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第十章
今欲しい戦力とは
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それからしばらくこまごまとした打ち合わせを続ける。
問題が山積みの状況としては比較的話が進んでいるほうじゃないだろうか。
こういった企画の場合初日はどこから手をつけて良いのか分からなくなってグダグダのまま終わる事が多いけどそんな風にならない。
参加している人が真面目だからだろうか。
それとも元の世界の会議がダメダメだったんだろうか。
「それでだ、仮のお金にいt・・・。」
突然イアンの声が聞こえなくなってしまった。
なんだ、機械の故障か?
「も~限界!お腹空いた!」
先程まで虚空を見つめていたレミナさんの目に光が宿り開口一番空腹を告げる。
そうか、レミナさんを介して会話していたんだった。
すっかり忘れていたよ。
「長い間お疲れ様でした、大丈夫ですか?」
「皆話し長いよ!何を話していたか知らないけどもうちょっと短くならないの!?」
「話している内容は分からないんですか?」
「だってレアルと通信を繋げる事に集中しているから他の事に気をむけてる余裕なんて無いよ!こんなにお腹空くまで通信をつなげるなんて信じられない。」
お腹が空くのと通信に何か関係があるのだろうか。
「そういえばもうお昼を過ぎていますね。セレンさんに言って何か作ってもらいましょう。か」
「お肉大盛り野菜抜きでお願いします!」
「全部を抜くことは許してもらえないと思いますが、言うだけ言ってみましょう。」
「お願いします!あ、ちょっとまってください。」
席を立ち身体をほぐしているとレミナさんが再び通信を始めたようだ。
「うん、大丈夫。お腹空いただけだから、レアルは?そっか、ちゃんと休んで一杯食べてね、次は夕方だね、言っとくから。うん、大丈夫だって、こう見えてもお姉ちゃんしっかりしてるんだよ?え、信じられない?もぅ、そんな事言うと怒るよ!」
一方通行の会話を聞くのって結構面白いな。
向こうで何を言っているかわからないが、返事を聞くとなんとなくは理解できる。
きっと向こうも同じ状況でお互いを労っているんだろう。
「えっと、今の話しを向こうでまとめて夕方にもう一度連絡してくるそうです。それまでは休憩してくださいって、御飯休憩でいいんですよね?」
「そのつもりです、レミナさんはこのままお待ち下さい。」
「は~い!」
大きく伸びをした後フニャフニャとソファーに倒れこむレミナさん。
本人は大丈夫といっているがかなり疲れているのだろう。
そりゃそうだよな。
初日だししっかり食べてもらって英気を養ってもらうとしよう。
俺は昼食を準備してもらう為にセレンさんの所へむかう。
今日もお客さんがいっぱいだな。
買取待ちの列は出来ていないけど、奥のほうで査定をしているのが見える。
販売のほうもひっきり無しというワケでは無いがそれなりに忙しそうだ。
昼食時を過ぎたとはいえ食事を取っている冒険者も多い。
ユーリが忙しそうに給仕をしていた。
「ご主人様御休憩ですか?」
「昼食を頼みに来ましたが忙しそうですね。」
「今日はいつもより多く感じます。」
「セレンさんは大丈夫ですか?」
「今日は体調も良いそうですが、シア奥様の言うようにもう一人欲しい所です。」
やっぱそうだよね。
セレンさん一人でずっと調理しているわけだし休憩も中々取れて無さそうだ。
立ちっぱなしは身体によくないし、早急に人を入れる必要があるなぁ。
「それに関してはまた夜に話し合いましょう。」
「わかりました。いらっしゃいませ、空いてる席へどうぞ。」
なんて話しをしていたら別の冒険者が食事を求めてやってきた。
手に持っている券から買い取り待ちの冒険者のようだ。
ちゃちゃっと注文して手伝いに入ったほうが良さそうだな。
「セレンさん調子はどうですか?」
「イナバ様!おかげ様で今日は元気です。」
「ちょっと忙しそうですね。」
「そうですね、今日はちょっとバタバタしています。」
「応接室でお待ちのレミナさんに昼食をお願いできますか?お肉大盛り野菜は少なめだそうです。」
「わかりました。」
元気そうには見えるがセレンさんはすぐ無理をするからな。
それに、いつもは片付いている食器が今日は残されたままだ。
どれ、片してしまいますかね。
「洗い物やっちゃいますね。」
「そんな!イナバ様にお手伝いしてもらうなんて。」
「ここは私の店です、ですから私がしたい仕事をするんです。あー洗い物がしたいなぁ、ということでやってしまいますね。」
「フフッ。」
ワザとらしい芝居にセレンさんから笑みがこぼれる。
それ以上何も言わないという事は聖域に足を踏み込んでも良いということだろう。
料理場に勝手に入られるのを嫌う人もいるし、一応そこは気を使うタイプだ。
腕まくりをして軽く紐で縛り、洗い物に取り掛かる。
スポンジはないけれど、ヘチマの実を乾燥させたようなやつがあるのでそれに石鹸をつけて汚れを洗い流していく。
水道は無いので桶に水を汲んでそこで汚れを落とし、別の桶でついた石鹸をすすぎ流す。
こう考えると蛇口をひねればすぐに水が出てくる環境って凄い便利だったんだなぁ。
水が汚くなったので裏の井戸から水を汲んできて同じように洗い物を繰り返す。
え、外でやれば効率が良いって?
