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第十五章
かつてない大きな壁にどう立ち向かうのか
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シャルちゃんの契約書を作りに店に戻るはずが、気付けば村長の家の中にいた。
なぜだろう。
別に話なら店でして貰ってかまわないんだけど、あれよあれよという間にここまで連れてこられてしまった。
一体何が起こるんでしょうか。
出来れば何も無いのが一番なんですけど、この状況でそれは無理な相談ですよね?
「お忙しい中お呼び立てして申し訳ありません。」
「あの、そんなに重大な何かが起きているんですか?」
「重大な何かかと聞かれますと極めて重大であると言えますな。」
「そんなにですか。」
「えぇ、この村の存続がかかるような話で御座います。」
マジかよ。
俺の知らない間にそんな自体になっていたのか。
それならもう少し早く相談してくれれば少しは力になれたかもしれないのに。
って、今更それを言っても仕方ないか。
村長直々の相談なんだ、最悪の事態にならない為に出来る限りの事をしよう。
「一体何が起きているんです?」
「話の前にまずは昨日の竣工の儀への参加お礼申し上げます。この冬は入植問題に始まり妖精の悪戯やディヒーアの襲撃と何かと忙しく、村の皆をいたわってやることが出来ませんでした。おかげ様で良い春を迎えることが出来そうです。」
「いえ、宿の誘致は私の都合みたいなものですから村の皆さんには御迷惑をおかけして申し訳ありません。」
「何を仰います。宿が出来た事で直接お金を稼ぐ手段ができました。これまで税を納めた後は苦しい冬を何とかして皆で耐え忍んでおりましたが、これからは余裕を持って冬を越す事ができそうです。シャルの店と共にお礼申し上げます。」
なんだろう急に話しをそらされたんだけど、何か関係があるんだろうか。
それにいつもと違って妙によそよそしい感じなんだよな。
「宿の運営に関しては村の皆さんのお力をお借りしなければ成しえません。どうぞ宜しくお願いします。」
「入植によって人が増えましたからそれは問題なく出来ると思います。ですが・・・。」
「それが大きな問題なんですか?」
「えぇ、運営するに当たり極めて大きな問題に直面しております。」
宿が出来たばかりだというのに一体どんな問題に直面しているんだろうか。
そもそもまだ営業も始めてないし、宿を回すだけの人員も確保できている。
それなら後はシャルちゃんの店同様準備をして後はお客様をお迎えするだけなんだけど。
「営業できない。そういうことですか?」
「・・・仰る通りでございます。」
「え、でも運営に関してはこちらに一任していますから好きにして下さって構わないんですよ?内装や食事なんかも商店連合やシュリアン商店は一切口を出さないという約束ですし、売上もそのまま村の収入になるお約束です。それなのに準備が出来ないなんて・・・。」
「もちろん先程申しましたように人員は確保できております。料理の提供や夜間の受け入れも問題ないでしょう。」
「では何が問題なんですか?」
「運営するに当たり当座の費用が無いのです。正確に言えば準備をする為の予算もこの村にはございません。」
マジか。
まさか宿までシャルちゃんと同じ状況になっていたのか。
え、でも税金を追納してもそこそこのお金は残っているはずなのに・・・。
