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第十三章

一芝居うってみましょうか

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「話は分かりました、イナバ様の仰る通りに致しましょう。」

「よろしいのですか?」

「それが最善の策なのだと思います。ただ、下手をすればアベル様がより強硬な態度をとる可能性もあるのが悩ましい所です。」

「確かにその可能性は否定できません。ですがそれしか方法が無いんです。」

「ラナス様どうかお父様を説得してくださいませんか?」

「もう一度説得は試みていますがいい返事はもらえませんでした、仮に再びお願いした所で答えは変わらないでしょう。」

「やはりそうですか・・・。」

ひとまずラナス様に事情を話し協力を得る事が出来た。

問題はラナス様の言う通りその後なんだよな。

ホンクリー家の長女が戦線離脱したとなると残されたのは次女のラーマさんのみ。

もともとヤーナさんは頭数に入ってなかったとはいえ、実際に家を出たとなれば残された人間は一人しかいない。

その人間に何とか跡取りになってもらわなければ家の未来はない、そう考えるだろう。

そしてより俺への期待が膨らんでいくというわけだ。

「諸侯を黙らせる為に食事会に出席するも、切り札であるお前がいなくなったとなれば俺の責任も重くなるわけだ。」

「えぇ、解雇という手段に出ていただければ非常にありがたいのですが・・・、この先はまだわかりません。」

「時間はかかってもいい、こいつさえ家を出ればあとは何とかなる。」

「そういうわけにもいきません、私を逃がしてくださる条件はお二人を自由にする事。それを叶えない限り私は納得できませんよ。」

「本当に困った人ですねぇ。」

「あははよく言われます。」

それが俺のポリシーだ。

約束はちゃんと守らないとね。

「逃げ出すのはいつになりますか?」

「出発する直前にジュニアさんの手引きで裏口から脱出します。その後はひたすら教会を目指して走りますよ。」

「それだと捕まる可能性もある、他に手はないのか?」

「他に手はと言われましても、残念ながらこの街の事は詳しくなくてですね。」

サンサトローズならまだしもここは俺に庭じゃない。

助けてくれる人なんているんだろうか。

「そんな事だと思ったわ、まったく無計画にもほどがあるのではなくて?」

「そう言われましてもそれしか方法はないんです。そこまで言うんでしたら何かお力をお貸しいただけるんですよね?」

部屋にいる四人とは違う五人目の声がどこからともなく聞こえて来る。

聞き覚えのある声。

あの、ここって貴族でも王族でも入れない不可侵の領域じゃありませんでしたか?

そんなホイホイと出て来てもいいんでしょうか。

「フィフティーヌさん、いくら急ぎとはいえここに転移するのはご法度です。お母様に言いつけますよ。」

「入り口を通ると時間がかかるんですもの、緊急事態という事でお許しいただけませんか?」

「まったく仕方ありませんね、この人の事になるとほんとムキになるんですから。」

「む、むきになんてなっていませんわ!」

入り口の扉付近に黒い壁が出来たかと思うとそこから慌てた様子の幼女が飛び出してきた。

失礼、幼女だなんて言ったら殺されてしまう。

だまっておこう。

「フィフティーヌさん!」

「これはヤーナ様お久しぶりです、こんな形でお会いすることになるとは思いもしませんでしたわ。」

「この度はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。」

「謝るのでしたら彼に謝ってください、一番大切な時に商店を離れ苦労しているのは私ではありませんわ。」

「良くここが分かりましたね。」

「貴方のあの魔力をたどれば誰でも出来るわよ。まだ私以外には知らせてないでしょうね。」

「エミリア達以外は知らないはずです。あ、村の人も知っているか・・・。」

「村の人って、まずはフェリス様に報告するのが筋ってもんでしょ?」

なぜ俺は開口一番怒られているんだろうか。

そんなに悪い事をしたかなぁ。

それともあれか?

