270 / 519
第九章
麗しの令嬢
しおりを挟む
全くひどい目にあった。
結局今回の件と全く関係ない相談ばかり受ける羽目になってしまった。
昼食だけでなく夕食も向こうでお世話になれたのはありがたいのだが、まったくもって遠慮という言葉を知らない二人だなぁ。
何処の領地の長と国のナンバー3が一端の商人捕まえて意見を聞いてきますかね。
『今度税制改革するんだがどう思う?』
『議会の反政府勢力が最近力をつけてるんでそろそろ力の差を見せつけたいんですけど、どうしたらいいと思います?』」
『そうだ近々隣国に視察に行くんだが一緒に行くか?』
『新しい輸出品について何か意見を出せって国王陛下がうるさいんですけど、良いの知ってます?』
いや、知らんがな!
そんな大事な話俺に振らないでよ。
好きにやったらいいじゃないか。
ってか国王陛下相手にうるさいはまずいんじゃないの?
ほんと大丈夫なのだろうか。
まぁ俺に被害が無いなら別に何でもいいけどさぁ。
宿に戻ってベッドに倒れた所までは覚えている。
次に意識が覚醒したときはもう朝だった。
いつもは誰かいたから一人で寝るなんて久々だったけど、さみしさを感じる間もなく夜が明けてしまった。
良かったのか悪かったのか。
とりあえず顔洗って飯食べてから今日どうするかを考えよう。
いつの間にか用意されていた服に着替えて一階へと降りる。
「おはようございますイナバ様。」
「おはようございます。」
「昨夜はよく眠れましたか?」
「眠れたと言いますか意識を失っていたと言いますか・・・。あ、着替えありがとうございます。」
「お預かりしていた物ですので気になさらないで下さい。朝食はいかがされますか?」
「いつものやつをお願いします。」
「畏まりました、スッキリする香茶もお持ちしましょう。」
いつものように支配人と挨拶を交わす。
俺が降りてきた時は確かに後ろを向いていたはずなのに、どうして俺が来たってわかったんだろうか。
後ろに目がついている・・・いや、この人ならあり得るか。
忍者支配人ハスラー氏。
ププト様の執事をしているテナンさんに続き、何でも出来過ぎる人である。
窓際はさすがにあれなので壁際の席を選ぶ。
俺が狙われているわけではないが念の為だ。
机の上には新聞ではないが瓦版のような感じで簡単な情報誌が置かれていた。
何々、『シュリアン商店イナバ様主導の入植計画が発表、未来を見る者達よ我が元に集え!』ってなんじゃこりゃぁ!
俺が入植計画を伝えたのが昨日。
解放された時間を考えても半日以下の時間でこれを作ったっていうのか?
しかもかなり誇張されてるし。
誰だよこんなセリフ書いたやつ、俺こんなの言ってないよ。
「入植計画ですか。新天地で新しい生活をと思っている人は多いでしょうね。」
「いや、そんな大それたものじゃないんですけど・・・どうしてこうなったんでしょう。」
「さぁ、私にもわかりかねます。」
支配人にも知らないことはあるのか。
世の中は謎ばかりだ。
今日も新たな謎が増えてしまったな。
入植計画。
こりゃあ大変な事になるぞ。
俺はため息をつき、それ以上のことを考えるのをやめた。
あぁ、今日の香茶も美味しいなぁ。
毎度おなじみ支配人お手製サンドイッチとスープも格別だ。
世の中考えちゃいけないことってたくさんあるよね。
しばし食べる事だけに意識を集中して余計なことを考えないようにする。
いつもならユーリやニケさんからツッコミが入ったりするんだけど、今日は久々の一人だ。
こんな時間があっても悪くはないだろう。
「失礼します、イナバ様をお迎えに上がりました!」
食事を終え、二杯目の香茶を味わっていた時だった。
どうやらお迎えが来たらしい。
あ、死ぬ方じゃなくて本当のお迎えの方ね。
でもおかしいなぁ今日はまだどこに行くか決めてないんだけど。
もしかしてまたあの二人に呼び出されるの?
勘弁してよ。
「おはようございます、昨日はありがとうございました。」
「いえ、これが仕事ですのでどうぞお気遣いなく。」
「今日はどうされたんですか?また呼び出しでしょうか。」
「本日の予定はまだ決まっておりませんが護衛を兼ねて参上いたしました。ご希望の場所などありましたら何なりと申し付けください。」
よかった、呼び出しじゃなかった。
二日連続であの二人の相手はマジで勘弁してほしい。
でもなぁ、行きたい所って言っても特にないんだよな。
チーズは無事に届いたし、ネムリの所に行く用事もない。
フェリス様の件は気になるけれどまぁ大丈夫だろう。
となると今日は一日することがないという事になるが・・・。
そうだ!
