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第九章
最強メンバー大集合
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「と、いうことで舞い戻ってきました。」
「いや、舞い戻ってきましたは構わないんだが本当なのか?」
「詳しくはこの人から聞いて下さい、えっと・・・。」
「ブレイズ家執事ストリと申します、いやはやシルビア元騎士団長と直接お話できるとは。」
「騎士団に内通者がいるから極秘裏に会いたいと言ったのはストリさんですよ?」
「えぇ間違いなくおります。そうでなければレティシャ様の居場所がばれるはずがありませぬ。」
秋節最初の休息日二日目。
舞い戻ってきましたサンサトローズ。
早かったなぁ。
一ヶ月は戻らないつもりだったけどまさかの一週間。
ま、仕方ないよね!
「ドリスが騎士団に来た時は何事かと思ったが、うぅむ信じられん。」
「私だって信じたくありませんでした。ですが話しを聞けば聞くほど今までに感じていた矛盾に辻褄が合うんです。シルビアが狙われた理由、見つからない犯人、内通者の件はカムリ騎士団長から報告を受けていますよね。」
「あぁ、ティナギルド長とも情報は共有している。捜査情報を横流ししている騎士団員と冒険者がいる。現在特定を急いでいるが中々尻尾を出さなくてな、重要な情報は信頼できる人間にしか伝えないようにしているがそれにも限界がある。」
「ですからこうして場所を変えて一度しっかり話し合う必要があると思うんです。」
「だからといって、ここでそれを行なう必要は無いんじゃないかい?」
「サンサトローズにありながらサンサトローズでは無い場所、それを考えた時に一番適当だったのがここなんですよ。」
いきなり押しかけたので少々ご機嫌ナナメなフェリス様。
え、俺達が今何処にいるかって?
さっきも言ったじゃないですか『サンサトローズにありながらサンサトローズでは無い場所』、つまり魔術師ギルドの中ですよ。
「まぁ確かにここなら話が漏れる心配は無いね。だが私の仕事が進まない件についてはどうしてくれるんだい?」
「実はですね今日は王都でも予約必須の甘味を持参しておりまして、これでどうか目をつぶっていただけませんかね。」
「賄賂で私をゆすろう何ざいい度胸だ。でもまぁ、食べ物に罪は無いからね仕方なく受け取ってやるよ。ただし、後で書類整理手伝いな。」
「お任せ下さいフェリス様。」
「まったく、エミリアも面倒な旦那を持ったもんだ。」
そう言って元気に返事をしたエミリアのほうを向くフェリス様。
なにその哀れみの目は。
面倒な旦那でどうもすみませんね!
「私はシュウイチさんを面倒だとは思ったことありません。気を抜くとすぐに危険な事をしちゃうのには困りますけど・・・。」
「確かにそこには困り物だな。」
「シルビアまで、酷いなぁ。」
「夫婦でいちゃつくんなら他所でやりな。」
ジェスチャーであっちへ行けと言われてしまった。
行けって言われてもこの部屋からは出れないし・・・。
「フェリス様、ティナ冒険者ギルド長とシュリアン商店ユーリ様をお連れしました。」
「入りな。」
お、ティナさんも無事に到着か。
ちなみにここは魔術師ギルドでも一番情報が漏れない場所、フェリスギルド長の仕事場だ。
螺旋階段を上り三人が部屋にやってくる。
これで全員揃ったな。
「フェリスギルド長様、本日はお忙しい中ありがとうございます。」
「休息日に呼び出されてお互い不満だと思うが文句はそこの商人に言うんだね。」
「ここで会議をするだなんて事を言い出すのはイナバ様しかおりません、それに魔術師ギルドには一度入ってみたいと思っていたんです。」
「なんだい、あんたもこの男のお手つきかい。全く手が早い男だよ。」
「フェリス様それは誤解です。」
「本当かねぇ、こんな美人に囲まれてあんたの言葉には何の説得力も無いよ。」
確かに俺の周りは美人ばかりだ。
見た目だけなら完全にハーレム。
だが残念な事に誰一人にも手を出していない。
ヘタレと言いたきゃ言えばいいさ!
