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第八章
好きになったのは何処ですか?
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結局商品化は保留という事になった。
アイデアとしては非常にいいのだが、水を入れるために魔術師が必要なのと、なにより商品にするだけの巨大な素材を安定して手配できないそうだ。
商品にするためには傷がついているのはまずい。
傷をつけないように冒険者に指導する必要も出てくる。
今回はたまたま状態がよくかつサイズも大きかったので作れたが、商品にするとなると色々とハードルがあるようだ。
「商店連合が冒険者ギルドに依頼を出すというのはどうでしょう。最低限必要な大きさや綺麗さを満たしていれば通常よりも高値で買取るとすれば数は集まるのでは無いですか?」
「そうね、この辺りでは手に入りにくいけれど他の地域では有りふれているから不可能では無いでしょう。だけど、商品にならないようなものじゃ意味がない。傷一つつけずに彼等にもってこいというのは無理な話よ。」
「細かくばらす加工品としてなら問題は無い、けれども原型でとなると荷物を圧迫するので冒険者は嫌がるでしょうね。」
「大量に依頼があって、早期で素材を集めたいのであればその方法は使えると思うわ。」
「では私が個人的に作って売買する分には構わないわけですよね?」
「個人なら別に構わないわよ。」
大企業に出来なくても中小企業なら出来る事がある。
個人的に完全受注生産、納期未定でやれば不可能では無いということだ。
シュリアン商店独自の依頼として張り出してもいいかもしれないな。
依頼書に傷の有無や大きさを記入しておけば冒険者にもわかりやすいだろう。
この辺りには少なくてもいないわけではない。
むしろ森の奥だと狩られる事も少なそうだから大きくなるのかもしれないな。
「今日買取った冒険者から何処で見つけたか聞けばよかったですね。」
「ダンジョンに入られたようですから戻ってきた時に聞いてみましょう。」
「顔は覚えていますか?」
「もちろんです。」
さすがエミリア、頼りになります。
「もし手に入ったなら私が最初に注文させてもらうわ。あれよりも一回り小さいもので十分だから宜しくね。」
「いつになるかわかりませんよ?」
「別にいつでもいいわよ、急いでいるわけじゃないし。」
「代金も決まってないんですが。」
「出来た時に教えてくれればいいわ。貴方の事だからふっかけるような事はしないでしょ?」
くそ、お金持ってるから水増しして請求してやろうと思ったのに先手を打たれた。
さすがメルクリア女史、抜け目無いな。
「では出来た時ということで。」
「楽しみにしているわね。」
とりあえず今日のうちに依頼書を張り出しておくか。
それに、加工方法も考えないといけない。
今回はディーちゃんが手伝ってくれたけど毎回手を煩わせるわけには行かないからね。
「それじゃあそろそろ行くわ。」
「お忙しい中ありがとうございました。」
「まぁ、私も息抜きついでだから。時間はまた連絡するから先方には話しを通しておいてもらえる?」
「お任せ下さい。」
「それじゃあエミリア、またね。」
「はい、フィフティーヌ様も無理しないで下さい。」
「それは上に言って頂戴。」
上司にも上司がいる。
オーバーワーク気味なのはどの世界でも同じという事だ。
でもまぁここはホワイト世界なので、過労死はしないだろう。
するのは強制労働をさせられている奴隷の皆さんぐらいか・・・。
まてよ?
村にいるウェリスの部下の皆さんも勤労奴隷だよな。
最近非常に無理なことばかりお願いしたよな。
過労死、しないよね?