「ハスラーさん、少しお伺いしたいことがあるのですが。」
「どうされました?」
「デアード家ってどこにお屋敷があるかご存知ですか?」
「デアード様のお屋敷でしたら貴族街の奥だったと記憶しています。」
「そこでしたら知ってますよ。でも普段は王都に行かれていて無人だったよう思いますが・・・。」
「不在であればそれはそれで構いません、案内お願いできますか?」
「お任せください!」
その家には誰かいる。
この布を彼に託した張本人がいるはずだ。
俺は持ち主の判明した白い布をもう一度強く握りしめた。
「行ってらっしゃいませ。」
「連泊はないと思いますが・・・その時はお願いします。」
「お部屋は開けておきますのでどうぞご心配なく。」
「行ってきます。」
支配人に見送られて玄関前に停車していた馬車に乗り込む。
今日もご苦労様です。
「デアード家というのは今回の作戦と何か関係があるのですか?」
「そう言うわけではないんですがちょっと気になりまして。」
「イナバ様が気になるのであれば何か関係があるのですね!」
「いやだからそうじゃなくて・・・。」
もう何も言うまい。
どうやら彼も俺の事を過剰評価している人間のようだ。
俺は別に偉くも何ともないんだけどなぁ。
そんなに時間がかからず馬車は目的の場所に到着した。
白亜の壁がまぶしい。
普段王都にいて久しくここに戻らないはずの家がこんなに綺麗な状態を保つだろうか。
否。
綺麗にしなければならない理由があるんだろう。
「ご一緒します。」
「大丈夫ですよ。」
「ですがシルビア様より目を離すなとの指示を受けております。不在でなければ尚の事中で何が起こるかもわかりません、どうかお側においてください。」
無茶をするなと言われているしなぁ。
俺自身が何かするつもりは無くても、相手が勝手に話を大きくする可能性もある。
仕方がない、ついて来てもらうか。
「わかりました。ですが向こうの出方次第では一人で会う事も考えられます、その場合は外で待機してくださいね。」
「ドアの外で待機しますのでそれだけはお許しください。」
「それで結構です。」
相手が誰であれ貴族であることは間違いない。
騎士団を良く思っていない人もいるし、あまり刺激しない方がいいだろう。
もちろん逆であっていてほしいけど。
馬車を下り、玄関に備えられた大きなノッカーを叩く。
「失礼します、どなたかご在宅ですか?」
名前は名乗らない。
何処で誰が聞いているかわからないし、もし誰かいるのであればその時応えれば十分だろう。
しばらく待つも返事は無い。
おや、勘が外れたかな。
若しくは本当に不在か。
「どちら様でしょうか、今ちょっと立て込んでるんですけど・・・ってイナバ様!」
不在なら仕方ないと帰ろうとした時だった。
扉が開き少年が中から顔を出した。
そして俺の顔を見るなり驚きの声を上げる。
おや、この子は確か。
「君は確かロロップの・・・。」
「先日は助けてもらいありがとうございました!」
「こちらこそ素敵な贈り物をありがとうございます、帰りに美味しく頂きました。これはお返ししておきますね、上等なものですしこれも何かの縁ですから。」
そう言って俺はロロップの包まれていた白い布を少年に返す。
生地的に安物じゃない。
色やあしらいから少年のものでも無さそうだ。
恐らくこの家の主人か誰かのものだと思われる。
「これは・・・!ちょうど探してたんです!」
「探していた?」
「お嬢様ありましたよ!探していた奴です!」
少年は布を上に掲げながら飛ぶように家の中へと戻ってしまった。
中からなにやらやり取りが聞こえるも外までは聞こえてこない。
あのー、ドア開けっ放しなんですけど大丈夫なんでしょうか。
「いったいどうされたんでしょう。」
「お返しして喜んでもらえたのは良いんですけど、出てきてくれない事には話しも出来ません。」
「ですが人がいてよかったですね。」
「そうですね。」
留守の可能性もあったわけだが、これで色々と話しを聞けそうだ。
「っと、すみません今お嬢様を呼びますので少し待って下さい。」
しばらくすると再び少年が走って戻ってきた。
「ご主人様は御在宅ではないのですか?」
「今屋敷にいるのは私とお嬢様だけですが・・・。」
「お二人だけ?」
「はい!呼んで来ますので少し待ってくださいね。」
そしてまたいなくなる。
お嬢様と言うのがこの家の主人なのだろうか。
まぁ女主人と言うのも十分ありえるか。
別に男性じゃないとダメってワケじゃないもんな。
「お嬢様、イナバ様が来てくださいましたよ、お嬢様!」
主人を呼ぶ声が家の外まで聞こえてくる。
だがいくら待ってもそのお嬢様とやらの返事は聞こえてこない。
嫌われているんだろうか。
俺なんかには会いたくない!
