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第九章
自分の道は自分で決める
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俺の気持ちとは裏腹に翌日の朝は抜けるような晴天だった。
今日は秋の節最初の休息日。
そう、待ちに待った収穫の日だ。
いくら俺の心が晴れ渡っていなくても、陽は登り朝は来る。
むしろこんな気持ちの時に大雨とかの方が余計に気が滅入ってしまったであろう。
これでいいんだ。
俺の気持ちなんて今はどうでもいい。
折角の日に水をさす様な事をしちゃいけない。
「お待たせしました。」
「よぅ兄ちゃんやっと来たか。」
「すみません寝過ごしまして。」
「おいおい大丈夫かよ、今日は大仕事だぜ。」
「大丈夫ですよ、それに動かせるのは片腕だけですから裏方で頑張らせてもらいますし。」
「・・・本当に動かないんだな。」
「えぇ、森の精霊様にも確認済みです。」
オッサンの目線がフッと下に逸れる。
俺の腕が動かないことは村中の人が知っていることだ。
みんな明るくふるまってくれはするものの、右腕に関することはタブーにしているみたいだな。
でも今はその配慮が逆につらい。
なんだか一人だけのけ者にされているような感じだ。
もちろんそんな気はないんだろうけど。
「まぁその分ユーリが頑張ってくれるそうなので期待していてください。」
「御主人様、私が頑張るのは当たり前の事ですが無暗に期待をあおるのはご遠慮ください。」
「ユーリ様だけではなく私も精いっぱい頑張らせていただきます。」
ユーリもニケさんもやる気満々だ。
良きかな良きかな。
「では私は村長様の所に挨拶に行ってきますね。」
「あ、お願いします。」
エミリアと俺は補助係だ、実作業は二人にお任せすることになっている。
「それで、その爺さんはいったい何者なんだ?」
「あぁ、この人の事は気にしないでください。」
「気にしないでくれって言われてもな、客人ならもてなさないわけにはいかないだろ。」
「大丈夫ですよ、何故なら・・・。」
「不肖ブレイズ家執事、微力ながらお手伝いさせていただきますぞ。」
「と、いう事です。」
俺達の他にもう一人。
昨日やってきたこの人も一緒に参加することになっている。
この人がやってきたのが日暮れ頃、さすがに夜の森に放り出すこともできず昨日は一泊してもらった。
そして収穫祭だからという理由で一人商店に置いておくわけにもいかず連れてくることにした。
というか勝手についてきた。
「執事だぁ?兄ちゃんの手が動かないからって人まで雇ったのか?」
「違いますよ。この人が自主的に参加すると言ってきかないんです。」
「イナバ様の腕の代わりになることが我が使命、遠慮なく使ってくだされ。」
「使ってくだされって言われてもなぁ、本当に大丈夫なのか?」
「ちょうどブレイズ家でも収穫を終えたばかりですからな、この程度の畑であれば半日かからず終わりましょう。」
「この程度ってどんだけでかい畑なんだよ。」
「そうですな、ざっと10倍でしょうか。」
10倍て。
でかすぎだろ。
さも当たり前という顔で返事をする老爺に呆然とする俺とオッサン。
うん、まぁ人手が増えるのは良い事じゃないかな。
「とりあえずもう作業は始まってる、加勢してやってくれ。」
「おまかせくだされ。」
一礼すると老爺はさっそうと現場へ向かった。
ほんとあの爺さん何者なんだろう。
背中にチャックとかついてて実は若者が入ってましたとか言わないよな。
「なぁ、あの爺さん何者なんだ?」
「さぁ、実は名前も聞いてないんですよ。」
「まったくお前が連れて来る人間はいつも普通じゃないな。」
「それを言うとウェリスなんかも普通じゃなくなってしまいますよ?」
「あいつも十分普通じゃねぇよ。」
よかったなウェリス、気づかないところで普通じゃない認定されてるぞ。
「それじゃあこっちも行きますか。」
「俺は畑に行く、お前は他の女達の手伝いを頼んだぞ。」
「了解です。」
さて現場は任せて裏方に回りますかね。
俺はグッと拳に力を入れるとエミリアの待つ村長の家へと向かった。
「おはようございます。」
「これはイナバ様おはようございます。」
「いい天気になってよかったですね。」
「えぇ本当に。これもイナバ様の日ごろの行いが良いおかげでしょう。」
「そこはニッカさんの行いじゃないんでしょうか。」
「私など最近はいつもサボる事ばかり考えておりますので、やはりイナバ様の行いのおかげですよ。」
俺の行いねぇ。
昔の俺ならサボる事ばかり考えていたけど、ここにきてその考えは出なくなったな。
そういう意味では日頃の行いはいい方なのか?
