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第五章
ダンジョン攻略観察中
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知ったこっちゃないとはいうものの、気にならないわけではない。
できるのならここはひとまず穏便に引き返していただいて、初めての冒険者はそれなりに実力のある人にお願いしたいというかなんと言うか。
そもそも人を殺す可能性のあるダンジョンを運営しているのだからそんな甘いことを言っているのがおかしいんだけどね。
分かってはいるんだけど、ちょっとこの人はそれに当てはまらないというか。
ど素人過ぎるんだよな。
うん。
初心者冒険者に必要な物は何か。
それはずばり回復アイテムだ。
死にそうになっても最悪回復アイテムさえあれば、もう一度仕切り直したり逃げ帰ることだってできる。
いっぱい持って来たとは言っていたが、念には念を入れるべきだろう。
過剰に持ち込んで死ぬのならば、それこそもう俺の知るところではない。
この人に実力も運もなかったという事だ。
「初めてであれば回復アイテムを多めに持っていくことをお勧めしていますが、手持ちは大丈夫ですか?」
「ここに来る途中に薬草をたくさん摘んできましたので大丈夫だと思います!」
そう言って彼は大量の薬草をかばんから取り出した。
まさに摘んできたのだろう、泥がついているものも見受けられるが立派な薬草だ。
商店の商品を覚える中で一番最初に覚えたのがこの薬草だった。
見間違えるはずがない。
薬草もどきという雑草もあるのだが、あれは葉っぱの先っぽがギザギザになっているので案外見分けやすい。
彼が取り出したのは間違いなく薬草である。
イナバは鑑定スキルを覚えた!
とかなんとかゲームならウィンドウに表示されているんだろうな。
残念ながら俺には見えないけど。
「こちらのお茶をどうぞ。」
「ありがとうございます!」
それにしても元気いっぱいだな彼は。
エミリアの出してくれたお茶にも元気いっぱい返事をしている。
挨拶が出来るのはいいことだ。
育ちがしっかりしているのと、彼の性格も関係しているんだろう。
素直で人を疑うことを知らなさそうな感じだ。
擦れている感じは一切しない。
「それにしても随分とたくさん摘んでこられたんですね。」
「子供の頃から薬草を探すのだけは得意なんです。他の種類の薬草も見分けられる自信があります!」
確かにこの森にも薬草は自生しているが、それほど多くなかったはずだ。
それをこれだけの量発見できるというのはすごいことだと思うのだが。
「危なくなったら惜しむ事無くこれを使ってくださいね。」
「はい、逃げるのも得意なんで大丈夫です!」
本当かよ。
でもまぁ、一攫千金を狙ってやってくる冒険者の一人であることは変わりないし、それをとめる権利も俺にはない。
なんせそういう人間を相手に商売をしているんだ。
気持ちよく道具を買ってもらってダンジョンに挑んで貰わないとな。
こんな言い方するとこの先死ぬかもしれない奴からお金を巻き上げているみたいだけど、そこはほら、生きて帰る為の手助けをしているという事にしておこう。
彼は出されたお茶を一口飲むと深く息を吐き出した。
「本当はダンジョンに潜るのって怖かったんですけど、こうやって心配して貰って美味しいお茶も出して貰って元気が出ました。俺、頑張ってきます!」
「無理だけはしないでくださいね。」
「攻略が難しいと思いましたらより良い武器も置いていますからお買い求めください。」
ここでさりげなく営業スマイルをからめつつ宣伝するエミリアさん、さすがです!
「では、いってきます!」
そう言うと残りのお茶を流し込み、彼は立ち上がった。
そのまま扉の所まで行き、外套を羽織る。
と、外に出ようとしたところで彼がこちらを振り返った。
「あの、戻ってきたらまたここに来ていいですか?」
「道具の鑑定なども行っております、是非お立ち寄りください。」
死亡フラグみたいなもの立てるの止めてくれないかなぁ・・・。
俺、ダンジョンから戻ったらエミリアに美味しいお茶入れてもらうんだ。
うん、死ぬ奴だ。
「いってきます!」
そう言って彼はダンジョンに向かって行った。
その後、彼の行方を知る者は誰もいなかった。
って某ゲームオーバーみたいな台詞やめなさい!
