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第十一章
前を向いていられる理由
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馬は快調にサンサトローズへの道を進んでいく。
ニケさんも子供の時以来と言っていたが上手に馬を乗りこなしていた。
俺の場合は乗せてもらっているだけだけど、ニケさんはどう見ても違うもんな。
最初こそ抵抗を見せたもののすぐに大人しくなったし。
流石ニケさんです。
雪はほぼ融けており、冬らしい寒さはあるものの特に問題はない。
この分で行けば予定よりも早くつけそうだけど、向こうでやることを考えたらもう少し飛ばした方がいいかもしれないな。
「ニケさん、もう少し速度を上げても大丈夫ですか?」
「大丈夫です!むしろもっと走りたそうにしています。」
「なら少し急ぎますね。」
「はい!」
ほんじゃま、ちょいと急ぎますか。
俺は彼女の首を優しく撫で、足で軽くお腹を蹴る。
こちらを振り返るようなそぶりを見せたものの、次の瞬間にはグンと速度を上げて駆け始めた。
余りの速度にすこし体が持っていかれる。
『なによ、こんな速度も耐えれないの?』
なんて言われ無いようにしっかり体を固定した。
「こんなに速いの久々です!」
並走するニケさんが楽しそうな声をあげる。
「馬車だとここまで風を感じる事はありませんもんね。」
「こんな事が出来るなんて、本当に夢みたいです。」
「夢なんかじゃありませんよ。」
「これも全部イナバ様のおかげです。」
俺が全部したわけじゃないんだけど、ここで謙遜すればニケさんの心象的によろしくない。
ニケさんからすれば俺はあそこから自分を救い出してくれた人、という事になっている。
もちろん間違いではないんだけど、あれは半分成り行き的な所がありましてですね。
むしろニケさんがいなければあの事件は解決出来なかったわけで。
お礼を言いたいのはこっちの方だ。
「むしろお礼を言いたいのはこちらの方です、いつもありがとうございます。」
「少しでもお役に立てていますか?」
「それはもちろん、ニケさんがいなかったら今頃大変な事になっていましたよ。本当に助かってます。」
今でこそ暇だが、この前までの忙しさではニケさん無しでは店は回らなかっただろう。
計算接客金銭管理、商売に必要な物はほぼ網羅している。
これだけの人材をこの世界で見つけるのは非常に大変な事だ。
本当に運が良かったと思っている。
「よかったです。」
「そういえばサンサトローズについたらどこで手続きをすればいいんでしょうか。」
「専用の場所があったと思うのでそこに行けば大丈夫のはずです。ええっと、どこだったかな。」
「税務署でしょうか。」
「ゼイムショ?」
あぁ、こっちではゼイムショとは言わないのか。
「税金を管轄している場所の事です。奴隷だけでなくその他にも税金はかけられていますから、おそらくそれ専用の場所があるとおもうんですよね。」
「そこです!」
「でもサンサトローズのどこにあるんでしょう。結構出入りしていますけど、それっぽい場所は見たこと無い様な。」
「私も話に聞いた事があるだけで場所まではわかりません。猫目館にいる時は支配人が税金を納めていましたし・・・。」
ま、そりゃそうだよな。
自分で税金を払いに行ってたら逆に面白い。
でも困ったな、二人とも知らないんじゃまずそこを探すところからか。
騎士団で聞けばわかるかなぁ。
「まぁ、行けば何とかなるでしょう。」
「あの、どうしてイナバ様はいつもそうやって前向きでいられるんですか?」
「私が前向き、ですか?」
「違うんですか?」
「違うというかなんというか、あんまりそういう風に思ったことがなかったので。」
俺が前向きねぇ。
むしろ悪い方に考える事が多い様な気がするけど・・・。
どうなんだろう。
「私を助けてくださったときもそうですし、これまでも何度も大変な目にあっているのにその度に前を向いて立ち上がって。すごいと思うんです。」
「そんな風に言われると照れてしまいます。」
「本当の事です!私なんて、もうあそこから出ることはないんだなって半分あきらめていたんですから。」
「私が同じ立場ならそうかもしれませんよ。」
「そんなことないと思います。イナバ様ならきっと、すごい人を捕まえてやるという気持ちでいたに違いありません。」
そうかなぁ。
俺も、同じようにただ何となく時間を過ごして借金だけが増えていく事に絶望しそうなものだけど。
同じ立場でって考えるとなかなか難しいが、俺だって結構悲観的に考えていると思うんだけど。
思っているのは俺だけなのか?
