206 / 519
第七・五章
トラブルをどう処理するかが腕の見せ所
しおりを挟む
今日もすがすがしい朝を迎えた。
昨日一昨日と違い朝日が昇る前に行く必要はないので少しゆっくりできた。
それでも日の出とともに起床しているんだから元の世界にいた約半年前からするとものすごい健康的だよな。
平日でも極力長く布団の中に籠っていたのに、今は朝日が出た瞬間に起床して準備を始める。
正しい人間の生活という奴だ。
朝は陽が登ってから、夜は陽が沈むまで。
多少夜更かしはするけれど、昔で言う10時ごろにはもう寝ている気がする。
早寝早起き。
うむ、良い事です。
「御主人様そろそろ冒険者の皆さんがやってまいります。」
「ありがとうユーリ、それじゃあこっちも準備を始めますか。」
「最初は森を使って、昼食の後はダンジョンでしたね。」
「今日も天気がよさそうですから、日中は陽の当たらないところが良いでしょう。冒険者の為にも私達の為にも。」
「ご主人様は太陽に弱いですのでそれがよろしいかと思います。」
誰だもやしって言ったやつは!
ちょっと熱中症になっただけだっての!
昨日はちゃんと炎天下でも倒れずやっていけいけました!
「御主人様はいったい誰に怒っているんですか?」
「それは言わないお約束です。」
「はぁ・・・。」
とりあえず今は予選に集中だ。
今日の成績次第で明日の決勝に残る冒険者が決まる。
それだけに冒険者のやる気も半端ない。
朝からみんな元気に準備していた。
さすがだなぁ。
「ダンジョンは昨日話した通りになってますね?」
「はい、罠の準備完了しております。」
「各階同じ感じですか?」
「若干の誤差はありますができるだけ同じように仕上げてあります。どうしても通路の配置上無理な部分がありますので、そのあたりはお許しください。」
「多少の誤差は許容範囲ですからそれで十分です。昨日の今日なのに無理を言いましたね。」
初日の結果発表の後、冒険者に捕まった俺が家に戻ったのは夜も更けたころだった。
その間にユーリは一人ダンジョンの整備を行ってくれていた。
配置などすべて決まっていたとはいえ申し訳ない。
「むしろこれだけの冒険者が来てくれたおかげで魔力のたまりが良く、ダンジョンとしては非常にいい状態と言えるでしょう。」
「うまくいけばどこまで作れそうですか?」
「今日一日の溜まり方次第ですがうまくいけば15階層も目じゃないかと。」
それはすごい。
一年かけて達成しなければならないノルマがあっという間に終わりそうじゃないか。
もっとも、急に大きくするとそれを維持するのが大変になるので少しずつ大きくすることにはなると思う。
何事も急いては事を仕損じるってね。
「そのあたりは催しが終わってからという事で。」
「そうですね。」
「ではウェリス達によろしく伝えてください。」
「畏まりました。」
ユーリにはダンジョンの整備の他スタッフとの連絡係をお願いしている。
今日の一発目は森を使った障害物競走だ。
ウェリス達は今頃その準備で森の中を走り回っている事だろう。
ご苦労様です。
「シュウイチさん準備できましたか?」
「いつでも大丈夫です。エミリアの方はどうですか?」
「今日はプロンプト様がおられませんので私の方は問題ありません。お手伝いできることがあれば何でもおっしゃってください。」
「それじゃ回収した得点棒を金庫から持ってきてもらいましょうか。」
「ニッカ様のお家でしたね。」
「お願いします。」
回収した得点棒は安全の為保管しているが、予選の最中は自己責任だ。
ふと前を気の早い冒険者はもう広場に集まってきている。
早くない?
まぁ後はシルビア様と警備の最終確認をして・・・。
「シュウイチちょっといいか?」
「シルビアどうかしましたか?」
「ちょっと面倒なことになった。」
「面倒?」
あまり面倒な事は勘弁してほしいんですが・・・。
いったいなんだろう。
「冒険者と騎士団員の間で小競り合いが起きてしまった。現在はお互いに落ち着いてはいるがこのままでは競技に支障が出かねない。」
「原因は何ですか?」
「睨んだ睨んでないなどの些細な事なんだが、はずかしい事に冒険者と騎士団員の仲は決して良いとは言えないのだ。」
なるほどねぇ。
どうせ『お前俺の事睨んだだろ。』『睨んでねぇよ』『嘘つけ、笑っただろうが!』的な感じだろ?
