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第十三章
予想の斜め上のそのまた上は
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この世界に来てこれほど憂鬱な朝を迎えた事は無いだろう。
クレームが来るとわかっていて出勤する朝と同じだ。
めんどくさい。
行きたくない。
できるならサボりたい。
そうは思うも時間は待ってくれず仕方なく重い体を起こし身支度をする。
相手が貴族だから面倒なんじゃない。
中身に問題あるから面倒なのだ。
いや、話してみれば案外話のわかる人かもしれない。
でもそうじゃない場合はどうだ?
堂々巡りする会話に、理不尽な叱咤。
会話を聞こうともしない姿勢。
世のクレーマーの大半がそんな感じだ。
もちろんもっと狡猾なタイプもいるけれど、気晴らしや文句を言いたいだけの連中も多い。
あぁ、面倒だ。
「お顔がさえませんね、昨晩はお休みになれませんでしたか?」
「これから起きる事を考えて笑顔でいられると思いますか?」
「まるで死地に行くような顔をしておられますよ。」
「命は取られないまでも似たようなものです。」
食事を終えニケさんの入れてくれた香茶を飲んでいると見回りに行っていたユーリが帰ってきた。
食事の時には必ず帰ってきていたのに珍しいな。
「そんな御主人様に朗報があるのですがお聞きになられますか?」
「気が晴れる内容であれば是非お願いします。」
「拡張準備が整いました。あとは御主人様の命令一つで20階層までの拡張が完了いたします。」
「やっとそこまでの余裕が出来ましたか。」
「気は晴れましたか?」
「完全にとは言いませんがこれを励みに頑張ってきます。」
ノルマの一つが無事に終わりを迎えようとしている。
一度は諦めかけたけれど何とか一歩前進できそうだ。
こんな所で腐ってちゃダメだよな、面倒な仕事なんてこの後の楽しみの為にさっさと終わらせないと。
なんだろうこの気持ち。
そうだ、仕事は面倒だけど帰ったら新作ゲームがあるとわかっているのと同じ感じだ。
その為にはどんな理不尽な仕事でも頑張る事ができる。
報酬がわかっているときのやる気ってぜんぜん違うよな。
現金なものだ。
「魔物の再配置はすぐに出来ますが、罠の配置に関しては御主人様に一任します。お時間のあるときにたっぷりと悩んで下さい。」
「手配は済んでいるんですよね?」
「ある程度の量は仕入れてあります。他に必要なものがあれば個別に注文していただければ。」
「楽しみがまた一つ増えました。」
「罠を考えているときの御主人様は本当に悪い顔をされますよね。」
「え、そんな顔してます?」
「はい、とっても。」
確かに表情に出るタイプだとは言われるけど底までだとは思わなかった。
心の声も駄々漏れみたいだし、ホントどうなっているんだろうか。
いや、つい楽しくなっちゃうんですよ。
こっちに配置したら今度はどっちに動くかとか考えて、相手の裏の裏を読む心理戦。
それが見事にはまったときとか思わずガッツポーズしたくなりません?
え、ならない?
