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第九章
まさかの新事実、犯人はヤス!(ヤスは出てきません)
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エミリアが飛び込んできた時、俺はちょうどズボンを脱ごうとしていた時だった。
目を輝かせて部屋に飛び込んできたエミリアとバッチリ目が合う。
とりあえずズボンを上げてっと・・・。
「ご、ごめんなさい!」
「大丈夫です。ついでに手伝ってもらっていいですか?」
「すぐにお伝えした方がいいと思って・・・。」
片手でズボンを履くことが出来ても服に腕を通す事は出来ない。
エミリアに助けてもらって何とか着替えを終わらせる。
「それで、フェリス様から連絡が来たとか?」
「そうなんです!」
「今すぐ聞きたいところですが皆と一緒のほうがよさそうですね。」
「でしたら二人は朝食の準備をしています。」
「では朝食をいただきながら聞くとしましょう。」
エミリアの興奮具合から察するにかなりの内容のようだが、ここは一つ心を落ち着けてゆっくり聞かせてもらおう。
腹が減っては何とやら、頭を働かせるにも栄養は必要だ。
それを補給してからでも遅くはないだろう。
「おはようございますイナバ様。」
「おはようございますご主人様、リア奥様。」
「すぐにスープをお出ししますので先に座っていてください。」
「ありがとうございます。」
今日はニケさんの担当か。
という事はアッサリ目の味だな。
よかったよかった。
「ご主人様、別にいつも重い食事にしているわけではございませんよ。」
「と言いつつ、昨日の朝食がガッツリ系だったのはどういうことでしょうか。」
「昨日は良い獲物が罠にかかっておりましたので新鮮なうちに食べていただいただけです。」
「ユーリ様の料理美味しかったですよ。」
「私も美味しかったです。」
「ありがとうございます、ニケ様リア奥様。」
うぅむ、女性陣には好評だったのか。
朝からステーキ並の肉の塊を出されて重いと思わないのか・・・。
「お待たせしました。」
「ではいただきましょうか。」
「「「いただきます。」」」
スープが目の前に置かれニケさんが席に着いたのを確認して食べ始める。
昨日から今年収穫した小麦で作ったパンを食べている。
やっぱり新物は美味しいなぁ。
「いかがですか?」
「ちょうどいい塩気で美味しいです。あ、さっそくゴーダさんのチーズが入荷したんですね。」
「商店連合の荷物と一緒に到着しました。在庫が切れるギリギリだったんですけど、間に合ってよかったです。」
「すごい量だったので家の倉庫にもいくつか入れてあります、目印をつけてありますので食べないでくださいね。」
こっそり食べようと思っていたがばれているようだ。
残念。
「そういえばリア奥様がすごい声を出されていましたが、どうかされましたか?」
「もしかしてイナバ様に何かされたとか・・・。」
「していません。」「されてません。」
エミリアと綺麗にハモる。
さすが夫婦、なのか?
「そんなに声をそろえなくても、残念です。」
「ユーリが何を期待しているかは分かりませんが、フェリス様から返事が来たので慌てて知らせに来てくれただけですよ。」
「何か分かったんですね!」
「詳しくは朝食の後でと思ったんですが、このまま聞かせてもらいましょうか。」
「わかりました。」
エミリアが食べていたパンをお皿に戻し、少しだけ深呼吸する。
えっと、そんなに気合を入れないといけない内容なのかな?
「『ブレイズ家にストリと言う執事は存在しない。』フェリス様からの念話はそれだけでした。」
はい?
ストリさんはブレイズ家の執事じゃない・・・?