「さすがイナバ様ですな、これほどの人脈を持ち合わせておられるとは。」
「あの、イナバ様こちらの方は・・・。」
「今回の情報提供者です、自己紹介は後ほどということで・・・時間もありませんしはじめてもいいですか?」
「さっさとしておくれ。」
「では、本日はお忙しい中お集まり頂きありがとうございます。今日集まっていただいたのは他でもありません、シルビア暗殺事件についての新情報と新たに判明した別の事件の情報共有を行う為です。この場所をお借りしたのは他に情報を漏らさない為、なおこの情報を聞いたからには最後までお付き合いいただく必要がありますが、よろしいですか?」
全員の顔を順番に見ていく。
俺と目を合わせるたびに一人一人が頷いてくれる。
エミリア、シルビア様、ユーリ、ニケさん、ティナギルド長、リュカさん、そしてフェリス様。
全員の了承を得たということで話しをはじめる。
「まずは今回のおさらいからはじめましょう。事の始まりはシルビアの退団式で起きた狙撃事件。私が犯人に気付きシルビアをかばったことで狙撃は失敗しました。私が意識を失っている二週間の間に騎士団と冒険者ギルドが合同で捜査を開始、狙撃地点から魔術的な痕跡を発見した為、魔術師ギルドとも合同で捜査を開始。しかしながらそれ以降目だった情報は無く捜査は手詰まり状態。なお、騎士団冒険者ギルド共に情報漏えいの可能性があり現在極秘裏に調査中と、ここまで間違いないですね。」
「あぁ、シュウイチが商店に戻った後にも捜査に目立った進展は無い。」
「狙撃場所の残留物より魔術的な方法をとられたことが確認できていると思いますが、魔術師ギルドの見解はどうでしょうか。」
「残留物から呪術的な残滓を確認している、恐らく狙撃犯は自分の命を使って対象に確実な死をもたらす自滅魔法を使用した可能性があるね。」
「自滅魔法、そんな魔法があるんですな。」
ストリさんが驚いた顔をする。
ドラ〇ヱ的に言うとメガン〇でしょうか。
「随分昔、それこそ魔王と勇者がドンパチしていたような時代にはごく有り触れた魔法だったそうだけどね。今ではその危険性から禁止魔法として魔術師ギルドで厳重に保管されている、はずだった。」
「と、いうことはやはりここでも何らかの漏洩が?」
「恥ずかしい話しだけどね今回の一件が無ければ気付く事は無かっただろうよ。半年ほど前に何者かが禁術庫に侵入して魔法を盗んで行ったようだ。外部からの進入は出来ないから間違いなく内部の犯行だけど証拠が無くて分からずじまいさ。」
半年前。
つまりは俺がこの世界に来たときから今回の事件は計画されていた事になる。
「確実に死をもたらす自滅魔法。それを受けても死ななかったのは私が精霊の祝福を二つもうけていたから、そうですよね。」
「可能性を考えればそれしかない、事実狙撃された右腕は動かないけれどあんたは生きている。魔法に絶対は無いって言う生きた証人になったわけだ。」
「フェリス様、シュウイチさんの肩から血が流れた事があったんです。それはその魔法に関係ありますか?」
「あぁ、間違いなくそのせいだよ。魔力の弱い人間には見えないけれど私や精霊師にはその肩に刺さっているものが良く見える。リュカ、どうなっているか説明してやりな。」
あの、俺も精霊師っていう位置づけのはずなんですが見えないんですけど・・・。
え、だまってろ?
どうもすみません。
「私ですか!?えっと、こいつの肩にはどす黒くてどう考えてもよくない魔力をしたトゲトゲの矢が刺さっているの。それが魔力を止めちゃって動かないのかな。無理に動かせばそのトゲが身体の奥に刺さってしまって余計に身体を傷つけちゃいそう。」
「リュカ殿、それは抜けないのか?」
「うーん抜いたら最後体中の魔力が身体の外に流れ出て死んじゃうかな。さっき血が出たって言ってたけど、あんた無理やり動かしたでしょ。」
「あー、はい、動かしました。」
「そのせいで余計に食い込んじゃったんだね。でもまぁ動かさなかったら今の所害は無いし、魔力の少ない人には何の影響も無いと思うよ。逆に魔力が濃すぎるとよくない魔力に反応しちゃってこっちも傷つけられちゃうかも。」
それで納得した。
メルクリア氏が触ろうとして傷を負ったのはそのせいか。
あれから本人には会ってないけど大丈夫かなぁ。
「フィフィはそれに触っちゃったみたいだけど、特に問題なし。今の所普通の人に影響は無さそうだけど、念の為に魔術師は近づかない方がいいかもしれないね。」
「フィフティーヌ様が!?」
「エミリア、大丈夫だからそんな心配そうな声出さないの。」
「はい、すみません。」
エミリアは本当にメルクリア氏のことが大切なんだなぁ。
あのちっこいのの何処がいいのやら。
って、旦那がやきもちやいてどうするよ。
「とげが抜けないことは森の精霊様にも確認済みです。抜けなくは無いけれど、抜いたが最後、水が汚されるか森が枯れるとのことでしたので丁重にお断りしました。」
「精霊様でもダメかい。」
「シルフィも触りたくないから出たく無いって。」
リュカさんの精霊は出てたくも無いですかそうですか。
よっぽどのものなんだなぁ。
「うぅむ、私には魔術的なことは分かりませぬがそんなに恐ろしい物がイナバ様に刺さっているとは。本当に何とお詫びすればよいのか・・・。」
「過ぎた事を悔やんでも仕方ありません。今日はその先の事を話し合うためにここに来たんですから。」
「そうだ、私も詳しく聞いていない。本当に私を狙った狙撃ではなかったのか?」
「え、暗殺事件じゃなかったんですか!?」
シルビアの発言にティナさんが驚きの声を上げる。
そりゃビックリするよね。
今日までの約三週間、シルビアを暗殺する為の狙撃だと思って捜査していたわけなんだから。
「その辺に関してはストリさんに詳しく説明していただきます。もう一度言いますがこの先を聞けば事件から手を引くことは出来ません、今ならまだ手を引くことは出来ますが本当によろしいですね。」
「しつこいねぇ、さっさと言いなよ。こっちは門外不出の魔法が流出してギルド始まって依頼の大事件になってるんだ。さっさと犯人をとっちめないと内の不手際が世間様にバレちまうじゃないか。」
そっちの心配ですか!