とか。
「すみません、音はするんですけど鍵をかけられちゃって出てこないんです。よかったら中で待ってもらっても良いですか?」
「勝手にお邪魔してもよろしいのでしょうか。」
「大丈夫です!家にはお嬢様と僕しかいませんし、家の一切を預かっているのは僕なので!」
「君がこの家を?」
「はい!一応お嬢様のお世話係兼執事をやってます!」
そう言って少年がペコリとお辞儀をした。
何だろう、執事って言うとテナンさんとかストリさんとか支配人とかを想像するだけにこの少年が執事というのがにわかに信じられない。
だって出先で荷物盗られるんだよ?
言葉遣いだって、年相応だし。
執事ってもっと何でも出来ると思っていたんだけど、この世界では違うんだろうか。
いや、もしかしたら俺が今まで見てきた執事と言う職業の人がすごすぎて、他はこんな感じなのかもしれない。
ほら、某サンデーで連載していたような執事もいるかもしれないし。
何事も偏見はいけないな。
先入観にとらわれず広い目で見なさいと、昔の偉い人は言っていた。
・・・気がする。
「イナバ様何時までも屋外と言うのはあまりよろしくありません、一度中に入るのがよろしいかと思います。」
「そうですね、では失礼致します。」
「どうぞこちらへ!」
俺が狙われているわけで・・・(以下略
だが騎士団員が玄関先で立っているというのも世間体的によろしくない。
ここはお邪魔するのが一番だろう。
願わくば敵の本拠地ではありませんように。
少年に連れられて大きな屋敷の中を行く。
正面からは分からなかったが結構大きな敷地のようだ。
これを一人で管理すると言うのは大変だと思うのだが、思っているよりも汚れていない。
本当に見かけによらずスーパー執事なのかもしれないな。
「お忙しいと伺っていたので、まさかイナバ様が来てくれるとは思っていませんでした。」
「そうでしたか、おかしいな誰がそんな事を言っていたんでしょう。」
「え、ストリさんですよ?」
はい?
今なんて言った?
ストリさんがここに来てる?
しかも俺が忙しいって?
いや、別にあの人がどう暗躍しようが知った事じゃないんだけど、わざわざ俺の名前を出す理由は何だ?
ここの執事ってワケでも無さそうだし、そもそもこの家は何の関係もないはずだけど。
なんでここでストリさんが出てくるんだろう。
「そうでしたか、ストリはよく来ていますか?」
「イナバ様の代理と言う事で最近よく様子を見に来てくださっています。あんなことがあってからお嬢様も大分沈んでおられたんですけど、最近は少しずつ元気になってきました。」
「それは良かった。」
あんなこと?
この前の暗殺事件の事だろうか。
ますます意味が分からない。
あれか?
シルビア様の大ファンとかそんな感じか?
「随分と広い家ですが一人で管理しているんですね。」
横を歩いていた騎士団員が聞きたかった事をさらっと聞いてくれる。
「一人でなんて無理ですよ!でも昨日掃除の子が出て行っちゃったんで僕がやらないといけないのか・・・。早く新しい人募集しないとなぁ。」
そうだよな、一人でなんて無理だよな。
しかし出て行ったって、何かあったんだろうか。
「大変ですね。」
「イナバ様ほどじゃありませんよ!あちこち飛び回っておられるのに今日はどうしてこちらに?」
「ちょっと時間が出来たものですから。」
「お嬢様喜びますよ、会いたい会いたいってストリさんが来るたびに催促されていましたから。」
そんな事になっていたのか。
知らなかった。
でもなぁ、何でストリさんが俺の名前を出す必要があるんだ?
俺の名前をかたって悪さをする人がいないわけじゃないだろうけど、まさかその被害者に会うとは思っていなかった。
一体何をするつもりだったんだろうか。
「こちらへどうぞ。」
案内されたのはこじんまりとした客間だった。
だが広さに騙されちゃいけない。
大小さまざまな調度品は素人の俺が見ても高い物だと分かる。
貴族ってこういう所にもお金をかけないといけないんだよな。
ぽっと出でなれるものじゃないよ。
維持費とかどれぐらいかかっているんだろう。
「すみませんここで待っていてください、もう一度お嬢様の様子を見てきます。」
「わかりました。」
ペコリとお辞儀をして少年が部屋を出て行く。
まさかの展開に上手く頭が働いていない。
今のうちに頭を整理しておかないと・・・。
この先もっと驚く何かが出てくる可能性だって十分にある。
覚悟しておかないとな。
「こんな豪華な家に住む方とお知り合いだなんて、さすがイナバ様ですね。」
「いやぁ、そんな事無いですよ。」
「ストリさんに様子を見に来させているという事は、今回の暗殺事件に何か関係があるんですか?」
「それに関してはまだ何も言えないんです。」
「極秘の作戦でしたね、失礼致しました。」
違うんです。
何できているのか全く分からないんです。
俺はただあの布の持ち主が何者なのか気になっただけで、別にそれ以外に用があったわけじゃなくてですね。
にもかかわらず、犯人だと睨んでいるストリさんが出てきたものだからパニックになっているだけなんです。
全くワケが分からないよ!
