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第九章
タヌキと狐の化かし合い
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作戦準備は着々と進んでいる。
昨日入った連絡では博士の作る特別仕様の馬車が無事に改造を終えたそうだ。
見た目は普通の馬車、中身は特殊走行戦車。
騎士団からは是非今の馬車も改造して欲しいとの声が上がっている。
融合結晶を使った結界は今回限りだが、通常の魔石をつかった結界には流用できるそうなので今後は共同開発という感じで手を結ぶそうだ。
思わぬところで思わぬものが出来るものだな。
技術が一番進歩するのは皮肉にも戦争だと言うし、今回もそれに近いと言えるだろう。
まぁ、その辺は偉い人に任せるとしよう。
幸いこの世界では戦争は起きていないようだから、主に対魔物用に使われるそうだ。
「シュウイチさん準備できました。」
「では行きましょうか。」
「戸締りは問題ありません、ダンジョンにも結界を施しております。」
「でも良いんですか?明日はまだ冒険者の方が来る可能性がありますけど・・・。」
「サンサトローズの冒険者ギルドに所属する冒険者は全員作戦に参加するそうですから大丈夫でしょう。一応村を経由してダンジョンに向う冒険者には声をかけて貰えるようにウェリス達にはお願いしてあります。」
「でしたら大丈夫ですね。」
今日は秋の節草期、二回目の聖日だ。
つまり作戦予定日の前日という事になる。
聖日は元々ダンジョンを閉鎖しているのだが、明日は一応ダンジョンを利用できる日になっている。
だが、今回は作戦に冒険者が借り出されるので客が来そうにない。
よって陰日が終わるまで閉鎖することにした。
所属しない冒険者もいるだろうけど数は限られているし、なにより作戦決行日に俺がいないなんて事はありえない。
と言う事で今日から少しばかり休暇だ。
え、前の期にたらふく休んでまた休むのかって?
だって仕方ないじゃないか。
面倒な事に巻き込まれたんだから。
「イナバ様お迎えに上がりました!」
「今日も宜しくお願いします。」
「お任せ下さい!」
俺達を迎えに来てくれたのはルーファ団員。
先日サンサトローズまで俺を護送し、その後も終日護衛として付き合ってくれた騎士団員だ。
数少ないレティシャ王女の居場所を知る人物になるので、騎士団員ながらシルビア様にも秘密にするようにと無理を言っている。
理由は深く聞かないが、『作戦成功の為に必要であれば御命令に従います!』と言ってくれている。
実は彼もストリさんと同じく敵じゃないのかと疑ったのだが、調べてみるも疑わしい部分が一切なかった。
今のところ俺達の味方ということになる。
もっとも、本当の作戦はバラしていないので仮に敵だとしてもストリさんに知られるのは俺がレティシャ王女の居場所を知っているという事だけだ。
あれからストリさんが王女の所に行った様子は無い。
念の為にルーファ団員に監視をつけていたのだが、接触した様子も無いので恐らくは大丈夫だろう。
全員乗り込みサンサトローズへと出発する。
「作戦の進行状況はどうですか?」
「今の所滞りなく進んでおります。通過予定地点を精査し、疑わしい狙撃場所には本日より冒険者を待機させてあります。特に目的の奴隷商人の店には多めに冒険者を配置予定、地上と屋外両方より警戒します。今の所サンサトローズ内で怪しい人物は見当たりません。」
「問題は無さそうですね。」
「騎士団冒険者ギルド共に準備は万全です。どのような相手が来ても迎撃できるでしょう。」
「頼もしい限りです。」
準備は問題なしっと。
味方を巻き込んでの作戦だからここまで万全に準備されると申し訳なくなってくるが、致し方ない。
これもストリさんの裏をかき、作戦を完全に成功させる為だ。
「レティシャ王女の方も動きは無いそうですね。」
「イナバ様の指示で監視をつけていますが特に怪しい人物は見当たりません。執事の彼が忙しそうに掃除をしているだけだそうです。」