いや、もちろんそっちも大事だと思うんですけど一応俺の命も危険に晒されたわけですし・・・。
あ、すみません睨まないで。
「私達はシュウイチさんの家族です、逃げるはずがありません。」
「私もだ、妻として元騎士団長として全てを聞き遂げる義務がある。」
「冒険者ギルド長として内の不手際を見逃す事ができません。それに、友人が大変な時に黙っていられるほど可愛い性格じゃないんです、私。」
「みなさんありがとうございます。」
「あ、じゃあ私は聞かないで帰ろっかなぁ・・・。」
感動の中リュカさんがその場から逃げ出すように後ろを向く。
「馬鹿いってんじゃないよ!あの日禁術庫の警護担当だったのはアンタじゃないか!」
だがフェリス様に一喝されしょぼんと下を向いてしまった。
おい、そもそもちゃんと警護してくれたら流出は無かったんじゃないか?
ということは俺の手が動かなくなったのは・・・。
「だって急に眠気が来て気付いたら朝だったんだんです!」
「急に眠気って事は何かされたんでしょうか。」
「それに関しても捜査してるけどなにぶん半年も前の話しだ、被害にあった当の本人がこれじゃ、まったく精霊師ともあろう者が。」
やれやれと肩を落とすフェリス様。
心中お察しします。
「まぁまぁ、とりあえず話しを進めましょう。では改めましてストリさんよろしくお願いします。」
今日の本題はここからだ。
何故狙撃事件が起きたのか。
そもそもの始まりを語ってもらわなければ話が始まらない。
俺に促されストリさんが一歩前に出て綺麗なお辞儀をする。
テナンさんといいハスラーさんといい、執事とかをしている人のお辞儀って本当に綺麗だよな。
「ご紹介いただきました私ブレイズ家の執事をしておりますストリと申します。此度の事件、世間では暗殺事件という事になっておりますが実際は我がブレイズ家の御息女レティシャ様を狙った暗殺未遂というのが事実でございます。レティシャ様は正体不明の相手に命を狙われており、現在はとある場所で身を潜めております。シルビア様の引退式をどうしても見たいというレティシャ様たっての願いをかなえるべくブレイズ家一同入念に計画を立て、そして安全だと確信して選んだ場所がシルビア様の真後ろだったのでございます。まさかシルビア様ごとレティシャ様を狙ってくるとは思わず、幸いイナバ様のおかげで命こそ拾ったもののこのような事態を招いてしまいました、真に申し訳ございません。」
「ちょっと待ってくれ、そのレティシャというのは一体誰なんだ?」
「現国王の第三王女レティーシャ様、現在病気療養という名目で秘密裏に王妃様の御実家であるブレイズ家へと戻りレティシャという名前で過ごしているそうです。」
「王女殿下の命が狙われている?そんな馬鹿な話があるか!」
「あるから困っているんですよ。暗殺理由は第三王女の身分、つまりは王家で何らかの問題が発生していると考えるしかありません。シルビア暗殺を隠れ蓑に秘密裏に行なわれていた王女暗殺事件。それが今回の狙撃に隠された真実です。」
皆呆然とした顔でストリさんの話しを聞いている。
うんうん、わかるよ。
俺も昨日そうだった。
こういうお膳立てが無かったら『こいつなに言ってんだ?』って終わっていたかもしれない。
「すまないが話が大きすぎて年寄りには付いていけないよ。王家でお家騒動だって?王位継承権のない王女を殺して一体何の得があるって言うんだい。」
「今の所相手の素性も分かりませんので理由も分かりかねます。」
「ならどうやって殺されそうだって分かったの?」
「半年ほど前ブレイズ家に一通の手紙が送られてきたのです。内容は『レティシャの命を頂戴する、死にたくなければ第三王女の身分を捨てろ』とだけ書いてございました。それをすぐ国王陛下へ知らせ、世間的には病の為ということで表舞台から身を隠したのでございます。嘘から出た実と申しますか現在レティシャ様は心の病を患い日々何かに怯えておられます。」
そのレティシャという人がどういう人なのかは知らないけど、いきなり死ねって言われて怯えない人はいないよな。
「身を隠しただけでは犯人は満足せず、今回実力行使に出たというわけか。」
「退団式に出る事を決めたのが前日、にもかかわらずレティシャ様が狙撃された事を考えると身内にも王国騎士団にも内通者がいるに違いありませぬ。今回私はお暇を戴いたということで秘密裏に行動しておりますが、頼れる所は何処にも無く狙撃をいち早く見破ったイナバ様を頼り馳せ参上いたしました。ここにおられる皆様は秘密を守れるお方と伺っております、どうかレティシャ様のために力をお貸しいただけませんでしょうか。」
