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第十五章
現実なのかそれとも幻なのか
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落ちる。
どこまでも落ちる。
まるでスカイダイビングのように上から下にどんどんと落ちているのが分かる。
でも目が明かないのか景色が見えない。
落ちているように感じているだけで実は上っているのかもしれない。
気が付いたらそんな感じが続いていた。
確かにベッドに倒れこんで毛布に沈み込むようにして寝た記憶はあるけど、落ちるようなことはありえない。
じゃあこの感覚は何だ?
今だハッキリしない頭を目覚めさせるため頭を何度も振り、両手を使って目をこじ開ける。
そこまでして飛び込んできた光景は、大きな樹の幹だった。
「またここか。」
前回ここに来たのが二日前。
あれ、寝たから三日前?
今はどっちでもいい、ともかくまたここにきてしまったようだ。
両手を放しても目を開けられるぐらいには覚醒した。
目の前には大きな樹、後ろは草原と雲一つない青空。
確か風雨から隠れる場所を探して幹の周りをまわっている途中で睡魔に襲われたんだっけ。
ってことはリスタートはここで間違いない。
ほんと何のために俺をこの世界?に連れてくるんだろうか。
目的も理由もわからないんだよなぁ。
困ったもんだ。
とりあえず大きく伸びをして体をほぐし脳に血液を送り込む。
今俺にできること、それは考えることだ。
目的も理由もわからないのに何を考えるのかって?
簡単だ、何をできるのかを考えるんだ。
おそらく今回も制限時間が来ると風が強くなり雨が降ってくる。
前回はユーリが声をかけてくれたので目を覚ますことが出来た。
おそらく今回も誰かが声をかけてくれることで目を覚ますことが出来るだろう。
幸いここに来る前は家の中だったし、今日はシルビア様の番だから寝る前に部屋に来てくれるはずだ。
という事は誰かが絶対に声をかけてくれる状況にある。
つまり、この世界に放置されることはありえない。
なら安心して出来ることを考えればいいじゃないか。
昨日皆に相談すれば話は早かったんだけど、いろいろ立て込んでいたし二日無かったからつい気が緩んでしまった。
戻ったらちゃんと皆に説明しよう。
そうしよう。
「とりあえず何が出来る?」
考えを声に出し自分で自分に問いかける。
頭で考えるより声に出しアウトプットする方が考え事にはいいと聞いたことがある。
ぬいぐるみかなんかに話しかけるんだっけ?
今の俺にはそんなものがないので樹の幹に向かって話しかけることにした。
「この前はこの樹を発見して川から来た。今回も何か見えるかもしれない。それと・・・そうだ、樹の音だ、まだ聞こえるのか?」
慌てて樹の幹に手を付けるとかすかに例のリズムが聞こえてくる。
トン ツー トンツー トントン ツー
そうそうこんな感じだった。
意味は解らないけど妙に安心するんだよな。
きっと何かの意味があるんだろうけど、今は別の可能性を探そう。
「とりあえず周りに変化は無し。見えるのは草原と空だけ、踏み荒らされた感じからあっちが川の方角か。」
太陽が東から上がってくると仮定すると北側になるんだろう。
そっちに俺の歩いてきた道が黒い筋のように浮かび上がっていた。
でもそこまでだ。
前回のように新しい何かは発見できない。
さてどうする。
無計画に進むことも出来るけど、あの雨を考えるとそれはまずい。
じゃあどうする?