誰かヒントを下さい。
お願いします。
なんて考えながら時間を潰しているとなにやら廊下が騒がしい。
「ちょっと、何でイナバ様が来ているのよ!」
「知りませんよ、近くに来たからって言ってましたけど。」
「いつもはあの爺いだからお化粧だって全然してないし・・・。ねぇおかしい所ない?大丈夫?髪の毛跳ねて無い?」
「お嬢様はお綺麗ですから大丈夫ですよ!」
「そんなお世辞を聞きたいんじゃないの!」
「だから大丈夫ですって。」
外のお二人さん聞こえてますよ。
お嬢様というぐらいだからお淑やかな感じを想像していたけど、偏見はいけないよね偏見は。
ツンデレお姫様だって今や当たり前なんだから。
ドタバタしていたのが急に静かになり、少年執事が再び部屋に戻ってくる。
「イナバ様お待たせしました。」
「いえいえお忙しいのにすみません。」
さっきのやり取りは聞こえなかったと言う事にしてあげよう。
「準備が出来ましたのでお連れしました。お嬢様お入り下さい。」
少年執事の合図で噂の人が部屋に入って来る。
「「・・・っ!」」
その姿に俺達は揃って息を呑んだ。
こんなに綺麗な人間がこの世にいるのか。
大げさな表現をすればまるで二次元から出てきたようだ。
あ、絵画からって言う方が良い?
肌は恐ろしいほどに白く透き通っている。
でも陶器のように艶があり、唇は男を惑わす真紅に染まっている。
決していやらしい赤じゃない。
上品でそれでいてそそられてしまう。
瞳は大きく、まるで吸い込まれそうだ。
背は高くは無いが、細身ででもガリガリじゃなく程よい肉付きがある。
衣装のせいだろうか、白いドレスがまるでウェディングドレスのようだ。
元の世界なら間違いなくインスタ女王の名をほしいままにするだろう。
モデルとかそういうレベルじゃない。
絵にもかけない美しさ、そんな言葉が相応しい。
「イナバ様?」
ボーっとしていたからだろうか、不安そうな顔でお嬢様に声をかけられてしまった。
いかんいかん、あまりの美しさに我を忘れてしまった。
ポーカーフェイスだ。
ここはしっかりしないと、格好が付かないぞ。
「お初にお目にかかります、シュリアン商店店主イナバシュウイチと申します。本日は急な訪問にもかかわらずお会いしていただきありがとうございます。」
ププト様にも緊張しなかったと言うのに思わず噛みそうになってしまった。
それぐらい美しい人だ。
いや、綺麗過ぎるだろ。
奥さんいる身で言うのは何だけどさ、こんなに綺麗な人が他にいるの?
エミリア達が見たら絶対に同じ事を言うに違いない。
「御丁寧な挨拶ありがとうございます。私もまさかイナバ様御本人にお会いできるとは思っていませんでした。あの日貴方様に命を救われてからいつか直接お礼をと思っていたのですが、中々自由になれず今日まで来てしまいました。本当に申し訳ありません。」
「えっと、それはどういう・・・。」
俺が命を救った?
俺が今まで救ってきた中にこんな綺麗な人がいただろうか。
いたら絶対に覚えているはずなのに。
「あら?覚えておられないのですか?」
「すみません二週間ほど意識を失っていまして少し記憶が曖昧なんです。」
「そうだったのですね、私のせいでそんな事になってしまい本当に申し訳ありません。」
都合よく意識を失ったせいにしたんだけど、それも私のせい?
いや、俺が助けたのはレティシャ様であって、この家の主人じゃなかったはずなんだけど・・・。
一緒に助けたのか?
わからん。
なんせその時の記憶が無いし、でも助けてたなら分かるはずだよなぁ。
「お嬢様、改めて御挨拶されてはどうでしょうか。イナバ様とは初対面になるのですから・・・。」
「分かっているわ・・・失礼しました。」
少年執事に一瞬ムッとした顔をするも、すぐに先程の笑顔に戻った。
そして優雅にドレスの裾をつかむとちょこんと足を下げて挨拶をする。
あ、アニメとかでよく見る奴だ。
「お初にお目にかかります、私はレティシャ。現国王の第三王女にして今はブレイズ家の当主をしております。どうぞ宜しくお願いいたします、イナバ様。」
あまりの美しさに言葉が出ない。
違う、美しさのせいじゃない。
何でここにこの人がいるんだ?
だってここは・・・。
覚悟してはいたもののあまりの人物の登場に俺の頭は真っ白になるのだった。
結局今回の件と全く関係ない相談ばかり受ける羽目になってしまった。
昼食だけでなく夕食も向こうでお世話になれたのはありがたいのだが、まったくもって遠慮という言葉を知らない二人だなぁ。
何処の領地の長と国のナンバー3が一端の商人捕まえて意見を聞いてきますかね。
『今度税制改革するんだがどう思う?』
『議会の反政府勢力が最近力をつけてるんでそろそろ力の差を見せつけたいんですけど、どうしたらいいと思います?』」
『そうだ近々隣国に視察に行くんだが一緒に行くか?』
『新しい輸出品について何か意見を出せって国王陛下がうるさいんですけど、良いの知ってます?』
いや、知らんがな!