「我が娘を助けてくれた、それだけで十分晴れるというものです。」
「それは言い過ぎです。」
「これが言い過ぎなのであればいったい何に感謝すればいいのですか。妻を亡くし今度は娘を、そして息子を亡くすところでした。イナバ様には感謝しかありません。」
「それに関してはたまたま体が動いただけで、結果として無事だったというだけです。」
「結果二人とも生きているそれで十分です。さぁ今日は忙しくなりますよ、エミリア様とセレンには食事の準備をお願いしておりますのでイナバ様は私と共にこちらをお願いします。なに、収穫運搬脱穀とやることは山ほどありますから今日はサボらせませんよ。」
「それはニッカさんが、じゃないんですか?」
「ハッハッハ、そうでしたな。」
ニッカさんには何もかもお見通しか。
今日は絶好の収穫日和だ。
手を動かしていれば余計な事は考えなくて済む。
今は自分に出来る事をするだけだ。
それからしばらく、俺は無心になって手を動かし続けた。
そして昼が過ぎ・・・。
「おい、お前の連れてきたあの爺さん何者なんだ?本当に昼までに全部刈り取っちまったぞ。」
「本人に聞いてくださいよ。」
「聞いても執事ならこれが出来て当たり前だしか言わねぇんだよ。」
「じゃあそうなんじゃないんですか?」
「俺はこの村の事しか知らねぇが、そうか執事っていうのは金持ちの家にいる召使じゃなかったのか。」
いや、普通はただの召使だと思います。
と言うとまた話しがややこしくなりそうなので、オッサンには誤解したままでいてもらおう。
それがいい。
「広場に昼食が出来てますから手が空いた人から食べてもらってください、後は脱穀と乾燥だけですからこっちでやります。」
「残った藁はどうする?」
「普段は何に使ってますか?」
「祭りの最後に燃やして畑の肥料にしているぐらいだな。」
「牛を飼うなら飼料に出来ますが、そうですね今年も燃やしてしまいましょう。」
「いいのか?」
「畑は村の命です、土地が痩せる事を考えたらその方がいいでしょう。」
森の傍なんだから腐葉土という手も無くは無い。
だけど俺はただのサラリーマンで農業経験者じゃない、どの土が肥えているかとか専門外だ。
その辺は分かる人にお任せするのが一番だろう。
「そうだな、来年には水を引いてより大きな畑にするんだ土は肥えているほうがいい。」
「冬用の野菜を作るのなら畑に敷き詰めるという手もありますが、作る予定は無いんですよね。」
「冬に野菜?聞いた事ねぇなぁ。」
なんだって!
という事は白菜っぽい野菜は無いのか。
鍋、したかったなぁ。
でもあれか昆布が無いからそもそも出汁がないのか。
鶏肉から出汁は出るけどやっぱり昆布がいいよね。
今度ネムリに聞いてみよう。
「今年は豊作だし多目に払った税金の事を考えても十分な蓄えが残る。そういった事は来年また余裕が出来たら考えるさ。」
「作物の出来は素人なので良くわかりませんが粒も大きそうですね。」
「あぁ、実入りも十分だ。ほんとお前が来てからこの村は変わったよ。」
「それは良いほうにですか?」
「当たり前だ。村が大きくなることに不満がある奴なんか一人もいねぇ、それはみんなの顔を見たらお前にだって分かるだろ?」
「心では何を思っているか分かりませんよ。」
人の心の中を知ることはできない。
本当は俺の事を嫌っているかもしれない。
「そんな心の貧しい人間はここにはいねぇよ。今までの苦労を考えれば、飢えず苦します死なずといい事ばかりだ。そりゃあいつもよりも大変さ、だがな俺達にとって手を動かす仕事があるって事は幸せだ。手を動かせば何かが生まれる、そしてそれが自分に帰ってくることも分かっている。そのきっかけ作ってくれたのがお前なんだよ。」
オッサンの言葉は真っ直ぐだ。
真っ直ぐだからこそ今の俺の心に矢のように突き刺さってくる。
引き抜けば鏃が傷を抉り血が溢れる。
俺はそんなに出来た人間じゃない。
昨日みたいに当事者じゃない人に当り散らしてしまう。
もちろんオッサンが本心で言ってくれているのは分かる。
分かるからこそ、そういわれると心が苦しくなる。
「これからも微力ながらお手伝いさせていただきます。」
「あぁ頼りにしてるぜ。なに、昔からお前の腕っ節には期待してねぇからなそこは安心しろ。」
「あはは、ひ弱ですみません。」
「じゃあ後は頼んだぜ。」
ポンと俺の肩に手を置き、笑いながらオッサンは広場へと向かって行った。
大きな笑い声が村中に響き渡る。
俺もいつかああやって笑える日が来るんだろうか。