メルクリア女史は軽く手を振りながら目の前に開いた黒い壁の中へと消えていった。
転移魔法便利だなぁ。
俺には精霊が二人もついているんだし、もしかしたら出来るんじゃないかなと思ったこともある。
だが、エミリアに言わせるといくら精霊の祝福があったとしても元々持っている魔力の量が足りないそうだ。
魔法センス0の異世界転生者。
相変らず俺は残念なようです。
「行ってしまわれましたね。」
「相変らずお忙しいようで。」
「でも息抜きにここに来るなんて珍しいです。いつもはどんなに忙しくても休日以外は休まれない方なのに。」
「もしかしたら何かあったのかもしれませんね。」
嫌な事があったら仕事とはまったく関係ないことがしたくなる。
美味しい物を食べたり体を動かしたり。
ゲームに没頭したり、ソシャゲでガチャを回すなんて猛者もいたな。
とりあえず現実から目を背けたくなる。
ストレスというのは心と体を蝕む恐ろしいものだ。
いくらメルクリア女史とはいえロボットではない。
ストレスにさいなまれたら現実を忘れたくもなるだろう。
なるほど、通りでサボっているのに怒られなかったわけだ。
「今度それとなく聞いてみます。」
「それがいいと思います。部下としてではなく、一人の友人として話しを聞いてあげてください。必要であればお手伝いしますから遠慮なく言ってくださいね?」
「ありがとうございます。」
妻の大切な友人なら手伝わない理由は無い。
俺にとっても知人になるわけだし。
真剣に素材を集めてあれを作ってあげる必要があるかもしれないな。
あのクッションに座ったが最後、仕事なんて忘れてしまうさ。
「それじゃあ商店に戻りましょう。ニケさんに任せっぱなしですし、さっきの冒険者が通るかもしれません。」
「何処で魔物と出会ったのか聞かないと、ですね。」
「それとは別に買取の依頼も出しましょう。たしか依頼書ありましたよね。」
「それでしたら裏の棚の中にありますよ。」
「でも絵は苦手なんですよね。」
「ふふふ、頑張ってください。」
写真を撮って加工して貼り付けるだけならすぐに出来るんだけど、残念ながらそんな便利な機械は無い。
そう考えるとパソコンってすごい機械だったんだな。
某オフィスなんてソフトがあれば文書から計算書から会議資料から何でもござれだ。
ノートパソコンなら持ち込めるだろだろうけど、この世界にコンセントは無いし・・・。
まてよ確か今はソーラー発電の発電機とかあったよな。
それを使えば・・・。
いや、やめておこう。
そういう文化破壊は別の異世界物に任せておけばいい。
そんな物が無くても何とかなるさ。
商店に戻り、残っていた仕事を片付けつつ依頼書の作成に取り掛かる。
カンペがあるのでそれを真似しながら作っていき、後は絵を残すまでだ。
バックヤードで依頼書とにらめっこしていると裏口からユーリが戻ってきた。
「難しい顔ですがどうされました?」
「一番苦手な分野を前にして挫折している所です。」
「これは、商店の依頼書ですね。」
「今日手伝ってもらったビープルニールの素材を集めようと思っているのですが、残念ながら絵心というものが無くてですね。」
「それで上半分が白紙なんですね。」
下半分は完璧に作ってある。
買取る大きさの基準や、割り増し金額の強調。
特に傷の有無についてはわかりやすく作ったつもりだ。
だが、それも絵が無ければ意味が無い。
RPGでおなじみのクエストを選んだ時に表示されるあれだ。
魔物の絵が壁に貼ってあるといかにもファンタジーの世界っぽい。
依頼書の心臓部というものが無ければ、いくら書面が綺麗でも意味は無い。
さて、どうしたものか。
「もしよろしければ私が描きましょうか?」
「得意なんですか?」
「得意というワケではありませんが、あの方のお仕事を手伝っていると必然的に上手くなってしまいました。ご主人様同様、あの方にも絵心というものがありませんでしたから。」
「二人揃ってお世話になります。」
何処となく胸の奥がザワザワするのは彼も同じように思っているんだろう。
前の主人と今の主人。
二人とも手がかかり申し訳ない。
「是非お願いします。」
「畏まりました。では、見返りとして先ほどの仕置きは帳消しという事で。」
「致し方ありません。」
「これで安心して絵に取り掛かれます。」
さっき逃げ出した事を忘れてた。
でもまぁ、これを上手く仕上げてくれるのなら何の問題もない。
結局はディーちゃんが作ってくれたし。
「シュウイチさん上手くできそうですか?」
「ユーリが絵を描いてくれるそうなので何とかなりそうです。」
「それは良かった。でも絵が得意だなんて初耳です。」
「何か一つぐらいは特技がないとご主人様に捨てられてしまうので会得しました。」
「そうなんですか!?」
いや、そんな事ありませんて。
いつ決まったのよそんなルール。
さっきもそうだったけど話しをややこしくするのはやめなさい。
「そんな事ありませんから安心してください。」
「特技・・・、私の得意なことって何でしょう。」
「何でしょうと聞かれましても、エミリアは今のままで大丈夫ですよ?」
「でも捨てられたくありませんし・・・。」
「だから捨てませんって。」
ほら、エミリアが凹んじゃったじゃないか。
何が得意ですかって聞かれて普通はすぐに出てこないって。
え、俺は何が特技かって?