あまりの内容に三人の手が止まる。
皆ポカンとした顔でエミリアを見ていた。
「リア奥様それだけだったんですか?」
「はい。詳しく聞こうにも一方的に切られてしまって今も返事がないんです。」
「何かあったんでしょうか。」
「仮に何かあったとしても相手はあのフェリス様です、大丈夫だとは思いますが・・・。」
殺しても死にそうにない。
むしろ生き返りそうで怖い。
それぐらいの雰囲気があるよなフェリス様には。
「ストリさんが執事ではない、では一体何処のどなたなんでしょうか。」
「ブレイズ家の執事を騙る赤の他人、若しくは犯人と言う事になるかもしれませんね。」
「それは実行犯の方ですか?」
「おそらく直接の犯人の方でしょう。シルビアを狙い私の肩を動かなくした実行犯が表舞台に出てくるのは危険が多すぎます。」
「もしそうだとしたら、この前の作戦は全部漏れているわけですよね。」
「そうなりますね。」
敵を欺く為の作戦が欺く前にバレてしまっている。
どんな作戦を考えた所で裏をかかれてしまい全てが徒労に終わる。
欺いていると思っているのは俺達だけ、という事になるだろう。
「ストリさんを疑っていたシュウイチさんの目は間違いじゃなかったんですね。」
「まだそうだと決まったわけではありませんが、より注意をしなければなりません。」
「エミリア様のように念話で話ができれば安全なんですけど・・・。」
「会話をしないのが一番ですが、それでは向こうに何かあったのかと悟られてしまいます。これからも今まで通りに話を進めていくしかないですね。」
「今まで通りできるでしょうか。」
「大丈夫です、作戦が漏れているという事は逆を言えば相手の手の内がわかるという事なんですから。」
敵を欺くはずが欺かれてしまい作戦が筒抜けの状況だ。
だが逆を言えば向こうは計画された作戦通りに物事を進めるしかできない。
それを利用してもう一度欺いてやればいい。
こっちを欺いたつもりだろうがまさか自分が欺かれているとは思いもしないだろう。
それこそが、唯一の突破口になるに違いない。
「今まで通りに作戦を進めることが一番なんですね。」
「その通りです。」
「御主人様には何か作戦があるようですから大丈夫でしょう。」
「ユーリ様の言葉を借りて、さすがイナバ様です。」
「何がさすがなのかはわかりませんが、このまま相手の思う通りにするつもりはありません。この肩の借りはしっかりお返ししないといけませんからね。」
そう言って動かない右腕を左腕で揺らして見せた。
動揺していた三人に少しだけ笑みが戻る。
「シルビア様達にもストリさんの件をお知らせしますか?」
「いえ、それはしません。」
「何故ですか?シア奥様であれば私たちの代わりにいろいろと調べができそうなものですが・・・。」
「それがまずいんです。確かにシルビアでしたら騎士団の力を使って裏をとれると思いますが、疑いの目が強まってしまい今まで通りに接することができなくなってしまいます。シルビアを信じていないわけではありませんが、少しでも疑惑の目を向けられてしまえば欺き返すことができなくなってしまう。まだまだストリさんを交えての作戦会議は続きますからね、知らせるとしたら作戦決行の直前になると思います。」
シルビアだったら今まで通り接してくれるとはおもう。
だがシルビアの指令を受けて捜査をしてもらう騎士団員はどうだろうか。
作戦中に見る目が少しでもおかしければ、ストリさんは作戦通り動くのをやめるかもしれない。
そうなれば千載一遇のチャンスがなくなってしまうかもしれない。
リスクはできるだけ減らしておきたいというのが本音だ。
「確かにシュウイチさんの言う通りですね。」
「私達も気を引き締めなえればなりません。」
「先ほども言いましたように気を引き締めつつ今まで通りでお願いします、大丈夫何とかなりますって。」
「では今日も通常通り業務にあたります。」
「私も冒険者の皆様からレティシャ王女の噂を集めつつ、お仕事頑張ります。」
「ついでにセレンさんが来たときにウェリスをからかってみましょう。」
「もぅ、シュウイチさんも悪い人ですね。」
ストリさんが何者であれ、作戦が動かないことには何もできない。
ブレイズ家の執事ではないということ以外の部分もフェリス様が調べてくれるはずだ。
騎士団でも冒険者でもない、今回の作戦からできるだけ離れた人物が探るほうが都合がいいんだ。
それに、あの人なら全部わかっていながら、何知らぬ顔でお茶を飲んだりできそうだし。
これも年の功ってやつなのかなぁ。
結局その日の営業を終えてもフェリス様からの連絡はなかった。
あの方の事だから万が一という事はないと思うが、心配は心配だ。
リュカさんへの念話を頼んではみるもののそちらも返事はなし。
唯一連絡がついたのはメルクリア女史だけだった。
エミリアが連絡するとすぐに転移魔法で飛んできた。
暇なんだろうか。
「暇じゃないわよ。」
ですよねー。
「詳しい事はよくわからないけどフェリス様なら大丈夫よ。もしあの方に何かあれば世界樹に異変が出るもの。」
「世界樹にですか?」
「あら、知らなかったの?フェリス様は世界樹と同化することで通常よりも長い時を生きられるのよ。魔術師ギルド長だけに伝わる禁断の秘術、あの方を殺したいならまずは世界樹との同化を何とかしなくちゃね。」
「何とかって言っても何ともできないんですよね。」
「さぁ、それを知っているのもフェリス様だけだから。」
なんだかよくわからないが無事という事だけはわかった。
一応直属の上司になるのでどういう状況になっているのかは知らせておく。
もちろんストリさんの件は伏せてはいるけれど。
「いつものことだけど、本当に面倒な事に巻き込まれるのが好きね。」
「好きで巻き込まれているわけじゃないですよ?」
「誰が好き好んで王家のごたごたに首を突っ込みますか。でも、もしこれが上手くいくのなら国王陛下に何か褒美をもらえるかもしれないわね。」
「別に褒美欲しさにするわけじゃないんですけど。」
「でもシュウイチさん、もう遠慮するのはやめたって・・・。」
「いやまぁそうなんですけどね。でも国王陛下に何か貰うとかそこまではまだ考えてません。」
「相変わらず無欲ねぇ。」
いや、無欲ってわけじゃないんですけど。
主に性欲の方ではそれはもう色々と考えてますよ?