「何か問題が起きたんですか?」
「昨年は大変豊作で測量を行い税の追納をさせていただきましたな。」
「はい、村には申し訳ありませんが今後の為にも一度区切りを付けさせていただきました。」
「その代わりにウェリス達労働奴隷の皆様を村の常駐として迎え入れた。」
「はい。」
「その後何が起きましたかな。」
「色々ありましたが、入植を行い村の人数を・・・ってまさか。」
俺の馬鹿。
なんであの時それに気付かないんだよ。
そりゃ色々あったし、やらなきゃいけないことも沢山あったけどさ。
最初にそのことに気付けよ。
「私が気付いたのもつい先日の事です。一昨年の1.5倍はあるはずの備蓄が春を前にほとんど無くなってしまいました。」
「人口が倍になれば消費量も倍になる。よく備蓄が持ちましたね。」
「街道の整備事業のおかげで少なからず我が村にも収入が御座いましたので、それをつかって必要な物を買っており気付くのが遅れてしまいました。別にこれはイナバ様の責任では御座いません、受け入れを決定した私に全ての責任があります。」
「それは違います。宿同様入植の件も私の都合で行なわれたようなもの、責任があるのはこの私です。いくら大急ぎで入植を行なったとはいえ、もっと様々な視点から計画するべきでした。まさかそんな簡単な事に気付けなかったなんて、お恥ずかしい話です。」
「いいえ。すぐに気付けなかったのは私も同じ事。村が大きく豊かになる夢を現実にしてくれたのはイナバ様です、村の誰がイナバ様に文句を言うでしょうか。」
でもそれとこれは話が別だ。
入植することで人が増え、備蓄の消費が増える。
たったそれだけの事に気付けなかったせいで村に大変な迷惑を掛けてしまった。
最初に入植者分の備蓄を増やすって気付いていればこんな事にはならなかったはずだ。
いくら収入があったとはいえ、もっと豊かに冬を越し春を迎えられたはずなのに。
何が知識だけはあるだ。
そんな事に気付けないなんて馬鹿丸出しじゃないか。
「今分かっているだけで結構です、どんな問題が出てますか?」
「節約すれば草期までの備蓄は御座います。ですがそれを夏まで持たせるのは難しいかと。」
「作付用の種はありますよね?」
「それは問題なく。」
「では他の畑にまく種や苗は?」
「ほとんど御座いません。」
「という事は、備蓄を増やした所ですぐに尽きてしまいますよね。」
「そういうことになります。」
「確かに極めて重大な問題ですね。」
話は予想以上に大きく重い。
それだけじゃない。
宿の運営が出来ないだけじゃなく、村そのものの存続が危ぶまれている。
これは非常によろしくない。
「ざっと計算していくらぐらいいりますか?」
「金貨5、いえ10枚あれば次の収穫までは持つかと。」
「金貨10枚・・・。」
費用にして一千万。
ニケさんを買ったお金の半分か。
シャルちゃんのお金を用意するのは約束だとして、村のお金を準備する責任も俺にはある。
「それに加え、宿の準備ならびに運営に金貨5枚ほど頂ければ助かります。」
「つまり金貨15枚が必要なんですね。」
「仰るとおりです。」
「何時までに用意すれば良いですか?」
「よろしいのですか?」
「よろしいも何も用意しなければ村が破産します。もしそうなってしまったら一緒に村を作ってきた皆さんや希望を抱いて入植してくださった皆さんにどう顔向けすれば良いんですか。」
俺を信じて着いてきてくれた皆になんていえば良いんだよ。
忘れていたので破産しましたって?