「マップの無いオープンワールドの鉄則は円周移動・・・それと上だよな。」
ベースキャンプがあればそこを中心に円を描くように移動するのが鉄則。
でも、それでもダメな場合は高所に上って離れたところを見る。
そうすると普段見えなかったものが見える・・・ことが多い。
「現状だと・・・この上か。」
俺はゆっくりを目線を上にあげる。
そこにあるのは現状確認できる中で一番高い場所だ。
かなり高さはある。
でも、そこまで行けば何か見えるかもしれない。
「何もしないよりはましか・・・。木登りとか何年ぶりだろう。」
これでも昔は野山を駆け回ったタイプだ。
もっとも、小学生の時の話だけど・・・。
それでも可能性があるのならやるしかない。
今度は登れそうな場所を探しながらもう一度幹の周りを歩き始めると、すぐにそれらしいところが見つかった。
まるで俺が考えたから急ごしらえで作られたような、そんなわかりやすい窪みが上に続いている。
まさかな。
でもこれはチャンスだ。
そう思ったら後は考える前に体が動いていた。
窪みに足をかけ、つかみやすい場所に手を添えて体を引っ張り上げる。
また滑らない場所に足をかけ、つかめる場所を探し、引っ張り上げる。
その繰り返し。
足をかけ、掴み、上げる。
足をかけ、掴み、上げる。
掴んだ時に聞こえてくるあのリズムが、まるで頑張れと応援してくれているようにすら感じる。
繰り返すたびにどんどんと目線が高くなり、ふと下を見ると地面がだいぶ小さく見えるぐらいの高さまで登っていた。
不思議と疲れはなかった。
今の俺ならどこまでも登れそうだ。
そんな自信が体に満ち溢れ、高さへの恐怖よりも登ることへの達成感が勝っていた。
そしてついに幹から大きく左右に枝葉を広げる所までやって来た。
高い。
落ちればひとたまりもないだろう。
でも、ここまで登れば何かが見えるに違いない。
そう信じて枝にしがみつきながらミノムシのように先へと向かった。
最初は枝葉が邪魔で見通せなかった視界が先に進むたびに広がり、そしてついに開けた。
「おぉ・・・。」
思わず声が漏れてしまうぐらいの光景が目に飛び込んでくる。
それはとてもとても広大な草原だった。
どこまでも緑色の台地が広がり、風に揺れる草がまるで波のように白く光っている。
そのど真ん中を一本の川が流れ緑の大地を真っ二つに切り裂いていた。
果ては見えなかった。
でも絶望感はない。
何故ならその遥か先の先、地平線に緑の大地が吸い込まれそうなそんな場所に望んでいた変化があったからだ。
小さく見えるが間違いなくそこに、この樹のような背の高い何かが見えた。
あそこに行けば何かがある。
川を越え、遥か地平線の先まで行けば、望んでいるものがある。
それが分かっただけでもここまで登ってきたかいがあったってもんだ。
そんな達成感が俺の心を満たしてくれた。
この世界に呼ばれた意味は解らない。
でも、あそこまで行けば何かわかるかもしれない。
諦めずに可能性を探せば、答えは出てくる。
行こう。
あそこまで。
俺はそう決意した。
『ただの人間がここまで来れるなんて、流石娘の見込んだ男の子ね。』
「え?」
突然聞こえてきた声に慌てて後ろを振り返ったその時、緊張の糸がほどけたのかバランスを崩してしまいしがみついていた枝から滑り落ちそうになってしまった。
慌てて枝をつかむも体は滑り落ち、かろうじて両手で体を支える状態になる。
まるで鉄棒にぶら下がっているような感じだ。
って何冷静に状況判断してるんだよ。
やばいやばいやばい。
このまま落ちたら間違いなく死ぬ。
絶対死ぬ。
チートとかそんなの無視して死ぬ。
いや、もしかしたら不死身なのかもしれないけど確認することなんてできないし。
とにかく体を上に引き上げないと・・・。
懸垂する要領で体を上に引き上げる。
何とか枝が胸元に来るまで体を引き上げたその時だった。
強い風が吹きつけ枝が上下に激しく揺れる。
せっかく体を持ち上げたのにバランスを崩し、またぶら下がってしまった。
視線を外に向けるとさっきまでの青空が一変、灰色の雲に覆われている。
くそ、このタイミングで時間切れかよ。
あと少しすれば風だけでなく雨も容赦なく吹き付けてくるだろう。
それまでに上にあがって幹まで退避しなければ。
風が弱くなったタイミングを狙いもう一度体を引っ張り上げる。
胸元からお腹まで根性で引っ張り上げさぁ後はしがみつくだけと思ったその時。
ゴゥという音とともに一際強い風が俺の体を襲った。
ちょうど力を緩めたタイミングで成す術なく体が持っていかれる。
なんとか引っ張り上げた体は風に流されせっかく保ったバランスは物の見事に崩れてしまった。
気づいたときには右手一本でかろうじて枝にぶら下がっている状態だ。
いや、まじで勘弁して。
もうちょっと。
もうちょっとなんだ。
せっかく次の目標を見つけたのにこんな所でくじけてたまるか!
