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第十章
第一回チャリティ企画会議(前編)
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新しい仲間を加え、いよいよ企画を始動出来る状態になった。
なったのだが、いつもは現場であれやこれやと動き回っているので商店で全部やり切れるのかという不安はある。
その為にププト様は彼女をよこしてくれたわけだが・・・。
本当に大丈夫なのだろうか。
「ひとまず上の応接室を仮設の会議室にしようと思います。エミリア、入植者関係若しくは私へのお客が来たら呼んでください。」
「わかりました。」
「ではレミナさん行きましょうか。」
残された時間はあまりない。
今日出来る事は今日のうちに終わらせておかないと後々になってしわ寄せがやってくる。
納期がカツカツになるのは元の世界ではよくある話しだったけど、こっちに来てまでそんな事になるのはごめんだ。
商店はエミリア達に任せて俺はレミナさんと共に応接室に入る。
「広い部屋ですね!ここが私のお部屋ですか?」
「いえ、ここは仕事部屋になるのでお部屋はまた後で御案内します。」
「えー、違うんだ・・・。」
「ププト様からは天幕でもという話しだったんですけど、そちらのほうがお好みでしたら御準備できますが。」
「普通のお部屋でお願いします!」
まぁ、そうですよね。
これで天幕でっていわれても困るんだけど。
「改めまして休息日までどうぞ宜しくお願いします。」
「お願いします!」
「レミナさんには念話の通信係としてサンサトローズとのやり取りをしてもらうわけですが、具体的に念話の同時通信ってどんな感じなんですか?」
「私に話しかけるだけで向こうに内容が伝わって、同時に会話しできる感じです。」
なるほど、スカイプみたいなものか。
電話が無いこの世界だと同時に会話できるのは念話が出来る人同士だけだ。
つまりレミナさんを会話を中継するハブにしてやりとりする感じだろう。
でもさ、このやり方だと向こうにも同様に同時通信できる人がいないと難しいんじゃ・・・。
俺の方にはすんなり会話が届いても向こうが同じことできないんじゃ意味ないような気もするけど、まぁ何とかなるんだろう。
ものはためしだ、やってみれば良いさ。
「そろそろ向こうも人が揃っていると思うので一度繋いでもらっても良いですか?」
「任せてください!」
イアンがいるのは分かっている。
他に誰が来ているかは分からないが、イアンがいれば大丈夫だろう。
なんだかんだ言って頼りになる男だし。
レミナさんはソファーに深く腰掛けると一つ深呼吸をした。
「レアル聞こえる~?お姉ちゃんだよ~!え、ちょっと待って、うん、わかってるって、お仕事だから大丈夫だよ。もう、心配しないでって、ちゃんとやるから。」
レミナさんがいきなり誰もいない場所に向かって話し始めた。
お姉ちゃん?
レアルというのはおそらく向こうの念話担当の人の名前だと思うけど、エミリアと違っていきなり話し始めるからびっくりだ。
「うん、こっちはもう準備完了だよ。そっちは?いける?わかった、じゃあ始めるね。」
レミナさんが何かに返事をするように頷くと、突然瞳から光が消え座ったまま動かなくなってしまった。
まるで蝋人形のように固まってしまったレミナさん。
「おい、イナバ聞こえるか?」
と、その口から聞き覚えのある声が聞こえて来た。
この声はイアンか。
「聞こえますよ、この声はイアンですね。いったいどうなっているんですか?」
「なんだ説明されてないのか?」
「相互通信というのは聞いていましたがまさか声まで変わるとは思っていませんでした。」
「簡単に言えばお互いの担当を通じて会話を伝え合ってる感じだ。」
「出力と入力の中継器になっているわけですか。」
「まぁよくわからんがそんな所だ。」
わからんのかーい。
その辺はイアンらしい。
元の世界ではデジタルに疎そうだ。
でもすごいな、顔は見えないけれど向こうの声が聞こえる。
そう考えると携帯電話とかってすごい技術だったんだな。
「そちらには誰が来ているんでしょうか。」
「俺を含めて5人だ。自己紹介も含めて挨拶ぐらいしておくか。」
「イナバ様お久しぶりです、輸送ギルドよりお手伝いをしますバスタです。」
「僕は久々じゃないですね冒険者と騎士団担当モアです。」
「初めまして自治連合を代表して参加するリガードと申します、直接お会いできず残念ですがこちらに来られました時に改めてご挨拶させていただきます。」