そんな大事な話俺に振らないでよ。
好きにやったらいいじゃないか。
ってか国王陛下相手にうるさいはまずいんじゃないの?
ほんと大丈夫なのだろうか。
まぁ俺に被害が無いなら別に何でもいいけどさぁ。
宿に戻ってベッドに倒れた所までは覚えている。
次に意識が覚醒したときはもう朝だった。
いつもは誰かいたから一人で寝るなんて久々だったけど、さみしさを感じる間もなく夜が明けてしまった。
良かったのか悪かったのか。
とりあえず顔洗って飯食べてから今日どうするかを考えよう。
いつの間にか用意されていた服に着替えて一階へと降りる。
「おはようございますイナバ様。」
「おはようございます。」
「昨夜はよく眠れましたか?」
「眠れたと言いますか意識を失っていたと言いますか・・・。あ、着替えありがとうございます。」
「お預かりしていた物ですので気になさらないで下さい。朝食はいかがされますか?」
「いつものやつをお願いします。」
「畏まりました、スッキリする香茶もお持ちしましょう。」
いつものように支配人と挨拶を交わす。
俺が降りてきた時は確かに後ろを向いていたはずなのに、どうして俺が来たってわかったんだろうか。
後ろに目がついている・・・いや、この人ならあり得るか。
忍者支配人ハスラー氏。
ププト様の執事をしているテナンさんに続き、何でも出来過ぎる人である。
窓際はさすがにあれなので壁際の席を選ぶ。
俺が狙われているわけではないが念の為だ。
机の上には新聞ではないが瓦版のような感じで簡単な情報誌が置かれていた。
何々、『シュリアン商店イナバ様主導の入植計画が発表、未来を見る者達よ我が元に集え!』ってなんじゃこりゃぁ!
俺が入植計画を伝えたのが昨日。
解放された時間を考えても半日以下の時間でこれを作ったっていうのか?
しかもかなり誇張されてるし。
誰だよこんなセリフ書いたやつ、俺こんなの言ってないよ。
「入植計画ですか。新天地で新しい生活をと思っている人は多いでしょうね。」
「いや、そんな大それたものじゃないんですけど・・・どうしてこうなったんでしょう。」
「さぁ、私にもわかりかねます。」
支配人にも知らないことはあるのか。
世の中は謎ばかりだ。
今日も新たな謎が増えてしまったな。
入植計画。
こりゃあ大変な事になるぞ。
俺はため息をつき、それ以上のことを考えるのをやめた。
あぁ、今日の香茶も美味しいなぁ。
毎度おなじみ支配人お手製サンドイッチとスープも格別だ。
世の中考えちゃいけないことってたくさんあるよね。
しばし食べる事だけに意識を集中して余計なことを考えないようにする。
いつもならユーリやニケさんからツッコミが入ったりするんだけど、今日は久々の一人だ。
こんな時間があっても悪くはないだろう。
「失礼します、イナバ様をお迎えに上がりました!」
食事を終え、二杯目の香茶を味わっていた時だった。
どうやらお迎えが来たらしい。
あ、死ぬ方じゃなくて本当のお迎えの方ね。
でもおかしいなぁ今日はまだどこに行くか決めてないんだけど。
もしかしてまたあの二人に呼び出されるの?
勘弁してよ。
「おはようございます、昨日はありがとうございました。」
「いえ、これが仕事ですのでどうぞお気遣いなく。」
「今日はどうされたんですか?また呼び出しでしょうか。」
「本日の予定はまだ決まっておりませんが護衛を兼ねて参上いたしました。ご希望の場所などありましたら何なりと申し付けください。」
よかった、呼び出しじゃなかった。
二日連続であの二人の相手はマジで勘弁してほしい。
でもなぁ、行きたい所って言っても特にないんだよな。
チーズは無事に届いたし、ネムリの所に行く用事もない。
フェリス様の件は気になるけれどまぁ大丈夫だろう。
となると今日は一日することがないという事になるが・・・。
そうだ!