下を向いた左手をもう一度頭上へと持ち上げ枝を掴めばまだいける。
最後の力を振り絞り反動をつけるように左手を上に伸ばした。
あと五センチ。
あと三センチ。
あと一センチ。
あと・・・。
左手の中指が枝に触れる。
後は枝を掴めば・・・そう思った刹那。
無常な風が再び俺の体を押し流し、気づけば右手も空を掴んでいた。
後は重力に従うまま。
落ちる。
落ちる。
落ちる。
まるで最初にここへ来た時のようにスカイダイビング宜しく落下していく。
最初は目が開いていなかったからわからないけれど、今ははっきりと地面が見える。
近づいてくる。
あ、死ぬ。
恐怖とかそんなものを感じる暇もなく、あっという間に地面が近づいてきて・・・。
「おい、シュウイチ起きろ。」
迫ってきた地面は何故かシルビア様の顔にすり替わっていた。
「え?」
「疲れているのはわかるがベッドから落ちたままでは風邪をひくぞ。ほら、私も入るから横を開けてくれ。」
「あ、はい。」
手を引っ張られるまま体を起こし、ベッドの縁に腰かける。
さっきまで死の間際にいたのに今は愛する妻が暖かなベッドのそばにいる。
そのあまりにも大きなギャップに心がまだ追いついていなかった。
「やれやれやっと書き終わった。本当はもっと早く戻ってくるつもりだったんだが、待たせてすまんな。」
「いえ大丈夫です。お疲れさまでした。」
「コラ、あんな所で寝ているから体が冷え切っているではないか。ほら、もっとこっちに来い、温めてやる。」
言われるがまま体を引っ張られ、毛布にくるまったシルビアの胸元にすっぽりと頭が収まる。
暖かな脚が俺の脚に絡みつき、体全体がシルビアに包まれてしまった。
あの時、もし地面にぶつかっていたら俺の体はどうなっていたんだろうか。
心が死ぬと肉体も死ぬというけど、あのまま冷たくなったとか?
「春が近いとはいえまだ冷え込むな。明日も早い、本当はお前を感じたい所だが・・・、今日はお互いに疲れただろうまた今度にするとしよう。」
返事は出来なかった。
その代わりに強くシルビアの体を抱きしめ、胸いっぱいにシルビアの香りを吸い込むと一瞬にして意識を失ってしまった。
「いらっしゃいませ、ようこそシュリアン商店へ。」
「お、久々だな。元気にしていたか?」
「はい!今日はカムリ騎士団長より伝言を持ってまいりました!」
翌朝。
意識を失うようにして寝ていた俺はシルビア様が起きても目を覚まさなかった。
あの、朝の弱いシルビア様が俺を起こせたと喜んでいたぐらいだ。
本当にあれは何だったんだろう。
あの恐怖は間違いなく本物だった。
もしあのまま地面と激突していたら・・・。
そう考えるとまた怖くなり、起こしてくれたシルビア様に恥ずかしくも抱き着いてしまったぐらいだ。
そんな俺の頭を優しく撫でて落ち着くまで寄り添ってくれたシルビア様は、なんとか店頭に立てるぐらいに回復した俺の傍でやってくる客と談笑していた。
おや、よく見ると騎士団の人じゃないか。
カムリからの伝言?