中学生かよ。
いい年した大人が何やってんだか・・・。
「わかりました、落ち着いているのであればそのまま競技に入ります。ですがこのままでは何かと不便ですから別に策を講じる必要がありますね。」
「問題を起こした騎士団員を街に戻す手もあるぞ。」
「それはよくないでしょう。街に戻したところで今度は街で問題を起こす火種になってしまいます。ここで起きた問題はここで解決するのが一番です。」
「なにかいい案があるのか?」
「一応なくはないですね。」
思わず出てしまったこの言葉。
気になった人は調べてみてくれ。
「さすがシュウイチと言ったところか。」
「シルビアにそう言われるとくすぐったいですね。それで問題を起こした団員は何人ですか?」
「三人だ。」
「ちょうどいいですね。」
「と、いうと?」
「・・・せっかくですので問題を起こした彼らにも今から行う予選に参加してもらいましょう。」
「予選に参加するだと?」
キョトンとした顔をするシルビア様。
朝が弱くて寝ぼけた顔も可愛いですがこんなとぼけた顔もなかなかレアですね。
仕事モードの時は凛々しいのでこのギャップがたまりません。
え、意味が分からない?
考えるな感じろ。
「今回の問題はお互いに見下したりけなしたりする身分の差が原因でしょうから、一度同じ土俵に立ってお互いの実力を見つめ直せばいいんです。」
「だが予選中に問題を起こしたりしないか?」
「問題を起こせばその場で失格です。せっかくここまで来たのに予選を棒に振ることはないでしょう。」
「確かに言われればそうだが・・・。」
「まぁ騙されたと思って任せてください。騎士団員の方々には参加するようにと指示をお願いします。」
「装備は必要か?」
「武器はいりませんし、鎧が重いようでしたら外してもらって構いません。彼らには特別な役をやってもらいますから。」
「わかった伝えてこよう。」
シルビア様が駐屯地の方へ向かう。
やれやれ物事はすんなりいかないなぁ。
「イナバ様お話は終わりましたか?」
声をかけられて後ろを振り向くとそこにはニケさんとティナさんがいた。
「すみませんもう大丈夫です。」
「何か問題ですか?」
「もしかして冒険者と騎士団員のいざこざの件でしょうか・・・。」
「ティナさんのお察しの通りです。ですがご安心を、何とかします。」
「うちの冒険者がご迷惑をおかけします。」
「ティナさんが謝る必要なんてないですよ、むしろこれだけの冒険者を統率していただいて感謝のしようがありません。」
「そう言っていただけると肩の荷が少しおります。」
150人もの冒険者を統率するんだ。
その中にはさっきのような子供のような大人もいる。
気苦労は絶えないだろう。
子供を統率するのは大変だが、こういった大人を統率するのもまた大変なのだ。
「イナバ様はもう何とかする方法を考えられたのですか?」
「これぐらいの問題で躓いているわけにはいきませんからね。」
「さすがです。」
「ニケさんには競技開始後ティナさんと共に偶数側をお任せします。規範は昨日話した通りですが大丈夫ですか?」
「そんなに難しい事ではありませんので大丈夫です。」
午前の部は今までと少し趣向が違う。
この二人なら問題なくこなしてくれるだろう。
「一応冒険者への規範説明の時に復習しておいてください。」
「わかりました。」
「あの、気になっていたのですが今回の予選内容は全てイナバ様が考えられたのですか?」
「草案は私ですが、こまごまとした部分は他のみんなにも手伝ってもらいました。やはり自分一人では考えが偏ってしまいますからね。」
「それでもこれだけの事を考えつくなんて、すごいですね。」
「昔から遊ぶことばかり考えてきた不真面目な人間ですので。」
どうやったらこの遊びは面白くなるか。
ルールを厳しくしたり、趣向を変えてみたり。
子供の時から遊びを工夫するのは得意だった。
それはゲームでも同じことだ。
どうすればより楽しめるか。
縛りプレイやトリックな攻略方法など、ただクリアする以外のやり方でゲームを楽しんできた。
遊び方は千差万別。
今はテンプレが出来過ぎてしまい、攻略サイトを見てみんな同じようにゲームを進めてしまうが、やはり自分で考えてクリアできた時の喜びは答えを知ってクリアするよりも何倍も差がある。