「行ってしまわれましたね。」
「非常に不安が残りますが、彼も冒険者の端くれです彼を止める権利は私にはありません。」
「そうですねあの方がこの先どうなるかはあの人次第ですから。」
エミリアって結構ドライなのね。
いや違うな。
これが普通の反応なのか。
ダンジョンに潜るのは命知らずの冒険者だ。
彼らがダンジョンに入ることでダンジョンには魔力が溜まり、商店にはお金が落ちる。
生きて帰れば再びここに立ち寄り鑑定やアイテムを補充するだろう。
もし死んでしまっても彼らが持っていた物は我々に回収され、遺体はダンジョンのエサになる。
これがダンジョンの摂理だ。
そして、そのダンジョンで商売をしようとしている俺達の現実だ。
いちいち中に入る冒険者の命の心配などしている暇はない。
彼らはダンジョンのエサであると同時に俺達のエサでもある。
今から食べられる家畜に同情しながらお前は肉を食うのかって話だな。
よく分からないような良心に縋っているだけというわけか。
切り替えろ。
これが俺の歩むべき道だ。
人の命を糧にしてこれから商売していく者が通る道だ。
「サンサトローズで紹介されたと言っていましたから今後はこういう人が増えてくるかもしれません。腕試しに来る様な人達ですので商売のほうはまだ難しいかもしれませんが、そういう人相手の道具をそろえてもいいかもしれませんね。」
「そうですね。駆け出しの方々は最低限の装備しかありませんので、補助道具などを充実させてもいいかもしれません。」
「補助道具ですか。」
「ただダンジョンに潜るといっても武器と防具だけではやっていけません。暗いところを照らす松明であったり、素材を入れる袋であったり、中で食べる携帯食料や水などもそれに含まれます。」
なるほど。
ゲームの中だったら何時間篭っていても問題はないが、実際には空腹にもなるしのども渇く。
暗ければ先に進めないから松明はもちろん必須だ。
冒険に慣れてくるとそういった道具は自前で用意してくるだろうけど、初心者の場合はそうも行かない。
金銭的に余裕もないだろうし、少しずつそろえていくんだろう。
ト〇ネコでパンがなくて泣く泣く戻ったこともあったなぁ。
なるほど、食料というのは非常に重要になる。
ということは、だ。
初心者向けに必要最低限の補助道具のセットとか作れば儲かるんじゃない?
まとめて買うとお得ですとすれば、一個ずつ売れるよりも数を捌けるし売上も上がる。
多少の値引きは致し方ないが、売れないよりも売れるほうがマシだ。
「彼が戻ってくれば、このダンジョンは初心者でも潜ることができるという実績がつきます。それを聞いた別の初心者がやってくる可能性も上がるでしょう。そんな人を狙って補助道具の詰め合わせを作るのはどうでしょうか。」
「詰め合わせですか?」
「携帯食料と水、松明、袋、薬草をひとまとめにして少し安く販売するんです。そうすればまだ収入の少ない冒険者でも補助道具を準備することが出来ますし、我々も数を捌くことが出来る。中身を別の物に入れ替えられるようにしてもいいかもしれませんね、彼のように薬草をたくさん持参した冒険者は薬草の他に毒消しの実や麻痺消しハーブから選べるとか。」
「それはとても良い案だと思います!初心者に不要な物を売りつけるお店は多々ありますが、初心者の視線に立つ事でお店の信頼は上がりますし、遠くからでも来てくれるかもしれません。」
その通り。
初心者を味方につけて口コミを増やす事でダンジョンが遠方で不便だというイメージを払拭したい。
遠方だが初心者向けの装備もあり、ダンジョンもけして難しくない。
頑張れば踏破できるとわかれば足を伸ばす冒険者も出てくるだろう。
徒歩だと半日かかるとというのがネックだが、サンサトローズから徒歩で来た冒険者は宿泊費用を値引きしてもいい。
サンサトローズと村の間に定期便が出来れば最高なんだが、それを期待するにはまだまだ村が小さすぎる。