一体なんだろう。
「カムリから?良ければ話を聞こう。」
「先日依頼を受けた基金の件ですが多くの賛同を得られそうなので春節になり次第実行いたします。とのことです!」
「そうか、わかった。だが、今日はそれだけではないのだろう?」
よく見ると伝言を伝えに来た団員の後ろには四人ほどの別の団員が緊張した面持ちでこちらを見ている。
「新人にダンジョンでの魔物との戦闘を体験させるべくやって参りました。ダンジョンの使用許可を頂けますでしょうか。」
「そうかもうそんな時期か。」
「今までは野良ダンジョンでしたが、ここならばいい腕試しが出来ると団員の中でも評判です。こちらが使用に際しての使用料と誓約書になりますご確認ください。」
「と、いう事らしいが構わないか?」
シルビア様から回ってきた書類を受け取り中身を確認する。
何々、『我々はダンジョン内で起きたいかなる事案に関して自己責任にて処理いたします。』だって?
いやまぁ確かにそうなんですけど・・・。
「使用料は頂いておりませんが。」
「決まりですのでどうかお納めください。」
「貰ってやってくれ、収めることに意味があるんだ。」
一緒に渡された袋に入っていたのは銀貨10枚。
一人当たり銀貨2枚は高すぎませんかねぇ。
「そういう事でしたらありがたく頂戴いたします。」
「許可頂きありがとうございます!おい、行くぞ!」
「「「「はい!」」」」
元気よく返事をしてダンジョンへと行軍していく。
その姿に商店内にいた冒険者もあっけにとられていた。
「たまに腕試しで団員の方が来られますがあれとはまた違うんですか?」
「後ろの四人が今年の新人だ。一年間の鍛錬の成果を見るための試験だと思ってもらえばわかりやすいだろうか。」
「なるほど卒業試験ですか。」
「春になればまた新人が入ってくるしそうなればそこからはもう先輩だ。立派な団員として下を導けるよう気を引き締めさせるのと、同じ魔物でも場所が変われば戦い方が変わることを学ばせる意味もある。ここで躓く様であれば他の団員を危険にさらす可能性が上がるからな、それを見極める為の試験なのだ。」
「厳しいですねぇ。」
「我々にはこの土地を、ここの人たちを守る義務がある。そのためには必要なことなのだ。」
冒険者には冒険者の苦労があり、騎士団には騎士団の苦労がある。
皆前に進むために必死なのだ。
俺も頑張らなくちゃなぁ。
「だいぶ顔色が良くなったようだな。」
「すみません心配をかけて。」
「なに、弱ったシュウイチもたまにはいいものだ。」
母性をくすぐるとかそういうのだろうか。
よくわからん。
「ご主人様ただいま戻りました。」
「あ、ユーリお帰りなさいお疲れさまでした早かったですね。」
「ちょうどサンサトローズへ行く方がいましたので手紙をお願いしてきました。商店連合に持って行っていただき、ノア様が届けてくれる手はずとなっております。早ければ二、三日で返事が来るとのことです。」
「わかりました、ゆっくり休んでください。」
「今日は暇なようですね、昨日の話もありますので念の為森を巡回してきます。」
「私も行こう。」
「いえ、シア奥様はご主人様の傍でお待ちください。」
「そうかわかった。」
昨日話していた妙な視線の事を覚えてくれていたようだ。
何もないとは思うけど、念には念をというやつだな。
「精霊様は何もおっしゃっていないのか?」
「ドリちゃんに聞いたんですがまた返事がないんです。」
「ふむ、この前の一件が片付いたというのにおかしいな。」
「その代わりディーちゃんには連絡がつきましたので伝えてもらえるようお願いしていますから、何かあれば連絡があると思います。」
完全に音信不通というわけではなさそうだ。
手紙の返事が来るまで二日ほど。
明日は聖日で街に出るけど買い物の予定があるし、出来ればそれが終わってからがうれしいなぁ。
シャルちゃん楽しみにしてるしね。
「お、シュウイチ客が来たぞ。」
「ようこそシュリアン商店へ、今日はどのようなご用件ですか?」
何はともあれまずはお客の相手をしないと。
定期便の日ではないのに今日も良く冒険者がやってくる。
さぁ頑張りましょうかね!