そんな事許される事じゃない。
何としてでもお金を用意してみせる。
もちろんシャルちゃんの分も。
これは俺の責任だ。
俺の命をなげうってでも成し遂げなければならない事だ。
「ですが、この夏までにイナバ様もお金が御入用のはず。そんな無理をなさっては今までの苦労が全て無駄になってしまいます。」
「それはこちらも同じ事です。自分が上手く行ったからって村がだめになったら何の意味も無いんですよ。どちらも何とかしないと・・・。」
「ですが。」
「とりあえず商店に戻って一度考えます。明日まで時間を貰ってもかまいませんか?」
「もちろんです。どうぞ宜しくお願いいたします。」
「早めに教えていただき有難う御座いました。」
考えよう。
俺に出来るのはそれしかない。
村とシャルちゃんのお金を準備して、自分のノルマ分のお金も用意してみせる。
期限は後一節。
それまでに金貨28枚を稼ぎ出すんだ。
大丈夫だって、今までも何とかなってきたんだ。
今回も何とかなる。
いつものように楽天的に考えてはみるけれど、事の重大さに気分が悪くなりそうなのもまた事実だ。
参ったな。
穏やかな春を迎えようなんて思っていたのに。
ここにきて一番の問題が投げ込まれてきたか。
「イナバ様、何卒この村を宜しくお願いいたします。」
返事は出来なかった。
深々と頭を下げる村長の姿に答える言葉が見つからなかった。
俺はその言葉から逃げるように背を向け無言のまま村長の家を後にしたのだった。
それからどう歩いたのかは分からない。
ふと顔を上げた俺の前には見覚えのある小川、それと小さな洞穴があった。
またここに来ちゃったか。
ほんと何なんだここは。
っていうか、今はすぐに戻ってやらないといけないことがあるんでこんな所で時間を潰している時間なんて無いんですよ。
考えないといけない事、やらないといけない事。
もちろんそれから逃げ出したい気持ちはあるけれどそんな事をしたら全てが無駄になってしまう。
逃げ出すことなんて出来ない。
前を見て戦いを挑むしかない。
それが例え大きな壁でも、強すぎる魔物でも、それを越える方法を考え付かないといけないんだ。
「だからさ、こんな所で時間使ってる暇は無いんだよ!」
俺の叫び声は雲ひとつ無い空に昇っては消えた。
誰も居ない。
何もないこの場所で。
俺は一体何をすれば良いんだろうか。
そもそもここは何なんだろうか。
分からない。
ホント世の中分からない事ばかりだ。
参ったね。
「とりあえず早く戻らないと。」
前回も前々回も誰かに起こされて初めて戻ることが出来た。
その前の傾向としては空が暗くなって風が吹いて雨が降る。
そこから考えられるのはこの場所にいられるのは一定時間だけで、それ以上時間が経つと活動できないように仕向けられている。
ようは時間制限があるということだ。
前々回は雨を遮ることができず危なく命を落としかけたが、前回この洞穴を見つけたことで凍え死ぬ危険は無くなった。
そしてさらに今回洞窟の前から始まったって事は、この世界から脱出したのと同じ場所から始まるってことだ。
まるでMMORPGみたいだな。
ログアウトした場所から再開できる。
後は誰かに起こされなくても自主的にログアウトできるようになれば最高なんだけど・・・。
「ステータスオープン!」
なんて最近はやりのキーワードを言ってみたが残念ながら見覚えのあるウィンドウなどは表示されなかった。
ですよねー。
まぁ、とりあえず今回も時間制限いっぱいまで探索しますか。
探索の基礎はベースキャンプから、今回もここを中心に探索を続けよう!
っていってもなぁ。
右を見ると例の魚が居た小川。
左を見ると洞穴。
後はだだっ広い草原が広がるだけだ。
これで探索っていっても・・・。
おや?
辺りを見渡すと前回なかった物が目に飛び込んできた。
いや、もしかしたら前からあったかもしれないけどあの時は大急ぎで洞穴の中に飛び込んだからなぁ。
目に飛び込んできたのは草原のど真ん中にそびえる大きな樹。
天に届くほどはさすがに大きくないけれど、隣のトロールに出てきそうな大きな大きな樹がそこにあった。
とりあえず行ってみるか。
天候は晴れ。
例の雲が出てくるまでまだまだ時間はあるはずだ。
ひとまず目標を定め、そこを目指して草原を進んでいく。
最初同様戻るべき場所を間違えないように道を踏み固めながら一歩一歩確実に目標へ向っていく。
魔物にエンカウントしないのが唯一の救いだな。
武器も無いのにこんな所で遭遇したら死あるのみだ。
それからどれぐらい進んだだろうか。
遠くに見えるだけ樹は首を真上に向けないと空が見えないところまで迫っていた。
大きい。
いや、大きいってもんじゃない。
こりゃトロールの樹というよりも宇宙に飛んでった方の樹と同じぐらいだろう。
生い茂った枝葉が地面に影をつくり太陽を遮っている。
ゆっくりと幹に近づきそっと触れてみると冷たいと思っていたのにまるで人肌のように温かかった。
何だろう安心するなぁ。
ペタペタと触りながら右回りに移動してみる。
これを一週するにはかなりの時間がかかりそうだ。
そう思いながら幹の周りを歩いていた、そのときだった。
幹を通じて掌に何かが伝わってくる。
何かは全く見当がつかないが、まるで何かを伝えようとしているような一定のリズムが伝わってくる。
何だろう。
トン ツー トンツー トントン ツー
こんな感じだろうか。
モールス信号?