ムフフ。
とか何とか思っていると、ものすごい軽蔑した目でメルクリア女史からにらまれた。
おっといかん、表情に出やすいんだった。
ポーカーフェイスポーカーフェイスっと。
「ともかくフェリス様が無事という事はわかりました。お忙しい中ありがとうございます。」
「別に、可愛い部下が心配して連絡よこすんだから上司として当然ことをしたまでよ。」
「メルクリア様ありがとうございました。」
「王都に美味しいお店を見つけたの、今度付き合いなさいよ?」
「はい、是非!」
「良かったら二人、いえ三人も一緒に招待するわ。」
「私もですか?」
「何を馬鹿なこと言ってるのよ、あなた以外よ。」
ニケさんとユーリ、それにシルビア様か。
THE女子会だな。
そしてそこに呼ばれないリュカさん。
なんとなく人間関係がわかる気がする。
「じゃあまたね。」
それだけ言うとメルクリア女史はヒラヒラと手を振りながら黒い壁の向こうへと消えていった。
夜も遅い時間だというのに後輩思いの人だ。
「転移魔法って便利ですね。」
「私も使えたらいいんですけど、ごめんなさい。」
「エミリアが謝る必要はありません。むしろ二精霊から祝福を貰っているにもかかわらず使えない人間がここにいますから。」
メルクリア女史が転移魔法を使えるのは火の精霊と契約しているからだそうだ。
精霊の祝福を授かりながらセンスが無くて使えない俺っていったい・・・。
異世界に来てもその辺はいつも通りだ。
異世界無双なんて夢のまた夢やったんや・・・。
「シュウイチさんはそれ以外にすごいことがたくさんできるからいいんです。」
「転移魔法よりもすごい事なんてあったでしょうか。」
「もぅ、そうやってはぐらかすんですから。」
怒って頬を膨らますエミリアも可愛いですよ。
うんうん、よきかなよきかな。
「お風呂先にいただきました。」
「あ、ニケさんお帰りなさい。」
「あれ、ユーリ様は?」
「ユーリでしたらダンジョンの整備に行きました、もうすぐ帰ってくると思いますが・・・。」
「ただいま戻りました。」
「ほら。」
相変らず空気を読むのがうまいなあ。
「どうかされましたか?」
「ちょうどユーリの話をしていたんです、お風呂が開きましたから先に入ってください。」
「御主人様はよろしいのですか?」
「私は最後で大丈夫です。」
「すみません、本来は奴隷である私が一番最後のお湯をいただくべんきなのに。むしろ奴隷の身分でお風呂に入るなんて・・・。」
「料理当番に一番風呂の権利が与えられるって皆で決めたんですから、今日も美味しかったです。」
当初一番風呂には主人である俺が入るべきだという主張が全員から出ていた。
しかしながらそのやり方では他の人間が一番風呂の恩恵にあずかることができない。
一番風呂。
ホカホカで湯量も多く何も気にせずつかることのできる幸せ。
それを俺一人が独占するなんてもってのほかだ。
ちなみに湯沸しは俺の仕事になりつつある。
料理もできないのでせめて片手でできる仕事をと見つけたのが湯沸しだった。
マヒロさんから良い斧を貰ったし、おかげで薪割がはかどるはかどる。
ちなみに弁解しておくが別に風呂を覗きたくてやっているわけではない。
入浴は湯沸した後だからそもそも覗いたところで誰もいないわけで。
え、見たくないのかって?