どこまでも落ちる。
まるでスカイダイビングのように上から下にどんどんと落ちているのが分かる。
でも目が明かないのか景色が見えない。
落ちているように感じているだけで実は上っているのかもしれない。
気が付いたらそんな感じが続いていた。
確かにベッドに倒れこんで毛布に沈み込むようにして寝た記憶はあるけど、落ちるようなことはありえない。
じゃあこの感覚は何だ?
今だハッキリしない頭を目覚めさせるため頭を何度も振り、両手を使って目をこじ開ける。
そこまでして飛び込んできた光景は、大きな樹の幹だった。
「またここか。」
前回ここに来たのが二日前。
あれ、寝たから三日前?
今はどっちでもいい、ともかくまたここにきてしまったようだ。
両手を放しても目を開けられるぐらいには覚醒した。
目の前には大きな樹、後ろは草原と雲一つない青空。
確か風雨から隠れる場所を探して幹の周りをまわっている途中で睡魔に襲われたんだっけ。
ってことはリスタートはここで間違いない。
ほんと何のために俺をこの世界?に連れてくるんだろうか。
目的も理由もわからないんだよなぁ。
困ったもんだ。
とりあえず大きく伸びをして体をほぐし脳に血液を送り込む。
今俺にできること、それは考えることだ。
目的も理由もわからないのに何を考えるのかって?
簡単だ、何をできるのかを考えるんだ。
おそらく今回も制限時間が来ると風が強くなり雨が降ってくる。
前回はユーリが声をかけてくれたので目を覚ますことが出来た。
おそらく今回も誰かが声をかけてくれることで目を覚ますことが出来るだろう。
幸いここに来る前は家の中だったし、今日はシルビア様の番だから寝る前に部屋に来てくれるはずだ。
という事は誰かが絶対に声をかけてくれる状況にある。
つまり、この世界に放置されることはありえない。
なら安心して出来ることを考えればいいじゃないか。
昨日皆に相談すれば話は早かったんだけど、いろいろ立て込んでいたし二日無かったからつい気が緩んでしまった。
戻ったらちゃんと皆に説明しよう。
そうしよう。
「とりあえず何が出来る?」
考えを声に出し自分で自分に問いかける。
頭で考えるより声に出しアウトプットする方が考え事にはいいと聞いたことがある。
ぬいぐるみかなんかに話しかけるんだっけ?
今の俺にはそんなものがないので樹の幹に向かって話しかけることにした。
「この前はこの樹を発見して川から来た。今回も何か見えるかもしれない。それと・・・そうだ、樹の音だ、まだ聞こえるのか?」
慌てて樹の幹に手を付けるとかすかに例のリズムが聞こえてくる。
トン ツー トンツー トントン ツー
そうそうこんな感じだった。
意味は解らないけど妙に安心するんだよな。
きっと何かの意味があるんだろうけど、今は別の可能性を探そう。
「とりあえず周りに変化は無し。見えるのは草原と空だけ、踏み荒らされた感じからあっちが川の方角か。」
太陽が東から上がってくると仮定すると北側になるんだろう。
そっちに俺の歩いてきた道が黒い筋のように浮かび上がっていた。
でもそこまでだ。
前回のように新しい何かは発見できない。
さてどうする。
無計画に進むことも出来るけど、あの雨を考えるとそれはまずい。
じゃあどうする?