そんなのは分かってるよ。
食器も陶器よりも木製の物が多いので多少雑に扱っても割れる心配がないのっていいよね。
「イナバ様出来ましたので持っていってくださいますか?」
もう少しで洗い終わるというタイミングでレミナさんの昼食が出来たようだ。
お盆に乗せられていたのは俺のこぶしぐらいありそうな肉の塊、それとおまけ程度の野菜とパンが二枚。
一般の昼食としては十分すぎる量だろう。
それが二つあるという事は・・・。
「私の分も作ってくださったんですね。」
「同じもので申し訳ありません、ユーリからイナバ様も食べられていないと聞きましたので一緒に作ってしまいました。」
「助かります。」
「洗い物はそのあたりで十分です、助かりました。」
「でも・・・。」
終わらせてからと思ったが、先程俺が洗い終えたのとほぼ同じ量の食器が洗い場に持ち込まれた。
「残りは私が引き継ぎます、ご主人様はどうぞ昼食を召し上がってください。」
お前は邪魔だからさっさとどけ。
なんていうユーリの心の声が聞こえたような気がした。
「失礼な、そこまでは思っておりません。」
「つまり少しは思っていると?」
「ご主人様にはご主人様の仕事があるように私には私の仕事がございます。」
「それは失礼しました。」
つまりは私の仕事だから触るな。
ということだろう。
申し訳ありませんでした!
とりあえず俺もお腹が空いたので良い匂いのするお肉を持って応接室へと戻る。
「お肉!」
そして入った瞬間にレミナさんにお盆を奪われてしまった。
「お肉いっぱいですね!野菜は、これぐらいなら仕方ないけど食べます。」
「喜んでもらえた用で何よりです。」
「夜もいっぱい食べれるんですよね?」
「おそらくは。」
「お肉が二皿も!あぁ、ここに来て本当に良かった。」
あ、いやそれは私の分なんですが・・・。
肉食動物が久々の肉にありついたような感じでかぶりつくレミナさんを見ると、そんな事を言うタイミングがなくなってしまった。
仕方が無い、もう一回頼んでくるか。
「夕方までゆっくり休んでください。私は店の方を見てきます。」
「ふぁ~い!」
女性は綺麗に食べないといけないなんていう暗黙の了解が元の世界にはあったけど、食事は美味しく食べるのが一番だよなって気付かされる食べっぷりだ。
いっぱい食べる君が好き~ってやつだな。
幸せそうにお肉を頬張るレミナさんを応接室に残し、俺は店に向った。
「お疲れ様です、何か手伝いますか?」
「あ、シュウイチさんおかえりなさい。」
買取品の査定をしていたエミリアがサッと顔を上げて微笑んでくれる。
可愛すぎるだろ。
「査定結構来ているんですね。」
「そうなんです。量の多いお客さんが固まってしまって、後で片付けるのでそのままにしておいてください。」
エミリアの周りには多種多様な素材が転がっている。
角や革、良くわからないようなブヨブヨしたものまで。
凄いよな、これを見るだけで何の素材か分かるんだから。
あれかな、エミリアの目には素材の詳細がポップアップされているんだろうか。
「イナバ様すみませんお客様お願いします!」
「あ、はい!」
ボーっとエミリアを見ていたら店頭からニケさんのSOSが聞こえてきた。
こっちも大盛況のようだ。
「お待たせしました、今日はいかがされますか?」
「あ、イナバ様だ!」
「え、イナバ様?うわ、本物だ!」
うわってなんだようわって。
俺を見て挙動不審になっているのはまだ若い四人組の冒険者だった。
装備を見るに剣士弓士魔術師盗賊という感じかな。
うむ、非常にバランスが取れていてよろしい。
見た目に初心者と分かる真新しい装備と雰囲気。
これからダンジョンという名の荒波にもまれてくるのだろう。
誰一人欠ける事無く帰ってくる事を祈るよ。
「今日は何になさいますか?」
「えっと、携帯食料二日分と薬草を二つそれと松明三本お願いします。」