流石にモールス信号までは熟知してないのでどうしようもない。
ってかこんな場所に来てまでモールス信号はないわな。
「ここまで来たけど収穫なしか。」
あれから随分と幹の周りをまわってみたけれど収穫はあのリズム以外なにもなかった。
よくよく考えれば虫もいない。
小川には小魚とかあのでかい魚とかいたのに草原やここで虫を見ないのは妙だな。
どうやってエサを得ているんだろうか。
あれか?あの小川を越えようとした人を食べてるとか?
うーん、無くはないな。
それよりも早く帰りたい。
誰か「帰ろう?」とか言って誘ってくれないかな。
そしたら喜んで帰る!って返事するのにさ。
生い茂った枝葉に隠れて空の様子はうかがえないが強い風に揺られてザアザアと激しい音を立てている。
もうすぐあの風と雨が来る。
これからあそこに戻るか?
いや、さすがに自殺行為か。
ここなら雨は避けれるから後は風を避ける場所を探して・・・。
そう思い急ぎ入れそうな場所を探すも地面から大きな幹が生えているだけで根っこが見当たらない。
風はどんどん強くなり、無慈悲に打ち付けて来る。
降り注ぐ雨は防げるがこれじゃ初回の二の舞だ。
くそ、上手く行くかもと思ったらまたこの調子、全く勘弁してくれよ。
何時になったら壁を越えて先に進めるんだ。
そう焦るも現実は何も変わらない。
いや、そもそもこれは現実なのか?
また思考がこんがらがる。
落ち着け。
まだ何とかなると自分を鼓舞すると今度は強烈な眠気が襲ってきた。
寒さから来た眠気じゃない。
まるでお酒を飲んだ後酔いが回って来た時の感じに似ている。
そう言えば最初も二回目もこんな風に意識が無くなって・・・。
そこまで考えて俺の意識は強制的に遮断された。
「御主人様、こんな所で何をされているんですか?シャル様に呼ばれて村に行ったはずでは?」
目を開けると不思議そうな顔をしたユーリが俺を見つめていた。
戻って来た、のか?
商店の横にそびえるマナの樹に手を添えるようにして立っているようだ。
まるであの大きな樹を触った時のような格好だがマナの樹からはあのリズムも温かい感じもしない。
「私が出ていってどれぐらい経ちましたか?」
「二刻程かと。先程シア奥様が出発の準備をしておりましたのでもうすぐ出てくると思います。お顔色が優れませんが本当に大丈夫ですか?」
「色々ありすぎてちょっと疲れたようです。」
「どうぞ中にお戻りください、今香茶を用意いたしましょう。」
再起動したばかりのパソコンの様に動きは遅いが、何とか頭は回り出した。
戻って来た。
それは間違いないようだ。
村に行くまでに一度、そして戻る時も一度。
まるで一定の場所を通ると別の世界に飛ばされるみたいだ。
でも、最初は商店の中に居ながら向こう側に行っちゃったしそう言うわけではないかもしれない。
全くもってわからん。
「ユーリ、香茶の用意と一緒にみんなに声をかけてください。ちょっと相談したいことが起きているんです。」
「畏まりました。」
商店に戻ろうとマナの樹から手を離そうとした時、一瞬だけあのリズムを感じたような気がした。
まさかね。
とりあえず戻ってこれたし、戻って来たってことはやらないといけないことがたくさんある。
まずはそれから片付けよう。
そして一緒に相談もしよう。
これは俺一人で抱え込んでどうにかなる様な状況じゃない。
ユーリの背中を追いかけるように商店へと向かう。
そんな俺の背中を見つめる二つの瞳に俺が気付くことはなかった。
なぜだろう。
別に話なら店でして貰ってかまわないんだけど、あれよあれよという間にここまで連れてこられてしまった。
一体何が起こるんでしょうか。
出来れば何も無いのが一番なんですけど、この状況でそれは無理な相談ですよね?