ゲームの攻略が得意で口が達者とか。
そんな感じです。
「何の話ですか?」
「ニケ様ちょうどよかった。今、特技が無いとご主人様に捨てられてしまうという話しをしていたんですが、なにかありますか?」
「特技ですか。そうですね、算術とか全くの初対面の人と話すのとかは得意ですけど、特技になりますか?」
「十分だと思います。」
「セレン様は料理が得意ですし・・・もしかして私、一番何も出来ていないような気がしてきました。」
「それは大変ですよリア奥様。」
だーかーらー。
変な事を言ってうちの奥さんを困らせるのはやめなさい。
エミリアが泣きそうになってるじゃないか。
そんな顔も可愛いけどさぁ。
「エミリアは仕事も出来ますし、魔法も上手ですし、笑顔も可愛いじゃないですか。」
「でもそれは特技でも何でもありません。」
「ご主人様には会話という特技がありますね。」
「まぁ口は達者ですけど特技といいますか何と言いますか・・・。」
「シュウイチさんのように話すのが得意じゃありませんし、私本当に駄目な奥さんです。」
「だ、だからそんな事ありませんって。」
あーもう、誰がこんなめんどくさい事を起こした。
お前か、ユーリ!
「なにやらご主人様が随分と御立腹なようです。」
「そりゃ身に覚えもないな事を言われれば怒りたくもなります。」
「つまりは特技が無くてもかまわない?」
「当たり前です。私は何か特技がある人を選んで付き合っているわけではありません。」
「では、イナバ様はエミリア様の何処がお好きなんですか?」
エミリアの何処が好きか。
そうだなぁ・・・。
「一番は笑顔ですね。」
「笑顔ですか。」
「困った時や怒った時の顔も好きですが、やっぱり笑顔が一番好きです。」
「なるほど、ご主人様は笑顔が好きと。」
「確かにエミリア様の笑顔は素敵です。」
「本当ですか?」
「もちろんですよ。」
この笑顔に一目ぼれしたんだから間違いない。
「では私の好きな所は何処でしょう。」
「ユーリはなんだかんだ言いながら真面目な所ですね。彼との縁もありますが、縁の下の力持ちとしていつも手伝ってもらって感謝しています。最近ちょっと質問が過激で手を焼きますけど。」
「じゃあ、私は何処が好きですか?」
「ニケさんは出会いがあれでしたけど、自分に自信を持って過ごしている所でしょうか。どこか余裕があってみていると安心します。最近ユーリが過激なのはニケさんの影響だと思うんですけど違いますか?
「それに関してはどうでしょうか。」
ほら、そうやって軽く流してしまう所が年下のはずなのに年上のお姉さんという感じをかもし出している。
ロリ属性は無いけれど、お姉さん属性はあるんだよね。
ちなみにエミリアは妹かお幼馴染み属性です。
もちろんその二つはドストライクですけど。
「ちなみにシルビア様は何処が好きなんですか?」
「シルビアは強くてかっこいいですが、実は優しくて可愛い物が好きな所でしょうか。仕事をしていない時のシルビアはいつ見ても新鮮です。」
「確かにシア奥様は可愛いものに目がありません。」
「身の回りの物も綺麗な物よりも可愛らしい物を選ばれますね。」
「甘い物も好きですよね。」
さすが女性同士、色々見ているんだなぁ。
「と、言う事でご主人様の本音を聞きだせましたがよろしかったでしょうかリア奥様。」
「さすがユーリです。」
「私達についてどう思っているかも聞かせてもらってありがとうございました。これからも宜しくお願いしますね、イナバ様。」
え、ちょっとまって。
俺エミリアを慰める為にこの話しをしたんだよね。
もしかして、謀られたの?
っていうか何処から?
もしかしてエミリアが話しかけてきたところから?
嘘だろ?
「・・・ちょっと三人、そこに座ってもらえますか?」
「私は店番がありますので、イラッシャイマセ少々お待ち下さい!」
ニケさんが一番に逃げ出した。
「ユーリさん、すみませんが食器下げてもらっていいですか~?」
「お任せ下さいセレン様!」
そしてナイスタイミングでセレンさんがユーリを呼び出し、目にも留まらぬ速さで出て行った。
セレンさんもグルじゃないよな?
