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第七章
何の為の戦いか
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まさかこんな所で出会うとは思っていなかったが、まさに渡りに船というヤツだ。
これで暗礁に乗り上げかけていた隠密作戦に光が差した。
大げさに言えばそんな感じだ。
もっとも、彼いや彼女が力を貸してくれるかは別問題なわけだが・・・。
「お久しぶりになりますかね、アーシャ様。その節はお世話になりました。」
「こっちこそ腐敗した貴族を根絶やしにしてもらって助かったわ。その後の処理に関して言えば面倒だったけど、まぁ仕方ないわよね。」
猫目館で行われていた不正を暴き、どこぞの貴族が没落したそうだが俺にとってはどうでもいい話だ。
「こんな所でお会いするとは思っていませんでしたが、今日は休息日を利用して来られた・・・という感じではなさそうですね。」
きらびやかな衣装ではあるが何処かフォーマルな雰囲気もする。
休日であればもっと派手な格好してそうだもんな、この人。
「そうなのよ!あの一件以来、元老院が不正に厳しくなってその確認に走りまわっている所なの!もう、寝不足でお肌がカサカサになっちゃうわ。」
「寝不足はお肌の天敵ですから。」
「だからせめて元気の出るものって来たんだけど、ねぇ知らない仲でもないんだし御一緒してもいいでしょ?こんな美人とご飯食べれるんだから嫌なわけ無いわよね。」
「アーシャ様も大変美しいですがうちには負けないぐらい綺麗な妻達がおりますので。」
「もう、つれないんだから。綺麗な子に可愛い子まで増えちゃって目の保養になるわねぇ。」
いじけたような目でこちらを見るアーシャ氏。
傍から見れば美人が男にちょっかいをかけているようにも見えるが、騙されること無かれ。
彼女には女性についていないものがぶら下がっている。
ゴールデンなやつとビックコックなやつだ。
まぁビックかどうかは知らないけど。
「妻達がよければ私は構いませんが、お一人ではないのでしょう?」
「もちろん私の可愛い可愛い弟も一緒よ!」
「その言い方は辞めてくださいと何度言えば理解してくれるんでしょうかこの愚兄は。」
ドアの後ろに控えていたのだろう、カムリが音も立てずに中に入ってくる。
ガスターシャあるところにカムリあり。
またこの兄のお守りをさせられているのだろう。
「カムリ、今日は護衛に出ていると聞いていたがまさかアーシャ殿の護衛だったのか。」
「シルビア様お休みの所申し訳ありません。」
「何私は構わんが、みんなはどうだ?」
シルビア様が全員の方を見る。
事情を良く知らないリーシャさんを除き他のメンバーは構わないという感じだ。
「問題無さそうです。」
「さすがいい男は違うわね!」
「お二人にも料理をお願いできますか?支払いは私が持ちますので。」
「かしこまりました。」
この際二人分の支払いが増えたところで問題ない。
むしろこれをネタにお願いを仕込もうとかあくどいことも考えてしまっている。
まぁ、この人には俺の思惑なんて筒抜けだろうけど・・・。
テーブルを横にくっつけて二人が席に着く。
これ以上誰か来ても座るところは無いからね!