そりゃあみたいよ。
見せてって言えば見せてくれるだろうけど、やっぱり覗くことに美学が・・・とか言わないので安心してほしい。
そこまで飢えているわけじゃない。
「では遠慮なく。」
「ゆっくりどうぞ。」
「じゃあ私は食器の後片付けしちゃいますね。」
「エミリア様、私も手伝います!」
「料理担当が後片付けをしないのもみんなで決めたはずですよ?」
「その通りです、ニケさんはこちらでお茶をどうぞ。」
「イナバ様が淹れてくださったんですか?」
「いつもみんなにしてもらっていますので偶には。」
メルクリア女史が来た時にお茶を出す人間がいなかったなんて事は秘密だ。
「ありがとうございます!」
それを知らないニケさんの素晴らしい笑顔に罪悪感を感じながらもその日は深けていくのだった。
ストリさんが何者であれ俺達がやることに変わりはない。
ただ一つだけ違うとしたら、最後の最後に笑うのはストリさんじゃなくて俺達だってことだけだ。
そして迎えた翌日。
「シルビア様からの遣いで参りました!作戦の概要が決まったとのことです至急サンサトローズまでお越しください!」
大型の馬車と共に騎士団員の迎えが店の前にやって来た。
どれ、ストリさんがどうやって出て来るのか楽しみだな。
「お店の方は任せてください。」
「よろしくお願いします。」
「くれぐれも無茶しないでくださいね。」
「イナバ様の身柄は我が騎士団が責任をもってお守りいたします。二度とあのような事は起こさせはしません!」
「だ、そうですのでご安心を。それじゃあ行ってきます。」
「「「「いってらっしゃい!」」」」
皆に見送られて一路向かうはサンサトローズ。
あのさ、一つだけ言いたいことがあるんだ。
聞いてください。
『迎えが厳重過ぎて連行されているみたい。』
以上!
目を輝かせて部屋に飛び込んできたエミリアとバッチリ目が合う。
とりあえずズボンを上げてっと・・・。
「ご、ごめんなさい!」
「大丈夫です。ついでに手伝ってもらっていいですか?」
「すぐにお伝えした方がいいと思って・・・。」
片手でズボンを履くことが出来ても服に腕を通す事は出来ない。
エミリアに助けてもらって何とか着替えを終わらせる。
「それで、フェリス様から連絡が来たとか?」
「そうなんです!」
「今すぐ聞きたいところですが皆と一緒のほうがよさそうですね。」
「でしたら二人は朝食の準備をしています。」
「では朝食をいただきながら聞くとしましょう。」
エミリアの興奮具合から察するにかなりの内容のようだが、ここは一つ心を落ち着けてゆっくり聞かせてもらおう。
腹が減っては何とやら、頭を働かせるにも栄養は必要だ。
それを補給してからでも遅くはないだろう。
「おはようございますイナバ様。」
「おはようございますご主人様、リア奥様。」
「すぐにスープをお出ししますので先に座っていてください。」
「ありがとうございます。」
今日はニケさんの担当か。
という事はアッサリ目の味だな。
よかったよかった。
「ご主人様、別にいつも重い食事にしているわけではございませんよ。」
「と言いつつ、昨日の朝食がガッツリ系だったのはどういうことでしょうか。」
「昨日は良い獲物が罠にかかっておりましたので新鮮なうちに食べていただいただけです。」
「ユーリ様の料理美味しかったですよ。」
「私も美味しかったです。」
「ありがとうございます、ニケ様リア奥様。」
うぅむ、女性陣には好評だったのか。
朝からステーキ並の肉の塊を出されて重いと思わないのか・・・。
「お待たせしました。」
「ではいただきましょうか。」
「「「いただきます。」」」
スープが目の前に置かれニケさんが席に着いたのを確認して食べ始める。
昨日から今年収穫した小麦で作ったパンを食べている。
やっぱり新物は美味しいなぁ。
「いかがですか?」
「ちょうどいい塩気で美味しいです。あ、さっそくゴーダさんのチーズが入荷したんですね。」
「商店連合の荷物と一緒に到着しました。在庫が切れるギリギリだったんですけど、間に合ってよかったです。」
「すごい量だったので家の倉庫にもいくつか入れてあります、目印をつけてありますので食べないでくださいね。」
こっそり食べようと思っていたがばれているようだ。
残念。
「そういえばリア奥様がすごい声を出されていましたが、どうかされましたか?」
「もしかしてイナバ様に何かされたとか・・・。」
「していません。」「されてません。」
エミリアと綺麗にハモる。
さすが夫婦、なのか?