「シュウイチさん、麦の運搬終わりました。」
「すぐに行きます。」
今の顔を見せたらまたエミリアが心配してしまう。
パンっと頬を叩いてから俺は仕事に戻った。
気付けば夕刻。
刈り取りが早かったおかげで落穂を拾い終えてもまだ陽は登ったままだ。
広場には収穫を終えた村人が集まっている。
木材を組上げていたからあそこで藁を燃やすんだろう。
即席のキャンプファイアーというワケだ。
後夜祭には必需品だよね。
最近は街中で火を使うのは難しいから学園祭とかで見る事はなくなったけど、田舎の方とか行ったらまだあるんだろうか。
「ご主人様ドリスさんが参りました。」
「またオッサンか。」
「またとか言うなよ、折角労いに来てやったのに。」
「せっかくなら美人に労って欲しい所です。」
「お、言いやがったな嫁に言いつけてやる。」
「いやいや子供じゃないんですから。」
「失礼ながら今のやり取りはお二人とも子供みたいなものですが。」
ユーリが冷静につっこみを入れる。
「まぁ男なんてもんは死ぬまで子供だ。」
「それ、自分で言っちゃダメでしょ。」
「何でだよ。」
「そんな事言うから新しい嫁が出来ないんです。」
「もう結婚なんて十分だよ。」
ウェリスのようにまた誰かとくっつく気は無いようだ。
ニッカさんも大変だなぁ。
「ユーリ様、手伝ってもらっていいですかー!」
と、広場の奥からニケさんがユーリを呼ぶ声が聞こえてくる。
「すみませんご主人様行って来ます。」
「行ってらっしゃい。」
「上手い飯たのむぜ。」
「お任せ下さい。」
セレンさんを含めこの村には料理上手が多い。
失敗する事はまず無いだろう。
ユーリが合流すると料理を作っていた集まりの中から歓声が上がった。
なんの話しをしたんだ?
「みんな浮かれてやがる。」
「そりゃそうでしょう、豊作の上に落穂まで全部拾えたんですから。」
「例年次の日には鳥に喰われて残ってないからな、そういう意味でも大収穫か。」
「落穂一つとはいえ実りには変わりませんからね。」
「街に行くのが楽しみだぜ。」
「明日行くんでしたっけ?」
「あぁ、市が開いているうちに売りに行く。遅れれば値段が下がっちまうからな。」
先日提案した案はまだ審議中だろう。
仮に変わるとしても随分と先になる。
それまでは今までどおり穀物価格の変化が直接金額に影響してくるわけだ。
出来るならば早く変更して欲しい所だな。
「この後呑み過ぎないでくださいよ。」
「馬鹿野郎、収穫祭で飲まずにいつ呑むんだよ。」
「そう言ってなんだかんだ今年は呑んでるじゃないですか。」
「そうだったか?」
「後夜祭で酔いつぶれてウェリスに引きずられたの覚えてないんですか?」
「そういえばそんな事もあったなぁ。」
これだから飲兵衛は。
「今日はその場に転がしておくように皆に言っておきます。一度風邪をひけばいい薬になりますよ。」
「夕方雲の流れが速かったからな、今日は冷え込むぞ。」
「霜が降りる前に収穫できてよかった。」
「まったくだ、お前の連れてきてくれたあの爺さんのおかげだよ。後でお礼言っといてくれ。」
「そういう事は御自分でお願いします。」
昨日のあれだけ言いたい放題したのでなんとなく顔を合わせ辛い。
あの人は何も悪くない、ただ俺を頼って来ただけだ。
にもかかわらず俺は理不尽な怒りをぶつけてしまった。
後でエミリアから宿に泊まってもらったと聞いている。
俺に謝っておいてくれと重々お願いされたそうだ。
そんな事があったにも関わらず、今日一日文句一つ言わず手伝ってくれたんだからやっぱりお礼ぐらい言うべきだよなぁ・・・。
「お、そろそろ始まるぞ。」
広場の中央に若手が集まりオレンジ色の火が点った瞬間に歓声が上がった。
さぁ、後夜祭の始まりだ。
「これから大変だろうが何かあったらすぐ言えよ、嫁にだって言いにくい事あるだろ。」
「急にどうしたんですか?」
「何か考えている事ぐらい、いくら鈍感な俺にもわかるってもんだ。お前が何をしようと俺達は決して文句は言わねぇ、そりゃあ仁義に反するような事は無理だが筋が通っているなら反対する奴はいねぇよ。」
突然真剣な顔で俺をみるオッサン。
そうか、そんなに顔に出ていたのか。
「そんなにわかりやすいですか?」
「お前んとこの嫁達もわかって何も言わないんだろ?ならそれが答えだ。」
「好きにしていいと?」
「そりゃそうだ、俺が俺の人生を好きにしてるようにお前だって自分の人生好きにすりゃいい。」
「もう俺一人の人生じゃないんですよ。」