懐古厨と呼ばれるかもしれないが、攻略サイトがない時代のゲームは楽しかったように思える。
まぁ今でも調べずにやれば済む話なんだけどね。
「おっと、冒険者の皆さんが集まってきましたね。」
「皆さん早いですね。」
「それだけ今日の予選を楽しみにしているんです。冒険者がこんなにも生き生きしている所を見るのはギルド長として嬉しい限りですよ。」
「我が商店の大切なお客様ですから、しっかり楽しんでもらわないと。」
「本当ですね。」
ここにいる一人一人が俺の商店を盛り上げてくれる大切なお客様だ。
そういう意味ではこの催しは彼らへの接待なのかもしれない。
しっかり接待させてもらおうかな。
その後戻ってきたエミリアと共に軽く打ち合わせを済ませて予選二日目に挑む。
広場を埋め尽くす冒険者。
そろそろ全員集まっただろうか。
昨日同様ここに居ない人間の事は気にしないことにする。
みんないい年した大人だ。
それぐらいわかっているだろう。
時間前集合時間前行動。
中学校で口酸っぱく言われたっけ。
「みなさんおはようございます、よくお休みになれましたか?」
「「「「はい!」」」」
うむ、元気があって大変よろしい。
「今日で予選二日目です。明日の決勝に残るために今日の結果が重要になってくるでしょう。昨日同様今日も二種類の予選を行います。今から行うのは皆さんの周りに広がっている森を使った予選。休憩をはさみ午後からは再びダンジョンを利用した予選となります。どちらも技量、知識、経験、勇気、度胸など冒険者として必要なすべてが求められますので頑張ってください。」
冒険者は一つの事が出来ればいいという者ではない。
色々な技能を持って初めて一流の冒険者と言えるだろう。
と、誰かが言っていた気がする。
「まずは今から昨日預かった得点棒をお返しします。お渡しした魔封の鍵と番号札をもって番号順にお越しください。」
まずは預かっていたものを返さないとな。
冒険者に得点棒を返しつつ予選で使う道具を一緒に渡す。
今回使うのは冒険に渡してある番号札。
それともう一つ。
取りに来た冒険者から順に箱の中に手を入れてもらい、封筒を一枚取ってもらう。
魔封を解除した冒険者が一緒に渡された封筒を不思議そうな目で見ていた。
「全員受け取られたでしょうか、では最初の予選について説明します。」
俺の手には冒険者に渡した封筒と同じ物が握られている。
彼等の前でそれを開けると中には一枚の紙と長い紐が三本入っていた。
これが今回の予選に重要なのだ。
「これから行う予選は番号札の奇数と偶数に分かれて行います。まず偶数の冒険者が先に森に入り、半刻してから奇数の冒険者が森に入ります。開始地点に着きましたら各自自分の腰に先ほど渡した紐を装着してください。どのような止め方でも結構ですが、外れないようにだけお願いします。」
紐を一本取り出し、腰の部分に適当に止める。
「開始の合図が鳴りましたら中に入っている紙を確認してください。中には今回の予選を行うに重要な助言がかかれています。皆さんはそれを読み解きながら森の中に隠された目的の物を探し出し、制限時間内に偶数の方は奇数の、奇数の方は偶数の監督官の元に持って来てください。ちなみに偶数側の監督官はティナギルド長とシュリアン商店のニケ、奇数側の監督官は私とエミリアが行ないます。」
名前を呼ばれた三人が綺麗に手を上げる。
今回はRPGでおなじみの謎解き問題だ。
紙にかかれたヒントを元に自分達の目標を探し出し、ゴールまで持っていく。
だがそれだけでは何の面白みもないよね。
「森の中には数々の障害物がありますのでそれを乗り越えながら探してもらうわけですが、ここで重要なのが腰にぶら下げてある紐です。この紐、引っ張っても大丈夫なつくりになっていますが実は非常に水に弱いのです。」
そういいながら腰にぶら下げた紐にエミリアが用意したコップの水をかける。
するとピンと張っていた紐がいとも簡単に千切れてしまった。
「「「「おぉぉぉぉ。」」」」
「皆さんのうち誰か一人でも紐が残っていれば監督官の所に物を持ってきた時間に応じて得点を差し上げます。」
「そんなの水にさえ気をつければいいだけじゃないのか?」
「そうだよな、水場さえ避ければいけるだろ。」
そうそう、そう思うのが普通だよね。
でもそれだけじゃないんだなぁ。