深々と頭を下げるストリさん。
こんな大それた事件、何で俺のところに持ってくるかなぁ。
俺はただの商人で何でも屋じゃないはずなんですけど。
と、昨日までの俺は思っていた。
「その、これは私のような人間が関わっていい話なのでしょうか。」
「そうだよね、王家の問題に私達みたいな身分の低い人間が関わっちゃダメだよね。」
話しを聞いたティナさんとリュカさんが不安そうな顔でつぶやく。
「まぁ普通に考えて関わるだけ無駄だわな。」
「そうですよね!」
フェリス様も呆れ顔。
ま、それが普通の反応ですよね。
「そこを何とかお願いいたします!このままではレティシャ様は陽の下を歩く事もできず一生を終えることに、そのような不憫な思いをさせるわけにはいかんのです!」
「そういわれてもだね、王家の問題に首をつっこもうものなら命がいくつあっても足らないよ。それに解決した暁に何かもらえるってワケじゃないんだろ?」
「国王陛下もこの件には頭を抱えております、解決すればきっと何らかの褒美をいただけるものかと・・・。」
「それはあんたの考えで確証は無いわけだね?」
「左様でございます。」
「それじゃあ話しにならないよ、他を当りな。」
仮に受けるとしても見返りが無いのならやらない。
それもまた至極当然の反応だ。
フェリス様にガツンと言われうなだれてしまうストリさん。
「でもシュウイチさんは受けるんですよね。」
「そうですね、この前までの私なら受けなかったと思います。例の事件と一緒で、話が大きすぎて私のような商人には荷が重過ぎます。」
「だが今回は違うのだろう?」
「えぇ、どこまでできるかわかりませんが受けようと思います。」
「それは何故だ?正直に言って見返りは少なく危険の方が多いぞ。」
「このまま商店を営業しても何も変わりません、なので危険を承知で勝負に出てみようかと思うんです。」
「勝負に、ですか?」
ニケさんが不思議そうに首をかしげる。
「今回の件を解決出来たらそれなりの人に恩を売れますよね?それを元に商店をもっと大きくしたいんです。これまではコツコツ行くんだって思ってました。私はただの商人で大それたことはできないんだって。でも、今までの自分を見返してみると結構色々しているんです。ならもっと商店が大きくなっていてもおかしくないですよね?」
「確かに御主人様の功績を考えれば立派になっていてもおかしくありません。」
「私はもっと商店を大きくしたいんです。そうすれば冒険者はよりよい道具を仕入れる事が出来ますし、村はより栄える事が出来ます。自分の人生ですから私はもう自重しないって決めたんです。」
今までの俺はただの商人でいることに固執していた。
でもそれで得られるものは非常に少ない。
異世界なのにチートスキルも何もない俺がこの先どうやって生きていくのか。
そんなの簡単だ、功績を上げ続ければいい。
そうすれば俺はみんなの人生を背負えるだけの力を手に入れる事が出来る。
お金もそうだし後ろ盾だってできる。
それが俺がこの話を受けることにした一番の理由だ。
「シュウイチがやるというのであれば私達はそれについて行くだけだ。」
「そうですね、お一人では何をするかわかりません。」
頼りない旦那でどうもすみません。
「と、いう事で私は手伝います。皆さんはどうぞお好きにと言いたいところですが、先ほど言いましたように聞いたが最後、解決まで付き合っていただきますのでよろしくお願いいたします。」
死なばもろとも。
なんて気はさらさらないけどここに居るメンバーなら何とかなると思っている。
「最初からそのつもりでここに呼びつけたんだろ?迷惑な話だよ全く。」
「あはは、バレてましたか。」
「当たり前だよ、アンタより何年長生きしていると思ってんだい。若いくせに生意気言ってるんじゃないよ。」
「最後まで付き合いますと言いましたからね、お付き合いさせていただきます。」
「ありがとうございますティナさん。」
「御主人様が行くのであればそれに着いて行くだけです。」
「そうですね、奥様方に全部お任せするわけにはいきません。」
「私は帰りたいんだけどもう無理そうだし、エミリアの為に手を貸してあげる。」
相変らずリュカさんは俺を毛嫌いしているようだ。
でも力を貸して頂けるのはありがたい。
「と、いう事でみんなでお手伝いさせていただきます。さぁ、どこから始めましょうか。」
「ありがとうございます、ありがとうございます!」
何度も何度も頭を下げるストリさん。
あれだけ大きい事を言ったんだ、俺も頑張らないとな。
全ては俺と、商店とみんなの為だ。
さぁやるぞ!