「そんなに声をそろえなくても、残念です。」
「ユーリが何を期待しているかは分かりませんが、フェリス様から返事が来たので慌てて知らせに来てくれただけですよ。」
「何か分かったんですね!」
「詳しくは朝食の後でと思ったんですが、このまま聞かせてもらいましょうか。」
「わかりました。」
エミリアが食べていたパンをお皿に戻し、少しだけ深呼吸する。
えっと、そんなに気合を入れないといけない内容なのかな?
「『ブレイズ家にストリと言う執事は存在しない。』フェリス様からの念話はそれだけでした。」
はい?
ストリさんはブレイズ家の執事じゃない・・・?
あまりの内容に三人の手が止まる。
皆ポカンとした顔でエミリアを見ていた。
「リア奥様それだけだったんですか?」
「はい。詳しく聞こうにも一方的に切られてしまって今も返事がないんです。」
「何かあったんでしょうか。」
「仮に何かあったとしても相手はあのフェリス様です、大丈夫だとは思いますが・・・。」
殺しても死にそうにない。
むしろ生き返りそうで怖い。
それぐらいの雰囲気があるよなフェリス様には。
「ストリさんが執事ではない、では一体何処のどなたなんでしょうか。」
「ブレイズ家の執事を騙る赤の他人、若しくは犯人と言う事になるかもしれませんね。」
「それは実行犯の方ですか?」
「おそらく直接の犯人の方でしょう。シルビアを狙い私の肩を動かなくした実行犯が表舞台に出てくるのは危険が多すぎます。」
「もしそうだとしたら、この前の作戦は全部漏れているわけですよね。」
「そうなりますね。」
敵を欺く為の作戦が欺く前にバレてしまっている。
どんな作戦を考えた所で裏をかかれてしまい全てが徒労に終わる。
欺いていると思っているのは俺達だけ、という事になるだろう。
「ストリさんを疑っていたシュウイチさんの目は間違いじゃなかったんですね。」
「まだそうだと決まったわけではありませんが、より注意をしなければなりません。」
「エミリア様のように念話で話ができれば安全なんですけど・・・。」
「会話をしないのが一番ですが、それでは向こうに何かあったのかと悟られてしまいます。これからも今まで通りに話を進めていくしかないですね。」
「今まで通りできるでしょうか。」
「大丈夫です、作戦が漏れているという事は逆を言えば相手の手の内がわかるという事なんですから。」
敵を欺くはずが欺かれてしまい作戦が筒抜けの状況だ。
だが逆を言えば向こうは計画された作戦通りに物事を進めるしかできない。
それを利用してもう一度欺いてやればいい。
こっちを欺いたつもりだろうがまさか自分が欺かれているとは思いもしないだろう。
それこそが、唯一の突破口になるに違いない。
「今まで通りに作戦を進めることが一番なんですね。」
「その通りです。」
「御主人様には何か作戦があるようですから大丈夫でしょう。」
「ユーリ様の言葉を借りて、さすがイナバ様です。」
「何がさすがなのかはわかりませんが、このまま相手の思う通りにするつもりはありません。この肩の借りはしっかりお返ししないといけませんからね。」
そう言って動かない右腕を左腕で揺らして見せた。
動揺していた三人に少しだけ笑みが戻る。
「シルビア様達にもストリさんの件をお知らせしますか?」
「いえ、それはしません。」
「何故ですか?シア奥様であれば私たちの代わりにいろいろと調べができそうなものですが・・・。」