という事は残ったのはただ一人。
「じゃあ私も伝票の整理が・・・。」
ここで逃がすわけには行かない。
「伝票の整理は私がしましょう。」
「でもシュウイチさんはまだ読み書きが苦手で・・・。」
「練習をしましょうと誘ってくれたのはエミリアですよね?昨日もつきっきりで教えてくれたじゃないですか。」
「そうだ、今日の夕食当番は私でした!」
「今日は私の番です。朝のうちに仕込んでありますので何の問題もありませんよ。」
逃がしはしない。
事の顛末を全部聞くまで、逃がしてなるものか。
「えっと、えっとそれじゃあ・・・。」
「エミリアどういうことか教えてくれますよね?」
「それはですね、色々とありまして。」
「今日という今日は覚悟してください、時間はたっぷりあります。」
「でもお店が・・・。」
「ニケさんが頑張ってくれるそうです。」
「そうだ、メルクリア様とのお話の件なんですけど・・・。」
「それは先方に話しをつけて向こうから連絡が来てからです。」
「じゃあ、じゃぁ・・・。」
どうにかして話題を変えようとするエミリア。
だが俺はそれを許しはしない。
今日の俺はちょっとお怒りモードです。
「エミリア、そこに座りなさい。」
「はい・・・。」
怯えた小動物のような目で俺を見るエミリア。
そんな目をしても俺は許しません。
観念したようにエミリアが椅子に腰掛・・・けなかった。
「やっぱりごめんなさい!」
座ると見せかけてクルリと身を翻すとそのまま商店のほうへと逃げ出してしまう。
「逃がしません!」
ここで逃がせば元の木阿弥だ。
オタクの運動神経を甘く見るなよ!
「ごめんなさいシュウイチさん、ゆるしてください!」
「駄目です、話しを聞かせてもらうまで逃がしません!」
「ユーリ、ニケさん助けてください!」
「頑張ってくださいリア奥様。」
「あ、向こうはいつものことですのでお気になさらず。それで、お買取でしたね?」
標的はエミリアただ一人。
商店の中、そして外に場所を移動しながらエミリアを追いかけ続けるのであった。
え、最後はどうなったのかって?
それはほら、俺ってただのゲームオタクですから。
ご想像は容易いと思います。
アイデアとしては非常にいいのだが、水を入れるために魔術師が必要なのと、なにより商品にするだけの巨大な素材を安定して手配できないそうだ。
商品にするためには傷がついているのはまずい。
傷をつけないように冒険者に指導する必要も出てくる。
今回はたまたま状態がよくかつサイズも大きかったので作れたが、商品にするとなると色々とハードルがあるようだ。
「商店連合が冒険者ギルドに依頼を出すというのはどうでしょう。最低限必要な大きさや綺麗さを満たしていれば通常よりも高値で買取るとすれば数は集まるのでは無いですか?」
「そうね、この辺りでは手に入りにくいけれど他の地域では有りふれているから不可能では無いでしょう。だけど、商品にならないようなものじゃ意味がない。傷一つつけずに彼等にもってこいというのは無理な話よ。」
「細かくばらす加工品としてなら問題は無い、けれども原型でとなると荷物を圧迫するので冒険者は嫌がるでしょうね。」
「大量に依頼があって、早期で素材を集めたいのであればその方法は使えると思うわ。」
「では私が個人的に作って売買する分には構わないわけですよね?」
「個人なら別に構わないわよ。」
大企業に出来なくても中小企業なら出来る事がある。
個人的に完全受注生産、納期未定でやれば不可能では無いということだ。
シュリアン商店独自の依頼として張り出してもいいかもしれないな。
依頼書に傷の有無や大きさを記入しておけば冒険者にもわかりやすいだろう。
この辺りには少なくてもいないわけではない。
むしろ森の奥だと狩られる事も少なそうだから大きくなるのかもしれないな。
「今日買取った冒険者から何処で見つけたか聞けばよかったですね。」
「ダンジョンに入られたようですから戻ってきた時に聞いてみましょう。」
「顔は覚えていますか?」
「もちろんです。」
さすがエミリア、頼りになります。
「もし手に入ったなら私が最初に注文させてもらうわ。あれよりも一回り小さいもので十分だから宜しくね。」
「いつになるかわかりませんよ?」
「別にいつでもいいわよ、急いでいるわけじゃないし。」
「代金も決まってないんですが。」
「出来た時に教えてくれればいいわ。貴方の事だからふっかけるような事はしないでしょ?」
くそ、お金持ってるから水増しして請求してやろうと思ったのに先手を打たれた。
さすがメルクリア女史、抜け目無いな。
「では出来た時ということで。」
「楽しみにしているわね。」
とりあえず今日のうちに依頼書を張り出しておくか。
それに、加工方法も考えないといけない。
今回はディーちゃんが手伝ってくれたけど毎回手を煩わせるわけには行かないからね。
「それじゃあそろそろ行くわ。」
「お忙しい中ありがとうございました。」
「まぁ、私も息抜きついでだから。時間はまた連絡するから先方には話しを通しておいてもらえる?」
「お任せ下さい。」
「それじゃあエミリア、またね。」
「はい、フィフティーヌ様も無理しないで下さい。」
「それは上に言って頂戴。」
上司にも上司がいる。
オーバーワーク気味なのはどの世界でも同じという事だ。
でもまぁここはホワイト世界なので、過労死はしないだろう。
するのは強制労働をさせられている奴隷の皆さんぐらいか・・・。
まてよ?