「マップの無いオープンワールドの鉄則は円周移動・・・それと上だよな。」
ベースキャンプがあればそこを中心に円を描くように移動するのが鉄則。
でも、それでもダメな場合は高所に上って離れたところを見る。
そうすると普段見えなかったものが見える・・・ことが多い。
「現状だと・・・この上か。」
俺はゆっくりを目線を上にあげる。
そこにあるのは現状確認できる中で一番高い場所だ。
かなり高さはある。
でも、そこまで行けば何か見えるかもしれない。
「何もしないよりはましか・・・。木登りとか何年ぶりだろう。」
これでも昔は野山を駆け回ったタイプだ。
もっとも、小学生の時の話だけど・・・。
それでも可能性があるのならやるしかない。
今度は登れそうな場所を探しながらもう一度幹の周りを歩き始めると、すぐにそれらしいところが見つかった。
まるで俺が考えたから急ごしらえで作られたような、そんなわかりやすい窪みが上に続いている。
まさかな。
でもこれはチャンスだ。
そう思ったら後は考える前に体が動いていた。
窪みに足をかけ、つかみやすい場所に手を添えて体を引っ張り上げる。
また滑らない場所に足をかけ、つかめる場所を探し、引っ張り上げる。
その繰り返し。
足をかけ、掴み、上げる。
足をかけ、掴み、上げる。
掴んだ時に聞こえてくるあのリズムが、まるで頑張れと応援してくれているようにすら感じる。
繰り返すたびにどんどんと目線が高くなり、ふと下を見ると地面がだいぶ小さく見えるぐらいの高さまで登っていた。
不思議と疲れはなかった。
今の俺ならどこまでも登れそうだ。
そんな自信が体に満ち溢れ、高さへの恐怖よりも登ることへの達成感が勝っていた。
そしてついに幹から大きく左右に枝葉を広げる所までやって来た。
高い。
落ちればひとたまりもないだろう。
でも、ここまで登れば何かが見えるに違いない。
そう信じて枝にしがみつきながらミノムシのように先へと向かった。
最初は枝葉が邪魔で見通せなかった視界が先に進むたびに広がり、そしてついに開けた。
「おぉ・・・。」
思わず声が漏れてしまうぐらいの光景が目に飛び込んでくる。
それはとてもとても広大な草原だった。
どこまでも緑色の台地が広がり、風に揺れる草がまるで波のように白く光っている。
そのど真ん中を一本の川が流れ緑の大地を真っ二つに切り裂いていた。
果ては見えなかった。
でも絶望感はない。
何故ならその遥か先の先、地平線に緑の大地が吸い込まれそうなそんな場所に望んでいた変化があったからだ。
小さく見えるが間違いなくそこに、この樹のような背の高い何かが見えた。
あそこに行けば何かがある。
川を越え、遥か地平線の先まで行けば、望んでいるものがある。
それが分かっただけでもここまで登ってきたかいがあったってもんだ。
そんな達成感が俺の心を満たしてくれた。
この世界に呼ばれた意味は解らない。
でも、あそこまで行けば何かわかるかもしれない。
諦めずに可能性を探せば、答えは出てくる。
行こう。
あそこまで。
俺はそう決意した。
『ただの人間がここまで来れるなんて、流石娘の見込んだ男の子ね。』
「え?」
突然聞こえてきた声に慌てて後ろを振り返ったその時、緊張の糸がほどけたのかバランスを崩してしまいしがみついていた枝から滑り落ちそうになってしまった。
慌てて枝をつかむも体は滑り落ち、かろうじて両手で体を支える状態になる。
まるで鉄棒にぶら下がっているような感じだ。
って何冷静に状況判断してるんだよ。
やばいやばいやばい。
このまま落ちたら間違いなく死ぬ。
絶対死ぬ。
チートとかそんなの無視して死ぬ。
いや、もしかしたら不死身なのかもしれないけど確認することなんてできないし。
とにかく体を上に引き上げないと・・・。
懸垂する要領で体を上に引き上げる。
何とか枝が胸元に来るまで体を引き上げたその時だった。
強い風が吹きつけ枝が上下に激しく揺れる。
せっかく体を持ち上げたのにバランスを崩し、またぶら下がってしまった。
視線を外に向けるとさっきまでの青空が一変、灰色の雲に覆われている。
くそ、このタイミングで時間切れかよ。
あと少しすれば風だけでなく雨も容赦なく吹き付けてくるだろう。
それまでに上にあがって幹まで退避しなければ。
風が弱くなったタイミングを狙いもう一度体を引っ張り上げる。
胸元からお腹まで根性で引っ張り上げさぁ後はしがみつくだけと思ったその時。
ゴゥという音とともに一際強い風が俺の体を襲った。
ちょうど力を緩めたタイミングで成す術なく体が持っていかれる。
なんとか引っ張り上げた体は風に流されせっかく保ったバランスは物の見事に崩れてしまった。
気づいたときには右手一本でかろうじて枝にぶら下がっている状態だ。
いや、まじで勘弁して。
もうちょっと。
もうちょっとなんだ。
せっかく次の目標を見つけたのにこんな所でくじけてたまるか!