「いや、舞い戻ってきましたは構わないんだが本当なのか?」
「詳しくはこの人から聞いて下さい、えっと・・・。」
「ブレイズ家執事ストリと申します、いやはやシルビア元騎士団長と直接お話できるとは。」
「騎士団に内通者がいるから極秘裏に会いたいと言ったのはストリさんですよ?」
「えぇ間違いなくおります。そうでなければレティシャ様の居場所がばれるはずがありませぬ。」
秋節最初の休息日二日目。
舞い戻ってきましたサンサトローズ。
早かったなぁ。
一ヶ月は戻らないつもりだったけどまさかの一週間。
ま、仕方ないよね!
「ドリスが騎士団に来た時は何事かと思ったが、うぅむ信じられん。」
「私だって信じたくありませんでした。ですが話しを聞けば聞くほど今までに感じていた矛盾に辻褄が合うんです。シルビアが狙われた理由、見つからない犯人、内通者の件はカムリ騎士団長から報告を受けていますよね。」
「あぁ、ティナギルド長とも情報は共有している。捜査情報を横流ししている騎士団員と冒険者がいる。現在特定を急いでいるが中々尻尾を出さなくてな、重要な情報は信頼できる人間にしか伝えないようにしているがそれにも限界がある。」
「ですからこうして場所を変えて一度しっかり話し合う必要があると思うんです。」
「だからといって、ここでそれを行なう必要は無いんじゃないかい?」
「サンサトローズにありながらサンサトローズでは無い場所、それを考えた時に一番適当だったのがここなんですよ。」
いきなり押しかけたので少々ご機嫌ナナメなフェリス様。
え、俺達が今何処にいるかって?
さっきも言ったじゃないですか『サンサトローズにありながらサンサトローズでは無い場所』、つまり魔術師ギルドの中ですよ。
「まぁ確かにここなら話が漏れる心配は無いね。だが私の仕事が進まない件についてはどうしてくれるんだい?」
「実はですね今日は王都でも予約必須の甘味を持参しておりまして、これでどうか目をつぶっていただけませんかね。」
「賄賂で私をゆすろう何ざいい度胸だ。でもまぁ、食べ物に罪は無いからね仕方なく受け取ってやるよ。ただし、後で書類整理手伝いな。」
「お任せ下さいフェリス様。」
「まったく、エミリアも面倒な旦那を持ったもんだ。」
そう言って元気に返事をしたエミリアのほうを向くフェリス様。
なにその哀れみの目は。
面倒な旦那でどうもすみませんね!
「私はシュウイチさんを面倒だとは思ったことありません。気を抜くとすぐに危険な事をしちゃうのには困りますけど・・・。」
「確かにそこには困り物だな。」
「シルビアまで、酷いなぁ。」
「夫婦でいちゃつくんなら他所でやりな。」
ジェスチャーであっちへ行けと言われてしまった。
行けって言われてもこの部屋からは出れないし・・・。
「フェリス様、ティナ冒険者ギルド長とシュリアン商店ユーリ様をお連れしました。」
「入りな。」
お、ティナさんも無事に到着か。
ちなみにここは魔術師ギルドでも一番情報が漏れない場所、フェリスギルド長の仕事場だ。
螺旋階段を上り三人が部屋にやってくる。
これで全員揃ったな。
「フェリスギルド長様、本日はお忙しい中ありがとうございます。」
「休息日に呼び出されてお互い不満だと思うが文句はそこの商人に言うんだね。」
「ここで会議をするだなんて事を言い出すのはイナバ様しかおりません、それに魔術師ギルドには一度入ってみたいと思っていたんです。」
「なんだい、あんたもこの男のお手つきかい。全く手が早い男だよ。」
「フェリス様それは誤解です。」
「本当かねぇ、こんな美人に囲まれてあんたの言葉には何の説得力も無いよ。」
確かに俺の周りは美人ばかりだ。
見た目だけなら完全にハーレム。
だが残念な事に誰一人にも手を出していない。
ヘタレと言いたきゃ言えばいいさ!
