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第六章
イナバ流兵法:火遁封鎖の術!
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冒険者ギルドでの会議と違い騎士団での会議は非常に緊張感に包まれていた。
それもそうか、問題の規模が違うと自分で話したんだから。
かたやダンジョンの中で起きた冒険者失踪事件。
かたやサンサトローズに迫る3000もの魔物の群れ。
被害を考えれば比べるまでもない。
一体どれだけの犠牲者が出るのだろうか。
想像もつかない。
そうならない為にもこの会議の内容が非常に重要になるわけだけど、はてさてどうなるのやら。
「先程斥候第一陣が帰還しましたので情報のみお伝えします。集団の規模は約3500~4000、主な魔物はボア種が8割その他の魔物が2割となっており、その中に2匹のランドドラゴンを確認しております。」
「ドラゴンだと!」
おお、ファンタジー代名詞の魔物がまさかの参戦。
ランドって事は飛行せずに走るタイプのドラゴンだろうか。
マジか、ドラゴンが混ざってるのか。
「予想進行区域は大方絞れました、南方の森を抜け明日の夕刻には導きの谷を抜け領内に侵入する予定です。」
「よりによってあの谷を通るか。あそこでは満足に戦う事はできんぞ。」
「ならば谷よりも前で叩けば言いだけの事、今からであればまだ間に合うぞ。」
「いや、すぐ手前まで森が広がっている。前で立ち向かうのは厳しいのではないか?」
そこかしこから意見が飛び交うのもギルドとはだいぶ違うようだ。
議論が白熱するのは良いことだし、ここはのんびり傍観ということで。
わからないことはシルビアさまに聞いておくか。
「導きの谷とはどういうところなんですか?」
「シュウイチはこの地域の地理には疎かったな。ここより南には遥か昔神々の戦いの際にで出来たとされる谷があるのだ。そこには南方とこちらを塞ぐようにして大きな台地が広がっているのだが、そこを真っ二つにするように一本の道が出来上がっている。邪悪なる神が決着の付かない戦いに嫌気が差し腹いせにつけた傷といわれたり、聖なる神が南方の人々をこちらに導く為に作った道といわれたり曰くは様々だが、それは見事な景色なんだぞ。」
「それはすごいですね、一度見てみたいものです。」
謂れは別にしてよほどすごい谷なのだろう。
グランドキャニオンなんか目じゃないぐらいかな?
だって神様の戦いで出来たんだろ?
「その谷は広いんですか?」
「いや、二列で行軍するのが精一杯という所だろう。広域兵器を運び込むには時間が足りないかもしれんな。」
「目の前が森ならあまり効果はないかもしれませんね。」
「だが谷を抜けてしまえば一気に平野へと広がってしまい収拾が付かなくなる。それに近隣の村までは目と鼻の先なのだ。」
つまりは谷に入る前に勝負をかけなければ被害は甚大なものになるというワケか。
ただ森が広がっている為に満足に戦う事はできないと。
難しいな。
「近隣の避難状況はどうだ?」
「プロンプト様の御指示通り被害に応じた税の減免若しくは免除を申し出た所、渋々ながら避難を受け入れており明日には近隣全ての村人がサンサトローズへ避難を完了する予定です。」
「避難民には不自由な思いをさせぬよう対応するように、また被害が無い場合は迅速に村に戻れるよう準備しておけ。」
「了解しました!」
とりあえずは人的被害は無さそうだな。
うまく対処できなかった場合は物的被害は甚大なものになるが、人の命には代えられない。
生きてさえいればまたやり直せるというものだ。
「夕刻には斥候第二部隊が情報を持ち帰ります、ですが導きの谷までの距離を考えれば中休みの鐘までに出発しなければ野営の準備は難しいかと。」
「ううむ、部隊の絞込みには時間がかかるか。」