うっそだー。
「くれぐれも気をつけるようにします。」
「私達は気にしていませんが、今回は相手が相手のようですのでお気をつけ下さい。」
「ほんとどうしてこんな事になったんでしょう。」
「仕方ありません、相手の素性を知らなかったとはいえ邪険にしてしまったのですから。」
「次からは相手を確認してからするようにします。」
やらないとは言ってない。
俺だって売られた喧嘩を買う事だってあるんだ。
「そろそろセレン様が来られる時間ですね、御主人様はどうされますか?」
「何時までも時間を引き延ばしても仕方ありません、私も行きます。」
ここでウジウジしてるぐらいならさっさといやな事を終わらせてしまおう。
戸締りをして商店に入ると丁度ウェリスとセレンさんが出勤していた。
「おはようございますセレンさん。」
「イナバ様、おはようございます。」
「おい、あいつは一体何なんだ?」
セレンさんはにこやかに挨拶してくれたのに、ウェリスから開口一番に出てきたのは文句だった。
「やっぱり面倒な事になってます?」
「面倒な事ってもんじゃねぇよ。お前の所に用があるって出て行ったと思ったらすぐに戻ってくるし。しかも戻ってくるなり怒鳴りながら村中引っ掻き回していったんだぞ。そのせいで出稼ぎの連中がビビッちまって、早く何とかしてくれよ。」
「それに関しては申し訳ありません。」
「また何かやったんだろ。」
「いや、やったと言いますか何と言いますか。」
「今は大人しくしてるけど、あとで嫁さんにお礼言っとけよ。」
やっぱりシルビアが頑張ってくれたようだ。
さすが元騎士団長、お貴族様への対処の仕方も心得ているようだ。
「シュウイチさんもう行くんですか?」
「えぇ、さっさと終わらせてしまおうと思いまして。」
「ご一緒しますか?」
「いえ、こっちをお願いします。定期便がないとはいえ昨日乗れなかった人が来るかもしれませんから。」
「なら誰が一緒に・・・。」
あぁそうか。
俺一人で出歩いちゃ行けないんだったな。
それが例え村までの僅かな距離でも誰かが一緒に行動する。
いつも事件に巻き込まれる俺を守る為にそういう約束になっている。
でもニケさんとエミリアはお店があるし、ユーリもダンジョンとセレンさんの手伝いをしなければならない。
手が空いているはずのシルビアも一足先に村にいっているわけで・・・。
やっぱり一人で行くしかないんじゃない?
「こいつ一人で出歩かせてないんだろ?奴隷でもないのに残念な奴だな。」
「別に絶対にダメってわけじゃ・・・あ、いや何でもありません。」
エミリアの鋭い視線に思わずたじろいでしまった。
はい、すみませんでした。
「仕方ねえさっさと行くぞ。」
「え?」
「誰かが一緒じゃないとダメなんだったら俺でも構わないだろ?」
「あぁそうか、これから村に戻るんですよね。」
「お前にはさっさとあの変な客人の相手をして貰わないとこっちが困るんだよ。ほら、さっさと行くぞ。」
セレンさんと違ってウェリスは村に戻るんだからそれに便乗すれば良いのか。
ぜんぜん思いつかなかった。
渡りに船とはまさにこのことだな。
「では行ってきます。」
「「「「いってらっしゃい。」」」」
横を歩くのがむさ苦しいオッサンと言うのはあれだが、致し方ない。
「俺だってお前みたいな男と歩くのはごめんだよ。」
おっと、また心の声が漏れていたようだ。
マジで気をつけよう。
ウェリスと共に村へと向かう道中、例の女性について色々と聴くことができた。
やはりホンクリー家の人間で間違いないようで、10人ほどのお付の人間を連れて急にやってきたらしい。
名目は視察。
だが詳しい説明はなく真っ先に向かったのが俺の店という事らしい。
来た時からプリプリ怒り気味だったが戻って来てからはそれが激しく、お付の人間に当たり散らしていたとか。
その後勝手に村中を見て回り、ニッカさんの家に引きこもってしまったそうだ。
状況は理解した。
明らかに視察以外の理由でここにきているようだが、それが何かはまだ見当もつかない。
そもそも視察なんて言ってるけど見るべき場所なんて何もないんだから。
あれか?
精霊に守られた村って噂を聞いて精霊がいないか見に来たのか?