「ルシルク様に言われてきました商業ギルドのアヴィーです、何でも言ってくださいっス!」
おや、初めましての人が二人もいる。
ちゃんと挨拶しておかないと。
「改めましてイナバ=シュウイチと申します。この度は急な企画にもかかわらずお集まりいただきありがとうございました。時間的にかなり厳しく、その中で決めなければいけないことがたくさんあります。私一人ではなかなか実現できないことですが皆さんのお力をお借りできれば実現できると思っています。どうぞよろしくお願いいたします。」
虚空を見つめたままのレミナさんに話しかけるのは不思議な感覚だが、向こうにはちゃんと届いているようだ。
しかしどういう仕組みなんだろう。
後で聞いてみよう。
「挨拶はこのぐらいにして、どこから手を付ける?」
「皆さん何処までお話を聞いていますか?」
「各家庭から不要な物を出し合って売買をし、そのうちの一部を貧困者への支援に当てると聞いています。」
「騎士団は全体の警備ならびに現場管理をするように言われていますね。冒険者はその他の雑用って感じでしょうか。」
「商業ギルドが音頭を取って各ギルドや各商店に連絡を入れて、不要な物や提供していい物を見繕ってもらえるよう連絡する手はずになっているっス!
「輸送ギルドは主に必要資材の運搬を命じられています。それ以外に各商店などから集まった荷を一時的に保管する役目も受けてますね。」
「そしてそれを管理するのが俺ってわけだ。貴族への折衝はあの方が直接行うから問題ないが、それ以外の部分はお前の指示の元すべて俺が取り仕切る。お前はそこから指示だけを出せばいいってわけだ。」
なるほど。
とりあえず集まったっていうわけじゃなく各自自分達がしなければならないことはある程度理解してくれているようだ。
さて、どこからやりましょうかね。
「やらなければならない事、決めなければならないことは山ほどあります。金品の管理、スリや窃盗等への対処、喧嘩やいざこざ、仮のお金の用意や場所の確保、参加方法や規則の周知徹底等々。各自の得意分野にそれを振り分けることになりますのでどうぞ力をお貸しください。ではまず、今回の企画をどう周知させるかですが、リガードさんなにか意見はありますか?」
「瓦版が良いでしょう、各家庭が必ず目を通すものはそれしかありません。そこに誰が企画しどのようような意図があるのかを載せれば賛同者はおのずと集まるでしょう。この企画は貧困者への支援という名目ではありますが、この前の一件以降ふさぎ込んでいた住民にとってはいい気晴らしになるとおもいます。」
「確かにこの前の一件で大分重たい空気が街に漂っているからな、農村と違って収穫祭が無いんだたまにはお祭り騒ぎがあってもいいだろう。」
「文言はどうしますか?」
「イナバ様が考えられた『チャリティ』という考えは皆に理解してもらうべきでしょうか。もし必要であればそこを中心にいくつか考えておきますが。」
「そうですね、ただお金を集めるならこのような企画をする必要はありません。『チャリティ』という考えに賛同してくれる人を増やしてお互いに助け合う意識付けをしたいんです。」
「では瓦版に乗せる文言をいくつか考えておきます、明日にはできると思いますのでそれまでお待ちください。」
「よろしくお願いします。」
さすが自治連合から来ただけの事はある。
こういう会議に慣れている感じだ。
一つの案を出すのではなく、いくつかの案の中から適切な物を選ぶやり方は失敗が少ない。
このリガードという人、できる。
「目抜き通りを区切って参加者の出店場所にするという話ですが、どうやって決めるんスか?」
「参加者が決まり次第抽選というのが良いでしょう。各ギルドや商店、ププト様や貴族からの提供品に関しては出店場所とは別の場所を準備してそこで販売します。あれこれ混ざるとどこに何があるのかわからなくなってしまいますし、高額品が集まるのであれば一か所にまとめたほうが警備しやすいでしょう。」
一般ブースと企業ブースは分かれていたほうがいい。
あの、人の流れを一般サークル付近でやろうものなら大変な事になる。
まぁ、一般でも某壁サークルのように山登りが発生する可能性も否定できないけど。
「それはいいですね、騎士団員を巡回させて警戒する予定ですが貴重品は重点的に警備できる方が助かります。」
「倉庫から会場への輸送はこちらにお任せください。ただ、念の為に警備をつけてくださるとうれしいです。」
「それは冒険者に任せてもいいかもしれませんね、役割分担したほうが警戒しやすくなるでしょう。」
「そうだな、偽物が混じっても身内同士なら気づきやすい。」
場所の警備と輸送の護衛。
