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第五章
家に帰ろう
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思ってもいない人物が、思ってもいないところから出てくる。
それは正義のヒーローであったり、敵として戦ったライバルだったり、窮地を救う仲間だったり。
でもそれがオネェであることはかつてなかったような気がするんだけど。
ましてや相手が女だと勘違いしたままだということも。
「その可愛い子ちゃんが俺に何の用だ?抱かれに来たんだったら取り込み中だ、後でたっぷり可愛がってやるよ。」
「いやよ、貴方みたいな図体がでかいだけで頭のない男なんて。やっぱり抱くなら肌に張りのある若い子でなくっちゃ、ねぇ貴方達?」
「お前達なんでここに!」
猫目館の奥から現れたのは昨日お世話になったガスターシャ氏だった。
もちろん今日もバッチリメイクで見た目は完全に女性です。
まぁ、素の顔知らないけど。
そしてその後ろにいるのは、昨日ガスターシャ氏に連れられて領主の館の奥へと消えていったはずの彼らだ。
なんでこんな所に彼らといるんでしょうか。
あ、いや何も言うまい。
アレですよね。
それしかないよね。
「貴方の悪事は全部この子達から聞いたわ。ここでお金を巻き上げていた事も、この子達を裏で操ってお金を稼いでいた事も。領内の貴族がこんなことをしてるって知ったら、ププト様に何をされちゃうか想像はつくでしょ?」
「それがどうした、俺が直接手を下していた証拠なんてどこにもないからな。それに平民のお前らの声が上に届くわけないだろうが。」
「だから届くって言ってるじゃない。彼の名前を聞いてもまだ分からないの?それでこの街で貴族をしてるだなんてとんだモグリね、貴方。」
俺が言われたのと全く同じ台詞を男に返す。
そんなに有名になったつもりはないんですが。
だって貴族ってそういうのに興味無さそうだし。
「名前だぁ・・・?確かこいつはイナバ・・・まさかあの『盗賊100人殺し』の商人か!」
そんな物騒な称号勘弁してください。
そもそも100人もいないし、俺一人も殺してないし。
でもまぁ、驚いてるしそれに乗っかっておこうか。
「やっと分かったか、俺にかかればお前の悪事なんてすぐにあの人に届くさ。もっとも、俺を殺しても外に待機している者がすぐに伝えるから一緒だがな。」
「くそ、面倒な事になってきやがった。こうなったら!」
俺が強いと誤解してくれたおかげで標的が俺から別の人間に変わった。
のこるはマヒロさんとガスターシャ氏。
どちらも見た目は弱そうだけど中身は最強のお二人なので、俺以外を狙うのがそもそもの悪手だ。
そんな中、奴が選んだのは・・・。
「どけそこの女ぁぁぁ!」
「あら怖い怖い。」
おどけた顔をしてバルバスを迎えるガスターシャ氏。
どちらも女?ではあるがより弱そうな方を選んだのだろう。
だがそれが一番の間違いだ。
見た目はアレだが、中身は男。
しかも素手で一番強いとなれば。
「・・・ぐはぁ!」
威嚇するように剣を構えてガスターシャ氏に向かっていくバルバス。
だがその攻撃を避けることなく受け止め、いや受け流し勢いそのままに投げ飛ばした。
バルバスは何をされたのか分からぬままガスターシャ氏の反対側へ投げ飛ばされる。
「婦女子に手を上げるとは男の風上にもおけないな。いや、そもそも婦女子ですらないか。」
そして、投げ飛ばした先にいたカムリの一撃を腹部にくらい昏倒するのだった。
何このピタゴラ兄弟。
喧嘩しながらも息バッチリじゃないですか。
「ちょっと、遅いわよカムリ。」
「奥にいた残党に手間取りましてね、それに別に私がいなくても貴方一人で十分でしょう。」
「女に悪漢の相手をさせようだなんてそれでも騎士団副団長のすることなの?」
「婦女子は守っても男を守る剣は持ち合わせておりませんので。」
喧嘩売る相手が悪かったよな。
領内、いや国内最強の凸凹兄弟。
その強さに曇り無しだ。
さて、面倒な奴は倒されたわけだし、残るはこいつだけか。
「それで、頼みの男はこの様子だがどう落とし前をつける?」
俺はゆっくりと支配人に向かって歩き出した。
投げ飛ばされたバルバスの方を向き茫然自失の状態の支配人。
そもそもの元凶はこいつが値段を吊り上げた事から始まる。
まぁ、今回の一件だけでなく余罪はぼろぼろと出てくるだろうがそんな事は俺にはどうでも言い訳で。
その辺は凸凹兄弟にお任せする事にしよう。
「ヒ、ヒィィィ命ばかりはどうかお助け・・・。」
目の前に立ちふさがる俺に睨まれ命乞いをする支配人。
いや、命はいらないのでニケさん下さい。
っていうかそんなに俺怖い?