そんなまさか。
「ともかくだ、また昨日みたいに村の中をうろつかれると作業に支障が出る。遅れが出る事はお前も望んじゃいないだろ?」
「それはそうですけど約束はできませんよ。」
「相手の目的は間違いなくお前だ。お前さえ生贄になれば全て片付くんだよ。」
「いや、生贄って・・・。」
「違うのか?」
「私を生贄にして得た平和に意味はあるんでしょうか。」
「ある。」
うわ、即答しやがった。
ひどい奴。
今度セレンさんにいいつけてやる。
でもまぁ追い返したのは俺だし、そこは責任取らないとダメだよな。
村に入ると通りがかった人全員が俺を見て後は任せたみたいな顔をする。
昨日一日、いや半日でいったい何があったんだろうか。
「それじゃあ後は頼んだぞ、俺は作業に戻る。」
「ありがとうございました。」
「くれぐれもよろしく頼むぞ、今日中に片づけてくれ。」
「出来る限りの努力はしますが約束はできませんよ。」
作業に戻るウェリスを見送り、やる気は起きないが村長の家へと向かう。
家の前には例の鎧を身に着けた兵士が二人、門番のように立っていた。
手に武器は持っていないが腰にぶら下げた剣はいつでも抜ける状態になっている。
そりゃ村の人が怯えるわけだよ。
「止まれ!」
「こちらに来るように言われてきたのですが、通していただけますか?」
「お前がイナバシュウイチか?」
「シュリアン商店店主イナバ=シュウイチと申します。そちらの使者が昼までに来いと仰ったので参った次第です。」
「そこで待て。」
少し近づいただけで止められてしまったが、アポは取っているので問題ないはずだ。
二人のうち一人が扉をノックして中に入る。
残されたもう一人が値踏みをするような目で俺をじっと見つめてきた。
感じ悪いなぁ。
呼び出したのはそっちだろ?
「シュウイチ早かったな!」
それからしばらくして中から出てきたのは警護していた兵士、ではなく一日ぶりに顔を見る俺の奥さんだった。
「大丈夫でしたか?」
「ホンクリー家の当主様とは一度王都でお会いしたことがあってな、ラーマ様とも一度面通りさせてもらっていた。かなり御立腹だったが、一体何をしたんだ?」
「無礼な対応をされたのでちょっとカチンときてしまいまして、シルビアには迷惑をかけてしまいましたね。」
「私は別に構わんがお前が怒るぐらいだよっぽどの事をしたのだろう。だが、弁解するならばあの方は決して悪意があってやっているわけではないのだ。少々我儘なだけなのだよ。」
横で兵士が聞いていても怒らない所を見ると、これぐらいはセーフな内容らしい。
むしろ聞きながら所々頷いていたような気もする。
色々理不尽な事を言われたりしているんだろうなぁ・・。
ご苦労様です。
なんて思いが通じたのか先ほどと違い仲間を見るような目で俺達を見て来る。
前言撤回。
この人も苦労してるんだな。
「さぁ、ラーナ様が中でお待ちだ。一応どうしてここに来たのか大方話は聞いているからシュウイチは私に続いて話してくれれば大丈夫だ。もう一度言うがあの方の言葉に決して悪意はない。怒らないでやってくれ。」
「わかりました。」
シルビアがこんなに念押しするなんてよっぽどなんだろう。
エミリアも随分と我儘に育ったって言ってたしな。
しかも年上だって。
確かに元の世界でも子供みたいな大人はたくさんいたけど・・・。
まさかこの世界に来てまでそんな人間の相手をしなければならないとは。
世界が違っても人は変わらないのか。
シルビアを先頭にして中に入ると、いつも話し合いをしているリビングには兵士が三人。
一人はさっきの兵士で、あとの二人は元からいた人だろう。
その二人とニッカさんがにこやかに談笑している。
「父上、シュウイチが来たぞ。」
「これはイナバ様早い時間からありがとうございます。」
「とんでもありません、ニッカさんもお客様の対応ありがとうございました。」
「なんでもはるばる王都からやってこられたとか。このような狭い家でくつろいでいただけていたらよろしいのですが・・・。」
「村長様にはよくしていただき我々も感謝しています。イナバ様、奥でお嬢様がお待ちですどうぞお入りください。」
挨拶もほどほどにそのまま奥の客間へと通される。
リビングを抜け客間へ入ろうとした時だった。
「失礼します、腰の短剣をお預かりしても?」
「これは失礼しました。」
おっと、ついいつもの癖でぶら下げたままだった。
よく見ればシルビア様も帯剣していない。
何もないと分かっていても丸腰になるのは少し不安だなぁ。
短剣を渡し改めて客間へと入る。
部屋の中には兵士が一人。
そして目的の人物は奥のベットで暇そうな顔をして寝転がっていた。
・・・怒るな俺。
シルビアに言われたばかりじゃないか。
大人になれ。
相手は子供なのだ。
大きな大人の皮をかぶった小さい子供。
ほら、そう思えばこの状況もおかしくないだろう?