どちらも金品を守るという役目は同じだけど、責任の所在がはっきりするのはこちらとしても都合がいい。
もし仮に輸送中に物が盗まれれば冒険者のせい、倉庫から荷が消えれば騎士団のせいとなるので責任の押し付け合いが無くなる。
そういう事にならないと信じてはいるが、お金は人を変えるからね。
そう言った部分でもしっかりと予防線を張るべきだ。
「今回は仮のお金を使うという事ですがどうするおつもりですか?換金方法もしっかり明記しておかなければなかなか賛同は得られないと思いますが。」
「僕もそれは思ってました、一時的にしか使えないお金って聞いていますがそれでもかなりの量ですよね。今から準備して間に合うんですか?」
そこなんだよね。
「仮のお金のやり取りについては何か聞いていますか?」
「一応聞いてるんですけど、もう一度教えてほしいっス。」
「金銭関係は問題の元だからな、俺からも頼む。」
「わかりました。」
お金関係は全員が完璧に理解しておくべき内容だ。
お金関係の問題は後々尾を引くからね、しっかりやっておこう。
「今回買い物をする為には偽物のお金を使用します。お金は最後に元のお金に換金するわけですがその時に1割を寄付金として回収します。なぜ仮のお金を使うのか、理由はずばり寄付金を回収する為なんですが直接現金を利用しないことでお祭り感を演出する狙いもあります。翌日以降に使えないお金ですから問題も起きにくいでしょう。もちろん起きないという保証はありませんが、換金する度に1割取られるのであればそれ目当てに悪事を働く人も少ないはずです。一応誰がどれだけ換金したかを管理したいと思ってはいるのですが、可能だと思いますか?」
「全員を把握するのは難しいんじゃないですかね、代理で頼む人もいるでしょうし。」
「冒険者だったらこれを使ってお金の貸し借りとかしそうですよね、寄付金で取られるなら今後もお金の代わりに使おうとか思う奴が出ないとも限りません。」
モア君鋭いな。
確かにその可能性は否定できないか。
板切れが仮に銀貨1枚分の価値があるとして、それを他の人間も銀貨1枚分の価値があるものだと納得すればそのまま流通できてしまう。
そうなることで寄付金は回収できないか。
なるほどなぁ。
「買い物だけをする人も換金しなきゃならないのはちょっとめんどくさく無いっスか?」
「そこは協力をお願いするしかないですね、元金を保証して換金する時に寄付として徴収しすぎないような仕組みは考えていますが参加者にしっかりと説明しないと後々で問題が出るかもしれません。」
「元金はどうやって把握する?」
「いくら換金したか一目で分かる仕組みを作りたいところです。例えば銀貨1枚につき白い紙を1枚とか。」
「ですがそのやり方では、買い物だけする人には不要な物になるでしょう。」
「そうだな、むしろその紙を大量に集められると換金するときに払ってもいない元金を保証してしまう事になる。そうなると寄付金を正しく集められないぞ。」
むむむ、確かにそれは十分ありえる話だ。
銀貨10枚分買い物をするために換金し、紙を10枚貰う。
それを捨ててしまい、別の人が拾ったとする。
その人が銀貨10枚分の売り上げを上げたとして、本当は銀貨1枚を寄付しないといけないのに紙があるおかげですべて換金できてしまうわけか。
これじゃあ寄付システムそのものが破たんしてしまうな。
これは悪手だ。
「確かにそうですね・・・。」
「では現金から仮のお金にする時に1割徴収しておくのはいかがでしょうか?」
「それをすると買い物だけの人が損をしてしませんか?」
「でも今回は寄付金を集める事が目的なんっスよね?」
「まぁ全員から寄付金を回収することが一番なんでしょうが、それでは出品だけした人からは寄付金を回収できません。ただ単にお金が増えるだけになります。」
「だが購入者からはもう徴収しているわけだろ、お金が増えようが寄付金が減るわけじゃない。銀貨1枚で銅貨90枚分を渡す。それで買い物をして受け取った方はそれを換金する。不要な物がお金になり、寄付は行われている。今回の企画に沿った結末じゃないか。」
確かにそうだ。
そうなんだけど・・・。
うーむ。
ここまで当初の計画から変わってしまうと自信無くすなぁ。
「商品が売れればそのお金を別の買い物にも使い、足りなければ買い足すだろう。そうすることで寄付金は増えるしお金は回る。このやり方が一番じゃないか?」
確かにイアンの言う通りだ。
でもなぁ。
本当にその方法しかないんだろうか。
「出品者もおつりを準備するために換金するでしょうしその時点で寄付をしています。換金時に再び回収するのは難しいのではないでしょうか。」