「あはは、まだ替わりの人間は雇えてないようですね。」
「彼には申し訳ありませんが今はそのほうが好都合です。これが終わったら知り合いを紹介してあげますよ。」
「そうしてあげてください。」
あの広さを一人で掃除するのはかなりの重労働だ。
しかも王女のお世話をしながらになると更に大変だ。
俺の前では猫をかぶっていたようだが、中身は結構キツそうだし。
それも全部明日が片付いてからだな。
頑張れ少年執事。
「今日も到着後すぐに会議ですか?」
「作戦会議は夕方となっておりますのでそれまでは自由に過ごしていただいて結構です。」
「ということですので、昼の中休みの鐘までは自由にしてもらって良いですよ。」
「皆さん忙しそうにしているのに良いんでしょうか。」
「特にニケさんには明日頑張ってもらわないといけませんし、久々にゆっくり羽を伸ばしてきてください。」
「では遠慮なく、今のうちにいっぱい遊んでおきます。」
いや、特攻しに行くんじゃないんだから。
「何があってもご主人様がお守りいたします、ニケ様はどうぞ御安心下さい。」
「ユーリの言うとおりです、安心してください。」
「そうですよね、すみません変な事を言って。」
「シュウイチさんはどこか行かれますか?」
「んー、特には無いですね。色々と確認しておきたい所ですが、皆さんの邪魔になってもよくありませんし今日は時間までゆっくりしておきます。」
明日は作戦当日だ。
作戦会議もあるし今のうちに英気を養っておこう。
「そうですか・・・。」
「どうしました?」
「フェリス様の事が気になるので様子を伺いに行こうと思ったんですが・・・。」
「それでしたら一緒に行きましょうか?」
「いいんですか?」
「私も気になりますから。」
フェリス様からはあれから音沙汰がない。
リュカさんに聞いても不在だとしか返事をくれない状況だ。
魔術師ギルドの皆さんは世界樹に違和感がなければ無事だと分かっているので、特に気にしていないようだ。
ギルド長が不在なのに大丈夫なんだろうか。
「イナバ様、現在魔術師ギルドは封鎖されておりますので入場できません・・・。」
「え?」
「入れないんですか!?」
どういうこと?
「本日より世界樹の蟲払いが行なわれますので関係者以外立ち入り禁止となっております。ミド博士を含め作戦関係者はギルドから出ておりますので御安心下さい。」
「蟲払い、ですか?」
「世界樹につく蟲を特殊な薬草を焚いて追い払うんです。規模が規模ですし危険な魔物も出ますので被害が出ないようにその期間中は立ち入り禁止になるんです。でも、こんな急に行うなんて・・・。」
「じゃあフェリス様もそれで忙しいのかもしれませんね。」
「だと良いんですけど・・・。」
まぁ入れない以上仕方がない。
終わり次第無事を確認すれば良いだろう。
しかし、あの規模の樹で害虫駆除とかどんな虫が出て来るんだろうか。
想像したいようなしたくないような。
最近は害虫駆除の異世界人もいるらしいし、案外そう言う人がやっているかもしれないな。
しらんけど。
「ではリア奥様もニケ様と御一緒にいかがでしょうか。」
「ユーリはどこに行くんですか?」
「先日美味しい甘味のお店が市場に来ていると聞きましたので行ってみようと思います。」
「フワフワの食感が病みつきになると冒険者の間でも評判なんですよ!」
「行ってきたらどうですか?明日は忙しくなりますし、私の事は気にせず楽しんできてください。」
「でも・・・。」
「イナバ様は私が責任を持ってお守りいたします。」
いつも仕事ばかりだしたまには気晴らししないと。
雇用主として従業員の福利厚生の充実も立派な仕事です。
「こう言ってくださっていますし、安心してください。」
「シュウイチさんがそこまで言うのなら・・・。」
「ではリア奥様も一緒という事で。」
「時間はありますし、最初にネムリさんのお店に行くのはどうですか?新しい化粧品が入るとこの前仰ってましたよ。」
あ、エミリアの目が変わった。
やっぱり女性は化粧品に目が無い様だ。
良いじゃないか、女性だけでスイーツにショッピング?