「そうですね、もし前向きでいるように見えるのであればそれはニケさんたちのおかげです。」
「私達ですか?」
「エミリアやシルビア、ユーリにニケさん、セレンさんやウェリスやその他大勢の方が私を助けてくれています。にもかかわらず私だけが落ち込んで下を向いていたら申し訳ないじゃないですか。」
「それだけ、ですか?」
「私にとってはとても重要な事なんですよ。」
基本他力本願の俺にとってみんなの助けは無くてはならないものだ。
せっかく手を差し伸べてくれているのに、相手が下を向いたままだったらどう思うだろうか。
俺なら助けるのをやめてしまうだろう。
助けてもらっているからこそ、前を向く義務がある。
改めて思うと俺の前向きに見える部分はそこから来ているんだろうな。
「だから、これからもよろしくおねがいしますねニケさん。」
「はい!」
一先ず納得してくれたようだ。
俺が前向き、ねぇ。
今まで考えたことなかったな。
けどそうやって思ってくれているんだからますます下をむいちゃいられない。
ニケさんの件もあるけれど今日の目的はダンジョンをどうにかする方法を探すことだ。
魔力が無くなったなら補充すればいい。
新しい方法を何としてでも見つけて帰らないと。
よし、がんばろう!
俺の考えが伝わったのか、彼女が大きな声で嘶いた。
彼女なりに頑張れって言ってくれているのかな。
ありがとう。
そんな思いと共に俺達はサンサトローズへひた走った。
サンサトローズに到着し、騎士団で納税先について教えてもらう。
どうやら南門を城壁沿いに東門のほうへ歩いていけばすぐ見つかるそうだ。
そんな場所あったっけ?
と思いながらも騎士団が言うから間違いないんだろう。
「この辺りのはずなんですが・・・。」
「そのはずですね。」
大通りは人通りも多く明るい感じだが、一本通りを変えると途端に暗くなる。
この辺りは壁の真横という事もあって特に暗く感じるな。
「あ、あそこじゃないですか?」
ニケさんが指差したのはこじんまりとした石作りの家だった。
周りが大体二階建てなのにも関わらず、そこだけ平屋建てで重厚な感じがする。
軒先には硬貨が詰められた袋の看板が掲げられていた。
どうやらここのようだ。
「お金を大量に扱うには無用心な場所のように感じますが・・・間違い無さそうですね。」
「けど建物は頑丈そうです。」
建物だけでなく入口の扉も金属製でかなり頑丈そうだ。
さすがお金を扱うだけはある。
むしろこれぐらいしておかないといけないんだろうな。
その重厚な扉をノックするとガンガンという鈍い音がする。
が、中から返事はない。
今度は強めに三回ほどノックしてみる。
城壁に反響するぐらいに強い音がするも返事は無い。
「いらっしゃらないんでしょうか。」
「どうでしょう。」
入口横に備え付けられた小さな窓からはオレンジ色の明かりが見える。
明かりがついているんだし誰かいそうなものだけど・・・。
物はためしと押してみると見た目とは裏腹に扉は音もなくスッと開いた。
「開きましたね。」
「ですね。」
扉はどう見ても金属製なんだけどなぁ、魔法でもかかっているんだろうか。
「とりあえず入りましょうか。」
鍵がかかってないということはやっているということだ。
「失礼します。」
一応大きめの声で挨拶をしながら中に入る。
壁も床も全て石造りで歩くとコツコツ音が響く。
中は思っていたよりも薄暗く、入口のほかは奥のほうに明かりがついているだけだ。
あれ、営業していないのかな。
「あのー、すみませーん。」
カウンターらしき所があったのでそこから奥に声をかけてみる。
だが反応は無い。
「お休みでしょうか。」
「でも玄関は開いていましたし、お金を扱う所だけにそれは無いと思います。」
確かにニケさんの言うとおりだ。
これで休みなら盗んでくださいといわんばかりの状況だからな。
ならばやる事は一つ。
「すみませーん!だれかいませんかー!」
大声で呼び出すのみ。
「誰ですか大声を出して!聞こえていますよ!」
