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第十一章
癖のある混ざりモノ
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結局昼過ぎまでガッツリ働かされ、クタクタの状態でお昼を迎えた。
先程馬車が到着したみたいだし、今頃はドリスのオッサンと村長とで住居に案内している所だろう。
最低限の荷物でとの話しだったので、荷が溢れて収拾がつかないなんてことは無いはずだ。
「なんだもう行くのか。」
「そろそろ向こうの準備も出来た頃ですので顔を出してきます。」
「村長でもないのに大変だな。」
「こっちも向こうも元は私が原因ですから。」
「違いない。」
村の開発に住民の増加。
全て俺に課せられたノルマだ。
シュリアン商店の店主という立場なので村のあれこれに口を出す権限も実権もないのだが、原因が俺である以上関わる必要がある。
オッサンはともかく村長にばかり負担をかけるのはよろしくない。
それに、入植者募集の際には俺の名前を大々的に使われてしまったので出て行かなかったら誇大広告のように思われてしまうだろう。
『何で居ないんだ!』
なんて小さな事で揉めてこの先気まずくなるのはごめんだ。
「では皆さん後はお願いします。」
「「「「お疲れ様です!」」」」
雪かきは全て終わらせた。
後は皆さんに頑張っていただくとしよう。
水場で簡単に汚れを落とし、身だしなみを確認する。
せめて服ぐらいは綺麗にしておかないといけないが、靴がドロドロなのは致し方ない。
スーツを着て働いているんじゃないんだ、多少汚れているのは目をつぶってもらおう。
「イナバ様背中に泥汚れが。」
「あ、すみません助かります。」
通りすがりの村人がサッと汚れを払ってくれた。
後ろまでは見えないからなぁ、助かります。
「入植の皆さんはどうされていますか?」
「先程馬車が何台も来て荷物を置いていかれました。今は搬入作業中じゃないですかね。」
「ありがとうございます。」
何台も、か。
そりゃそうだよな。
社会人になってから一度引越ししたけど、あんまり荷物がないつもりでも結構な量になった。
あんまりコレクション的なものは無いはずだけど、荷造りしていたらすぐダンボールがいっぱいになっちゃうんだよな。
困ったものだ。
エミリアのように荷物を捨てられない人も居るだろうし、そんな人は結構な量になるんじゃないだろうか。
「先程聞こえてきた話では後5台は来るそうですよ。」
「え?」
「今でも結構な量の荷物がありましたけど、あれ全部入るんですかね。」
ちょっとまて。
それはちょっと聞いてないぞ。
村人にお礼を言って入植者用の住居がある村の南側へと走る。
広場まで出ると大勢の荷物で溢れかえっていた。
えっと、どういう状態?
「兄ちゃんちょうどいい所に来た!」
「オッサン、一体何がどうなってるんだ?」
「俺にもわからん。ただ、予定よりもかなり多くの荷物が届いて収拾がついてない。」
「ニッカさんは?」
「向こうで入植者の確認をしているんだが・・・。」
「とりあえず各家庭単位で集まってもらって、仕分けは後回しにしよう。」
「わかった!」
馬車で到着した人たちも次にどうして良いか分からず不安そうにしている。
こんな所でまごまごしている時間は無い。
まだまだ荷物も人も増えてくるし、早急に対応しないと。
「すみません!順次受付をしていきますので各家庭ごとに集まって待機してください!」
「荷物はどうするんだ?盗まれでもしたら・・・。」
「貴重品は身に着けていただきそれ以外の物は御自身で確認してください。荷物の場所、わかりますよね?」
「俺の荷物はわかるが、家内の荷物が届いてない。」
「一緒に積んでないんですか?」
「一緒には積んだんだが、荷物が多いとかで街で積み替えをしてから何処にいったかわからないんだ。」
なるほど、それで荷物が溢れかえっているんだな。
さてどうしたもんか。
「御主人の荷物がどれかどうして分かったんですか?」
「荷物を入れる箱に目印を描いてある。」
「なるほど。」
「入植を担当している若い男からそうしろって言われたからそれに従ったんだが、ダメだったのか?」
「いえ、それで正解です。後から荷物が届くのでその中に紛れているのかもしれません、もう少しお待ち下さい。」
入植に直接関わってもらってないので絶対とはいえないが、おそらくバスタさんだろう。
今度お礼を言わなくちゃ。
「そうだ、確認の手続きはされましたか?」
「いや、まだだ。」
「私も御一緒しますのでご主人様だけでも手続きに行ってください。奥様は荷の番をお願いします。」
「わかりました。」
「ついてそうそうこんな事になってどうしようかと思っていたんだが、助かったよ。」
「いえいえ、こんな時ですから手を取り合わないと。」
間違いなく他の家庭でも同じような状態になっている。
ならば早急に印を確認して到着した荷物を仕分けしなければならない。
これからドンドン荷物が運ばれてくる、これ以上増えたらそれこそ収拾が付かなくなるだろう。
「ニッカさん、入植予定の方をお連れしました。」
「イナバ様いい所に。」
「荷物が多くて収拾がつかないとか。」
「それだけではありません。予定にない方まで来てしまっているようでして・・・。」
嘘だろ。
現場で確認しなかったのか?