「そう思われるのももっともですが、実はそれだけではありません。森の中には騎士団から選ばれた選りすぐりの狩人が三人放たれています。彼等は大量の水を所持しており、皆さんの紐を狙ってくるでしょう。ここで重要なのは彼等もまたこの催しの参加者であり、奪った紐に応じて得点が加算され結果として上位になれば決勝に進んでくるということです。つまり、自分達の決勝への椅子が一つなくなってしまうというワケですね。」
「その狩人は撃退していいんですか?」
「こちらから攻撃を仕掛けることは許されません。彼等の気配を察知し、身を潜め、やり過ごしてください。強大な魔物から逃げる時のように自らの命である紐を守ってください。」
勘のいい人はもう気づいただろう。
そう、彼らはハンターだ。
スーツにサングラスを着けたあのハンターと同じなのだ。
「ただこの条件では冒険者の皆さんが非常に不利です。そこで、彼等には広範囲に音が聞こえる特製の鈴を身に着けてもらいます。それがきこえれば各自の判断で逃げてください。もちろん逃げない選択肢もあります。彼等は皆さんが何を探しているか知らされていないただ紐を狙うだけの狩人なんです。」
「探し物は三種類用意されており、難易度に応じて得点が違います。一度監督官に提出すると再び森に戻る事は出来ません。危険を承知で全て集めるか、高難易度の物を手に入れて脱出するか。皆さんの腕次第というワケですね。他に質問はありませんか?」
ザワザワと冒険者が落ち着かない。
それもそうだろう、決勝に行く為には危険を冒す必要がある。
だが失敗すれば全て水の泡だ。
どういう作戦で行くのか、必死頭を巡らせているはずだ。
「・・・無さそうですので競技説明は終わります。一刻後再びここに集まった後現地へ向かいますので、それまではどうぞ御自由に作戦を立ててください。但し、封筒を開けることは禁じます。よろしいですね?では解散してください。」
本当は昔なつかしの150人かくれんぼとかしたかったんだけど、時間はかかるし面倒だしで大変そうなので辞めた。
でもいずれは賑やかしという事でまた別の催しとしてやってみたいとも思っている。
冒険者vs俺。
最後まで残るのは誰だ!見たいな感じで。
冒険者が広場を出て行くのを見送っていると正面からシルビア様がやってきた。
その後ろには騎士団員がついてきている。
1、2、3人・・・という事は彼等が今回のダークホースだな。
「ちょうど終わったようだな。」
「冒険者への説明は無事に終了しました。それで、後ろにおられるのが・・・。」
「そうだ、今回騒動を起こした連中だ。」
「こ、この度は申し訳御座いませんでした!」
「「申し訳御座いませんでした!」」
バッとシルビア様の後ろから出てきたかと思うと目にも止まらぬ速さで頭を下げる。
よかった、土下座とかされないで。
「シュウイチの言うとおり予選への参加を承諾させているが、この後はどうすればいい?」
「では三人には今回の役割について説明します、そんなに構えなくても結構です気楽にしてください。」
「だ、そうだ。私の口からはもう何も言わん、自分達の責任を十分に果たして来い。」
「「「ありがとうございます!」」」
「他の隊員にも話しをせねばならんのだが、後は任せていいか?」
「お任せください。」
そうだよな、この三人を締めるだけじゃ意味ないんだよな。
規律の乱れは心の乱れ。
これ以上のほころびが出る前にしっかりと修正しなければならない。
騎士団というのは非常に厳しい所なのだ。
たぶん。
シルビア様を見送り、硬い表情の隊員の方を見る。
まだ20代前半ぐらいの若い隊員のようだ。
なるほど、血気盛んな年頃というわけか。
俺にもそんな時代が・・・なかったわ。
だってひたすらゲームしてたし。
仕事行ってゲームして仕事行ってゲームして仕事行ってゲームして・・・以下略
「では、皆さんには非常に重要な役割をお願いします、この役目があるのとないのとでは予選の結果が大きく変わってしまいますので、それをしっかりと理解したうえで聞いてください。」
「「「はい!」」」
思ってもいないところで手駒が揃った。
本当は俺が森に入るという選択肢もあったんだけど、彼らの方がふさわしい。
あとは冒険者の皆さんに頑張ってもらうだけだな。
予選二日目。
頑張っていきましょうかね!