「それを背負っていくのがお前の人生だろ。背負いながらも一人で決めるしかねぇんだよ。」
みんなと一緒に生きるのが当たり前だと思っていた。
俺は一人じゃない。
みんながいるから大丈夫だと思っていた。
でもそうじゃない。
みんなの人生っていう大切な物を背負いつつ、俺は俺の人生を決めないといけない。
そうだよな、結局は俺の人生だもんな。
そんな俺の人生にエミリア達はついてきてくれるって言ってくれているんだよな。
甘えてばかりじゃダメだ。
俺がしっかりしないと。
「あ~、生きるって大変だなぁオッサン。」
「前にも言ったがお前にオッサン言われるほど老けてねぇよ。でもまぁいつものお前より今のお前のほうが俺は好きだぜ。」
「オッサンに告白されても何も嬉しくねぇ。」
「馬鹿野郎俺だってお前なんてごめんだよ。」
二人して大声出して笑い合う。
声を出して笑うなんて何時振りだろうか。
いつも誰かの為にとか考えて生きてきたけど、結局は自分の為なんだよな。
俺が俺の人生を決める、そんな至極当然な事を俺は忘れていたのかもしれない。
「さて、真面目な話しもしたし俺も行ってくるかな。」
「楽しんできてください。」
「何だ来ないのか?」
「残った用事を片付けたら行きます。」
用事なんて残ってないけど、なんとなくあの輪の中に入りづらい。
勝手な被害者意識だって分かっている。
ただなんとなく今はまだ入れない気がするんだ。
ちゃんとけじめを付けたらすぐに行くよ。
それからしばらく離れた所からオレンジ色の炎を見守る。
外は真っ暗になり、炎の近くで踊る村人の影がユラユラと揺れて幻想的だった。
エミリア達は忙しそうにしている。
手が空くのはもう少し先かな。
「隣、よろしいですかな。」
暗闇の中一人たたずむ俺の隣に一番会い辛い人がやってきてしまった。
何でわざわざ・・・いや、用があるんだから当然か。
「今日は1日お疲れ様でした、本当にお昼までに終わらせてしまいましたね。」
「我ながら年甲斐も無く頑張ってしまいました。この村の人はいいですな、裏表無く素直に喜んでくださる。働き甲斐があるというものです。」
「皆さんお礼を言いたそうにしていましたよ、あっちには行かないんですか?」
「いやいやあの炎は私のような年寄りには強すぎます、それに今日の主役は村の皆さんですからな、老いぼれは大人しくしておきましょう。」
あくまでも謙虚に。
自分の手柄を驕ることなく当たり前のように振舞う。
こういう人の事を『紳士』というんだろう。
そんな人に俺は昨日心無い言葉をぶつけてしまった。
「あの、昨日は・・・。」
「昨日の件はどうぞ気になさらないで下さい。イナバ様の怒りは至極当然のものです、私どものせいで大切な腕が動かなくなってしまった、それは間違いようの無い事実ですからな。」
俺の怒りは当たり前だ、だから昨日の事は気にするな。
この人は簡単にそう言ってのけるが、普通なら逆ギレされてもおかしくない。
俺だったら『俺に言うなよ!』って言ってしまいそうだ。
にもかかわらずこの人は気にするなと言ってしまう。
ニッカさんもそうだが、歳を取るとこういう余裕が生まれるのだろうか。
「昨日の件ですが、私に助けて欲しいとはどういう事なのでしょう。」
「と、いうことはお受けいただけるのですかな?」
「いえ、受けると決めたわけではありません。ですが、何も知らずに断るのは少し違うような気がするんです。全部聞いてから決めても遅くありません。」
「昨日言いましたように最後まで説明すれば否が応にも受けていただく必要が出てきますぞ。」
「いいえ、それを決めるのも私自身です。」
「・・・なるほど全部分かった上で決めるわけですな。」
「私の命は私のものです、それが他人に左右されるのはおかしな話じゃありませんか?」
「確かにその通りですな。」
俺の命を生かすも殺すも俺次第。
他人にあれこれ強制されるものじゃない。
だから全部知った上で自分でどうするかを決める。
例えそれが命を狙われる事になってもだ。
「わかりました全てお話いたします。それでもなお、レティシャ様の事を考えていただけるのであればどうかお力をお貸し下さい。」
別にこの人の為に受けるわけじゃない。
もちろんよく知らないそのレティシャという人のためでもない。
俺は俺の気持ちと折り合いをつけるために話しを聞く。
この先どうするかはそれ次第だ。
もし俺ひとりでどうにもならない話ならすんなり断ればいい。
俺には店がある。
それに折角再開したのにまた休むんじゃ本末転倒だからね。
