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第五章

輝石の価値は

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本日のメインイベント。

『異世界精霊結晶交渉戦』

赤コーナー、魔石研究所所属ミドリオルフ男爵145cm 40kg 55歳

青コーナー、商店連合所属イナバシュウイチ176cm 66kg 31歳

両者リングサイドで準備万端です。

今日の審判は魔術師ギルド、ギルド長フィリス様にお願いしています。

宜しくお願いします。

いや~、いよいよ始まりましたね。

何がなんでも精霊結晶がミド博士に対し、所有者イナバ氏がどのような交渉をぶつけてくるのか。

イナバ氏は最低限の金額で構わないそうですが、ミド博士はそれを許さないでしょう。

そうですね、なんせ自分の資産を投げ出そうとしたぐらいですからね。

両者の戦いが楽しみです。

お、いよいよ開始です。

リング中央に向かい合い、握手を交わしました!

其のまま両サイドに戻り、今ゴングです!

カーン。

というイメージでお送りいたします。

「ミド博士どうぞこちらのお席にお座りください。」

後ろから走ってきた博士をギルド長側の椅子に誘導する。

これで正面向いて話が出来るな。

「遅くなりまして申し訳ありませんでした。」

「いえ、お忙しい中お時間いただき有難うございます。」

「どうせ自分の彼女と乳繰り合ってたんじゃないのかい?」

「な、そんなわけあるわけないじゃないですか。」

怪しい。

「本当かねぇ・・・。」

「指示のありましたとおり横流しされた魔石の仕分けと、横流し時期の測定をしていただけです!。」

「まぁそういう事にしてあげようかね。」

ギルド長の博士イジリが酷い。

愛のあるイジリだと信じたいところではあるが、本人が嫌がっていたらそれはいじめである。

まぁそれは置いといて。

「今日は先程の件とは別に、ギルド長にご相談があってまいりました。」

「お前さんの持っている二精霊の融合結晶についてだね。」

「その通りです。正直に申しまして博士にご教授いただいてから、このような貴重な物を個人で所有していてもいいものなのかと悩んでおります。よほどの人でなければ価値を見出す事はないでしょうが、この結晶の所在が他の場所に漏れ、金欲しさに商店が襲撃されるという事も考えられますし、それだけの価値がある貴重な品であればもっと別の場所でしっかり管理して頂くべきではないのかと。」

どう扱っていいかは先日悩んだとおりだ。

今日はその意見を聞きにここに来たわけなんだが、どうしたものか。

「話はミドの坊やから聞いているよ。世界に二つとない二精霊の融合結晶だなんて始めは信じられなかったが本当に存在するのかい?どうも私には信じられないんだけどねぇ。」

「私が魔石関係のことで嘘を言うと思いますか?」

「坊やが嘘をついていないのはわかっているさ。だがね、私だって魔術者の端くれだ。一度その現物を見てみたいと思うのはいけない事なのかい?」

まぁそれもそうだ。

魔術師ギルドがどういう風にこれを扱うかはまだ分からないが、物を見ていないのにお金の話をするのはさすがにギルドを預かる長として納得できないのだろう。

「では見て貰ったほうが早いですね。」

「おや、持ってきているのかい。」

「はい、ここに。」

そう言ってポケットから精霊結晶を取り出し、机の上に置く。

綺麗な二色の結晶が光を浴びてきらきらと光っている。

「これはたまげたね。本当に二精霊の精霊結晶が融合しているよ。」

「だから言ったじゃないですか。理論上不可能とされた精霊結晶同士の融合が今ここになされているんですよ!本当に信じられない・・・。」

ギルド長の驚きの顔って結構レアなんじゃないだろうか。

こういう人っていろんなことを経験しすぎて驚くことの方が少なそうだし。

博士は興奮しすぎて鼻息が荒い。

目はお気に入りのおもちゃを見つけた子供のようだ。

「それにしてもこれだけの物をポケットに無造作に入れて持ち歩いているなんて、お前さんも随分と大胆な事をするね。」

「私もどう扱うべきなのか悩みましたが、価値に怯えて挙動不審になるぐらいなら気にしないほうがいいように思いまして。結果としてこうして持ち歩いていたほうがしっくり来ました。」

「確かに誰も気付かないでしょうけど、先日私があれほど精霊結晶の素晴らしさについて教えたというのに・・・。」

一晩延々とどれだけ素晴らしい物かを語られる身にもなってほしい。

でもまぁそのお陰でニケさんを買い受けるメドが立ったわけだけどね。

「それで、この精霊結晶をどう扱えばいいかだったね。」

「いくつか考えてきたのですが、他にもなにかいい案がないかと思いまして意見を頂戴できればと思っています。」

「とりあえずお前さんの案というのを聞かせてもらおうか。」

「まずは私がこのまま所有するという案です。これに関しては先ほどもお話しましたように管理リスクが付きまといますので出来れば避けたいと思っています。二つ目がミド博士のご要望通り博士に売却させて頂くという案。リスクは私から博士にうつりますがリスクそのものがなくなったわけではありませんし、かなりの高額になるかと思いますので個人にお渡しするのはどうかと思っています。」

「それならば是非私に!」

「坊やは黙ってな。」

個人にと聞いた途端に椅子から立ち上がるミド博士。

しかしギルド長の電光石火の発言によりしょぼくれながら椅子へと座る。

母親に起こられた子供じゃないんだからさ。

そんなに小さくならなくたっていいのに。

見た目は子供、中身は大人。

その名はミドリオルフ男爵 55歳!

見た目にだまされてはいけない典型的な例だな。

「そして三つ目が国もしくは魔術師ギルドなどの大きな組織に責任を持って引き取って頂くという物です。私としてはこだわりはありませんが、出来れば魔術師ギルドに引き取って頂ければと思っているのですがいかがでしょうか。」

「ほぉ、どうしてうちなんだい?」

「精霊結晶は元を辿れば魔石に分類されるそうですね。大きな魔力を秘めたこの精霊結晶は然るべき機関、つまり魔術の専門家が集まりかつ魔石研究も行っている魔術師ギルドに引き取って頂ければ有効に活用して頂けると思ったからです。それに、こちらであれば私的に買い取らずにミド博士が研究できるともおもいましてね。」

ギルド長が腕を組んで考え始めた。

それとは対照的にミド博士がえさを与えられた子犬のように喜んでいる。

それもそうか、喉から手が出るほどに欲しい物が手に入るかもしれないのだから。

「・・・仮にうちが引き取るとして幾らで売りつけるつもりなんだい?」

「幾らでも構いませんよ、といいたい所ですが事情がありますので最低限の金額はいただければと思っています。フィリス様は事情をご存知でしたね。」

「事情は知っているが、奴らから分捕るはずじゃなかったのかい?」

「その予定でしたが当てが外れてしまいました。持参させた魔石も精霊様にお譲りしてしまいましたので手元にありません。まぁ、代わりにこれをいただいたわけなんですが。」

「魔石がこの結晶になったなんて随分と美味しい商売をしたじゃないか。さすが、というべきなのかい?」

「私個人は何の苦労もしていませんのでそういわれるのはすこし変な気分ですね。」

「その事情というのは聞いてもいいのかな?」

そういえば博士は知らなかったな。

「構わないのかい?」

「黙っている理由はありませんので。」

別に隠し事をしているわけではない、あの場ではややこしくなるので話さなかっただけだ。

「今回の取引で得た資金で横流しの情報を最初に教えてくれた娼婦の方を買い受ける予定なんです。当初は先日の連中から契約金という名目でいただく予定だったんですが、思っていたよりも安くなってしまいまして。フィリス様には先日の証拠品も事情から高く買い取って頂いたりしているんですが、まだ結構な金額が足りない状態です。」

「そんな事情が・・・。でも、どうしてだまってたんだい?」

「横流しが判明したタイミングで娼婦から情報を得たといって誰が信じましたか?」

「それは・・・。」

「別に皆さんを責めているわけではありません。私が別の立場ならそれを聞いて信じたとも思えない。ですが、あの場では何がなんでも話を進めなければならなかった、だから黙っていたんです。」

先入観とは怖いものだ。

「そういう事情であれば尚の事うちで買い取るべきでしょう。」

「坊やは精霊結晶の研究が出来たらそれでいいんじゃないのかい?」

「研究できればそれに越した事はないですけど、その人のお陰で我々は横流しという大きな問題に気づく事ができたんですからそれに報いるべきじゃないですか?」

「その金を出すのはギルドなんだけどねぇ。」

「ギルドが出さないのであれば私が個人的にその資金を出資します。」

確かに博士であれば簡単に金額を出せてしまう。

だがそれでは危険を伴ったままになってしまう。

価値の大きな物ほどそれを守れるだけの場所においておくべきなのだ。

「それを聞いて安心したよ。この前直談判してきたときはどうしたものかと思ったが、ただ自分の欲に動かされているだけじゃないようだね。」

「私だって他の人と同じぐらいには考えているつもりです。」

「その割にはすぐに周りが見えなくなる癖をどうにかしてほしいものだ。」

確かに博士は自分の事になると夢中になってしまう感じがあるからな。

「お前さんも人の事を言えないと思うけどねぇ。」

心の声がまた漏れていたらしい。

フィリス様の発言を聞いて横に座っていたエミリアが大きくうなずいている。

おかしいなぁ、そんな事はないと思うんだけど。

「では魔術師ギルドが引き取ってくださるという事でよろしいでしょうか。」

「あぁ、責任持ってうちが管理させて貰おうじゃないか。世界に一つしかない二精霊の融合結晶だ。これ一つでこれまでの定説がどれだけひっくり返るのか楽しみだね。」

「10や20じゃ済まないでしょう。これは世紀の大発見なんですから。」

「そんなにすごい物なのですか?」

「君にはもう一度講義しなおしたほうがよさそうだね。」

勘弁してください。

「それで、うちは幾ら払えばいいんだい?」

「これだけのものですからギルドの予算足りなければ私が個人的に出しますよ!」

大盤振る舞いだな。

じゃあ遠慮なくいかせもてらおうか。

「では金貨100枚、というのは冗談で金貨15枚ではいかがでしょうか。」

「「金貨15枚!?」」

え、ハモるぐらいに驚く?

そんなに高かった?

100枚じゃなくて15枚ですよ?

「君、それは冗談で言っているんだよね?」

「いえ冗談ではありませんが。」

「最低限で構わないという話だったが、幾らなんでも安すぎるとは思わないのかい?」

いや、確かにお金は幾らあっても構わないけどさぁ。

むしろほしいというかなんと言うか。

でもお金は人を狂わすものだ。

多すぎても決していいことはない、と思う。

これは俺の勝手な思い込みだけどさ。

「正直に言いまして先日教えて頂いたような価値があるのか今の私には半信半疑なんです。博士が自分の私財を投げ打ってまで欲しいと思っておられる事も存じ上げておりますが、それを踏まえてもこの金額が妥当だと思っています。金貨15枚あればある程度余裕を持って彼女を買い受ける事ができますから。」

目標金額は金貨11枚。

仮に高くなったとしても金貨4枚ぐらいの上げ幅じゃないかと思っている。

金貨20枚の2割アップで金貨24枚。

元の世界のお金で2400万か。

金貨って言うと価値が分からないけど、この精霊結晶が1500万で売れると思えばわけが分からなくなる。

だってこの結晶一つで中古のマンション買えるんだよ?

信じられない。

まぁ世の中には薬指の上に乗せる物でうん億円するものだってあるんだし、決しておかしくはないのか。

これがそういうものだと思えば、金貨100枚でも良かったかもしれない。

でもまぁ、それはそれだ。

「うちとしてはその金額で買い取れるなら願ってもないが、さすがに安すぎると思うけどねぇ。」

あー、やっぱりそう思います?

「その金額であれば私個人で買い取らせて貰いたいぐらいですよ。」

「ちなみに幾らぐらいを想定していましたか?」

値段が分からないときは相手の予算を聞くに限る。

それで値を上げるのは恥ずかしいが、向こうがそれを了承するのであれば十分な交渉手段になるのだ。

先に予算を聞くって手もあるけどね。

「坊やは幾ら出すつもりだったんだい?」

「金貨150枚でも決して悪い取引ではないでしょう。この結晶がこれから我々にもたらす情報や利益を考えれば十分に元が取れる金額です。私個人で出すのはなかなかに難しいですが、魔術師ギルドであれば十分に可能でしょう。」

「私もそれぐらいだと思っていたね。」

金貨150枚、つまりは1.5億か。

まさにさっきの指の上に乗るあれと同じだな。

そんなものを俺はポケットから出してきたのか。

叶姉妹かよ。

「そこまでの高額を私個人がいただくのはさすがに・・・。」

1.5億円上げますといわれているようなものだ。

ほしいよ?

元の世界だったら喜んで貰うよ?

でもこの世界でこれから頑張ろうという状況でそんなお金をもらって、頑張れるほどメンタル強くないんですよ。

絶対どこかで甘える。

もちろんそれだけあれば俺の命は保障されるし、何の恐怖もなく仕事に当たれるだろう。

でも、それとこれは話が違う。

俺はニケさんを買い受けたいだけなんだ。

これは甘えだろうか。

何が正しいのか分からなくなってきた。

「御主人様、僭越ながら発言してもよろしいでしょうか。」

「どうしました、ユーリ。」

そんな時後ろに控えていたユーリが発言を求めてきた。

「私には商店の経営やお金のやり取りについて全く知識はありません。しかしながらお金をいただくというのはそんなに悪いことなのでしょうか。お金があれば御主人様の命は保障され、商店の先行きは安定します。また、ニケ様のようにお金で助ける事の出来る命があるのであればその方々の為に使う事も出来るのではないでしょうか。」

わかる。

ユーリの言っている事は至極もっともだ。

別にお金が悪いわけではない。

先方がそれだけ出すといっているのだからそれを断る理由はないはずだ。

わかっている。

わかっているんだけど、それを受け取ってはいけない気がするんだ。

どうしてかは分からない。

分からないが、そう思うんだよ。

「命の保障とは随分と物騒な話だね、なんだい借金でもこさえて命を狙われているのかい?」

「いえ、そういうわけではありません。私がこの世界に来たときに商店連合の定める目標に達しなければ命を差し出しても構わないという約束をしていまして、その目標の一つに納入金があるんです。確かにそちらが提示された金額で買い取って頂けるのであれば私としては非常に助かるのですが、自分で達成しなければならない目標を別のもので達成してしまうのはどうかという気持ちがありまして・・・。」

「つまりは自分で努力をせずに達成しては意味がない。そう思っているわけだね?」

「簡単に言えばそうなります。」

「ホント男って言う生き物は頭が固くて融通が利かなくてバカばっかりなんだね。お前さんのその頭でっかちも所詮は見てくれだけかい。」

随分と酷い言われようだ。

「やはり私のこの考えは間違っているんでしょうか。」

「間違っている間違っていないの問題じゃないよ。お前さんの横と後ろにいるのはなんだい?これからお前さんが命を賭して守っていかなければいけない人じゃないのかい?それを自分のくだらない拘りで手放す事になるかもしれない。そんな考えを良くできたもんだね。」

「フィリス様、シュウイチさんにはシュウイチさんなりに考えが有ってのことで・・・。」

「エミリアあんたは黙ってな。そんなくだらない拘りでうちのエミリアを悲しませるぐらいならさっさと別れてしまえばいいんだよ。坊や、あんたも良く覚えておきな!男のくだらない拘りなんてね、守るべき人の前ではさっさと捨ててしまわないといけないんだよ!」

ボッコボコのフルボッコである。

確かに今までの俺だったら別になんでも良かった。

自分ひとりの命なんだから別にどうなっても構わない。

そう思っていた。

だが俺には守らなければならない人がいる。

守っていかなければいけない従業員が居る。

それを悲しませる可能性がある選択肢を何故選ぼうとしているのか。

確かにその通りだ。

メンタルはボロボロにされたが、なにか道が見えた気がした。

ではどうするべきか。

「ではその金額で買い取って頂くという事で・・・。」

「バカ言うんじゃないよ!ミドの坊やならまだしもなんでうちがそんな高額で買い取らないといけないんだい。いくら価値があるとはいえ魔術師ギルドとしてはただの研究対象。王国の宝物庫に貴金属としておくために買い取るならさっきの金額だが、研究対象にそれだけの金額出せるわけないじゃないか。」

じゃあどうすればいいんだってばよ!

安すぎず高すぎずの場所を導き出すしかないのだろうか。

でも出すのは向こうだし。

安すぎるとまた怒られるし。

もうわけが分からない。

俺だってもらえるならいくらでも欲しいよ!

「ではこういうのはどうでしょうか。今回はシュウイチさんの提示した金額だけ納めていただいて、残りの然るべき金額は後々お支払いいただくという事で。」

「エミリアどういう事だい?」

「私たちに今必要な金額はニケさんを買い受けるためのお金です。それさえいただけるのであれば支払いが遅くなろうが何の問題もありません。しかし、フィリス様の言うようにわざわざ支払って頂ける金額をもらわないというのももったいない話です。そこで、いくらになるかは分かりませんが残金は後でいただくようにすれば今時点での話はまとまるのではないでしょうか。ギルドの出せる金額によっても残金も変わっていきますのでここで精霊結晶がいくらだと答えを出すのは時期尚早だと思います。」

なるほど。

精霊結晶が金貨15枚よりも高い金額になるのは間違いないんだから、その分だけ先に支払って貰って残りを残金という形で支払って貰うようにするのか。

通常全額支払いが商売の基本だが、相手が大きい組織なだけに夜逃げする事もできないし安心して支払いを待つことが出来るわけだな。

「つまり、ギルドとしても大金を一気に動かす必要はありませんし、どの金額が適正かギルド内で話し合っていただいてから決めていただいても構わないという事ですね。」

さすがエミリア、頼りになります。

そこまでは全く思いつかなかったよ。

「エミリア、やっぱりそんな男の所じゃなくて私がもっといい縁談を探してやってもいいんだよ?」

「私はシュウイチさんの所以外には行きません、お気持ちだけ受け取っておきます。」

「聞いたかい?あんたこれだけいい嫁さんをもらっているんだから泣かせたら承知しないからね。」

「肝に銘じておきます。」

神様仏様エミリア様だ。

「ありがとうございます、エミリア。」

「いつもシュウイチさんに頑張って貰っていますから。それを助けるのが私の仕事です。」

「これで御主人様はリア奥様に頭が上がりませんね。」

「まったくです。」

足を向けて寝れないとはよく言ったものだ。

本当にそうなりそうだよ。

「ではエミリアの案を受け入れていただくという事でよろしいでしょうか。」

「受け入れるも何もそれが一番だろうね。」

「私なんかがでしゃばってしまい申し訳ありませんでした。」

「とんでもない、エミリアが助け舟を出してくれたお陰でこうして無事に話がまとまりました。」

「精霊結晶については後日うちから支払い金額を提示させてもらうよ。」

「いつになっても構いませんのでどうぞ宜しくお願いいたします。」

自分でなんでも交渉して上手くやれると思っていたが、所詮は自惚れだったという事だ。

他力本願100%男はやはり人に助けて貰わないといけないらしい。

『異世界精霊結晶交渉戦』

世紀の一戦はまさかの第三者による両者テクニカルノックアウトで幕を閉じるのであった。
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