「ラーマ様、イナバ様が参られました。」
「んー、ちょっと待って・・・。」
「待てません。」
「何でよ、お昼前に来るんだから別に構わないでしょ?」
「もうお越しになられいています、早く起きてください。」
「ちょっと!なんでもう来てるのよ!」
声の感じからすると部屋の中にいた兵士は昨日来てくれた人だろう。
渋い感じのいい声だ。
こういうのをイケボっていうんだろうな。
羨ましい。
そして大人なお子ちゃまはというと、目を見開いて飛び起きると慌てて衣服を整えている。
昨日とは違い大人しめのグレーのドレス。
部屋着という感じではなさそうだが、昨日の印象からすると大分地味だな。
「ラーマ様、裾をお直しください。」
「わ、わかってるわよ!」
シルビアにも突っ込まれはやくもお怒りモードのようだ。
いくらなんでも早すぎませんかね。
パタパタと裾を払い一応の身支度は終わったようだ。
横になっていたせいで髪のセットが崩れ、右側頭部の髪が跳ねているのは突っ込んじゃいけないんだろう。
そうしたら最後、直るまで話を聞いてもらえそうにない。
「改めましてシュリアン商店のイナバ=シュウイチと申します。」
「最初からそうやって挨拶したらいいのに・・・。」
「ラーマ様。」
耐えろ。
耐えろ俺。
「名乗られたのであれば仕方ありません。私はラーマ、ホンクリー家の次女であり、お父様より今回の視察の全てを任されています。一介の商人が私と話せるなんてありえない事ですわ、光栄に思いなさい。」
「ラーマ様は先日の測量についての話を聞き視察に来られたそうだ。」
「あの税制改革の草案、表向きはガスターシャ様が作られたことになっているけれどあれを作ったのは貴方なのでしょう?それにサンサトローズでの何だったかしら・・・。」
「『チャリティ』ですラーマ様。」
「そうそれよ、その『チャリティ』なんて物を考えたのも貴方。いったい何が目的でこんなことをしているのか聞かせてもらえるかしら。」
先ほどまでのだらけた姿とは違い、鋭い目つきで俺を見て来る。
成程、視察というのはあくまでも名目。
今回は俺の調査が目的というわけか。
どういう理由で調査しに来たのか知らないけど、いい迷惑だ。
別に俺は何かを企んでいるわけではない。
話の流れでそうなってしまったというだけ。
だが、そのまま話をして満足してくれるんだろうか。
まるで獲物を狙う肉食動物のような目で俺を見つめ続ける。
エミリアやシルビアの話では我儘な子供だと聞いていたけれど、随分と印象が違うようだ。
これは適当にあしらうだけじゃ済まなさそうだな。
「ラーマ様、もう一つお忘れです。」
「何よ、それ以外に何があるっていうの?」
「旦那様からは結婚相手としてふさわしいか見極めてこいと言われております。当初の予定はこちらが本筋、お間違えの無いようよろしくおねがいします。」
はい?
今なんて言った?
結婚相手だって?