遠くで燃える歓喜の炎に照らされながら、俺はこの先の未来の話しに耳を傾けた。
今日は秋の節最初の休息日。
そう、待ちに待った収穫の日だ。
いくら俺の心が晴れ渡っていなくても、陽は登り朝は来る。
むしろこんな気持ちの時に大雨とかの方が余計に気が滅入ってしまったであろう。
これでいいんだ。
俺の気持ちなんて今はどうでもいい。
折角の日に水をさす様な事をしちゃいけない。
「お待たせしました。」
「よぅ兄ちゃんやっと来たか。」
「すみません寝過ごしまして。」
「おいおい大丈夫かよ、今日は大仕事だぜ。」
「大丈夫ですよ、それに動かせるのは片腕だけですから裏方で頑張らせてもらいますし。」
「・・・本当に動かないんだな。」
「えぇ、森の精霊様にも確認済みです。」
オッサンの目線がフッと下に逸れる。
俺の腕が動かないことは村中の人が知っていることだ。
みんな明るくふるまってくれはするものの、右腕に関することはタブーにしているみたいだな。
でも今はその配慮が逆につらい。
なんだか一人だけのけ者にされているような感じだ。
もちろんそんな気はないんだろうけど。
「まぁその分ユーリが頑張ってくれるそうなので期待していてください。」
「御主人様、私が頑張るのは当たり前の事ですが無暗に期待をあおるのはご遠慮ください。」
「ユーリ様だけではなく私も精いっぱい頑張らせていただきます。」
ユーリもニケさんもやる気満々だ。
良きかな良きかな。
「では私は村長様の所に挨拶に行ってきますね。」
「あ、お願いします。」
エミリアと俺は補助係だ、実作業は二人にお任せすることになっている。
「それで、その爺さんはいったい何者なんだ?」
「あぁ、この人の事は気にしないでください。」
「気にしないでくれって言われてもな、客人ならもてなさないわけにはいかないだろ。」
「大丈夫ですよ、何故なら・・・。」
「不肖ブレイズ家執事、微力ながらお手伝いさせていただきますぞ。」
「と、いう事です。」
俺達の他にもう一人。
昨日やってきたこの人も一緒に参加することになっている。
この人がやってきたのが日暮れ頃、さすがに夜の森に放り出すこともできず昨日は一泊してもらった。
そして収穫祭だからという理由で一人商店に置いておくわけにもいかず連れてくることにした。
というか勝手についてきた。
「執事だぁ?兄ちゃんの手が動かないからって人まで雇ったのか?」
「違いますよ。この人が自主的に参加すると言ってきかないんです。」
「イナバ様の腕の代わりになることが我が使命、遠慮なく使ってくだされ。」
「使ってくだされって言われてもなぁ、本当に大丈夫なのか?」
「ちょうどブレイズ家でも収穫を終えたばかりですからな、この程度の畑であれば半日かからず終わりましょう。」
「この程度ってどんだけでかい畑なんだよ。」
「そうですな、ざっと10倍でしょうか。」
10倍て。
でかすぎだろ。
さも当たり前という顔で返事をする老爺に呆然とする俺とオッサン。
うん、まぁ人手が増えるのは良い事じゃないかな。
「とりあえずもう作業は始まってる、加勢してやってくれ。」
「おまかせくだされ。」
一礼すると老爺はさっそうと現場へ向かった。
ほんとあの爺さん何者なんだろう。
背中にチャックとかついてて実は若者が入ってましたとか言わないよな。
「なぁ、あの爺さん何者なんだ?」
「さぁ、実は名前も聞いてないんですよ。」
「まったくお前が連れて来る人間はいつも普通じゃないな。」
「それを言うとウェリスなんかも普通じゃなくなってしまいますよ?」
「あいつも十分普通じゃねぇよ。」
よかったなウェリス、気づかないところで普通じゃない認定されてるぞ。
「それじゃあこっちも行きますか。」
「俺は畑に行く、お前は他の女達の手伝いを頼んだぞ。」
「了解です。」
さて現場は任せて裏方に回りますかね。
俺はグッと拳に力を入れるとエミリアの待つ村長の家へと向かった。
「おはようございます。」
「これはイナバ様おはようございます。」
「いい天気になってよかったですね。」
「えぇ本当に。これもイナバ様の日ごろの行いが良いおかげでしょう。」
「そこはニッカさんの行いじゃないんでしょうか。」
「私など最近はいつもサボる事ばかり考えておりますので、やはりイナバ様の行いのおかげですよ。」
俺の行いねぇ。
昔の俺ならサボる事ばかり考えていたけど、ここにきてその考えは出なくなったな。
そういう意味では日頃の行いはいい方なのか?