「さすがイナバ様ですな、これほどの人脈を持ち合わせておられるとは。」
「あの、イナバ様こちらの方は・・・。」
「今回の情報提供者です、自己紹介は後ほどということで・・・時間もありませんしはじめてもいいですか?」
「さっさとしておくれ。」
「では、本日はお忙しい中お集まり頂きありがとうございます。今日集まっていただいたのは他でもありません、シルビア暗殺事件についての新情報と新たに判明した別の事件の情報共有を行う為です。この場所をお借りしたのは他に情報を漏らさない為、なおこの情報を聞いたからには最後までお付き合いいただく必要がありますが、よろしいですか?」
全員の顔を順番に見ていく。
俺と目を合わせるたびに一人一人が頷いてくれる。
エミリア、シルビア様、ユーリ、ニケさん、ティナギルド長、リュカさん、そしてフェリス様。
全員の了承を得たということで話しをはじめる。
「まずは今回のおさらいからはじめましょう。事の始まりはシルビアの退団式で起きた狙撃事件。私が犯人に気付きシルビアをかばったことで狙撃は失敗しました。私が意識を失っている二週間の間に騎士団と冒険者ギルドが合同で捜査を開始、狙撃地点から魔術的な痕跡を発見した為、魔術師ギルドとも合同で捜査を開始。しかしながらそれ以降目だった情報は無く捜査は手詰まり状態。なお、騎士団冒険者ギルド共に情報漏えいの可能性があり現在極秘裏に調査中と、ここまで間違いないですね。」
「あぁ、シュウイチが商店に戻った後にも捜査に目立った進展は無い。」
「狙撃場所の残留物より魔術的な方法をとられたことが確認できていると思いますが、魔術師ギルドの見解はどうでしょうか。」
「残留物から呪術的な残滓を確認している、恐らく狙撃犯は自分の命を使って対象に確実な死をもたらす自滅魔法を使用した可能性があるね。」
「自滅魔法、そんな魔法があるんですな。」
ストリさんが驚いた顔をする。
ドラ〇ヱ的に言うとメガン〇でしょうか。
「随分昔、それこそ魔王と勇者がドンパチしていたような時代にはごく有り触れた魔法だったそうだけどね。今ではその危険性から禁止魔法として魔術師ギルドで厳重に保管されている、はずだった。」
「と、いうことはやはりここでも何らかの漏洩が?」
「恥ずかしい話しだけどね今回の一件が無ければ気付く事は無かっただろうよ。半年ほど前に何者かが禁術庫に侵入して魔法を盗んで行ったようだ。外部からの進入は出来ないから間違いなく内部の犯行だけど証拠が無くて分からずじまいさ。」
半年前。
つまりは俺がこの世界に来たときから今回の事件は計画されていた事になる。
「確実に死をもたらす自滅魔法。それを受けても死ななかったのは私が精霊の祝福を二つもうけていたから、そうですよね。」
「可能性を考えればそれしかない、事実狙撃された右腕は動かないけれどあんたは生きている。魔法に絶対は無いって言う生きた証人になったわけだ。」
「フェリス様、シュウイチさんの肩から血が流れた事があったんです。それはその魔法に関係ありますか?」
「あぁ、間違いなくそのせいだよ。魔力の弱い人間には見えないけれど私や精霊師にはその肩に刺さっているものが良く見える。リュカ、どうなっているか説明してやりな。」
あの、俺も精霊師っていう位置づけのはずなんですが見えないんですけど・・・。
え、だまってろ?
どうもすみません。
「私ですか!?えっと、こいつの肩にはどす黒くてどう考えてもよくない魔力をしたトゲトゲの矢が刺さっているの。それが魔力を止めちゃって動かないのかな。無理に動かせばそのトゲが身体の奥に刺さってしまって余計に身体を傷つけちゃいそう。」
「リュカ殿、それは抜けないのか?」
「うーん抜いたら最後体中の魔力が身体の外に流れ出て死んじゃうかな。さっき血が出たって言ってたけど、あんた無理やり動かしたでしょ。」
「あー、はい、動かしました。」
「そのせいで余計に食い込んじゃったんだね。でもまぁ動かさなかったら今の所害は無いし、魔力の少ない人には何の影響も無いと思うよ。逆に魔力が濃すぎるとよくない魔力に反応しちゃってこっちも傷つけられちゃうかも。」
それで納得した。
メルクリア氏が触ろうとして傷を負ったのはそのせいか。
あれから本人には会ってないけど大丈夫かなぁ。
「フィフィはそれに触っちゃったみたいだけど、特に問題なし。今の所普通の人に影響は無さそうだけど、念の為に魔術師は近づかない方がいいかもしれないね。」
「フィフティーヌ様が!?」
「エミリア、大丈夫だからそんな心配そうな声出さないの。」
「はい、すみません。」
エミリアは本当にメルクリア氏のことが大切なんだなぁ。
あのちっこいのの何処がいいのやら。
って、旦那がやきもちやいてどうするよ。
「とげが抜けないことは森の精霊様にも確認済みです。抜けなくは無いけれど、抜いたが最後、水が汚されるか森が枯れるとのことでしたので丁重にお断りしました。」
「精霊様でもダメかい。」
「シルフィも触りたくないから出たく無いって。」
リュカさんの精霊は出てたくも無いですかそうですか。
よっぽどのものなんだなぁ。
「うぅむ、私には魔術的なことは分かりませぬがそんなに恐ろしい物がイナバ様に刺さっているとは。本当に何とお詫びすればよいのか・・・。」
「過ぎた事を悔やんでも仕方ありません。今日はその先の事を話し合うためにここに来たんですから。」
「そうだ、私も詳しく聞いていない。本当に私を狙った狙撃ではなかったのか?」
「え、暗殺事件じゃなかったんですか!?」
シルビアの発言にティナさんが驚きの声を上げる。
そりゃビックリするよね。
今日までの約三週間、シルビアを暗殺する為の狙撃だと思って捜査していたわけなんだから。
「その辺に関してはストリさんに詳しく説明していただきます。もう一度言いますがこの先を聞けば事件から手を引くことは出来ません、今ならまだ手を引くことは出来ますが本当によろしいですね。」
「しつこいねぇ、さっさと言いなよ。こっちは門外不出の魔法が流出してギルド始まって依頼の大事件になってるんだ。さっさと犯人をとっちめないと内の不手際が世間様にバレちまうじゃないか。」
そっちの心配ですか!