「携帯食料と薬草と松明でしたら初心者用の詰め合わせで購入した方が得ですからそちらで計算しますね。携帯食料は乾パンと乾燥果物から選べますがどうしますか?」
「お前どうする?」
「え!な、なんでもいい。」
「僕は果物が良いな。」
「じゃ、じゃあパンを三つと果物一つで。」
「わかりました。」
詰め合わせは初心者が良く購入する物をまとめた俗に言うセット販売という奴だ。
個別に買うとそのままの金額だが、一緒に買うと少し安くなるようにしている。
初心者はお金がない。
にもかかわらず必要な物が多い。
何事もそうだが最初が一番お金がかかる。
体一つで出来るものなら構わないが、大抵道具が必要だからね。
「携帯食料には水も入っているので注意してください。」
「え、別料金じゃないんですか?」
「うちは料金に含まれています。最初は大変だと思いますが頑張ってきてください。」
「「「「ありがとうございます!」」」」
代金を支払いじゃれ合いながらダンジョンに向かう四人。
初々しいなぁ。
帰りにどんな顔をして帰ってくるのか楽しみだ。
「はい、次の方どうぞ!」
列はまだ続いている。
昼食を食べ損ねた感はあるけど仕方ないだろう。
このタイミングで抜けるのは難しい。
それに商店こそ俺の本当の仕事だ。
しっかり頑張らないと。
結局列が途切れたのは昼の中休みを迎えようかという時間だった。
「お疲れ様でしたシュウイチさん、香茶をどうぞ。」
「ありがとうございます。」
客足が途絶え、しばしの休憩時間だ。
外向きのカウンターは閉めてしまっても大丈夫だろう。
用があれば中に入ってくる。
「久々にすごいお客の量でしたね。」
「そうですね定期便の日でもないのにどうしたんでしょう。」
「シュウイチ、向こうで何かして来たのか?」
「別に何もしていませんよ?冒険者ギルドに顔は出しましたけどそれぐらいです。」
「ふむ、たまたまかもしれんが随分と初心者が多いように見えたからな。」
「あ、私もそれは思いました。」
シルビアの意見にニケさんも同調する。
最初の方はわからないが、確かに店頭に立った時には初心者の相手をすることが多かった気がする。
初心者セット結構売れたし、普段あまり出ないような品もちょくちょく動いた。
また補充しておかないと。
「でも買取はそこそこの品が多かったですね。ダンジョンから出たというよりも遠方から売りに来ている人もいましたし。」
「これも噂を聞きつけてでしょうか。」
「そうとしか思えんが確証はないな。」
うぅむ。
ダンジョンに初心者が増え、買取に中級者が増える。
買取はそのまま商店連合に出荷するので在庫がダブつかず買い取ればば買い取るだけ利益になる。
買取が増えるのはこの店にとって非常にありがたい事だ。
欲を言えばダンジョンに一歩でも入ってくれれば魔力を回収できるのでそこもお願いしたいのだが・・・。
今度綺麗に誘導できるような何かを考えてみるか。
「またシュウイチが悪いことを考えているぞ。」
「失礼な、別に悪い事じゃないですよ。」
「企画の件ですか?」
「いえ、商店の方です。」
「こっちの事は気にせず向こうに専念してくださいね、何とかなっていますから。」
エミリアはそう言うけれど何とかなってない部分があるのも事実だ。
ユーリの手が開けば素材を倉庫にもっていってもらったりできるのだが、どうしても宿の方にかかりっきりになるので結局買取した品が後ろに積みあがってしまっている。
人手不足は目に見えている。
シルビアもこまめに手伝ってくれてはいるが、今後は村の方に行くことも増えるので人手として数えることができない。
やっぱり人増やさないとなぁ。
「セレンさんがもう一人いれば助かるんですけど・・・。」
「奇遇だな、私もそう思っていた。」
「私もです。」
「そんな、私が二人いても足手まといなだけですよ。」
「いいえ、セレン様がもう一人いればすべて解決できます。」
「できればそのまま夜もお願いできれば最高なんですけど。」