「そういえば貴方も大変なことになっているようね。」
「アーシャ様のお耳にも入ってしまいましたか。」
「そりゃあ街中でこれだけ噂になっていればね。」
「半分は自分でまいた種ですが、騒ぎが大きくなってしまいまして正直困っています。」
「商業ギルドを敵に回すだなんて中々出来る事じゃないわよ。」
それは褒められているんだろうか。
それとも呆れられているのだろうか。
「正確には商業ギルドのデンマッカ兄妹を敵に回したんですけど、二人について何か御存知な事はありませんか?」
「自分の私利私欲の為には手段を選ばない不届き者。相手が貴族でも平民でも身を崩しそうな相手を見つけては高利で金を貸して破産すれば財産を全て奪っていく死肉犬って感じかしら。」
死肉犬=ハイエナって感じかな。
なるほど随分と悪名高いようだ。
「貴族相手にも随分と悪い事をしているんですね。」
「その悪い事の証拠を残さないのが厄介なの。何度か目をつけたんだけど中々尻尾を出さないのよね。」
「騎士団にも何度か情報提供はあったが現時点では捕縛するに至る証拠は見つかっていない。」
「商店連合としては同業になるわけですがあまり相手をしたくない相手という印象です。」
どの業界からも毛嫌いされている兄妹。
今の地位に上がったのも色々汚い事をしてきたんだろうけど、証拠を残さない辺りずる賢い。
今回の俺への報復もあくまでも商業ギルドとして出しているので、俺達が調べなければ誰が主導かというのはわからなかっただろう。
「私が言うのもなんですが今回も随分と面倒な人間を相手にしているようですね。」
「お前が面倒じゃないヤツを相手にしたなんて聞いたことが無いぞ。」
「ご主人様はワザワザ苦労をするタイプですから。」
「確かに貴方はそんな感じよね。」
「別に苦労したいわけではないんですけど・・・。」
苦労は買ってでもしろだなんて言うけれど、出来るなら苦労したくない。
俺は平和に暮らしたいだけだ。
「お待たせいたしました。」
話のタイミングよく料理が運ばれてくる。
ワザワザ待ってくれていたのだろうか。
「王都では予約しないと食べれないグバハーンがまさかここで食べれるなんて夢のようね。」
「王都の味は存じませんが、ここの料理は格別ですよ。」
「イナバ様そんなに持ち上げないで下さい・・・。」
「自信を持ってください、ここの料理を食べて私達はこんなに笑顔になれたんですから。」
俺を含めた全員が満たされた顔をしている。
人間の三大欲求の中でも食欲が占める割合は大きい。
それを満たしてくれるこの料理はそれだけ価値があるということだ。
「カムリ貴方も食べなさいよ。」
「職務中ですので。」
「今日ぐらいは私が許そう。せっかくの休息日だ、食事ぐらい構わんだろう。」
「シルビア様がそう仰るのであれば。」
上司が言うのなら仕方が無いという言い方だが、内心嬉しいんじゃないですか?
普段クールな感じですけど美味しい物を前にしてお預けはしんどいでしょ。
食事をする時は大人数の方が美味しいんです。
「「いただきます。」」
二人が食べるのを全員が見つめる。
なんだろうこの空気。
絶対にまずいって言えないやつじゃないでしょうか。
いや、美味しいからそんなことは無いと思うけど、プレッシャーがハンパない。
「美味しい!王都でもこんな美味しい料理は中々味わえないわ!」
「ありがとうございます。」
「見た目以上に柔らかくですが味はしっかりしている。これは非常にいいですね。」
カムリが食レポをしているがあえてスルーしよう。
「なんだかあの二人が食べてるのを見てるとお腹が空いてきちゃった・・・。」
「リーシャさんニケさんの分も食べていませんでしたか?」
「だってこんなに美味しい料理初めてなんだもん。」
「どうぞおかわりはたくさんありますので、皆さんもお召し上がり下さい。」
「いいんですか?」
「今日は店じまいにします。こんなに喜んで食べていただけるなんてこんなうれしい事はありませんから。」
料理人にとって美味しいは最高の褒め言葉だ。
自分の料理でお客が幸せになる。
これ以上に嬉しいことなんて無いだろう。
「ではお言葉に甘えて。」
「じゃあ俺にも頼む、食い足りないと思っていたところだ。」
「言ってくだされば私の分も食べてくださっても良かったのに・・・。」
「世話になっている相手の分まで食べるほど飢えてねぇよ。」
ポリポリと頭をかきながら言い訳を言うウェリス。
そこは今度作ってくれって言う所だろ!