もっと大きくなれば利便性も上がり、そうなればダンジョンの利用者も増えることだろう。
こう考えれば村の開発は決して無駄にはならないというのが良く分かるな。
「その為には状況はどうあれ彼に生きて戻ってきて貰う必要があるんですけどね。」
「確かにそうですね。」
助けてやりたい気持ちはある。
だが、それをしてしまうのはダンジョン商店の根本を覆すことになる。
冒険者に優しくありつつ、非情でなければならない。
「そういえばユーリたちはまだ戻ってこないのでしょうか。」
「少し遅いですね。」
俺の変わりにユーリを呼びに行ってくれたセレンさんも帰ってこない。
強い雨ではあるが家はすぐ眼の前だ。
邪魔する物もないしたどり着けないなんて事はないと思うのだが・・・。
「遅くなりました。」
とかなんとか考えていると二人が裏口から入ってきた。
ほんの少しの距離だが外套はびしょびしょにぬれている。
よほど強い雨なのだろう。
「何かあったのかと心配してしまいました。」
「申し訳ありません、家の倉庫が雨漏りをしていまして修繕しておりました。」
「雨漏りですか。」
「ひどいわけではありませんが放置すると食材が痛んでしまいますので、大きな桶を置いて様子を見ています。雨が止み次第外からも修繕しようと思います。」
それは仕方がない。
むしろ感謝しなければならないところだ。
「家の中の事だけでなく納屋までとは、ユーリご苦労様でした。」
「当然のことをしたまでです。」
ダンジョン妖精のはずなのに家の整備まで出来るとは、さすがユーリです。
「帰ってきてすぐで申し訳ないのですが、地下の装置でダンジョンの状況を確認できましたよね。」
「侵入者の現在位置から罠の作動状況、魔物の状況についても全て確認できます。」
「今、一人の冒険者が中に入っているのですが念のためにどういう状況か確認しておこうと思いまして。」
「冒険者がこられたのですか。」
「開店して初めての冒険者です。どういう動きをするのか今後の参考までに確認しておきたくて。」
甘すぎるのは分かっている。
だがダンジョンの主としてせめて最初の一人ぐらいは見守ってやりたいじゃないか。
「そういうことでしたらオーブに触れるだけで表示されますので私でなくても確認できますよ。」
「ありがとうございます。」
さも気にしてませんという空気を出しながら足早にバックルームへと向かい、地下へのカラクリを起動させる。
階段を下り、オーブを起動させる前に階段横のロウソクをつけるのを忘れてはいけない。
換気の問題もあるしここの明かりも魔灯に替えようかなぁ。
隠し扉を閉じてオーブを起動させると足元におなじみのマップが表示された。
さっき向かったばかりだからまだ一階にいるだろう。
赤い表示は魔物で白い表示が罠か。
緑になっているのは・・・もしかして罠が起動した後の表示か、これは分かりやすい。
そしてあそこでゆっくり動いている青い表示がさっきの彼というわけだな。
現在1階層中盤手前。
ここは比較的魔物を少なくして罠を多めに配置しているんだけど、なんだろう明らかに緑色になっている罠が多い。
4割の白い表示が緑に変わっている感じだろうか。
え、あの狭い距離で4割も罠に引っかかれるってどれだけ運が悪いの?
わざとなの?
一応小手調べの落とし罠とかタライとか眠り罠とかがほとんどだけど、落とし罠の下にはこの前のトリモチのほかに刃物も設置しているし、タライもところどころ石が降ってくるようにしてるんだけど。
もしかしてバカなの?
あ、また罠に近づいている。
道の左端にプチ落とし罠を作ってあるんだが、それに引っかかると見事にコケル。
盛大にずっこける。
精神的ダメージと肉体的ダメージの両方を与えるための罠なんだけど、ダンジョンを広がって動く冒険者集団を想定した罠だから端っこに設置したんだよね。
したんだけどさ。
わざわざそこに向かっていく?