防犯の都合上その場合は男性という事になる。
「商店の警備も兼ねるのであればそれなりに強くなければいかんぞ。」
「中級冒険者ではなく上級の冒険者ぐらいの人が望ましいですね。」
「私、魔物なんて倒せません。」
「仮にいたとして、そんな方が宿の仕事を引き受けてくださるでしょうか。」
「普通は大きな街で暮らしたいって思いますよねぇ。」
全員がそろってため息をつく。
料理上手で戦いもできて夜勤も大丈夫なんて都合のいい人材、いるとおもう?
普通は無理だよねぇ。
「とりあえず張り紙ぐらいは出しておきましょうか。冒険者の方に街で配ってもらってもいいですし。」
「それが良いですね、先ほどの条件に合う方がいたらギルドに行ってもらうように書いておきましょう。」
何もしないよりも何かした方がいい。
無理だとわかっていても万が一という事もある。
紙を取り出してスラスラと求人票を作り始める。
今までに何度か手掛けているのかすぐに書きあがってしまった。
「お給金はどうしましょうか。」
「セレンさんと同額で夜勤もするのでしたら上乗せって感じで。」
「住む所はどうする。」
「当分は宿に住み込みで落ち着いたら村に住んでもらいましょう。」
「住み込み可、委細相談っとこんな感じでいいですか?」
「いい感じです。」
『従業員募集』
業務・・・宿の業務全般並びに料理。
待遇・・・月給制、住み込み可、賄いつき
条件・・・中級冒険者以上(上級冒険者優遇)
委細相談の上決定いたします。
興味のある方は冒険者ギルドもしくはシュリアン商店従業員までお声がけください。
簡単ではあるがこんなもんだろう。
給料を詳しく書いてもいいのだがそれ目当てに人が殺到されても困る。
即戦力として迎えたい気持ちはあるがここは慎重に行かなければ。
まぁ、いきなり来ることはないだろうけど。
「ユーリ、入り口に張ってもらえますか?」
「おまかせください。」
エミリアから紙を受け取りユーリが玄関横の掲示板に貼り付けにいく。
営業時間や大売出しの告知などを張り出している掲示板なので人目にはつくだろう。
「戻りました。」
「ありがとうございます。」
「さぁ、そろそろ夕食の仕込みをしてしまいましょう。」
「お任せくださいセレン様。」
「では私は近辺を巡回してくる。」
「お願いします。」
「ニケさん、買い取った品の仕分け手伝ってもらっていいですか?」
「わかりました!」
みんなそれぞれの仕事に戻っていく。
俺もそろそろ夕方の会議の時間だ。
もうひと頑張りしますかね。
っと、その前に・・・。
「すみません、何か簡単につまめるものはありますか?」
「イナバ様どうされたんですか?」
「さっきの昼食はすべて食べられてしまったので・・・。」
「そうだったんですね!すぐ仰ってくださればよかったのに。」
そんな時間なかったんですよ。
ニケさんがパタパタと台所に向かい、戸棚を漁ったかと思うとすぐに戻って来た。
「簡単な物でお口に合えばいいんですけど。」
「これは?」
「こっそり食べようと思っていた試作のパイです。今年はモッサイマが豊作だったので試しに作ってみました。」
見た目は普通のパイなんだけど、この香りはどう考えても焼き芋だ。
あ、お腹鳴った。
「ありがたく頂戴します。」
「頑張ってきてくださいね。」
これを持っていくと間違いなく食べられる。
なのでその場でぺろりと平らげて、俺は再び応接室へと戻るのだった。
糖分最高です。
問題が山積みの状況としては比較的話が進んでいるほうじゃないだろうか。
こういった企画の場合初日はどこから手をつけて良いのか分からなくなってグダグダのまま終わる事が多いけどそんな風にならない。
参加している人が真面目だからだろうか。
それとも元の世界の会議がダメダメだったんだろうか。
「それでだ、仮のお金にいt・・・。」
突然イアンの声が聞こえなくなってしまった。
なんだ、機械の故障か?