「未確認情報ながら隣国がこれを狙って攻め込んでくるのではないかという噂も出ておる、全部隊を出すのは危険ではないか?」
「そんなものただの噂に過ぎんだろう。このような非常時に攻め込んでこれるほど度胸のある国とは思えんが。」
「だが、その噂が本当であれば部隊を引き上げる前にここが落とされない保証はない。最低限の兵は残すべきだ。」
隣国との関係というのはそんなに緊迫しているのだろうか。
魔石という特産品が全国規模で横流しされている事を考えると、それを狙ってこないという保証もない。
仮に攻め落とせても、魔物が攻めてきているんだからそれをわざわざ狙ってくるとは思えないんだけどなぁ。
失敗すれば自分達が魔物に襲われるわけだし。
でも火の無い所に煙は立たないともいうし、難しいなぁ。
「隣国との関係はよくないんですか?」
「よくも無く悪くも無くという感じだろうか。不可侵条約を締結しているから問題ないとは思うが、領内の魔石を狙って小競り合いを起こした過去もあるから全く無害とは言いにくい。」
「やはり魔石ですか。」
「我が領内で一番価値のあるものといえばアレしかない。他国ではほぼ産出されない貴重品だからな。」
「狙う理由は十分にあるわけですね」
「私が領主になってからは静かにしているが決して諦めたわけではないだろう。」
内憂外患。
ププト様に心休まるときはなしという感じだな。
「分団長、そなたの意見は?」
「全兵力を南方に向かわせるべきだろう。谷の前面で迎え撃ち、わざと逃がした奴を谷の後ろで迎撃する。出来るならば谷を渡らせたくは無いが無理をして被害を広げるのであればある程度戦い易い場所で戦うべきだ。」
「部隊を二つに分けるか。」
「前面には重装部隊を配置、逃がした魔物は谷上部から弓部隊による斉射を行い足止めをかけつつ体力を削り、後方部隊は逃げてきた魔物を複数で囲めば何とかなるだろう。」
さすがシルビア様だ。
谷間をうまく利用して効率的にダメージを与える作戦だな。
最初にダメージを与えられれば一番だが、目の前が森であれば谷の上から大量に遠距離攻撃を降らせても効果はないだろう。
「だがドラゴンはどうする、あやつが一匹でも抜ければ軽装部隊では止めれんぞ。」
「そうだ!後方にこそ重装部隊を配置し、各個撃破していくべきではないか?」
「逃がしたやつは大型兵器で狙撃可能だ。それよりも森に火をつけて焼き殺すのはどうだ。」
「バカやろう!あの森が無くなれば余計に魔物が流れ込むではないか!迷いの森こそ魔物と領地を分断する最後の砦なのだぞ!」
中々過激な議論がなされていますなぁ。
でも早く決めないと間に合わないんじゃないの?
残された時間内でまとまるのか?
「イナバ殿、そなたはどう思う。」
「私ですか?」
「率直な意見が聞きたい、お前ならどう戦う?」
とかなんとか思っていたら急に話を振られた。
えっといきなりすぎて困るんですけど。
相変わらず無茶振りするの辞めてくれませんかねぇププト様。
「えぇっと、その導きの森周辺の地図はありますか?出来れば大きい方がいいのですが・・・。」
「あるが、それをどうするつもりだ?」
「口で伝えるよりも実際に地図上に仮想の部隊を配置した方がわかりやすいかとおもいまして。」
「おい、演習用の駒があっただろうアレをもってこい!」
「すぐに!」
会議室中央に設置された机に谷の絵が描かれた地図が設置される。
谷は思ったよりも距離があり、前面の森は予想よりもはるかに手前まで広がっている。
これって前面で戦うのって無理ゲーじゃない?
「お待たせしました!」
早いな!
「ありがとうございます。私は実際に現場を見ていないので聞きながらになりますが、まずは前面の森と谷の入口までの平野はどのぐらい開いていますか?」
「そうだな、50人も並べばすぐ森についてしまうだろう。」
「谷の深さはどれぐらいでしょうか。」
「10人並ぶぐらいだな。」
単位が無いとわかりづらいなぁ。
15mぐらいか?