カルシウムが足りてないのかな?

それなら今度チーズを差しいれしてみよう。

この冬より一層味が良くなったと言ってたしね。

まぁ、戻ったらの話だけど。

「一応報告にはいきましたよ?でも別件で忙しかったようでお話しする暇がなかったんです。魔力に関してはその時感じておられたでしょうし、何も仰らなかったという事はその程度の事なのかと思いまして・・・。」

「その程度って貴方ねぇ。」

「どうかなさったのですか?」

「もうしわけありませんこちらの話です。それで、これからどうするつもりなのかしら?」

「ラナス様のご助力を賜れるという事ですので、一計を案じてヤーナさんをホンクリー家から出家させる予定ですが・・・。」

「ちょっと、何がどうなってそうなるのよ!!」

「いや、どうなると言われましても。」

「いいから詳しく話しなさい!」

いきなり出て来て勝手に話しなさいとか言われましても。

まったく自分勝手な人なんだから。

もうちょっと空気を読むとかですねぇ・・・。

「いいから早くする!」


その後遅れてやってきたメルクリア女史も含めて作戦会議を続ける事数刻、途中何度も暗礁に乗り上げかけたが何とか話をまとめることに成功した。

やれやれ、一時はどうなる事かと思ったけど何とかなるものだな。

「じゃあ私は明日の準備をしてくるわね。」

「よろしくお願いします。」

「何処をどう通るか今日中に頭に叩き込んでおくのよ?」

「善処いたします。」

「メルクリアさん、次回からはちゃんと入り口を通すようにお願いしますね。」

ラナス様の指摘に返事をする事も無くメルクリア女史がいつもの黒い壁の向こうに消えて行った。

まったく、指摘された人がどれだけ偉い人かわかっているんだろうか。

仮にも教会の中核に位置するそれはもう偉ーい人でって・・・、え?俺もわかってるのかって?

いやだなぁ当たり前じゃないですか。

教会の偉ーい人ですよね?

ほら、理解していますよ。

「メルクリアさんは昔と随分雰囲気が変わられたようですね。」

「そうなんですか?」

「えぇ、昔はもっと厳しい口調の方だったと記憶しています。」

「そうだな、お前と話している時は特にそうだった。口では意識していないと言いながら敵意がむき出しだったな。」

それはそれは、メルクリア女史にもやんちゃな時期があったんですねぇ。

分からなくはないですよ?

一応家がライバル同士なわけですし、負けず嫌いな性格ですから。

あ、それはいまでもかわらないか。

「それでは私達も行動を開始いたしましょう、時間はあまり残されていません。」

「手筈通りヤーナ様は安心してここでお待ちください、ここならあの方以外誰かが入ってくることも連れていかれる事も無いようですから。」

「はい・・・。」

「俺の事は心配するな、何とかなる。」

「皆様どうかよろしくお願い致します。」

今回の作戦にヤーナさんを連れて行くわけにはいかないのでお留守番だ。

ここならメルクリア女史以外は出入りできないのでアベルさんの手が及ぶ心配もないだろう。

一応不可侵の領域、ってことみたいだし。

うん、きっと大丈夫だ。

乗って来た馬車に再び乗り込み一路向かうはホンクリー家。

人数は一緒でも乗っている人間が随分と違う。

「再度確認ですがアベル様への説明は予定通りでよろしいですね。」

「はい、あのやり方が一番かと思います。後は臨機応変に対応してくだされば。」

「なかなか難しい事を仰いますね。」

「ラナス様でも難しいことなのですか?」

「修道女として働いてはおりますが、あまり人と話すのは得意ではありません。本当は戦場でメイスをふるっている方が性に合っています。」

「ジルさんと同じですね。」

「イナバ様、さすがにあの子と一緒にされると傷つきます。」

あ、教会でもそういう位置づけなんですねジルさんって。

今更心配するのもあれだけど宿を任せて本当に大丈夫だろうか、店を破壊されたりしない?