下を向いた左手をもう一度頭上へと持ち上げ枝を掴めばまだいける。
最後の力を振り絞り反動をつけるように左手を上に伸ばした。
あと五センチ。
あと三センチ。
あと一センチ。
あと・・・。
左手の中指が枝に触れる。
後は枝を掴めば・・・そう思った刹那。
無常な風が再び俺の体を押し流し、気づけば右手も空を掴んでいた。
後は重力に従うまま。
落ちる。
落ちる。
落ちる。
まるで最初にここへ来た時のようにスカイダイビング宜しく落下していく。
最初は目が開いていなかったからわからないけれど、今ははっきりと地面が見える。
近づいてくる。
あ、死ぬ。
恐怖とかそんなものを感じる暇もなく、あっという間に地面が近づいてきて・・・。
「おい、シュウイチ起きろ。」
迫ってきた地面は何故かシルビア様の顔にすり替わっていた。
「え?」
「疲れているのはわかるがベッドから落ちたままでは風邪をひくぞ。ほら、私も入るから横を開けてくれ。」
「あ、はい。」
手を引っ張られるまま体を起こし、ベッドの縁に腰かける。
さっきまで死の間際にいたのに今は愛する妻が暖かなベッドのそばにいる。
そのあまりにも大きなギャップに心がまだ追いついていなかった。
「やれやれやっと書き終わった。本当はもっと早く戻ってくるつもりだったんだが、待たせてすまんな。」
「いえ大丈夫です。お疲れさまでした。」
「コラ、あんな所で寝ているから体が冷え切っているではないか。ほら、もっとこっちに来い、温めてやる。」
言われるがまま体を引っ張られ、毛布にくるまったシルビアの胸元にすっぽりと頭が収まる。
暖かな脚が俺の脚に絡みつき、体全体がシルビアに包まれてしまった。
あの時、もし地面にぶつかっていたら俺の体はどうなっていたんだろうか。
心が死ぬと肉体も死ぬというけど、あのまま冷たくなったとか?
「春が近いとはいえまだ冷え込むな。明日も早い、本当はお前を感じたい所だが・・・、今日はお互いに疲れただろうまた今度にするとしよう。」
返事は出来なかった。
その代わりに強くシルビアの体を抱きしめ、胸いっぱいにシルビアの香りを吸い込むと一瞬にして意識を失ってしまった。
「いらっしゃいませ、ようこそシュリアン商店へ。」
「お、久々だな。元気にしていたか?」
「はい!今日はカムリ騎士団長より伝言を持ってまいりました!」
翌朝。
意識を失うようにして寝ていた俺はシルビア様が起きても目を覚まさなかった。
あの、朝の弱いシルビア様が俺を起こせたと喜んでいたぐらいだ。
本当にあれは何だったんだろう。
あの恐怖は間違いなく本物だった。
もしあのまま地面と激突していたら・・・。
そう考えるとまた怖くなり、起こしてくれたシルビア様に恥ずかしくも抱き着いてしまったぐらいだ。
そんな俺の頭を優しく撫でて落ち着くまで寄り添ってくれたシルビア様は、なんとか店頭に立てるぐらいに回復した俺の傍でやってくる客と談笑していた。
おや、よく見ると騎士団の人じゃないか。
カムリからの伝言?