と、今度はちゃんと返事が返ってきた。
聞こえてるなら出て来いよ。
ガサガサと何かを片付ける音がしたかと思うと、カウンターのすぐ下から人が現れた。
「奴隷の納税は春、収穫の納税は秋まで!こんな寒い時期に一体何しにきたんですか!」
「奴隷の減免手続きに来たんです。」
「ですから奴隷の納税は春です!暖かくなったらきてください!」
「いえですから・・・。」
「まったく、聞き分けが悪いですね。寒いと耳まで遠くなるのかな。」
なんだか分からないが耳が悪いと言われてしまった。
失礼な話しだ。
下から出てきたのは眼鏡をかけた小柄な男性だった。
ホビルトみたいな種族的な小ささではなく、純粋に背が小さい感じ。
なんていうか、雰囲気だけで言えばクラスに一人はいたであろうガリ勉委員長タイプ。
勉強のし過ぎで目が悪くなったとか昔なら言われていたら奴だ。
ちなみに勉強やゲームをし続けても目が悪くならない人も居るので絶対ではない。
閑話休題。
ともかく突然下から現れたその男性は俺の方を見るわけでもなく何か作業をしながらブツブツと文句を言っている。
なんだろう、今話題のモンスターになってもいいやつだろうか。
「私達は税の減免をお願いに来たんです納付しに来たわけじゃありません!」
バンと机を叩き、俺よりも先にニケさんがキレてしまった。
「そんな事をしても受付しませ・・・、減免ですか?」
「ですからそう言ってるじゃありませんか。」
そこで初めて男がこちらの方を見る。
まじまじと俺とニケさんを見比べて・・・。
「貧弱そうな奴隷ですね、なるほど新しい奴隷にする為に解放するんですね。」
あ、俺が奴隷ね。
なるほどなるほど。
確かにニケさんは奴隷に見えないし、となると必然的に俺がそう見えるのか。
って違う!
「いえ、彼女の減免手続きをお願いします。」
「・・・貴女が奴隷?」
「そうです。イナバ様に買っていただいた奴隷です。ありがたいことに解放してくださるので手続きに来ました。お願いできますでしょうか。」
「ならこっちが主人?こんな美人を手放すなんて何か悪い事でも考えているんですか?」
「イナバ様はそんな事しません!」
俺が怒る前にニケさんが怒ってしまうので何ともいえない気持ちになる。
一体この人は何なのだろうか。
「納付じゃないのなら仕事しないといけませんね、まったくこの時期は寒いから仕事したくないのに。」
「その気持ちもわかりますが彼女にとっては大切な事なんです、お願いします。」
「貴方も仕事したくない?」
「寒い日は暖かい所でゆっくりしたいですね、暖かい香茶でもあれば最高です。」
「なんだ話しの分かる人でしたか、それは失礼をしました。」
「いえ、お忙しい中すみません。」
「別に忙しくないですよ。寒いんで下で寝ていただけでしたから。」
って寝てたんかい!
だから呼んでもすぐに出てこないし、カウンターの下から出てきたのか。
「改めまして、サンサトローズの税務担当マルスです。今日は奴隷の解放に伴う減免措置ということですがよろしいですね?」
「はい、1年経たないと解放できないので春の納税に引っかかるんです。」
「1年で解放?こんな美人を?あぁ、家族ですか。」
「違います!イナバ様は私を買い上げてくださったんです!」
「ならなんで1年で?正直こんな美人なら高かったでしょうに。」
「えぇ、まぁ。」
金額だけ考えれば高かったんだろうけど、別に高いとは思わなかったな。
だって人の命だし。
「まぁ事情なんて私にとってはどうでもいい事です。貴方は奴隷を解放して税を払わなくて良い、貴女は奴隷から解放されて万々歳。私共は税金が入らずタダ働き、でもまぁ来年以降の業務が一つ減ると思えばむしろありがたい話なのか。」
なんていうか独り言の多い人だ。
ブツブツといいながら書類を引き出しから取り出し、それに何かを書き込んでいる。
「はい、この書類を読んでよければ一番下に署名を。なに簡単なことですよ。解放した事に文句を言わない、解放した後もう一度奴隷にするなんて言わない、税金を払わないという三点だけですから。」