「話がまとまれば明日お前が逃げ出して俺はお役御免になるわけだな。」

「の、予定です。問題は私が脱出した後ジュニアさんがどうなるのか情報が途絶してしまうんですよね。」

「それは致し方ないだろう。旦那様がどういう処罰を下されたとしても俺は甘んじてそれを受けるしかない。」

「いきなり処刑されることはないと思います。ですが、かなり厳しいバツを受ける可能性がありますが・・・。」

「それでも大丈夫だ。あの方が俺にそこまでの事をすることはない。」

「何か理由があるのですか?」

「それは・・・。」

「言いたくないのであれば結構です、処刑されない。それさえ分かれば十分ですから。」

「すまない。」

この状況でも言えないという事はよっぽどの理由があるんだろう。

でもそれで死ぬ心配はないみたいだから何処だは安心しておくか。

ここでジュニアさんに死なれようものなら本当にヤーナさんが発狂しちゃうからね!

馬車は何事もなく予定通りホンクリー家へと到着した。

館からパタパタとマオさんが走ってくるのが見える。

さぁ、いよいよだ。

「おかえりなさいませヤーナ様、イナバさ・・・あれ?ヤーナ様の姿が見えないようですが。それとこの方は?」

「教会のラナス様だ、至急旦那様にお伝えしなければならないことがある応接室に集まってもらえないか?」

「ジュニア様これはいったいどういう。」

「俺はこの二人を連れて行く、お前は旦那様とラーマ様を呼んで来てくれ。それ以外は何人たりとも近づかない様にとも申し伝えてくれ。」

「・・・畏まりました。」

渋々といった感じでマオさんが屋敷へと引き上げていく。

それを追いかけるようにジュニアさんを先頭に応接室へと向かった。

「一体なんだというのだ、今日は誰の呼び出しも受けないと言ったはずだぞ。」

「お姉様の姿も見えないようだけどジュニアいったいどうなっているの?」

「急にお呼びだてして申し訳ありません、一刻も早くお伝えしなければならないことがございまして。」

「それに教会の人間が必要なのか?」

「今日はくだんの件についてお話に来たのではありません、そちらのお嬢様についてお話があって参りました。」

「お姉様の件?」

急に呼び出されて超絶ご機嫌斜めなご様子。

ここにいないヤーナ様の話と聞いて二人に驚きと焦りの表情が浮かんだ。

なんとなく感づいてはいるんだろうけど、認めたくないという気持ちがあるのかもしれない。

どれ、やってしまいますか。

「本日、こちらのヤーナ様がイナバ様を連れていつものように教会にやって参りました。いつものように大聖堂に向かわれお一人で祈りをささげておられたのですが・・・、一つお聞きしたいのですがヤーナ様は今朝もいつもと変わらない様子でしたか?」

「それがどうしたというのだ。あの子に何があったなぜこの場にいない。」

「そうですわ!早くお姉様について話しなさい。」

ラナス様が話し始めても敵意むき出しのお二人。

「確かに今朝はいつも以上に不安定な状況であったと記憶しております。」

「マオ!」

そんなお二人に変わりマオさんが質問に答えてくれた。

ラーマさんが制止しようとするもののマオさんが動じる様子はない。

「具体的にはどのように?」

「何と言いますがいつにも増して弱々しい感じがいたしました。お食事をご準備させていただきましたが食べる様子もなくむしろ自分が食べることが申し訳ない、そのように申されていたと記憶しています。」