「ハスラーさん、少しお伺いしたいことがあるのですが。」
「どうされました?」
「デアード家ってどこにお屋敷があるかご存知ですか?」
「デアード様のお屋敷でしたら貴族街の奥だったと記憶しています。」
「そこでしたら知ってますよ。でも普段は王都に行かれていて無人だったよう思いますが・・・。」
「不在であればそれはそれで構いません、案内お願いできますか?」
「お任せください!」
その家には誰かいる。
この布を彼に託した張本人がいるはずだ。
俺は持ち主の判明した白い布をもう一度強く握りしめた。
「行ってらっしゃいませ。」
「連泊はないと思いますが・・・その時はお願いします。」
「お部屋は開けておきますのでどうぞご心配なく。」
「行ってきます。」
支配人に見送られて玄関前に停車していた馬車に乗り込む。
今日もご苦労様です。
「デアード家というのは今回の作戦と何か関係があるのですか?」
「そう言うわけではないんですがちょっと気になりまして。」
「イナバ様が気になるのであれば何か関係があるのですね!」
「いやだからそうじゃなくて・・・。」
もう何も言うまい。
どうやら彼も俺の事を過剰評価している人間のようだ。
俺は別に偉くも何ともないんだけどなぁ。
そんなに時間がかからず馬車は目的の場所に到着した。
白亜の壁がまぶしい。
普段王都にいて久しくここに戻らないはずの家がこんなに綺麗な状態を保つだろうか。
否。
綺麗にしなければならない理由があるんだろう。
「ご一緒します。」
「大丈夫ですよ。」
「ですがシルビア様より目を離すなとの指示を受けております。不在でなければ尚の事中で何が起こるかもわかりません、どうかお側においてください。」
無茶をするなと言われているしなぁ。
俺自身が何かするつもりは無くても、相手が勝手に話を大きくする可能性もある。
仕方がない、ついて来てもらうか。
「わかりました。ですが向こうの出方次第では一人で会う事も考えられます、その場合は外で待機してくださいね。」
「ドアの外で待機しますのでそれだけはお許しください。」
「それで結構です。」
相手が誰であれ貴族であることは間違いない。
騎士団を良く思っていない人もいるし、あまり刺激しない方がいいだろう。
もちろん逆であっていてほしいけど。
馬車を下り、玄関に備えられた大きなノッカーを叩く。
「失礼します、どなたかご在宅ですか?」
名前は名乗らない。
何処で誰が聞いているかわからないし、もし誰かいるのであればその時応えれば十分だろう。
しばらく待つも返事は無い。
おや、勘が外れたかな。
若しくは本当に不在か。
「どちら様でしょうか、今ちょっと立て込んでるんですけど・・・ってイナバ様!」
不在なら仕方ないと帰ろうとした時だった。
扉が開き少年が中から顔を出した。
そして俺の顔を見るなり驚きの声を上げる。
おや、この子は確か。
「君は確かロロップの・・・。」
「先日は助けてもらいありがとうございました!」
「こちらこそ素敵な贈り物をありがとうございます、帰りに美味しく頂きました。これはお返ししておきますね、上等なものですしこれも何かの縁ですから。」
そう言って俺はロロップの包まれていた白い布を少年に返す。
生地的に安物じゃない。
色やあしらいから少年のものでも無さそうだ。
恐らくこの家の主人か誰かのものだと思われる。
「これは・・・!ちょうど探してたんです!」
「探していた?」
「お嬢様ありましたよ!探していた奴です!」
少年は布を上に掲げながら飛ぶように家の中へと戻ってしまった。
中からなにやらやり取りが聞こえるも外までは聞こえてこない。
あのー、ドア開けっ放しなんですけど大丈夫なんでしょうか。
「いったいどうされたんでしょう。」
「お返しして喜んでもらえたのは良いんですけど、出てきてくれない事には話しも出来ません。」
「ですが人がいてよかったですね。」
「そうですね。」
留守の可能性もあったわけだが、これで色々と話しを聞けそうだ。
「っと、すみません今お嬢様を呼びますので少し待って下さい。」
しばらくすると再び少年が走って戻ってきた。
「ご主人様は御在宅ではないのですか?」
「今屋敷にいるのは私とお嬢様だけですが・・・。」
「お二人だけ?」
「はい!呼んで来ますので少し待ってくださいね。」
そしてまたいなくなる。
お嬢様と言うのがこの家の主人なのだろうか。
まぁ女主人と言うのも十分ありえるか。
別に男性じゃないとダメってワケじゃないもんな。
「お嬢様、イナバ様が来てくださいましたよ、お嬢様!」
主人を呼ぶ声が家の外まで聞こえてくる。
だがいくら待ってもそのお嬢様とやらの返事は聞こえてこない。
嫌われているんだろうか。
俺なんかには会いたくない!
とか。
「すみません、音はするんですけど鍵をかけられちゃって出てこないんです。よかったら中で待ってもらっても良いですか?」
「勝手にお邪魔してもよろしいのでしょうか。」
「大丈夫です!家にはお嬢様と僕しかいませんし、家の一切を預かっているのは僕なので!」
「君がこの家を?」
「はい!一応お嬢様のお世話係兼執事をやってます!」
そう言って少年がペコリとお辞儀をした。
何だろう、執事って言うとテナンさんとかストリさんとか支配人とかを想像するだけにこの少年が執事というのがにわかに信じられない。
だって出先で荷物盗られるんだよ?