「仮のお金を使う以上絶対に一度は換金しますよね、全員共通しているのが購入時ですしその時でいいんじゃないですか?」
「それだと盗まれた時の抑止効果が無くなります。」
「いつもの金を使ってもそうでなくても盗みは起きる、それを警戒するために騎士団や冒険者を付ければいいだろ。犯人を捕まえれば報奨金を出すって言えば冒険者もやる気を出すだろ。」
「騎士団の立場からすると冒険者に取り締まりをさせるのは嫌ですが、冒険者からするといい小遣いかせぎになります。すぐに報奨金が支払われるならすぐに換金してパーッと使いますね。」
どっちの立場も理解しているモア君ならではの意見だ。
なるほどなぁ、その方法で行こうか。
自分の最初の考えが絶対正しいわけではない。
論破されたからといってそれを恨んでもいけない。
俺の考えなんて所詮人より知恵が少し回るぐらいのものだ。
みんなで考えたほうが良い知恵が生まれる。
昔から言うじゃないか、三人寄れば文殊の知恵ってね。
6人もいるんだからその倍すごい知恵が出来ておかしくない。
「住民を代表する立場から言えば、後々換金する際の手間が少ない方が助かります。」
「確かに、最後の換金に一番時間がかかりそうだ。」
「参加者全員分を当日に終えるって可能なんスかね・・・。」
換金の手間か。
確かにそれもあるよなぁ。
最初は単純に売り上げからもらえば楽だって思ったけど実際はそうじゃないみたいだし。
ん、まてよ。
こうすればいいんじゃないか?
「ではこんなのはどうでしょうか。一般参加者からは最初に換金する際に寄付金をいただき、それ以外のギルドや商店からは売り上げに応じた寄付金をいただくんです。そうすれば一般参加者が最後に換金する際に寄付金を回収しなくて済むので手間が減りずっと楽になるでしょう。商店などは売り上げが多いので翌日にすれば換金の負担を分散できます。ギルドなどは管理がしっかりしているので盗難などの心配はなく、かついくら換金したかも把握しやすいですよ。」
「一般参加者だけなら当日に終わらせることはできそうだ。」
「ですが企業側も最初におつりを準備するときに寄付金を徴収されますから二重取りになりませんか?」
「おつりはこちらで用意すればいいんです。最後に用意した分を回収し、残りの売上金から寄付金を徴収すれば二重取りを防ぐことができます。」
「それはいいかもしれません、さすがイナバ様良い案をお考えになります。」
寄付金はできるだけ多く回収したいところだ。
そう言う意味では一般参加者よりも各商店などからもらうほうがたくさん回収できる。
「こっちも大量のおつりを準備する手間が少なくなれば喜ばれるっスね。」
「元々売り上げの一割を寄付してもらうという話でしたし納得してもらえるんじゃないですか。」
「住民からすれば売れば売るだけお金が増えるのは喜ばれます。その分たくさん使いたくなるでしょう。」
「お金を使えば結果として寄付金は増えるわけか。さすがという所だな。」
皆も賛同してくれるようだ。
よかった。
俺一人じゃここまでの案は思いつかなかっただろう。
さすが6人寄ればってやつだな。
「お金も大変ですが売れ残った物の管理も大変ですよ。特に貴族様から頂いた物は高価ですから扱いに困ります。」
「冒険者へ報酬も大変です。一度ギルドを通すのか直接支払うのかでも変わりますから。」
あー、知恵だけじゃなくて問題がいっぱい出てきた。
しかも一人では思いつかなかったものばかりだ。
これからも問題は山のように出て来る。
本当に大丈夫なのだろうかと心配になるぐらいだ。
でもまだまだ初日だ。
ここから詰めていけばいい。
大丈夫なんとかなるさ。
俺は頼りになる仲間に感謝しつつ、次の問題に知恵を絞り出すのだった。
なったのだが、いつもは現場であれやこれやと動き回っているので商店で全部やり切れるのかという不安はある。
その為にププト様は彼女をよこしてくれたわけだが・・・。
本当に大丈夫なのだろうか。
「ひとまず上の応接室を仮設の会議室にしようと思います。エミリア、入植者関係若しくは私へのお客が来たら呼んでください。」
「わかりました。」
「ではレミナさん行きましょうか。」
残された時間はあまりない。
今日出来る事は今日のうちに終わらせておかないと後々になってしわ寄せがやってくる。
納期がカツカツになるのは元の世界ではよくある話しだったけど、こっちに来てまでそんな事になるのはごめんだ。
商店はエミリア達に任せて俺はレミナさんと共に応接室に入る。
「広い部屋ですね!ここが私のお部屋ですか?」
「いえ、ここは仕事部屋になるのでお部屋はまた後で御案内します。」
