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第五章
今までの自分と違う自分
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結局あの分厚い雲は夕方までにはすっかり晴れて、眩しい西日が商店の中を照らし始めた。
名前も知らない先ほどの彼はまだ宿の一室で横になっている。
セレンさんが様子を見に行ってくれているが良く眠っているそうだ。
仮に目覚めたとしても今からサンサトローズまでもどるのは難しそうだし、このまま宿泊してもらって明日一緒にサンサトローズまで送ろうという事で話はまとまった。
その後どうするかは彼の人生だし俺達の知るところではない。
冒険者が向いていないという事は今日で嫌というほど分かっただろう。
他の職を探すしかないだろうな。
しかし何時目覚めるんだろうか。
「彼はまだ起きないようですね。」
「先程見に行った時はぐっすり眠っておられました。」
「昨日からここに向かって歩いてきたそうですし、休みなくダンジョンに潜ってあんな目に遭いましたから当分は目覚めないかもしれません。」
明日の朝一には出発したいから出来れば夕食の頃には起きてきて貰いたいんだけどなぁ
まぁ仕方ないか。
「店番は私がしておきますので、明日の予定は変えませんので各自今のうちに準備を済ませておいてください。」
「ではお言葉に甘えて準備してきますね。」
「御主人様宜しくお願い致します。」
俺は持っていく荷物も少ないし寝る前で大丈夫だろう。
一泊するだけだし冒険に行くわけじゃないから身軽で助かる。
けど冒険者はそうは行かないんだよな。
野宿するならばそれなりの道具が要るし、ダンジョンに潜るにしても補助道具の数々が必要になる。
それを考えると身軽な格好で町を行き来するっていうのは普通はありえない事なのかもしれない。
せっかくサンサトローズに行くんだからここの名産を売りに行くとかすればいいんだろうけど、残念ながら村にもここにも話題になるような名産品はない。
あるとしたらユーリが仕留めたモフラビットの干し肉ぐらいだろうか。
けど、ありふれているから売れそうもないしなぁ。
ネムリが村で買い付けていたような狼の毛皮とかそういうものじゃないと駄目だろう。
今後村を大きくしていくのなら、そういう名産品というものを開発する必要があるかもしれない。
村を大きくするって思ったよりも大変だな。
「私が見ておきますのでイナバ様も準備に行かれて大丈夫ですよ?」
「いくらお客様が少ないとはいえ商店を無人にするわけには行きませんから。それに、彼が起きたときに説明する人が必要ですので。」
「怪我はそんなに酷くありませんでしたので、おそらく疲れが出ただけだと思います。」
「先程は、様子見だけではなく手当てまでしていただいてありがとうございました。こういったことは経験がなくて。」
ダンジョンの中でのように適当な手当ては出来るが、しっかり包帯を巻いたりとかは全く出来ない。
その点セレンさんは村での経験があるのか手馴れた感じで彼の体に包帯を巻いてくれた。
非常に助かります。
「村で怪我人が出たときは私のような人間が治療する事になっていましたから。」
「この前のアリ騒動のときもこうしてみんなを治療してくださったんですね。」
「あの時はどうなる事かと思いましたけど、あの方も私のようにイナバ様に助けられたのですね。」
「そんな大層な事はしていませんよ。自分は自分のしたい事をしただけです。」
「ですがそのお陰で今こうしてお話が出来ます。あの方もきっとイナバ様に感謝されると思いますよ。」
感謝してほしくて助けたわけではない。
ただ見ていられなかっただけだ。
それに、誰かに感謝されるというのはむず痒くてなかなか慣れないんだよな。
「雨も上がりましたし私は迎えがありましたら帰らせていただきますが、あの方はいかがされますか?」
「さすがに家に呼ぶわけにも行きませんので私がここに残ります。今後冒険者が増えてきたときも同様に宿直するつもりです。」
「ご迷惑でなければ私が残っても構いませんが。」
「セレンさんの身に何かあるといけませんのでお気持ちだけ受け取っておきます。」
美人の女将さんがいる宿は繁盛するそうだが、素行も分からない冒険者も来るだろうしそんな場所に一人で泊めるわけにはいかない。
ウェリスと二人で住み込んでくれるとかなら話は別だけどね。
でもさすがにそれは当分無理そうだなぁ。
「心配してくださって有難うございます。」
「もしセレンさん一人にしたら私だけじゃなくほかの人間も心配で寝られなくなってしまいますよ。」
誰がとはいわないけどね。
「イナバ様はお世辞がお上手ですね、お茶入れてきます。」
お世辞じゃなくて本心なんですが・・・。
ウェリスがいなかったとして、あのお尻にときめかない男がいるだろうか、いやいない。
でも他人の奥さん候補に手を出すほど飢えているわけではないので手は出しませんよ。
とかなんとか考えていたときだった。
二階のドアが開く音がして上を向くと、部屋で寝ていたはずの彼が部屋から出てきたところだった。
状況が良くのみこめていないのか周りをきょろきょろと見渡している。
「目が覚めましたか。よろしければ下でお茶などいかがですか?」
「・・・貴方は先ほどの!」
どうやら自分がどこにいるのか把握したらしい。
ゆっくりとした足取りで階段を下りてくる。
「どうぞこちらへお座りください、今お茶を入れますから。」
「先ほどは危ないところを助けて頂き有難うござした。その、魔物に追われているところまでは覚えているのですがその先は良く覚えていなくて・・・。」
俺の近くまで来ると膝に頭が着くんじゃないかってぐらいに深くお辞儀をする。
「どうぞ顔を上げてください、そのあたりも含めてご説明させて頂きますから。」
「そんな、命を助けて貰ったばかりかお茶までご馳走になるなんて。」
「深い傷ではありませんが無事ではありません、今日はゆっくりと休まれるのがいいでしょう。」
「ですが、ここに宿泊するお金もなくて・・・。」
「助けた人からお金をとろうなんて思ってはいませんよ。それが目当てで助けたのではありません、私の好きで助けただけですから。」
怪我人からお金なんて取ろうものならエミリアになんて言われるか。
いや、まずセレンさんに怒られてしまうだろうな。
お茶出して貰えなさそう。
「ちょうど起きてこられたのですね。」
「彼の分も一緒にお願いします。」
「お口に合えばいいですけど。」
セレンさんのお茶を不味いと言えば怪我人でも放り出すつもりではいる。
容赦はしない。
良い香りの香茶のようだ、茶葉を変えたのかな。
「いい香りですね、それに味もいつもと違います。」
「良い茶葉をいただいたので今日だけ特別です。」
「あの、とっても美味しいです!ありがとうございます。」
よし、残留決定。
さてどこから始めようかな。
まずは自己紹介からかな。
「改めまして当シュリアン商店の店主をしておりますイナバシュウイチと申します。それと、こちらにいるのが宿の一切を任せているセレンさんです。」
「セレンです、今日はご無事で何よりでした。」
「ナーフと言います、助けていただき本当にありがとうございました。」
ナーフというのか。
なんていうか弱体化しそうな名前だな。
って失礼か。
「先ほども言いましたように、助けたのは私の気まぐれですので気になさらないでください。今回ナーフさんを助けたのもたまたまダンジョンの様子を見ていたから助けられただけで、普段は救助を行う事はありません。」
「ですが。気にしないでくださいというわけにはいきません!」
「失礼ながらあなたは冒険者としてあまりにも未熟です。サンサトローズでここを薦められたという事ですが今後貴方が冒険者を続けていくことは難しいでしょう。魔物に止めをささず、無計画にダンジョンの中を進んで、結果として命を危険にさらしている。こういうのは何ですが向いていないように思います。」
きつい様だがこれが本音だ。
冒険者という職業を続けていくにはあまりにも未熟であり、適性がないと言える。
ダンジョンに潜るというのは慎重さや計画性が非常に重要でだ。
もちろん何も教えられなかったという現実もあるが、それでも魔物が出る場所を進んでいくにはあまりにも無謀すぎる。
「僕が冒険者に向いていない・・・ですか。」
「冒険者とは命と引き換えに一攫千金を狙う職業です。命を捨てる覚悟があり、かつ命を無駄にしない行動を求められる。細心の注意を払いながら自分の命を担保に財宝を狙う狩人でしょうか。貴方はそのどれにも当てはまりませんし、覚悟もありません。冒険者になるというのは簡単ですが、冒険者で生きていくというのは非常に難しい事なんです。」
「ですが、ギルドでは冒険者になれば食べ物に困らないって・・・。」
「それは冒険者で成功すればの話です。一番弱いモフラビットも倒せないような貴方にそれを成し遂げられるとは到底思えません。」
「ここで修練を積めばきっと・・・!」
「修練を積みに入って私のような商人に命を助けられている。これが現実なんですよ。」
彼にとっては死ねと言われているようなものだろう。
生きていくために冒険者になり、その冒険者をやめろと言われる。
じゃあどうやって生きていけばいいのか。
そう思っているに違いない。
だがそれを決めるのは彼であって俺ではない。
どうするのかは彼次第だ。
俺に言われてもなおダンジョンに潜るというのであればそれを止める理由はないからね。
「では僕はどうしたら・・・。」
「このまま冒険者を続けるというのであれば私は止めませんが、次助けることはないでしょう。魔物に追われ背中に受けた傷よりももっと深い傷を負い、最後には命を刈り取られる。それを承知の上で潜るというのであれば私は引き止めません。どうするかを決めるのはナーフさんであって私ではありません、お好きになさってください。」
「・・・イナバさんは冒険者を辞めるべきだと思っておられるんですね。」
「あくまで私の意見ですが、そう思っています。食べていくことは大変ですが仕事は選ぶべきだと思いますね。」
「住んでいた村が飢饉に襲われ、生きていくためにサンサトローズに出ました。最初は橋の修繕をする仕事に就いたのですが大雨で橋を流されて棟梁が亡くなり、次の職として紹介された靴の工房では同業者の策略に遭い親方が廃業、その後いくつもギルドをめぐりましたが見つからず、最後に冒険者ギルドに薦められた場所で死ぬところでした。どうして私はこうも運が悪いのでしょうか。」
さすが罠にハマりまくる『悪運』極振りステの男、不運すぎる。
一瞬ここで働きますかと言いそうになったが、それを口に出せば俺は廃業して首を差し出すことになるだろう。
ここは甘いことをいう場ではない。
俺の命にもかかわってしまう。
「それはお気の毒に・・・。」
あまりの話にセレンさんが同情してこちらを見るがその誘惑に負けるわけにはいかない。
気を強く持て、俺!
「自分の不運を運命として受け入れるのか、それとも試練だと思って戦うかは貴方の自由です。一度自分に何ができるかを考えてみるべきではないでしょうか。」
「何ができるか、ですか。」
「あの時少しでも助けが遅かったらあなたは死んでいました。ですが私に助けられて今こうやって生きています。一度自分は死んだと思って新しい自分を探されてもいいかもしれませんね。」
随分と偉そうに言っているが、これは俺にも言えることだ。
俺はエミリアと知り合ったことで、元の世界にいた自分を捨てることができた。
この世界で新しい命を受けたつもりで商店の仕事を受けたつもりだ。
え、ハーレム計画が理由だったはずだって?
ハーレム計画もきっかけの一つで間違いない。
いろんな考えの答えとして、この世界で自分が今こうしていることができる。
新しい自分になるという事は昔の自分を断ち切るという事だ。
ブラック企業に潰されるだけの人生を捨てて、自分の命を担保にこの世界で生きていくことを決めた。
それが彼にもできるのであれば、きっと新しい自分を見つけることができるだろう。
「新しい自分を見つける・・・。」
「不運に見舞われてばかりのナーフさんはさっきダンジョンで死にました。今ここに居るのは新しいナーフさんなのかもしれませんね。」
「あの時、僕は死んでいたはずだったんですよね。」
「背中の傷がもっと深ければそうなっていたでしょう。そうならなかったのは冒険者ギルドが好意で貸してくれた防具のおかげですし、ここに来るまでに見つけた薬草が大量にあったおかげですし、ダンジョンに潜る前にここに立ち寄ったおかげかもしれません。いくつもの幸運が今の貴方を作り上げている。それだけでも、今までの不運なナーフさんとは違うと思いませんか?」
「・・・不運ばかりの今までとは確かに違います。」
今までの自分だったらあの時死んでいたはずだ。
だがそうならなかった。
そうならなかったのは自分が変わったから。
随分と無理やりな理屈だが、それぐらい強引な考えの方が今の彼にはいいかもしれないな。
「でしたらもうナーフさんは変わったんです。今までの自分はもういない、今ここに居るのは新しいナーフさんです。違いますか?」
ガ〇ダムとニューガン〇ダムは全くの別物だ。
それぐらいの違いがあるかはわからないが、ニューナーフだと思い込めばきっとそうなる。
新しい弱体化じゃないことだけを祈るよ。
「今すぐには割り切れません。」
「今すぐにすべてを切り替える必要はありません、少しずつでいいんです。」
「そうですよ、今日は大変な事があったばかりなんですからゆっくり休んでください。あとで美味しい食事をご準備しますから。」
「そうそう、セレンさんの美味しいご飯を食べればすぐに元気になれますよ。」