「怯えている所悪いが答えを待っているんだが?」
「ど、どうぞその娘は持っていってください!」
「それは困るな、ちゃんと正規の値段を言ってもらわねば。」
「・・・はい?」
どうしたんだろう、恐怖で耳まで遠くなったのか?
「正しい値段を言えといっているんだ。お前の肥やしになると分かって金貨100枚出すはずがないだろうが。」
「も、申し訳ございません!」
支配人は慌てて懐から書類を取り出し、震える手で俺に差し出す。
これは昨日見た契約書のようなものか。
なるほどわからん。
俺は支配人から書類を奪い取るとエミリアのほうに向かい、書類を手渡す。
エミリアはすばやく書類を広げると中身を確認し始めた。
格好はアレだが、顔は仕事モードだ。
相変わらず綺麗だなぁ。
「昨日見た契約書と中身は同じですね、金貨30枚となっています。」
なるほど、つまりはまだぼったくってるというワケか。
この状況でまだそれをやるのは、商魂たくましいのかそれともただの馬鹿なのか。
それは聞いてみれば分かる事か。
「おい、この契約書は何だ?」
「で、ですからニケという女のね、値段でございます。」
「それは知っている。だが、この期に及んでまだその値段で売りつけるというのはどういうわけだ?」
もう一度強く支配人を睨む。
「ヒ、ヒェェ・・・それしか書類がないんですぅぅぅ・・・。」
怯えて涙を流しながら弁明する支配人。
子供か。
なんだか悪者になった気分だがこれでオッケーを出すわけには行かない。
元の値段を知っているのはニケさんだけだし、本人に聞いてみるのが一番か。
エミリアから書類を受け取りニケさんの所へと向かう。
「おい、これで間違いないか?」
ニケさんに書類を渡すとエミリア同様ささっと目を通し始めた。
仕事が出来る女その2って感じだな。
商家で生まれたって言ってたしこういう書類を見るのはお茶の子さいさいだろう。
え、その言い回し知らない?
ヤフーでググってくれ。
「内訳は私が知っているのと同じですが、衣装代という名目で金貨10枚足されています。」
「こいつらから衣装を貰った事は?」
「最初こそ支給されましたが今は全くありません。それに、この前見せられた書類にはそもそもこの項目はありませんでした。」
「だ、そうだがこれに対する弁明はあるか?」
「そ、それはここから逃げた事による賞罰金でして・・・。」
「おかしな話だな。副支配人に聞いた所では賞罰は含まれていないといっていたが?なぁエミリア。」
「はい、間違いありません。」
この前確認しておいて良かった。
つまりは賞罰金がなければ金貨20枚で問題ないというワケだ。
「そ、そんな事まで・・・。」
「俺を騙せると思っているのなら大間違いだ。もしその気があるのならば盗賊団同様にいますぐ叩き通してやってもいいんだぞ?」
「お、御代は結構ですのでどうぞお持ち帰り下さい・・・。」
いやファーストフードじゃないんだから。
それにクレームつけてタダで持って帰るつもりもない。
「俺は彼女を買受けしたいだけだ。正しい金額を言ってもらえれば快く支払うしそのほうがお互いに気持ちよく取引を完了できる。そうだな?」
「そ、その通りでございます。」
「ならば結構。では改めて聞こう、いくらだ?」
「金貨20枚でございます。」
「そうか、わかった。」
俺はエミリアから預かっていた袋を開け金貨を14枚取り出すと、怯える支配人の手をつかみ一枚ずつ数えながら乗せていく。
「12、13、14.手付けの6枚を加えて合計20枚だ間違いないな?」
「は、はい間違いございません!」
「これで彼女は俺のものだ。金輪際彼女への一切の関与を認めない。もし、そのような兆候が見られた場合は今度こそお前をつぶしに行くからそのつもりでいろ。」
最後の脅しが効いたのかガクリと頭を下げてうなだれてしまった。
手渡された金貨を手放さないあたり気を失っている感じではなさそうだ。
反応はないが理解していると言う事にしてニケさんのところへ戻る。
「無事買受けが終わりました、これで貴女は自由です。」
「いつものイナバ様に戻られましたね。」
「あ、先ほどはすみません失礼な言い方をしてしまって。」
全部終わって気が抜けたのか、いつもの話し方に戻ってしまった。
まぁ終わったしいいか。
「シュウイチさん!」
「エミリアもお疲れ様でした。先ほどは助けてもらってありがとうございます。」
「シュウイチさんを助けるって約束しましたから。」
三人とも緊張が解けて笑顔が戻っている。
もうあのキャラを演じるのはごめんだ。
疲労が半端ない。
「でもよろしかったのですか?代金を払わずにニケさんを引き渡すような事を言っていましたが。」
「そのまま受け入れてしまうと後で何を言われるか分かりませんからね。こういう契約は正しい金額を正しく支払う方が問題がおきにくいんです。」
「なるほど、そういう理由だったんですか。」
エミリアが納得したように頷いた。
この前タダにしたやないかい!って怖いおじさんがたくさん来ても困るじゃない?
「ですが、アレだけの金額を渡してしまったらまた悪い事をするのではないでしょうか。」
「私が制裁を加えなくても後日正しい制裁が加えられる事でしょう。領内のしかも領主様のお膝元でこのような悪事を働いていたわけですから、そこの男達も含めて処罰されるはずです。」
店の奥では凸凹兄弟がバルバス達を捕縛している。
いくら貴族とはいえこれだけの悪事を働いていて無事ですむ事はないだろう。
ということは、先ほどの無礼な発言も貴族でなくなればお咎め無しというワケだ。
いやいや、万事丸く収まったね。
「さて、色々ありましたが帰りましょうか。シルビアやユーリが首を長くして待っていますよ。」
「シルビア様でしたら先程私が撃退をした悪漢共の処理をしておられました。もう終わっている頃だと思います。」
あー、そうだった。
街中で婦女子が襲われていたら出ない理由はないって話してたんだった。
首を長くどころか首が回らないぐらい忙しかったのかもしれない。
でもまぁユーリもいるし大丈夫だろう。
「では二人を労って帰りましょう。早くしないと日が暮れてしまいますからね。」
本当は今日も泊まりたい所だが明日はいつもと変わらない1日が始まる予定だ。
店をほったらかしにするわけにもいかない。
「あ、あの私はどうすればいいんでしょうか。」
さぁ帰ろうかと玄関先に足を向けたとき、思いつめたようにニケさんが聞いてきた。
「何をですか?」
「私の家は潰れてしまいましたので帰る家はありません。イナバ様に買受けていただいた以上イナバ様の奴隷として働くつもりですが、私のような者が一緒に帰ってよろしいものなのでしょうか。歩いて帰れといわれれば明日向かおうかと思っています。」
この人は一体何を言い出すんだろうか。
確かに奴隷として娼館で働かされていたのを買受けたので奴隷のままなのは分かるんだが。
本当にそうなのか?
「エミリア、ニケさんは奴隷のままなんですか?」
「奴隷として売りに出されていましたから、名目上はそうなると思います。足首についている足輪がその証拠です。」
確かに足首には金属の輪っかのようなものがつけられており、サイズ的に自分ではずせるようにはなっていない。
なるほど、ウェリスについていた証と同じか。
となるとどうなるんだ?
「今すぐに開放するっていうのはダメなんですか?」
「奴隷を買受けた場合、所有証明書を所定の場所に提出しなければなりません。街中であれば役所に、村であれば村長に届けを出します。」
「なるほど。」
「それと、奴隷を所有しますと最低1年は所有し続けなければなりません。これは奴隷の生命を脅かさぬようきちんと管理をする為と税を徴収する為です。納付後はそのまま所有しても売っても開放しても自由ですが、所有する場合は毎年納税の義務が課せられます。」
「所有するだけで税金を取られるんだ。」
意外にお金が懸かるものなんだな。
「この税金は所有者がいなくなり路頭に迷った奴隷を保護する為に使われる仕組みとなっています。開放すれば税の負担はなくなりますが、大抵は売買する為に奴隷のまま所有されていますね。」
「つまり1年はニケさんを解放できないわけですか。」
「あ、あの別に私は解放されなくても構いません。ここから買受けて頂いただけで十分すぎるぐらいです・・・。」
そうは言ってもなぁ。
ハーレム物でおなじみの性奴隷とかって考えれば最高かもしれないが、なにぶんエミリアにも手を出せないチキンなものですから。
それに人を奴隷のようにあごで使うとか出来ない性格でして。
「とりあえずこの件は保留という事で。」
答えが出ない事は考えないに限る。
別に今すぐ答えを出さなければいけないわけでもないしね。
「ではどうされますか?」
「どうされますかって言われても答えはひとつしかありませんが・・・。」
改めて聞かれるものでもない。
俺はニケさんのほうに手を差し出して、
「さぁ一緒に帰りますよニケさん。」
そう笑いかけた。
「・・・はい!」
涙を浮かべながらニケさんがその手を取る。
皆一緒に帰る。
そう決めてここに来たんだから。
身分なんて関係ない。
俺の仲間だ。
「あら、帰っちゃうの?」