女子会みたいだ。
「楽しんで来てください。」
そして俺はあの地獄の買い物に付き合わなくて済むという事だ。
やれやれ。
「大事な作戦前だというのに皆様まったく緊張されないのですね。」
「そんなことありませんよ、成功するかどうかずっと不安です。」
「ですがイナバ様の奥様方はそうでもないようですが・・・。」
「今緊張しても致し方ありません。それに、ご主人様の作戦でしたら失敗することなどありません。」
「ユーリ様の言う通りです。イナバ様は必ず作戦を成功させます。」
「私はともかく周りはこの調子なんです。」
「シルビア様も同じような感じです。騎士団長だからだと思っていたのですが、イナバ様のおかげだったのですね。」
俺のおかげなのか?
まったく、本人の気も知らないで困ったものだ。
「シュウイチさんが失敗したことありませんもんね。」
「そんなことありませんよ、何度か提案を棄却されていますし・・・。」
「でも最後にはしっかりと成功させるじゃありませんか。」
私。失敗しませんから。
とか言えば格好がつくんだろうけど残念ながらそんなポジティブさはない。
恒に失敗を恐れるチキンハートの持ち主だ。
だからこそ失敗しないようにあれこれ策を巡らせているわけだけど・・・。
まぁそれでみんなが自信を持ってくれるならいいか。
「まぁ、こういう感じなんです。余裕があれば些細な変化にも気づけますし、突然の事にもうまく対応出来たりします。緊張しすぎるよりも少し余裕があるほうが後々上手くいくんです、騎士団でもそんなことありませんか?」
「確かに、緊張していた新兵の時よりも今の方が安定して訓練にも取り組めますね。」
「気を抜けているのと余裕があるのは違います。余裕があるからこそ臨機応変に難しい事にも対応できるんだと思いますよ。」
「イナバ様はまるで軍師のようですね。」
「いえいえ、私はただの商人ですよ。荒事は皆さんにお任せ致します。」
「上がしっかりしている時ほど下は安心して戦えます。なるほど、今回の作戦に死角はなさそうです。」
何だかこっちはこっちでやる気に満ち溢れてきてしまったぞ。
どうしてこうなってしまったんだろうか。
まいったなぁ。
サンサトローズへ到着後、エミリア達とは中央の噴水付近で別れ俺は白鷺亭でくつろいでいた。
作戦開始はいよいよ明日。
今日の会議は作戦前の最終確認だけだ。
今更準備することは何もない。
俺達はただ作戦通りに動けばいいだけだ。
そうすれば犯人が必ず動き出す。
その裏をかき犯人を捕まえる。
実行犯が別にいたとしても犯人同様捕まえればいいだけの話だ。
この作戦に死角はない。
大丈夫だ問題ない。
って、あれ?
このセリフの元ネタは大爆死したんだっけ?
いかんいかんそんな不謹慎な事思い出すんじゃない。
俺は慌てて首を振って邪念を飛ばす。
今はまだお昼過ぎ、作戦会議まではまだ時間あるし俺もちょっとぶらぶらしてこようかな。
そうと決まれば即行動だ。
俺は転がっていたベッドから飛び起きるといつもの部屋を出て一階へと向かう。
今日は何を食べようかな。
エミリア達は噂のお店だけど、俺はどっちかっていうとB級的な奴の方が好きなんだよね。
そういう時は、支配人に聞けば間違いない。
えーっと、どこにいるのかなっと・・・。
「おや、イナバ様ではありませんか!」
一階に降りて支配人を探してキョロキョロしていると突然後ろから声をかけられた。
聞き覚えのある声に慌てて後ろを振り返る。
そこには、今一番会いたくない人物が満面の笑みを浮かべて立っていた。
「これはストリさん、こんなところで会うなんて奇遇ですね。」
「騎士団でイナバ様が来られたことを聞きましてな、挨拶だけでもと思い来た次第です。」
「この後の作戦会議でも構いませんのに、わざわざありがとうございます。」
「確かにそうですな、明日が作戦当日なものですからつい気が急いてしまったのかもしれませぬ。いやいや、年は取りたくないモノですなぁ。」
「まだまだテナンさんに比べると若いじゃありませんか。」
俺がここに居ると騎士団で聞いた?
本当だろうか。
わざわざ騎士団に言って俺がついたことを聞いて飛んできた?
どうせ内通者から情報を貰って来たんじゃないのか?
そう疑いの目を向けたくなるのを笑顔でぐっとこらえた。
「そうでした。イナバ様、このあと少しお時間ありますかな?」
「今からですか?」
「えぇ、作戦前にお嬢様に会う時間が作れそうなのです。先日挨拶をしたいと仰っていただいた事をお嬢様にお伝えした所、是非一度お会いしたいと申されておるのです。」
おいおい、このタイミングでレティシャ王女と会うだって?
いったい何を考えているんだこの人は。
そもそも自分はブレイズ家の執事でも何でもないんだし、レティシャ王女もこの人の事を俺の代理人だと思っている。
その状況で俺を連れて行って話がややこしくなると思っていないのか?
それとも俺が断ると見越してワザと言っているのか?
この人の意図が全く読めない。
この場合俺はどの選択肢を選べばいいんだ?
死角どころかいきなり喉元に刃物突き付けられてるじゃないか。
誰だよこの作戦に死角はないって言った奴。
って、言ったの俺だよ!
「ありがたいお話ですが今日お会いするのはやめておきます。明日は本番ですし、私が出歩けばいやでも人目についてしまいます。せっかくレティシャ王女が上手く身を隠しているというのに、私のせいで隠れ場所がばれてしまえば向こうの思うつぼですから。」
「ふむ、確かにそうですな。」
「明日の朝迎えにいく時にもあいさつはできます。王女様への正式な挨拶はまた明日作戦が成功した後にさせていただきますので、『作戦は絶対に成功させますのでどうか安心してください』とお伝え出来ますでしょうか。」
「イナバ様のご厚意確かにお伝えいたしましょう。」
この人が何を考えているかはわからないが、今はこれが最善の選択肢のはずだ。
全ては明日。
わざわざいらぬ波風を立てる必要はない。
この人が何を企んでいたとしても俺はその裏をかいてみせる。
まるでタヌキと狐の化かし合いだが、最後に笑っているのはこの俺だ。
「イナバ様、ここにおられましたか!」
「ルーファさん、どうしました?」
「いえ、お昼を過ぎても降りて来られないので昼食にお誘いしようかと。イナバ様が言うように緊張しすぎても良くないですからね、他の団員もぜひ一緒に食事をしたいと言っているんですが大丈夫でしょうか。」
「ちょうどお腹が空いていたところです、是非ご一緒させてください。」
「イナバ様が普段行かれるような綺麗な所じゃありませんが・・・。」
「別に普段からそういう店に行っているわけじゃありませんよ、むしろ皆さんが行くようなお店の方が緊張しなくて済みます。」
「イナバ様でも緊張されるんですね。」
「まったく、みんなして私を何だと思っているんでしょうか。」
ルーファ団員ナイスタイミング!
これは殊勲賞、いや勲章ものですよ。
御礼に今日の飯は俺がおごって進ぜよう。
それだけの価値はあるお誘いだ。
「すみません、食事に誘われましたので失礼します。」
「はっはっは、作戦前に仲間と親睦を図るのも重要な仕事ですからな!ではイナバ様また後程。」
「えぇ、会議でお会いしましょう。」
綺麗なお辞儀をしてストリさんが去って行く。
「よろしかったのですか?」
「えぇ、今は皆さんとの食事の方が重要です。美味しい店なんですよね?」
「もちろんです!絶対に後悔させませんよ。」
「ご自身でそこまで持ち上げるという事はさぞ自信があるのでしょう、楽しみです。」
「いや、イナバ様の舌を満足させられるかまではそんな・・・。」
「そこで自信無くさないでくださいよ。」
ショボンと下を向くルーファ団員に思わず笑ってしまった。
腹が減っては戦はできぬ。
あの人の思惑はどうであれ、今は最善を尽くすだけだ。
そしてその最善こそ、この食事である。
作戦決行前日。
様々な思惑渦巻くサンサトローズの街を俺は頼もしい仲間と共に歩くのだった。
あ、ちゃんと作戦会議には間に合いましたのであしからず。
昨日入った連絡では博士の作る特別仕様の馬車が無事に改造を終えたそうだ。
見た目は普通の馬車、中身は特殊走行戦車。
騎士団からは是非今の馬車も改造して欲しいとの声が上がっている。
融合結晶を使った結界は今回限りだが、通常の魔石をつかった結界には流用できるそうなので今後は共同開発という感じで手を結ぶそうだ。
思わぬところで思わぬものが出来るものだな。
技術が一番進歩するのは皮肉にも戦争だと言うし、今回もそれに近いと言えるだろう。
まぁ、その辺は偉い人に任せるとしよう。
幸いこの世界では戦争は起きていないようだから、主に対魔物用に使われるそうだ。
「シュウイチさん準備できました。」
「では行きましょうか。」
「戸締りは問題ありません、ダンジョンにも結界を施しております。」
「でも良いんですか?明日はまだ冒険者の方が来る可能性がありますけど・・・。」
「サンサトローズの冒険者ギルドに所属する冒険者は全員作戦に参加するそうですから大丈夫でしょう。一応村を経由してダンジョンに向う冒険者には声をかけて貰えるようにウェリス達にはお願いしてあります。」
「でしたら大丈夫ですね。」
今日は秋の節草期、二回目の聖日だ。
つまり作戦予定日の前日という事になる。
聖日は元々ダンジョンを閉鎖しているのだが、明日は一応ダンジョンを利用できる日になっている。
だが、今回は作戦に冒険者が借り出されるので客が来そうにない。
よって陰日が終わるまで閉鎖することにした。
所属しない冒険者もいるだろうけど数は限られているし、なにより作戦決行日に俺がいないなんて事はありえない。
と言う事で今日から少しばかり休暇だ。
え、前の期にたらふく休んでまた休むのかって?
だって仕方ないじゃないか。
面倒な事に巻き込まれたんだから。
「イナバ様お迎えに上がりました!」
「今日も宜しくお願いします。」
「お任せ下さい!」
俺達を迎えに来てくれたのはルーファ団員。
先日サンサトローズまで俺を護送し、その後も終日護衛として付き合ってくれた騎士団員だ。
数少ないレティシャ王女の居場所を知る人物になるので、騎士団員ながらシルビア様にも秘密にするようにと無理を言っている。
理由は深く聞かないが、『作戦成功の為に必要であれば御命令に従います!』と言ってくれている。
実は彼もストリさんと同じく敵じゃないのかと疑ったのだが、調べてみるも疑わしい部分が一切なかった。
今のところ俺達の味方ということになる。
もっとも、本当の作戦はバラしていないので仮に敵だとしてもストリさんに知られるのは俺がレティシャ王女の居場所を知っているという事だけだ。
あれからストリさんが王女の所に行った様子は無い。
念の為にルーファ団員に監視をつけていたのだが、接触した様子も無いので恐らくは大丈夫だろう。
全員乗り込みサンサトローズへと出発する。
「作戦の進行状況はどうですか?」
「今の所滞りなく進んでおります。通過予定地点を精査し、疑わしい狙撃場所には本日より冒険者を待機させてあります。特に目的の奴隷商人の店には多めに冒険者を配置予定、地上と屋外両方より警戒します。今の所サンサトローズ内で怪しい人物は見当たりません。」
「問題は無さそうですね。」
「騎士団冒険者ギルド共に準備は万全です。どのような相手が来ても迎撃できるでしょう。」
「頼もしい限りです。」
準備は問題なしっと。
味方を巻き込んでの作戦だからここまで万全に準備されると申し訳なくなってくるが、致し方ない。
これもストリさんの裏をかき、作戦を完全に成功させる為だ。
「レティシャ王女の方も動きは無いそうですね。」
「イナバ様の指示で監視をつけていますが特に怪しい人物は見当たりません。執事の彼が忙しそうに掃除をしているだけだそうです。」
「あはは、まだ替わりの人間は雇えてないようですね。」
「彼には申し訳ありませんが今はそのほうが好都合です。これが終わったら知り合いを紹介してあげますよ。」
「そうしてあげてください。」
あの広さを一人で掃除するのはかなりの重労働だ。
しかも王女のお世話をしながらになると更に大変だ。
俺の前では猫をかぶっていたようだが、中身は結構キツそうだし。
それも全部明日が片付いてからだな。
頑張れ少年執事。
「今日も到着後すぐに会議ですか?」
「作戦会議は夕方となっておりますのでそれまでは自由に過ごしていただいて結構です。」
「ということですので、昼の中休みの鐘までは自由にしてもらって良いですよ。」
「皆さん忙しそうにしているのに良いんでしょうか。」
「特にニケさんには明日頑張ってもらわないといけませんし、久々にゆっくり羽を伸ばしてきてください。」
「では遠慮なく、今のうちにいっぱい遊んでおきます。」
いや、特攻しに行くんじゃないんだから。
「何があってもご主人様がお守りいたします、ニケ様はどうぞ御安心下さい。」
「ユーリの言うとおりです、安心してください。」
「そうですよね、すみません変な事を言って。」
「シュウイチさんはどこか行かれますか?」
「んー、特には無いですね。色々と確認しておきたい所ですが、皆さんの邪魔になってもよくありませんし今日は時間までゆっくりしておきます。」
明日は作戦当日だ。
作戦会議もあるし今のうちに英気を養っておこう。
「そうですか・・・。」
「どうしました?」
「フェリス様の事が気になるので様子を伺いに行こうと思ったんですが・・・。」
「それでしたら一緒に行きましょうか?」
「いいんですか?」
「私も気になりますから。」
フェリス様からはあれから音沙汰がない。
リュカさんに聞いても不在だとしか返事をくれない状況だ。
魔術師ギルドの皆さんは世界樹に違和感がなければ無事だと分かっているので、特に気にしていないようだ。
ギルド長が不在なのに大丈夫なんだろうか。
「イナバ様、現在魔術師ギルドは封鎖されておりますので入場できません・・・。」
「え?」
「入れないんですか!?」
どういうこと?
「本日より世界樹の蟲払いが行なわれますので関係者以外立ち入り禁止となっております。ミド博士を含め作戦関係者はギルドから出ておりますので御安心下さい。」
「蟲払い、ですか?」
「世界樹につく蟲を特殊な薬草を焚いて追い払うんです。規模が規模ですし危険な魔物も出ますので被害が出ないようにその期間中は立ち入り禁止になるんです。でも、こんな急に行うなんて・・・。」
「じゃあフェリス様もそれで忙しいのかもしれませんね。」
「だと良いんですけど・・・。」
まぁ入れない以上仕方がない。
終わり次第無事を確認すれば良いだろう。
しかし、あの規模の樹で害虫駆除とかどんな虫が出て来るんだろうか。
想像したいようなしたくないような。
最近は害虫駆除の異世界人もいるらしいし、案外そう言う人がやっているかもしれないな。
しらんけど。
「ではリア奥様もニケ様と御一緒にいかがでしょうか。」
「ユーリはどこに行くんですか?」
「先日美味しい甘味のお店が市場に来ていると聞きましたので行ってみようと思います。」
「フワフワの食感が病みつきになると冒険者の間でも評判なんですよ!」
「行ってきたらどうですか?明日は忙しくなりますし、私の事は気にせず楽しんできてください。」
「でも・・・。」
「イナバ様は私が責任を持ってお守りいたします。」
いつも仕事ばかりだしたまには気晴らししないと。
雇用主として従業員の福利厚生の充実も立派な仕事です。
「こう言ってくださっていますし、安心してください。」
「シュウイチさんがそこまで言うのなら・・・。」
「ではリア奥様も一緒という事で。」
「時間はありますし、最初にネムリさんのお店に行くのはどうですか?新しい化粧品が入るとこの前仰ってましたよ。」
あ、エミリアの目が変わった。
やっぱり女性は化粧品に目が無い様だ。
良いじゃないか、女性だけでスイーツにショッピング?
女子会みたいだ。
「楽しんで来てください。」
そして俺はあの地獄の買い物に付き合わなくて済むという事だ。
やれやれ。
「大事な作戦前だというのに皆様まったく緊張されないのですね。」
「そんなことありませんよ、成功するかどうかずっと不安です。」
「ですがイナバ様の奥様方はそうでもないようですが・・・。」
「今緊張しても致し方ありません。それに、ご主人様の作戦でしたら失敗することなどありません。」
「ユーリ様の言う通りです。イナバ様は必ず作戦を成功させます。」
「私はともかく周りはこの調子なんです。」
「シルビア様も同じような感じです。騎士団長だからだと思っていたのですが、イナバ様のおかげだったのですね。」
俺のおかげなのか?
まったく、本人の気も知らないで困ったものだ。
「シュウイチさんが失敗したことありませんもんね。」
「そんなことありませんよ、何度か提案を棄却されていますし・・・。」
「でも最後にはしっかりと成功させるじゃありませんか。」
私。失敗しませんから。
とか言えば格好がつくんだろうけど残念ながらそんなポジティブさはない。
恒に失敗を恐れるチキンハートの持ち主だ。
だからこそ失敗しないようにあれこれ策を巡らせているわけだけど・・・。
まぁそれでみんなが自信を持ってくれるならいいか。
「まぁ、こういう感じなんです。余裕があれば些細な変化にも気づけますし、突然の事にもうまく対応出来たりします。緊張しすぎるよりも少し余裕があるほうが後々上手くいくんです、騎士団でもそんなことありませんか?」
「確かに、緊張していた新兵の時よりも今の方が安定して訓練にも取り組めますね。」
「気を抜けているのと余裕があるのは違います。余裕があるからこそ臨機応変に難しい事にも対応できるんだと思いますよ。」
「イナバ様はまるで軍師のようですね。」
「いえいえ、私はただの商人ですよ。荒事は皆さんにお任せ致します。」
「上がしっかりしている時ほど下は安心して戦えます。なるほど、今回の作戦に死角はなさそうです。」
何だかこっちはこっちでやる気に満ち溢れてきてしまったぞ。
どうしてこうなってしまったんだろうか。
まいったなぁ。
サンサトローズへ到着後、エミリア達とは中央の噴水付近で別れ俺は白鷺亭でくつろいでいた。
作戦開始はいよいよ明日。
今日の会議は作戦前の最終確認だけだ。
今更準備することは何もない。
俺達はただ作戦通りに動けばいいだけだ。
そうすれば犯人が必ず動き出す。
その裏をかき犯人を捕まえる。
実行犯が別にいたとしても犯人同様捕まえればいいだけの話だ。
この作戦に死角はない。
大丈夫だ問題ない。
って、あれ?
このセリフの元ネタは大爆死したんだっけ?
いかんいかんそんな不謹慎な事思い出すんじゃない。
俺は慌てて首を振って邪念を飛ばす。
今はまだお昼過ぎ、作戦会議まではまだ時間あるし俺もちょっとぶらぶらしてこようかな。
そうと決まれば即行動だ。
俺は転がっていたベッドから飛び起きるといつもの部屋を出て一階へと向かう。
今日は何を食べようかな。
エミリア達は噂のお店だけど、俺はどっちかっていうとB級的な奴の方が好きなんだよね。
そういう時は、支配人に聞けば間違いない。
えーっと、どこにいるのかなっと・・・。
「おや、イナバ様ではありませんか!」
一階に降りて支配人を探してキョロキョロしていると突然後ろから声をかけられた。
聞き覚えのある声に慌てて後ろを振り返る。
そこには、今一番会いたくない人物が満面の笑みを浮かべて立っていた。
「これはストリさん、こんなところで会うなんて奇遇ですね。」
「騎士団でイナバ様が来られたことを聞きましてな、挨拶だけでもと思い来た次第です。」
「この後の作戦会議でも構いませんのに、わざわざありがとうございます。」
「確かにそうですな、明日が作戦当日なものですからつい気が急いてしまったのかもしれませぬ。いやいや、年は取りたくないモノですなぁ。」
「まだまだテナンさんに比べると若いじゃありませんか。」
俺がここに居ると騎士団で聞いた?
本当だろうか。
わざわざ騎士団に言って俺がついたことを聞いて飛んできた?