「我が娘を助けてくれた、それだけで十分晴れるというものです。」
「それは言い過ぎです。」
「これが言い過ぎなのであればいったい何に感謝すればいいのですか。妻を亡くし今度は娘を、そして息子を亡くすところでした。イナバ様には感謝しかありません。」
「それに関してはたまたま体が動いただけで、結果として無事だったというだけです。」
「結果二人とも生きているそれで十分です。さぁ今日は忙しくなりますよ、エミリア様とセレンには食事の準備をお願いしておりますのでイナバ様は私と共にこちらをお願いします。なに、収穫運搬脱穀とやることは山ほどありますから今日はサボらせませんよ。」
「それはニッカさんが、じゃないんですか?」
「ハッハッハ、そうでしたな。」
ニッカさんには何もかもお見通しか。
今日は絶好の収穫日和だ。
手を動かしていれば余計な事は考えなくて済む。
今は自分に出来る事をするだけだ。
それからしばらく、俺は無心になって手を動かし続けた。
そして昼が過ぎ・・・。
「おい、お前の連れてきたあの爺さん何者なんだ?本当に昼までに全部刈り取っちまったぞ。」
「本人に聞いてくださいよ。」
「聞いても執事ならこれが出来て当たり前だしか言わねぇんだよ。」
「じゃあそうなんじゃないんですか?」
「俺はこの村の事しか知らねぇが、そうか執事っていうのは金持ちの家にいる召使じゃなかったのか。」
いや、普通はただの召使だと思います。
と言うとまた話しがややこしくなりそうなので、オッサンには誤解したままでいてもらおう。
それがいい。
「広場に昼食が出来てますから手が空いた人から食べてもらってください、後は脱穀と乾燥だけですからこっちでやります。」
「残った藁はどうする?」
「普段は何に使ってますか?」
「祭りの最後に燃やして畑の肥料にしているぐらいだな。」
「牛を飼うなら飼料に出来ますが、そうですね今年も燃やしてしまいましょう。」
「いいのか?」
「畑は村の命です、土地が痩せる事を考えたらその方がいいでしょう。」
森の傍なんだから腐葉土という手も無くは無い。
だけど俺はただのサラリーマンで農業経験者じゃない、どの土が肥えているかとか専門外だ。
その辺は分かる人にお任せするのが一番だろう。
「そうだな、来年には水を引いてより大きな畑にするんだ土は肥えているほうがいい。」
「冬用の野菜を作るのなら畑に敷き詰めるという手もありますが、作る予定は無いんですよね。」
「冬に野菜?聞いた事ねぇなぁ。」
なんだって!
という事は白菜っぽい野菜は無いのか。
鍋、したかったなぁ。
でもあれか昆布が無いからそもそも出汁がないのか。
鶏肉から出汁は出るけどやっぱり昆布がいいよね。
今度ネムリに聞いてみよう。
「今年は豊作だし多目に払った税金の事を考えても十分な蓄えが残る。そういった事は来年また余裕が出来たら考えるさ。」
「作物の出来は素人なので良くわかりませんが粒も大きそうですね。」
「あぁ、実入りも十分だ。ほんとお前が来てからこの村は変わったよ。」
「それは良いほうにですか?」
「当たり前だ。村が大きくなることに不満がある奴なんか一人もいねぇ、それはみんなの顔を見たらお前にだって分かるだろ?」
「心では何を思っているか分かりませんよ。」
人の心の中を知ることはできない。
本当は俺の事を嫌っているかもしれない。
「そんな心の貧しい人間はここにはいねぇよ。今までの苦労を考えれば、飢えず苦します死なずといい事ばかりだ。そりゃあいつもよりも大変さ、だがな俺達にとって手を動かす仕事があるって事は幸せだ。手を動かせば何かが生まれる、そしてそれが自分に帰ってくることも分かっている。そのきっかけ作ってくれたのがお前なんだよ。」
オッサンの言葉は真っ直ぐだ。
真っ直ぐだからこそ今の俺の心に矢のように突き刺さってくる。
引き抜けば鏃が傷を抉り血が溢れる。
俺はそんなに出来た人間じゃない。
昨日みたいに当事者じゃない人に当り散らしてしまう。
もちろんオッサンが本心で言ってくれているのは分かる。
分かるからこそ、そういわれると心が苦しくなる。
「これからも微力ながらお手伝いさせていただきます。」
「あぁ頼りにしてるぜ。なに、昔からお前の腕っ節には期待してねぇからなそこは安心しろ。」
「あはは、ひ弱ですみません。」
「じゃあ後は頼んだぜ。」
ポンと俺の肩に手を置き、笑いながらオッサンは広場へと向かって行った。
大きな笑い声が村中に響き渡る。
俺もいつかああやって笑える日が来るんだろうか。
「シュウイチさん、麦の運搬終わりました。」
「すぐに行きます。」