今真ん中歩いてたやん。
何でそっちに。
あ、引っかかった。
白い表示が緑に変わり罠の発動を確認した。
彼の動きが止まった。
おそらく盛大にこけて脛でもぶつけたんだろう。
いたいんだよね、弁慶の泣き所。
すごい確率で罠に引っかかってるな。
とあるネトゲでLUK極にステふりすると、絶対回避とか鷹が飛んでいく職業とかあったけどさ、彼の場合(BAD LUK)にステ全振りしてる感じだな。
もしかして今日の天気も彼がやってきたからだったりして。
帰った瞬間に晴れたら間違いなく彼だな。
それを確認するためには彼に生きてダンジョンから脱出して貰う必要があるんだけど・・・。
あ、動き出した。
とりあえずは無事のようだ。
さてこの先はどうだ。
お、モフラビットが一匹いるな。
ダンジョン初遭遇はモフラビットのようだ。
まぁそれほど強い魔物じゃないし、動きをよく見たらかわせる。
さぁどうする。
エンカウント、3.2.1.0.
モフラビットとエンカウントしました。
モフラビット真っ直ぐ彼に向かっていきます。
彼は動かない。
表示だけでは分からないが武器を準備しているのかもしれない。
モフラビット攻撃を開始。
お、避けた。
えらいえらい。
両者再び向かい合います。
今度は彼の攻撃か、モフラビットに向かっていきます。
おや、すれ違った。
表示が消えないという事はまだ倒せていないという事か。
モフラビットの動きが止まった。
おそらく攻撃があたり死んではいないが行動不能になったんだろう。
さぁとどめを刺すが良い。
これが人生初の魔物討伐だ。
ってあれ。
何で魔物から離れているの?
トドメは?
倒さないと位は上がんないんですけど。
おーい。
行っちゃった。
何故だ、何故倒さない。
わからん。
わからんが、先に進んでいる。
もしかしてダンジョンの仕組みとか位の話とか全く知らないとか?
いや、さすがにそれはないだろう。
俺よりも長い事この世界に住んでいるんだ、この世界の仕組みは住んでいる人が知っていて当たり前だろう。
お、次は先の部屋に魔物が二匹だ。
骸骨と芋虫か。
芋虫は動きは遅いがタフだし、骸骨は武器持って襲ってくる。
さぁどう対処する?
え、そのまま先に進むの?
部屋の中に魔物がいるのに気付いていないのか。
それとも恐れず突っ込んでいくのか。
随分と無用心に部屋に向かっていくなぁ。
あ、中に入った。
魔物に発見され、二匹いっぺんに彼へと向かっていく。
だから言わんこっちゃない。
複数匹との戦闘は各個撃破が基本だっていうのに。
あー・・・追い掛け回されております。
おそらく武器を振り回しているであろう骸骨に部屋中追い回されています。
時々芋虫まで追いつき、間一髪のところで芋虫の攻撃をよけている。
いや、通路に逃げようよ。
通路に逃げたら一匹ずつ戦えるよ。
骸骨の攻撃は大振りだから狭い通路だとさほど怖くないんだよ。
だめだ、完全に初心者だ。
間違いなく死ぬパターンだ。
ここは大人しく元来た道を戻ってダンジョンの外に・・・。
おや、部屋に向かって進んでくる魔物を発見。
あれは・・・さっき倒しそこなったモフラビットか!
万事休すじゃないか。
前門の骸骨+芋虫、後門の兎。
相手はただの初心者冒険者。
だめだ、もう見ていられない!