「も~限界!お腹空いた!」
先程まで虚空を見つめていたレミナさんの目に光が宿り開口一番空腹を告げる。
そうか、レミナさんを介して会話していたんだった。
すっかり忘れていたよ。
「長い間お疲れ様でした、大丈夫ですか?」
「皆話し長いよ!何を話していたか知らないけどもうちょっと短くならないの!?」
「話している内容は分からないんですか?」
「だってレアルと通信を繋げる事に集中しているから他の事に気をむけてる余裕なんて無いよ!こんなにお腹空くまで通信をつなげるなんて信じられない。」
お腹が空くのと通信に何か関係があるのだろうか。
「そういえばもうお昼を過ぎていますね。セレンさんに言って何か作ってもらいましょう。か」
「お肉大盛り野菜抜きでお願いします!」
「全部を抜くことは許してもらえないと思いますが、言うだけ言ってみましょう。」
「お願いします!あ、ちょっとまってください。」
席を立ち身体をほぐしているとレミナさんが再び通信を始めたようだ。
「うん、大丈夫。お腹空いただけだから、レアルは?そっか、ちゃんと休んで一杯食べてね、次は夕方だね、言っとくから。うん、大丈夫だって、こう見えてもお姉ちゃんしっかりしてるんだよ?え、信じられない?もぅ、そんな事言うと怒るよ!」
一方通行の会話を聞くのって結構面白いな。
向こうで何を言っているかわからないが、返事を聞くとなんとなくは理解できる。
きっと向こうも同じ状況でお互いを労っているんだろう。
「えっと、今の話しを向こうでまとめて夕方にもう一度連絡してくるそうです。それまでは休憩してくださいって、御飯休憩でいいんですよね?」
「そのつもりです、レミナさんはこのままお待ち下さい。」
「は~い!」
大きく伸びをした後フニャフニャとソファーに倒れこむレミナさん。
本人は大丈夫といっているがかなり疲れているのだろう。
そりゃそうだよな。
初日だししっかり食べてもらって英気を養ってもらうとしよう。
俺は昼食を準備してもらう為にセレンさんの所へむかう。
今日もお客さんがいっぱいだな。
買取待ちの列は出来ていないけど、奥のほうで査定をしているのが見える。
販売のほうもひっきり無しというワケでは無いがそれなりに忙しそうだ。
昼食時を過ぎたとはいえ食事を取っている冒険者も多い。
ユーリが忙しそうに給仕をしていた。
「ご主人様御休憩ですか?」
「昼食を頼みに来ましたが忙しそうですね。」
「今日はいつもより多く感じます。」
「セレンさんは大丈夫ですか?」
「今日は体調も良いそうですが、シア奥様の言うようにもう一人欲しい所です。」
やっぱそうだよね。
セレンさん一人でずっと調理しているわけだし休憩も中々取れて無さそうだ。
立ちっぱなしは身体によくないし、早急に人を入れる必要があるなぁ。
「それに関してはまた夜に話し合いましょう。」
「わかりました。いらっしゃいませ、空いてる席へどうぞ。」
なんて話しをしていたら別の冒険者が食事を求めてやってきた。
手に持っている券から買い取り待ちの冒険者のようだ。
ちゃちゃっと注文して手伝いに入ったほうが良さそうだな。
「セレンさん調子はどうですか?」
「イナバ様!おかげ様で今日は元気です。」
「ちょっと忙しそうですね。」
「そうですね、今日はちょっとバタバタしています。」
「応接室でお待ちのレミナさんに昼食をお願いできますか?お肉大盛り野菜は少なめだそうです。」
「わかりました。」
元気そうには見えるがセレンさんはすぐ無理をするからな。
それに、いつもは片付いている食器が今日は残されたままだ。
どれ、片してしまいますかね。
「洗い物やっちゃいますね。」
「そんな!イナバ様にお手伝いしてもらうなんて。」
「ここは私の店です、ですから私がしたい仕事をするんです。あー洗い物がしたいなぁ、ということでやってしまいますね。」
「フフッ。」
ワザとらしい芝居にセレンさんから笑みがこぼれる。
それ以上何も言わないという事は聖域に足を踏み込んでも良いということだろう。
料理場に勝手に入られるのを嫌う人もいるし、一応そこは気を使うタイプだ。
腕まくりをして軽く紐で縛り、洗い物に取り掛かる。
スポンジはないけれど、ヘチマの実を乾燥させたようなやつがあるのでそれに石鹸をつけて汚れを洗い流していく。
水道は無いので桶に水を汲んでそこで汚れを落とし、別の桶でついた石鹸をすすぎ流す。
こう考えると蛇口をひねればすぐに水が出てくる環境って凄い便利だったんだなぁ。
水が汚くなったので裏の井戸から水を汲んできて同じように洗い物を繰り返す。
え、外でやれば効率が良いって?