余りの内容に耳を疑い思わずシルビア様の方を向く。
それは向こうも同じようで、二人してハトが豆鉄砲を食らったような顔をしてしまった
予想の斜め上のさらに上を行く状況に思考がおいつかない。
これはちょっと、面倒な事になっているみたいだぞ。
クレームが来るとわかっていて出勤する朝と同じだ。
めんどくさい。
行きたくない。
できるならサボりたい。
そうは思うも時間は待ってくれず仕方なく重い体を起こし身支度をする。
相手が貴族だから面倒なんじゃない。
中身に問題あるから面倒なのだ。
いや、話してみれば案外話のわかる人かもしれない。
でもそうじゃない場合はどうだ?
堂々巡りする会話に、理不尽な叱咤。
会話を聞こうともしない姿勢。
世のクレーマーの大半がそんな感じだ。
もちろんもっと狡猾なタイプもいるけれど、気晴らしや文句を言いたいだけの連中も多い。
あぁ、面倒だ。
「お顔がさえませんね、昨晩はお休みになれませんでしたか?」
「これから起きる事を考えて笑顔でいられると思いますか?」
「まるで死地に行くような顔をしておられますよ。」
「命は取られないまでも似たようなものです。」
食事を終えニケさんの入れてくれた香茶を飲んでいると見回りに行っていたユーリが帰ってきた。
食事の時には必ず帰ってきていたのに珍しいな。
「そんな御主人様に朗報があるのですがお聞きになられますか?」
「気が晴れる内容であれば是非お願いします。」
「拡張準備が整いました。あとは御主人様の命令一つで20階層までの拡張が完了いたします。」
「やっとそこまでの余裕が出来ましたか。」
「気は晴れましたか?」
「完全にとは言いませんがこれを励みに頑張ってきます。」
ノルマの一つが無事に終わりを迎えようとしている。
一度は諦めかけたけれど何とか一歩前進できそうだ。
こんな所で腐ってちゃダメだよな、面倒な仕事なんてこの後の楽しみの為にさっさと終わらせないと。
なんだろうこの気持ち。
そうだ、仕事は面倒だけど帰ったら新作ゲームがあるとわかっているのと同じ感じだ。
その為にはどんな理不尽な仕事でも頑張る事ができる。
報酬がわかっているときのやる気ってぜんぜん違うよな。
現金なものだ。
「魔物の再配置はすぐに出来ますが、罠の配置に関しては御主人様に一任します。お時間のあるときにたっぷりと悩んで下さい。」
「手配は済んでいるんですよね?」
「ある程度の量は仕入れてあります。他に必要なものがあれば個別に注文していただければ。」
「楽しみがまた一つ増えました。」
「罠を考えているときの御主人様は本当に悪い顔をされますよね。」
「え、そんな顔してます?」
「はい、とっても。」
確かに表情に出るタイプだとは言われるけど底までだとは思わなかった。
心の声も駄々漏れみたいだし、ホントどうなっているんだろうか。
いや、つい楽しくなっちゃうんですよ。
こっちに配置したら今度はどっちに動くかとか考えて、相手の裏の裏を読む心理戦。
それが見事にはまったときとか思わずガッツポーズしたくなりません?
え、ならない?