「すぐに持ってきますね。」
嬉しそうな顔をしながら店主が調理場へと戻っていく。
その後姿をリーシャさんが満面の笑みを浮かべてそれを見送っていた。
今までの苦労が無くなるわけでは無いけれど、せめて楽しい記憶として残りますように。
食事も終盤、各自のお皿は綺麗に片付き食後のデザートが振舞われていた。
ローメンというその果物は鮮やかなオレンジ色をしていた。
名前が某ホラー映画みたいだけどこの匂い、この味、間違いないメロンだ。
こちらもハンバーグ同様にリーシャさんがニケさんの分を食いつくさんばかりの勢いで口に運んでいる。
そしてまたそれを甲斐甲斐しくお世話するニケさん。
楽しそうだな。
「食後の香茶もいい茶葉を使っているのね。」
「お口に合いましてなによりです。兄が西部で茶葉を栽培しておりまして、いつも送ってくれるんです。」
「香茶なんて上品なものの味はよくわからねぇが旨いって事は俺にもわかる。」
確かに普段飲まなさそうだよな。
セレンさんが出してくれる香茶も美味しいけどあれは業務用でいいやつじゃないし。
「ウェリスは酒のほうがよかったんじゃないですか?」
「一応奴隷だからな出先では慎むようにしている。」
「あら、奴隷だったのね。」
「うちの騎士団で従軍奴隷をしていますが、今はイナバ様の商店近くにある村で警備と開拓に従事させています。」
「この男に捕まってこのざまだ。」
ウェリスが俺を指差してニカっと笑った。
「おい、口を慎めよウェリス。見た目はこんなのだが一応中央の役人だお前の首など今すぐにはねられてもおかしくないんだぞ。」
「マジか・・・。」
「ちなみに腕はカムリやシルビアに並ぶぐらいだそうです。」
「いやだ、何でバラしちゃうのよ。こんなにか弱そうな女を捕まえて酷い人達ね。」
「「いやいや。」」
思わずカムリと声がハモってしまった。
それがおかしくてまた皆で笑ってしまう。
あぁ、楽しいなぁ。
「シュウイチさん嬉しそうですね。」
「えぇ、こんなにゆったりとした空気は久々です。」
「いつもせわしなくしているから今ぐらいは構わないだろう。明日はもっと忙しくなるのだろう?」
「考えたくないですが明日中に決着をつけなければなりません。ですので、明日は直接ギルドに行こうと思っています。」
「ギルドにだって?」
シルビア様が目を丸くして驚く。
そのリアクションもいつものクールな感じと違って好きですよ。
「相手は私を追い出したいようですが、あえて懐に飛び込んで反応をうかがってみようと思います。追い出されるかはまだわかりませんが、それなりの反応はあると思っています。」
「勝算はあるのか?」
「なにも戦いにいくわけではありませんので物理的に排除されることは無いでしょう。マッカ氏と面会できれば5割って所ですね。」
「ということはご主人様はもう何かを掴んでいるんですね。」
「正直に言って手札は少ないです。上手いこと話が進めばいいですがはぐらかされれば難しい戦いになるでしょう。こっちは状況証拠だけですからね、後はこの口で何とかしてみます。」
「あら、何か面白いことしにいくの?」
カムリと何か難しい話しをしていたガスターシャ氏が話しに入ってきた。
「面白いといいますか、面子をかけた戦いといいますか表現が難しいですね。」
「それってあそこで美味しそうにローメンを頬張っているあの子の為?」
「半分いえ、四分の三はそうです。」
「見た目はいいとこのお嬢さんという感じだけど、実際は違うようね。平民、いえ彼女も奴隷かしら。」
奴隷という単語にリーシャさんがビクリと反応した。
怯えたような顔で恐る恐るこちらの様子を窺っている。
「仰るように彼女は奴隷です。」
「それがギルドにいくのに何か関係あるのかしら。」
正直に話すべきか、それともはぐらかすべきか。
いや、悩むこともないな。
「彼女はマッカ氏が所有する奴隷なんです。訳あって保護していますが彼女の自由を勝ち取りに行こうと思っています。」
「面白いなんて言い方してごめんなさい。」
「いえ、事情をお話していませんでしたから。」
「奴隷の自由を勝ち取るだなんて、貴方がする事だから正当な理由があってのことでしょうね。」
「どうでしょう、私はただ助けたいと思って行動しているだけです。事実不当に他人の所有奴隷を連れまわしているわけですから、それが正当であるかは今はなんとも言えません。」
世間一般に言えば俺は罪を犯している。
そういう意味では不当であるといえるだろう。
実際には奴隷に虐待の可能性があり、それを証明する為に保護しているので罪にはならないと騎士団長のお墨付きも得ている。
俺は自分の正当性を証明しに戦いにいくのかもしれないな。
「理由はどうであれ私は一個人として貴方のすることに賛同するわ。先ほどのお詫びといっては何だけど、私に手伝えることは無いかしら。」
「中央府の役人様が手を貸してもよろしいんですか?」
「言ったでしょ、一個人として力を貸すの。今の私はただのアーシャよ。」