俺はオーブから手を離し大急ぎで地下室から飛び出す。
扉を閉める事も忘れ大急ぎで商店の外へと向かった。
「どうしましたシュウイチさん。」
エミリアが驚いて声を掛けてくるが返事をしている時間も惜しい。
外套も着けず雨の中ダンジョンへと走り出す。
間に合わないかもしれない。
間に合わないかもしれないがそれはこの際どうでもいい。
今はただ自分の本能に任せて動くだけだ。
唯一つ、彼を死なせるわけには行かない。
その思いだけで俺はダンジョンへと走り出していた。
残された時間は・・・。
できるのならここはひとまず穏便に引き返していただいて、初めての冒険者はそれなりに実力のある人にお願いしたいというかなんと言うか。
そもそも人を殺す可能性のあるダンジョンを運営しているのだからそんな甘いことを言っているのがおかしいんだけどね。
分かってはいるんだけど、ちょっとこの人はそれに当てはまらないというか。
ど素人過ぎるんだよな。
うん。
初心者冒険者に必要な物は何か。
それはずばり回復アイテムだ。
死にそうになっても最悪回復アイテムさえあれば、もう一度仕切り直したり逃げ帰ることだってできる。
いっぱい持って来たとは言っていたが、念には念を入れるべきだろう。
過剰に持ち込んで死ぬのならば、それこそもう俺の知るところではない。
この人に実力も運もなかったという事だ。
「初めてであれば回復アイテムを多めに持っていくことをお勧めしていますが、手持ちは大丈夫ですか?」
「ここに来る途中に薬草をたくさん摘んできましたので大丈夫だと思います!」
そう言って彼は大量の薬草をかばんから取り出した。
まさに摘んできたのだろう、泥がついているものも見受けられるが立派な薬草だ。
商店の商品を覚える中で一番最初に覚えたのがこの薬草だった。
見間違えるはずがない。
薬草もどきという雑草もあるのだが、あれは葉っぱの先っぽがギザギザになっているので案外見分けやすい。
彼が取り出したのは間違いなく薬草である。
イナバは鑑定スキルを覚えた!
とかなんとかゲームならウィンドウに表示されているんだろうな。
残念ながら俺には見えないけど。
「こちらのお茶をどうぞ。」
「ありがとうございます!」
それにしても元気いっぱいだな彼は。
エミリアの出してくれたお茶にも元気いっぱい返事をしている。
挨拶が出来るのはいいことだ。
育ちがしっかりしているのと、彼の性格も関係しているんだろう。
素直で人を疑うことを知らなさそうな感じだ。
擦れている感じは一切しない。
「それにしても随分とたくさん摘んでこられたんですね。」
「子供の頃から薬草を探すのだけは得意なんです。他の種類の薬草も見分けられる自信があります!」
確かにこの森にも薬草は自生しているが、それほど多くなかったはずだ。
それをこれだけの量発見できるというのはすごいことだと思うのだが。
「危なくなったら惜しむ事無くこれを使ってくださいね。」
「はい、逃げるのも得意なんで大丈夫です!」
本当かよ。
でもまぁ、一攫千金を狙ってやってくる冒険者の一人であることは変わりないし、それをとめる権利も俺にはない。
なんせそういう人間を相手に商売をしているんだ。
気持ちよく道具を買ってもらってダンジョンに挑んで貰わないとな。
こんな言い方するとこの先死ぬかもしれない奴からお金を巻き上げているみたいだけど、そこはほら、生きて帰る為の手助けをしているという事にしておこう。
彼は出されたお茶を一口飲むと深く息を吐き出した。
「本当はダンジョンに潜るのって怖かったんですけど、こうやって心配して貰って美味しいお茶も出して貰って元気が出ました。俺、頑張ってきます!」
「無理だけはしないでくださいね。」
「攻略が難しいと思いましたらより良い武器も置いていますからお買い求めください。」
ここでさりげなく営業スマイルをからめつつ宣伝するエミリアさん、さすがです!
「では、いってきます!」
そう言うと残りのお茶を流し込み、彼は立ち上がった。
そのまま扉の所まで行き、外套を羽織る。
と、外に出ようとしたところで彼がこちらを振り返った。
「あの、戻ってきたらまたここに来ていいですか?」
「道具の鑑定なども行っております、是非お立ち寄りください。」
死亡フラグみたいなもの立てるの止めてくれないかなぁ・・・。
俺、ダンジョンから戻ったらエミリアに美味しいお茶入れてもらうんだ。
うん、死ぬ奴だ。
「いってきます!」
そう言って彼はダンジョンに向かって行った。
その後、彼の行方を知る者は誰もいなかった。
って某ゲームオーバーみたいな台詞やめなさい!