「入植予定者を書いた表か何かはありますか?」
「こちらです。」
紙には沢山の名前が書かれており、右上にイアンのサインが入っていた。
なるほど。
「この方ですか?」
「はい。」
ニッカさんが相手にしていたのは50台ぐらいの気の強そうな御夫婦だった。
「何だお前は!私は村長に用があるんだ。」
「そうよ!関係ない人は入ってこないで頂戴。」
「村長!その表に名前がないのは間違いだ、さっさと手続きをしてくれ!」
「ですが・・・。」
「ニッカさん、入植希望者は荷物に印を付けているそうですので入居する戸口の前に印を書いてその前に荷物を置くように指示を出してください。さて、お待たせしました私がお話を聞きますのでさぁ行きましょうか。」
「一体なんだっていうんだ!」
「まぁまぁお話を聞くだけですから。」
夫婦の背中を押すように別の場所へ誘導する。
イアンがミスをするとは思えない。
もちろんバスタさんもだ。
となると、何か特別な事情があるはずなのだがどうも怪しい感じがする。
さて、どうしてこうなったのか種明かしをしてみますかね。
現場はニッカさんにお任せして俺は夫婦を連れて広場の隅へ移動した。
先程まで威勢の良かった夫婦は移動させられた途端に挙動不審になっている。
ますます怪しいな。
「改めまして私はイナバ=シュウイチと申します。移住者表にお名前が無かったという事ですが詳しくお聞かせいただけますか?」
「私達は村長と話しをしたいんだ、お前のような若造に用は無い!」
「今回の移住に関しては私が責任者となっております。先程見ていただいたように村長のニッカも私の指示で動くようになっておりますので事情は私が聞かせていただきます。」
「貴方みたいなのが責任者?信じられないわ。」
「世の中には見た目と肩書きが違うことなど良くある事ですよ。」
若造で悪かったな。
と、心の中では悪態をつきながらも表情はスマイル百パーセントだ。
「責任者なら誰でも構わん。折角遠い所から移住してきたのに表に名前がないと言われて断られたのだ。だが、あの表は間違いだ!正しい表は私の手元にある、これを確認してくれ。」
そう言って旦那が差し出したのは上質な羊皮紙だった。
「拝見します。」
「あれは古い物でこれが新しいものよ、ほら、ここに私達の名前が書いてあるでしょ?」
「ナッリ様ですか。」
「そうだ、私がナッリで妻のキーンだ。」
「確かに名前がありますね。」
「そうだろうそうだろう。」
表の一番下に確かに名前が書いてある。
先程見た表にはなかった名前のようだ。
追加で入った・・・のか?