一体なんだろう。
「カムリから?良ければ話を聞こう。」
「先日依頼を受けた基金の件ですが多くの賛同を得られそうなので春節になり次第実行いたします。とのことです!」
「そうか、わかった。だが、今日はそれだけではないのだろう?」
よく見ると伝言を伝えに来た団員の後ろには四人ほどの別の団員が緊張した面持ちでこちらを見ている。
「新人にダンジョンでの魔物との戦闘を体験させるべくやって参りました。ダンジョンの使用許可を頂けますでしょうか。」
「そうかもうそんな時期か。」
「今までは野良ダンジョンでしたが、ここならばいい腕試しが出来ると団員の中でも評判です。こちらが使用に際しての使用料と誓約書になりますご確認ください。」
「と、いう事らしいが構わないか?」
シルビア様から回ってきた書類を受け取り中身を確認する。
何々、『我々はダンジョン内で起きたいかなる事案に関して自己責任にて処理いたします。』だって?
いやまぁ確かにそうなんですけど・・・。
「使用料は頂いておりませんが。」
「決まりですのでどうかお納めください。」
「貰ってやってくれ、収めることに意味があるんだ。」
一緒に渡された袋に入っていたのは銀貨10枚。
一人当たり銀貨2枚は高すぎませんかねぇ。
「そういう事でしたらありがたく頂戴いたします。」
「許可頂きありがとうございます!おい、行くぞ!」
「「「「はい!」」」」
元気よく返事をしてダンジョンへと行軍していく。
その姿に商店内にいた冒険者もあっけにとられていた。
「たまに腕試しで団員の方が来られますがあれとはまた違うんですか?」
「後ろの四人が今年の新人だ。一年間の鍛錬の成果を見るための試験だと思ってもらえばわかりやすいだろうか。」
「なるほど卒業試験ですか。」
「春になればまた新人が入ってくるしそうなればそこからはもう先輩だ。立派な団員として下を導けるよう気を引き締めさせるのと、同じ魔物でも場所が変われば戦い方が変わることを学ばせる意味もある。ここで躓く様であれば他の団員を危険にさらす可能性が上がるからな、それを見極める為の試験なのだ。」
「厳しいですねぇ。」
「我々にはこの土地を、ここの人たちを守る義務がある。そのためには必要なことなのだ。」
冒険者には冒険者の苦労があり、騎士団には騎士団の苦労がある。
皆前に進むために必死なのだ。
俺も頑張らなくちゃなぁ。
「だいぶ顔色が良くなったようだな。」
「すみません心配をかけて。」
「なに、弱ったシュウイチもたまにはいいものだ。」
母性をくすぐるとかそういうのだろうか。
よくわからん。
「ご主人様ただいま戻りました。」
「あ、ユーリお帰りなさいお疲れさまでした早かったですね。」
「ちょうどサンサトローズへ行く方がいましたので手紙をお願いしてきました。商店連合に持って行っていただき、ノア様が届けてくれる手はずとなっております。早ければ二、三日で返事が来るとのことです。」
「わかりました、ゆっくり休んでください。」
「今日は暇なようですね、昨日の話もありますので念の為森を巡回してきます。」
「私も行こう。」
「いえ、シア奥様はご主人様の傍でお待ちください。」
「そうかわかった。」
昨日話していた妙な視線の事を覚えてくれていたようだ。
何もないとは思うけど、念には念をというやつだな。
「精霊様は何もおっしゃっていないのか?」
「ドリちゃんに聞いたんですがまた返事がないんです。」
「ふむ、この前の一件が片付いたというのにおかしいな。」
「その代わりディーちゃんには連絡がつきましたので伝えてもらえるようお願いしていますから、何かあれば連絡があると思います。」
完全に音信不通というわけではなさそうだ。
手紙の返事が来るまで二日ほど。
明日は聖日で街に出るけど買い物の予定があるし、出来ればそれが終わってからがうれしいなぁ。
シャルちゃん楽しみにしてるしね。
「お、シュウイチ客が来たぞ。」
「ようこそシュリアン商店へ、今日はどのようなご用件ですか?」
何はともあれまずはお客の相手をしないと。
定期便の日ではないのに今日も良く冒険者がやってくる。
さぁ頑張りましょうかね!
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青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
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