そんなのは分かってるよ。
食器も陶器よりも木製の物が多いので多少雑に扱っても割れる心配がないのっていいよね。
「イナバ様出来ましたので持っていってくださいますか?」
もう少しで洗い終わるというタイミングでレミナさんの昼食が出来たようだ。
お盆に乗せられていたのは俺のこぶしぐらいありそうな肉の塊、それとおまけ程度の野菜とパンが二枚。
一般の昼食としては十分すぎる量だろう。
それが二つあるという事は・・・。
「私の分も作ってくださったんですね。」
「同じもので申し訳ありません、ユーリからイナバ様も食べられていないと聞きましたので一緒に作ってしまいました。」
「助かります。」
「洗い物はそのあたりで十分です、助かりました。」
「でも・・・。」
終わらせてからと思ったが、先程俺が洗い終えたのとほぼ同じ量の食器が洗い場に持ち込まれた。
「残りは私が引き継ぎます、ご主人様はどうぞ昼食を召し上がってください。」
お前は邪魔だからさっさとどけ。
なんていうユーリの心の声が聞こえたような気がした。
「失礼な、そこまでは思っておりません。」
「つまり少しは思っていると?」
「ご主人様にはご主人様の仕事があるように私には私の仕事がございます。」
「それは失礼しました。」
つまりは私の仕事だから触るな。
ということだろう。
申し訳ありませんでした!
とりあえず俺もお腹が空いたので良い匂いのするお肉を持って応接室へと戻る。
「お肉!」
そして入った瞬間にレミナさんにお盆を奪われてしまった。
「お肉いっぱいですね!野菜は、これぐらいなら仕方ないけど食べます。」
「喜んでもらえた用で何よりです。」
「夜もいっぱい食べれるんですよね?」
「おそらくは。」
「お肉が二皿も!あぁ、ここに来て本当に良かった。」
あ、いやそれは私の分なんですが・・・。
肉食動物が久々の肉にありついたような感じでかぶりつくレミナさんを見ると、そんな事を言うタイミングがなくなってしまった。
仕方が無い、もう一回頼んでくるか。
「夕方までゆっくり休んでください。私は店の方を見てきます。」
「ふぁ~い!」
女性は綺麗に食べないといけないなんていう暗黙の了解が元の世界にはあったけど、食事は美味しく食べるのが一番だよなって気付かされる食べっぷりだ。
いっぱい食べる君が好き~ってやつだな。
幸せそうにお肉を頬張るレミナさんを応接室に残し、俺は店に向った。
「お疲れ様です、何か手伝いますか?」
「あ、シュウイチさんおかえりなさい。」
買取品の査定をしていたエミリアがサッと顔を上げて微笑んでくれる。
可愛すぎるだろ。
「査定結構来ているんですね。」
「そうなんです。量の多いお客さんが固まってしまって、後で片付けるのでそのままにしておいてください。」
エミリアの周りには多種多様な素材が転がっている。
角や革、良くわからないようなブヨブヨしたものまで。
凄いよな、これを見るだけで何の素材か分かるんだから。
あれかな、エミリアの目には素材の詳細がポップアップされているんだろうか。
「イナバ様すみませんお客様お願いします!」
「あ、はい!」
ボーっとエミリアを見ていたら店頭からニケさんのSOSが聞こえてきた。
こっちも大盛況のようだ。
「お待たせしました、今日はいかがされますか?」
「あ、イナバ様だ!」
「え、イナバ様?うわ、本物だ!」
うわってなんだようわって。
俺を見て挙動不審になっているのはまだ若い四人組の冒険者だった。
装備を見るに剣士弓士魔術師盗賊という感じかな。
うむ、非常にバランスが取れていてよろしい。
見た目に初心者と分かる真新しい装備と雰囲気。
これからダンジョンという名の荒波にもまれてくるのだろう。
誰一人欠ける事無く帰ってくる事を祈るよ。
「今日は何になさいますか?」
「えっと、携帯食料二日分と薬草を二つそれと松明三本お願いします。」
「携帯食料と薬草と松明でしたら初心者用の詰め合わせで購入した方が得ですからそちらで計算しますね。携帯食料は乾パンと乾燥果物から選べますがどうしますか?」
「お前どうする?」
「え!な、なんでもいい。」
「僕は果物が良いな。」
「じゃ、じゃあパンを三つと果物一つで。」