「わかりました。」
「その間に貴女には二、三聞きたい事があるのでどうぞ奥へ。あぁ、別にとって喰いやしませんよ、貴女みたいな女性は好みじゃないので。」
「何かされたら叫ぶだけですから別に構いません。」
「どうぞご自由に。それじゃ、少し借りますよ。」
「いってらっしゃいニケさん。」
カウンターの端が上に跳ね上がり、ニケさんが奥に誘導される。
ニケさんの隣に立つと改めて背の小ささが際立つな。
本当はホビルトなんじゃないだろうか。
ま、大丈夫だろう。
えぇっと、何々。
『奴隷解放に際して以下のことについて了解したものとする。
1、奴隷を解放することに異論は無い。
2、奴隷を解放後について本人に口出しをしない。
3、奴隷を解放した事で生じる不利益を承諾している。
以上の事に同意できる場合にのみ税の納付を免除する。
なるほどなるほど。
異論は無いし、この先どうするかも自由だし、不利益は承知の上だ。
と、いう事でサインサインっと。
奥からは何も聞こえてこない。
そりゃそうか、虐待の有無など主人の手が届かない所で確認する作業なんだから。
聞こえちゃ困るよな。
さて暇になった。
いや、次の予定が詰まっているんで暇じゃないんだけど今は暇だ。
暇なので辺りを観察して時間を潰す事にする。
カウンターを除けば殺風景なかんじだ。
花瓶とかそういうものも置かれていないし、あるといえば簡単な机と壁際に椅子がずらーっと並んでいる。
恐らく順番待ちのやつだろう。
この時期は仕事は無いそうだが、納付の時期になると人がいっぱい来るんだろうな。
カウンターも一枚板のように見えてよく見ればそれを四分割するように切れこみがある。
衝立でも立てて対応場所を増やすんだろう。
なるほどなぁ、こうすれば閑散期は広くカウンターを使えるわけか。
考えてあるなぁ。
「お待たせしました。」
「あ、おかえりなさい。」
キョロキョロしていたら奥からニケさんが帰ってきた。
心なしか嬉しそうに見えるんだけど気のせいだろうか。
「奴隷の使用状況は確認できました。丁寧に扱われていたようで虐待の痕跡ならびに心理的痕跡も確認できませんでした。こんな美人に手も出していないとか、あなた不能なんですか?」
「ちゃんと機能してますよ。」
「なら好みじゃないとか?あぁ、だから解放したんですね。」
「元々そういう約束で買ったんです。好みか好みじゃないかで言えば十分好みです。」
「そうなんですか?」
ニケさんもそこで嬉しそうな顔しないの。
「一つ聞きたいんですが、心理的痕跡とはなんですか?」
「あぁ、虐待を隠すよう強制されている場合もありますからね。それを見破る魔法があるんです。幸いそういった痕跡もなく真実を述べていると確認で来ましたので御心配なく。」
「イナバ様がそんな事をするはずありません。」
「本人はそう思っていても心の奥はどう思っているか分かりませんから。」
確かに、自分は大丈夫と思っていても精神的なストレスで参ってしまう人も居る。
自分でも気付かないのが一番怖い。
「なるほどありがとうございました。」
「書類の記入も大丈夫ですね、はい、これで減免というか免除手続きは終わりです。誤って請求が来た場合は私以外の誰かが間違えたんで私を恨まないでくださいよお願いします。ではさっさとお帰りを、こんな寒い日は暖かくして寝るに限ります。」
「お邪魔しました。」
「本当ですよ。でもまぁ、そこまで奴隷を大切に扱う人には初めて出会いました、これからも最後の日まで同じように扱ってください。」
「もちろんです。」
「じゃあさっさとお帰りを、お疲れ様でした。」
「ありがとうございました!」
ニケさんが大きくお辞儀するもヒラヒラと手を振るだけで返事はなかった。
重厚そうに見えて実は軽い扉を閉めて小さく息を吐く。
やれやれ、これにて無事に一つ目の仕事終了だ。
それじゃま、次は魔術師ギルドに行って・・・おや?