村にいるウェリスの部下の皆さんも勤労奴隷だよな。
最近非常に無理なことばかりお願いしたよな。
過労死、しないよね?
メルクリア女史は軽く手を振りながら目の前に開いた黒い壁の中へと消えていった。
転移魔法便利だなぁ。
俺には精霊が二人もついているんだし、もしかしたら出来るんじゃないかなと思ったこともある。
だが、エミリアに言わせるといくら精霊の祝福があったとしても元々持っている魔力の量が足りないそうだ。
魔法センス0の異世界転生者。
相変らず俺は残念なようです。
「行ってしまわれましたね。」
「相変らずお忙しいようで。」
「でも息抜きにここに来るなんて珍しいです。いつもはどんなに忙しくても休日以外は休まれない方なのに。」
「もしかしたら何かあったのかもしれませんね。」
嫌な事があったら仕事とはまったく関係ないことがしたくなる。
美味しい物を食べたり体を動かしたり。
ゲームに没頭したり、ソシャゲでガチャを回すなんて猛者もいたな。
とりあえず現実から目を背けたくなる。
ストレスというのは心と体を蝕む恐ろしいものだ。
いくらメルクリア女史とはいえロボットではない。
ストレスにさいなまれたら現実を忘れたくもなるだろう。
なるほど、通りでサボっているのに怒られなかったわけだ。
「今度それとなく聞いてみます。」
「それがいいと思います。部下としてではなく、一人の友人として話しを聞いてあげてください。必要であればお手伝いしますから遠慮なく言ってくださいね?」
「ありがとうございます。」
妻の大切な友人なら手伝わない理由は無い。
俺にとっても知人になるわけだし。
真剣に素材を集めてあれを作ってあげる必要があるかもしれないな。
あのクッションに座ったが最後、仕事なんて忘れてしまうさ。
「それじゃあ商店に戻りましょう。ニケさんに任せっぱなしですし、さっきの冒険者が通るかもしれません。」
「何処で魔物と出会ったのか聞かないと、ですね。」
「それとは別に買取の依頼も出しましょう。たしか依頼書ありましたよね。」
「それでしたら裏の棚の中にありますよ。」
「でも絵は苦手なんですよね。」
「ふふふ、頑張ってください。」
写真を撮って加工して貼り付けるだけならすぐに出来るんだけど、残念ながらそんな便利な機械は無い。
そう考えるとパソコンってすごい機械だったんだな。
某オフィスなんてソフトがあれば文書から計算書から会議資料から何でもござれだ。
ノートパソコンなら持ち込めるだろだろうけど、この世界にコンセントは無いし・・・。
まてよ確か今はソーラー発電の発電機とかあったよな。
それを使えば・・・。
いや、やめておこう。
そういう文化破壊は別の異世界物に任せておけばいい。
そんな物が無くても何とかなるさ。
商店に戻り、残っていた仕事を片付けつつ依頼書の作成に取り掛かる。
カンペがあるのでそれを真似しながら作っていき、後は絵を残すまでだ。
バックヤードで依頼書とにらめっこしていると裏口からユーリが戻ってきた。
「難しい顔ですがどうされました?」
「一番苦手な分野を前にして挫折している所です。」
「これは、商店の依頼書ですね。」
「今日手伝ってもらったビープルニールの素材を集めようと思っているのですが、残念ながら絵心というものが無くてですね。」
「それで上半分が白紙なんですね。」
下半分は完璧に作ってある。
買取る大きさの基準や、割り増し金額の強調。
特に傷の有無についてはわかりやすく作ったつもりだ。
だが、それも絵が無ければ意味が無い。
RPGでおなじみのクエストを選んだ時に表示されるあれだ。
魔物の絵が壁に貼ってあるといかにもファンタジーの世界っぽい。
依頼書の心臓部というものが無ければ、いくら書面が綺麗でも意味は無い。
さて、どうしたものか。
「もしよろしければ私が描きましょうか?」
「得意なんですか?」
「得意というワケではありませんが、あの方のお仕事を手伝っていると必然的に上手くなってしまいました。ご主人様同様、あの方にも絵心というものがありませんでしたから。」