一個人といいながらもものすごい権力を持つガスターシャ氏。
頼りになります。
「では今年の冬に亡くなったジルダという商人の負債について情報が欲しいんです。誰にいくら借りていていくら返していたのか。晩年の詳細なお金の出し入れがどうしてもわからないんですよ。」
「それだけでいいの?」
「それだけがどうしても手に入れる方法が無くて困っていたんです。もし物的証拠が手に入り、私の思うとおりであれば何とかなるかもしれません。」
「わかったわ、明日の朝までに届けさせましょう。」
「今回は白鷺亭を使えなくてですね、騎士団にお願いできないでしょうか。」
現在白鷺亭は使用禁止だ。
この面子ならどうとでもなるが、戦いにいくには少々準備が足りない。
今は待つしかない。
「あら、宿無し?」
「何人かは大丈夫ですが私と妻二人は追い出されてしまいました。」
「相手が貴族だったら私が何とかしてあげられるんだけど、致し方ないわね。」
「お気持ちだけで十分です。」
「じゃあ明日の朝までに。いくわよ、カムリ。」
「夜の会議はどうするつもりですか?」
「あんな役に立たない会議なんてするだけ無駄よ。体調不良とか適当に言っておいて。」
「私は貴方の秘書じゃないんですが・・・。」
「いいからさっさと行く!それじゃあ皆様ごきげんよう。」
ガスターシャ氏は席を立ちその場で優雅にお辞儀をした。
そしてそのままカムリを押し出しながら店を出て行く。
見た目だけは完璧女性なんだけどなぁ。
何処で道間違ったんだ?
「行ってしまわれましたね。」
「あぁ、相変らずせわしないお人だ。」
「ですがあの人のおかげで何とかなるかもしれません。」
「良かったですね、リーシャちゃん。」
「うん!」
明日はぶっつけ本番だ。
たらふく食べたし後はゆっくり休んで明日に備えるとしよう。
考えたい事はたくさんあるけれど考えすぎもよくないしね。
やれる事をやる。
後の事は皆にお任せ。
これが俺の戦い方だ。
左右に座る二人がそっと俺の手を握ってくる。
俺は大丈夫だよと返事をするようにその手を強く握り返した。
これで暗礁に乗り上げかけていた隠密作戦に光が差した。
大げさに言えばそんな感じだ。
もっとも、彼いや彼女が力を貸してくれるかは別問題なわけだが・・・。
「お久しぶりになりますかね、アーシャ様。その節はお世話になりました。」
「こっちこそ腐敗した貴族を根絶やしにしてもらって助かったわ。その後の処理に関して言えば面倒だったけど、まぁ仕方ないわよね。」
猫目館で行われていた不正を暴き、どこぞの貴族が没落したそうだが俺にとってはどうでもいい話だ。
「こんな所でお会いするとは思っていませんでしたが、今日は休息日を利用して来られた・・・という感じではなさそうですね。」
きらびやかな衣装ではあるが何処かフォーマルな雰囲気もする。
休日であればもっと派手な格好してそうだもんな、この人。
「そうなのよ!あの一件以来、元老院が不正に厳しくなってその確認に走りまわっている所なの!もう、寝不足でお肌がカサカサになっちゃうわ。」
「寝不足はお肌の天敵ですから。」
「だからせめて元気の出るものって来たんだけど、ねぇ知らない仲でもないんだし御一緒してもいいでしょ?こんな美人とご飯食べれるんだから嫌なわけ無いわよね。」
「アーシャ様も大変美しいですがうちには負けないぐらい綺麗な妻達がおりますので。」
「もう、つれないんだから。綺麗な子に可愛い子まで増えちゃって目の保養になるわねぇ。」
いじけたような目でこちらを見るアーシャ氏。
傍から見れば美人が男にちょっかいをかけているようにも見えるが、騙されること無かれ。
彼女には女性についていないものがぶら下がっている。
ゴールデンなやつとビックコックなやつだ。
まぁビックかどうかは知らないけど。
「妻達がよければ私は構いませんが、お一人ではないのでしょう?」
「もちろん私の可愛い可愛い弟も一緒よ!」
「その言い方は辞めてくださいと何度言えば理解してくれるんでしょうかこの愚兄は。」
ドアの後ろに控えていたのだろう、カムリが音も立てずに中に入ってくる。
ガスターシャあるところにカムリあり。
またこの兄のお守りをさせられているのだろう。
「カムリ、今日は護衛に出ていると聞いていたがまさかアーシャ殿の護衛だったのか。」
「シルビア様お休みの所申し訳ありません。」
「何私は構わんが、みんなはどうだ?」
シルビア様が全員の方を見る。
事情を良く知らないリーシャさんを除き他のメンバーは構わないという感じだ。
「問題無さそうです。」
「さすがいい男は違うわね!」
「お二人にも料理をお願いできますか?支払いは私が持ちますので。」
「かしこまりました。」
この際二人分の支払いが増えたところで問題ない。
むしろこれをネタにお願いを仕込もうとかあくどいことも考えてしまっている。
まぁ、この人には俺の思惑なんて筒抜けだろうけど・・・。
テーブルを横にくっつけて二人が席に着く。
これ以上誰か来ても座るところは無いからね!
「そういえば貴方も大変なことになっているようね。」
「アーシャ様のお耳にも入ってしまいましたか。」
「そりゃあ街中でこれだけ噂になっていればね。」
「半分は自分でまいた種ですが、騒ぎが大きくなってしまいまして正直困っています。」
「商業ギルドを敵に回すだなんて中々出来る事じゃないわよ。」
それは褒められているんだろうか。
それとも呆れられているのだろうか。
「正確には商業ギルドのデンマッカ兄妹を敵に回したんですけど、二人について何か御存知な事はありませんか?」
「自分の私利私欲の為には手段を選ばない不届き者。相手が貴族でも平民でも身を崩しそうな相手を見つけては高利で金を貸して破産すれば財産を全て奪っていく死肉犬って感じかしら。」
死肉犬=ハイエナって感じかな。
なるほど随分と悪名高いようだ。
「貴族相手にも随分と悪い事をしているんですね。」
「その悪い事の証拠を残さないのが厄介なの。何度か目をつけたんだけど中々尻尾を出さないのよね。」
「騎士団にも何度か情報提供はあったが現時点では捕縛するに至る証拠は見つかっていない。」
「商店連合としては同業になるわけですがあまり相手をしたくない相手という印象です。」
どの業界からも毛嫌いされている兄妹。
今の地位に上がったのも色々汚い事をしてきたんだろうけど、証拠を残さない辺りずる賢い。
今回の俺への報復もあくまでも商業ギルドとして出しているので、俺達が調べなければ誰が主導かというのはわからなかっただろう。
「私が言うのもなんですが今回も随分と面倒な人間を相手にしているようですね。」
「お前が面倒じゃないヤツを相手にしたなんて聞いたことが無いぞ。」
「ご主人様はワザワザ苦労をするタイプですから。」
「確かに貴方はそんな感じよね。」
「別に苦労したいわけではないんですけど・・・。」
苦労は買ってでもしろだなんて言うけれど、出来るなら苦労したくない。
俺は平和に暮らしたいだけだ。
「お待たせいたしました。」
話のタイミングよく料理が運ばれてくる。
ワザワザ待ってくれていたのだろうか。
「王都では予約しないと食べれないグバハーンがまさかここで食べれるなんて夢のようね。」
「王都の味は存じませんが、ここの料理は格別ですよ。」
「イナバ様そんなに持ち上げないで下さい・・・。」
「自信を持ってください、ここの料理を食べて私達はこんなに笑顔になれたんですから。」
俺を含めた全員が満たされた顔をしている。
人間の三大欲求の中でも食欲が占める割合は大きい。
それを満たしてくれるこの料理はそれだけ価値があるということだ。
「カムリ貴方も食べなさいよ。」
「職務中ですので。」
「今日ぐらいは私が許そう。せっかくの休息日だ、食事ぐらい構わんだろう。」
「シルビア様がそう仰るのであれば。」
上司が言うのなら仕方が無いという言い方だが、内心嬉しいんじゃないですか?