「お姉様がそんなことを。」

「前にも似たようなことがございましたのでそれと同じかと思ったのですが、黙っていて申し訳ありません。」

「マオはいつものように仕事しただけです、仕方ありませんわ。」

「それがいったい何だというのだ。」

「なるほどそれで合点がいきました。」

マオさんの話を聞いて成程と言った表情をするラナス様。

なんだかんだ言って結構ノリノリじゃないですか。

そしてそのまま話をすすめる。

「落ち着いてお聞きください、大聖堂で祈りを捧げていたヤーナ様が自害を図りました。」

「「なっ!」」

「んだって!」「ですって!」

ま、当然の反応だよね。

実の娘、実の姉が自害を図ったと聞いて冷静でいられるはずがない。

これも作戦の一つ。

冷静な判断が出来ないようにしてこっちの話をすり込もうというわけだ。

まずは第一段階成功と言ったところかな。

「落ち着いてくださいと申し上げたはずです、幸いイナバ様の発見が早く手に持った燭台を喉に突き立てる前に救出いたしました。」

「お、お前がついていながらなんて事だジュニア!」

「申し訳ありません。」

お、早速冷静なはずのアベルさんが我を忘れて怒り出したぞ。

いやまぁ娘が死にかけたと聞いたら実の父親なら当然の反応なんだけど。

「お父様、まずはイナバ様にお礼を言うべきですわ。ありがとうございます、貴方がいなかったらお姉様に二度と会えない所でしたわ。」

「偶々その場に居合わせただけです、お気になさらないでください。」

「無理やり連れて来られたのにどうして?」

「見知った顔が死にかけているというのに事情など関係ありませんから。」

「そう、貴方はそういう人でしたわね。」

予想外に冷静なのがラーマ様だ。

アベルさん同様かなり取り乱してくれるはずだったんだけど・・・おかしいな。

この感じじゃ言いくるめるってわけにはいかなさそうなんだけど・・・。

今更慌てたって仕方ないか。

そのまま行くとしよう。

「ラーマの言う通りだな、娘を助けてくれて礼を言う。」

「先ほども言いましたように当然の事をしたまでです。」

「それで、お姉様は今どこに?」

「現在は落ち着きを取り戻しひとまず教会の特別室で見張りをつけて保護しておりますが・・・、かなり状況はよくないと言えるでしょう。時折瞳の光が抜け、ブツブツと何かを話しておられます。良く聞き取れませんでしたが、子供がどうのと申しておりました。」

「そんな、昨日までは何ともなかったのに。」

「私も昨日お話しさせていただきましたが特に変わった様子はありませんでした。ですので、先程何か変わった様子がなかったのかとお伺いしたのです。」

「あぁ、ヤーナ。お前はまだあの事を悩んでいるのか。」

おそらく過去にも同じような症状になったことがあるのだろう。

その姿を思い出したのかアベルさんが天を仰ぎ苦悶の表情を浮かべる。

だがそれもつかの間、再び顔を卸した時にはその眼にいつもと変わらない力が宿っていた。

「それで、今は大丈夫なんだろうな。」

「普通にしている分には問題ありませんが、いつまた同じような事をするかわかりません。凶器になるようなもののない部屋で監視のもと休んでいただいております。」

「すぐにお姉様に会わせてくださいますわよね。」

「申し上げにくいのですが、それは無理です。」

「何故ですの!?」

「ヤーナ様が家族の誰にも会いたくないと仰ってるのです、どうしても思い出してしまうからと・・・。」

「そんな・・・。」

今度はラーマさんが口元を抑えて絶句する。

客観的に見ているからあれだけどやっぱり親子だな、この二人は。

リアクションがよく似ている。

でもなんだろうこの感じ。

驚き落胆しているはずなのに、ラーマさんがなぜか安心したような顔をするんだよな。

やっぱりかという感じの他にその場にいなくてよかった、そんな感じの安心感。

不謹慎だけど本当に心配に思っているのかなと疑ってしまう。

「それは本当だろうな、私を貶める為にこのような茶番を仕込んでいるのであれば教会であってもただではすまんぞ!」

「旦那様落ち着いてください、私も直接そのように言われここに戻って参りました。本来であれば片時も離れずヤーナ様をお守りしなければならないというのに、お役に立てず誠に申し訳ありません。」