昨日一昨日と違い朝日が昇る前に行く必要はないので少しゆっくりできた。
それでも日の出とともに起床しているんだから元の世界にいた約半年前からするとものすごい健康的だよな。
平日でも極力長く布団の中に籠っていたのに、今は朝日が出た瞬間に起床して準備を始める。
正しい人間の生活という奴だ。
朝は陽が登ってから、夜は陽が沈むまで。
多少夜更かしはするけれど、昔で言う10時ごろにはもう寝ている気がする。
早寝早起き。
うむ、良い事です。
「御主人様そろそろ冒険者の皆さんがやってまいります。」
「ありがとうユーリ、それじゃあこっちも準備を始めますか。」
「最初は森を使って、昼食の後はダンジョンでしたね。」
「今日も天気がよさそうですから、日中は陽の当たらないところが良いでしょう。冒険者の為にも私達の為にも。」
「ご主人様は太陽に弱いですのでそれがよろしいかと思います。」
誰だもやしって言ったやつは!
ちょっと熱中症になっただけだっての!
昨日はちゃんと炎天下でも倒れずやっていけいけました!
「御主人様はいったい誰に怒っているんですか?」
「それは言わないお約束です。」
「はぁ・・・。」
とりあえず今は予選に集中だ。
今日の成績次第で明日の決勝に残る冒険者が決まる。
それだけに冒険者のやる気も半端ない。
朝からみんな元気に準備していた。
さすがだなぁ。
「ダンジョンは昨日話した通りになってますね?」
「はい、罠の準備完了しております。」
「各階同じ感じですか?」
「若干の誤差はありますができるだけ同じように仕上げてあります。どうしても通路の配置上無理な部分がありますので、そのあたりはお許しください。」
「多少の誤差は許容範囲ですからそれで十分です。昨日の今日なのに無理を言いましたね。」
初日の結果発表の後、冒険者に捕まった俺が家に戻ったのは夜も更けたころだった。
その間にユーリは一人ダンジョンの整備を行ってくれていた。
配置などすべて決まっていたとはいえ申し訳ない。
「むしろこれだけの冒険者が来てくれたおかげで魔力のたまりが良く、ダンジョンとしては非常にいい状態と言えるでしょう。」
「うまくいけばどこまで作れそうですか?」
「今日一日の溜まり方次第ですがうまくいけば15階層も目じゃないかと。」
それはすごい。
一年かけて達成しなければならないノルマがあっという間に終わりそうじゃないか。
もっとも、急に大きくするとそれを維持するのが大変になるので少しずつ大きくすることにはなると思う。
何事も急いては事を仕損じるってね。
「そのあたりは催しが終わってからという事で。」
「そうですね。」
「ではウェリス達によろしく伝えてください。」
「畏まりました。」
ユーリにはダンジョンの整備の他スタッフとの連絡係をお願いしている。
今日の一発目は森を使った障害物競走だ。
ウェリス達は今頃その準備で森の中を走り回っている事だろう。
ご苦労様です。
「シュウイチさん準備できましたか?」
「いつでも大丈夫です。エミリアの方はどうですか?」
「今日はプロンプト様がおられませんので私の方は問題ありません。お手伝いできることがあれば何でもおっしゃってください。」
「それじゃ回収した得点棒を金庫から持ってきてもらいましょうか。」
「ニッカ様のお家でしたね。」
「お願いします。」
回収した得点棒は安全の為保管しているが、予選の最中は自己責任だ。
ふと前を気の早い冒険者はもう広場に集まってきている。
早くない?
まぁ後はシルビア様と警備の最終確認をして・・・。
「シュウイチちょっといいか?」
「シルビアどうかしましたか?」
「ちょっと面倒なことになった。」
「面倒?」
あまり面倒な事は勘弁してほしいんですが・・・。
いったいなんだろう。
「冒険者と騎士団員の間で小競り合いが起きてしまった。現在はお互いに落ち着いてはいるがこのままでは競技に支障が出かねない。」
「原因は何ですか?」
「睨んだ睨んでないなどの些細な事なんだが、はずかしい事に冒険者と騎士団員の仲は決して良いとは言えないのだ。」
なるほどねぇ。
どうせ『お前俺の事睨んだだろ。』『睨んでねぇよ』『嘘つけ、笑っただろうが!』的な感じだろ?