「それがまずいんです。確かにシルビアでしたら騎士団の力を使って裏をとれると思いますが、疑いの目が強まってしまい今まで通りに接することができなくなってしまいます。シルビアを信じていないわけではありませんが、少しでも疑惑の目を向けられてしまえば欺き返すことができなくなってしまう。まだまだストリさんを交えての作戦会議は続きますからね、知らせるとしたら作戦決行の直前になると思います。」
シルビアだったら今まで通り接してくれるとはおもう。
だがシルビアの指令を受けて捜査をしてもらう騎士団員はどうだろうか。
作戦中に見る目が少しでもおかしければ、ストリさんは作戦通り動くのをやめるかもしれない。
そうなれば千載一遇のチャンスがなくなってしまうかもしれない。
リスクはできるだけ減らしておきたいというのが本音だ。
「確かにシュウイチさんの言う通りですね。」
「私達も気を引き締めなえればなりません。」
「先ほども言いましたように気を引き締めつつ今まで通りでお願いします、大丈夫何とかなりますって。」
「では今日も通常通り業務にあたります。」
「私も冒険者の皆様からレティシャ王女の噂を集めつつ、お仕事頑張ります。」
「ついでにセレンさんが来たときにウェリスをからかってみましょう。」
「もぅ、シュウイチさんも悪い人ですね。」
ストリさんが何者であれ、作戦が動かないことには何もできない。
ブレイズ家の執事ではないということ以外の部分もフェリス様が調べてくれるはずだ。
騎士団でも冒険者でもない、今回の作戦からできるだけ離れた人物が探るほうが都合がいいんだ。
それに、あの人なら全部わかっていながら、何知らぬ顔でお茶を飲んだりできそうだし。
これも年の功ってやつなのかなぁ。
結局その日の営業を終えてもフェリス様からの連絡はなかった。
あの方の事だから万が一という事はないと思うが、心配は心配だ。
リュカさんへの念話を頼んではみるもののそちらも返事はなし。
唯一連絡がついたのはメルクリア女史だけだった。
エミリアが連絡するとすぐに転移魔法で飛んできた。
暇なんだろうか。
「暇じゃないわよ。」
ですよねー。
「詳しい事はよくわからないけどフェリス様なら大丈夫よ。もしあの方に何かあれば世界樹に異変が出るもの。」
「世界樹にですか?」
「あら、知らなかったの?フェリス様は世界樹と同化することで通常よりも長い時を生きられるのよ。魔術師ギルド長だけに伝わる禁断の秘術、あの方を殺したいならまずは世界樹との同化を何とかしなくちゃね。」
「何とかって言っても何ともできないんですよね。」
「さぁ、それを知っているのもフェリス様だけだから。」
なんだかよくわからないが無事という事だけはわかった。
一応直属の上司になるのでどういう状況になっているのかは知らせておく。
もちろんストリさんの件は伏せてはいるけれど。
「いつものことだけど、本当に面倒な事に巻き込まれるのが好きね。」
「好きで巻き込まれているわけじゃないですよ?」
「誰が好き好んで王家のごたごたに首を突っ込みますか。でも、もしこれが上手くいくのなら国王陛下に何か褒美をもらえるかもしれないわね。」
「別に褒美欲しさにするわけじゃないんですけど。」
「でもシュウイチさん、もう遠慮するのはやめたって・・・。」
「いやまぁそうなんですけどね。でも国王陛下に何か貰うとかそこまではまだ考えてません。」
「相変わらず無欲ねぇ。」
いや、無欲ってわけじゃないんですけど。
主に性欲の方ではそれはもう色々と考えてますよ?
ムフフ。
とか何とか思っていると、ものすごい軽蔑した目でメルクリア女史からにらまれた。
おっといかん、表情に出やすいんだった。
ポーカーフェイスポーカーフェイスっと。
「ともかくフェリス様が無事という事はわかりました。お忙しい中ありがとうございます。」
「別に、可愛い部下が心配して連絡よこすんだから上司として当然ことをしたまでよ。」
「メルクリア様ありがとうございました。」
「王都に美味しいお店を見つけたの、今度付き合いなさいよ?」
「はい、是非!」
「良かったら二人、いえ三人も一緒に招待するわ。」
「私もですか?」
「何を馬鹿なこと言ってるのよ、あなた以外よ。」
ニケさんとユーリ、それにシルビア様か。
THE女子会だな。
そしてそこに呼ばれないリュカさん。
なんとなく人間関係がわかる気がする。
「じゃあまたね。」
それだけ言うとメルクリア女史はヒラヒラと手を振りながら黒い壁の向こうへと消えていった。
夜も遅い時間だというのに後輩思いの人だ。
「転移魔法って便利ですね。」
「私も使えたらいいんですけど、ごめんなさい。」
「エミリアが謝る必要はありません。むしろ二精霊から祝福を貰っているにもかかわらず使えない人間がここにいますから。」
メルクリア女史が転移魔法を使えるのは火の精霊と契約しているからだそうだ。
精霊の祝福を授かりながらセンスが無くて使えない俺っていったい・・・。
異世界に来てもその辺はいつも通りだ。
異世界無双なんて夢のまた夢やったんや・・・。
「シュウイチさんはそれ以外にすごいことがたくさんできるからいいんです。」
「転移魔法よりもすごい事なんてあったでしょうか。」
「もぅ、そうやってはぐらかすんですから。」
怒って頬を膨らますエミリアも可愛いですよ。
うんうん、よきかなよきかな。
「お風呂先にいただきました。」
「あ、ニケさんお帰りなさい。」
「あれ、ユーリ様は?」
「ユーリでしたらダンジョンの整備に行きました、もうすぐ帰ってくると思いますが・・・。」
「ただいま戻りました。」
「ほら。」
相変らず空気を読むのがうまいなあ。
「どうかされましたか?」
「ちょうどユーリの話をしていたんです、お風呂が開きましたから先に入ってください。」
「御主人様はよろしいのですか?」
「私は最後で大丈夫です。」
「すみません、本来は奴隷である私が一番最後のお湯をいただくべんきなのに。むしろ奴隷の身分でお風呂に入るなんて・・・。」
「料理当番に一番風呂の権利が与えられるって皆で決めたんですから、今日も美味しかったです。」
当初一番風呂には主人である俺が入るべきだという主張が全員から出ていた。
しかしながらそのやり方では他の人間が一番風呂の恩恵にあずかることができない。
一番風呂。
ホカホカで湯量も多く何も気にせずつかることのできる幸せ。
それを俺一人が独占するなんてもってのほかだ。
ちなみに湯沸しは俺の仕事になりつつある。
料理もできないのでせめて片手でできる仕事をと見つけたのが湯沸しだった。
マヒロさんから良い斧を貰ったし、おかげで薪割がはかどるはかどる。
ちなみに弁解しておくが別に風呂を覗きたくてやっているわけではない。
入浴は湯沸した後だからそもそも覗いたところで誰もいないわけで。
え、見たくないのかって?
そりゃあみたいよ。
見せてって言えば見せてくれるだろうけど、やっぱり覗くことに美学が・・・とか言わないので安心してほしい。
そこまで飢えているわけじゃない。
「では遠慮なく。」
「ゆっくりどうぞ。」
「じゃあ私は食器の後片付けしちゃいますね。」
「エミリア様、私も手伝います!」
「料理担当が後片付けをしないのもみんなで決めたはずですよ?」
「その通りです、ニケさんはこちらでお茶をどうぞ。」
「イナバ様が淹れてくださったんですか?」
「いつもみんなにしてもらっていますので偶には。」
メルクリア女史が来た時にお茶を出す人間がいなかったなんて事は秘密だ。
「ありがとうございます!」
それを知らないニケさんの素晴らしい笑顔に罪悪感を感じながらもその日は深けていくのだった。
ストリさんが何者であれ俺達がやることに変わりはない。
ただ一つだけ違うとしたら、最後の最後に笑うのはストリさんじゃなくて俺達だってことだけだ。
そして迎えた翌日。
「シルビア様からの遣いで参りました!作戦の概要が決まったとのことです至急サンサトローズまでお越しください!」
大型の馬車と共に騎士団員の迎えが店の前にやって来た。
どれ、ストリさんがどうやって出て来るのか楽しみだな。
「お店の方は任せてください。」
「よろしくお願いします。」
「くれぐれも無茶しないでくださいね。」
「イナバ様の身柄は我が騎士団が責任をもってお守りいたします。二度とあのような事は起こさせはしません!」
「だ、そうですのでご安心を。それじゃあ行ってきます。」
「「「「いってらっしゃい!」」」」
皆に見送られて一路向かうはサンサトローズ。
あのさ、一つだけ言いたいことがあるんだ。
聞いてください。
『迎えが厳重過ぎて連行されているみたい。』
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元の世界では疎まれていても、こっちの世界なら問題なし。
相場スキルを駆使して目指せ夢のマイショップ!
ふとしたことで異世界に飛ばされた中年が、青年となってお金儲けに走ります。
お金は全てを解決する、それはどの世界においても同じ事。
金金金の主人公が、授かった相場スキルで私利私欲の為に稼ぎまくります。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
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お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
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注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
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欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
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