「えー、違うんだ・・・。」
「ププト様からは天幕でもという話しだったんですけど、そちらのほうがお好みでしたら御準備できますが。」
「普通のお部屋でお願いします!」
まぁ、そうですよね。
これで天幕でっていわれても困るんだけど。
「改めまして休息日までどうぞ宜しくお願いします。」
「お願いします!」
「レミナさんには念話の通信係としてサンサトローズとのやり取りをしてもらうわけですが、具体的に念話の同時通信ってどんな感じなんですか?」
「私に話しかけるだけで向こうに内容が伝わって、同時に会話しできる感じです。」
なるほど、スカイプみたいなものか。
電話が無いこの世界だと同時に会話できるのは念話が出来る人同士だけだ。
つまりレミナさんを会話を中継するハブにしてやりとりする感じだろう。
でもさ、このやり方だと向こうにも同様に同時通信できる人がいないと難しいんじゃ・・・。
俺の方にはすんなり会話が届いても向こうが同じことできないんじゃ意味ないような気もするけど、まぁ何とかなるんだろう。
ものはためしだ、やってみれば良いさ。
「そろそろ向こうも人が揃っていると思うので一度繋いでもらっても良いですか?」
「任せてください!」
イアンがいるのは分かっている。
他に誰が来ているかは分からないが、イアンがいれば大丈夫だろう。
なんだかんだ言って頼りになる男だし。
レミナさんはソファーに深く腰掛けると一つ深呼吸をした。
「レアル聞こえる~?お姉ちゃんだよ~!え、ちょっと待って、うん、わかってるって、お仕事だから大丈夫だよ。もう、心配しないでって、ちゃんとやるから。」
レミナさんがいきなり誰もいない場所に向かって話し始めた。
お姉ちゃん?
レアルというのはおそらく向こうの念話担当の人の名前だと思うけど、エミリアと違っていきなり話し始めるからびっくりだ。
「うん、こっちはもう準備完了だよ。そっちは?いける?わかった、じゃあ始めるね。」
レミナさんが何かに返事をするように頷くと、突然瞳から光が消え座ったまま動かなくなってしまった。
まるで蝋人形のように固まってしまったレミナさん。
「おい、イナバ聞こえるか?」
と、その口から聞き覚えのある声が聞こえて来た。
この声はイアンか。
「聞こえますよ、この声はイアンですね。いったいどうなっているんですか?」
「なんだ説明されてないのか?」
「相互通信というのは聞いていましたがまさか声まで変わるとは思っていませんでした。」
「簡単に言えばお互いの担当を通じて会話を伝え合ってる感じだ。」
「出力と入力の中継器になっているわけですか。」
「まぁよくわからんがそんな所だ。」
わからんのかーい。
その辺はイアンらしい。
元の世界ではデジタルに疎そうだ。
でもすごいな、顔は見えないけれど向こうの声が聞こえる。
そう考えると携帯電話とかってすごい技術だったんだな。
「そちらには誰が来ているんでしょうか。」
「俺を含めて5人だ。自己紹介も含めて挨拶ぐらいしておくか。」
「イナバ様お久しぶりです、輸送ギルドよりお手伝いをしますバスタです。」
「僕は久々じゃないですね冒険者と騎士団担当モアです。」
「初めまして自治連合を代表して参加するリガードと申します、直接お会いできず残念ですがこちらに来られました時に改めてご挨拶させていただきます。」
「ルシルク様に言われてきました商業ギルドのアヴィーです、何でも言ってくださいっス!」
おや、初めましての人が二人もいる。
ちゃんと挨拶しておかないと。
「改めましてイナバ=シュウイチと申します。この度は急な企画にもかかわらずお集まりいただきありがとうございました。時間的にかなり厳しく、その中で決めなければいけないことがたくさんあります。私一人ではなかなか実現できないことですが皆さんのお力をお借りできれば実現できると思っています。どうぞよろしくお願いいたします。」
虚空を見つめたままのレミナさんに話しかけるのは不思議な感覚だが、向こうにはちゃんと届いているようだ。
しかしどういう仕組みなんだろう。
後で聞いてみよう。
「挨拶はこのぐらいにして、どこから手を付ける?」
「皆さん何処までお話を聞いていますか?」
「各家庭から不要な物を出し合って売買をし、そのうちの一部を貧困者への支援に当てると聞いています。」
「騎士団は全体の警備ならびに現場管理をするように言われていますね。冒険者はその他の雑用って感じでしょうか。」
「商業ギルドが音頭を取って各ギルドや各商店に連絡を入れて、不要な物や提供していい物を見繕ってもらえるよう連絡する手はずになっているっス!
「輸送ギルドは主に必要資材の運搬を命じられています。それ以外に各商店などから集まった荷を一時的に保管する役目も受けてますね。」
「そしてそれを管理するのが俺ってわけだ。貴族への折衝はあの方が直接行うから問題ないが、それ以外の部分はお前の指示の元すべて俺が取り仕切る。お前はそこから指示だけを出せばいいってわけだ。」
なるほど。
とりあえず集まったっていうわけじゃなく各自自分達がしなければならないことはある程度理解してくれているようだ。
さて、どこからやりましょうかね。
「やらなければならない事、決めなければならないことは山ほどあります。金品の管理、スリや窃盗等への対処、喧嘩やいざこざ、仮のお金の用意や場所の確保、参加方法や規則の周知徹底等々。各自の得意分野にそれを振り分けることになりますのでどうぞ力をお貸しください。ではまず、今回の企画をどう周知させるかですが、リガードさんなにか意見はありますか?」
「瓦版が良いでしょう、各家庭が必ず目を通すものはそれしかありません。そこに誰が企画しどのようような意図があるのかを載せれば賛同者はおのずと集まるでしょう。この企画は貧困者への支援という名目ではありますが、この前の一件以降ふさぎ込んでいた住民にとってはいい気晴らしになるとおもいます。」
「確かにこの前の一件で大分重たい空気が街に漂っているからな、農村と違って収穫祭が無いんだたまにはお祭り騒ぎがあってもいいだろう。」
「文言はどうしますか?」
「イナバ様が考えられた『チャリティ』という考えは皆に理解してもらうべきでしょうか。もし必要であればそこを中心にいくつか考えておきますが。」
「そうですね、ただお金を集めるならこのような企画をする必要はありません。『チャリティ』という考えに賛同してくれる人を増やしてお互いに助け合う意識付けをしたいんです。」
「では瓦版に乗せる文言をいくつか考えておきます、明日にはできると思いますのでそれまでお待ちください。」
「よろしくお願いします。」
さすが自治連合から来ただけの事はある。
こういう会議に慣れている感じだ。
一つの案を出すのではなく、いくつかの案の中から適切な物を選ぶやり方は失敗が少ない。
このリガードという人、できる。
「目抜き通りを区切って参加者の出店場所にするという話ですが、どうやって決めるんスか?」
「参加者が決まり次第抽選というのが良いでしょう。各ギルドや商店、ププト様や貴族からの提供品に関しては出店場所とは別の場所を準備してそこで販売します。あれこれ混ざるとどこに何があるのかわからなくなってしまいますし、高額品が集まるのであれば一か所にまとめたほうが警備しやすいでしょう。」
一般ブースと企業ブースは分かれていたほうがいい。
あの、人の流れを一般サークル付近でやろうものなら大変な事になる。
まぁ、一般でも某壁サークルのように山登りが発生する可能性も否定できないけど。
「それはいいですね、騎士団員を巡回させて警戒する予定ですが貴重品は重点的に警備できる方が助かります。」
「倉庫から会場への輸送はこちらにお任せください。ただ、念の為に警備をつけてくださるとうれしいです。」
「それは冒険者に任せてもいいかもしれませんね、役割分担したほうが警戒しやすくなるでしょう。」
「そうだな、偽物が混じっても身内同士なら気づきやすい。」
場所の警備と輸送の護衛。
どちらも金品を守るという役目は同じだけど、責任の所在がはっきりするのはこちらとしても都合がいい。
もし仮に輸送中に物が盗まれれば冒険者のせい、倉庫から荷が消えれば騎士団のせいとなるので責任の押し付け合いが無くなる。
そういう事にならないと信じてはいるが、お金は人を変えるからね。
そう言った部分でもしっかりと予防線を張るべきだ。
「今回は仮のお金を使うという事ですがどうするおつもりですか?換金方法もしっかり明記しておかなければなかなか賛同は得られないと思いますが。」