いや、もちろんそっちも大事だと思うんですけど一応俺の命も危険に晒されたわけですし・・・。
あ、すみません睨まないで。
「私達はシュウイチさんの家族です、逃げるはずがありません。」
「私もだ、妻として元騎士団長として全てを聞き遂げる義務がある。」
「冒険者ギルド長として内の不手際を見逃す事ができません。それに、友人が大変な時に黙っていられるほど可愛い性格じゃないんです、私。」
「みなさんありがとうございます。」
「あ、じゃあ私は聞かないで帰ろっかなぁ・・・。」
感動の中リュカさんがその場から逃げ出すように後ろを向く。
「馬鹿いってんじゃないよ!あの日禁術庫の警護担当だったのはアンタじゃないか!」
だがフェリス様に一喝されしょぼんと下を向いてしまった。
おい、そもそもちゃんと警護してくれたら流出は無かったんじゃないか?
ということは俺の手が動かなくなったのは・・・。
「だって急に眠気が来て気付いたら朝だったんだんです!」
「急に眠気って事は何かされたんでしょうか。」
「それに関しても捜査してるけどなにぶん半年も前の話しだ、被害にあった当の本人がこれじゃ、まったく精霊師ともあろう者が。」
やれやれと肩を落とすフェリス様。
心中お察しします。
「まぁまぁ、とりあえず話しを進めましょう。では改めましてストリさんよろしくお願いします。」
今日の本題はここからだ。
何故狙撃事件が起きたのか。
そもそもの始まりを語ってもらわなければ話が始まらない。
俺に促されストリさんが一歩前に出て綺麗なお辞儀をする。
テナンさんといいハスラーさんといい、執事とかをしている人のお辞儀って本当に綺麗だよな。
「ご紹介いただきました私ブレイズ家の執事をしておりますストリと申します。此度の事件、世間では暗殺事件という事になっておりますが実際は我がブレイズ家の御息女レティシャ様を狙った暗殺未遂というのが事実でございます。レティシャ様は正体不明の相手に命を狙われており、現在はとある場所で身を潜めております。シルビア様の引退式をどうしても見たいというレティシャ様たっての願いをかなえるべくブレイズ家一同入念に計画を立て、そして安全だと確信して選んだ場所がシルビア様の真後ろだったのでございます。まさかシルビア様ごとレティシャ様を狙ってくるとは思わず、幸いイナバ様のおかげで命こそ拾ったもののこのような事態を招いてしまいました、真に申し訳ございません。」
「ちょっと待ってくれ、そのレティシャというのは一体誰なんだ?」
「現国王の第三王女レティーシャ様、現在病気療養という名目で秘密裏に王妃様の御実家であるブレイズ家へと戻りレティシャという名前で過ごしているそうです。」
「王女殿下の命が狙われている?そんな馬鹿な話があるか!」
「あるから困っているんですよ。暗殺理由は第三王女の身分、つまりは王家で何らかの問題が発生していると考えるしかありません。シルビア暗殺を隠れ蓑に秘密裏に行なわれていた王女暗殺事件。それが今回の狙撃に隠された真実です。」
皆呆然とした顔でストリさんの話しを聞いている。
うんうん、わかるよ。
俺も昨日そうだった。
こういうお膳立てが無かったら『こいつなに言ってんだ?』って終わっていたかもしれない。
「すまないが話が大きすぎて年寄りには付いていけないよ。王家でお家騒動だって?王位継承権のない王女を殺して一体何の得があるって言うんだい。」
「今の所相手の素性も分かりませんので理由も分かりかねます。」
「ならどうやって殺されそうだって分かったの?」
「半年ほど前ブレイズ家に一通の手紙が送られてきたのです。内容は『レティシャの命を頂戴する、死にたくなければ第三王女の身分を捨てろ』とだけ書いてございました。それをすぐ国王陛下へ知らせ、世間的には病の為ということで表舞台から身を隠したのでございます。嘘から出た実と申しますか現在レティシャ様は心の病を患い日々何かに怯えておられます。」
そのレティシャという人がどういう人なのかは知らないけど、いきなり死ねって言われて怯えない人はいないよな。
「身を隠しただけでは犯人は満足せず、今回実力行使に出たというわけか。」
「退団式に出る事を決めたのが前日、にもかかわらずレティシャ様が狙撃された事を考えると身内にも王国騎士団にも内通者がいるに違いありませぬ。今回私はお暇を戴いたということで秘密裏に行動しておりますが、頼れる所は何処にも無く狙撃をいち早く見破ったイナバ様を頼り馳せ参上いたしました。ここにおられる皆様は秘密を守れるお方と伺っております、どうかレティシャ様のために力をお貸しいただけませんでしょうか。」
深々と頭を下げるストリさん。