中学生かよ。
いい年した大人が何やってんだか・・・。
「わかりました、落ち着いているのであればそのまま競技に入ります。ですがこのままでは何かと不便ですから別に策を講じる必要がありますね。」
「問題を起こした騎士団員を街に戻す手もあるぞ。」
「それはよくないでしょう。街に戻したところで今度は街で問題を起こす火種になってしまいます。ここで起きた問題はここで解決するのが一番です。」
「なにかいい案があるのか?」
「一応なくはないですね。」
思わず出てしまったこの言葉。
気になった人は調べてみてくれ。
「さすがシュウイチと言ったところか。」
「シルビアにそう言われるとくすぐったいですね。それで問題を起こした団員は何人ですか?」
「三人だ。」
「ちょうどいいですね。」
「と、いうと?」
「・・・せっかくですので問題を起こした彼らにも今から行う予選に参加してもらいましょう。」
「予選に参加するだと?」
キョトンとした顔をするシルビア様。
朝が弱くて寝ぼけた顔も可愛いですがこんなとぼけた顔もなかなかレアですね。
仕事モードの時は凛々しいのでこのギャップがたまりません。
え、意味が分からない?
考えるな感じろ。
「今回の問題はお互いに見下したりけなしたりする身分の差が原因でしょうから、一度同じ土俵に立ってお互いの実力を見つめ直せばいいんです。」
「だが予選中に問題を起こしたりしないか?」
「問題を起こせばその場で失格です。せっかくここまで来たのに予選を棒に振ることはないでしょう。」
「確かに言われればそうだが・・・。」
「まぁ騙されたと思って任せてください。騎士団員の方々には参加するようにと指示をお願いします。」
「装備は必要か?」
「武器はいりませんし、鎧が重いようでしたら外してもらって構いません。彼らには特別な役をやってもらいますから。」
「わかった伝えてこよう。」
シルビア様が駐屯地の方へ向かう。
やれやれ物事はすんなりいかないなぁ。
「イナバ様お話は終わりましたか?」
声をかけられて後ろを振り向くとそこにはニケさんとティナさんがいた。
「すみませんもう大丈夫です。」
「何か問題ですか?」
「もしかして冒険者と騎士団員のいざこざの件でしょうか・・・。」
「ティナさんのお察しの通りです。ですがご安心を、何とかします。」
「うちの冒険者がご迷惑をおかけします。」
「ティナさんが謝る必要なんてないですよ、むしろこれだけの冒険者を統率していただいて感謝のしようがありません。」
「そう言っていただけると肩の荷が少しおります。」
150人もの冒険者を統率するんだ。
その中にはさっきのような子供のような大人もいる。
気苦労は絶えないだろう。
子供を統率するのは大変だが、こういった大人を統率するのもまた大変なのだ。
「イナバ様はもう何とかする方法を考えられたのですか?」
「これぐらいの問題で躓いているわけにはいきませんからね。」
「さすがです。」
「ニケさんには競技開始後ティナさんと共に偶数側をお任せします。規範は昨日話した通りですが大丈夫ですか?」
「そんなに難しい事ではありませんので大丈夫です。」
午前の部は今までと少し趣向が違う。
この二人なら問題なくこなしてくれるだろう。
「一応冒険者への規範説明の時に復習しておいてください。」
「わかりました。」
「あの、気になっていたのですが今回の予選内容は全てイナバ様が考えられたのですか?」
「草案は私ですが、こまごまとした部分は他のみんなにも手伝ってもらいました。やはり自分一人では考えが偏ってしまいますからね。」
「それでもこれだけの事を考えつくなんて、すごいですね。」
「昔から遊ぶことばかり考えてきた不真面目な人間ですので。」
どうやったらこの遊びは面白くなるか。
ルールを厳しくしたり、趣向を変えてみたり。
子供の時から遊びを工夫するのは得意だった。
それはゲームでも同じことだ。
どうすればより楽しめるか。
縛りプレイやトリックな攻略方法など、ただクリアする以外のやり方でゲームを楽しんできた。
遊び方は千差万別。
今はテンプレが出来過ぎてしまい、攻略サイトを見てみんな同じようにゲームを進めてしまうが、やはり自分で考えてクリアできた時の喜びは答えを知ってクリアするよりも何倍も差がある。
懐古厨と呼ばれるかもしれないが、攻略サイトがない時代のゲームは楽しかったように思える。
まぁ今でも調べずにやれば済む話なんだけどね。
「おっと、冒険者の皆さんが集まってきましたね。」
「皆さん早いですね。」
「それだけ今日の予選を楽しみにしているんです。冒険者がこんなにも生き生きしている所を見るのはギルド長として嬉しい限りですよ。」
「我が商店の大切なお客様ですから、しっかり楽しんでもらわないと。」
「本当ですね。」
ここにいる一人一人が俺の商店を盛り上げてくれる大切なお客様だ。
そういう意味ではこの催しは彼らへの接待なのかもしれない。
しっかり接待させてもらおうかな。
その後戻ってきたエミリアと共に軽く打ち合わせを済ませて予選二日目に挑む。
広場を埋め尽くす冒険者。
そろそろ全員集まっただろうか。
昨日同様ここに居ない人間の事は気にしないことにする。
みんないい年した大人だ。
それぐらいわかっているだろう。
時間前集合時間前行動。
中学校で口酸っぱく言われたっけ。
「みなさんおはようございます、よくお休みになれましたか?」
「「「「はい!」」」」
うむ、元気があって大変よろしい。
「今日で予選二日目です。明日の決勝に残るために今日の結果が重要になってくるでしょう。昨日同様今日も二種類の予選を行います。今から行うのは皆さんの周りに広がっている森を使った予選。休憩をはさみ午後からは再びダンジョンを利用した予選となります。どちらも技量、知識、経験、勇気、度胸など冒険者として必要なすべてが求められますので頑張ってください。」
冒険者は一つの事が出来ればいいという者ではない。
色々な技能を持って初めて一流の冒険者と言えるだろう。
と、誰かが言っていた気がする。
「まずは今から昨日預かった得点棒をお返しします。お渡しした魔封の鍵と番号札をもって番号順にお越しください。」
まずは預かっていたものを返さないとな。
冒険者に得点棒を返しつつ予選で使う道具を一緒に渡す。
今回使うのは冒険に渡してある番号札。
それともう一つ。
取りに来た冒険者から順に箱の中に手を入れてもらい、封筒を一枚取ってもらう。
魔封を解除した冒険者が一緒に渡された封筒を不思議そうな目で見ていた。
「全員受け取られたでしょうか、では最初の予選について説明します。」
俺の手には冒険者に渡した封筒と同じ物が握られている。
彼等の前でそれを開けると中には一枚の紙と長い紐が三本入っていた。
これが今回の予選に重要なのだ。
「これから行う予選は番号札の奇数と偶数に分かれて行います。まず偶数の冒険者が先に森に入り、半刻してから奇数の冒険者が森に入ります。開始地点に着きましたら各自自分の腰に先ほど渡した紐を装着してください。どのような止め方でも結構ですが、外れないようにだけお願いします。」
紐を一本取り出し、腰の部分に適当に止める。
「開始の合図が鳴りましたら中に入っている紙を確認してください。中には今回の予選を行うに重要な助言がかかれています。皆さんはそれを読み解きながら森の中に隠された目的の物を探し出し、制限時間内に偶数の方は奇数の、奇数の方は偶数の監督官の元に持って来てください。ちなみに偶数側の監督官はティナギルド長とシュリアン商店のニケ、奇数側の監督官は私とエミリアが行ないます。」
名前を呼ばれた三人が綺麗に手を上げる。
今回はRPGでおなじみの謎解き問題だ。
紙にかかれたヒントを元に自分達の目標を探し出し、ゴールまで持っていく。
だがそれだけでは何の面白みもないよね。
「森の中には数々の障害物がありますのでそれを乗り越えながら探してもらうわけですが、ここで重要なのが腰にぶら下げてある紐です。この紐、引っ張っても大丈夫なつくりになっていますが実は非常に水に弱いのです。」
そういいながら腰にぶら下げた紐にエミリアが用意したコップの水をかける。
するとピンと張っていた紐がいとも簡単に千切れてしまった。
「「「「おぉぉぉぉ。」」」」
「皆さんのうち誰か一人でも紐が残っていれば監督官の所に物を持ってきた時間に応じて得点を差し上げます。」
「そんなの水にさえ気をつければいいだけじゃないのか?」
「そうだよな、水場さえ避ければいけるだろ。」
そうそう、そう思うのが普通だよね。
でもそれだけじゃないんだなぁ。
「そう思われるのももっともですが、実はそれだけではありません。森の中には騎士団から選ばれた選りすぐりの狩人が三人放たれています。彼等は大量の水を所持しており、皆さんの紐を狙ってくるでしょう。ここで重要なのは彼等もまたこの催しの参加者であり、奪った紐に応じて得点が加算され結果として上位になれば決勝に進んでくるということです。つまり、自分達の決勝への椅子が一つなくなってしまうというワケですね。」
「その狩人は撃退していいんですか?」
「こちらから攻撃を仕掛けることは許されません。彼等の気配を察知し、身を潜め、やり過ごしてください。強大な魔物から逃げる時のように自らの命である紐を守ってください。」