「行ってしまわれましたね。」
「非常に不安が残りますが、彼も冒険者の端くれです彼を止める権利は私にはありません。」
「そうですねあの方がこの先どうなるかはあの人次第ですから。」
エミリアって結構ドライなのね。
いや違うな。
これが普通の反応なのか。
ダンジョンに潜るのは命知らずの冒険者だ。
彼らがダンジョンに入ることでダンジョンには魔力が溜まり、商店にはお金が落ちる。
生きて帰れば再びここに立ち寄り鑑定やアイテムを補充するだろう。
もし死んでしまっても彼らが持っていた物は我々に回収され、遺体はダンジョンのエサになる。
これがダンジョンの摂理だ。
そして、そのダンジョンで商売をしようとしている俺達の現実だ。
いちいち中に入る冒険者の命の心配などしている暇はない。
彼らはダンジョンのエサであると同時に俺達のエサでもある。
今から食べられる家畜に同情しながらお前は肉を食うのかって話だな。
よく分からないような良心に縋っているだけというわけか。
切り替えろ。
これが俺の歩むべき道だ。
人の命を糧にしてこれから商売していく者が通る道だ。
「サンサトローズで紹介されたと言っていましたから今後はこういう人が増えてくるかもしれません。腕試しに来る様な人達ですので商売のほうはまだ難しいかもしれませんが、そういう人相手の道具をそろえてもいいかもしれませんね。」
「そうですね。駆け出しの方々は最低限の装備しかありませんので、補助道具などを充実させてもいいかもしれません。」
「補助道具ですか。」
「ただダンジョンに潜るといっても武器と防具だけではやっていけません。暗いところを照らす松明であったり、素材を入れる袋であったり、中で食べる携帯食料や水などもそれに含まれます。」
なるほど。
ゲームの中だったら何時間篭っていても問題はないが、実際には空腹にもなるしのども渇く。
暗ければ先に進めないから松明はもちろん必須だ。
冒険に慣れてくるとそういった道具は自前で用意してくるだろうけど、初心者の場合はそうも行かない。
金銭的に余裕もないだろうし、少しずつそろえていくんだろう。
ト〇ネコでパンがなくて泣く泣く戻ったこともあったなぁ。
なるほど、食料というのは非常に重要になる。
ということは、だ。
初心者向けに必要最低限の補助道具のセットとか作れば儲かるんじゃない?
まとめて買うとお得ですとすれば、一個ずつ売れるよりも数を捌けるし売上も上がる。
多少の値引きは致し方ないが、売れないよりも売れるほうがマシだ。
「彼が戻ってくれば、このダンジョンは初心者でも潜ることができるという実績がつきます。それを聞いた別の初心者がやってくる可能性も上がるでしょう。そんな人を狙って補助道具の詰め合わせを作るのはどうでしょうか。」
「詰め合わせですか?」
「携帯食料と水、松明、袋、薬草をひとまとめにして少し安く販売するんです。そうすればまだ収入の少ない冒険者でも補助道具を準備することが出来ますし、我々も数を捌くことが出来る。中身を別の物に入れ替えられるようにしてもいいかもしれませんね、彼のように薬草をたくさん持参した冒険者は薬草の他に毒消しの実や麻痺消しハーブから選べるとか。」
「それはとても良い案だと思います!初心者に不要な物を売りつけるお店は多々ありますが、初心者の視線に立つ事でお店の信頼は上がりますし、遠くからでも来てくれるかもしれません。」
その通り。
初心者を味方につけて口コミを増やす事でダンジョンが遠方で不便だというイメージを払拭したい。
遠方だが初心者向けの装備もあり、ダンジョンもけして難しくない。
頑張れば踏破できるとわかれば足を伸ばす冒険者も出てくるだろう。
徒歩だと半日かかるとというのがネックだが、サンサトローズから徒歩で来た冒険者は宿泊費用を値引きしてもいい。
サンサトローズと村の間に定期便が出来れば最高なんだが、それを期待するにはまだまだ村が小さすぎる。