「この表は何処で手に入れられましたか?」
「これか?これはここに来る途中に責任者から預かったものだ。」
「その責任者の名前は?」
「さぁ、荷物を運んでもらうのに忙しかったから覚えていないな。」
「荷物が多くて大変だったのよ。貴方も見たでしょ?他の荷物と混ざってしまったみたいだけど大丈夫なのよね?」
「恐らく大丈夫でしょう。」
荷物には印をつけるように言われているはずだ。
正規の手段で参加しているのであれば問題ない。
「それで、お前が責任者だというのだから私達を入れてくれるのだろう?」
「そうよ!名前があるんだから何の問題もないはずでしょ?」
自分達の名前を指差しながら奥さんの方がグイグイと詰め寄ってくる。
確かに名前はある。
あるんだけど、でもなぁ・・・。
「一つよろしいですか?」
「なんだ?」
「現場責任者から預かったといわれましたよね。」
「それがどうした。」
「男でした女でした?」
「男に決まっているだろう。」
「年はいくつぐらいでいた?」
「そ、そうだな私ぐらいか。」
「違いますよもっと若かったでしょ。」
「そうだったかな。」
で、結局どっちなんだ?
まぁいっか。
どっちにしろ間違いだし。
「はっきり申し上げましてお二人の移住は認められません、どうぞ荷物をまとめてお引き取りください。」
「何だって!」「なんですって!」
顔を真っ赤にして俺を睨みつける夫婦。
いやぁ、そんな顔されても困るんだけどなぁ。
「今お伝えしたとおりです、お引取り下さい。」
「なぜだ!ちゃんと表に名前があるではないか!」
「そうよ!この表が間違ってるとでも言うの!?」
「その通りです。」
「何処が間違いなのよ!」
「あんな安っぽい紙の方をお前は信じるというのか!?」
確かにニッカさんが持っていたのはただの紙で、こっちは羊皮紙だ。
高級な感じかつ大事な事が書いてあるように見えるのは羊皮紙のほうだろう。
「信じるも何もあちらが正しい紙だからです。」
「だが確かに責任者から預かったのだぞ!」
「何処の責任者か存じませんが今回の入植責任者は私です。私は昨日も今日もずっと店におりましたのでお二人にお会いした事はありませんし、もちろんこの羊皮紙を手渡した覚えもありません。」
「だが確かに責任者だといっていたぞ!お前が知らないだけで街に居るのではないか!?」
「そうよそうよ!貴方のほうが間違えているんだわ!」
なるほど。
私のほうが間違えていると。
じゃあ次ぎいってみようか。
「お二人は羊皮紙の方が正しいと仰いますが、あの安っぽい紙こそが正しい方です。あちらにはサンサトローズを管轄している役人の署名がありますが、この羊皮紙にはありません。」
右上にあるイアンのサインを指差すと夫婦の顔がサッと青ざめるのが分かった。
だが、そんなことで怯む夫婦ではない。
「急ぎ作ってもらったから入ってないだけだ!」
「昨日の今日で作ってもらったからないだけよ!」
「確かに誰しもうっかり忘れる事がありますからその可能性はあるでしょう。」
「「なら!」」
「そもそもこの羊皮紙が違うといっているのです。今回の入植に使う書類は全てあの紙で作るように定められています。魔術師ギルドが作りました複製の出来ない特別な紙。にもかかわらずこちらの表は羊皮紙で作られている。それがおかしいといっているんですよ。」
そもそも羊皮紙の時点でおかしいとは分かっていた。
だが、どう言い訳をするのか聞いてみたくて話しを引っ張ったのだが、あんまり面白い話は聞けなかったな。
俺の答えを聞いて再び真っ青な顔をする御夫婦。
次の一手はどうやら出てこないようだ。
「そちらがどのような手段でこれを手に入れたのかは知りませんが、公文書の偽造は立派な犯罪です。作っていなかったとしても使用したお二人は別の罪で罰せられる事でしょう。詳しい事はサンサトローズに戻り次第騎士団ならびに役人にお聞きください。」