普段クールな感じですけど美味しい物を前にしてお預けはしんどいでしょ。
食事をする時は大人数の方が美味しいんです。
「「いただきます。」」
二人が食べるのを全員が見つめる。
なんだろうこの空気。
絶対にまずいって言えないやつじゃないでしょうか。
いや、美味しいからそんなことは無いと思うけど、プレッシャーがハンパない。
「美味しい!王都でもこんな美味しい料理は中々味わえないわ!」
「ありがとうございます。」
「見た目以上に柔らかくですが味はしっかりしている。これは非常にいいですね。」
カムリが食レポをしているがあえてスルーしよう。
「なんだかあの二人が食べてるのを見てるとお腹が空いてきちゃった・・・。」
「リーシャさんニケさんの分も食べていませんでしたか?」
「だってこんなに美味しい料理初めてなんだもん。」
「どうぞおかわりはたくさんありますので、皆さんもお召し上がり下さい。」
「いいんですか?」
「今日は店じまいにします。こんなに喜んで食べていただけるなんてこんなうれしい事はありませんから。」
料理人にとって美味しいは最高の褒め言葉だ。
自分の料理でお客が幸せになる。
これ以上に嬉しいことなんて無いだろう。
「ではお言葉に甘えて。」
「じゃあ俺にも頼む、食い足りないと思っていたところだ。」
「言ってくだされば私の分も食べてくださっても良かったのに・・・。」
「世話になっている相手の分まで食べるほど飢えてねぇよ。」
ポリポリと頭をかきながら言い訳を言うウェリス。
そこは今度作ってくれって言う所だろ!
「すぐに持ってきますね。」
嬉しそうな顔をしながら店主が調理場へと戻っていく。
その後姿をリーシャさんが満面の笑みを浮かべてそれを見送っていた。
今までの苦労が無くなるわけでは無いけれど、せめて楽しい記憶として残りますように。
食事も終盤、各自のお皿は綺麗に片付き食後のデザートが振舞われていた。
ローメンというその果物は鮮やかなオレンジ色をしていた。
名前が某ホラー映画みたいだけどこの匂い、この味、間違いないメロンだ。
こちらもハンバーグ同様にリーシャさんがニケさんの分を食いつくさんばかりの勢いで口に運んでいる。
そしてまたそれを甲斐甲斐しくお世話するニケさん。
楽しそうだな。
「食後の香茶もいい茶葉を使っているのね。」
「お口に合いましてなによりです。兄が西部で茶葉を栽培しておりまして、いつも送ってくれるんです。」
「香茶なんて上品なものの味はよくわからねぇが旨いって事は俺にもわかる。」
確かに普段飲まなさそうだよな。
セレンさんが出してくれる香茶も美味しいけどあれは業務用でいいやつじゃないし。
「ウェリスは酒のほうがよかったんじゃないですか?」
「一応奴隷だからな出先では慎むようにしている。」
「あら、奴隷だったのね。」
「うちの騎士団で従軍奴隷をしていますが、今はイナバ様の商店近くにある村で警備と開拓に従事させています。」
「この男に捕まってこのざまだ。」
ウェリスが俺を指差してニカっと笑った。
「おい、口を慎めよウェリス。見た目はこんなのだが一応中央の役人だお前の首など今すぐにはねられてもおかしくないんだぞ。」
「マジか・・・。」
「ちなみに腕はカムリやシルビアに並ぶぐらいだそうです。」
「いやだ、何でバラしちゃうのよ。こんなにか弱そうな女を捕まえて酷い人達ね。」
「「いやいや。」」
思わずカムリと声がハモってしまった。
それがおかしくてまた皆で笑ってしまう。
あぁ、楽しいなぁ。
「シュウイチさん嬉しそうですね。」
「えぇ、こんなにゆったりとした空気は久々です。」
「いつもせわしなくしているから今ぐらいは構わないだろう。明日はもっと忙しくなるのだろう?」
「考えたくないですが明日中に決着をつけなければなりません。ですので、明日は直接ギルドに行こうと思っています。」
「ギルドにだって?」
シルビア様が目を丸くして驚く。
そのリアクションもいつものクールな感じと違って好きですよ。
「相手は私を追い出したいようですが、あえて懐に飛び込んで反応をうかがってみようと思います。追い出されるかはまだわかりませんが、それなりの反応はあると思っています。」
「勝算はあるのか?」
「なにも戦いにいくわけではありませんので物理的に排除されることは無いでしょう。マッカ氏と面会できれば5割って所ですね。」
「ということはご主人様はもう何かを掴んでいるんですね。」