どうせ内通者から情報を貰って来たんじゃないのか?
そう疑いの目を向けたくなるのを笑顔でぐっとこらえた。
「そうでした。イナバ様、このあと少しお時間ありますかな?」
「今からですか?」
「えぇ、作戦前にお嬢様に会う時間が作れそうなのです。先日挨拶をしたいと仰っていただいた事をお嬢様にお伝えした所、是非一度お会いしたいと申されておるのです。」
おいおい、このタイミングでレティシャ王女と会うだって?
いったい何を考えているんだこの人は。
そもそも自分はブレイズ家の執事でも何でもないんだし、レティシャ王女もこの人の事を俺の代理人だと思っている。
その状況で俺を連れて行って話がややこしくなると思っていないのか?
それとも俺が断ると見越してワザと言っているのか?
この人の意図が全く読めない。
この場合俺はどの選択肢を選べばいいんだ?
死角どころかいきなり喉元に刃物突き付けられてるじゃないか。
誰だよこの作戦に死角はないって言った奴。
って、言ったの俺だよ!
「ありがたいお話ですが今日お会いするのはやめておきます。明日は本番ですし、私が出歩けばいやでも人目についてしまいます。せっかくレティシャ王女が上手く身を隠しているというのに、私のせいで隠れ場所がばれてしまえば向こうの思うつぼですから。」
「ふむ、確かにそうですな。」
「明日の朝迎えにいく時にもあいさつはできます。王女様への正式な挨拶はまた明日作戦が成功した後にさせていただきますので、『作戦は絶対に成功させますのでどうか安心してください』とお伝え出来ますでしょうか。」
「イナバ様のご厚意確かにお伝えいたしましょう。」
この人が何を考えているかはわからないが、今はこれが最善の選択肢のはずだ。
全ては明日。
わざわざいらぬ波風を立てる必要はない。
この人が何を企んでいたとしても俺はその裏をかいてみせる。
まるでタヌキと狐の化かし合いだが、最後に笑っているのはこの俺だ。
「イナバ様、ここにおられましたか!」
「ルーファさん、どうしました?」
「いえ、お昼を過ぎても降りて来られないので昼食にお誘いしようかと。イナバ様が言うように緊張しすぎても良くないですからね、他の団員もぜひ一緒に食事をしたいと言っているんですが大丈夫でしょうか。」
「ちょうどお腹が空いていたところです、是非ご一緒させてください。」
「イナバ様が普段行かれるような綺麗な所じゃありませんが・・・。」
「別に普段からそういう店に行っているわけじゃありませんよ、むしろ皆さんが行くようなお店の方が緊張しなくて済みます。」
「イナバ様でも緊張されるんですね。」
「まったく、みんなして私を何だと思っているんでしょうか。」
ルーファ団員ナイスタイミング!
これは殊勲賞、いや勲章ものですよ。
御礼に今日の飯は俺がおごって進ぜよう。
それだけの価値はあるお誘いだ。
「すみません、食事に誘われましたので失礼します。」
「はっはっは、作戦前に仲間と親睦を図るのも重要な仕事ですからな!ではイナバ様また後程。」
「えぇ、会議でお会いしましょう。」
綺麗なお辞儀をしてストリさんが去って行く。
「よろしかったのですか?」
「えぇ、今は皆さんとの食事の方が重要です。美味しい店なんですよね?」
「もちろんです!絶対に後悔させませんよ。」
「ご自身でそこまで持ち上げるという事はさぞ自信があるのでしょう、楽しみです。」
「いや、イナバ様の舌を満足させられるかまではそんな・・・。」
「そこで自信無くさないでくださいよ。」
ショボンと下を向くルーファ団員に思わず笑ってしまった。
腹が減っては戦はできぬ。
あの人の思惑はどうであれ、今は最善を尽くすだけだ。
そしてその最善こそ、この食事である。
作戦決行前日。
様々な思惑渦巻くサンサトローズの街を俺は頼もしい仲間と共に歩くのだった。
あ、ちゃんと作戦会議には間に合いましたのであしからず。
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ライト文芸
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その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
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