「どうしたんですか、そんなにニヤニヤして。」
「別になんでもないですよ?」
「そうですか、それならいいんですけど。」
なんでもないといいながらも明らかに表情は明るい。
というか笑いをこらえられていない。
あの奥で一体何が行なわれていたのか俺に確認する方法は無い。
ないが、本人の顔を見ていたら悪い事は行なわれていなかったということだけは分かる。
ならまぁいいか。
「次は魔術師ギルドです、急ぎましょう。」
「はい、何処までもお供しますイナバ様!」
そう言いながらニケさんが俺の腕に腕を絡めてきた。
よ、よかったエミリア達が居なくて。
いたらなんて言われるか。
「どうしたんですか?」
「何でもありません、さぁ行きましょう!」
妙に明るいニケさんに引っ張られながら俺達は次の用事を済ますべく歩き始めた。
ニケさんも子供の時以来と言っていたが上手に馬を乗りこなしていた。
俺の場合は乗せてもらっているだけだけど、ニケさんはどう見ても違うもんな。
最初こそ抵抗を見せたもののすぐに大人しくなったし。
流石ニケさんです。
雪はほぼ融けており、冬らしい寒さはあるものの特に問題はない。
この分で行けば予定よりも早くつけそうだけど、向こうでやることを考えたらもう少し飛ばした方がいいかもしれないな。
「ニケさん、もう少し速度を上げても大丈夫ですか?」
「大丈夫です!むしろもっと走りたそうにしています。」
「なら少し急ぎますね。」
「はい!」
ほんじゃま、ちょいと急ぎますか。
俺は彼女の首を優しく撫で、足で軽くお腹を蹴る。
こちらを振り返るようなそぶりを見せたものの、次の瞬間にはグンと速度を上げて駆け始めた。
余りの速度にすこし体が持っていかれる。
『なによ、こんな速度も耐えれないの?』
なんて言われ無いようにしっかり体を固定した。
「こんなに速いの久々です!」
並走するニケさんが楽しそうな声をあげる。
「馬車だとここまで風を感じる事はありませんもんね。」
「こんな事が出来るなんて、本当に夢みたいです。」
「夢なんかじゃありませんよ。」
「これも全部イナバ様のおかげです。」
俺が全部したわけじゃないんだけど、ここで謙遜すればニケさんの心象的によろしくない。
ニケさんからすれば俺はあそこから自分を救い出してくれた人、という事になっている。
もちろん間違いではないんだけど、あれは半分成り行き的な所がありましてですね。
むしろニケさんがいなければあの事件は解決出来なかったわけで。
お礼を言いたいのはこっちの方だ。
「むしろお礼を言いたいのはこちらの方です、いつもありがとうございます。」
「少しでもお役に立てていますか?」
「それはもちろん、ニケさんがいなかったら今頃大変な事になっていましたよ。本当に助かってます。」
今でこそ暇だが、この前までの忙しさではニケさん無しでは店は回らなかっただろう。
計算接客金銭管理、商売に必要な物はほぼ網羅している。
これだけの人材をこの世界で見つけるのは非常に大変な事だ。
本当に運が良かったと思っている。
「よかったです。」
「そういえばサンサトローズについたらどこで手続きをすればいいんでしょうか。」
「専用の場所があったと思うのでそこに行けば大丈夫のはずです。ええっと、どこだったかな。」
「税務署でしょうか。」
「ゼイムショ?」
あぁ、こっちではゼイムショとは言わないのか。
「税金を管轄している場所の事です。奴隷だけでなくその他にも税金はかけられていますから、おそらくそれ専用の場所があるとおもうんですよね。」
「そこです!」
「でもサンサトローズのどこにあるんでしょう。結構出入りしていますけど、それっぽい場所は見たこと無い様な。」
「私も話に聞いた事があるだけで場所まではわかりません。猫目館にいる時は支配人が税金を納めていましたし・・・。」
ま、そりゃそうだよな。
自分で税金を払いに行ってたら逆に面白い。
でも困ったな、二人とも知らないんじゃまずそこを探すところからか。
騎士団で聞けばわかるかなぁ。
「まぁ、行けば何とかなるでしょう。」
「あの、どうしてイナバ様はいつもそうやって前向きでいられるんですか?」
「私が前向き、ですか?」
「違うんですか?」
「違うというかなんというか、あんまりそういう風に思ったことがなかったので。」
俺が前向きねぇ。
むしろ悪い方に考える事が多い様な気がするけど・・・。
どうなんだろう。
「私を助けてくださったときもそうですし、これまでも何度も大変な目にあっているのにその度に前を向いて立ち上がって。すごいと思うんです。」
「そんな風に言われると照れてしまいます。」
「本当の事です!私なんて、もうあそこから出ることはないんだなって半分あきらめていたんですから。」
「私が同じ立場ならそうかもしれませんよ。」
「そんなことないと思います。イナバ様ならきっと、すごい人を捕まえてやるという気持ちでいたに違いありません。」
そうかなぁ。
俺も、同じようにただ何となく時間を過ごして借金だけが増えていく事に絶望しそうなものだけど。
同じ立場でって考えるとなかなか難しいが、俺だって結構悲観的に考えていると思うんだけど。
思っているのは俺だけなのか?