「お忙しい中お呼び立てして申し訳ありません。」
「あの、そんなに重大な何かが起きているんですか?」
「重大な何かかと聞かれますと極めて重大であると言えますな。」
「そんなにですか。」
「えぇ、この村の存続がかかるような話で御座います。」
マジかよ。
俺の知らない間にそんな自体になっていたのか。
それならもう少し早く相談してくれれば少しは力になれたかもしれないのに。
って、今更それを言っても仕方ないか。
村長直々の相談なんだ、最悪の事態にならない為に出来る限りの事をしよう。
「一体何が起きているんです?」
「話の前にまずは昨日の竣工の儀への参加お礼申し上げます。この冬は入植問題に始まり妖精の悪戯やディヒーアの襲撃と何かと忙しく、村の皆をいたわってやることが出来ませんでした。おかげ様で良い春を迎えることが出来そうです。」
「いえ、宿の誘致は私の都合みたいなものですから村の皆さんには御迷惑をおかけして申し訳ありません。」
「何を仰います。宿が出来た事で直接お金を稼ぐ手段ができました。これまで税を納めた後は苦しい冬を何とかして皆で耐え忍んでおりましたが、これからは余裕を持って冬を越す事ができそうです。シャルの店と共にお礼申し上げます。」
なんだろう急に話しをそらされたんだけど、何か関係があるんだろうか。
それにいつもと違って妙によそよそしい感じなんだよな。
「宿の運営に関しては村の皆さんのお力をお借りしなければ成しえません。どうぞ宜しくお願いします。」
「入植によって人が増えましたからそれは問題なく出来ると思います。ですが・・・。」
「それが大きな問題なんですか?」
「えぇ、運営するに当たり極めて大きな問題に直面しております。」
宿が出来たばかりだというのに一体どんな問題に直面しているんだろうか。
そもそもまだ営業も始めてないし、宿を回すだけの人員も確保できている。
それなら後はシャルちゃんの店同様準備をして後はお客様をお迎えするだけなんだけど。
「営業できない。そういうことですか?」
「・・・仰る通りでございます。」
「え、でも運営に関してはこちらに一任していますから好きにして下さって構わないんですよ?内装や食事なんかも商店連合やシュリアン商店は一切口を出さないという約束ですし、売上もそのまま村の収入になるお約束です。それなのに準備が出来ないなんて・・・。」
「もちろん先程申しましたように人員は確保できております。料理の提供や夜間の受け入れも問題ないでしょう。」
「では何が問題なんですか?」
「運営するに当たり当座の費用が無いのです。正確に言えば準備をする為の予算もこの村にはございません。」
マジか。
まさか宿までシャルちゃんと同じ状況になっていたのか。
え、でも税金を追納してもそこそこのお金は残っているはずなのに・・・。
「何か問題が起きたんですか?」
「昨年は大変豊作で測量を行い税の追納をさせていただきましたな。」
「はい、村には申し訳ありませんが今後の為にも一度区切りを付けさせていただきました。」
「その代わりにウェリス達労働奴隷の皆様を村の常駐として迎え入れた。」
「はい。」
「その後何が起きましたかな。」
「色々ありましたが、入植を行い村の人数を・・・ってまさか。」
俺の馬鹿。
なんであの時それに気付かないんだよ。
そりゃ色々あったし、やらなきゃいけないことも沢山あったけどさ。
最初にそのことに気付けよ。
「私が気付いたのもつい先日の事です。一昨年の1.5倍はあるはずの備蓄が春を前にほとんど無くなってしまいました。」
「人口が倍になれば消費量も倍になる。よく備蓄が持ちましたね。」
「街道の整備事業のおかげで少なからず我が村にも収入が御座いましたので、それをつかって必要な物を買っており気付くのが遅れてしまいました。別にこれはイナバ様の責任では御座いません、受け入れを決定した私に全ての責任があります。」
「それは違います。宿同様入植の件も私の都合で行なわれたようなもの、責任があるのはこの私です。いくら大急ぎで入植を行なったとはいえ、もっと様々な視点から計画するべきでした。まさかそんな簡単な事に気付けなかったなんて、お恥ずかしい話です。」
「いいえ。すぐに気付けなかったのは私も同じ事。村が大きく豊かになる夢を現実にしてくれたのはイナバ様です、村の誰がイナバ様に文句を言うでしょうか。」
でもそれとこれは話が別だ。
入植することで人が増え、備蓄の消費が増える。
たったそれだけの事に気付けなかったせいで村に大変な迷惑を掛けてしまった。
最初に入植者分の備蓄を増やすって気付いていればこんな事にはならなかったはずだ。
いくら収入があったとはいえ、もっと豊かに冬を越し春を迎えられたはずなのに。
何が知識だけはあるだ。
そんな事に気付けないなんて馬鹿丸出しじゃないか。
「今分かっているだけで結構です、どんな問題が出てますか?」
「節約すれば草期までの備蓄は御座います。ですがそれを夏まで持たせるのは難しいかと。」
「作付用の種はありますよね?」
「それは問題なく。」
「では他の畑にまく種や苗は?」
「ほとんど御座いません。」
「という事は、備蓄を増やした所ですぐに尽きてしまいますよね。」
「そういうことになります。」
「確かに極めて重大な問題ですね。」
話は予想以上に大きく重い。
それだけじゃない。
宿の運営が出来ないだけじゃなく、村そのものの存続が危ぶまれている。
これは非常によろしくない。
「ざっと計算していくらぐらいいりますか?」
「金貨5、いえ10枚あれば次の収穫までは持つかと。」
「金貨10枚・・・。」
費用にして一千万。
ニケさんを買ったお金の半分か。
シャルちゃんのお金を用意するのは約束だとして、村のお金を準備する責任も俺にはある。
「それに加え、宿の準備ならびに運営に金貨5枚ほど頂ければ助かります。」
「つまり金貨15枚が必要なんですね。」
「仰るとおりです。」
「何時までに用意すれば良いですか?」
「よろしいのですか?」
「よろしいも何も用意しなければ村が破産します。もしそうなってしまったら一緒に村を作ってきた皆さんや希望を抱いて入植してくださった皆さんにどう顔向けすれば良いんですか。」
俺を信じて着いてきてくれた皆になんていえば良いんだよ。
忘れていたので破産しましたって?
そんな事許される事じゃない。
何としてでもお金を用意してみせる。
もちろんシャルちゃんの分も。
これは俺の責任だ。
俺の命をなげうってでも成し遂げなければならない事だ。
「ですが、この夏までにイナバ様もお金が御入用のはず。そんな無理をなさっては今までの苦労が全て無駄になってしまいます。」
「それはこちらも同じ事です。自分が上手く行ったからって村がだめになったら何の意味も無いんですよ。どちらも何とかしないと・・・。」
「ですが。」
「とりあえず商店に戻って一度考えます。明日まで時間を貰ってもかまいませんか?」
「もちろんです。どうぞ宜しくお願いいたします。」
「早めに教えていただき有難う御座いました。」
考えよう。
俺に出来るのはそれしかない。
村とシャルちゃんのお金を準備して、自分のノルマ分のお金も用意してみせる。
期限は後一節。
それまでに金貨28枚を稼ぎ出すんだ。
大丈夫だって、今までも何とかなってきたんだ。
今回も何とかなる。
いつものように楽天的に考えてはみるけれど、事の重大さに気分が悪くなりそうなのもまた事実だ。
参ったな。
穏やかな春を迎えようなんて思っていたのに。
ここにきて一番の問題が投げ込まれてきたか。
「イナバ様、何卒この村を宜しくお願いいたします。」
返事は出来なかった。
深々と頭を下げる村長の姿に答える言葉が見つからなかった。
俺はその言葉から逃げるように背を向け無言のまま村長の家を後にしたのだった。
それからどう歩いたのかは分からない。
ふと顔を上げた俺の前には見覚えのある小川、それと小さな洞穴があった。
またここに来ちゃったか。
ほんと何なんだここは。
っていうか、今はすぐに戻ってやらないといけないことがあるんでこんな所で時間を潰している時間なんて無いんですよ。
考えないといけない事、やらないといけない事。
もちろんそれから逃げ出したい気持ちはあるけれどそんな事をしたら全てが無駄になってしまう。
逃げ出すことなんて出来ない。
前を見て戦いを挑むしかない。
それが例え大きな壁でも、強すぎる魔物でも、それを越える方法を考え付かないといけないんだ。
「だからさ、こんな所で時間使ってる暇は無いんだよ!」
俺の叫び声は雲ひとつ無い空に昇っては消えた。
誰も居ない。
何もないこの場所で。
俺は一体何をすれば良いんだろうか。
そもそもここは何なんだろうか。
分からない。
ホント世の中分からない事ばかりだ。
参ったね。
「とりあえず早く戻らないと。」
前回も前々回も誰かに起こされて初めて戻ることが出来た。
その前の傾向としては空が暗くなって風が吹いて雨が降る。
そこから考えられるのはこの場所にいられるのは一定時間だけで、それ以上時間が経つと活動できないように仕向けられている。
ようは時間制限があるということだ。
前々回は雨を遮ることができず危なく命を落としかけたが、前回この洞穴を見つけたことで凍え死ぬ危険は無くなった。
そしてさらに今回洞窟の前から始まったって事は、この世界から脱出したのと同じ場所から始まるってことだ。
まるでMMORPGみたいだな。
ログアウトした場所から再開できる。
後は誰かに起こされなくても自主的にログアウトできるようになれば最高なんだけど・・・。
「ステータスオープン!」
なんて最近はやりのキーワードを言ってみたが残念ながら見覚えのあるウィンドウなどは表示されなかった。
ですよねー。
まぁ、とりあえず今回も時間制限いっぱいまで探索しますか。
探索の基礎はベースキャンプから、今回もここを中心に探索を続けよう!
っていってもなぁ。
右を見ると例の魚が居た小川。
左を見ると洞穴。
後はだだっ広い草原が広がるだけだ。
これで探索っていっても・・・。
おや?
辺りを見渡すと前回なかった物が目に飛び込んできた。
いや、もしかしたら前からあったかもしれないけどあの時は大急ぎで洞穴の中に飛び込んだからなぁ。
目に飛び込んできたのは草原のど真ん中にそびえる大きな樹。
天に届くほどはさすがに大きくないけれど、隣のトロールに出てきそうな大きな大きな樹がそこにあった。
とりあえず行ってみるか。
天候は晴れ。
例の雲が出てくるまでまだまだ時間はあるはずだ。
ひとまず目標を定め、そこを目指して草原を進んでいく。
最初同様戻るべき場所を間違えないように道を踏み固めながら一歩一歩確実に目標へ向っていく。
魔物にエンカウントしないのが唯一の救いだな。
武器も無いのにこんな所で遭遇したら死あるのみだ。
それからどれぐらい進んだだろうか。
遠くに見えるだけ樹は首を真上に向けないと空が見えないところまで迫っていた。
大きい。
いや、大きいってもんじゃない。
こりゃトロールの樹というよりも宇宙に飛んでった方の樹と同じぐらいだろう。
生い茂った枝葉が地面に影をつくり太陽を遮っている。
ゆっくりと幹に近づきそっと触れてみると冷たいと思っていたのにまるで人肌のように温かかった。
何だろう安心するなぁ。
ペタペタと触りながら右回りに移動してみる。
これを一週するにはかなりの時間がかかりそうだ。
そう思いながら幹の周りを歩いていた、そのときだった。
幹を通じて掌に何かが伝わってくる。
何かは全く見当がつかないが、まるで何かを伝えようとしているような一定のリズムが伝わってくる。
何だろう。
トン ツー トンツー トントン ツー
こんな感じだろうか。
モールス信号?