「わかりました。」
詰め合わせは初心者が良く購入する物をまとめた俗に言うセット販売という奴だ。
個別に買うとそのままの金額だが、一緒に買うと少し安くなるようにしている。
初心者はお金がない。
にもかかわらず必要な物が多い。
何事もそうだが最初が一番お金がかかる。
体一つで出来るものなら構わないが、大抵道具が必要だからね。
「携帯食料には水も入っているので注意してください。」
「え、別料金じゃないんですか?」
「うちは料金に含まれています。最初は大変だと思いますが頑張ってきてください。」
「「「「ありがとうございます!」」」」
代金を支払いじゃれ合いながらダンジョンに向かう四人。
初々しいなぁ。
帰りにどんな顔をして帰ってくるのか楽しみだ。
「はい、次の方どうぞ!」
列はまだ続いている。
昼食を食べ損ねた感はあるけど仕方ないだろう。
このタイミングで抜けるのは難しい。
それに商店こそ俺の本当の仕事だ。
しっかり頑張らないと。
結局列が途切れたのは昼の中休みを迎えようかという時間だった。
「お疲れ様でしたシュウイチさん、香茶をどうぞ。」
「ありがとうございます。」
客足が途絶え、しばしの休憩時間だ。
外向きのカウンターは閉めてしまっても大丈夫だろう。
用があれば中に入ってくる。
「久々にすごいお客の量でしたね。」
「そうですね定期便の日でもないのにどうしたんでしょう。」
「シュウイチ、向こうで何かして来たのか?」
「別に何もしていませんよ?冒険者ギルドに顔は出しましたけどそれぐらいです。」
「ふむ、たまたまかもしれんが随分と初心者が多いように見えたからな。」
「あ、私もそれは思いました。」
シルビアの意見にニケさんも同調する。
最初の方はわからないが、確かに店頭に立った時には初心者の相手をすることが多かった気がする。
初心者セット結構売れたし、普段あまり出ないような品もちょくちょく動いた。
また補充しておかないと。
「でも買取はそこそこの品が多かったですね。ダンジョンから出たというよりも遠方から売りに来ている人もいましたし。」
「これも噂を聞きつけてでしょうか。」
「そうとしか思えんが確証はないな。」
うぅむ。
ダンジョンに初心者が増え、買取に中級者が増える。
買取はそのまま商店連合に出荷するので在庫がダブつかず買い取ればば買い取るだけ利益になる。
買取が増えるのはこの店にとって非常にありがたい事だ。
欲を言えばダンジョンに一歩でも入ってくれれば魔力を回収できるのでそこもお願いしたいのだが・・・。
今度綺麗に誘導できるような何かを考えてみるか。
「またシュウイチが悪いことを考えているぞ。」
「失礼な、別に悪い事じゃないですよ。」
「企画の件ですか?」
「いえ、商店の方です。」
「こっちの事は気にせず向こうに専念してくださいね、何とかなっていますから。」
エミリアはそう言うけれど何とかなってない部分があるのも事実だ。
ユーリの手が開けば素材を倉庫にもっていってもらったりできるのだが、どうしても宿の方にかかりっきりになるので結局買取した品が後ろに積みあがってしまっている。
人手不足は目に見えている。
シルビアもこまめに手伝ってくれてはいるが、今後は村の方に行くことも増えるので人手として数えることができない。
やっぱり人増やさないとなぁ。
「セレンさんがもう一人いれば助かるんですけど・・・。」
「奇遇だな、私もそう思っていた。」
「私もです。」
「そんな、私が二人いても足手まといなだけですよ。」
「いいえ、セレン様がもう一人いればすべて解決できます。」
「できればそのまま夜もお願いできれば最高なんですけど。」
防犯の都合上その場合は男性という事になる。
「商店の警備も兼ねるのであればそれなりに強くなければいかんぞ。」
「中級冒険者ではなく上級の冒険者ぐらいの人が望ましいですね。」
「私、魔物なんて倒せません。」
「仮にいたとして、そんな方が宿の仕事を引き受けてくださるでしょうか。」
「普通は大きな街で暮らしたいって思いますよねぇ。」
全員がそろってため息をつく。
料理上手で戦いもできて夜勤も大丈夫なんて都合のいい人材、いるとおもう?