もっと大きくなれば利便性も上がり、そうなればダンジョンの利用者も増えることだろう。
こう考えれば村の開発は決して無駄にはならないというのが良く分かるな。
「その為には状況はどうあれ彼に生きて戻ってきて貰う必要があるんですけどね。」
「確かにそうですね。」
助けてやりたい気持ちはある。
だが、それをしてしまうのはダンジョン商店の根本を覆すことになる。
冒険者に優しくありつつ、非情でなければならない。
「そういえばユーリたちはまだ戻ってこないのでしょうか。」
「少し遅いですね。」
俺の変わりにユーリを呼びに行ってくれたセレンさんも帰ってこない。
強い雨ではあるが家はすぐ眼の前だ。
邪魔する物もないしたどり着けないなんて事はないと思うのだが・・・。
「遅くなりました。」
とかなんとか考えていると二人が裏口から入ってきた。
ほんの少しの距離だが外套はびしょびしょにぬれている。
よほど強い雨なのだろう。
「何かあったのかと心配してしまいました。」
「申し訳ありません、家の倉庫が雨漏りをしていまして修繕しておりました。」
「雨漏りですか。」
「ひどいわけではありませんが放置すると食材が痛んでしまいますので、大きな桶を置いて様子を見ています。雨が止み次第外からも修繕しようと思います。」
それは仕方がない。
むしろ感謝しなければならないところだ。
「家の中の事だけでなく納屋までとは、ユーリご苦労様でした。」
「当然のことをしたまでです。」
ダンジョン妖精のはずなのに家の整備まで出来るとは、さすがユーリです。
「帰ってきてすぐで申し訳ないのですが、地下の装置でダンジョンの状況を確認できましたよね。」
「侵入者の現在位置から罠の作動状況、魔物の状況についても全て確認できます。」
「今、一人の冒険者が中に入っているのですが念のためにどういう状況か確認しておこうと思いまして。」
「冒険者がこられたのですか。」
「開店して初めての冒険者です。どういう動きをするのか今後の参考までに確認しておきたくて。」
甘すぎるのは分かっている。
だがダンジョンの主としてせめて最初の一人ぐらいは見守ってやりたいじゃないか。
「そういうことでしたらオーブに触れるだけで表示されますので私でなくても確認できますよ。」
「ありがとうございます。」
さも気にしてませんという空気を出しながら足早にバックルームへと向かい、地下へのカラクリを起動させる。
階段を下り、オーブを起動させる前に階段横のロウソクをつけるのを忘れてはいけない。
換気の問題もあるしここの明かりも魔灯に替えようかなぁ。
隠し扉を閉じてオーブを起動させると足元におなじみのマップが表示された。
さっき向かったばかりだからまだ一階にいるだろう。
赤い表示は魔物で白い表示が罠か。
緑になっているのは・・・もしかして罠が起動した後の表示か、これは分かりやすい。
そしてあそこでゆっくり動いている青い表示がさっきの彼というわけだな。
現在1階層中盤手前。
ここは比較的魔物を少なくして罠を多めに配置しているんだけど、なんだろう明らかに緑色になっている罠が多い。
4割の白い表示が緑に変わっている感じだろうか。
え、あの狭い距離で4割も罠に引っかかれるってどれだけ運が悪いの?
わざとなの?
一応小手調べの落とし罠とかタライとか眠り罠とかがほとんどだけど、落とし罠の下にはこの前のトリモチのほかに刃物も設置しているし、タライもところどころ石が降ってくるようにしてるんだけど。
もしかしてバカなの?
あ、また罠に近づいている。
道の左端にプチ落とし罠を作ってあるんだが、それに引っかかると見事にコケル。
盛大にずっこける。
精神的ダメージと肉体的ダメージの両方を与えるための罠なんだけど、ダンジョンを広がって動く冒険者集団を想定した罠だから端っこに設置したんだよね。
したんだけどさ。
わざわざそこに向かっていく?