「二人揃ってお世話になります。」
何処となく胸の奥がザワザワするのは彼も同じように思っているんだろう。
前の主人と今の主人。
二人とも手がかかり申し訳ない。
「是非お願いします。」
「畏まりました。では、見返りとして先ほどの仕置きは帳消しという事で。」
「致し方ありません。」
「これで安心して絵に取り掛かれます。」
さっき逃げ出した事を忘れてた。
でもまぁ、これを上手く仕上げてくれるのなら何の問題もない。
結局はディーちゃんが作ってくれたし。
「シュウイチさん上手くできそうですか?」
「ユーリが絵を描いてくれるそうなので何とかなりそうです。」
「それは良かった。でも絵が得意だなんて初耳です。」
「何か一つぐらいは特技がないとご主人様に捨てられてしまうので会得しました。」
「そうなんですか!?」
いや、そんな事ありませんて。
いつ決まったのよそんなルール。
さっきもそうだったけど話しをややこしくするのはやめなさい。
「そんな事ありませんから安心してください。」
「特技・・・、私の得意なことって何でしょう。」
「何でしょうと聞かれましても、エミリアは今のままで大丈夫ですよ?」
「でも捨てられたくありませんし・・・。」
「だから捨てませんって。」
ほら、エミリアが凹んじゃったじゃないか。
何が得意ですかって聞かれて普通はすぐに出てこないって。
え、俺は何が特技かって?
ゲームの攻略が得意で口が達者とか。
そんな感じです。
「何の話ですか?」
「ニケ様ちょうどよかった。今、特技が無いとご主人様に捨てられてしまうという話しをしていたんですが、なにかありますか?」
「特技ですか。そうですね、算術とか全くの初対面の人と話すのとかは得意ですけど、特技になりますか?」
「十分だと思います。」
「セレン様は料理が得意ですし・・・もしかして私、一番何も出来ていないような気がしてきました。」
「それは大変ですよリア奥様。」
だーかーらー。
変な事を言ってうちの奥さんを困らせるのはやめなさい。
エミリアが泣きそうになってるじゃないか。
そんな顔も可愛いけどさぁ。
「エミリアは仕事も出来ますし、魔法も上手ですし、笑顔も可愛いじゃないですか。」
「でもそれは特技でも何でもありません。」
「ご主人様には会話という特技がありますね。」
「まぁ口は達者ですけど特技といいますか何と言いますか・・・。」
「シュウイチさんのように話すのが得意じゃありませんし、私本当に駄目な奥さんです。」
「だ、だからそんな事ありませんって。」
あーもう、誰がこんなめんどくさい事を起こした。
お前か、ユーリ!
「なにやらご主人様が随分と御立腹なようです。」
「そりゃ身に覚えもないな事を言われれば怒りたくもなります。」
「つまりは特技が無くてもかまわない?」
「当たり前です。私は何か特技がある人を選んで付き合っているわけではありません。」
「では、イナバ様はエミリア様の何処がお好きなんですか?」
エミリアの何処が好きか。
そうだなぁ・・・。
「一番は笑顔ですね。」
「笑顔ですか。」
「困った時や怒った時の顔も好きですが、やっぱり笑顔が一番好きです。」
「なるほど、ご主人様は笑顔が好きと。」
「確かにエミリア様の笑顔は素敵です。」
「本当ですか?」
「もちろんですよ。」
この笑顔に一目ぼれしたんだから間違いない。
「では私の好きな所は何処でしょう。」
「ユーリはなんだかんだ言いながら真面目な所ですね。彼との縁もありますが、縁の下の力持ちとしていつも手伝ってもらって感謝しています。最近ちょっと質問が過激で手を焼きますけど。」
「じゃあ、私は何処が好きですか?」
「ニケさんは出会いがあれでしたけど、自分に自信を持って過ごしている所でしょうか。どこか余裕があってみていると安心します。最近ユーリが過激なのはニケさんの影響だと思うんですけど違いますか?