「谷の長さはどれぐらいですか?」
「1000人も並べば入口と出口まで届いてしまうぐらいだ。」
それぐらい測量しとこうよ。
まぁ仕方ないか。
「谷の上部へ重量のある物を運ぶ事は可能ですか?」
「距離はあるが坂になっている所から運び込む事は可能だろう。」
ふむ、ならば過去の先人が使った兵法を利用する事は可能ということか。
「この谷は物資の流通路などに使用されていますか?」
「いや、あまり頻繁には利用されておらん。冒険者が南方のダンジョンに向かうときに使うぐらいではないだろうか。」
「では短期間使えなくなってもかまいませんよね?」
「いやまぁ、確かにそうだがどうするつもりだ?」
「今回はこの谷を有効に利用してみようかと・・・。」
この場に居る全員が俺のことをバカなやつと思っているに違いない。
いや、実際さそうだ。
だって俺を見る目がそういっている。
俺だってそう思うよ。
こんな事考えるのバカだって。
だけどそれをやっちゃった偉人が居るんだから、その成功例にはあやかるべきじゃないかなぁ。
「シュウイチ、すまないが私達にわかるように説明してくれないか?」
「すみません、わかりにくいかとは思いますがまずは聞いてください。」
俺は用意された地図の上に同じく用意された駒を並べていく。
大量の駒を谷の上に、谷の前面には少量の駒を。
谷の後方にはその間ぐらいの量の駒を適当に並べる。
「大量の魔物が大挙して襲ってくるにもかかわらず、こちらに流れ込む為にはこの谷を通らなければならない。となれば、谷をふさいでしまえばこちらへの流入を防ぐ事ができると思いませんか?」
「確かにそうだがそれでは他の地域に魔物が流れ、いずれこちらに流れ込んでるぞ。」
「それはもちろんわかっています。ですので、谷に魔物をおびき寄せ、入口と出口を封鎖して一網打尽にしようと思います。」
「一網打尽って、そう簡単に行くはずがないだろう!なによりあの谷を埋める程のものをどうやって調達するのだ。」
それを今から説明するんじゃないか。
まぁ俺は現場を知らないし、あくまでも1つの案として提案するだけだけどな。
「領地側の出口は上部に爆薬を仕掛けて爆破し、瓦礫を積み上げる事で封鎖します。南方側の入口は森の木々を伐採し、魔物がある程度流入した後に谷の上部から投げ込んで封鎖します。南方側の森を開けば開くほど視認性が上がり、早いうちから上部より弓や魔法を射掛ける事ができるでしょう。」
「だが前面で戦っている兵士はどうする、みすみす皆殺しにするつもりか?」
「もちろんそんな事はしません。前面を重装兵で固め少しずつ後退するように戦います。谷であれば後ろや横から攻撃される事は無く、前面さえ守れば被害は最小限に抑える事ができるでしょう。出来れば負傷兵が随時交代できるように隊列を作って臨むのが理想です。」
最初は開けた森の前面で戦い、手に負えなくなれば少しずつ戦線を下げて戦う面積を減らしていく。谷の両サイドから弓や魔法で攻撃すれば戦闘に参加できない無防備な魔物を効率良く攻撃出来る事だろう。
「確かに口で言うのは簡単だが、入口まで下がりきったらどうする。流れ込む魔物を誰が止めるのだ。」
「谷の出口をぐるりと取り囲むように包囲網をしき、下がってきた兵士はその後ろに逃げます。ある程度の魔物は谷から溢れてくるでしょうが包囲網を抜けるほどの魔物が流入する前に入口をふさいでしまえば問題ないでしょう。」
「封鎖した後はどうする?そのまま流れ込み続ければ瓦礫など突破されてしまうぞ。」
「入口を封鎖後上部より油を流し込み、谷をまるまる焼きつくします。幸い一番上までは比較的高さがあるようですし周りは燃えるものもない岩場です、遠慮なくやってしまっていいと思いませんか?」
入口の森に引火しないかが不安だが、最悪南方側も爆破してしまえば油が流れ出るのは防げるだろう。
「だがそんな効率良く出来るものだろうか・・・。」
「集団行動に長ける騎士団なら出来ると確信しています。隊列を組み他を守りながら行動する事は冒険者には出来ません。騎士団だからこそこういった行動が出来ると思います。」
冒険者にはできない。
だが騎士団には出来る。
これは殺し文句だ。
話を聞いていると騎士団と冒険者にはお互いを意識する何かがあるように思える。
冒険者をけなしたり騎士団員を侮蔑したりあまり良い関係とは言いがたいが、冒険者には出来ないが騎士団には出来るといえばよしやってやろうと思うかもしれない。
そこに期待しているというのもある。
もちろん俺のこの作戦は現場のことを知らない人間の意見だから絶対ではないし、騎士団が取り入れるとも思っていない。
だが、現場を知らないからこそ大胆な策を考えられるというのもある。
これを上手く工夫したり取り入れてくれれば俺はそれでいい。
その後も駒を動かしながら動きの説明を続け、一通りの流れを説明し終わる頃には会議に集まったほぼ全員がかぶりつくように地図を睨み、あーだこーだと話し合いを始めていた。
「まぁ、理想を言えばその中にドラゴンが二体とも入ってくれればいいんですけど。」
「ボアと共に焼けばさぞ良い匂いがするであろうな。」
「夕食に出来るほども残らないと思いますが。」
「匂いだけで食が進みそうだ。」
「違いありません。」
想像しただけでも美味しそうだ。
もっとも、血で血を洗う戦をしているのだからそんなことを気にする暇もないとおもうけどね。
ププト様の言葉に場が和み、笑い声が聞こえてくる。
あー、よくしゃべった。
「分団長今の話をどう思う?」
「相変わらずシュウイチらしい突拍子もない作戦ですね。」
「実現可能かと思うか?」
「少々粗削りですが、やってやれないことはないとおもいます。」
やってやれないことはないって。
まさか俺の案で行くの?