こんな大それた事件、何で俺のところに持ってくるかなぁ。
俺はただの商人で何でも屋じゃないはずなんですけど。
と、昨日までの俺は思っていた。
「その、これは私のような人間が関わっていい話なのでしょうか。」
「そうだよね、王家の問題に私達みたいな身分の低い人間が関わっちゃダメだよね。」
話しを聞いたティナさんとリュカさんが不安そうな顔でつぶやく。
「まぁ普通に考えて関わるだけ無駄だわな。」
「そうですよね!」
フェリス様も呆れ顔。
ま、それが普通の反応ですよね。
「そこを何とかお願いいたします!このままではレティシャ様は陽の下を歩く事もできず一生を終えることに、そのような不憫な思いをさせるわけにはいかんのです!」
「そういわれてもだね、王家の問題に首をつっこもうものなら命がいくつあっても足らないよ。それに解決した暁に何かもらえるってワケじゃないんだろ?」
「国王陛下もこの件には頭を抱えております、解決すればきっと何らかの褒美をいただけるものかと・・・。」
「それはあんたの考えで確証は無いわけだね?」
「左様でございます。」
「それじゃあ話しにならないよ、他を当りな。」
仮に受けるとしても見返りが無いのならやらない。
それもまた至極当然の反応だ。
フェリス様にガツンと言われうなだれてしまうストリさん。
「でもシュウイチさんは受けるんですよね。」
「そうですね、この前までの私なら受けなかったと思います。例の事件と一緒で、話が大きすぎて私のような商人には荷が重過ぎます。」
「だが今回は違うのだろう?」
「えぇ、どこまでできるかわかりませんが受けようと思います。」
「それは何故だ?正直に言って見返りは少なく危険の方が多いぞ。」
「このまま商店を営業しても何も変わりません、なので危険を承知で勝負に出てみようかと思うんです。」
「勝負に、ですか?」
ニケさんが不思議そうに首をかしげる。
「今回の件を解決出来たらそれなりの人に恩を売れますよね?それを元に商店をもっと大きくしたいんです。これまではコツコツ行くんだって思ってました。私はただの商人で大それたことはできないんだって。でも、今までの自分を見返してみると結構色々しているんです。ならもっと商店が大きくなっていてもおかしくないですよね?」
「確かに御主人様の功績を考えれば立派になっていてもおかしくありません。」
「私はもっと商店を大きくしたいんです。そうすれば冒険者はよりよい道具を仕入れる事が出来ますし、村はより栄える事が出来ます。自分の人生ですから私はもう自重しないって決めたんです。」
今までの俺はただの商人でいることに固執していた。
でもそれで得られるものは非常に少ない。
異世界なのにチートスキルも何もない俺がこの先どうやって生きていくのか。
そんなの簡単だ、功績を上げ続ければいい。
そうすれば俺はみんなの人生を背負えるだけの力を手に入れる事が出来る。
お金もそうだし後ろ盾だってできる。
それが俺がこの話を受けることにした一番の理由だ。
「シュウイチがやるというのであれば私達はそれについて行くだけだ。」
「そうですね、お一人では何をするかわかりません。」
頼りない旦那でどうもすみません。
「と、いう事で私は手伝います。皆さんはどうぞお好きにと言いたいところですが、先ほど言いましたように聞いたが最後、解決まで付き合っていただきますのでよろしくお願いいたします。」
死なばもろとも。
なんて気はさらさらないけどここに居るメンバーなら何とかなると思っている。
「最初からそのつもりでここに呼びつけたんだろ?迷惑な話だよ全く。」
「あはは、バレてましたか。」
「当たり前だよ、アンタより何年長生きしていると思ってんだい。若いくせに生意気言ってるんじゃないよ。」
「最後まで付き合いますと言いましたからね、お付き合いさせていただきます。」
「ありがとうございますティナさん。」
「御主人様が行くのであればそれに着いて行くだけです。」
「そうですね、奥様方に全部お任せするわけにはいきません。」
「私は帰りたいんだけどもう無理そうだし、エミリアの為に手を貸してあげる。」
相変らずリュカさんは俺を毛嫌いしているようだ。
でも力を貸して頂けるのはありがたい。
「と、いう事でみんなでお手伝いさせていただきます。さぁ、どこから始めましょうか。」
「ありがとうございます、ありがとうございます!」
何度も何度も頭を下げるストリさん。
あれだけ大きい事を言ったんだ、俺も頑張らないとな。
全ては俺と、商店とみんなの為だ。
さぁやるぞ!
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