今の顔を見せたらまたエミリアが心配してしまう。
パンっと頬を叩いてから俺は仕事に戻った。
気付けば夕刻。
刈り取りが早かったおかげで落穂を拾い終えてもまだ陽は登ったままだ。
広場には収穫を終えた村人が集まっている。
木材を組上げていたからあそこで藁を燃やすんだろう。
即席のキャンプファイアーというワケだ。
後夜祭には必需品だよね。
最近は街中で火を使うのは難しいから学園祭とかで見る事はなくなったけど、田舎の方とか行ったらまだあるんだろうか。
「ご主人様ドリスさんが参りました。」
「またオッサンか。」
「またとか言うなよ、折角労いに来てやったのに。」
「せっかくなら美人に労って欲しい所です。」
「お、言いやがったな嫁に言いつけてやる。」
「いやいや子供じゃないんですから。」
「失礼ながら今のやり取りはお二人とも子供みたいなものですが。」
ユーリが冷静につっこみを入れる。
「まぁ男なんてもんは死ぬまで子供だ。」
「それ、自分で言っちゃダメでしょ。」
「何でだよ。」
「そんな事言うから新しい嫁が出来ないんです。」
「もう結婚なんて十分だよ。」
ウェリスのようにまた誰かとくっつく気は無いようだ。
ニッカさんも大変だなぁ。
「ユーリ様、手伝ってもらっていいですかー!」
と、広場の奥からニケさんがユーリを呼ぶ声が聞こえてくる。
「すみませんご主人様行って来ます。」
「行ってらっしゃい。」
「上手い飯たのむぜ。」
「お任せ下さい。」
セレンさんを含めこの村には料理上手が多い。
失敗する事はまず無いだろう。
ユーリが合流すると料理を作っていた集まりの中から歓声が上がった。
なんの話しをしたんだ?
「みんな浮かれてやがる。」
「そりゃそうでしょう、豊作の上に落穂まで全部拾えたんですから。」
「例年次の日には鳥に喰われて残ってないからな、そういう意味でも大収穫か。」
「落穂一つとはいえ実りには変わりませんからね。」
「街に行くのが楽しみだぜ。」
「明日行くんでしたっけ?」
「あぁ、市が開いているうちに売りに行く。遅れれば値段が下がっちまうからな。」
先日提案した案はまだ審議中だろう。
仮に変わるとしても随分と先になる。
それまでは今までどおり穀物価格の変化が直接金額に影響してくるわけだ。
出来るならば早く変更して欲しい所だな。
「この後呑み過ぎないでくださいよ。」
「馬鹿野郎、収穫祭で飲まずにいつ呑むんだよ。」
「そう言ってなんだかんだ今年は呑んでるじゃないですか。」
「そうだったか?」
「後夜祭で酔いつぶれてウェリスに引きずられたの覚えてないんですか?」
「そういえばそんな事もあったなぁ。」
これだから飲兵衛は。
「今日はその場に転がしておくように皆に言っておきます。一度風邪をひけばいい薬になりますよ。」
「夕方雲の流れが速かったからな、今日は冷え込むぞ。」
「霜が降りる前に収穫できてよかった。」
「まったくだ、お前の連れてきてくれたあの爺さんのおかげだよ。後でお礼言っといてくれ。」
「そういう事は御自分でお願いします。」
昨日のあれだけ言いたい放題したのでなんとなく顔を合わせ辛い。
あの人は何も悪くない、ただ俺を頼って来ただけだ。
にもかかわらず俺は理不尽な怒りをぶつけてしまった。
後でエミリアから宿に泊まってもらったと聞いている。
俺に謝っておいてくれと重々お願いされたそうだ。
そんな事があったにも関わらず、今日一日文句一つ言わず手伝ってくれたんだからやっぱりお礼ぐらい言うべきだよなぁ・・・。
「お、そろそろ始まるぞ。」
広場の中央に若手が集まりオレンジ色の火が点った瞬間に歓声が上がった。
さぁ、後夜祭の始まりだ。
「これから大変だろうが何かあったらすぐ言えよ、嫁にだって言いにくい事あるだろ。」
「急にどうしたんですか?」
「何か考えている事ぐらい、いくら鈍感な俺にもわかるってもんだ。お前が何をしようと俺達は決して文句は言わねぇ、そりゃあ仁義に反するような事は無理だが筋が通っているなら反対する奴はいねぇよ。」
突然真剣な顔で俺をみるオッサン。
そうか、そんなに顔に出ていたのか。
「そんなにわかりやすいですか?」
「お前んとこの嫁達もわかって何も言わないんだろ?ならそれが答えだ。」
「好きにしていいと?」
「そりゃそうだ、俺が俺の人生を好きにしてるようにお前だって自分の人生好きにすりゃいい。」
「もう俺一人の人生じゃないんですよ。」
「それを背負っていくのがお前の人生だろ。背負いながらも一人で決めるしかねぇんだよ。」
みんなと一緒に生きるのが当たり前だと思っていた。