「ば、罰せられるのか?」
「当たり前じゃありませんか。この入植はサンサトローズ領主プロンプト様より命じられている大変重要なもの。それを偽装した書類でかき回そうとしたのならば立派な犯罪です。」
「そんな・・・。」
「だから言ったのよ!あんな怪しい男の言う事なんて聞いちゃいけないって!タダでさえお金が払えなくて困ってるのに高いお金出してあんな紙くず作ってもらって、いったいどうすればいいのよ!」
ガクリとうなだれる旦那さんを足で蹴りまくる奥さん。
あ、パワーバランスは奥さんの方が強かったのね。
お金が払えなくてって事は夜逃げでもしたんだろうか。
しかしあれだな、サインが無くて羊皮紙だったからアッサリ見抜けたようなものの、他に書かれてる名前が正しいとなればあの表が事前に流出したことになる。
それはそれで別の問題があるよな。
「誰かドリスを呼んできてください、それと商店に走ってシルビアにも来るよう伝えてください。」
「わかりました!」
夫婦とのやり取りが煩かったのか周りを取り囲むように人だかりが出来ていた。
「罪については確定が出来ていませんので捕縛はしません。そこで静かに反省していてください。」
「イナバ様、後引き継ぎます。」
「お任せします。」
シルビアが戻ってきてからこの村にも自警団らしき物が結成された。
騎士団のように何か権力を持っているわけでは無いが、村の自治には必要なものだ。
夫婦についてはお任せするとして、ひとまずニッカさんのほうに戻るか。
「ただいま戻りました。」
「イナバ様!先ほどはありがとうございました。」
「どうやら入植者に紛れた不届き者のようでしたので自警団に引き渡しています。シルビアが到着次第騎士団に引き継ぐ予定です。」
「まさかそんなことをする輩が現れるとは・・・。」
「それだけ世間の注目があるという事でしょう。」
「それだけに手を抜くことはできませんな。」
「手を抜くだなんて、ニッカさんがそんな事するはずないじゃありませんか。」
いつも住民のために一生懸命に働いている人だ。
手抜きをするならばそうか、ドリスか。
オッサンは手抜き思想だもんなぁ。
「はっはっは、私もたまには手を抜きますよ。」
「本当でしょうか。それで、こちらはどんな調子ですか?」
「あの夫婦に手を取られて進んでおりませんでしたがあとは順調に終わりました。今は皆で手分けして荷物の仕分けを行っております。最終の馬車が来たようですので今頃は荷降ろしをしている頃でしょう。」
「荷物が多いのも先ほどの夫婦のせいでしょうね、詳しくは聞いていませんが何者かの手引きで入植者に紛れたのでしょう。恐らく印無しの荷物がたくさんあると思います。」
「確かに、イナバ様に言われたように各住居の前に印をつけそこに荷を置くように指示いたしましたが印無しの荷が多数あり困っていたのです。成程そう言う事ですか。」
怪しい男から羊皮紙を買ったと言っていた。
その人物は今回の入植について多少の知識があり、かつ荷物を強引に追加できるような立場にあるという事になる。
その割には専用の紙について知らないし、荷物の持ち込み制限の事を知らない。
そして何より入植先に最高責任者である俺がいる事を知らない。
やることが中途半端だなぁ。
俺の名前入りで募集が行われているんだし、つい先日の企画だって俺が前面に出てやったやつだ。
サンサトローズで俺を知らない人間なんていないんじゃないかってぐらい頑張って来たのに、まだまだ知名度は低いらしい。
もしかしたら派手な事ばかりする貴族みたいに思われているのかもしれないな。
だから商店に人が来ないのか!
