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第六章
幕間~寂しがりやのエミリア~
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シュウイチさんが居なくなってから今日で4日目。
陰日の最終日でお店は休みだ。
ユーリは日課にしているダンジョンの整備の後、朝から狩りに励んでいる。
セレンさんは今日までお休み。
私とニケさんだけが暇を持て余していた。
「今日も帰ってきませんね。」
「二人から連絡もありませんし無茶をしていなければいいんですけど。」
シュウイチさんはいつも無茶ばかりする。
口では大丈夫といっていたけど、今回も危ない目にあっているのではないだろうか。
いつも無事に帰っては来るけれど毎回無事で済むとは限らない。
今回は大きな騒動になっているようだし、心配しても仕方がないのだけど心配だ。
「お茶淹れますね。」
「そうですね、お願いします。」
ニケさんが気をきかせて台所へ向かった。
お昼ごはんにはまだ早い。
空腹というわけではないけれど口さびしいのはある。
最近おなか周りのお肉が気になるので出来るだけ間食は控えるようにしているんだけど、ユーリが持ち帰ってくる大量のお肉を処理しなければならないのでついつい食べ過ぎてしまう。
あぁ、今日もお肉尽くしのご飯になるんだろうなぁ。
ユーリもいくら暇だからってこんなにたくさん狩ってこなくてもいいのに。
干し肉にするのにも時間はかかるし困ったものだ。
「シュウイチさんに会いたいなぁ・・・。」
この3日間でどれだけのため息をついたんだろう。
それこそダンジョンを全て埋め尽くせるぐらいの量じゃないだろうか。
ため息をつくと幸せが逃げるって聞いたことがあるけど、もしそうなら、私は今不幸のどん底に居る事になってしまう。
でもシュウイチさんが居ない事を考えたらあながち間違いではないのかもしれない。
「エミリア様お砂糖どうしますか?」
「一つ、いえ二つおねがいします。」
「わかりました。」
ニケさんとはこの3日間で随分と仲良くなった。
年が近いのもそうだし、考え方が似ているというのもあるかもしれない。
合理的でちょっと涙もろい。
私と違うのは芯があって優しい所かな。
そんな風にいうとニケさんに怒られてしまった。
私はニケさんのように心を強く持てないなぁ。
その証拠にシュウイチさんが居ないだけでこんなに沈み込んでしまうんだから。
性格も良いし仕事も出来る。
元娼婦という肩書きではあるけれど、そうなる前は有名な商家に産まれ昔から商売に関わっていたニケさん。
読み書きや計算だけでなく折衝も難なくこなせてしまうんだから、私が居なくてもいいんじゃないかって思うぐらいだ。
胸の大きさでは負けていないけど、体のラインは綺麗だしお尻も小さい。
それに男性経験も豊富ときたらなんだか勝てるところが全然ないように思えてきた。
女性として見習う部分もたくさんある。
このままではダメだよね。
「おまたせしました。」
「ありがとうございます。」
部屋に香茶の良い香りがひろがっていく。
「上手く淹れられたかわかりませんが・・・。」
「いつも美味しいですよ。」
お世辞じゃない。
実際ニケさんの淹れるお茶はとっても美味しい。
この分ではあっという間に私よりも上手に淹れる様になるんじゃないだろうか。
そうなると、また1つ勝てるところがなくなってしまう。
実際今回のお茶もいつも以上に美味しい。
「あの、お口に合いませんでしたか?」
「そんなことないですよ、とっても美味しいです。」
「それなら良かったです。ため息をついておられたので美味しくなかったのかと思ってしまいました。」
「すみません、つい出ちゃいました。」
「・・・心配ですよね。」
心配だけじゃないんだけど、そういうことにしておこう。
「お二人の事ですからまた元気に戻ってこられますよ、大丈夫です。」
「そうですよね。」
「明日はお店も開きますしそれまでには戻ってこられるのではないでしょうか。」
陰日は今日でおしまい。
明日は商店を開けてお客さんを迎え入れないといけない。
3日ぶりのお店だから村の人がたくさん来てくれるだろう。
日用品の在庫確認は済んでいるけれど、もう一度見ておいたほうがいいかもしれない。
「お昼を食べたらもう一度在庫の確認をしてきますね。」
「御一緒します。」
「じゃあニケさんは雑貨の確認をお願いしますね。」
「お任せ下さい。」
へこんでいる場合じゃない。
シュウイチさんに店を任されている以上最高の状態で準備しておかなければ。
でも、もし帰ってこなかったら?