勘のいい人はもう気づいただろう。
そう、彼らはハンターだ。
スーツにサングラスを着けたあのハンターと同じなのだ。
「ただこの条件では冒険者の皆さんが非常に不利です。そこで、彼等には広範囲に音が聞こえる特製の鈴を身に着けてもらいます。それがきこえれば各自の判断で逃げてください。もちろん逃げない選択肢もあります。彼等は皆さんが何を探しているか知らされていないただ紐を狙うだけの狩人なんです。」
「探し物は三種類用意されており、難易度に応じて得点が違います。一度監督官に提出すると再び森に戻る事は出来ません。危険を承知で全て集めるか、高難易度の物を手に入れて脱出するか。皆さんの腕次第というワケですね。他に質問はありませんか?」
ザワザワと冒険者が落ち着かない。
それもそうだろう、決勝に行く為には危険を冒す必要がある。
だが失敗すれば全て水の泡だ。
どういう作戦で行くのか、必死頭を巡らせているはずだ。
「・・・無さそうですので競技説明は終わります。一刻後再びここに集まった後現地へ向かいますので、それまではどうぞ御自由に作戦を立ててください。但し、封筒を開けることは禁じます。よろしいですね?では解散してください。」
本当は昔なつかしの150人かくれんぼとかしたかったんだけど、時間はかかるし面倒だしで大変そうなので辞めた。
でもいずれは賑やかしという事でまた別の催しとしてやってみたいとも思っている。
冒険者vs俺。
最後まで残るのは誰だ!見たいな感じで。
冒険者が広場を出て行くのを見送っていると正面からシルビア様がやってきた。
その後ろには騎士団員がついてきている。
1、2、3人・・・という事は彼等が今回のダークホースだな。
「ちょうど終わったようだな。」
「冒険者への説明は無事に終了しました。それで、後ろにおられるのが・・・。」
「そうだ、今回騒動を起こした連中だ。」
「こ、この度は申し訳御座いませんでした!」
「「申し訳御座いませんでした!」」
バッとシルビア様の後ろから出てきたかと思うと目にも止まらぬ速さで頭を下げる。
よかった、土下座とかされないで。
「シュウイチの言うとおり予選への参加を承諾させているが、この後はどうすればいい?」
「では三人には今回の役割について説明します、そんなに構えなくても結構です気楽にしてください。」
「だ、そうだ。私の口からはもう何も言わん、自分達の責任を十分に果たして来い。」
「「「ありがとうございます!」」」
「他の隊員にも話しをせねばならんのだが、後は任せていいか?」
「お任せください。」
そうだよな、この三人を締めるだけじゃ意味ないんだよな。
規律の乱れは心の乱れ。
これ以上のほころびが出る前にしっかりと修正しなければならない。
騎士団というのは非常に厳しい所なのだ。
たぶん。
シルビア様を見送り、硬い表情の隊員の方を見る。
まだ20代前半ぐらいの若い隊員のようだ。
なるほど、血気盛んな年頃というわけか。
俺にもそんな時代が・・・なかったわ。
だってひたすらゲームしてたし。
仕事行ってゲームして仕事行ってゲームして仕事行ってゲームして・・・以下略
「では、皆さんには非常に重要な役割をお願いします、この役目があるのとないのとでは予選の結果が大きく変わってしまいますので、それをしっかりと理解したうえで聞いてください。」
「「「はい!」」」
思ってもいないところで手駒が揃った。
本当は俺が森に入るという選択肢もあったんだけど、彼らの方がふさわしい。
あとは冒険者の皆さんに頑張ってもらうだけだな。
予選二日目。
頑張っていきましょうかね!
11
お気に入りに追加
202
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す
エルリア
ファンタジー
【祝!第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞!】
転売屋(テンバイヤー)が異世界に飛ばされたらチートスキルを手にしていた!
元の世界では疎まれていても、こっちの世界なら問題なし。
相場スキルを駆使して目指せ夢のマイショップ!
ふとしたことで異世界に飛ばされた中年が、青年となってお金儲けに走ります。
お金は全てを解決する、それはどの世界においても同じ事。
金金金の主人公が、授かった相場スキルで私利私欲の為に稼ぎまくります。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる