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第五章
やっぱり人は見かけで決めちゃいけない
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エミリアの助言により精霊結晶の取り扱いについては無事に解決を見せた。
ひとまず先に必要な金額だけ支払って頂き、残りの金額は後日連絡があるそうだ。
精霊結晶自体は今日このままギルドに引き取って貰う事になった。
普通であれば入金前に物を渡すなんて事はありえないのだが、相手が逃げる事のできない大きな組織だからこそ安心して渡す事ができる。
というか、あまりにも価値が大きすぎてこれ以上ポケットに入れて持ち歩くのが怖いというのが本音だ。
穴が開いて落としたら立ち直れそうにない。
そんな不安を感じながら歩くぐらいなら今ここで渡したほうが自分のメンタル的にも助かります。
これでニケさんを買い受ければ俺達の横流し騒動はひとまず終結を見せる事になるな。
いやー、長かった。
ちがうな、時間はそんなに経っていない。
時間の密度が濃すぎるんだ。
いつもの事ながら面倒な事に巻き込まれているなぁとつくづく思うよ。
でもこれで、そういう問題からひとまず開放されるわけだしよしとするか。
後は宿に戻ってゆっくり寝るだけだ。
さぁさっさと帰ろうか!
「この話はこれぐらいにして次の話に移るとしようか。」
え、まだあるの?
俺の用事はもう二つとも終わったんだけど。
「領主様との謁見の件ですね。」
「急な話で申し訳ないけれど領主様たっての希望となっちゃあ断るわけにはいかなくてね。すまないがちょいと時間をもらうよ。」
「具体的にはどのぐらいでしょうか。」
「夕食に呼ばれているだけだから夜には終わるだろう。」
領主様との謁見とか思い出したくなかった。
しかも謁見だけでなく食事もですか。
ないわー。
夜はシルビア様も合流してみんなで美味しいご飯を食べるつもりだったんだけどなぁ。
支配人にはそういうお店を探して貰っているんだけど・・・。
っていうか夕食に呼ばれているって礼服とか持ってきてないよ?
ドレスコードとかは大丈夫なんだろうか。
なんていうか今日の格好は飾り気も何もない地味な格好だし。
「領主様の手配する夕食ですか。一度呼ばれた事がありますが非常に美味しい料理をいただいた記憶があります。」
「あんたの記憶はもう20年以上前の話じゃないのかい?」
「失礼な、ここ5年ぐらいの話ですよ!」
「おやそうだったかねぇ・・・、年はとりたくないねぇ。」
年寄りが二人。
もうボケ始めたのか?
なんて口に出そうものなら一瞬で俺を消し炭に出来るぐらいの魔力を秘めてそうなんだよな、ギルド長って。
口が達者なだけでこの地位には居ないだろう。
絶対に。
「美味しい料理ですか、是非味わってみたいですね。」
「ユーリは料理の話になるととても嬉しそうな顔をしますね。」
「リア奥様の料理もセレン様の料理も美味しいですが、そういう方々が美味しいと賞賛する料理がいかなる物か非常に興味があります。」
確かにこの世界の料理がどういうものかは非常に興味がある。
先ほどのような何ちゃって元の世界の料理とかではない、純粋なこの世界で生まれた料理がどういうものか。
旅先でその土地の郷土料理を味わうような感覚だ。
この世界に来てはや三ヶ月と半月。
異世界飯とか、ダンジョン飯とか、異世界居酒屋とか、ご飯物を網羅してきた俺に死角はないはずだ。
だけど、その料理をまさか領主様といただく事になるなんて思いもしないじゃない?
出来ればもっと気心の知れた人とワイワイ楽しく話しながら食べたかった。
はぁ、憂鬱だ。
「何辛気臭い顔してるんだい。」
「この顔は元からですよ。あの、礼服など持参していませんが大丈夫なのでしょうか。」
「別に構いやしないだろう。先方だって急なお誘いだって事は百も承知だし、ここの領主様はそんな細かい事をとやかく言う人じゃないさ。」
おや、そうなのか。
もっと威張っているもしくはツンとしてる堅苦しい人を想像していた。
とはいえ嫌な事に変わりは無い。
「ではこの後どこに向かえばよろしいのでしょうか。」
「もうしばらくしたらここに迎えが来るはずなんだけどねぇ・・・。」
待って宿にも戻らずこのまま直行ですか?