って、冒険者相手の仕事だから仕方ないんでした。
はぁ、マジでダンジョンどうしよう。
こっちはこっちで大変そうだけど先が思いやられるなぁ。
「何はともあれ助かりました。これで無事に入植を終えられそうです。」
「いやいや、今日この後からがニッカさんの腕の見せ所ですよ。」
「何を仰います。イナバ様にも頑張っていただかねば。」
「私がですか?」
「荷卸しが終われば片付けが始まります。その間にイナバ様には歓迎の宴の準備をしていただき、開会の際に挨拶をしていただかねばなりません。なんでしたらこちらの指示も出していただいて構いませんが・・・。」
「それはニッカさんにお任せします!」
これ以上は勘弁してくれ。
ウェリスにこき使われてくたくたなんです。
でもなぁ、みんな頑張ってるのに一人だけ休んでいられない性格なんだよね。
なんだかんだ言って手伝いしてるんだろうなぁ。
まぁ、それもいいか。
先程馬車が到着したみたいだし、今頃はドリスのオッサンと村長とで住居に案内している所だろう。
最低限の荷物でとの話しだったので、荷が溢れて収拾がつかないなんてことは無いはずだ。
「なんだもう行くのか。」
「そろそろ向こうの準備も出来た頃ですので顔を出してきます。」
「村長でもないのに大変だな。」
「こっちも向こうも元は私が原因ですから。」
「違いない。」
村の開発に住民の増加。
全て俺に課せられたノルマだ。
シュリアン商店の店主という立場なので村のあれこれに口を出す権限も実権もないのだが、原因が俺である以上関わる必要がある。
オッサンはともかく村長にばかり負担をかけるのはよろしくない。
それに、入植者募集の際には俺の名前を大々的に使われてしまったので出て行かなかったら誇大広告のように思われてしまうだろう。
『何で居ないんだ!』
なんて小さな事で揉めてこの先気まずくなるのはごめんだ。
「では皆さん後はお願いします。」
「「「「お疲れ様です!」」」」
雪かきは全て終わらせた。
後は皆さんに頑張っていただくとしよう。
水場で簡単に汚れを落とし、身だしなみを確認する。
せめて服ぐらいは綺麗にしておかないといけないが、靴がドロドロなのは致し方ない。
スーツを着て働いているんじゃないんだ、多少汚れているのは目をつぶってもらおう。
「イナバ様背中に泥汚れが。」
「あ、すみません助かります。」
通りすがりの村人がサッと汚れを払ってくれた。
後ろまでは見えないからなぁ、助かります。
「入植の皆さんはどうされていますか?」
「先程馬車が何台も来て荷物を置いていかれました。今は搬入作業中じゃないですかね。」
「ありがとうございます。」
何台も、か。
そりゃそうだよな。
社会人になってから一度引越ししたけど、あんまり荷物がないつもりでも結構な量になった。
あんまりコレクション的なものは無いはずだけど、荷造りしていたらすぐダンボールがいっぱいになっちゃうんだよな。
困ったものだ。
エミリアのように荷物を捨てられない人も居るだろうし、そんな人は結構な量になるんじゃないだろうか。
「先程聞こえてきた話では後5台は来るそうですよ。」
「え?」
「今でも結構な量の荷物がありましたけど、あれ全部入るんですかね。」
ちょっとまて。
それはちょっと聞いてないぞ。
村人にお礼を言って入植者用の住居がある村の南側へと走る。
広場まで出ると大勢の荷物で溢れかえっていた。
えっと、どういう状態?
「兄ちゃんちょうどいい所に来た!」
「オッサン、一体何がどうなってるんだ?」
「俺にもわからん。ただ、予定よりもかなり多くの荷物が届いて収拾がついてない。」
「ニッカさんは?」
「向こうで入植者の確認をしているんだが・・・。」
「とりあえず各家庭単位で集まってもらって、仕分けは後回しにしよう。」
「わかった!」
馬車で到着した人たちも次にどうして良いか分からず不安そうにしている。
こんな所でまごまごしている時間は無い。
まだまだ荷物も人も増えてくるし、早急に対応しないと。
「すみません!順次受付をしていきますので各家庭ごとに集まって待機してください!」
「荷物はどうするんだ?盗まれでもしたら・・・。」
「貴重品は身に着けていただきそれ以外の物は御自身で確認してください。荷物の場所、わかりますよね?」
「俺の荷物はわかるが、家内の荷物が届いてない。」
「一緒に積んでないんですか?」
「一緒には積んだんだが、荷物が多いとかで街で積み替えをしてから何処にいったかわからないんだ。」
なるほど、それで荷物が溢れかえっているんだな。
さてどうしたもんか。
「御主人の荷物がどれかどうして分かったんですか?」
「荷物を入れる箱に目印を描いてある。」
「なるほど。」
「入植を担当している若い男からそうしろって言われたからそれに従ったんだが、ダメだったのか?」
「いえ、それで正解です。後から荷物が届くのでその中に紛れているのかもしれません、もう少しお待ち下さい。」
入植に直接関わってもらってないので絶対とはいえないが、おそらくバスタさんだろう。
今度お礼を言わなくちゃ。
「そうだ、確認の手続きはされましたか?」
「いや、まだだ。」
「私も御一緒しますのでご主人様だけでも手続きに行ってください。奥様は荷の番をお願いします。」
「わかりました。」
「ついてそうそうこんな事になってどうしようかと思っていたんだが、助かったよ。」
「いえいえ、こんな時ですから手を取り合わないと。」
間違いなく他の家庭でも同じような状態になっている。
ならば早急に印を確認して到着した荷物を仕分けしなければならない。
これからドンドン荷物が運ばれてくる、これ以上増えたらそれこそ収拾が付かなくなるだろう。
「ニッカさん、入植予定の方をお連れしました。」
「イナバ様いい所に。」
「荷物が多くて収拾がつかないとか。」
「それだけではありません。予定にない方まで来てしまっているようでして・・・。」
嘘だろ。
現場で確認しなかったのか?