「正直に言って手札は少ないです。上手いこと話が進めばいいですがはぐらかされれば難しい戦いになるでしょう。こっちは状況証拠だけですからね、後はこの口で何とかしてみます。」
「あら、何か面白いことしにいくの?」
カムリと何か難しい話しをしていたガスターシャ氏が話しに入ってきた。
「面白いといいますか、面子をかけた戦いといいますか表現が難しいですね。」
「それってあそこで美味しそうにローメンを頬張っているあの子の為?」
「半分いえ、四分の三はそうです。」
「見た目はいいとこのお嬢さんという感じだけど、実際は違うようね。平民、いえ彼女も奴隷かしら。」
奴隷という単語にリーシャさんがビクリと反応した。
怯えたような顔で恐る恐るこちらの様子を窺っている。
「仰るように彼女は奴隷です。」
「それがギルドにいくのに何か関係あるのかしら。」
正直に話すべきか、それともはぐらかすべきか。
いや、悩むこともないな。
「彼女はマッカ氏が所有する奴隷なんです。訳あって保護していますが彼女の自由を勝ち取りに行こうと思っています。」
「面白いなんて言い方してごめんなさい。」
「いえ、事情をお話していませんでしたから。」
「奴隷の自由を勝ち取るだなんて、貴方がする事だから正当な理由があってのことでしょうね。」
「どうでしょう、私はただ助けたいと思って行動しているだけです。事実不当に他人の所有奴隷を連れまわしているわけですから、それが正当であるかは今はなんとも言えません。」
世間一般に言えば俺は罪を犯している。
そういう意味では不当であるといえるだろう。
実際には奴隷に虐待の可能性があり、それを証明する為に保護しているので罪にはならないと騎士団長のお墨付きも得ている。
俺は自分の正当性を証明しに戦いにいくのかもしれないな。
「理由はどうであれ私は一個人として貴方のすることに賛同するわ。先ほどのお詫びといっては何だけど、私に手伝えることは無いかしら。」
「中央府の役人様が手を貸してもよろしいんですか?」
「言ったでしょ、一個人として力を貸すの。今の私はただのアーシャよ。」
一個人といいながらもものすごい権力を持つガスターシャ氏。
頼りになります。
「では今年の冬に亡くなったジルダという商人の負債について情報が欲しいんです。誰にいくら借りていていくら返していたのか。晩年の詳細なお金の出し入れがどうしてもわからないんですよ。」
「それだけでいいの?」
「それだけがどうしても手に入れる方法が無くて困っていたんです。もし物的証拠が手に入り、私の思うとおりであれば何とかなるかもしれません。」
「わかったわ、明日の朝までに届けさせましょう。」
「今回は白鷺亭を使えなくてですね、騎士団にお願いできないでしょうか。」
現在白鷺亭は使用禁止だ。
この面子ならどうとでもなるが、戦いにいくには少々準備が足りない。
今は待つしかない。
「あら、宿無し?」
「何人かは大丈夫ですが私と妻二人は追い出されてしまいました。」
「相手が貴族だったら私が何とかしてあげられるんだけど、致し方ないわね。」
「お気持ちだけで十分です。」
「じゃあ明日の朝までに。いくわよ、カムリ。」
「夜の会議はどうするつもりですか?」
「あんな役に立たない会議なんてするだけ無駄よ。体調不良とか適当に言っておいて。」
「私は貴方の秘書じゃないんですが・・・。」
「いいからさっさと行く!それじゃあ皆様ごきげんよう。」
ガスターシャ氏は席を立ちその場で優雅にお辞儀をした。
そしてそのままカムリを押し出しながら店を出て行く。
見た目だけは完璧女性なんだけどなぁ。
何処で道間違ったんだ?
「行ってしまわれましたね。」
「あぁ、相変らずせわしないお人だ。」
「ですがあの人のおかげで何とかなるかもしれません。」
「良かったですね、リーシャちゃん。」
「うん!」
明日はぶっつけ本番だ。
たらふく食べたし後はゆっくり休んで明日に備えるとしよう。
考えたい事はたくさんあるけれど考えすぎもよくないしね。
やれる事をやる。
後の事は皆にお任せ。
これが俺の戦い方だ。
左右に座る二人がそっと俺の手を握ってくる。
俺は大丈夫だよと返事をするようにその手を強く握り返した。
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作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
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