「そうですね、もし前向きでいるように見えるのであればそれはニケさんたちのおかげです。」
「私達ですか?」
「エミリアやシルビア、ユーリにニケさん、セレンさんやウェリスやその他大勢の方が私を助けてくれています。にもかかわらず私だけが落ち込んで下を向いていたら申し訳ないじゃないですか。」
「それだけ、ですか?」
「私にとってはとても重要な事なんですよ。」
基本他力本願の俺にとってみんなの助けは無くてはならないものだ。
せっかく手を差し伸べてくれているのに、相手が下を向いたままだったらどう思うだろうか。
俺なら助けるのをやめてしまうだろう。
助けてもらっているからこそ、前を向く義務がある。
改めて思うと俺の前向きに見える部分はそこから来ているんだろうな。
「だから、これからもよろしくおねがいしますねニケさん。」
「はい!」
一先ず納得してくれたようだ。
俺が前向き、ねぇ。
今まで考えたことなかったな。
けどそうやって思ってくれているんだからますます下をむいちゃいられない。
ニケさんの件もあるけれど今日の目的はダンジョンをどうにかする方法を探すことだ。
魔力が無くなったなら補充すればいい。
新しい方法を何としてでも見つけて帰らないと。
よし、がんばろう!
俺の考えが伝わったのか、彼女が大きな声で嘶いた。
彼女なりに頑張れって言ってくれているのかな。
ありがとう。
そんな思いと共に俺達はサンサトローズへひた走った。
サンサトローズに到着し、騎士団で納税先について教えてもらう。
どうやら南門を城壁沿いに東門のほうへ歩いていけばすぐ見つかるそうだ。
そんな場所あったっけ?
と思いながらも騎士団が言うから間違いないんだろう。
「この辺りのはずなんですが・・・。」
「そのはずですね。」
大通りは人通りも多く明るい感じだが、一本通りを変えると途端に暗くなる。
この辺りは壁の真横という事もあって特に暗く感じるな。
「あ、あそこじゃないですか?」
ニケさんが指差したのはこじんまりとした石作りの家だった。
周りが大体二階建てなのにも関わらず、そこだけ平屋建てで重厚な感じがする。
軒先には硬貨が詰められた袋の看板が掲げられていた。
どうやらここのようだ。
「お金を大量に扱うには無用心な場所のように感じますが・・・間違い無さそうですね。」
「けど建物は頑丈そうです。」
建物だけでなく入口の扉も金属製でかなり頑丈そうだ。
さすがお金を扱うだけはある。
むしろこれぐらいしておかないといけないんだろうな。
その重厚な扉をノックするとガンガンという鈍い音がする。
が、中から返事はない。
今度は強めに三回ほどノックしてみる。
城壁に反響するぐらいに強い音がするも返事は無い。
「いらっしゃらないんでしょうか。」
「どうでしょう。」
入口横に備え付けられた小さな窓からはオレンジ色の明かりが見える。
明かりがついているんだし誰かいそうなものだけど・・・。
物はためしと押してみると見た目とは裏腹に扉は音もなくスッと開いた。
「開きましたね。」
「ですね。」
扉はどう見ても金属製なんだけどなぁ、魔法でもかかっているんだろうか。
「とりあえず入りましょうか。」
鍵がかかってないということはやっているということだ。
「失礼します。」
一応大きめの声で挨拶をしながら中に入る。
壁も床も全て石造りで歩くとコツコツ音が響く。
中は思っていたよりも薄暗く、入口のほかは奥のほうに明かりがついているだけだ。
あれ、営業していないのかな。
「あのー、すみませーん。」
カウンターらしき所があったのでそこから奥に声をかけてみる。
だが反応は無い。
「お休みでしょうか。」
「でも玄関は開いていましたし、お金を扱う所だけにそれは無いと思います。」
確かにニケさんの言うとおりだ。
これで休みなら盗んでくださいといわんばかりの状況だからな。
ならばやる事は一つ。
「すみませーん!だれかいませんかー!」
大声で呼び出すのみ。
「誰ですか大声を出して!聞こえていますよ!」
と、今度はちゃんと返事が返ってきた。
聞こえてるなら出て来いよ。
ガサガサと何かを片付ける音がしたかと思うと、カウンターのすぐ下から人が現れた。
「奴隷の納税は春、収穫の納税は秋まで!こんな寒い時期に一体何しにきたんですか!」
「奴隷の減免手続きに来たんです。」