「入植予定者を書いた表か何かはありますか?」
「こちらです。」
紙には沢山の名前が書かれており、右上にイアンのサインが入っていた。
なるほど。
「この方ですか?」
「はい。」
ニッカさんが相手にしていたのは50台ぐらいの気の強そうな御夫婦だった。
「何だお前は!私は村長に用があるんだ。」
「そうよ!関係ない人は入ってこないで頂戴。」
「村長!その表に名前がないのは間違いだ、さっさと手続きをしてくれ!」
「ですが・・・。」
「ニッカさん、入植希望者は荷物に印を付けているそうですので入居する戸口の前に印を書いてその前に荷物を置くように指示を出してください。さて、お待たせしました私がお話を聞きますのでさぁ行きましょうか。」
「一体なんだっていうんだ!」
「まぁまぁお話を聞くだけですから。」
夫婦の背中を押すように別の場所へ誘導する。
イアンがミスをするとは思えない。
もちろんバスタさんもだ。
となると、何か特別な事情があるはずなのだがどうも怪しい感じがする。
さて、どうしてこうなったのか種明かしをしてみますかね。
現場はニッカさんにお任せして俺は夫婦を連れて広場の隅へ移動した。
先程まで威勢の良かった夫婦は移動させられた途端に挙動不審になっている。
ますます怪しいな。
「改めまして私はイナバ=シュウイチと申します。移住者表にお名前が無かったという事ですが詳しくお聞かせいただけますか?」
「私達は村長と話しをしたいんだ、お前のような若造に用は無い!」
「今回の移住に関しては私が責任者となっております。先程見ていただいたように村長のニッカも私の指示で動くようになっておりますので事情は私が聞かせていただきます。」
「貴方みたいなのが責任者?信じられないわ。」
「世の中には見た目と肩書きが違うことなど良くある事ですよ。」
若造で悪かったな。
と、心の中では悪態をつきながらも表情はスマイル百パーセントだ。
「責任者なら誰でも構わん。折角遠い所から移住してきたのに表に名前がないと言われて断られたのだ。だが、あの表は間違いだ!正しい表は私の手元にある、これを確認してくれ。」
そう言って旦那が差し出したのは上質な羊皮紙だった。
「拝見します。」
「あれは古い物でこれが新しいものよ、ほら、ここに私達の名前が書いてあるでしょ?」
「ナッリ様ですか。」
「そうだ、私がナッリで妻のキーンだ。」
「確かに名前がありますね。」
「そうだろうそうだろう。」
表の一番下に確かに名前が書いてある。
先程見た表にはなかった名前のようだ。
追加で入った・・・のか?