セレンさんの愛情たっぷりご飯を食べればすぐに元気になるに違いない。
「本当にいいんですか?」
「先ほども言いましたようにお金が欲しくて助けたわけではありません、ただの気まぐれですよ。」
「何もお返しできませんが、どうかよろしくお願いします。」
ここに来た時ど同様に机に額がつくんじゃないかってぐらいに深く頭を下げるナーフさん。
いや、ここにるのはNEWナーフさんか。
ややこしいな。
「そうと決まれば早速とびきり美味しいご飯作りますね!」
「楽しみにしています。」
「よろしくおねがいします!」
元気があってよろしい。
「今日はここに泊まっていただきますが、私達は明日の早朝にサンサトローズに行かなければなりません。宿も閉めるつもりなのでよろしければ一緒に行きますか?」
「泊めていただくだけでなく送ってまでいただくなんて・・・本当にどうお礼を言えばいいのか。何かお返しできるものがあればいいのですが、本当に何もないんです。」
「ですからお返しなんていりませんよ。」
「そういうわけにはいきません。新しい自分として一生かかっても恩返しさせていただきます!」
一生って。
大げさすぎるのではないだろうか。
鶴の恩返しならぬナーフの恩返しか。
いかん、商店が弱体化してしまう。
いやまてよ、NEWナーフだから強化かもしれない。
でもさすがに一生恩返しされるのは気が引けるなぁ。
「それなら、こちらに来ることがあれば薬草などを持ってきてもらえますか?」
「薬草ですか?」
「森であれだけの薬草を集めるのはなかなかできる事ではありません。仕事がら薬草の類はいくらでもほしいところですので、持ってきていただければ買い取らせていただきます。」
「そんなことでよければいくらでも差し上げます!」
「それはお断りします。労働には相応の対価をお支払いするべきです。ですので他の方と同じく買い取らせていただきます。」
そう、彼が持ってくる薬草を買い取れば彼は現金収入を得ることができるし、こちらとしても商店連合から買い付けるよりも安く買うことができる。
両者win-winの関係を築けるじゃないか。
我ながらナイスアイディア。
GJ俺!
ダンジョンの性質上薬草類の消費は激しい。
安く供給してもらえるのであれば願ったりかなったりだ。
「薬草の売買には資格がいると聞きましたが・・・。」
あれ、そうなの?
それは知らなかったなぁ。
やばいどうしよう。
助けてエミリモーン!
「そういう事でしたら冒険者ギルドに行って売買証明書を発行してもらえば大丈夫ですよ。」
「売買証明書ですか?」
「冒険者の皆さんが魔物から得た物を売買するための証明書です。通常商いを行うには商人ギルド等の資格が必要となりますが、冒険者の皆さんはそれで商いをされるのではなくて一時的な収入として売買をされるので、資格の代わりに冒険者ギルドが証明書を発行しています。この人は商いの為ではなく冒険の為に道具を売買しているという証明ですね。」
ナイスタイミングでエミリア登場。
頼りになりますエミリモン。
「という事ですので、明日サンサトローズに着きましたら一緒に冒険者ギルドに行くとしましょう。」
「ご一緒に来てくださるのですか?」
「少々お話ししたい内容もありますから。」
冒険者を紹介してくれたことへの感謝と、紹介方法へのクレームを言いにね。
冒険者になる覚悟もないナーフさんのような人間がこれ以上増えないためにも一度ガツンと文句を言っておかなければならない。
これからは冒険者ギルドとも仲良くしておかなければならないし、そういう意味でも一度お互いの立場をはっきりさせておくべきだ。
何でもかんでも送り込めばいいと思ってもらっては困る。
それに今回の件で冒険者ギルドに恩を売るいい機会だしね。
「ではよろしくお願いします。」
「そうと決まれば今日はしっかりご飯を食べてゆっくり休んでください。明日は早いですよ。」
「早起きは得意なんで任せてください!」
元気でよろしい。
こうしてダンジョン初の冒険者は無事に冒険者を辞める事になったワケだ。
冒険者を増やそうとしてるのに結果として減らすことになってしまったが、まぁそれは成り行きという事で。
人の命が助かったと思えばいいだろう。
新しい人生を歩むきっかけになったのがこのダンジョンというわけだ。
という事は彼は俺と同じくこのダンジョンに新しい人生を作ってもらった同士という事になるのか。
今後ともご縁が続くみたいだし、どうぞよろしくお願いします。
ただどうか、どうか、不運だけは持ってきませんように!
俺の命に関わるのでそこんとこよろしくお願いしますNEWナーフさん!
幸運はいくら持ってきてもかまわないので。
これからよろしくおねがいします。
さぁ明日はサンサトローズへ出発だ!
名前も知らない先ほどの彼はまだ宿の一室で横になっている。
セレンさんが様子を見に行ってくれているが良く眠っているそうだ。
仮に目覚めたとしても今からサンサトローズまでもどるのは難しそうだし、このまま宿泊してもらって明日一緒にサンサトローズまで送ろうという事で話はまとまった。
その後どうするかは彼の人生だし俺達の知るところではない。
冒険者が向いていないという事は今日で嫌というほど分かっただろう。
他の職を探すしかないだろうな。
しかし何時目覚めるんだろうか。
「彼はまだ起きないようですね。」
「先程見に行った時はぐっすり眠っておられました。」
「昨日からここに向かって歩いてきたそうですし、休みなくダンジョンに潜ってあんな目に遭いましたから当分は目覚めないかもしれません。」
明日の朝一には出発したいから出来れば夕食の頃には起きてきて貰いたいんだけどなぁ
まぁ仕方ないか。
「店番は私がしておきますので、明日の予定は変えませんので各自今のうちに準備を済ませておいてください。」
「ではお言葉に甘えて準備してきますね。」
「御主人様宜しくお願い致します。」
俺は持っていく荷物も少ないし寝る前で大丈夫だろう。
一泊するだけだし冒険に行くわけじゃないから身軽で助かる。
けど冒険者はそうは行かないんだよな。
野宿するならばそれなりの道具が要るし、ダンジョンに潜るにしても補助道具の数々が必要になる。
それを考えると身軽な格好で町を行き来するっていうのは普通はありえない事なのかもしれない。
せっかくサンサトローズに行くんだからここの名産を売りに行くとかすればいいんだろうけど、残念ながら村にもここにも話題になるような名産品はない。
あるとしたらユーリが仕留めたモフラビットの干し肉ぐらいだろうか。
けど、ありふれているから売れそうもないしなぁ。
ネムリが村で買い付けていたような狼の毛皮とかそういうものじゃないと駄目だろう。
今後村を大きくしていくのなら、そういう名産品というものを開発する必要があるかもしれない。
村を大きくするって思ったよりも大変だな。
「私が見ておきますのでイナバ様も準備に行かれて大丈夫ですよ?」
「いくらお客様が少ないとはいえ商店を無人にするわけには行きませんから。それに、彼が起きたときに説明する人が必要ですので。」
「怪我はそんなに酷くありませんでしたので、おそらく疲れが出ただけだと思います。」
「先程は、様子見だけではなく手当てまでしていただいてありがとうございました。こういったことは経験がなくて。」
ダンジョンの中でのように適当な手当ては出来るが、しっかり包帯を巻いたりとかは全く出来ない。
その点セレンさんは村での経験があるのか手馴れた感じで彼の体に包帯を巻いてくれた。
非常に助かります。
「村で怪我人が出たときは私のような人間が治療する事になっていましたから。」
「この前のアリ騒動のときもこうしてみんなを治療してくださったんですね。」
「あの時はどうなる事かと思いましたけど、あの方も私のようにイナバ様に助けられたのですね。」
「そんな大層な事はしていませんよ。自分は自分のしたい事をしただけです。」
「ですがそのお陰で今こうしてお話が出来ます。あの方もきっとイナバ様に感謝されると思いますよ。」
感謝してほしくて助けたわけではない。
ただ見ていられなかっただけだ。
それに、誰かに感謝されるというのはむず痒くてなかなか慣れないんだよな。
「雨も上がりましたし私は迎えがありましたら帰らせていただきますが、あの方はいかがされますか?」
「さすがに家に呼ぶわけにも行きませんので私がここに残ります。今後冒険者が増えてきたときも同様に宿直するつもりです。」
「ご迷惑でなければ私が残っても構いませんが。」
「セレンさんの身に何かあるといけませんのでお気持ちだけ受け取っておきます。」
美人の女将さんがいる宿は繁盛するそうだが、素行も分からない冒険者も来るだろうしそんな場所に一人で泊めるわけにはいかない。
ウェリスと二人で住み込んでくれるとかなら話は別だけどね。
でもさすがにそれは当分無理そうだなぁ。
「心配してくださって有難うございます。」
「もしセレンさん一人にしたら私だけじゃなくほかの人間も心配で寝られなくなってしまいますよ。」
誰がとはいわないけどね。
「イナバ様はお世辞がお上手ですね、お茶入れてきます。」
お世辞じゃなくて本心なんですが・・・。
ウェリスがいなかったとして、あのお尻にときめかない男がいるだろうか、いやいない。
でも他人の奥さん候補に手を出すほど飢えているわけではないので手は出しませんよ。
とかなんとか考えていたときだった。
二階のドアが開く音がして上を向くと、部屋で寝ていたはずの彼が部屋から出てきたところだった。
状況が良くのみこめていないのか周りをきょろきょろと見渡している。
「目が覚めましたか。よろしければ下でお茶などいかがですか?」
「・・・貴方は先ほどの!」
どうやら自分がどこにいるのか把握したらしい。
ゆっくりとした足取りで階段を下りてくる。
「どうぞこちらへお座りください、今お茶を入れますから。」
「先ほどは危ないところを助けて頂き有難うござした。その、魔物に追われているところまでは覚えているのですがその先は良く覚えていなくて・・・。」
俺の近くまで来ると膝に頭が着くんじゃないかってぐらいに深くお辞儀をする。
「どうぞ顔を上げてください、そのあたりも含めてご説明させて頂きますから。」
「そんな、命を助けて貰ったばかりかお茶までご馳走になるなんて。」
「深い傷ではありませんが無事ではありません、今日はゆっくりと休まれるのがいいでしょう。」
「ですが、ここに宿泊するお金もなくて・・・。」
「助けた人からお金をとろうなんて思ってはいませんよ。それが目当てで助けたのではありません、私の好きで助けただけですから。」
怪我人からお金なんて取ろうものならエミリアになんて言われるか。
いや、まずセレンさんに怒られてしまうだろうな。
お茶出して貰えなさそう。
「ちょうど起きてこられたのですね。」
「彼の分も一緒にお願いします。」
「お口に合えばいいですけど。」
セレンさんのお茶を不味いと言えば怪我人でも放り出すつもりではいる。
容赦はしない。
良い香りの香茶のようだ、茶葉を変えたのかな。
「いい香りですね、それに味もいつもと違います。」
「良い茶葉をいただいたので今日だけ特別です。」
「あの、とっても美味しいです!ありがとうございます。」
よし、残留決定。
さてどこから始めようかな。
まずは自己紹介からかな。
「改めまして当シュリアン商店の店主をしておりますイナバシュウイチと申します。それと、こちらにいるのが宿の一切を任せているセレンさんです。」
「セレンです、今日はご無事で何よりでした。」
「ナーフと言います、助けていただき本当にありがとうございました。」
ナーフというのか。
なんていうか弱体化しそうな名前だな。
って失礼か。
「先ほども言いましたように、助けたのは私の気まぐれですので気になさらないでください。今回ナーフさんを助けたのもたまたまダンジョンの様子を見ていたから助けられただけで、普段は救助を行う事はありません。」
「ですが。気にしないでくださいというわけにはいきません!」
「失礼ながらあなたは冒険者としてあまりにも未熟です。サンサトローズでここを薦められたという事ですが今後貴方が冒険者を続けていくことは難しいでしょう。魔物に止めをささず、無計画にダンジョンの中を進んで、結果として命を危険にさらしている。こういうのは何ですが向いていないように思います。」
きつい様だがこれが本音だ。
冒険者という職業を続けていくにはあまりにも未熟であり、適性がないと言える。
ダンジョンに潜るというのは慎重さや計画性が非常に重要でだ。
もちろん何も教えられなかったという現実もあるが、それでも魔物が出る場所を進んでいくにはあまりにも無謀すぎる。
「僕が冒険者に向いていない・・・ですか。」
「冒険者とは命と引き換えに一攫千金を狙う職業です。命を捨てる覚悟があり、かつ命を無駄にしない行動を求められる。細心の注意を払いながら自分の命を担保に財宝を狙う狩人でしょうか。貴方はそのどれにも当てはまりませんし、覚悟もありません。冒険者になるというのは簡単ですが、冒険者で生きていくというのは非常に難しい事なんです。」
「ですが、ギルドでは冒険者になれば食べ物に困らないって・・・。」
「それは冒険者で成功すればの話です。一番弱いモフラビットも倒せないような貴方にそれを成し遂げられるとは到底思えません。」
「ここで修練を積めばきっと・・・!」
「修練を積みに入って私のような商人に命を助けられている。これが現実なんですよ。」
彼にとっては死ねと言われているようなものだろう。
生きていくために冒険者になり、その冒険者をやめろと言われる。
じゃあどうやって生きていけばいいのか。
そう思っているに違いない。
だがそれを決めるのは彼であって俺ではない。
どうするのかは彼次第だ。
俺に言われてもなおダンジョンに潜るというのであればそれを止める理由はないからね。
「では僕はどうしたら・・・。」
「このまま冒険者を続けるというのであれば私は止めませんが、次助けることはないでしょう。魔物に追われ背中に受けた傷よりももっと深い傷を負い、最後には命を刈り取られる。それを承知の上で潜るというのであれば私は引き止めません。どうするかを決めるのはナーフさんであって私ではありません、お好きになさってください。」
「・・・イナバさんは冒険者を辞めるべきだと思っておられるんですね。」
「あくまで私の意見ですが、そう思っています。食べていくことは大変ですが仕事は選ぶべきだと思いますね。」
「住んでいた村が飢饉に襲われ、生きていくためにサンサトローズに出ました。最初は橋の修繕をする仕事に就いたのですが大雨で橋を流されて棟梁が亡くなり、次の職として紹介された靴の工房では同業者の策略に遭い親方が廃業、その後いくつもギルドをめぐりましたが見つからず、最後に冒険者ギルドに薦められた場所で死ぬところでした。どうして私はこうも運が悪いのでしょうか。」
さすが罠にハマりまくる『悪運』極振りステの男、不運すぎる。
一瞬ここで働きますかと言いそうになったが、それを口に出せば俺は廃業して首を差し出すことになるだろう。
ここは甘いことをいう場ではない。
俺の命にもかかわってしまう。
「それはお気の毒に・・・。」
あまりの話にセレンさんが同情してこちらを見るがその誘惑に負けるわけにはいかない。
気を強く持て、俺!
「自分の不運を運命として受け入れるのか、それとも試練だと思って戦うかは貴方の自由です。一度自分に何ができるかを考えてみるべきではないでしょうか。」
「何ができるか、ですか。」
「あの時少しでも助けが遅かったらあなたは死んでいました。ですが私に助けられて今こうやって生きています。一度自分は死んだと思って新しい自分を探されてもいいかもしれませんね。」
随分と偉そうに言っているが、これは俺にも言えることだ。
俺はエミリアと知り合ったことで、元の世界にいた自分を捨てることができた。
この世界で新しい命を受けたつもりで商店の仕事を受けたつもりだ。
え、ハーレム計画が理由だったはずだって?
ハーレム計画もきっかけの一つで間違いない。
いろんな考えの答えとして、この世界で自分が今こうしていることができる。
新しい自分になるという事は昔の自分を断ち切るという事だ。
ブラック企業に潰されるだけの人生を捨てて、自分の命を担保にこの世界で生きていくことを決めた。
それが彼にもできるのであれば、きっと新しい自分を見つけることができるだろう。
「新しい自分を見つける・・・。」
「不運に見舞われてばかりのナーフさんはさっきダンジョンで死にました。今ここに居るのは新しいナーフさんなのかもしれませんね。」
「あの時、僕は死んでいたはずだったんですよね。」
「背中の傷がもっと深ければそうなっていたでしょう。そうならなかったのは冒険者ギルドが好意で貸してくれた防具のおかげですし、ここに来るまでに見つけた薬草が大量にあったおかげですし、ダンジョンに潜る前にここに立ち寄ったおかげかもしれません。いくつもの幸運が今の貴方を作り上げている。それだけでも、今までの不運なナーフさんとは違うと思いませんか?」
「・・・不運ばかりの今までとは確かに違います。」
今までの自分だったらあの時死んでいたはずだ。
だがそうならなかった。
そうならなかったのは自分が変わったから。
随分と無理やりな理屈だが、それぐらい強引な考えの方が今の彼にはいいかもしれないな。
「でしたらもうナーフさんは変わったんです。今までの自分はもういない、今ここに居るのは新しいナーフさんです。違いますか?」
ガ〇ダムとニューガン〇ダムは全くの別物だ。
それぐらいの違いがあるかはわからないが、ニューナーフだと思い込めばきっとそうなる。
新しい弱体化じゃないことだけを祈るよ。
「今すぐには割り切れません。」
「今すぐにすべてを切り替える必要はありません、少しずつでいいんです。」
「そうですよ、今日は大変な事があったばかりなんですからゆっくり休んでください。あとで美味しい食事をご準備しますから。」
「そうそう、セレンさんの美味しいご飯を食べればすぐに元気になれますよ。」
セレンさんの愛情たっぷりご飯を食べればすぐに元気になるに違いない。
「本当にいいんですか?」
「先ほども言いましたようにお金が欲しくて助けたわけではありません、ただの気まぐれですよ。」
「何もお返しできませんが、どうかよろしくお願いします。」
ここに来た時ど同様に机に額がつくんじゃないかってぐらいに深く頭を下げるナーフさん。
いや、ここにるのはNEWナーフさんか。
ややこしいな。
「そうと決まれば早速とびきり美味しいご飯作りますね!」
「楽しみにしています。」
「よろしくおねがいします!」
元気があってよろしい。
「今日はここに泊まっていただきますが、私達は明日の早朝にサンサトローズに行かなければなりません。宿も閉めるつもりなのでよろしければ一緒に行きますか?」
「泊めていただくだけでなく送ってまでいただくなんて・・・本当にどうお礼を言えばいいのか。何かお返しできるものがあればいいのですが、本当に何もないんです。」
「ですからお返しなんていりませんよ。」
「そういうわけにはいきません。新しい自分として一生かかっても恩返しさせていただきます!」
一生って。
大げさすぎるのではないだろうか。
鶴の恩返しならぬナーフの恩返しか。
いかん、商店が弱体化してしまう。
いやまてよ、NEWナーフだから強化かもしれない。
でもさすがに一生恩返しされるのは気が引けるなぁ。
「それなら、こちらに来ることがあれば薬草などを持ってきてもらえますか?」
「薬草ですか?」
「森であれだけの薬草を集めるのはなかなかできる事ではありません。仕事がら薬草の類はいくらでもほしいところですので、持ってきていただければ買い取らせていただきます。」
「そんなことでよければいくらでも差し上げます!」
「それはお断りします。労働には相応の対価をお支払いするべきです。ですので他の方と同じく買い取らせていただきます。」
そう、彼が持ってくる薬草を買い取れば彼は現金収入を得ることができるし、こちらとしても商店連合から買い付けるよりも安く買うことができる。
両者win-winの関係を築けるじゃないか。
我ながらナイスアイディア。
GJ俺!
ダンジョンの性質上薬草類の消費は激しい。
安く供給してもらえるのであれば願ったりかなったりだ。
「薬草の売買には資格がいると聞きましたが・・・。」
あれ、そうなの?
それは知らなかったなぁ。
やばいどうしよう。
助けてエミリモーン!
「そういう事でしたら冒険者ギルドに行って売買証明書を発行してもらえば大丈夫ですよ。」
「売買証明書ですか?」
「冒険者の皆さんが魔物から得た物を売買するための証明書です。通常商いを行うには商人ギルド等の資格が必要となりますが、冒険者の皆さんはそれで商いをされるのではなくて一時的な収入として売買をされるので、資格の代わりに冒険者ギルドが証明書を発行しています。この人は商いの為ではなく冒険の為に道具を売買しているという証明ですね。」
ナイスタイミングでエミリア登場。
頼りになりますエミリモン。
「という事ですので、明日サンサトローズに着きましたら一緒に冒険者ギルドに行くとしましょう。」
「ご一緒に来てくださるのですか?」
「少々お話ししたい内容もありますから。」
冒険者を紹介してくれたことへの感謝と、紹介方法へのクレームを言いにね。
冒険者になる覚悟もないナーフさんのような人間がこれ以上増えないためにも一度ガツンと文句を言っておかなければならない。
これからは冒険者ギルドとも仲良くしておかなければならないし、そういう意味でも一度お互いの立場をはっきりさせておくべきだ。
何でもかんでも送り込めばいいと思ってもらっては困る。
それに今回の件で冒険者ギルドに恩を売るいい機会だしね。
「ではよろしくお願いします。」
「そうと決まれば今日はしっかりご飯を食べてゆっくり休んでください。明日は早いですよ。」
「早起きは得意なんで任せてください!」
元気でよろしい。
こうしてダンジョン初の冒険者は無事に冒険者を辞める事になったワケだ。
冒険者を増やそうとしてるのに結果として減らすことになってしまったが、まぁそれは成り行きという事で。
人の命が助かったと思えばいいだろう。
新しい人生を歩むきっかけになったのがこのダンジョンというわけだ。
という事は彼は俺と同じくこのダンジョンに新しい人生を作ってもらった同士という事になるのか。
今後ともご縁が続くみたいだし、どうぞよろしくお願いします。
ただどうか、どうか、不運だけは持ってきませんように!
俺の命に関わるのでそこんとこよろしくお願いしますNEWナーフさん!
幸運はいくら持ってきてもかまわないので。
これからよろしくおねがいします。
さぁ明日はサンサトローズへ出発だ!
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