うっそだー。
「くれぐれも気をつけるようにします。」
「私達は気にしていませんが、今回は相手が相手のようですのでお気をつけ下さい。」
「ほんとどうしてこんな事になったんでしょう。」
「仕方ありません、相手の素性を知らなかったとはいえ邪険にしてしまったのですから。」
「次からは相手を確認してからするようにします。」
やらないとは言ってない。
俺だって売られた喧嘩を買う事だってあるんだ。
「そろそろセレン様が来られる時間ですね、御主人様はどうされますか?」
「何時までも時間を引き延ばしても仕方ありません、私も行きます。」
ここでウジウジしてるぐらいならさっさといやな事を終わらせてしまおう。
戸締りをして商店に入ると丁度ウェリスとセレンさんが出勤していた。
「おはようございますセレンさん。」
「イナバ様、おはようございます。」
「おい、あいつは一体何なんだ?」
セレンさんはにこやかに挨拶してくれたのに、ウェリスから開口一番に出てきたのは文句だった。
「やっぱり面倒な事になってます?」
「面倒な事ってもんじゃねぇよ。お前の所に用があるって出て行ったと思ったらすぐに戻ってくるし。しかも戻ってくるなり怒鳴りながら村中引っ掻き回していったんだぞ。そのせいで出稼ぎの連中がビビッちまって、早く何とかしてくれよ。」
「それに関しては申し訳ありません。」
「また何かやったんだろ。」
「いや、やったと言いますか何と言いますか。」
「今は大人しくしてるけど、あとで嫁さんにお礼言っとけよ。」
やっぱりシルビアが頑張ってくれたようだ。
さすが元騎士団長、お貴族様への対処の仕方も心得ているようだ。
「シュウイチさんもう行くんですか?」
「えぇ、さっさと終わらせてしまおうと思いまして。」
「ご一緒しますか?」
「いえ、こっちをお願いします。定期便がないとはいえ昨日乗れなかった人が来るかもしれませんから。」
「なら誰が一緒に・・・。」
あぁそうか。
俺一人で出歩いちゃ行けないんだったな。
それが例え村までの僅かな距離でも誰かが一緒に行動する。
いつも事件に巻き込まれる俺を守る為にそういう約束になっている。
でもニケさんとエミリアはお店があるし、ユーリもダンジョンとセレンさんの手伝いをしなければならない。
手が空いているはずのシルビアも一足先に村にいっているわけで・・・。
やっぱり一人で行くしかないんじゃない?
「こいつ一人で出歩かせてないんだろ?奴隷でもないのに残念な奴だな。」
「別に絶対にダメってわけじゃ・・・あ、いや何でもありません。」
エミリアの鋭い視線に思わずたじろいでしまった。
はい、すみませんでした。
「仕方ねえさっさと行くぞ。」
「え?」
「誰かが一緒じゃないとダメなんだったら俺でも構わないだろ?」
「あぁそうか、これから村に戻るんですよね。」
「お前にはさっさとあの変な客人の相手をして貰わないとこっちが困るんだよ。ほら、さっさと行くぞ。」
セレンさんと違ってウェリスは村に戻るんだからそれに便乗すれば良いのか。
ぜんぜん思いつかなかった。
渡りに船とはまさにこのことだな。
「では行ってきます。」
「「「「いってらっしゃい。」」」」
横を歩くのがむさ苦しいオッサンと言うのはあれだが、致し方ない。
「俺だってお前みたいな男と歩くのはごめんだよ。」
おっと、また心の声が漏れていたようだ。
マジで気をつけよう。
ウェリスと共に村へと向かう道中、例の女性について色々と聴くことができた。
やはりホンクリー家の人間で間違いないようで、10人ほどのお付の人間を連れて急にやってきたらしい。
名目は視察。
だが詳しい説明はなく真っ先に向かったのが俺の店という事らしい。
来た時からプリプリ怒り気味だったが戻って来てからはそれが激しく、お付の人間に当たり散らしていたとか。
その後勝手に村中を見て回り、ニッカさんの家に引きこもってしまったそうだ。
状況は理解した。
明らかに視察以外の理由でここにきているようだが、それが何かはまだ見当もつかない。
そもそも視察なんて言ってるけど見るべき場所なんて何もないんだから。
あれか?
精霊に守られた村って噂を聞いて精霊がいないか見に来たのか?