「この表は何処で手に入れられましたか?」
「これか?これはここに来る途中に責任者から預かったものだ。」
「その責任者の名前は?」
「さぁ、荷物を運んでもらうのに忙しかったから覚えていないな。」
「荷物が多くて大変だったのよ。貴方も見たでしょ?他の荷物と混ざってしまったみたいだけど大丈夫なのよね?」
「恐らく大丈夫でしょう。」
荷物には印をつけるように言われているはずだ。
正規の手段で参加しているのであれば問題ない。
「それで、お前が責任者だというのだから私達を入れてくれるのだろう?」
「そうよ!名前があるんだから何の問題もないはずでしょ?」
自分達の名前を指差しながら奥さんの方がグイグイと詰め寄ってくる。
確かに名前はある。
あるんだけど、でもなぁ・・・。
「一つよろしいですか?」
「なんだ?」
「現場責任者から預かったといわれましたよね。」
「それがどうした。」
「男でした女でした?」
「男に決まっているだろう。」
「年はいくつぐらいでいた?」
「そ、そうだな私ぐらいか。」
「違いますよもっと若かったでしょ。」
「そうだったかな。」
で、結局どっちなんだ?
まぁいっか。
どっちにしろ間違いだし。
「はっきり申し上げましてお二人の移住は認められません、どうぞ荷物をまとめてお引き取りください。」
「何だって!」「なんですって!」
顔を真っ赤にして俺を睨みつける夫婦。
いやぁ、そんな顔されても困るんだけどなぁ。
「今お伝えしたとおりです、お引取り下さい。」
「なぜだ!ちゃんと表に名前があるではないか!」
「そうよ!この表が間違ってるとでも言うの!?」
「その通りです。」
「何処が間違いなのよ!」
「あんな安っぽい紙の方をお前は信じるというのか!?」
確かにニッカさんが持っていたのはただの紙で、こっちは羊皮紙だ。
高級な感じかつ大事な事が書いてあるように見えるのは羊皮紙のほうだろう。
「信じるも何もあちらが正しい紙だからです。」
「だが確かに責任者から預かったのだぞ!」
「何処の責任者か存じませんが今回の入植責任者は私です。私は昨日も今日もずっと店におりましたのでお二人にお会いした事はありませんし、もちろんこの羊皮紙を手渡した覚えもありません。」
「だが確かに責任者だといっていたぞ!お前が知らないだけで街に居るのではないか!?」
「そうよそうよ!貴方のほうが間違えているんだわ!」
なるほど。
私のほうが間違えていると。
じゃあ次ぎいってみようか。
「お二人は羊皮紙の方が正しいと仰いますが、あの安っぽい紙こそが正しい方です。あちらにはサンサトローズを管轄している役人の署名がありますが、この羊皮紙にはありません。」
右上にあるイアンのサインを指差すと夫婦の顔がサッと青ざめるのが分かった。
だが、そんなことで怯む夫婦ではない。
「急ぎ作ってもらったから入ってないだけだ!」
「昨日の今日で作ってもらったからないだけよ!」
「確かに誰しもうっかり忘れる事がありますからその可能性はあるでしょう。」
「「なら!」」
「そもそもこの羊皮紙が違うといっているのです。今回の入植に使う書類は全てあの紙で作るように定められています。魔術師ギルドが作りました複製の出来ない特別な紙。にもかかわらずこちらの表は羊皮紙で作られている。それがおかしいといっているんですよ。」
そもそも羊皮紙の時点でおかしいとは分かっていた。
だが、どう言い訳をするのか聞いてみたくて話しを引っ張ったのだが、あんまり面白い話は聞けなかったな。
俺の答えを聞いて再び真っ青な顔をする御夫婦。
次の一手はどうやら出てこないようだ。
「そちらがどのような手段でこれを手に入れたのかは知りませんが、公文書の偽造は立派な犯罪です。作っていなかったとしても使用したお二人は別の罪で罰せられる事でしょう。詳しい事はサンサトローズに戻り次第騎士団ならびに役人にお聞きください。」
「ば、罰せられるのか?」
「当たり前じゃありませんか。この入植はサンサトローズ領主プロンプト様より命じられている大変重要なもの。それを偽装した書類でかき回そうとしたのならば立派な犯罪です。」
「そんな・・・。」
「だから言ったのよ!あんな怪しい男の言う事なんて聞いちゃいけないって!タダでさえお金が払えなくて困ってるのに高いお金出してあんな紙くず作ってもらって、いったいどうすればいいのよ!」
ガクリとうなだれる旦那さんを足で蹴りまくる奥さん。
あ、パワーバランスは奥さんの方が強かったのね。
お金が払えなくてって事は夜逃げでもしたんだろうか。