「それに関してはどうでしょうか。」
ほら、そうやって軽く流してしまう所が年下のはずなのに年上のお姉さんという感じをかもし出している。
ロリ属性は無いけれど、お姉さん属性はあるんだよね。
ちなみにエミリアは妹かお幼馴染み属性です。
もちろんその二つはドストライクですけど。
「ちなみにシルビア様は何処が好きなんですか?」
「シルビアは強くてかっこいいですが、実は優しくて可愛い物が好きな所でしょうか。仕事をしていない時のシルビアはいつ見ても新鮮です。」
「確かにシア奥様は可愛いものに目がありません。」
「身の回りの物も綺麗な物よりも可愛らしい物を選ばれますね。」
「甘い物も好きですよね。」
さすが女性同士、色々見ているんだなぁ。
「と、言う事でご主人様の本音を聞きだせましたがよろしかったでしょうかリア奥様。」
「さすがユーリです。」
「私達についてどう思っているかも聞かせてもらってありがとうございました。これからも宜しくお願いしますね、イナバ様。」
え、ちょっとまって。
俺エミリアを慰める為にこの話しをしたんだよね。
もしかして、謀られたの?
っていうか何処から?
もしかしてエミリアが話しかけてきたところから?
嘘だろ?
「・・・ちょっと三人、そこに座ってもらえますか?」
「私は店番がありますので、イラッシャイマセ少々お待ち下さい!」
ニケさんが一番に逃げ出した。
「ユーリさん、すみませんが食器下げてもらっていいですか~?」
「お任せ下さいセレン様!」
そしてナイスタイミングでセレンさんがユーリを呼び出し、目にも留まらぬ速さで出て行った。
セレンさんもグルじゃないよな?
という事は残ったのはただ一人。
「じゃあ私も伝票の整理が・・・。」
ここで逃がすわけには行かない。
「伝票の整理は私がしましょう。」
「でもシュウイチさんはまだ読み書きが苦手で・・・。」
「練習をしましょうと誘ってくれたのはエミリアですよね?昨日もつきっきりで教えてくれたじゃないですか。」
「そうだ、今日の夕食当番は私でした!」
「今日は私の番です。朝のうちに仕込んでありますので何の問題もありませんよ。」
逃がしはしない。
事の顛末を全部聞くまで、逃がしてなるものか。
「えっと、えっとそれじゃあ・・・。」
「エミリアどういうことか教えてくれますよね?」
「それはですね、色々とありまして。」
「今日という今日は覚悟してください、時間はたっぷりあります。」
「でもお店が・・・。」
「ニケさんが頑張ってくれるそうです。」
「そうだ、メルクリア様とのお話の件なんですけど・・・。」
「それは先方に話しをつけて向こうから連絡が来てからです。」
「じゃあ、じゃぁ・・・。」
どうにかして話題を変えようとするエミリア。
だが俺はそれを許しはしない。
今日の俺はちょっとお怒りモードです。
「エミリア、そこに座りなさい。」
「はい・・・。」
怯えた小動物のような目で俺を見るエミリア。
そんな目をしても俺は許しません。
観念したようにエミリアが椅子に腰掛・・・けなかった。
「やっぱりごめんなさい!」
座ると見せかけてクルリと身を翻すとそのまま商店のほうへと逃げ出してしまう。
「逃がしません!」
ここで逃がせば元の木阿弥だ。
オタクの運動神経を甘く見るなよ!
「ごめんなさいシュウイチさん、ゆるしてください!」
「駄目です、話しを聞かせてもらうまで逃がしません!」
「ユーリ、ニケさん助けてください!」
「頑張ってくださいリア奥様。」
「あ、向こうはいつものことですのでお気になさらず。それで、お買取でしたね?」
標的はエミリアただ一人。
商店の中、そして外に場所を移動しながらエミリアを追いかけ続けるのであった。
え、最後はどうなったのかって?
それはほら、俺ってただのゲームオタクですから。
ご想像は容易いと思います。
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