さぁ今度こそ帰ろうと玄関に向かうが、またしても呼び止められてしまう
帰ろうよぉ。
「先程はありがとうございました、ガスターシャ様。」
「もう、アーシャって呼んでくれなきゃ応えてあげない。」
「失礼しましたアーシャ様。」
「様もいらないんだけど、まぁいいわ。」
いいんだ。
「後のことはお任せしても大丈夫ですか?」
「もちろんよ、後はあの子がぜーんぶやってくれるから大丈夫。」
「何を言っているんですか?領主様への報告ならびにこの建物の一時封鎖、過去の犯罪についての洗い出しと所属娼婦の引き受け先の決定など山ほど仕事があるんですよ。私はこいつを騎士団に連れて行くまでが仕事ですから後は自分で何とかしてください。」
「ちょっと、護衛が護衛対象を置いてどこ行くのよ!」
「一撃でこいつを仕留めることが出来る男が何を言うのやら。それに護衛は今日の夕刻までと決まってましてね、もうその時間は過ぎました。」
そうか、もうそんな時間か。
こりゃ家に着くのは夜遅くになっちゃうなぁ。
「もう、こんな事になっちゃったら今日帰れるわけないじゃない!後でたっぷりとお灸を据えてやるんだから覚悟しなさいよね!」
領内の貴族が悪事を働いていたとなれば、それを捌くのは貴族院などがある元老院のお仕事というワケだ。
それを処理するまでは帰れるわけがない。
ご愁傷様です。
ま、それは俺には関係ないし帰るとしよう。
「それでは無理されませんよう、失礼致します。」
「貴方、ププト様の下と言わず中央で働く気はない?」
「どういうことでしょうか。」
いきなり何を言い出すんだ?
おれが中央府で働くだって?
「だから、私の下で働く気がないかって聞いてるのよ。今回の件も含めてこれだけの成果を挙げておいてどこにも属さないっていうのは無理な話よ。私の下だったら今まで通り働きながら仕事が出来るし、悪いようにはしないわ。」
「もったいないお話ではありますがご辞退させていただきます。」
「どうしてもダメ?」
「私はまだやらなければならないことがありますので、もしそれが終わった後に私に需要があればどうぞお願いいたします。あ、でもププト様が先約ですので良く話し合ってからお願いいたします。」
俺には商店がある。
まだまだやらなければならない事がたくさんあるんだ。
まずはそれを終わらせなければこの世界に来た意味がない。
エミリアのほうを見ると俺と目が合い、そして笑ってくれた。
エミリアをおいて別の仕事をするなんて考えられない。
「そう、残念ね。」
「ではまた。」
「また会いましょう、イナバシュウイチ。」
優雅にお辞儀をするとアーシャことガスターシャ氏はカムリのほうへと去っていった。
「今度こそ、帰りましょうか。」
「「「はい。」」」
外で首を長くしているであろう二人と一緒に皆で帰ろう。
こうして無事、ニケさん買受け作戦第二幕は無事完了するのであった。
~所代わり領内某所~
「ここか情報にあった場所は。」
「はい、間違いありません。焚き火の痕跡からまだそんなに時間は経ってないかと。」
薄暗い森の中に二つの人影。
声の感じから男女だろう。
「冒険者の集団失踪など聞いたことがない。恐らくは何か問題に巻き込まれたか、それとも・・・。」
「こ、これは!これを見てください!」
「これは、魔物の足跡?しかもこんなにたくさんだと。」
「争った形跡はありませんがあいつらが魔物ごときに遅れを取るでしょうか。」
「だが実際奴らは消息不明だ。最後に目撃された場所でこの足跡、もしややつらは・・・。」
次の瞬間男の方の姿が消えた。
「な、まさか!」
「逃げろ今すぐにだ!」
森の奥から男の声が聞こえてくる。
それと同時に今まで感じなかった魔物の気配が周囲を取り囲んだ。
このままでは死ぬ。
そう感じた女はなりふり構わず走り出した。
その後を魔物の気配が追いかける。
この日、また冒険者の消息が途絶えるのだった。
それは正義のヒーローであったり、敵として戦ったライバルだったり、窮地を救う仲間だったり。
でもそれがオネェであることはかつてなかったような気がするんだけど。
ましてや相手が女だと勘違いしたままだということも。
「その可愛い子ちゃんが俺に何の用だ?抱かれに来たんだったら取り込み中だ、後でたっぷり可愛がってやるよ。」
「いやよ、貴方みたいな図体がでかいだけで頭のない男なんて。やっぱり抱くなら肌に張りのある若い子でなくっちゃ、ねぇ貴方達?」
「お前達なんでここに!」
猫目館の奥から現れたのは昨日お世話になったガスターシャ氏だった。
もちろん今日もバッチリメイクで見た目は完全に女性です。
まぁ、素の顔知らないけど。
そしてその後ろにいるのは、昨日ガスターシャ氏に連れられて領主の館の奥へと消えていったはずの彼らだ。
なんでこんな所に彼らといるんでしょうか。
あ、いや何も言うまい。
アレですよね。
それしかないよね。
「貴方の悪事は全部この子達から聞いたわ。ここでお金を巻き上げていた事も、この子達を裏で操ってお金を稼いでいた事も。領内の貴族がこんなことをしてるって知ったら、ププト様に何をされちゃうか想像はつくでしょ?」
「それがどうした、俺が直接手を下していた証拠なんてどこにもないからな。それに平民のお前らの声が上に届くわけないだろうが。」
「だから届くって言ってるじゃない。彼の名前を聞いてもまだ分からないの?それでこの街で貴族をしてるだなんてとんだモグリね、貴方。」
俺が言われたのと全く同じ台詞を男に返す。
そんなに有名になったつもりはないんですが。
だって貴族ってそういうのに興味無さそうだし。
「名前だぁ・・・?確かこいつはイナバ・・・まさかあの『盗賊100人殺し』の商人か!」
そんな物騒な称号勘弁してください。
そもそも100人もいないし、俺一人も殺してないし。
でもまぁ、驚いてるしそれに乗っかっておこうか。
「やっと分かったか、俺にかかればお前の悪事なんてすぐにあの人に届くさ。もっとも、俺を殺しても外に待機している者がすぐに伝えるから一緒だがな。」
「くそ、面倒な事になってきやがった。こうなったら!」
俺が強いと誤解してくれたおかげで標的が俺から別の人間に変わった。
のこるはマヒロさんとガスターシャ氏。
どちらも見た目は弱そうだけど中身は最強のお二人なので、俺以外を狙うのがそもそもの悪手だ。
そんな中、奴が選んだのは・・・。
「どけそこの女ぁぁぁ!」
「あら怖い怖い。」
おどけた顔をしてバルバスを迎えるガスターシャ氏。
どちらも女?ではあるがより弱そうな方を選んだのだろう。
だがそれが一番の間違いだ。
見た目はアレだが、中身は男。
しかも素手で一番強いとなれば。
「・・・ぐはぁ!」
威嚇するように剣を構えてガスターシャ氏に向かっていくバルバス。
だがその攻撃を避けることなく受け止め、いや受け流し勢いそのままに投げ飛ばした。
バルバスは何をされたのか分からぬままガスターシャ氏の反対側へ投げ飛ばされる。
「婦女子に手を上げるとは男の風上にもおけないな。いや、そもそも婦女子ですらないか。」
そして、投げ飛ばした先にいたカムリの一撃を腹部にくらい昏倒するのだった。
何このピタゴラ兄弟。
喧嘩しながらも息バッチリじゃないですか。
「ちょっと、遅いわよカムリ。」
「奥にいた残党に手間取りましてね、それに別に私がいなくても貴方一人で十分でしょう。」
「女に悪漢の相手をさせようだなんてそれでも騎士団副団長のすることなの?」
「婦女子は守っても男を守る剣は持ち合わせておりませんので。」
喧嘩売る相手が悪かったよな。
領内、いや国内最強の凸凹兄弟。
その強さに曇り無しだ。
さて、面倒な奴は倒されたわけだし、残るはこいつだけか。
「それで、頼みの男はこの様子だがどう落とし前をつける?」
俺はゆっくりと支配人に向かって歩き出した。
投げ飛ばされたバルバスの方を向き茫然自失の状態の支配人。
そもそもの元凶はこいつが値段を吊り上げた事から始まる。
まぁ、今回の一件だけでなく余罪はぼろぼろと出てくるだろうがそんな事は俺にはどうでも言い訳で。
その辺は凸凹兄弟にお任せする事にしよう。
「ヒ、ヒィィィ命ばかりはどうかお助け・・・。」
目の前に立ちふさがる俺に睨まれ命乞いをする支配人。
いや、命はいらないのでニケさん下さい。
っていうかそんなに俺怖い?
「怯えている所悪いが答えを待っているんだが?」
「ど、どうぞその娘は持っていってください!」
「それは困るな、ちゃんと正規の値段を言ってもらわねば。」
「・・・はい?」
どうしたんだろう、恐怖で耳まで遠くなったのか?
「正しい値段を言えといっているんだ。お前の肥やしになると分かって金貨100枚出すはずがないだろうが。」
「も、申し訳ございません!」
支配人は慌てて懐から書類を取り出し、震える手で俺に差し出す。
これは昨日見た契約書のようなものか。
なるほどわからん。
俺は支配人から書類を奪い取るとエミリアのほうに向かい、書類を手渡す。
エミリアはすばやく書類を広げると中身を確認し始めた。
格好はアレだが、顔は仕事モードだ。
相変わらず綺麗だなぁ。
「昨日見た契約書と中身は同じですね、金貨30枚となっています。」
なるほど、つまりはまだぼったくってるというワケか。
この状況でまだそれをやるのは、商魂たくましいのかそれともただの馬鹿なのか。
それは聞いてみれば分かる事か。
「おい、この契約書は何だ?」
「で、ですからニケという女のね、値段でございます。」
「それは知っている。だが、この期に及んでまだその値段で売りつけるというのはどういうわけだ?」
もう一度強く支配人を睨む。
「ヒ、ヒェェ・・・それしか書類がないんですぅぅぅ・・・。」
怯えて涙を流しながら弁明する支配人。
子供か。
なんだか悪者になった気分だがこれでオッケーを出すわけには行かない。
元の値段を知っているのはニケさんだけだし、本人に聞いてみるのが一番か。
エミリアから書類を受け取りニケさんの所へと向かう。
「おい、これで間違いないか?」
ニケさんに書類を渡すとエミリア同様ささっと目を通し始めた。
仕事が出来る女その2って感じだな。
商家で生まれたって言ってたしこういう書類を見るのはお茶の子さいさいだろう。
え、その言い回し知らない?
ヤフーでググってくれ。
「内訳は私が知っているのと同じですが、衣装代という名目で金貨10枚足されています。」
「こいつらから衣装を貰った事は?」
「最初こそ支給されましたが今は全くありません。それに、この前見せられた書類にはそもそもこの項目はありませんでした。」
「だ、そうだがこれに対する弁明はあるか?」
「そ、それはここから逃げた事による賞罰金でして・・・。」
「おかしな話だな。副支配人に聞いた所では賞罰は含まれていないといっていたが?なぁエミリア。」
「はい、間違いありません。」
この前確認しておいて良かった。
つまりは賞罰金がなければ金貨20枚で問題ないというワケだ。
「そ、そんな事まで・・・。」
「俺を騙せると思っているのなら大間違いだ。もしその気があるのならば盗賊団同様にいますぐ叩き通してやってもいいんだぞ?」
「お、御代は結構ですのでどうぞお持ち帰り下さい・・・。」
いやファーストフードじゃないんだから。
それにクレームつけてタダで持って帰るつもりもない。
「俺は彼女を買受けしたいだけだ。正しい金額を言ってもらえれば快く支払うしそのほうがお互いに気持ちよく取引を完了できる。そうだな?」
「そ、その通りでございます。」
「ならば結構。では改めて聞こう、いくらだ?」
「金貨20枚でございます。」
「そうか、わかった。」
俺はエミリアから預かっていた袋を開け金貨を14枚取り出すと、怯える支配人の手をつかみ一枚ずつ数えながら乗せていく。
「12、13、14.手付けの6枚を加えて合計20枚だ間違いないな?」
「は、はい間違いございません!」
「これで彼女は俺のものだ。金輪際彼女への一切の関与を認めない。もし、そのような兆候が見られた場合は今度こそお前をつぶしに行くからそのつもりでいろ。」
最後の脅しが効いたのかガクリと頭を下げてうなだれてしまった。
手渡された金貨を手放さないあたり気を失っている感じではなさそうだ。
反応はないが理解していると言う事にしてニケさんのところへ戻る。
「無事買受けが終わりました、これで貴女は自由です。」
「いつものイナバ様に戻られましたね。」
「あ、先ほどはすみません失礼な言い方をしてしまって。」
全部終わって気が抜けたのか、いつもの話し方に戻ってしまった。
まぁ終わったしいいか。
「シュウイチさん!」
「エミリアもお疲れ様でした。先ほどは助けてもらってありがとうございます。」
「シュウイチさんを助けるって約束しましたから。」
三人とも緊張が解けて笑顔が戻っている。
もうあのキャラを演じるのはごめんだ。
疲労が半端ない。
「でもよろしかったのですか?代金を払わずにニケさんを引き渡すような事を言っていましたが。」
「そのまま受け入れてしまうと後で何を言われるか分かりませんからね。こういう契約は正しい金額を正しく支払う方が問題がおきにくいんです。」
「なるほど、そういう理由だったんですか。」
エミリアが納得したように頷いた。
この前タダにしたやないかい!って怖いおじさんがたくさん来ても困るじゃない?
「ですが、アレだけの金額を渡してしまったらまた悪い事をするのではないでしょうか。」
「私が制裁を加えなくても後日正しい制裁が加えられる事でしょう。領内のしかも領主様のお膝元でこのような悪事を働いていたわけですから、そこの男達も含めて処罰されるはずです。」
店の奥では凸凹兄弟がバルバス達を捕縛している。
いくら貴族とはいえこれだけの悪事を働いていて無事ですむ事はないだろう。
ということは、先ほどの無礼な発言も貴族でなくなればお咎め無しというワケだ。
いやいや、万事丸く収まったね。
「さて、色々ありましたが帰りましょうか。シルビアやユーリが首を長くして待っていますよ。」
「シルビア様でしたら先程私が撃退をした悪漢共の処理をしておられました。もう終わっている頃だと思います。」
あー、そうだった。
街中で婦女子が襲われていたら出ない理由はないって話してたんだった。
首を長くどころか首が回らないぐらい忙しかったのかもしれない。
でもまぁユーリもいるし大丈夫だろう。
「では二人を労って帰りましょう。早くしないと日が暮れてしまいますからね。」
本当は今日も泊まりたい所だが明日はいつもと変わらない1日が始まる予定だ。
店をほったらかしにするわけにもいかない。
「あ、あの私はどうすればいいんでしょうか。」
さぁ帰ろうかと玄関先に足を向けたとき、思いつめたようにニケさんが聞いてきた。
「何をですか?」
「私の家は潰れてしまいましたので帰る家はありません。イナバ様に買受けていただいた以上イナバ様の奴隷として働くつもりですが、私のような者が一緒に帰ってよろしいものなのでしょうか。歩いて帰れといわれれば明日向かおうかと思っています。」
この人は一体何を言い出すんだろうか。
確かに奴隷として娼館で働かされていたのを買受けたので奴隷のままなのは分かるんだが。
本当にそうなのか?
「エミリア、ニケさんは奴隷のままなんですか?」
「奴隷として売りに出されていましたから、名目上はそうなると思います。足首についている足輪がその証拠です。」
確かに足首には金属の輪っかのようなものがつけられており、サイズ的に自分ではずせるようにはなっていない。
なるほど、ウェリスについていた証と同じか。
となるとどうなるんだ?
「今すぐに開放するっていうのはダメなんですか?」
「奴隷を買受けた場合、所有証明書を所定の場所に提出しなければなりません。街中であれば役所に、村であれば村長に届けを出します。」
「なるほど。」
「それと、奴隷を所有しますと最低1年は所有し続けなければなりません。これは奴隷の生命を脅かさぬようきちんと管理をする為と税を徴収する為です。納付後はそのまま所有しても売っても開放しても自由ですが、所有する場合は毎年納税の義務が課せられます。」
「所有するだけで税金を取られるんだ。」
意外にお金が懸かるものなんだな。
「この税金は所有者がいなくなり路頭に迷った奴隷を保護する為に使われる仕組みとなっています。開放すれば税の負担はなくなりますが、大抵は売買する為に奴隷のまま所有されていますね。」
「つまり1年はニケさんを解放できないわけですか。」
「あ、あの別に私は解放されなくても構いません。ここから買受けて頂いただけで十分すぎるぐらいです・・・。」
そうは言ってもなぁ。
ハーレム物でおなじみの性奴隷とかって考えれば最高かもしれないが、なにぶんエミリアにも手を出せないチキンなものですから。
それに人を奴隷のようにあごで使うとか出来ない性格でして。
「とりあえずこの件は保留という事で。」
答えが出ない事は考えないに限る。
別に今すぐ答えを出さなければいけないわけでもないしね。
「ではどうされますか?」
「どうされますかって言われても答えはひとつしかありませんが・・・。」
改めて聞かれるものでもない。
俺はニケさんのほうに手を差し出して、
「さぁ一緒に帰りますよニケさん。」
そう笑いかけた。
「・・・はい!」
涙を浮かべながらニケさんがその手を取る。
皆一緒に帰る。
そう決めてここに来たんだから。
身分なんて関係ない。
俺の仲間だ。
「あら、帰っちゃうの?」
さぁ今度こそ帰ろうと玄関に向かうが、またしても呼び止められてしまう
帰ろうよぉ。
「先程はありがとうございました、ガスターシャ様。」
「もう、アーシャって呼んでくれなきゃ応えてあげない。」
「失礼しましたアーシャ様。」
「様もいらないんだけど、まぁいいわ。」
いいんだ。
「後のことはお任せしても大丈夫ですか?」
「もちろんよ、後はあの子がぜーんぶやってくれるから大丈夫。」
「何を言っているんですか?領主様への報告ならびにこの建物の一時封鎖、過去の犯罪についての洗い出しと所属娼婦の引き受け先の決定など山ほど仕事があるんですよ。私はこいつを騎士団に連れて行くまでが仕事ですから後は自分で何とかしてください。」
「ちょっと、護衛が護衛対象を置いてどこ行くのよ!」
「一撃でこいつを仕留めることが出来る男が何を言うのやら。それに護衛は今日の夕刻までと決まってましてね、もうその時間は過ぎました。」
そうか、もうそんな時間か。
こりゃ家に着くのは夜遅くになっちゃうなぁ。
「もう、こんな事になっちゃったら今日帰れるわけないじゃない!後でたっぷりとお灸を据えてやるんだから覚悟しなさいよね!」
領内の貴族が悪事を働いていたとなれば、それを捌くのは貴族院などがある元老院のお仕事というワケだ。
それを処理するまでは帰れるわけがない。
ご愁傷様です。
ま、それは俺には関係ないし帰るとしよう。
「それでは無理されませんよう、失礼致します。」
「貴方、ププト様の下と言わず中央で働く気はない?」
「どういうことでしょうか。」
いきなり何を言い出すんだ?
おれが中央府で働くだって?
「だから、私の下で働く気がないかって聞いてるのよ。今回の件も含めてこれだけの成果を挙げておいてどこにも属さないっていうのは無理な話よ。私の下だったら今まで通り働きながら仕事が出来るし、悪いようにはしないわ。」
「もったいないお話ではありますがご辞退させていただきます。」
「どうしてもダメ?」
「私はまだやらなければならないことがありますので、もしそれが終わった後に私に需要があればどうぞお願いいたします。あ、でもププト様が先約ですので良く話し合ってからお願いいたします。」
俺には商店がある。
まだまだやらなければならない事がたくさんあるんだ。
まずはそれを終わらせなければこの世界に来た意味がない。
エミリアのほうを見ると俺と目が合い、そして笑ってくれた。
エミリアをおいて別の仕事をするなんて考えられない。
「そう、残念ね。」
「ではまた。」
「また会いましょう、イナバシュウイチ。」
優雅にお辞儀をするとアーシャことガスターシャ氏はカムリのほうへと去っていった。
「今度こそ、帰りましょうか。」
「「「はい。」」」
外で首を長くしているであろう二人と一緒に皆で帰ろう。
こうして無事、ニケさん買受け作戦第二幕は無事完了するのであった。
~所代わり領内某所~
「ここか情報にあった場所は。」
「はい、間違いありません。焚き火の痕跡からまだそんなに時間は経ってないかと。」
薄暗い森の中に二つの人影。
声の感じから男女だろう。
「冒険者の集団失踪など聞いたことがない。恐らくは何か問題に巻き込まれたか、それとも・・・。」
「こ、これは!これを見てください!」
「これは、魔物の足跡?しかもこんなにたくさんだと。」
「争った形跡はありませんがあいつらが魔物ごときに遅れを取るでしょうか。」
「だが実際奴らは消息不明だ。最後に目撃された場所でこの足跡、もしややつらは・・・。」
次の瞬間男の方の姿が消えた。
「な、まさか!」
「逃げろ今すぐにだ!」
森の奥から男の声が聞こえてくる。
それと同時に今まで感じなかった魔物の気配が周囲を取り囲んだ。
このままでは死ぬ。
そう感じた女はなりふり構わず走り出した。
その後を魔物の気配が追いかける。
この日、また冒険者の消息が途絶えるのだった。
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