「僕もそれは思ってました、一時的にしか使えないお金って聞いていますがそれでもかなりの量ですよね。今から準備して間に合うんですか?」
そこなんだよね。
「仮のお金のやり取りについては何か聞いていますか?」
「一応聞いてるんですけど、もう一度教えてほしいっス。」
「金銭関係は問題の元だからな、俺からも頼む。」
「わかりました。」
お金関係は全員が完璧に理解しておくべき内容だ。
お金関係の問題は後々尾を引くからね、しっかりやっておこう。
「今回買い物をする為には偽物のお金を使用します。お金は最後に元のお金に換金するわけですがその時に1割を寄付金として回収します。なぜ仮のお金を使うのか、理由はずばり寄付金を回収する為なんですが直接現金を利用しないことでお祭り感を演出する狙いもあります。翌日以降に使えないお金ですから問題も起きにくいでしょう。もちろん起きないという保証はありませんが、換金する度に1割取られるのであればそれ目当てに悪事を働く人も少ないはずです。一応誰がどれだけ換金したかを管理したいと思ってはいるのですが、可能だと思いますか?」
「全員を把握するのは難しいんじゃないですかね、代理で頼む人もいるでしょうし。」
「冒険者だったらこれを使ってお金の貸し借りとかしそうですよね、寄付金で取られるなら今後もお金の代わりに使おうとか思う奴が出ないとも限りません。」
モア君鋭いな。
確かにその可能性は否定できないか。
板切れが仮に銀貨1枚分の価値があるとして、それを他の人間も銀貨1枚分の価値があるものだと納得すればそのまま流通できてしまう。
そうなることで寄付金は回収できないか。
なるほどなぁ。
「買い物だけをする人も換金しなきゃならないのはちょっとめんどくさく無いっスか?」
「そこは協力をお願いするしかないですね、元金を保証して換金する時に寄付として徴収しすぎないような仕組みは考えていますが参加者にしっかりと説明しないと後々で問題が出るかもしれません。」
「元金はどうやって把握する?」
「いくら換金したか一目で分かる仕組みを作りたいところです。例えば銀貨1枚につき白い紙を1枚とか。」
「ですがそのやり方では、買い物だけする人には不要な物になるでしょう。」
「そうだな、むしろその紙を大量に集められると換金するときに払ってもいない元金を保証してしまう事になる。そうなると寄付金を正しく集められないぞ。」
むむむ、確かにそれは十分ありえる話だ。
銀貨10枚分買い物をするために換金し、紙を10枚貰う。
それを捨ててしまい、別の人が拾ったとする。
その人が銀貨10枚分の売り上げを上げたとして、本当は銀貨1枚を寄付しないといけないのに紙があるおかげですべて換金できてしまうわけか。
これじゃあ寄付システムそのものが破たんしてしまうな。
これは悪手だ。
「確かにそうですね・・・。」
「では現金から仮のお金にする時に1割徴収しておくのはいかがでしょうか?」
「それをすると買い物だけの人が損をしてしませんか?」
「でも今回は寄付金を集める事が目的なんっスよね?」
「まぁ全員から寄付金を回収することが一番なんでしょうが、それでは出品だけした人からは寄付金を回収できません。ただ単にお金が増えるだけになります。」
「だが購入者からはもう徴収しているわけだろ、お金が増えようが寄付金が減るわけじゃない。銀貨1枚で銅貨90枚分を渡す。それで買い物をして受け取った方はそれを換金する。不要な物がお金になり、寄付は行われている。今回の企画に沿った結末じゃないか。」
確かにそうだ。
そうなんだけど・・・。
うーむ。
ここまで当初の計画から変わってしまうと自信無くすなぁ。
「商品が売れればそのお金を別の買い物にも使い、足りなければ買い足すだろう。そうすることで寄付金は増えるしお金は回る。このやり方が一番じゃないか?」
確かにイアンの言う通りだ。
でもなぁ。
本当にその方法しかないんだろうか。