そんなまさか。
「ともかくだ、また昨日みたいに村の中をうろつかれると作業に支障が出る。遅れが出る事はお前も望んじゃいないだろ?」
「それはそうですけど約束はできませんよ。」
「相手の目的は間違いなくお前だ。お前さえ生贄になれば全て片付くんだよ。」
「いや、生贄って・・・。」
「違うのか?」
「私を生贄にして得た平和に意味はあるんでしょうか。」
「ある。」
うわ、即答しやがった。
ひどい奴。
今度セレンさんにいいつけてやる。
でもまぁ追い返したのは俺だし、そこは責任取らないとダメだよな。
村に入ると通りがかった人全員が俺を見て後は任せたみたいな顔をする。
昨日一日、いや半日でいったい何があったんだろうか。
「それじゃあ後は頼んだぞ、俺は作業に戻る。」
「ありがとうございました。」
「くれぐれもよろしく頼むぞ、今日中に片づけてくれ。」
「出来る限りの努力はしますが約束はできませんよ。」
作業に戻るウェリスを見送り、やる気は起きないが村長の家へと向かう。
家の前には例の鎧を身に着けた兵士が二人、門番のように立っていた。
手に武器は持っていないが腰にぶら下げた剣はいつでも抜ける状態になっている。
そりゃ村の人が怯えるわけだよ。
「止まれ!」
「こちらに来るように言われてきたのですが、通していただけますか?」
「お前がイナバシュウイチか?」
「シュリアン商店店主イナバ=シュウイチと申します。そちらの使者が昼までに来いと仰ったので参った次第です。」
「そこで待て。」
少し近づいただけで止められてしまったが、アポは取っているので問題ないはずだ。
二人のうち一人が扉をノックして中に入る。
残されたもう一人が値踏みをするような目で俺をじっと見つめてきた。
感じ悪いなぁ。
呼び出したのはそっちだろ?
「シュウイチ早かったな!」
それからしばらくして中から出てきたのは警護していた兵士、ではなく一日ぶりに顔を見る俺の奥さんだった。
「大丈夫でしたか?」
「ホンクリー家の当主様とは一度王都でお会いしたことがあってな、ラーマ様とも一度面通りさせてもらっていた。かなり御立腹だったが、一体何をしたんだ?」
「無礼な対応をされたのでちょっとカチンときてしまいまして、シルビアには迷惑をかけてしまいましたね。」
「私は別に構わんがお前が怒るぐらいだよっぽどの事をしたのだろう。だが、弁解するならばあの方は決して悪意があってやっているわけではないのだ。少々我儘なだけなのだよ。」
横で兵士が聞いていても怒らない所を見ると、これぐらいはセーフな内容らしい。
むしろ聞きながら所々頷いていたような気もする。
色々理不尽な事を言われたりしているんだろうなぁ・・。
ご苦労様です。
なんて思いが通じたのか先ほどと違い仲間を見るような目で俺達を見て来る。
前言撤回。
この人も苦労してるんだな。
「さぁ、ラーナ様が中でお待ちだ。一応どうしてここに来たのか大方話は聞いているからシュウイチは私に続いて話してくれれば大丈夫だ。もう一度言うがあの方の言葉に決して悪意はない。怒らないでやってくれ。」
「わかりました。」
シルビアがこんなに念押しするなんてよっぽどなんだろう。
エミリアも随分と我儘に育ったって言ってたしな。
しかも年上だって。
確かに元の世界でも子供みたいな大人はたくさんいたけど・・・。
まさかこの世界に来てまでそんな人間の相手をしなければならないとは。
世界が違っても人は変わらないのか。
シルビアを先頭にして中に入ると、いつも話し合いをしているリビングには兵士が三人。
一人はさっきの兵士で、あとの二人は元からいた人だろう。
その二人とニッカさんがにこやかに談笑している。
「父上、シュウイチが来たぞ。」
「これはイナバ様早い時間からありがとうございます。」
「とんでもありません、ニッカさんもお客様の対応ありがとうございました。」
「なんでもはるばる王都からやってこられたとか。このような狭い家でくつろいでいただけていたらよろしいのですが・・・。」
「村長様にはよくしていただき我々も感謝しています。イナバ様、奥でお嬢様がお待ちですどうぞお入りください。」
挨拶もほどほどにそのまま奥の客間へと通される。
リビングを抜け客間へ入ろうとした時だった。
「失礼します、腰の短剣をお預かりしても?」
「これは失礼しました。」
おっと、ついいつもの癖でぶら下げたままだった。
よく見ればシルビア様も帯剣していない。
何もないと分かっていても丸腰になるのは少し不安だなぁ。
短剣を渡し改めて客間へと入る。
部屋の中には兵士が一人。
そして目的の人物は奥のベットで暇そうな顔をして寝転がっていた。
・・・怒るな俺。
シルビアに言われたばかりじゃないか。
大人になれ。
相手は子供なのだ。
大きな大人の皮をかぶった小さい子供。
ほら、そう思えばこの状況もおかしくないだろう?
