」
「うん!」
ティオ君が得意げな顔をウェリスに向ける。
その顔は実の父親に向けるものと全く変わらないようにみえた。
「時間もありますしやることやってからご飯にしましょうか。ネムリ、瓶と頼んでいた器具をお願いします。」
「わかりましたすぐ持ってきましょう。」
この後のメインイベントに向け出来ることから終わらせていこう。
みんな揃っているという事は、ジャパネットネムリの餌食になっているはずだしね・・・。
あ、あんまり高い物かってないといいなぁ。
なんて不安になったのは内緒だ。
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壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
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第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
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縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は……
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