「出品者もおつりを準備するために換金するでしょうしその時点で寄付をしています。換金時に再び回収するのは難しいのではないでしょうか。」
「仮のお金を使う以上絶対に一度は換金しますよね、全員共通しているのが購入時ですしその時でいいんじゃないですか?」
「それだと盗まれた時の抑止効果が無くなります。」
「いつもの金を使ってもそうでなくても盗みは起きる、それを警戒するために騎士団や冒険者を付ければいいだろ。犯人を捕まえれば報奨金を出すって言えば冒険者もやる気を出すだろ。」
「騎士団の立場からすると冒険者に取り締まりをさせるのは嫌ですが、冒険者からするといい小遣いかせぎになります。すぐに報奨金が支払われるならすぐに換金してパーッと使いますね。」
どっちの立場も理解しているモア君ならではの意見だ。
なるほどなぁ、その方法で行こうか。
自分の最初の考えが絶対正しいわけではない。
論破されたからといってそれを恨んでもいけない。
俺の考えなんて所詮人より知恵が少し回るぐらいのものだ。
みんなで考えたほうが良い知恵が生まれる。
昔から言うじゃないか、三人寄れば文殊の知恵ってね。
6人もいるんだからその倍すごい知恵が出来ておかしくない。
「住民を代表する立場から言えば、後々換金する際の手間が少ない方が助かります。」
「確かに、最後の換金に一番時間がかかりそうだ。」
「参加者全員分を当日に終えるって可能なんスかね・・・。」
換金の手間か。
確かにそれもあるよなぁ。
最初は単純に売り上げからもらえば楽だって思ったけど実際はそうじゃないみたいだし。
ん、まてよ。
こうすればいいんじゃないか?
「ではこんなのはどうでしょうか。一般参加者からは最初に換金する際に寄付金をいただき、それ以外のギルドや商店からは売り上げに応じた寄付金をいただくんです。そうすれば一般参加者が最後に換金する際に寄付金を回収しなくて済むので手間が減りずっと楽になるでしょう。商店などは売り上げが多いので翌日にすれば換金の負担を分散できます。ギルドなどは管理がしっかりしているので盗難などの心配はなく、かついくら換金したかも把握しやすいですよ。」
「一般参加者だけなら当日に終わらせることはできそうだ。」
「ですが企業側も最初におつりを準備するときに寄付金を徴収されますから二重取りになりませんか?」
「おつりはこちらで用意すればいいんです。最後に用意した分を回収し、残りの売上金から寄付金を徴収すれば二重取りを防ぐことができます。」
「それはいいかもしれません、さすがイナバ様良い案をお考えになります。」
寄付金はできるだけ多く回収したいところだ。
そう言う意味では一般参加者よりも各商店などからもらうほうがたくさん回収できる。
「こっちも大量のおつりを準備する手間が少なくなれば喜ばれるっスね。」
「元々売り上げの一割を寄付してもらうという話でしたし納得してもらえるんじゃないですか。」
「住民からすれば売れば売るだけお金が増えるのは喜ばれます。その分たくさん使いたくなるでしょう。」
「お金を使えば結果として寄付金は増えるわけか。さすがという所だな。」
皆も賛同してくれるようだ。
よかった。
俺一人じゃここまでの案は思いつかなかっただろう。
さすが6人寄ればってやつだな。
「お金も大変ですが売れ残った物の管理も大変ですよ。特に貴族様から頂いた物は高価ですから扱いに困ります。」
「冒険者へ報酬も大変です。一度ギルドを通すのか直接支払うのかでも変わりますから。」
あー、知恵だけじゃなくて問題がいっぱい出てきた。
しかも一人では思いつかなかったものばかりだ。
これからも問題は山のように出て来る。
本当に大丈夫なのだろうかと心配になるぐらいだ。
でもまだまだ初日だ。
ここから詰めていけばいい。
大丈夫なんとかなるさ。
俺は頼りになる仲間に感謝しつつ、次の問題に知恵を絞り出すのだった。
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