「お前ですら側に・・・、嘘ではないのだな。」

「はい。今はただ、そっとしておいてほしいと。」

それとは対極にアベルさんは心の底から嘆いている感じだ。

娘の為に何もできないと悟り、落ち込む父親。

まさにそんな感じだ。

「これからどうすればいいんですの?」

「時間が解決してくれるのを待つしかないと思います。」

「時間?そんなもの今までどれだけかけてきたと思っている。あの子が自分に起きた出来事をどれだけ悔やみ恨み傷ついてきたのか、君にはわかるまい。」

「わからないからこそ、今はそっとしておくしかないと思うんです。幸いこれまでもご自身の心を慰めるために教会で祈りをささげておられたようですし、しばらくお預かりいただくのはどうでしょうか。」

「修道女になれと言うのか!?」

「一時的に保護する分には構いませんがいつまでも教会にいては周りの目がありましょう。教会に出家したという事にしておけば長時間いてもおかしくありません。それに、出家してから家に戻ることはよくある事、それはアベル様もご存じではありませんか?」

ラナス様に聞いた話だが、貴族の女性の中には一度教会に出家し体と心を清めてから家に戻る人がいるらしい。

そうすることで身の潔白を示すことができるので、結婚がしやすいのだとか。

処女信仰のようなものではないらしいが、教会に入ることで俗世から離れよい妻として成長できると思われているらしい。

ちなみに貴族から教会への寄付が多いのもそのお礼とかを含んでいるそうだ。

持ちつ持たれつ、利用できるものは何でも利用するんだなぁ。

貴族って面白い。

「確かに世間の目を思えば・・・だがそれではヤーナを追い出すようではないか。」

「追い出すのではありません、再び家に戻ってこれるよう心を癒すのです。神の祈りが通じればきっと、ヤーナ様は戻って参られます。」

「お姉様がそこまで思い悩んでいたなんて、私気づきませんでした。」

「私もだ。あの子には苦労ばかりかけてしまい、あの一件以降冷たくしてしまった。それがあの子の心を傷つけてしまったのだな。」

「過去への懺悔は必ずや未来へ続きます。お二人にはどうか、ヤーナ様の決心を見守っていただきたいのです。」

落ち込み後悔の念を吐く二人の心に寄り添うように、ラナス様が言葉をかける。

この辺りは流石本職、弱みに付け込むでもなく寄り添う心がこちらにも伝わってくる。

こういう配慮が俺にはまだまだ足りないんだよなぁ。

勉強になります。

「話は分かった。今回は別件で色々と争ってはいるが、娘の為に尽力していただき感謝の言葉もない。」

「教会は迷える全ての者に寄り添い救済の道を進む手助けを致します。それに争いを持ち込むことなど決してありません。」

「ラナス様どうかお姉様をよろしくお願い致します。」

「もちろんです、ヤーナ様の心が落ち着きましたらまたお顔を見に来てくださいませ。」

「お姉様おかわいそうに・・・。」

「済まないが今日はここまでにして構わないか?少し心を休めたい。」

「急な来訪にお答えいただきありがとうございました。イナバ様も、今は心と体をお安めください。」

「ありがとうございますラナス様。」

「教会までお送りいたしましょう。マオ、後は頼んだぞ。」

「お任せください。」

深々とお辞儀をして応接室を後にするラナス様。

顔をあげたときに一瞬目があったがお互いにポーカーフェイスでやり過ごすことが出来た。

「君にも随分世話をかけたな、詳しい話はまた明日聞かせてくれ。」

「私も今日は失礼します。マオ、夕食はいらないわ。」

「ラーマ様お部屋まで参りましょう。」

ラナス様を追うように二人も部屋から出ていってしまった。

誰もいなくなった応接室。

その中央で俺は大きくガッツポーズをするのだった。
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