「ですから奴隷の納税は春です!暖かくなったらきてください!」
「いえですから・・・。」
「まったく、聞き分けが悪いですね。寒いと耳まで遠くなるのかな。」
なんだか分からないが耳が悪いと言われてしまった。
失礼な話しだ。
下から出てきたのは眼鏡をかけた小柄な男性だった。
ホビルトみたいな種族的な小ささではなく、純粋に背が小さい感じ。
なんていうか、雰囲気だけで言えばクラスに一人はいたであろうガリ勉委員長タイプ。
勉強のし過ぎで目が悪くなったとか昔なら言われていたら奴だ。
ちなみに勉強やゲームをし続けても目が悪くならない人も居るので絶対ではない。
閑話休題。
ともかく突然下から現れたその男性は俺の方を見るわけでもなく何か作業をしながらブツブツと文句を言っている。
なんだろう、今話題のモンスターになってもいいやつだろうか。
「私達は税の減免をお願いに来たんです納付しに来たわけじゃありません!」
バンと机を叩き、俺よりも先にニケさんがキレてしまった。
「そんな事をしても受付しませ・・・、減免ですか?」
「ですからそう言ってるじゃありませんか。」
そこで初めて男がこちらの方を見る。
まじまじと俺とニケさんを見比べて・・・。
「貧弱そうな奴隷ですね、なるほど新しい奴隷にする為に解放するんですね。」
あ、俺が奴隷ね。
なるほどなるほど。
確かにニケさんは奴隷に見えないし、となると必然的に俺がそう見えるのか。
って違う!
「いえ、彼女の減免手続きをお願いします。」
「・・・貴女が奴隷?」
「そうです。イナバ様に買っていただいた奴隷です。ありがたいことに解放してくださるので手続きに来ました。お願いできますでしょうか。」
「ならこっちが主人?こんな美人を手放すなんて何か悪い事でも考えているんですか?」
「イナバ様はそんな事しません!」
俺が怒る前にニケさんが怒ってしまうので何ともいえない気持ちになる。
一体この人は何なのだろうか。
「納付じゃないのなら仕事しないといけませんね、まったくこの時期は寒いから仕事したくないのに。」
「その気持ちもわかりますが彼女にとっては大切な事なんです、お願いします。」
「貴方も仕事したくない?」
「寒い日は暖かい所でゆっくりしたいですね、暖かい香茶でもあれば最高です。」
「なんだ話しの分かる人でしたか、それは失礼をしました。」
「いえ、お忙しい中すみません。」
「別に忙しくないですよ。寒いんで下で寝ていただけでしたから。」
って寝てたんかい!
だから呼んでもすぐに出てこないし、カウンターの下から出てきたのか。
「改めまして、サンサトローズの税務担当マルスです。今日は奴隷の解放に伴う減免措置ということですがよろしいですね?」
「はい、1年経たないと解放できないので春の納税に引っかかるんです。」
「1年で解放?こんな美人を?あぁ、家族ですか。」
「違います!イナバ様は私を買い上げてくださったんです!」
「ならなんで1年で?正直こんな美人なら高かったでしょうに。」
「えぇ、まぁ。」
金額だけ考えれば高かったんだろうけど、別に高いとは思わなかったな。
だって人の命だし。
「まぁ事情なんて私にとってはどうでもいい事です。貴方は奴隷を解放して税を払わなくて良い、貴女は奴隷から解放されて万々歳。私共は税金が入らずタダ働き、でもまぁ来年以降の業務が一つ減ると思えばむしろありがたい話なのか。」
なんていうか独り言の多い人だ。
ブツブツといいながら書類を引き出しから取り出し、それに何かを書き込んでいる。
「はい、この書類を読んでよければ一番下に署名を。なに簡単なことですよ。解放した事に文句を言わない、解放した後もう一度奴隷にするなんて言わない、税金を払わないという三点だけですから。」
「わかりました。」
「その間に貴女には二、三聞きたい事があるのでどうぞ奥へ。あぁ、別にとって喰いやしませんよ、貴女みたいな女性は好みじゃないので。」
「何かされたら叫ぶだけですから別に構いません。」
「どうぞご自由に。それじゃ、少し借りますよ。」
「いってらっしゃいニケさん。」
カウンターの端が上に跳ね上がり、ニケさんが奥に誘導される。
ニケさんの隣に立つと改めて背の小ささが際立つな。
本当はホビルトなんじゃないだろうか。
ま、大丈夫だろう。
えぇっと、何々。