このままずっと帰ってこないとしたら私はどうしたらいいんだろう。
そう思うと不安で心が押しつぶされそうになる。
心が潰れてしまわぬよう私は指輪をキュッと握り締めた。
「ただいま戻りました。」
その時だった。
突然外から声が聞こえてきた。
この声はユーリ?
でも戻ってくるにはまだ早いし、もしかしたらシュウイチさんと一緒に帰ってきたのかもしれない!
私は勢いよく玄関のほうを向く。
ゆっくりと開く扉から見えたのは、血まみれのユーリだった。
シュウイチさんじゃないのか。
私はまた大きく息を吐いた。
ん?
血だらけ?
「大丈夫ですかユーリ様!」
ニケさんが慌ててユーリに駆け寄った。
「返り血ですので問題ありません。」
「今日はまた、随分と大きな獲物ですね。」
「二日ほど前に仕掛けた足罠にかかっていました。血抜きは済ませていますので裏で捌いてきます。」
ユーリの後ろには立派なボア種の魔物が転がっていた。
一匹で一家族が半月過ごせるぐらいの肉が取れるし、革は防具に利用でき、牙は良い武器になる。
捨てるところがあまりない冒険者にとって実入りの良い魔物ではあるが、非常に凶暴で突進を受けると生半可な防具では突き破られてしまう。
この辺りではあまり見かけない初心者泣かせの魔物のはずだ。
「随分と遠くまで行ったんですね。」
「そこまで遠くありません、ここから1刻ほど奥に行った場所ですので。」
「こんな身近に出るんですか!?」
ニケさんには縁遠い魔物だろう。
冒険者か森の奥で生活するエルフィーぐらいしか出会う事のない魔物だ。
「恐らくはどこからか迷い込んだのだと思います。傷も多く随分と弱っておりましたで仕留めるのは簡単でした。」
「弱っていたのであればいいですが、凶暴な魔物ですので次回以降は手を出す前に教えてください。」
仕留める前に罠が壊れてしまったら大変な事になる。
私やシルビア様なら大丈夫だが、初心者が手を出して良い魔物ではない。
「わかりました、次回発見しましたらすぐにお伝えいたします。」
「あの、私にできることがあれば何でも言ってください。」
「ニケ様の手を煩わすほどではありません。この大きさの魔物は初めてですが何とかなるでしょう。」
「捌き方でしたらわかりますので一緒にしましょうか。」
「さすがリア奥様ですね、是非御教授お願いします。」
森でも商店でも捌いた事がある。
内臓さえ傷つけなければ比較的簡単な部類に入るが、脂が多く一人では大変だ。
「ニケさんはお風呂の準備をお願いできますか?捌き終わったらすぐにお風呂に入らせますので。」
「水をかぶるだけで大丈夫ですが・・・。」
「ボアの脂は水では落ちません。それにシュウイチさんが帰ってきたときに家の中が血なまぐさいというのはどうかと思いますよ。」
「それもそうですね、リア奥様に従います。」
「ではお風呂の方はお任せ下さい。」
血抜きをしてあるとはいえ捌いている最中に私も血まみれになるだろう。
「先に着替えてきますのでユーリは井戸の横に運んでおいてください。」
「かしこまりました。」
汚れても良い服に着替えて井戸に向かうと、ユーリが革をはいでいるところだった。
「革は買取にも出せますので慎重に。脂をそいでもらえれば獣油として松明の代わりに灯にも使えます。」
「思っている以上に使える部分が多いのですね。」
「南方は生息数が多くボア種のみを狩って暮らす民族もいます。数をこなせれば十分に商売として成り立つ魔物ですね。」
「なるほど勉強になります。」
「ですが作物を荒らす魔物でもありますので、この辺りのように農業が盛んな地域では嫌われる魔物です。定期的に冒険者ギルドや商店宛に討伐依頼が来るほどですから。」
ボア種をかれるようになれば一人前の冒険者とも言える。
ダンジョンの中でも出没する種でもある為、ダンジョン商店の店員としては扱える様になっておくべきだろう。
私とユーリが出来ればシュリアン商店としては問題ないはずだ。
「今日の夜はボア肉でお料理ですね。」
「独特のにおいがありますので香草と一緒に料理すると食べ易くなります。干し肉にするのであれば塩を多めに準備して下さい。」
「本当にエミリア様は物知りなんですね。」
「物知りなだけですよ。」
知識は武器だ。
これは戦いにも生活にも仕事にも全ての事に言える。
そういう風にメルクリア様に教えられた。
そして、その知識のおかげで私はシュウイチさんの右腕として一緒に仕事をすることが出来る。
シュウイチさんが頼りにしてくれる、私の唯一の武器。
そして、誰にも負けない部分。
もしこの部分でも負けてしまったら私はどうすればいいんだろうか。
捨てられてしまったら。
いや、シュウイチさんがそんな事をするはずがない。
あの人ならきっと、そばに居てくれるだけでいいといってくれる。
私の大切な人。
あの人なら、大丈夫。
だから私は信じて待つだけだ。
「あれ、珍しい子を捌いているんだね。」
その時だった、聞き覚えのある声が耳に飛び込んできた。
慌てて顔を上げると緑色のワンピースを着た子供がボアだった肉の塊を覗き込んでいる。
「ドリアルド様!」
「シュウちゃんのお嫁さんの、えっと、誰だっけ。」
「エミリアで御座いますドリアルド様。」
「そうだエリちゃんだ!」
見た目は無邪気に笑う子供だが、中身は森の精霊様だ。
なので子供だからという理由で口調を変えようものならどんな目に合うかわかったものではない。
言葉は時として命を危うくする。
特にこの方はシュウイチさんに精霊の祝福を授けてくださった方だ、シュウイチさんのためにも気を抜いてはいけない。
「恐らくどこからか迷い込んできた魔物かと思います。ここより一刻程奥の森で捕獲いたしました。」
「ふーん、この辺りでは見たことのない子だけど悪い臭いはしないね。」
「それは安心致しました。魔力溜まりから出たものでしたら大変です。」
「この森でそんな事は起こさせないから安心していいよ!」
「ありがとうございます。」
「それで、ちょっとお願いなんだけど・・・。」
まさか精霊様が私達にお願いだなんて。
シュウイチさんが居ないのに勝手に受けていいのだろうか。
もし気を損ねてしまったら・・・。
「そこのお肉少し分けてもらえる?」
「お肉、ですか?」
「そう、一番美味しい部分は大丈夫だから端っこのそうそうそこの部分。」
ドリアルド様は短剣を握るユーリに指示を出して四分の一程を指定した。
精霊様も食事をするのだろうか。
お肉を食べるというのは聞いた事がないのだけど。
「もちろんで御座います、どうぞお持ち帰り下さい。」
「やった!これでいいお土産ができたよ!」
お土産?
誰かに食べさせてあげるのだろうか。
でも誰に?
ウンディーヌ様も精霊だし食事は必要としないはずだ。
「ユーリ、切り分けて差し上げてください。今包む物を取ってきます。」
「いいよいいよ、そのまま持って帰るから。うん、ありがとう。」
ユーリが切り取った肉の塊を笑顔で受け取るドリアルド様。
肉の塊を持って笑う子供というのは無邪気なようで非常に恐ろしく見えるのは私だけだろうか。
でも、これでお願いを叶えられるのであれば易いものだろう。
「そうだ、お肉のお礼に良い事教えてあげる!」
「いいことですか?」
「シュウちゃんはもうすぐ帰ってくるよ。ちょっと両手に穴開いちゃったけどディーちゃんが治してくれたから心配しないで待っててね!」
シュウイチさんが帰ってくる!
でも、待って両手に穴ってどういうこと?
「両手に穴・・・ですか?」
「うん。両手に大きな穴を開けられて大変な目にあったけど、無事にお互い仲良くなってバイバイしてたから問題ないよ。傷跡もないし後は向こうの用事が終わったら帰ってくるんだって。」
やっぱり無事に済んでいないじゃない!
両手に穴って、どれだけひどい目にあったんだろう。
痛い思いに苦しい思い、辛い思いもしたに違いない。
あれほど気を付けてくださいって、無理をしないでとお願いしたのに。
帰ってきたら問い詰めてやるんだから!
「ありがとうございます、楽しみに待っています。」
「早く皆に逢いたいってフラフラしながら言ってたよ。それじゃあね!」
「お気をつけてお帰りくださいませ。」
「ここは私の森だよ、でもありがとう。」
ドリアルド様は優雅に一礼するとそのまま森の奥に溶け込むように消えてしまった。
「ご主人様は随分と大変な目にあったようですね。」
「まったく、あれほど言ったのに困ったものです。」
「ですが無事に帰ってきてくださいます。」
「えぇ、本当に良かった。」
生きて帰ってきてくれる。
これ以上に嬉しい事はない。
フラフラしながらという部分も気になるけど、また必要以上の仕事を抱え込んでしまったのだろう。
お願いされたら断れない優しい人だ。
そこが、素敵なんだけどね。
「ではいつ戻ってきてもいいようにしっかり準備しましょう。」
「おまかせください。」
まずはこの肉の塊をどうにかしなければならない。
帰ってきたらこのお肉を使って美味しい料理を作ってあげよう。
疲れた体をいっぱい癒してあげよう。
話をいっぱい聞いてあげよう。
いっぱい、いっぱい、抱きしめてあげよう。
おつかれさまって労ってあげよう。
「リア奥様お顔が緩んでいますよ。」
「そういうユーリも嬉しそうです。」
「ご主人様が無事に戻られるだけでこれ以上うれしい事はございません。」
ユーリの言うとおりだ。
私のところに帰ってきてくれる。
それ以上の喜びなんてない。
「あの、何か声が聞こえたようでしたがどうかされましたか?」
二人で笑っていると不思議そうな顔でお風呂場からニケさんがひょっこり顔を出した。
どうやら中に居て先ほどのやり取りに気付かなかったようだ。
「シュウイチさんがもうすぐ戻ってくるという話をしていたんです。」
「イナバ様がお戻りになられるのですね!」
「具体的な日付はわかりませんが戻られることは間違いないようです。」
「エミリア様良かったですね、しっかり甘えてください。」
あ、甘えるだなんて。
他に人が居るのにそんな恥ずかしい事できない・・・。
「リア奥様、したい事をしないと後悔しますよ。もしされないのであれば私が全力で甘えさせていただきます。」
「そういえば、私も助けていただいた御礼をまだしていませんでした。」
「ダメ、二人ともダメです!」
ユーリもニケさんもなんて事を言うんだろう。
ユーリもああ見えてシュウイチさんのことが大好きみたいだし、ニケさんにいたってはどんな事をするのか想像もできない。
二人とも美人だし、二人が本気を出したら私なんて。
「嘘ですよ。リア奥様よりも先に甘える事は致しません。」
「そうです。一番最初は奥様の役目ですよ。」
「もう、二人とも意地悪なんですから。」
帰ってきたらいっぱい甘えよう。
素直な気持ちを伝えよう。
意地悪に笑う二人に感謝しながら私もつられて笑ってしまう。
シュウイチさん、早く帰ってきてください。
皆で待ってます。
陰日の最終日でお店は休みだ。
ユーリは日課にしているダンジョンの整備の後、朝から狩りに励んでいる。
セレンさんは今日までお休み。
私とニケさんだけが暇を持て余していた。
「今日も帰ってきませんね。」
「二人から連絡もありませんし無茶をしていなければいいんですけど。」
シュウイチさんはいつも無茶ばかりする。
口では大丈夫といっていたけど、今回も危ない目にあっているのではないだろうか。
いつも無事に帰っては来るけれど毎回無事で済むとは限らない。
今回は大きな騒動になっているようだし、心配しても仕方がないのだけど心配だ。
「お茶淹れますね。」
「そうですね、お願いします。」
ニケさんが気をきかせて台所へ向かった。
お昼ごはんにはまだ早い。
空腹というわけではないけれど口さびしいのはある。
最近おなか周りのお肉が気になるので出来るだけ間食は控えるようにしているんだけど、ユーリが持ち帰ってくる大量のお肉を処理しなければならないのでついつい食べ過ぎてしまう。
あぁ、今日もお肉尽くしのご飯になるんだろうなぁ。
ユーリもいくら暇だからってこんなにたくさん狩ってこなくてもいいのに。
干し肉にするのにも時間はかかるし困ったものだ。
「シュウイチさんに会いたいなぁ・・・。」
この3日間でどれだけのため息をついたんだろう。
それこそダンジョンを全て埋め尽くせるぐらいの量じゃないだろうか。
ため息をつくと幸せが逃げるって聞いたことがあるけど、もしそうなら、私は今不幸のどん底に居る事になってしまう。
でもシュウイチさんが居ない事を考えたらあながち間違いではないのかもしれない。
「エミリア様お砂糖どうしますか?」
「一つ、いえ二つおねがいします。」
「わかりました。」
ニケさんとはこの3日間で随分と仲良くなった。
年が近いのもそうだし、考え方が似ているというのもあるかもしれない。
合理的でちょっと涙もろい。
私と違うのは芯があって優しい所かな。
そんな風にいうとニケさんに怒られてしまった。
私はニケさんのように心を強く持てないなぁ。
その証拠にシュウイチさんが居ないだけでこんなに沈み込んでしまうんだから。
性格も良いし仕事も出来る。
元娼婦という肩書きではあるけれど、そうなる前は有名な商家に産まれ昔から商売に関わっていたニケさん。
読み書きや計算だけでなく折衝も難なくこなせてしまうんだから、私が居なくてもいいんじゃないかって思うぐらいだ。
胸の大きさでは負けていないけど、体のラインは綺麗だしお尻も小さい。
それに男性経験も豊富ときたらなんだか勝てるところが全然ないように思えてきた。
女性として見習う部分もたくさんある。
このままではダメだよね。
「おまたせしました。」
「ありがとうございます。」
部屋に香茶の良い香りがひろがっていく。
「上手く淹れられたかわかりませんが・・・。」
「いつも美味しいですよ。」
お世辞じゃない。
実際ニケさんの淹れるお茶はとっても美味しい。
この分ではあっという間に私よりも上手に淹れる様になるんじゃないだろうか。
そうなると、また1つ勝てるところがなくなってしまう。
実際今回のお茶もいつも以上に美味しい。
「あの、お口に合いませんでしたか?」
「そんなことないですよ、とっても美味しいです。」
「それなら良かったです。ため息をついておられたので美味しくなかったのかと思ってしまいました。」
「すみません、つい出ちゃいました。」
「・・・心配ですよね。」
心配だけじゃないんだけど、そういうことにしておこう。
「お二人の事ですからまた元気に戻ってこられますよ、大丈夫です。」
「そうですよね。」
「明日はお店も開きますしそれまでには戻ってこられるのではないでしょうか。」
陰日は今日でおしまい。
明日は商店を開けてお客さんを迎え入れないといけない。
3日ぶりのお店だから村の人がたくさん来てくれるだろう。
日用品の在庫確認は済んでいるけれど、もう一度見ておいたほうがいいかもしれない。
「お昼を食べたらもう一度在庫の確認をしてきますね。」
「御一緒します。」
「じゃあニケさんは雑貨の確認をお願いしますね。」
「お任せ下さい。」
へこんでいる場合じゃない。
シュウイチさんに店を任されている以上最高の状態で準備しておかなければ。
でも、もし帰ってこなかったら?
このままずっと帰ってこないとしたら私はどうしたらいいんだろう。
そう思うと不安で心が押しつぶされそうになる。
心が潰れてしまわぬよう私は指輪をキュッと握り締めた。
「ただいま戻りました。」
その時だった。
突然外から声が聞こえてきた。
この声はユーリ?
でも戻ってくるにはまだ早いし、もしかしたらシュウイチさんと一緒に帰ってきたのかもしれない!
私は勢いよく玄関のほうを向く。
ゆっくりと開く扉から見えたのは、血まみれのユーリだった。
シュウイチさんじゃないのか。
私はまた大きく息を吐いた。
ん?
血だらけ?
「大丈夫ですかユーリ様!」
ニケさんが慌ててユーリに駆け寄った。
「返り血ですので問題ありません。」
「今日はまた、随分と大きな獲物ですね。」
「二日ほど前に仕掛けた足罠にかかっていました。血抜きは済ませていますので裏で捌いてきます。」
ユーリの後ろには立派なボア種の魔物が転がっていた。
一匹で一家族が半月過ごせるぐらいの肉が取れるし、革は防具に利用でき、牙は良い武器になる。
捨てるところがあまりない冒険者にとって実入りの良い魔物ではあるが、非常に凶暴で突進を受けると生半可な防具では突き破られてしまう。
この辺りではあまり見かけない初心者泣かせの魔物のはずだ。
「随分と遠くまで行ったんですね。」
「そこまで遠くありません、ここから1刻ほど奥に行った場所ですので。」
「こんな身近に出るんですか!?」
ニケさんには縁遠い魔物だろう。
冒険者か森の奥で生活するエルフィーぐらいしか出会う事のない魔物だ。
「恐らくはどこからか迷い込んだのだと思います。傷も多く随分と弱っておりましたで仕留めるのは簡単でした。」
「弱っていたのであればいいですが、凶暴な魔物ですので次回以降は手を出す前に教えてください。」
仕留める前に罠が壊れてしまったら大変な事になる。
私やシルビア様なら大丈夫だが、初心者が手を出して良い魔物ではない。
「わかりました、次回発見しましたらすぐにお伝えいたします。」
「あの、私にできることがあれば何でも言ってください。」
「ニケ様の手を煩わすほどではありません。この大きさの魔物は初めてですが何とかなるでしょう。」
「捌き方でしたらわかりますので一緒にしましょうか。」
「さすがリア奥様ですね、是非御教授お願いします。」
森でも商店でも捌いた事がある。
内臓さえ傷つけなければ比較的簡単な部類に入るが、脂が多く一人では大変だ。
「ニケさんはお風呂の準備をお願いできますか?捌き終わったらすぐにお風呂に入らせますので。」
「水をかぶるだけで大丈夫ですが・・・。」
「ボアの脂は水では落ちません。それにシュウイチさんが帰ってきたときに家の中が血なまぐさいというのはどうかと思いますよ。」
「それもそうですね、リア奥様に従います。」
「ではお風呂の方はお任せ下さい。」
血抜きをしてあるとはいえ捌いている最中に私も血まみれになるだろう。
「先に着替えてきますのでユーリは井戸の横に運んでおいてください。」
「かしこまりました。」
汚れても良い服に着替えて井戸に向かうと、ユーリが革をはいでいるところだった。
「革は買取にも出せますので慎重に。脂をそいでもらえれば獣油として松明の代わりに灯にも使えます。」
「思っている以上に使える部分が多いのですね。」
「南方は生息数が多くボア種のみを狩って暮らす民族もいます。数をこなせれば十分に商売として成り立つ魔物ですね。」
「なるほど勉強になります。」
「ですが作物を荒らす魔物でもありますので、この辺りのように農業が盛んな地域では嫌われる魔物です。定期的に冒険者ギルドや商店宛に討伐依頼が来るほどですから。」
ボア種をかれるようになれば一人前の冒険者とも言える。
ダンジョンの中でも出没する種でもある為、ダンジョン商店の店員としては扱える様になっておくべきだろう。
私とユーリが出来ればシュリアン商店としては問題ないはずだ。
「今日の夜はボア肉でお料理ですね。」
「独特のにおいがありますので香草と一緒に料理すると食べ易くなります。干し肉にするのであれば塩を多めに準備して下さい。」
「本当にエミリア様は物知りなんですね。」
「物知りなだけですよ。」
知識は武器だ。
これは戦いにも生活にも仕事にも全ての事に言える。
そういう風にメルクリア様に教えられた。
そして、その知識のおかげで私はシュウイチさんの右腕として一緒に仕事をすることが出来る。
シュウイチさんが頼りにしてくれる、私の唯一の武器。
そして、誰にも負けない部分。
もしこの部分でも負けてしまったら私はどうすればいいんだろうか。
捨てられてしまったら。
いや、シュウイチさんがそんな事をするはずがない。
あの人ならきっと、そばに居てくれるだけでいいといってくれる。
私の大切な人。
あの人なら、大丈夫。
だから私は信じて待つだけだ。
「あれ、珍しい子を捌いているんだね。」
その時だった、聞き覚えのある声が耳に飛び込んできた。
慌てて顔を上げると緑色のワンピースを着た子供がボアだった肉の塊を覗き込んでいる。
「ドリアルド様!」
「シュウちゃんのお嫁さんの、えっと、誰だっけ。」
「エミリアで御座いますドリアルド様。」
「そうだエリちゃんだ!」
見た目は無邪気に笑う子供だが、中身は森の精霊様だ。
なので子供だからという理由で口調を変えようものならどんな目に合うかわかったものではない。
言葉は時として命を危うくする。
特にこの方はシュウイチさんに精霊の祝福を授けてくださった方だ、シュウイチさんのためにも気を抜いてはいけない。
「恐らくどこからか迷い込んできた魔物かと思います。ここより一刻程奥の森で捕獲いたしました。」
「ふーん、この辺りでは見たことのない子だけど悪い臭いはしないね。」
「それは安心致しました。魔力溜まりから出たものでしたら大変です。」
「この森でそんな事は起こさせないから安心していいよ!」
「ありがとうございます。」
「それで、ちょっとお願いなんだけど・・・。」
まさか精霊様が私達にお願いだなんて。
シュウイチさんが居ないのに勝手に受けていいのだろうか。
もし気を損ねてしまったら・・・。
「そこのお肉少し分けてもらえる?」
「お肉、ですか?」
「そう、一番美味しい部分は大丈夫だから端っこのそうそうそこの部分。」
ドリアルド様は短剣を握るユーリに指示を出して四分の一程を指定した。
精霊様も食事をするのだろうか。
お肉を食べるというのは聞いた事がないのだけど。
「もちろんで御座います、どうぞお持ち帰り下さい。」
「やった!これでいいお土産ができたよ!」
お土産?
誰かに食べさせてあげるのだろうか。
でも誰に?
ウンディーヌ様も精霊だし食事は必要としないはずだ。
「ユーリ、切り分けて差し上げてください。今包む物を取ってきます。」
「いいよいいよ、そのまま持って帰るから。うん、ありがとう。」
ユーリが切り取った肉の塊を笑顔で受け取るドリアルド様。
肉の塊を持って笑う子供というのは無邪気なようで非常に恐ろしく見えるのは私だけだろうか。
でも、これでお願いを叶えられるのであれば易いものだろう。
「そうだ、お肉のお礼に良い事教えてあげる!」
「いいことですか?」
「シュウちゃんはもうすぐ帰ってくるよ。ちょっと両手に穴開いちゃったけどディーちゃんが治してくれたから心配しないで待っててね!」
シュウイチさんが帰ってくる!
でも、待って両手に穴ってどういうこと?
「両手に穴・・・ですか?」
「うん。両手に大きな穴を開けられて大変な目にあったけど、無事にお互い仲良くなってバイバイしてたから問題ないよ。傷跡もないし後は向こうの用事が終わったら帰ってくるんだって。」
やっぱり無事に済んでいないじゃない!
両手に穴って、どれだけひどい目にあったんだろう。
痛い思いに苦しい思い、辛い思いもしたに違いない。
あれほど気を付けてくださいって、無理をしないでとお願いしたのに。
帰ってきたら問い詰めてやるんだから!
「ありがとうございます、楽しみに待っています。」
「早く皆に逢いたいってフラフラしながら言ってたよ。それじゃあね!」
「お気をつけてお帰りくださいませ。」
「ここは私の森だよ、でもありがとう。」
ドリアルド様は優雅に一礼するとそのまま森の奥に溶け込むように消えてしまった。
「ご主人様は随分と大変な目にあったようですね。」
「まったく、あれほど言ったのに困ったものです。」
「ですが無事に帰ってきてくださいます。」
「えぇ、本当に良かった。」
生きて帰ってきてくれる。
これ以上に嬉しい事はない。
フラフラしながらという部分も気になるけど、また必要以上の仕事を抱え込んでしまったのだろう。
お願いされたら断れない優しい人だ。
そこが、素敵なんだけどね。
「ではいつ戻ってきてもいいようにしっかり準備しましょう。」
「おまかせください。」
まずはこの肉の塊をどうにかしなければならない。
帰ってきたらこのお肉を使って美味しい料理を作ってあげよう。
疲れた体をいっぱい癒してあげよう。
話をいっぱい聞いてあげよう。
いっぱい、いっぱい、抱きしめてあげよう。
おつかれさまって労ってあげよう。
「リア奥様お顔が緩んでいますよ。」
「そういうユーリも嬉しそうです。」
「ご主人様が無事に戻られるだけでこれ以上うれしい事はございません。」
ユーリの言うとおりだ。
私のところに帰ってきてくれる。
それ以上の喜びなんてない。
「あの、何か声が聞こえたようでしたがどうかされましたか?」
二人で笑っていると不思議そうな顔でお風呂場からニケさんがひょっこり顔を出した。
どうやら中に居て先ほどのやり取りに気付かなかったようだ。
「シュウイチさんがもうすぐ戻ってくるという話をしていたんです。」
「イナバ様がお戻りになられるのですね!」
「具体的な日付はわかりませんが戻られることは間違いないようです。」
「エミリア様良かったですね、しっかり甘えてください。」
あ、甘えるだなんて。
他に人が居るのにそんな恥ずかしい事できない・・・。
「リア奥様、したい事をしないと後悔しますよ。もしされないのであれば私が全力で甘えさせていただきます。」
「そういえば、私も助けていただいた御礼をまだしていませんでした。」
「ダメ、二人ともダメです!」
ユーリもニケさんもなんて事を言うんだろう。
ユーリもああ見えてシュウイチさんのことが大好きみたいだし、ニケさんにいたってはどんな事をするのか想像もできない。
二人とも美人だし、二人が本気を出したら私なんて。
「嘘ですよ。リア奥様よりも先に甘える事は致しません。」
「そうです。一番最初は奥様の役目ですよ。」
「もう、二人とも意地悪なんですから。」
帰ってきたらいっぱい甘えよう。
素直な気持ちを伝えよう。
意地悪に笑う二人に感謝しながら私もつられて笑ってしまう。
シュウイチさん、早く帰ってきてください。
皆で待ってます。
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