今真ん中歩いてたやん。
何でそっちに。
あ、引っかかった。
白い表示が緑に変わり罠の発動を確認した。
彼の動きが止まった。
おそらく盛大にこけて脛でもぶつけたんだろう。
いたいんだよね、弁慶の泣き所。
すごい確率で罠に引っかかってるな。
とあるネトゲでLUK極にステふりすると、絶対回避とか鷹が飛んでいく職業とかあったけどさ、彼の場合(BAD LUK)にステ全振りしてる感じだな。
もしかして今日の天気も彼がやってきたからだったりして。
帰った瞬間に晴れたら間違いなく彼だな。
それを確認するためには彼に生きてダンジョンから脱出して貰う必要があるんだけど・・・。
あ、動き出した。
とりあえずは無事のようだ。
さてこの先はどうだ。
お、モフラビットが一匹いるな。
ダンジョン初遭遇はモフラビットのようだ。
まぁそれほど強い魔物じゃないし、動きをよく見たらかわせる。
さぁどうする。
エンカウント、3.2.1.0.
モフラビットとエンカウントしました。
モフラビット真っ直ぐ彼に向かっていきます。
彼は動かない。
表示だけでは分からないが武器を準備しているのかもしれない。
モフラビット攻撃を開始。
お、避けた。
えらいえらい。
両者再び向かい合います。
今度は彼の攻撃か、モフラビットに向かっていきます。
おや、すれ違った。
表示が消えないという事はまだ倒せていないという事か。
モフラビットの動きが止まった。
おそらく攻撃があたり死んではいないが行動不能になったんだろう。
さぁとどめを刺すが良い。
これが人生初の魔物討伐だ。
ってあれ。
何で魔物から離れているの?
トドメは?
倒さないと位は上がんないんですけど。
おーい。
行っちゃった。
何故だ、何故倒さない。
わからん。
わからんが、先に進んでいる。
もしかしてダンジョンの仕組みとか位の話とか全く知らないとか?
いや、さすがにそれはないだろう。
俺よりも長い事この世界に住んでいるんだ、この世界の仕組みは住んでいる人が知っていて当たり前だろう。
お、次は先の部屋に魔物が二匹だ。
骸骨と芋虫か。
芋虫は動きは遅いがタフだし、骸骨は武器持って襲ってくる。
さぁどう対処する?
え、そのまま先に進むの?
部屋の中に魔物がいるのに気付いていないのか。
それとも恐れず突っ込んでいくのか。
随分と無用心に部屋に向かっていくなぁ。
あ、中に入った。
魔物に発見され、二匹いっぺんに彼へと向かっていく。
だから言わんこっちゃない。
複数匹との戦闘は各個撃破が基本だっていうのに。
あー・・・追い掛け回されております。
おそらく武器を振り回しているであろう骸骨に部屋中追い回されています。
時々芋虫まで追いつき、間一髪のところで芋虫の攻撃をよけている。
いや、通路に逃げようよ。
通路に逃げたら一匹ずつ戦えるよ。
骸骨の攻撃は大振りだから狭い通路だとさほど怖くないんだよ。
だめだ、完全に初心者だ。
間違いなく死ぬパターンだ。
ここは大人しく元来た道を戻ってダンジョンの外に・・・。
おや、部屋に向かって進んでくる魔物を発見。
あれは・・・さっき倒しそこなったモフラビットか!
万事休すじゃないか。
前門の骸骨+芋虫、後門の兎。
相手はただの初心者冒険者。
だめだ、もう見ていられない!
俺はオーブから手を離し大急ぎで地下室から飛び出す。
扉を閉める事も忘れ大急ぎで商店の外へと向かった。
「どうしましたシュウイチさん。」
エミリアが驚いて声を掛けてくるが返事をしている時間も惜しい。
外套も着けず雨の中ダンジョンへと走り出す。
間に合わないかもしれない。
間に合わないかもしれないがそれはこの際どうでもいい。
今はただ自分の本能に任せて動くだけだ。
唯一つ、彼を死なせるわけには行かない。
その思いだけで俺はダンジョンへと走り出していた。
残された時間は・・・。
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ライト文芸
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その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
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