言葉遣いだって、年相応だし。
執事ってもっと何でも出来ると思っていたんだけど、この世界では違うんだろうか。
いや、もしかしたら俺が今まで見てきた執事と言う職業の人がすごすぎて、他はこんな感じなのかもしれない。
ほら、某サンデーで連載していたような執事もいるかもしれないし。
何事も偏見はいけないな。
先入観にとらわれず広い目で見なさいと、昔の偉い人は言っていた。
・・・気がする。
「イナバ様何時までも屋外と言うのはあまりよろしくありません、一度中に入るのがよろしいかと思います。」
「そうですね、では失礼致します。」
「どうぞこちらへ!」
俺が狙われているわけで・・・(以下略
だが騎士団員が玄関先で立っているというのも世間体的によろしくない。
ここはお邪魔するのが一番だろう。
願わくば敵の本拠地ではありませんように。
少年に連れられて大きな屋敷の中を行く。
正面からは分からなかったが結構大きな敷地のようだ。
これを一人で管理すると言うのは大変だと思うのだが、思っているよりも汚れていない。
本当に見かけによらずスーパー執事なのかもしれないな。
「お忙しいと伺っていたので、まさかイナバ様が来てくれるとは思っていませんでした。」
「そうでしたか、おかしいな誰がそんな事を言っていたんでしょう。」
「え、ストリさんですよ?」
はい?
今なんて言った?
ストリさんがここに来てる?
しかも俺が忙しいって?
いや、別にあの人がどう暗躍しようが知った事じゃないんだけど、わざわざ俺の名前を出す理由は何だ?
ここの執事ってワケでも無さそうだし、そもそもこの家は何の関係もないはずだけど。
なんでここでストリさんが出てくるんだろう。
「そうでしたか、ストリはよく来ていますか?」
「イナバ様の代理と言う事で最近よく様子を見に来てくださっています。あんなことがあってからお嬢様も大分沈んでおられたんですけど、最近は少しずつ元気になってきました。」
「それは良かった。」
あんなこと?
この前の暗殺事件の事だろうか。
ますます意味が分からない。
あれか?
シルビア様の大ファンとかそんな感じか?
「随分と広い家ですが一人で管理しているんですね。」
横を歩いていた騎士団員が聞きたかった事をさらっと聞いてくれる。
「一人でなんて無理ですよ!でも昨日掃除の子が出て行っちゃったんで僕がやらないといけないのか・・・。早く新しい人募集しないとなぁ。」
そうだよな、一人でなんて無理だよな。
しかし出て行ったって、何かあったんだろうか。
「大変ですね。」
「イナバ様ほどじゃありませんよ!あちこち飛び回っておられるのに今日はどうしてこちらに?」
「ちょっと時間が出来たものですから。」
「お嬢様喜びますよ、会いたい会いたいってストリさんが来るたびに催促されていましたから。」
そんな事になっていたのか。
知らなかった。
でもなぁ、何でストリさんが俺の名前を出す必要があるんだ?
俺の名前をかたって悪さをする人がいないわけじゃないだろうけど、まさかその被害者に会うとは思っていなかった。
一体何をするつもりだったんだろうか。
「こちらへどうぞ。」
案内されたのはこじんまりとした客間だった。
だが広さに騙されちゃいけない。
大小さまざまな調度品は素人の俺が見ても高い物だと分かる。
貴族ってこういう所にもお金をかけないといけないんだよな。
ぽっと出でなれるものじゃないよ。
維持費とかどれぐらいかかっているんだろう。
「すみませんここで待っていてください、もう一度お嬢様の様子を見てきます。」
「わかりました。」
ペコリとお辞儀をして少年が部屋を出て行く。
まさかの展開に上手く頭が働いていない。
今のうちに頭を整理しておかないと・・・。
この先もっと驚く何かが出てくる可能性だって十分にある。
覚悟しておかないとな。
「こんな豪華な家に住む方とお知り合いだなんて、さすがイナバ様ですね。」
「いやぁ、そんな事無いですよ。」
「ストリさんに様子を見に来させているという事は、今回の暗殺事件に何か関係があるんですか?」
「それに関してはまだ何も言えないんです。」
「極秘の作戦でしたね、失礼致しました。」
違うんです。
何できているのか全く分からないんです。
俺はただあの布の持ち主が何者なのか気になっただけで、別にそれ以外に用があったわけじゃなくてですね。
にもかかわらず、犯人だと睨んでいるストリさんが出てきたものだからパニックになっているだけなんです。
全くワケが分からないよ!