マジですか?
心の準備とか全く出来ていないんですけど。
「サンサトローズ騎士団分団長シルビアです、お客人を護衛して参りました。」
心の中でうなだれているときだった。
凛とした聞き覚えのある声に後ろを振り向くと、透明な壁の向こうにシルビア様が立っていた。
そういえばシルビア様も魔術師ギルドに用があるといっていたけど、まさか迎えの人を護衛していたのか。
でも護衛しているのって白鷺亭の最上階に宿泊している人だよね。
いったい誰なんだ?
「鍵はかかってないよそのまま入りな。」
「失礼します。」
今回は壁のようなものは見えなかった。
手元に精霊結晶は無いからやっぱりあれのお陰で見えていたのかもしれないな。
シルビア様がこちらを見て目が合った瞬間少しだけ笑顔になった。
うん、こういうところが可愛いんですよ。
エミリアも可愛いけどシルビア様のギャップ萌え的な可愛さもある。
お仕事ご苦労様です。
シルビア様が部屋に入ってきたその後ろに続いてモデルのような美しい女性がやってきた。
おそらく護衛してきた人だと思うのだが。
何このモデル体型の美人。
身長は俺よりも高いのに顔は小さいし細身だし。
少々残念なのは胸とお尻が小さい事か。
いや、巨乳信者じゃないから小さくてもいいんですよ?
大きいのは正義って言う人もいるけど、小さくても正義です。
偉い人にはそれがわからんのです。
横に居たエミリアも感嘆の声を上げている。
女性でも声を失う綺麗さって奴か。
服装は全身スーツのようなぴったりとしたジャケットとズボン。
なんだろうどこかで見たことのある格好だなぁ。
某帝国歌劇団の衣装か?
でもあんなふうにタイツじゃないし・・・。
あ、わかった!
ソ〇ィーのアトリエに出てきたモ〇カと同じ感じだ。
なるほど、それで違和感無かったのか。
あのキャラも男装っぽい感じだったしな。
「遅れまして申し訳ありません。」
「なに、こっちも立て込んでいたからね問題ないよ。」
鈴のような声とはよく言ったものだ。
凛とした雰囲気に高音が良く響く。
決して嫌にならない綺麗な声だ。
天は二物を与えないって言うけど与えられている人もいるんだなぁ。
完璧すぎるでしょこれ。
「シュウイチ、こちらはガスターシャ殿。中央府元老院の副参謀を勤めておられるお方だ。」
「やだ、シルビアさんアーシャって呼んでくれないと駄目じゃない。」
「さすがに公の場で略称で呼ぶわけには参りませんので。」
「もう、堅いんだから。」
なんだろう、雰囲気はむちゃくちゃ綺麗で高貴な雰囲気をかもし出しているのにどこからか香ってくるオネェ臭。
しゃべり方の問題か?
「ガスターシャ殿、此方がシュリアン商店の店主イナバシュウイチ殿だ。」
「はじめまして、イナバシュウイチと申します。」
「噂は中央府まで届いておりますわ。商人の身でありながら数々の武勇を持ち、誰も気付かなかった魔石横流しを発見、その末端組織を壊滅させたそうですね。ごく限られた人間にしか公表されて無いけれど貴方すごい噂になっているのよ。」
限られた人間というのが、横流し組織に染まっていないことが証明された口の堅い人達だろう。
だが大勢が知ればいずれどこからか話が漏れるかもしれない。
今は大丈夫そうだけど。
「噂になっているのは非常に光栄ですが私はただの商人です。皆さんが思っておられるほどの人間ではありませんよ。」
「そこも噂通りの謙虚さね。今日は元老院の密命を受けて貴方を調査するように言われてきたの。調査って言ってもどんな人間か見て来いって言われただけだから気楽にしててね。」
「ガスターシャ殿それは秘密のはずでは・・・?」
「やだ、ちゃんと言い直してくれないと答えない。」
「ですが・・・。」
「やだ!」
駄々っ子か?
ぶりっ子ではないが、最初に抱いたイメージとは明らかに違うようだ。
先入観ってやっぱり怖いな。
綺麗だけどなんだろう、どこかで感じた事のあるこの違和感。
わからん。
わからんが俺の第六感が囁いている。
こいつは普通じゃないと。
「・・・アーシャ殿。」
「秘密にしろっていわれてきたけどこれからみんなで美味しいご飯を食べるのに秘密ばかりじゃ面白くないじゃない?それに後で私の可愛い弟にも会うんだから、あれ?これは秘密にしてたんだっけ?」
「極秘裏の内偵なので身分は明かすなと言われた通りになっております。」
「じゃあ大丈夫ね、久々に会うから楽しみだわ!」
弟?
今日の食事会に誰か来ているんだろうか。
中央府元老院。
確かこの国は国王を頂点にした議員制のはずだ。
貴族議員と一般議員からなる混成議会。
それと元老三家と呼ばれる元老院が通常の議題を処理している。
つまりこの人はその元老院でそこそこの地位についている人物というわけだから俗に言うエリートなんだろう。
家が貴族で生まれながらにしてそっちの道を歩んでいる人が多い印象だ。
もちろんそうじゃないかもしれないが、立ち振舞いやしぐさからそれなりの家の人なんだろうと思う。
しゃべり方は別として。
「ガスターシャ殿は相変わらずのようだな。」
「フェリス様もご機嫌がよろしいようで何よりです。」
「ご機嫌なものかい。この書類の山を見てそう思えるなんてガスターシャ殿も人が悪い。」
「仕事があるのは素敵な事ですわ、それだけギルド内が活発な証拠ですもの。」
「半分はそこにいる男が持ってきた今回の一件についてだがね。」
どうもすみませんそこの男でございます。
「今回の件が発覚したお陰で我が国は他国に恥を晒さずに済んだんですもの、これぐらいの事務処理で済んだのなら安い物ですわ。」
「ならばこの半分そちらに引き取って頂ければ嬉しいんだがねぇ。」
「やだわフェリス様、私が事務処理嫌いなのご存じなくせに。」
顔が綺麗なのにオネェ言葉に聞こえるのは何ででしょうか。
それと、会話の所々に入ってくるこの違和感は何だ?
「エミリアはこの方をご存知ですか?」
「メルクリア様からお話だけは聞いたことがあります。元老三家の中でも群を抜いて仕事の出来る方がいると・・・。ですが私の記憶では男性だったように思うのですが人違いでしょうか。」
どう見ても男性には見えない。
声もそうだし、喉仏も見た感じはなさそうだ。
もしかしたら見えないだけで下半身にはゴールデンなボールがついているのかもしれないが・・・。
うーむ。
「アーシャ殿そろそろ会場に向かわなければ後がつかえておりますので。」
「もうそんな時間?時間が経つのってあっという間ね。」
「いえ、アーシャ殿がここに来る前に寄り道をしすぎたせいでございます。」
「あ、黙っててって言ったのに!」
子供か!
「黙りません。いくら食べ物が美味しいからといって護衛もつれずにあのような場所で食事など、何かあったらどうされるおつもりですか。」
「だって王都でしか見かけなかったカーラ・ザンギアーゲが売ってたのよ?食べないわけには行かないじゃない!」
あの店に立ち寄ったのか。
もしかしたらどこかですれ違っているかもしれない・・・はないか。
この容姿じゃすれ違ったら絶対に覚えているはずだ。
綺麗過ぎて人目を惹き過ぎる。
あんな往来のど真ん中に護衛なしで中央府の偉い人が居たんじゃシルビア様も怒るよな。
これはこの人が悪い。
「あの料理はそのままでも美味しいですが、パンにはさんで食べても美味しいですよ?」
「あら、貴方もご存知なの?」
「ちょうど私たちも先ほどいただいたところなんです。」
「それは奇遇ね!もしかしたら私たちどこかで惹かれあう運命なのかも・・・。」
いや、それは無いと思う。
こんなに美人なのに惹かれる要素がいっさい無いのは何故だ?
俺が言うのもなんだが、守備範囲は広いつもりだ。
にもかかわらず俺の心の琴線にかすりともしない。
わからん。
「いくらアーシャ殿とは言え私の旦那を誑かすのは許しませんよ?」
「そういえばそうでしたわね。こんな綺麗な奥さんを二人も射止めるなんて貴方も罪な人ね。」
「私の自慢の妻たちですよ。」
「まぁご馳走様。」
「ではそろそろ行きましょう、おそらく下にカムリも来ている頃でしょう。」
そういえば夕刻にはカムリと交代するんだったな。
そういえば夕食会にシルビア様も参加するんだろうか。
「夕食会にはシルビアも参加するんですか?」
「カムリと交代する予定だったから参加の予定は無かったのだが、シュウイチが行くのであれば妻である私も同行するべきだろうな。」
「せっかく気心の知れた人間しか呼んでいないんだからいらっしゃいな。一人増えたところで構いやしないわ。」
いや、気付くだろう。
領主様との夕食会なわけだし、料理の数とか座席とか決まっているんじゃないの?
「そう仰って頂けるのであればぜひ参加したいのですが、生憎ドレスは家に置いてきておりまして。」
「衣装は気にしなくていいわよこちらで用意しているから。もちろん、そちらの皆さんの分もね。」
「私たちもですか?」
「もちろんよ!領主様に会うのにその格好はさすがにねぇ。」
ですよねー。
でもまぁ貸してくれるというならありがたい話だ。
「御主人様私も同席してよろしいのでしょうか。」
「皆さん一緒にとのお話ですから構わないわよ。」
「よかったですね、ユーリ。」
「はい、ありがとうございます。」
という事は、エミリアとシルビア様とユーリのドレス姿が見れるわけか。
それは非常に楽しみだ。
絶対綺麗に違いない。
「さぁそうと決まれば急ぎましょう、女の準備には時間がかかるのよ。」
「ではフェリス様失礼します。」
「楽しんでおいで。」
まるで孫を送り出す祖母のようだ。
なんて言おうものなら焼き殺されて・・・以下略。
ギルド長の部屋をあとにしてぞろぞろと階段を降りていく。
やれやれ、早く宿にかえってゆっくり寝たいよ。
「随分と難しい顔をしているな、シュウイチは。」
「えぇ、まぁ。」
「ご主人様はこのあとの食事会に乗り気ではないようでして。」
「なんだそうだったのか。」
「ただの商人には領主様との食事会など荷が重くてですね。」
ただの一般人が知事と食事をするようなものだ。
しかも偉いお役人さんも一緒ときたら気後れするに決まっている。
「そんなに構えなくても大丈夫よ、たったの100人ぐらいしか来ないから。」
100人!?
いや、どこがたったのなの?
全く意味がわからないよ!
無理です勘弁してください。
ただのインドアオタクには荷が重すぎて潰れてしまいます。
俺のテンパりが頂点に達しようとしたその時だった。
耳を疑うようなやり取りが聞こえてきたのだ。
「シルビア様お迎えに上がりました。」
「カムリか、ご苦労だったな。」
「いえ問題ありません。」
カムリが引き継ぎをする為に下で待っていたらしい。
「それで、本日の護衛対象というのは・・・」
「カムリ!私の可愛い可愛い弟!」
「な、兄さん!」
え、兄さん?
聞き間違えだよね、だってどう見ても・・・。
「まだそんな格好でうろうろしているんですか貴方は。」
「だって、可愛い弟に会うんだからおめかししないといけないじゃない?」
「そもそもの格好を正してからそういう事は言ってください。」
抱きつかれそうになっているのを嫌そうにあしらうカムリ。
えっと、つまりどういうこと?
「シルビア、これはどういうことでしょう。」
「混乱するのも無理はない。ガスターシャ殿はあのように見えるがカムリの兄、つまりは男なのだ。」
「あんなに綺麗なのに男性なのですか!?」
エミリアも驚きを隠せない。
「そんな、綺麗だなんて言ってもらえて嬉しいわ。」
「ご主人様、世の中見た目ではわからないことがあるのですね。」
「まったくです。」
人は見かけにはよらないとメルクリアの件でわかっていたつもりだったが、これは想像できなかった。
中央府元老院副参謀のエリートがオネェだなんて、誰が想像できただろうか。
無理ゲーでしょ。
ただ1つ言えるのは、俺の第六感は正しかったということだ。
「さぁ一緒に行くわよ、カムリ!」
「腕にまとわりつかないでください、兄さん。」
「姉さんって呼んでくれないと嫌よ。」
「呼ぶわけないでしょう。」
目の前でいちゃつく姉弟もとい兄弟。
俺のこの後はいったいどうなってしまうのだろうか。
もう何が起きても驚かないぞ。
それだけを思った。
ひとまず先に必要な金額だけ支払って頂き、残りの金額は後日連絡があるそうだ。
精霊結晶自体は今日このままギルドに引き取って貰う事になった。
普通であれば入金前に物を渡すなんて事はありえないのだが、相手が逃げる事のできない大きな組織だからこそ安心して渡す事ができる。
というか、あまりにも価値が大きすぎてこれ以上ポケットに入れて持ち歩くのが怖いというのが本音だ。
穴が開いて落としたら立ち直れそうにない。
そんな不安を感じながら歩くぐらいなら今ここで渡したほうが自分のメンタル的にも助かります。
これでニケさんを買い受ければ俺達の横流し騒動はひとまず終結を見せる事になるな。
いやー、長かった。
ちがうな、時間はそんなに経っていない。
時間の密度が濃すぎるんだ。
いつもの事ながら面倒な事に巻き込まれているなぁとつくづく思うよ。
でもこれで、そういう問題からひとまず開放されるわけだしよしとするか。
後は宿に戻ってゆっくり寝るだけだ。
さぁさっさと帰ろうか!
「この話はこれぐらいにして次の話に移るとしようか。」
え、まだあるの?
俺の用事はもう二つとも終わったんだけど。
「領主様との謁見の件ですね。」
「急な話で申し訳ないけれど領主様たっての希望となっちゃあ断るわけにはいかなくてね。すまないがちょいと時間をもらうよ。」
「具体的にはどのぐらいでしょうか。」
「夕食に呼ばれているだけだから夜には終わるだろう。」
領主様との謁見とか思い出したくなかった。
しかも謁見だけでなく食事もですか。
ないわー。
夜はシルビア様も合流してみんなで美味しいご飯を食べるつもりだったんだけどなぁ。
支配人にはそういうお店を探して貰っているんだけど・・・。
っていうか夕食に呼ばれているって礼服とか持ってきてないよ?
ドレスコードとかは大丈夫なんだろうか。
なんていうか今日の格好は飾り気も何もない地味な格好だし。
「領主様の手配する夕食ですか。一度呼ばれた事がありますが非常に美味しい料理をいただいた記憶があります。」
「あんたの記憶はもう20年以上前の話じゃないのかい?」
「失礼な、ここ5年ぐらいの話ですよ!」
「おやそうだったかねぇ・・・、年はとりたくないねぇ。」
年寄りが二人。
もうボケ始めたのか?
なんて口に出そうものなら一瞬で俺を消し炭に出来るぐらいの魔力を秘めてそうなんだよな、ギルド長って。
口が達者なだけでこの地位には居ないだろう。
絶対に。
「美味しい料理ですか、是非味わってみたいですね。」
「ユーリは料理の話になるととても嬉しそうな顔をしますね。」
「リア奥様の料理もセレン様の料理も美味しいですが、そういう方々が美味しいと賞賛する料理がいかなる物か非常に興味があります。」
確かにこの世界の料理がどういうものかは非常に興味がある。
先ほどのような何ちゃって元の世界の料理とかではない、純粋なこの世界で生まれた料理がどういうものか。
旅先でその土地の郷土料理を味わうような感覚だ。
この世界に来てはや三ヶ月と半月。
異世界飯とか、ダンジョン飯とか、異世界居酒屋とか、ご飯物を網羅してきた俺に死角はないはずだ。
だけど、その料理をまさか領主様といただく事になるなんて思いもしないじゃない?
出来ればもっと気心の知れた人とワイワイ楽しく話しながら食べたかった。
はぁ、憂鬱だ。
「何辛気臭い顔してるんだい。」
「この顔は元からですよ。あの、礼服など持参していませんが大丈夫なのでしょうか。」
「別に構いやしないだろう。先方だって急なお誘いだって事は百も承知だし、ここの領主様はそんな細かい事をとやかく言う人じゃないさ。」
おや、そうなのか。
もっと威張っているもしくはツンとしてる堅苦しい人を想像していた。
とはいえ嫌な事に変わりは無い。
「ではこの後どこに向かえばよろしいのでしょうか。」
「もうしばらくしたらここに迎えが来るはずなんだけどねぇ・・・。」
待って宿にも戻らずこのまま直行ですか?
マジですか?
心の準備とか全く出来ていないんですけど。
「サンサトローズ騎士団分団長シルビアです、お客人を護衛して参りました。」
心の中でうなだれているときだった。
凛とした聞き覚えのある声に後ろを振り向くと、透明な壁の向こうにシルビア様が立っていた。
そういえばシルビア様も魔術師ギルドに用があるといっていたけど、まさか迎えの人を護衛していたのか。
でも護衛しているのって白鷺亭の最上階に宿泊している人だよね。
いったい誰なんだ?
「鍵はかかってないよそのまま入りな。」
「失礼します。」
今回は壁のようなものは見えなかった。
手元に精霊結晶は無いからやっぱりあれのお陰で見えていたのかもしれないな。
シルビア様がこちらを見て目が合った瞬間少しだけ笑顔になった。
うん、こういうところが可愛いんですよ。
エミリアも可愛いけどシルビア様のギャップ萌え的な可愛さもある。
お仕事ご苦労様です。
シルビア様が部屋に入ってきたその後ろに続いてモデルのような美しい女性がやってきた。
おそらく護衛してきた人だと思うのだが。
何このモデル体型の美人。
身長は俺よりも高いのに顔は小さいし細身だし。
少々残念なのは胸とお尻が小さい事か。
いや、巨乳信者じゃないから小さくてもいいんですよ?
大きいのは正義って言う人もいるけど、小さくても正義です。
偉い人にはそれがわからんのです。
横に居たエミリアも感嘆の声を上げている。
女性でも声を失う綺麗さって奴か。
服装は全身スーツのようなぴったりとしたジャケットとズボン。
なんだろうどこかで見たことのある格好だなぁ。
某帝国歌劇団の衣装か?
でもあんなふうにタイツじゃないし・・・。
あ、わかった!
ソ〇ィーのアトリエに出てきたモ〇カと同じ感じだ。
なるほど、それで違和感無かったのか。
あのキャラも男装っぽい感じだったしな。
「遅れまして申し訳ありません。」
「なに、こっちも立て込んでいたからね問題ないよ。」
鈴のような声とはよく言ったものだ。
凛とした雰囲気に高音が良く響く。
決して嫌にならない綺麗な声だ。
天は二物を与えないって言うけど与えられている人もいるんだなぁ。
完璧すぎるでしょこれ。
「シュウイチ、こちらはガスターシャ殿。中央府元老院の副参謀を勤めておられるお方だ。」
「やだ、シルビアさんアーシャって呼んでくれないと駄目じゃない。」
「さすがに公の場で略称で呼ぶわけには参りませんので。」
「もう、堅いんだから。」
なんだろう、雰囲気はむちゃくちゃ綺麗で高貴な雰囲気をかもし出しているのにどこからか香ってくるオネェ臭。
しゃべり方の問題か?
「ガスターシャ殿、此方がシュリアン商店の店主イナバシュウイチ殿だ。」
「はじめまして、イナバシュウイチと申します。」
「噂は中央府まで届いておりますわ。商人の身でありながら数々の武勇を持ち、誰も気付かなかった魔石横流しを発見、その末端組織を壊滅させたそうですね。ごく限られた人間にしか公表されて無いけれど貴方すごい噂になっているのよ。」
限られた人間というのが、横流し組織に染まっていないことが証明された口の堅い人達だろう。
だが大勢が知ればいずれどこからか話が漏れるかもしれない。
今は大丈夫そうだけど。
「噂になっているのは非常に光栄ですが私はただの商人です。皆さんが思っておられるほどの人間ではありませんよ。」
「そこも噂通りの謙虚さね。今日は元老院の密命を受けて貴方を調査するように言われてきたの。調査って言ってもどんな人間か見て来いって言われただけだから気楽にしててね。」
「ガスターシャ殿それは秘密のはずでは・・・?」
「やだ、ちゃんと言い直してくれないと答えない。」
「ですが・・・。」
「やだ!」
駄々っ子か?
ぶりっ子ではないが、最初に抱いたイメージとは明らかに違うようだ。
先入観ってやっぱり怖いな。
綺麗だけどなんだろう、どこかで感じた事のあるこの違和感。
わからん。
わからんが俺の第六感が囁いている。
こいつは普通じゃないと。
「・・・アーシャ殿。」
「秘密にしろっていわれてきたけどこれからみんなで美味しいご飯を食べるのに秘密ばかりじゃ面白くないじゃない?それに後で私の可愛い弟にも会うんだから、あれ?これは秘密にしてたんだっけ?」
「極秘裏の内偵なので身分は明かすなと言われた通りになっております。」
「じゃあ大丈夫ね、久々に会うから楽しみだわ!」
弟?
今日の食事会に誰か来ているんだろうか。
中央府元老院。
確かこの国は国王を頂点にした議員制のはずだ。
貴族議員と一般議員からなる混成議会。
それと元老三家と呼ばれる元老院が通常の議題を処理している。
つまりこの人はその元老院でそこそこの地位についている人物というわけだから俗に言うエリートなんだろう。
家が貴族で生まれながらにしてそっちの道を歩んでいる人が多い印象だ。
もちろんそうじゃないかもしれないが、立ち振舞いやしぐさからそれなりの家の人なんだろうと思う。
しゃべり方は別として。
「ガスターシャ殿は相変わらずのようだな。」
「フェリス様もご機嫌がよろしいようで何よりです。」
「ご機嫌なものかい。この書類の山を見てそう思えるなんてガスターシャ殿も人が悪い。」
「仕事があるのは素敵な事ですわ、それだけギルド内が活発な証拠ですもの。」
「半分はそこにいる男が持ってきた今回の一件についてだがね。」
どうもすみませんそこの男でございます。
「今回の件が発覚したお陰で我が国は他国に恥を晒さずに済んだんですもの、これぐらいの事務処理で済んだのなら安い物ですわ。」
「ならばこの半分そちらに引き取って頂ければ嬉しいんだがねぇ。」
「やだわフェリス様、私が事務処理嫌いなのご存じなくせに。」
顔が綺麗なのにオネェ言葉に聞こえるのは何ででしょうか。
それと、会話の所々に入ってくるこの違和感は何だ?
「エミリアはこの方をご存知ですか?」
「メルクリア様からお話だけは聞いたことがあります。元老三家の中でも群を抜いて仕事の出来る方がいると・・・。ですが私の記憶では男性だったように思うのですが人違いでしょうか。」
どう見ても男性には見えない。
声もそうだし、喉仏も見た感じはなさそうだ。
もしかしたら見えないだけで下半身にはゴールデンなボールがついているのかもしれないが・・・。
うーむ。
「アーシャ殿そろそろ会場に向かわなければ後がつかえておりますので。」
「もうそんな時間?時間が経つのってあっという間ね。」
「いえ、アーシャ殿がここに来る前に寄り道をしすぎたせいでございます。」
「あ、黙っててって言ったのに!」
子供か!
「黙りません。いくら食べ物が美味しいからといって護衛もつれずにあのような場所で食事など、何かあったらどうされるおつもりですか。」
「だって王都でしか見かけなかったカーラ・ザンギアーゲが売ってたのよ?食べないわけには行かないじゃない!」
あの店に立ち寄ったのか。
もしかしたらどこかですれ違っているかもしれない・・・はないか。
この容姿じゃすれ違ったら絶対に覚えているはずだ。
綺麗過ぎて人目を惹き過ぎる。
あんな往来のど真ん中に護衛なしで中央府の偉い人が居たんじゃシルビア様も怒るよな。
これはこの人が悪い。
「あの料理はそのままでも美味しいですが、パンにはさんで食べても美味しいですよ?」
「あら、貴方もご存知なの?」
「ちょうど私たちも先ほどいただいたところなんです。」
「それは奇遇ね!もしかしたら私たちどこかで惹かれあう運命なのかも・・・。」
いや、それは無いと思う。
こんなに美人なのに惹かれる要素がいっさい無いのは何故だ?
俺が言うのもなんだが、守備範囲は広いつもりだ。
にもかかわらず俺の心の琴線にかすりともしない。
わからん。
「いくらアーシャ殿とは言え私の旦那を誑かすのは許しませんよ?」
「そういえばそうでしたわね。こんな綺麗な奥さんを二人も射止めるなんて貴方も罪な人ね。」
「私の自慢の妻たちですよ。」
「まぁご馳走様。」
「ではそろそろ行きましょう、おそらく下にカムリも来ている頃でしょう。」
そういえば夕刻にはカムリと交代するんだったな。
そういえば夕食会にシルビア様も参加するんだろうか。
「夕食会にはシルビアも参加するんですか?」
「カムリと交代する予定だったから参加の予定は無かったのだが、シュウイチが行くのであれば妻である私も同行するべきだろうな。」
「せっかく気心の知れた人間しか呼んでいないんだからいらっしゃいな。一人増えたところで構いやしないわ。」
いや、気付くだろう。
領主様との夕食会なわけだし、料理の数とか座席とか決まっているんじゃないの?
「そう仰って頂けるのであればぜひ参加したいのですが、生憎ドレスは家に置いてきておりまして。」
「衣装は気にしなくていいわよこちらで用意しているから。もちろん、そちらの皆さんの分もね。」
「私たちもですか?」
「もちろんよ!領主様に会うのにその格好はさすがにねぇ。」
ですよねー。
でもまぁ貸してくれるというならありがたい話だ。
「御主人様私も同席してよろしいのでしょうか。」
「皆さん一緒にとのお話ですから構わないわよ。」
「よかったですね、ユーリ。」
「はい、ありがとうございます。」
という事は、エミリアとシルビア様とユーリのドレス姿が見れるわけか。
それは非常に楽しみだ。
絶対綺麗に違いない。
「さぁそうと決まれば急ぎましょう、女の準備には時間がかかるのよ。」
「ではフェリス様失礼します。」
「楽しんでおいで。」
まるで孫を送り出す祖母のようだ。
なんて言おうものなら焼き殺されて・・・以下略。
ギルド長の部屋をあとにしてぞろぞろと階段を降りていく。
やれやれ、早く宿にかえってゆっくり寝たいよ。
「随分と難しい顔をしているな、シュウイチは。」
「えぇ、まぁ。」
「ご主人様はこのあとの食事会に乗り気ではないようでして。」
「なんだそうだったのか。」
「ただの商人には領主様との食事会など荷が重くてですね。」
ただの一般人が知事と食事をするようなものだ。
しかも偉いお役人さんも一緒ときたら気後れするに決まっている。
「そんなに構えなくても大丈夫よ、たったの100人ぐらいしか来ないから。」
100人!?
いや、どこがたったのなの?
全く意味がわからないよ!
無理です勘弁してください。
ただのインドアオタクには荷が重すぎて潰れてしまいます。
俺のテンパりが頂点に達しようとしたその時だった。
耳を疑うようなやり取りが聞こえてきたのだ。
「シルビア様お迎えに上がりました。」
「カムリか、ご苦労だったな。」
「いえ問題ありません。」
カムリが引き継ぎをする為に下で待っていたらしい。
「それで、本日の護衛対象というのは・・・」
「カムリ!私の可愛い可愛い弟!」
「な、兄さん!」
え、兄さん?
聞き間違えだよね、だってどう見ても・・・。
「まだそんな格好でうろうろしているんですか貴方は。」
「だって、可愛い弟に会うんだからおめかししないといけないじゃない?」
「そもそもの格好を正してからそういう事は言ってください。」
抱きつかれそうになっているのを嫌そうにあしらうカムリ。
えっと、つまりどういうこと?
「シルビア、これはどういうことでしょう。」
「混乱するのも無理はない。ガスターシャ殿はあのように見えるがカムリの兄、つまりは男なのだ。」
「あんなに綺麗なのに男性なのですか!?」
エミリアも驚きを隠せない。
「そんな、綺麗だなんて言ってもらえて嬉しいわ。」
「ご主人様、世の中見た目ではわからないことがあるのですね。」
「まったくです。」
人は見かけにはよらないとメルクリアの件でわかっていたつもりだったが、これは想像できなかった。
中央府元老院副参謀のエリートがオネェだなんて、誰が想像できただろうか。
無理ゲーでしょ。
ただ1つ言えるのは、俺の第六感は正しかったということだ。
「さぁ一緒に行くわよ、カムリ!」
「腕にまとわりつかないでください、兄さん。」
「姉さんって呼んでくれないと嫌よ。」
「呼ぶわけないでしょう。」
目の前でいちゃつく姉弟もとい兄弟。
俺のこの後はいったいどうなってしまうのだろうか。
もう何が起きても驚かないぞ。
それだけを思った。
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