普通は無理だよねぇ。
「とりあえず張り紙ぐらいは出しておきましょうか。冒険者の方に街で配ってもらってもいいですし。」
「それが良いですね、先ほどの条件に合う方がいたらギルドに行ってもらうように書いておきましょう。」
何もしないよりも何かした方がいい。
無理だとわかっていても万が一という事もある。
紙を取り出してスラスラと求人票を作り始める。
今までに何度か手掛けているのかすぐに書きあがってしまった。
「お給金はどうしましょうか。」
「セレンさんと同額で夜勤もするのでしたら上乗せって感じで。」
「住む所はどうする。」
「当分は宿に住み込みで落ち着いたら村に住んでもらいましょう。」
「住み込み可、委細相談っとこんな感じでいいですか?」
「いい感じです。」
『従業員募集』
業務・・・宿の業務全般並びに料理。
待遇・・・月給制、住み込み可、賄いつき
条件・・・中級冒険者以上(上級冒険者優遇)
委細相談の上決定いたします。
興味のある方は冒険者ギルドもしくはシュリアン商店従業員までお声がけください。
簡単ではあるがこんなもんだろう。
給料を詳しく書いてもいいのだがそれ目当てに人が殺到されても困る。
即戦力として迎えたい気持ちはあるがここは慎重に行かなければ。
まぁ、いきなり来ることはないだろうけど。
「ユーリ、入り口に張ってもらえますか?」
「おまかせください。」
エミリアから紙を受け取りユーリが玄関横の掲示板に貼り付けにいく。
営業時間や大売出しの告知などを張り出している掲示板なので人目にはつくだろう。
「戻りました。」
「ありがとうございます。」
「さぁ、そろそろ夕食の仕込みをしてしまいましょう。」
「お任せくださいセレン様。」
「では私は近辺を巡回してくる。」
「お願いします。」
「ニケさん、買い取った品の仕分け手伝ってもらっていいですか?」
「わかりました!」
みんなそれぞれの仕事に戻っていく。
俺もそろそろ夕方の会議の時間だ。
もうひと頑張りしますかね。
っと、その前に・・・。
「すみません、何か簡単につまめるものはありますか?」
「イナバ様どうされたんですか?」
「さっきの昼食はすべて食べられてしまったので・・・。」
「そうだったんですね!すぐ仰ってくださればよかったのに。」
そんな時間なかったんですよ。
ニケさんがパタパタと台所に向かい、戸棚を漁ったかと思うとすぐに戻って来た。
「簡単な物でお口に合えばいいんですけど。」
「これは?」
「こっそり食べようと思っていた試作のパイです。今年はモッサイマが豊作だったので試しに作ってみました。」
見た目は普通のパイなんだけど、この香りはどう考えても焼き芋だ。
あ、お腹鳴った。
「ありがたく頂戴します。」
「頑張ってきてくださいね。」
これを持っていくと間違いなく食べられる。
なのでその場でぺろりと平らげて、俺は再び応接室へと戻るのだった。
糖分最高です。
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作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
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