しかしあれだな、サインが無くて羊皮紙だったからアッサリ見抜けたようなものの、他に書かれてる名前が正しいとなればあの表が事前に流出したことになる。
それはそれで別の問題があるよな。
「誰かドリスを呼んできてください、それと商店に走ってシルビアにも来るよう伝えてください。」
「わかりました!」
夫婦とのやり取りが煩かったのか周りを取り囲むように人だかりが出来ていた。
「罪については確定が出来ていませんので捕縛はしません。そこで静かに反省していてください。」
「イナバ様、後引き継ぎます。」
「お任せします。」
シルビアが戻ってきてからこの村にも自警団らしき物が結成された。
騎士団のように何か権力を持っているわけでは無いが、村の自治には必要なものだ。
夫婦についてはお任せするとして、ひとまずニッカさんのほうに戻るか。
「ただいま戻りました。」
「イナバ様!先ほどはありがとうございました。」
「どうやら入植者に紛れた不届き者のようでしたので自警団に引き渡しています。シルビアが到着次第騎士団に引き継ぐ予定です。」
「まさかそんなことをする輩が現れるとは・・・。」
「それだけ世間の注目があるという事でしょう。」
「それだけに手を抜くことはできませんな。」
「手を抜くだなんて、ニッカさんがそんな事するはずないじゃありませんか。」
いつも住民のために一生懸命に働いている人だ。
手抜きをするならばそうか、ドリスか。
オッサンは手抜き思想だもんなぁ。
「はっはっは、私もたまには手を抜きますよ。」
「本当でしょうか。それで、こちらはどんな調子ですか?」
「あの夫婦に手を取られて進んでおりませんでしたがあとは順調に終わりました。今は皆で手分けして荷物の仕分けを行っております。最終の馬車が来たようですので今頃は荷降ろしをしている頃でしょう。」
「荷物が多いのも先ほどの夫婦のせいでしょうね、詳しくは聞いていませんが何者かの手引きで入植者に紛れたのでしょう。恐らく印無しの荷物がたくさんあると思います。」
「確かに、イナバ様に言われたように各住居の前に印をつけそこに荷を置くように指示いたしましたが印無しの荷が多数あり困っていたのです。成程そう言う事ですか。」
怪しい男から羊皮紙を買ったと言っていた。
その人物は今回の入植について多少の知識があり、かつ荷物を強引に追加できるような立場にあるという事になる。
その割には専用の紙について知らないし、荷物の持ち込み制限の事を知らない。
そして何より入植先に最高責任者である俺がいる事を知らない。
やることが中途半端だなぁ。
俺の名前入りで募集が行われているんだし、つい先日の企画だって俺が前面に出てやったやつだ。
サンサトローズで俺を知らない人間なんていないんじゃないかってぐらい頑張って来たのに、まだまだ知名度は低いらしい。
もしかしたら派手な事ばかりする貴族みたいに思われているのかもしれないな。
だから商店に人が来ないのか!
って、冒険者相手の仕事だから仕方ないんでした。
はぁ、マジでダンジョンどうしよう。
こっちはこっちで大変そうだけど先が思いやられるなぁ。
「何はともあれ助かりました。これで無事に入植を終えられそうです。」
「いやいや、今日この後からがニッカさんの腕の見せ所ですよ。」
「何を仰います。イナバ様にも頑張っていただかねば。」
「私がですか?」
「荷卸しが終われば片付けが始まります。その間にイナバ様には歓迎の宴の準備をしていただき、開会の際に挨拶をしていただかねばなりません。なんでしたらこちらの指示も出していただいて構いませんが・・・。」
「それはニッカさんにお任せします!」
これ以上は勘弁してくれ。
ウェリスにこき使われてくたくたなんです。
でもなぁ、みんな頑張ってるのに一人だけ休んでいられない性格なんだよね。
なんだかんだ言って手伝いしてるんだろうなぁ。
まぁ、それもいいか。
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「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
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☆感謝☆
HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯
そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。
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