俺は一人じゃない。
みんながいるから大丈夫だと思っていた。
でもそうじゃない。
みんなの人生っていう大切な物を背負いつつ、俺は俺の人生を決めないといけない。
そうだよな、結局は俺の人生だもんな。
そんな俺の人生にエミリア達はついてきてくれるって言ってくれているんだよな。
甘えてばかりじゃダメだ。
俺がしっかりしないと。
「あ~、生きるって大変だなぁオッサン。」
「前にも言ったがお前にオッサン言われるほど老けてねぇよ。でもまぁいつものお前より今のお前のほうが俺は好きだぜ。」
「オッサンに告白されても何も嬉しくねぇ。」
「馬鹿野郎俺だってお前なんてごめんだよ。」
二人して大声出して笑い合う。
声を出して笑うなんて何時振りだろうか。
いつも誰かの為にとか考えて生きてきたけど、結局は自分の為なんだよな。
俺が俺の人生を決める、そんな至極当然な事を俺は忘れていたのかもしれない。
「さて、真面目な話しもしたし俺も行ってくるかな。」
「楽しんできてください。」
「何だ来ないのか?」
「残った用事を片付けたら行きます。」
用事なんて残ってないけど、なんとなくあの輪の中に入りづらい。
勝手な被害者意識だって分かっている。
ただなんとなく今はまだ入れない気がするんだ。
ちゃんとけじめを付けたらすぐに行くよ。
それからしばらく離れた所からオレンジ色の炎を見守る。
外は真っ暗になり、炎の近くで踊る村人の影がユラユラと揺れて幻想的だった。
エミリア達は忙しそうにしている。
手が空くのはもう少し先かな。
「隣、よろしいですかな。」
暗闇の中一人たたずむ俺の隣に一番会い辛い人がやってきてしまった。
何でわざわざ・・・いや、用があるんだから当然か。
「今日は1日お疲れ様でした、本当にお昼までに終わらせてしまいましたね。」
「我ながら年甲斐も無く頑張ってしまいました。この村の人はいいですな、裏表無く素直に喜んでくださる。働き甲斐があるというものです。」
「皆さんお礼を言いたそうにしていましたよ、あっちには行かないんですか?」
「いやいやあの炎は私のような年寄りには強すぎます、それに今日の主役は村の皆さんですからな、老いぼれは大人しくしておきましょう。」
あくまでも謙虚に。
自分の手柄を驕ることなく当たり前のように振舞う。
こういう人の事を『紳士』というんだろう。
そんな人に俺は昨日心無い言葉をぶつけてしまった。
「あの、昨日は・・・。」
「昨日の件はどうぞ気になさらないで下さい。イナバ様の怒りは至極当然のものです、私どものせいで大切な腕が動かなくなってしまった、それは間違いようの無い事実ですからな。」
俺の怒りは当たり前だ、だから昨日の事は気にするな。
この人は簡単にそう言ってのけるが、普通なら逆ギレされてもおかしくない。
俺だったら『俺に言うなよ!』って言ってしまいそうだ。
にもかかわらずこの人は気にするなと言ってしまう。
ニッカさんもそうだが、歳を取るとこういう余裕が生まれるのだろうか。
「昨日の件ですが、私に助けて欲しいとはどういう事なのでしょう。」
「と、いうことはお受けいただけるのですかな?」
「いえ、受けると決めたわけではありません。ですが、何も知らずに断るのは少し違うような気がするんです。全部聞いてから決めても遅くありません。」
「昨日言いましたように最後まで説明すれば否が応にも受けていただく必要が出てきますぞ。」
「いいえ、それを決めるのも私自身です。」
「・・・なるほど全部分かった上で決めるわけですな。」
「私の命は私のものです、それが他人に左右されるのはおかしな話じゃありませんか?」
「確かにその通りですな。」
俺の命を生かすも殺すも俺次第。
他人にあれこれ強制されるものじゃない。
だから全部知った上で自分でどうするかを決める。
例えそれが命を狙われる事になってもだ。
「わかりました全てお話いたします。それでもなお、レティシャ様の事を考えていただけるのであればどうかお力をお貸し下さい。」
別にこの人の為に受けるわけじゃない。
もちろんよく知らないそのレティシャという人のためでもない。
俺は俺の気持ちと折り合いをつけるために話しを聞く。
この先どうするかはそれ次第だ。
もし俺ひとりでどうにもならない話ならすんなり断ればいい。
俺には店がある。
それに折角再開したのにまた休むんじゃ本末転倒だからね。
遠くで燃える歓喜の炎に照らされながら、俺はこの先の未来の話しに耳を傾けた。
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