いやいやいや、ふざけていった訳じゃないけどマジですか?
「他の者はどう思う。」
「恐れながら申し上げますと、些か馬鹿げた案だとおもいます。」
あ、ですよね。
「しかしながら、3000以上の魔物を相手に兵士の被害を最小限に押さえつつ戦うという点においては非常に魅力を感じます。」
「私も同意見です。これは、重装部隊を率いる身としては我々への高い評価と同時に挑戦であり、あそこまで言われればやらないわけにはいきません。」
「伐採した木材は罠に使いつつ、魔物の突入を邪魔する柵として使用するべきです。一晩中作業すればそこそこの物を作れるでしょう。見た目なんぞ二の次で視界を広げつつ集団の勢いを削げればあとは弓兵が何とかするんじゃないですか?」
「いやいや、谷の両側から攻撃するのならばまず矢の数が足りません。ここは魔術師ギルドに砲撃兵を借りるべきかと。上から狙うのであれば初級魔術師でも適当に打つだけで当てられますからね。」
俺の意見に対してどんどんと現場の意見が加えられ、まるで骨組みに肉付けをして行くように全体の形が見えてきた。
なるほど、勉強になるわ。
「矢の在庫と油は街の備蓄を開放しよう。なに、そろそろ入れ換えをせねば腐ってしまうと思っていたところだ。」
「魔術師ギルドには私から話を通そう。また仕事を増やしてと怒られそうだがな。」
「私が行くと怒られそうなのでシルビアにお任せします。」
「ちゃんとシュウイチの発案だと言っておくから安心してくれ。」
いや、勘弁してください。
「皆この案で異論はないな?」
改めてププト様が見渡すと全員が力強く頷いた。
「それでは各部隊長は早急に部隊の再編・指揮を執れ。備の点検を怠るな、持てるものは全て持ち現場に着き次第準備に当たれ。司令部は谷後方に設置、谷の上部に連絡兵を置き状況を随時わかるようにしておけ、時間はないぞ。これまでの訓練の成果を見せてみろ!」
「「「はい!」」」
空気が震えるぐらいに大きな声で兵士達が返事をする。
シルビア様の指示の元一斉に時間が動き出した。
「本当によかったんでしょうか。」
「なにがだ?」
「いえ、私のような現場の知らない人間の意見が通ってしまって。」
「なんだそんなことか。シュウイチの意見が素晴らしいからこそ、こうして皆が動くことが出来る。優れた案は誰が出そうと構わない、それが従うに値し信頼できるのであればそれに従うまでだ。もちろん、現場では臨機応変に対応していくが、シュウイチはこれが成功すると思って発案したのだろう?」
「もちろんです、兵士とシルビアの命がかかっていますから。」
「ならば私が責任をもって成功させよう、任せてくれ。」
シルビア様がまっすぐ俺を見る。
そこには俺の妻であり気高き誇りを胸にした騎士団分団長がいた。
「無理はしないで下さいね。」
「それは私の台詞だ。危なくなったらすぐに逃げるんだぞ。」
「逃げるのは得意ですからお任せ下さい。」
二人で見つめ合い、そして笑い合う。
信じている。
シルビアさまなら絶対に大丈夫だ。
だから俺も絶対に大丈夫。
失敗するわけがない。
シルビアさまが信じてくれているから。
まぁ、逃げるのは大得意ですよ。
「イナバ様は自分が全力で守ります!」
それに、モア君もいるしね。
「冒険者達の件、頼んだぞ。」
「お任せください。シルビアを、騎士団をよろしくお願いします。」
「なに、守られるのは私かも知れないがな。」
俺は俺に出来ることを全力でしよう。
陰日1日目昼過ぎ。
作戦準備は完了した。
さぁ、出たとこ勝負の作戦開始といきますか!
それもそうか、問題の規模が違うと自分で話したんだから。
かたやダンジョンの中で起きた冒険者失踪事件。
かたやサンサトローズに迫る3000もの魔物の群れ。
被害を考えれば比べるまでもない。
一体どれだけの犠牲者が出るのだろうか。
想像もつかない。
そうならない為にもこの会議の内容が非常に重要になるわけだけど、はてさてどうなるのやら。
「先程斥候第一陣が帰還しましたので情報のみお伝えします。集団の規模は約3500~4000、主な魔物はボア種が8割その他の魔物が2割となっており、その中に2匹のランドドラゴンを確認しております。」
「ドラゴンだと!」
おお、ファンタジー代名詞の魔物がまさかの参戦。
ランドって事は飛行せずに走るタイプのドラゴンだろうか。
マジか、ドラゴンが混ざってるのか。
「予想進行区域は大方絞れました、南方の森を抜け明日の夕刻には導きの谷を抜け領内に侵入する予定です。」
「よりによってあの谷を通るか。あそこでは満足に戦う事はできんぞ。」
「ならば谷よりも前で叩けば言いだけの事、今からであればまだ間に合うぞ。」
「いや、すぐ手前まで森が広がっている。前で立ち向かうのは厳しいのではないか?」
そこかしこから意見が飛び交うのもギルドとはだいぶ違うようだ。
議論が白熱するのは良いことだし、ここはのんびり傍観ということで。
わからないことはシルビアさまに聞いておくか。
「導きの谷とはどういうところなんですか?」
「シュウイチはこの地域の地理には疎かったな。ここより南には遥か昔神々の戦いの際にで出来たとされる谷があるのだ。そこには南方とこちらを塞ぐようにして大きな台地が広がっているのだが、そこを真っ二つにするように一本の道が出来上がっている。邪悪なる神が決着の付かない戦いに嫌気が差し腹いせにつけた傷といわれたり、聖なる神が南方の人々をこちらに導く為に作った道といわれたり曰くは様々だが、それは見事な景色なんだぞ。」
「それはすごいですね、一度見てみたいものです。」
謂れは別にしてよほどすごい谷なのだろう。
グランドキャニオンなんか目じゃないぐらいかな?
だって神様の戦いで出来たんだろ?
「その谷は広いんですか?」
「いや、二列で行軍するのが精一杯という所だろう。広域兵器を運び込むには時間が足りないかもしれんな。」
「目の前が森ならあまり効果はないかもしれませんね。」
「だが谷を抜けてしまえば一気に平野へと広がってしまい収拾が付かなくなる。それに近隣の村までは目と鼻の先なのだ。」
つまりは谷に入る前に勝負をかけなければ被害は甚大なものになるというワケか。
ただ森が広がっている為に満足に戦う事はできないと。
難しいな。
「近隣の避難状況はどうだ?」
「プロンプト様の御指示通り被害に応じた税の減免若しくは免除を申し出た所、渋々ながら避難を受け入れており明日には近隣全ての村人がサンサトローズへ避難を完了する予定です。」
「避難民には不自由な思いをさせぬよう対応するように、また被害が無い場合は迅速に村に戻れるよう準備しておけ。」
「了解しました!」
とりあえずは人的被害は無さそうだな。
うまく対処できなかった場合は物的被害は甚大なものになるが、人の命には代えられない。
生きてさえいればまたやり直せるというものだ。
「夕刻には斥候第二部隊が情報を持ち帰ります、ですが導きの谷までの距離を考えれば中休みの鐘までに出発しなければ野営の準備は難しいかと。」
「ううむ、部隊の絞込みには時間がかかるか。」
「未確認情報ながら隣国がこれを狙って攻め込んでくるのではないかという噂も出ておる、全部隊を出すのは危険ではないか?」
「そんなものただの噂に過ぎんだろう。このような非常時に攻め込んでこれるほど度胸のある国とは思えんが。」
「だが、その噂が本当であれば部隊を引き上げる前にここが落とされない保証はない。最低限の兵は残すべきだ。」
隣国との関係というのはそんなに緊迫しているのだろうか。
魔石という特産品が全国規模で横流しされている事を考えると、それを狙ってこないという保証もない。
仮に攻め落とせても、魔物が攻めてきているんだからそれをわざわざ狙ってくるとは思えないんだけどなぁ。
失敗すれば自分達が魔物に襲われるわけだし。
でも火の無い所に煙は立たないともいうし、難しいなぁ。
「隣国との関係はよくないんですか?」
「よくも無く悪くも無くという感じだろうか。不可侵条約を締結しているから問題ないとは思うが、領内の魔石を狙って小競り合いを起こした過去もあるから全く無害とは言いにくい。」
「やはり魔石ですか。」
「我が領内で一番価値のあるものといえばアレしかない。他国ではほぼ産出されない貴重品だからな。」
「狙う理由は十分にあるわけですね」
「私が領主になってからは静かにしているが決して諦めたわけではないだろう。」
内憂外患。
ププト様に心休まるときはなしという感じだな。
「分団長、そなたの意見は?」
「全兵力を南方に向かわせるべきだろう。谷の前面で迎え撃ち、わざと逃がした奴を谷の後ろで迎撃する。出来るならば谷を渡らせたくは無いが無理をして被害を広げるのであればある程度戦い易い場所で戦うべきだ。」
「部隊を二つに分けるか。」
「前面には重装部隊を配置、逃がした魔物は谷上部から弓部隊による斉射を行い足止めをかけつつ体力を削り、後方部隊は逃げてきた魔物を複数で囲めば何とかなるだろう。」
さすがシルビア様だ。
谷間をうまく利用して効率的にダメージを与える作戦だな。
最初にダメージを与えられれば一番だが、目の前が森であれば谷の上から大量に遠距離攻撃を降らせても効果はないだろう。
「だがドラゴンはどうする、あやつが一匹でも抜ければ軽装部隊では止めれんぞ。」
「そうだ!後方にこそ重装部隊を配置し、各個撃破していくべきではないか?」
「逃がしたやつは大型兵器で狙撃可能だ。それよりも森に火をつけて焼き殺すのはどうだ。」
「バカやろう!あの森が無くなれば余計に魔物が流れ込むではないか!迷いの森こそ魔物と領地を分断する最後の砦なのだぞ!」
中々過激な議論がなされていますなぁ。
でも早く決めないと間に合わないんじゃないの?
残された時間内でまとまるのか?
「イナバ殿、そなたはどう思う。」
「私ですか?」
「率直な意見が聞きたい、お前ならどう戦う?」
とかなんとか思っていたら急に話を振られた。
えっといきなりすぎて困るんですけど。
相変わらず無茶振りするの辞めてくれませんかねぇププト様。
「えぇっと、その導きの森周辺の地図はありますか?出来れば大きい方がいいのですが・・・。」
「あるが、それをどうするつもりだ?」
「口で伝えるよりも実際に地図上に仮想の部隊を配置した方がわかりやすいかとおもいまして。」
「おい、演習用の駒があっただろうアレをもってこい!」
「すぐに!」
会議室中央に設置された机に谷の絵が描かれた地図が設置される。
谷は思ったよりも距離があり、前面の森は予想よりもはるかに手前まで広がっている。
これって前面で戦うのって無理ゲーじゃない?
「お待たせしました!」
早いな!
「ありがとうございます。私は実際に現場を見ていないので聞きながらになりますが、まずは前面の森と谷の入口までの平野はどのぐらい開いていますか?」
「そうだな、50人も並べばすぐ森についてしまうだろう。」
「谷の深さはどれぐらいでしょうか。」
「10人並ぶぐらいだな。」
単位が無いとわかりづらいなぁ。
15mぐらいか?
「谷の長さはどれぐらいですか?」
「1000人も並べば入口と出口まで届いてしまうぐらいだ。」
それぐらい測量しとこうよ。
まぁ仕方ないか。
「谷の上部へ重量のある物を運ぶ事は可能ですか?」
「距離はあるが坂になっている所から運び込む事は可能だろう。」
ふむ、ならば過去の先人が使った兵法を利用する事は可能ということか。
「この谷は物資の流通路などに使用されていますか?」
「いや、あまり頻繁には利用されておらん。冒険者が南方のダンジョンに向かうときに使うぐらいではないだろうか。」
「では短期間使えなくなってもかまいませんよね?」
「いやまぁ、確かにそうだがどうするつもりだ?」
「今回はこの谷を有効に利用してみようかと・・・。」
この場に居る全員が俺のことをバカなやつと思っているに違いない。
いや、実際さそうだ。
だって俺を見る目がそういっている。
俺だってそう思うよ。
こんな事考えるのバカだって。
だけどそれをやっちゃった偉人が居るんだから、その成功例にはあやかるべきじゃないかなぁ。
「シュウイチ、すまないが私達にわかるように説明してくれないか?」
「すみません、わかりにくいかとは思いますがまずは聞いてください。」
俺は用意された地図の上に同じく用意された駒を並べていく。
大量の駒を谷の上に、谷の前面には少量の駒を。
谷の後方にはその間ぐらいの量の駒を適当に並べる。
「大量の魔物が大挙して襲ってくるにもかかわらず、こちらに流れ込む為にはこの谷を通らなければならない。となれば、谷をふさいでしまえばこちらへの流入を防ぐ事ができると思いませんか?」
「確かにそうだがそれでは他の地域に魔物が流れ、いずれこちらに流れ込んでるぞ。」
「それはもちろんわかっています。ですので、谷に魔物をおびき寄せ、入口と出口を封鎖して一網打尽にしようと思います。」
「一網打尽って、そう簡単に行くはずがないだろう!なによりあの谷を埋める程のものをどうやって調達するのだ。」
それを今から説明するんじゃないか。
まぁ俺は現場を知らないし、あくまでも1つの案として提案するだけだけどな。
「領地側の出口は上部に爆薬を仕掛けて爆破し、瓦礫を積み上げる事で封鎖します。南方側の入口は森の木々を伐採し、魔物がある程度流入した後に谷の上部から投げ込んで封鎖します。南方側の森を開けば開くほど視認性が上がり、早いうちから上部より弓や魔法を射掛ける事ができるでしょう。」
「だが前面で戦っている兵士はどうする、みすみす皆殺しにするつもりか?」
「もちろんそんな事はしません。前面を重装兵で固め少しずつ後退するように戦います。谷であれば後ろや横から攻撃される事は無く、前面さえ守れば被害は最小限に抑える事ができるでしょう。出来れば負傷兵が随時交代できるように隊列を作って臨むのが理想です。」
最初は開けた森の前面で戦い、手に負えなくなれば少しずつ戦線を下げて戦う面積を減らしていく。谷の両サイドから弓や魔法で攻撃すれば戦闘に参加できない無防備な魔物を効率良く攻撃出来る事だろう。
「確かに口で言うのは簡単だが、入口まで下がりきったらどうする。流れ込む魔物を誰が止めるのだ。」
「谷の出口をぐるりと取り囲むように包囲網をしき、下がってきた兵士はその後ろに逃げます。ある程度の魔物は谷から溢れてくるでしょうが包囲網を抜けるほどの魔物が流入する前に入口をふさいでしまえば問題ないでしょう。」
「封鎖した後はどうする?そのまま流れ込み続ければ瓦礫など突破されてしまうぞ。」
「入口を封鎖後上部より油を流し込み、谷をまるまる焼きつくします。幸い一番上までは比較的高さがあるようですし周りは燃えるものもない岩場です、遠慮なくやってしまっていいと思いませんか?」
入口の森に引火しないかが不安だが、最悪南方側も爆破してしまえば油が流れ出るのは防げるだろう。
「だがそんな効率良く出来るものだろうか・・・。」
「集団行動に長ける騎士団なら出来ると確信しています。隊列を組み他を守りながら行動する事は冒険者には出来ません。騎士団だからこそこういった行動が出来ると思います。」
冒険者にはできない。
だが騎士団には出来る。
これは殺し文句だ。
話を聞いていると騎士団と冒険者にはお互いを意識する何かがあるように思える。
冒険者をけなしたり騎士団員を侮蔑したりあまり良い関係とは言いがたいが、冒険者には出来ないが騎士団には出来るといえばよしやってやろうと思うかもしれない。
そこに期待しているというのもある。
もちろん俺のこの作戦は現場のことを知らない人間の意見だから絶対ではないし、騎士団が取り入れるとも思っていない。
だが、現場を知らないからこそ大胆な策を考えられるというのもある。
これを上手く工夫したり取り入れてくれれば俺はそれでいい。
その後も駒を動かしながら動きの説明を続け、一通りの流れを説明し終わる頃には会議に集まったほぼ全員がかぶりつくように地図を睨み、あーだこーだと話し合いを始めていた。
「まぁ、理想を言えばその中にドラゴンが二体とも入ってくれればいいんですけど。」
「ボアと共に焼けばさぞ良い匂いがするであろうな。」
「夕食に出来るほども残らないと思いますが。」
「匂いだけで食が進みそうだ。」
「違いありません。」
想像しただけでも美味しそうだ。
もっとも、血で血を洗う戦をしているのだからそんなことを気にする暇もないとおもうけどね。
ププト様の言葉に場が和み、笑い声が聞こえてくる。
あー、よくしゃべった。
「分団長今の話をどう思う?」
「相変わらずシュウイチらしい突拍子もない作戦ですね。」
「実現可能かと思うか?」
「少々粗削りですが、やってやれないことはないとおもいます。」
やってやれないことはないって。
まさか俺の案で行くの?
いやいやいや、ふざけていった訳じゃないけどマジですか?
「他の者はどう思う。」
「恐れながら申し上げますと、些か馬鹿げた案だとおもいます。」
あ、ですよね。
「しかしながら、3000以上の魔物を相手に兵士の被害を最小限に押さえつつ戦うという点においては非常に魅力を感じます。」
「私も同意見です。これは、重装部隊を率いる身としては我々への高い評価と同時に挑戦であり、あそこまで言われればやらないわけにはいきません。」
「伐採した木材は罠に使いつつ、魔物の突入を邪魔する柵として使用するべきです。一晩中作業すればそこそこの物を作れるでしょう。見た目なんぞ二の次で視界を広げつつ集団の勢いを削げればあとは弓兵が何とかするんじゃないですか?」
「いやいや、谷の両側から攻撃するのならばまず矢の数が足りません。ここは魔術師ギルドに砲撃兵を借りるべきかと。上から狙うのであれば初級魔術師でも適当に打つだけで当てられますからね。」
俺の意見に対してどんどんと現場の意見が加えられ、まるで骨組みに肉付けをして行くように全体の形が見えてきた。
なるほど、勉強になるわ。
「矢の在庫と油は街の備蓄を開放しよう。なに、そろそろ入れ換えをせねば腐ってしまうと思っていたところだ。」
「魔術師ギルドには私から話を通そう。また仕事を増やしてと怒られそうだがな。」
「私が行くと怒られそうなのでシルビアにお任せします。」
「ちゃんとシュウイチの発案だと言っておくから安心してくれ。」
いや、勘弁してください。
「皆この案で異論はないな?」
改めてププト様が見渡すと全員が力強く頷いた。
「それでは各部隊長は早急に部隊の再編・指揮を執れ。備の点検を怠るな、持てるものは全て持ち現場に着き次第準備に当たれ。司令部は谷後方に設置、谷の上部に連絡兵を置き状況を随時わかるようにしておけ、時間はないぞ。これまでの訓練の成果を見せてみろ!」
「「「はい!」」」
空気が震えるぐらいに大きな声で兵士達が返事をする。
シルビア様の指示の元一斉に時間が動き出した。
「本当によかったんでしょうか。」
「なにがだ?」
「いえ、私のような現場の知らない人間の意見が通ってしまって。」
「なんだそんなことか。シュウイチの意見が素晴らしいからこそ、こうして皆が動くことが出来る。優れた案は誰が出そうと構わない、それが従うに値し信頼できるのであればそれに従うまでだ。もちろん、現場では臨機応変に対応していくが、シュウイチはこれが成功すると思って発案したのだろう?」
「もちろんです、兵士とシルビアの命がかかっていますから。」
「ならば私が責任をもって成功させよう、任せてくれ。」
シルビア様がまっすぐ俺を見る。
そこには俺の妻であり気高き誇りを胸にした騎士団分団長がいた。
「無理はしないで下さいね。」
「それは私の台詞だ。危なくなったらすぐに逃げるんだぞ。」
「逃げるのは得意ですからお任せ下さい。」
二人で見つめ合い、そして笑い合う。
信じている。
シルビアさまなら絶対に大丈夫だ。
だから俺も絶対に大丈夫。
失敗するわけがない。
シルビアさまが信じてくれているから。
まぁ、逃げるのは大得意ですよ。
「イナバ様は自分が全力で守ります!」
それに、モア君もいるしね。
「冒険者達の件、頼んだぞ。」
「お任せください。シルビアを、騎士団をよろしくお願いします。」
「なに、守られるのは私かも知れないがな。」
俺は俺に出来ることを全力でしよう。
陰日1日目昼過ぎ。
作戦準備は完了した。
さぁ、出たとこ勝負の作戦開始といきますか!
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