「ラーマ様、イナバ様が参られました。」
「んー、ちょっと待って・・・。」
「待てません。」
「何でよ、お昼前に来るんだから別に構わないでしょ?」
「もうお越しになられいています、早く起きてください。」
「ちょっと!なんでもう来てるのよ!」
声の感じからすると部屋の中にいた兵士は昨日来てくれた人だろう。
渋い感じのいい声だ。
こういうのをイケボっていうんだろうな。
羨ましい。
そして大人なお子ちゃまはというと、目を見開いて飛び起きると慌てて衣服を整えている。
昨日とは違い大人しめのグレーのドレス。
部屋着という感じではなさそうだが、昨日の印象からすると大分地味だな。
「ラーマ様、裾をお直しください。」
「わ、わかってるわよ!」
シルビアにも突っ込まれはやくもお怒りモードのようだ。
いくらなんでも早すぎませんかね。
パタパタと裾を払い一応の身支度は終わったようだ。
横になっていたせいで髪のセットが崩れ、右側頭部の髪が跳ねているのは突っ込んじゃいけないんだろう。
そうしたら最後、直るまで話を聞いてもらえそうにない。
「改めましてシュリアン商店のイナバ=シュウイチと申します。」
「最初からそうやって挨拶したらいいのに・・・。」
「ラーマ様。」
耐えろ。
耐えろ俺。
「名乗られたのであれば仕方ありません。私はラーマ、ホンクリー家の次女であり、お父様より今回の視察の全てを任されています。一介の商人が私と話せるなんてありえない事ですわ、光栄に思いなさい。」
「ラーマ様は先日の測量についての話を聞き視察に来られたそうだ。」
「あの税制改革の草案、表向きはガスターシャ様が作られたことになっているけれどあれを作ったのは貴方なのでしょう?それにサンサトローズでの何だったかしら・・・。」
「『チャリティ』ですラーマ様。」
「そうそれよ、その『チャリティ』なんて物を考えたのも貴方。いったい何が目的でこんなことをしているのか聞かせてもらえるかしら。」
先ほどまでのだらけた姿とは違い、鋭い目つきで俺を見て来る。
成程、視察というのはあくまでも名目。
今回は俺の調査が目的というわけか。
どういう理由で調査しに来たのか知らないけど、いい迷惑だ。
別に俺は何かを企んでいるわけではない。
話の流れでそうなってしまったというだけ。
だが、そのまま話をして満足してくれるんだろうか。
まるで獲物を狙う肉食動物のような目で俺を見つめ続ける。
エミリアやシルビアの話では我儘な子供だと聞いていたけれど、随分と印象が違うようだ。
これは適当にあしらうだけじゃ済まなさそうだな。
「ラーマ様、もう一つお忘れです。」
「何よ、それ以外に何があるっていうの?」
「旦那様からは結婚相手としてふさわしいか見極めてこいと言われております。当初の予定はこちらが本筋、お間違えの無いようよろしくおねがいします。」
はい?
今なんて言った?
結婚相手だって?
余りの内容に耳を疑い思わずシルビア様の方を向く。
それは向こうも同じようで、二人してハトが豆鉄砲を食らったような顔をしてしまった
予想の斜め上のさらに上を行く状況に思考がおいつかない。
これはちょっと、面倒な事になっているみたいだぞ。
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四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
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