流石にモールス信号までは熟知してないのでどうしようもない。
ってかこんな場所に来てまでモールス信号はないわな。
「ここまで来たけど収穫なしか。」
あれから随分と幹の周りをまわってみたけれど収穫はあのリズム以外なにもなかった。
よくよく考えれば虫もいない。
小川には小魚とかあのでかい魚とかいたのに草原やここで虫を見ないのは妙だな。
どうやってエサを得ているんだろうか。
あれか?あの小川を越えようとした人を食べてるとか?
うーん、無くはないな。
それよりも早く帰りたい。
誰か「帰ろう?」とか言って誘ってくれないかな。
そしたら喜んで帰る!って返事するのにさ。
生い茂った枝葉に隠れて空の様子はうかがえないが強い風に揺られてザアザアと激しい音を立てている。
もうすぐあの風と雨が来る。
これからあそこに戻るか?
いや、さすがに自殺行為か。
ここなら雨は避けれるから後は風を避ける場所を探して・・・。
そう思い急ぎ入れそうな場所を探すも地面から大きな幹が生えているだけで根っこが見当たらない。
風はどんどん強くなり、無慈悲に打ち付けて来る。
降り注ぐ雨は防げるがこれじゃ初回の二の舞だ。
くそ、上手く行くかもと思ったらまたこの調子、全く勘弁してくれよ。
何時になったら壁を越えて先に進めるんだ。
そう焦るも現実は何も変わらない。
いや、そもそもこれは現実なのか?
また思考がこんがらがる。
落ち着け。
まだ何とかなると自分を鼓舞すると今度は強烈な眠気が襲ってきた。
寒さから来た眠気じゃない。
まるでお酒を飲んだ後酔いが回って来た時の感じに似ている。
そう言えば最初も二回目もこんな風に意識が無くなって・・・。
そこまで考えて俺の意識は強制的に遮断された。
「御主人様、こんな所で何をされているんですか?シャル様に呼ばれて村に行ったはずでは?」
目を開けると不思議そうな顔をしたユーリが俺を見つめていた。
戻って来た、のか?
商店の横にそびえるマナの樹に手を添えるようにして立っているようだ。
まるであの大きな樹を触った時のような格好だがマナの樹からはあのリズムも温かい感じもしない。
「私が出ていってどれぐらい経ちましたか?」
「二刻程かと。先程シア奥様が出発の準備をしておりましたのでもうすぐ出てくると思います。お顔色が優れませんが本当に大丈夫ですか?」
「色々ありすぎてちょっと疲れたようです。」
「どうぞ中にお戻りください、今香茶を用意いたしましょう。」
再起動したばかりのパソコンの様に動きは遅いが、何とか頭は回り出した。
戻って来た。
それは間違いないようだ。
村に行くまでに一度、そして戻る時も一度。
まるで一定の場所を通ると別の世界に飛ばされるみたいだ。
でも、最初は商店の中に居ながら向こう側に行っちゃったしそう言うわけではないかもしれない。
全くもってわからん。
「ユーリ、香茶の用意と一緒にみんなに声をかけてください。ちょっと相談したいことが起きているんです。」
「畏まりました。」
商店に戻ろうとマナの樹から手を離そうとした時、一瞬だけあのリズムを感じたような気がした。
まさかね。
とりあえず戻ってこれたし、戻って来たってことはやらないといけないことがたくさんある。
まずはそれから片付けよう。
そして一緒に相談もしよう。
これは俺一人で抱え込んでどうにかなる様な状況じゃない。
ユーリの背中を追いかけるように商店へと向かう。
そんな俺の背中を見つめる二つの瞳に俺が気付くことはなかった。
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妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
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作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
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