『奴隷解放に際して以下のことについて了解したものとする。
1、奴隷を解放することに異論は無い。
2、奴隷を解放後について本人に口出しをしない。
3、奴隷を解放した事で生じる不利益を承諾している。
以上の事に同意できる場合にのみ税の納付を免除する。
なるほどなるほど。
異論は無いし、この先どうするかも自由だし、不利益は承知の上だ。
と、いう事でサインサインっと。
奥からは何も聞こえてこない。
そりゃそうか、虐待の有無など主人の手が届かない所で確認する作業なんだから。
聞こえちゃ困るよな。
さて暇になった。
いや、次の予定が詰まっているんで暇じゃないんだけど今は暇だ。
暇なので辺りを観察して時間を潰す事にする。
カウンターを除けば殺風景なかんじだ。
花瓶とかそういうものも置かれていないし、あるといえば簡単な机と壁際に椅子がずらーっと並んでいる。
恐らく順番待ちのやつだろう。
この時期は仕事は無いそうだが、納付の時期になると人がいっぱい来るんだろうな。
カウンターも一枚板のように見えてよく見ればそれを四分割するように切れこみがある。
衝立でも立てて対応場所を増やすんだろう。
なるほどなぁ、こうすれば閑散期は広くカウンターを使えるわけか。
考えてあるなぁ。
「お待たせしました。」
「あ、おかえりなさい。」
キョロキョロしていたら奥からニケさんが帰ってきた。
心なしか嬉しそうに見えるんだけど気のせいだろうか。
「奴隷の使用状況は確認できました。丁寧に扱われていたようで虐待の痕跡ならびに心理的痕跡も確認できませんでした。こんな美人に手も出していないとか、あなた不能なんですか?」
「ちゃんと機能してますよ。」
「なら好みじゃないとか?あぁ、だから解放したんですね。」
「元々そういう約束で買ったんです。好みか好みじゃないかで言えば十分好みです。」
「そうなんですか?」
ニケさんもそこで嬉しそうな顔しないの。
「一つ聞きたいんですが、心理的痕跡とはなんですか?」
「あぁ、虐待を隠すよう強制されている場合もありますからね。それを見破る魔法があるんです。幸いそういった痕跡もなく真実を述べていると確認で来ましたので御心配なく。」
「イナバ様がそんな事をするはずありません。」
「本人はそう思っていても心の奥はどう思っているか分かりませんから。」
確かに、自分は大丈夫と思っていても精神的なストレスで参ってしまう人も居る。
自分でも気付かないのが一番怖い。
「なるほどありがとうございました。」
「書類の記入も大丈夫ですね、はい、これで減免というか免除手続きは終わりです。誤って請求が来た場合は私以外の誰かが間違えたんで私を恨まないでくださいよお願いします。ではさっさとお帰りを、こんな寒い日は暖かくして寝るに限ります。」
「お邪魔しました。」
「本当ですよ。でもまぁ、そこまで奴隷を大切に扱う人には初めて出会いました、これからも最後の日まで同じように扱ってください。」
「もちろんです。」
「じゃあさっさとお帰りを、お疲れ様でした。」
「ありがとうございました!」
ニケさんが大きくお辞儀するもヒラヒラと手を振るだけで返事はなかった。
重厚そうに見えて実は軽い扉を閉めて小さく息を吐く。
やれやれ、これにて無事に一つ目の仕事終了だ。
それじゃま、次は魔術師ギルドに行って・・・おや?
「どうしたんですか、そんなにニヤニヤして。」
「別になんでもないですよ?」
「そうですか、それならいいんですけど。」
なんでもないといいながらも明らかに表情は明るい。
というか笑いをこらえられていない。
あの奥で一体何が行なわれていたのか俺に確認する方法は無い。
ないが、本人の顔を見ていたら悪い事は行なわれていなかったということだけは分かる。
ならまぁいいか。
「次は魔術師ギルドです、急ぎましょう。」
「はい、何処までもお供しますイナバ様!」
そう言いながらニケさんが俺の腕に腕を絡めてきた。
よ、よかったエミリア達が居なくて。
いたらなんて言われるか。
「どうしたんですか?」
「何でもありません、さぁ行きましょう!」
妙に明るいニケさんに引っ張られながら俺達は次の用事を済ますべく歩き始めた。
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