誰かヒントを下さい。
お願いします。
なんて考えながら時間を潰しているとなにやら廊下が騒がしい。
「ちょっと、何でイナバ様が来ているのよ!」
「知りませんよ、近くに来たからって言ってましたけど。」
「いつもはあの爺いだからお化粧だって全然してないし・・・。ねぇおかしい所ない?大丈夫?髪の毛跳ねて無い?」
「お嬢様はお綺麗ですから大丈夫ですよ!」
「そんなお世辞を聞きたいんじゃないの!」
「だから大丈夫ですって。」
外のお二人さん聞こえてますよ。
お嬢様というぐらいだからお淑やかな感じを想像していたけど、偏見はいけないよね偏見は。
ツンデレお姫様だって今や当たり前なんだから。
ドタバタしていたのが急に静かになり、少年執事が再び部屋に戻ってくる。
「イナバ様お待たせしました。」
「いえいえお忙しいのにすみません。」
さっきのやり取りは聞こえなかったと言う事にしてあげよう。
「準備が出来ましたのでお連れしました。お嬢様お入り下さい。」
少年執事の合図で噂の人が部屋に入って来る。
「「・・・っ!」」
その姿に俺達は揃って息を呑んだ。
こんなに綺麗な人間がこの世にいるのか。
大げさな表現をすればまるで二次元から出てきたようだ。
あ、絵画からって言う方が良い?
肌は恐ろしいほどに白く透き通っている。
でも陶器のように艶があり、唇は男を惑わす真紅に染まっている。
決していやらしい赤じゃない。
上品でそれでいてそそられてしまう。
瞳は大きく、まるで吸い込まれそうだ。
背は高くは無いが、細身ででもガリガリじゃなく程よい肉付きがある。
衣装のせいだろうか、白いドレスがまるでウェディングドレスのようだ。
元の世界なら間違いなくインスタ女王の名をほしいままにするだろう。
モデルとかそういうレベルじゃない。
絵にもかけない美しさ、そんな言葉が相応しい。
「イナバ様?」
ボーっとしていたからだろうか、不安そうな顔でお嬢様に声をかけられてしまった。
いかんいかん、あまりの美しさに我を忘れてしまった。
ポーカーフェイスだ。
ここはしっかりしないと、格好が付かないぞ。
「お初にお目にかかります、シュリアン商店店主イナバシュウイチと申します。本日は急な訪問にもかかわらずお会いしていただきありがとうございます。」
ププト様にも緊張しなかったと言うのに思わず噛みそうになってしまった。
それぐらい美しい人だ。
いや、綺麗過ぎるだろ。
奥さんいる身で言うのは何だけどさ、こんなに綺麗な人が他にいるの?
エミリア達が見たら絶対に同じ事を言うに違いない。
「御丁寧な挨拶ありがとうございます。私もまさかイナバ様御本人にお会いできるとは思っていませんでした。あの日貴方様に命を救われてからいつか直接お礼をと思っていたのですが、中々自由になれず今日まで来てしまいました。本当に申し訳ありません。」
「えっと、それはどういう・・・。」
俺が命を救った?
俺が今まで救ってきた中にこんな綺麗な人がいただろうか。
いたら絶対に覚えているはずなのに。
「あら?覚えておられないのですか?」
「すみません二週間ほど意識を失っていまして少し記憶が曖昧なんです。」
「そうだったのですね、私のせいでそんな事になってしまい本当に申し訳ありません。」
都合よく意識を失ったせいにしたんだけど、それも私のせい?
いや、俺が助けたのはレティシャ様であって、この家の主人じゃなかったはずなんだけど・・・。
一緒に助けたのか?
わからん。
なんせその時の記憶が無いし、でも助けてたなら分かるはずだよなぁ。
「お嬢様、改めて御挨拶されてはどうでしょうか。イナバ様とは初対面になるのですから・・・。」
「分かっているわ・・・失礼しました。」
少年執事に一瞬ムッとした顔をするも、すぐに先程の笑顔に戻った。
そして優雅にドレスの裾をつかむとちょこんと足を下げて挨拶をする。
あ、アニメとかでよく見る奴だ。
「お初にお目にかかります、私はレティシャ。現国王の第三王女にして今はブレイズ家の当主をしております。どうぞ宜しくお願いいたします、イナバ様。」
あまりの美しさに言葉が出ない。
違う、美しさのせいじゃない。
何でここにこの人がいるんだ?
だってここは・・・。
覚悟してはいたもののあまりの人物の登場に俺の頭は真っ白になるのだった。
21
お気に入りに追加
202
あなたにおすすめの小説
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします
藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です
2024年6月中旬に第一巻が発売されます
2024年6月16日出荷、19日販売となります
発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」
中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。
数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。
また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています
この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています
戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています
そんな世界の田舎で、男の子は産まれました
男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました
男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます
そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります
絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて……
この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです
各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます
そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております
記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される
マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。
そこで木の影で眠る幼女を見つけた。
自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。
実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。
・初のファンタジー物です
・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います
・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯
どうか温かく見守ってください♪
☆感謝☆
HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯
そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。
本当にありがとうございます!
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-
すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン]
何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?…
たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。
※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける
縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は……
ゆっくりしていってね!!!
※ 現在書き直し慣行中!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる