103 / 520
第四章
ワナワナ脱出大作戦
しおりを挟む
我々の目標はただ一つ、彼らを捕縛しニケさんを買い取るための資金を回収する。
こんな言い方をすると犯罪者のようだが、犯罪者に容赦する必要はないと言うギルド長のありがたいお言葉も頂戴しているので今回は遠慮なくいかせてもらう。
彼らが持参した契約金ならびに第一回目の納品用魔石を強奪する。
まるで義賊のようだな。
悪者からしかお金は取りませんというあれだ。
犯罪には手を染めないと宣言しつつもやろうとしている所が犯罪すれすれのあたりなんともいえないが、まぁここには騎士団分団長様もいることだし行為を正当化できなくもない。
やるといった以上やるだけだ。
悪は滅びるのだ。
フハハハハハ!
おほん。
「策は二つ考えています。一つは非公式ながら彼らを魔術師ギルドに呼びその場で偽の契約を交わす。出てきたところを騎士団に捕縛して貰おうというもの。魔術師ギルドで行うことで彼らの心象は良くなり、誘い込むことはほぼ間違いなく出来るでしょう。問題は、彼らの捕縛が失敗してしまうと偽の契約書を持ち帰られてしまい魔石研究所との契約が完了したという事実が公表されてしまう。そうなれば魔石はお墨付きを得たという事になり我々の知らないところで世に出回ることでしょう。」
「魔術師ギルドが場所を貸してくれるかどうかという部分にも問題があるな。犯罪者だと分かっていながら魔石を買い取っていたというあらぬ噂を立てられる可能性もある。」
「出入り口は決まっていますから捕縛に失敗することは無いかもしれませんが、出てきてすぐ捕縛するとなると魔術師ギルドに対する一般の方々の心象も良くありません。言い辛いですが、魔術師ギルドに対する一般の方々の心象は余りよくないんです。」
何をしてるか分からない印象は確かにあるな。
魔女って言えば昔から悪者って言う印象があるから、もしこの世界でも同じような感じであれば確かに良くないだろう。
「騎士団と魔術師ギルドが敵対していると思われても困りますしね。」
となればだ、次は場所を変えるという方法だな。
「では魔術師ギルドではなくウェリス達の作った盗賊団のアジトなどはどうでしょう。確かあそこは騎士団の管轄でしたよね。」
「その通りだ。またよからぬ輩が集まるとも限らんのでな、あそこは現在我々騎士団が責任を持って監視している。それにあの門は敵ながらなかなか良い造りをしていてな、騎士団の演習所にしようとも考えているのだ。」
そんなことになっているのか。
「その場所を一時的に貸していただくことは可能でしょうか。彼らには私が騎士団に通じており秘密裏に活動しているような印象を与えていますので、そこを上手く利用できるのではないかと思っているのですが。」
「それは難しいだろう。いくら騎士団の管轄とはいえ、あの場所全てを無人にすることはいくら私といえども難しい。それにあの土地はもともと領主様のものだからな、使用するには騎士団ではなく領主様に願い出る必要があるだろう。」
「仮にお願いをしたとして、いつ頃お答えをいただけるのでしょうか。」
「そうだな半期はかかるだろうな。」
それでは遅すぎる。
なんせ相手には2日後には場所を知らせるといっているのだ。
そんなに長い事彼らは待ってくれないだろう。
今ですら遅いと怒っているのに。
「そうですか。となると、ひとつ目の策はむずかしそうですね。」
「我々だけであれば問題ないが、やはりギルドや騎士団となるとすぐに動かすことは難しい。組織とはそういうものなのだ。」
「フェリス様でしたらお力を貸してくださるでしょうが、それ以外の部分で待ったをかけられると思います。特に魔術師ギルドの皆さんはあまり他の人が入ってくるのを嫌う傾向がありますので。」
「組織とはそうあるべきですから気にしないでください。一番上の人間にあれこれ自由にされては暴走の原因になります。組織は何事にも動じずどっしりと構えているべきなのです。」
社長の鶴の一声で営業方針や休日や待遇までころころと変わってしまうと下で働いている人間は堪ったものではない。
やはり社長のやり方に異議を唱えてしっかりと精査できるような組織で無いと駄目なのだ。
そうでないと元居たブラック企業のようになってしまう。
あの社長、今でも俺は許してないからな。
ぐぬぬ。
「ではどうする。そもそもやつらとは次いつ会うことになっているんだ?」
「彼らには2日後までにコッペンを通じて取引場所を伝えるように話してあります。そして取引日は私が自由に動ける聖日、つまり三日後ですね。」
「今回もまた時間がないと言うわけか。」
「それに関してはなんとお詫びをしていいのやら。ただ、時間をかければかけるほど裏に潜んでいる巨大な組織が出てきてしまいそうでしたので時間をかけていられなかったんです。彼らが魔石を用意する時はまちがいなく組織の連中と再び接触するでしょう。その時に要らぬ知恵を与えられてはさすがの私でも太刀打ちできない可能性があります。そうならない為にも時間をかけるわけには行かなかったのです。」
時間が経てば経つほどにこちらの状況は不利になっていく。
そうならないようにするためには最短の時間で最高の結果を出さなければならない。
もちろん時間をかければ良い結果は付いてくる。
だが、今はそれをしている暇が無いのだ。
「ほかの組織に助力を頼むことも出来ず、かといって時間があるわけでもない。まるで、アリに襲われるときのようですね。」
「そうですね、あの時も助けを呼ぶ時間も人も足りませんでした。」
「でもシュウイチさんは何とかしてしまわれました。」
「あれはエミリアや村の人みんなの頑張りのおかげですよ。」
「その人を動かしたのはシュウイチの力だ。実際盗賊団討伐の時も私たちを動かしたのはお前なのだからな。」
まぁそうなんですけどね。
みんな良い人だからですよ。
この世界の人は心が綺麗なんです。
きっとそうです。
「では今回も同様に足りない人と時間の中で頑張りたいと思うわけですが、そこで出てくるのが二つ目の策です。」
「つまりは我々だけで捕縛してしまおうというわけだな。」
「簡単に言えばそうですね、私たちだけと言ってもシルビアや博士にもご助力賜るので結果を言えば組織の人間も噛んでくるのですが・・・。」
「なんだ、結局は私の力が無いと駄目というわけではないか。」
「そこに関しては無理強いいたしませんのでご安心を。」
博士がこっちの会話に来たという事は終わったのかな?
「お疲れ様ですミド博士、鑑定のほうは終わられたんですか?」
「今で半分といったところか。とりあえず選別はしているから後はイラーナが分類してくれるだろう。」
後ろではせっせと仕分けをするイラーナ助手が見える。
つまりは博士だけ休憩というわけか。
「それで、私の力が必要というのは具体的にどうすればいいんだ?」
「博士には彼らとの偽の契約をする際に、契約書へのサインと契約金の受け取りをお願いしたいのです。」
「なんだそれだけか。」
「本物の魔石研究所職員、しかもそのトップであるミド博士が相手となれば彼らも契約するのに何の疑いも持たないでしょうから。」
本物のハリウッドスターが眼の前でサインしているのにそれを疑うバカはいないだろう。
それと一緒だ。
「だが、私に頼みたいのはそれだけではないのだろう?」
「もちろんです。」
そう、ただの契約であればサインするだけで良い。
だが、それを彼らが許すとは到底思えない。
当初の予定と違いお金にも困っているようだから、この契約金を大人しく渡すともおもえない。
なにより、博士を人質にしようと考える可能性だってある。
そういう意味では博士の役割は非常に危険なのだ。
「博士は急流滑りや高所からの滑走などの経験はありますか?」
「なんだそれは。」
「子供の頃に水辺や岩場でそういった遊びをしたことは?」
「いや、ないな。」
「ではそういった行為は苦手ですか?」
「いったい何をさせようというのだい君は。」
ふむ、滑り台の経験はなしか。
でもまぁ高所恐怖症ではないみたいだし。
「シュウイチ、私たちにも分かるように説明してくれないか?」
「そうですね失礼しました。」
「一応断っておくがそういったものへの恐怖は無い、ただ経験が無いだけだ。」
「偽の契約を締結した時ですが、正直に言って彼らがそのまま帰るとは思っていません。おそらくですが身分が判明した博士を捕縛もしくは誘拐しようとするでしょう。」
あくまでも仮定の話だ。
だが、そうなる可能性は0ではない。
むしろそうなる可能性のほうが高いかもしれない。
「確かに、私が研究所のトップであるとわかればそれを利用しようとする可能性はあるな。」
「そうです。そこで彼らに捕まり博士を危険な目に合わせるというのは私の本位ではありません。そこで、博士にはわざと罠にはまって頂こうと思っています。」
「罠に・・・?」
「正確に言えば我々の管理するダンジョンに設置された落とし罠にわざとはまって頂き、その場から脱出して頂きます。彼らからすれば捕まえようとした相手が眼の前で消えるわけですからさぞビックリすることでしょう。」
「なるほど、自前のダンジョンであれば準備に時間もかからず好きなように手を加えることが出来るというわけか。」
その通り。
場所が無いなら自分で用意してしまえばいいのだ。
博士には申し訳ないが一種の脱出装置のつもりで落とし罠にはまって頂きその場から逃走して頂く。
あとは最下層の秘密部屋までにげるか、それまでに騎士団に介入して貰って捕まえるのが先か。
入り口が一つ出口は無い。
入ってしまえば袋のねずみというわけだ。
問題はそこを気にして入ってくれるかどうかが分からないというところだが、そこは上手く誘導するしかないだろう。
「ダンジョンの中に大量の罠を用意し、博士にはそれを上手く利用しながら彼らからの脱出を図って頂きます。落ちた先には我々がいますから後はその誘導に従って一緒に逃げていただくだけで大丈夫ですよ。」
「それは面白い!奴らがどんな顔をするのかを拝むことが出来ないのは残念だが、そういう内容であれば喜んで手をかそう。一度ダンジョンというものがどんな物か経験してみたかったところだ。」
「私と一緒であれば魔物が襲ってくる心配はありません。ただ、はぐれてしまうと大変ですので、そのあたりだけご注意ください。」
「自分の体ぐらい自分で守れる。これでもそれなりの鍛錬は行ってきたつもりだ。」
さすがに年齢分の鍛錬はしているよな。
ひたすら引きこもりというわけでもないわけか。
「ちなみに位を聞いてもよろしいですか?」
「まだ30を越えたぐらいだかな。年の数といいたいところだがそんな暇はあいにく無くてね。」
まって、俺の10倍ですか。
むしろ一人でチンピラ相手に戦えるんじゃないですか?
逆に言えば俺ってどれだけ弱いの。
もしかして最弱?
「でしたら大丈夫だと思います。」
うん、大丈夫だ。
現在のダンジョン深度から計算して適性位は10~15ぐらいだしその倍あれば問題ないだろう。
すみません、もっと弱いとなめてました。
許してください。
「だがシュウイチ、奥に逃げるとして最下層まで行けばさすがに逃げ道は無いぞ。」
「博士が脱出を図ったタイミングで騎士団にはダンジョンに突入して頂ければと思います。出口は入り口と同じですからそこを抑えてしまえば後は袋のネズミです。出来れば我々が最下層に着くまでに全員捕縛して頂けると助かります。」
「もし間に合わなかった場合は?」
「その場合は緊急避難先に逃げますからご安心を。」
白骨死体と一緒なのは許して貰おう。
そこまでかかることはおそらく無い。
脱出装置以外の場所には大量の非殺傷系の罠を配置するのでそれで時間を稼げるだろう。
ついでに来期の障害物競走の良いモデルとなって貰えば良い。
どんな風に動き、何に引っかかりやすいか良いデータが取れるはずだ。
騎士団員の皆さんには申し訳ないが、データの役に立って貰おう。
「人手と時間のなさは自前の物で代用します。シルビアにはダンジョン窃盗犯確保の名目かなにかで騎士団を動かして頂ければ、横流しグループやさっきの連中に感づかれるという事もないでしょう。エミリアには外の騎士団に突入のタイミングを知らせる係を、ユーリはダンジョンの罠の管理を、博士にはエサの役目を、そして私は博士の誘導とその全ての責任を負います。」
自分の庭なら最小限の人員で最高の結果を導き出すことも可能だ。
「相変わらず面白い策を考え出すな、シュウイチは。」
「もともと私がここに呼ばれた理由はこうやってダンジョンを有効利用するためですから。意地の悪い罠の配置はお任せください。」
「シュウイチさんは元の世界でとっても有名なダンジョン攻略家だったんですよ。」
「それはすごい、今度是非面白いダンジョンの話を聞かせてもらいたいものだね。」
面白いダンジョンって何だよ。
なくはないけどさ。
「この策はあくまでも先ほどの連中を捕縛するためだけのものです。魔石横流しの解決には全くといっていいほど関係ありません。ですが、この小さな成功が後の大きな解決に繋がると思っています。時間は少なく、十分な用意も出来ませんがどうか力を貸してください、おねがいします」
一人ではどうにもならないので、今回も他力本願100%でいかせてもらいましょう。
全員に向かって深々と頭を下げる。
「なんとしてでも成功させましょうねシュウイチさん。」
「夫を全力で支えるのが妻の役目だ。」
「たまには仕事以外のことをしてもバチは当たらないでしょう。」
それぞれが俺の意見に賛同してくれる。
いつもほんとうにありがとう。
「博士、完了分の仕分け終了しました。」
「助かった、では残りの鑑定もさっさと済ませてしまおうか。」
「はい!」
ナイスタイミングでイラーナ助手がやってきた。
そして博士は再び鑑定へと戻っていく。
「では我々は詳しい策でも練るとしよう。」
「罠の配置はユーリと一緒の方がいいですね。」
「そうですね、騎士団の突入についてはシルビアにお任せするとして罠の種類についてはユーリの意見を聞く方がいいでしょう。」
「出来れば罠の配置など貰えると助かるのだがな。」
「情報流出の危険を考えて当日にお渡しする形になりますが大丈夫ですか?」
先に渡してしまうと騎士団に横流し本体の関係者がいた場合に情報が流出してしまう危険がある。
当日参加者のみに教えるぐらいなら問題はないだろう。
「命に危険のあるような罠ではないのだろう?」
「非殺傷型の罠であくまでも時間稼ぎを目的としていますから。」
「騎士団員にはダンジョンでの罠対策とでもいえば問題あるまい。」
それでいいんだ。
まぁそっちがそれで行けるなら心強いです。
よろしくおねがいします。
「あとは、相手がこの策にのってくれるかですね。」
「それは私の役目ですから、何が何でも引っ張ってきますよ。」
言い出しっぺは俺だからね。
何を言われようが来てもらわなければならない。
「頼りにしているぞ。」
「お任せください。」
さぁ、やることは決まった。
あとはそれに向かって突き進むだけだ。
作戦名『ワナワナ脱出大作戦』始動です!
こんな言い方をすると犯罪者のようだが、犯罪者に容赦する必要はないと言うギルド長のありがたいお言葉も頂戴しているので今回は遠慮なくいかせてもらう。
彼らが持参した契約金ならびに第一回目の納品用魔石を強奪する。
まるで義賊のようだな。
悪者からしかお金は取りませんというあれだ。
犯罪には手を染めないと宣言しつつもやろうとしている所が犯罪すれすれのあたりなんともいえないが、まぁここには騎士団分団長様もいることだし行為を正当化できなくもない。
やるといった以上やるだけだ。
悪は滅びるのだ。
フハハハハハ!
おほん。
「策は二つ考えています。一つは非公式ながら彼らを魔術師ギルドに呼びその場で偽の契約を交わす。出てきたところを騎士団に捕縛して貰おうというもの。魔術師ギルドで行うことで彼らの心象は良くなり、誘い込むことはほぼ間違いなく出来るでしょう。問題は、彼らの捕縛が失敗してしまうと偽の契約書を持ち帰られてしまい魔石研究所との契約が完了したという事実が公表されてしまう。そうなれば魔石はお墨付きを得たという事になり我々の知らないところで世に出回ることでしょう。」
「魔術師ギルドが場所を貸してくれるかどうかという部分にも問題があるな。犯罪者だと分かっていながら魔石を買い取っていたというあらぬ噂を立てられる可能性もある。」
「出入り口は決まっていますから捕縛に失敗することは無いかもしれませんが、出てきてすぐ捕縛するとなると魔術師ギルドに対する一般の方々の心象も良くありません。言い辛いですが、魔術師ギルドに対する一般の方々の心象は余りよくないんです。」
何をしてるか分からない印象は確かにあるな。
魔女って言えば昔から悪者って言う印象があるから、もしこの世界でも同じような感じであれば確かに良くないだろう。
「騎士団と魔術師ギルドが敵対していると思われても困りますしね。」
となればだ、次は場所を変えるという方法だな。
「では魔術師ギルドではなくウェリス達の作った盗賊団のアジトなどはどうでしょう。確かあそこは騎士団の管轄でしたよね。」
「その通りだ。またよからぬ輩が集まるとも限らんのでな、あそこは現在我々騎士団が責任を持って監視している。それにあの門は敵ながらなかなか良い造りをしていてな、騎士団の演習所にしようとも考えているのだ。」
そんなことになっているのか。
「その場所を一時的に貸していただくことは可能でしょうか。彼らには私が騎士団に通じており秘密裏に活動しているような印象を与えていますので、そこを上手く利用できるのではないかと思っているのですが。」
「それは難しいだろう。いくら騎士団の管轄とはいえ、あの場所全てを無人にすることはいくら私といえども難しい。それにあの土地はもともと領主様のものだからな、使用するには騎士団ではなく領主様に願い出る必要があるだろう。」
「仮にお願いをしたとして、いつ頃お答えをいただけるのでしょうか。」
「そうだな半期はかかるだろうな。」
それでは遅すぎる。
なんせ相手には2日後には場所を知らせるといっているのだ。
そんなに長い事彼らは待ってくれないだろう。
今ですら遅いと怒っているのに。
「そうですか。となると、ひとつ目の策はむずかしそうですね。」
「我々だけであれば問題ないが、やはりギルドや騎士団となるとすぐに動かすことは難しい。組織とはそういうものなのだ。」
「フェリス様でしたらお力を貸してくださるでしょうが、それ以外の部分で待ったをかけられると思います。特に魔術師ギルドの皆さんはあまり他の人が入ってくるのを嫌う傾向がありますので。」
「組織とはそうあるべきですから気にしないでください。一番上の人間にあれこれ自由にされては暴走の原因になります。組織は何事にも動じずどっしりと構えているべきなのです。」
社長の鶴の一声で営業方針や休日や待遇までころころと変わってしまうと下で働いている人間は堪ったものではない。
やはり社長のやり方に異議を唱えてしっかりと精査できるような組織で無いと駄目なのだ。
そうでないと元居たブラック企業のようになってしまう。
あの社長、今でも俺は許してないからな。
ぐぬぬ。
「ではどうする。そもそもやつらとは次いつ会うことになっているんだ?」
「彼らには2日後までにコッペンを通じて取引場所を伝えるように話してあります。そして取引日は私が自由に動ける聖日、つまり三日後ですね。」
「今回もまた時間がないと言うわけか。」
「それに関してはなんとお詫びをしていいのやら。ただ、時間をかければかけるほど裏に潜んでいる巨大な組織が出てきてしまいそうでしたので時間をかけていられなかったんです。彼らが魔石を用意する時はまちがいなく組織の連中と再び接触するでしょう。その時に要らぬ知恵を与えられてはさすがの私でも太刀打ちできない可能性があります。そうならない為にも時間をかけるわけには行かなかったのです。」
時間が経てば経つほどにこちらの状況は不利になっていく。
そうならないようにするためには最短の時間で最高の結果を出さなければならない。
もちろん時間をかければ良い結果は付いてくる。
だが、今はそれをしている暇が無いのだ。
「ほかの組織に助力を頼むことも出来ず、かといって時間があるわけでもない。まるで、アリに襲われるときのようですね。」
「そうですね、あの時も助けを呼ぶ時間も人も足りませんでした。」
「でもシュウイチさんは何とかしてしまわれました。」
「あれはエミリアや村の人みんなの頑張りのおかげですよ。」
「その人を動かしたのはシュウイチの力だ。実際盗賊団討伐の時も私たちを動かしたのはお前なのだからな。」
まぁそうなんですけどね。
みんな良い人だからですよ。
この世界の人は心が綺麗なんです。
きっとそうです。
「では今回も同様に足りない人と時間の中で頑張りたいと思うわけですが、そこで出てくるのが二つ目の策です。」
「つまりは我々だけで捕縛してしまおうというわけだな。」
「簡単に言えばそうですね、私たちだけと言ってもシルビアや博士にもご助力賜るので結果を言えば組織の人間も噛んでくるのですが・・・。」
「なんだ、結局は私の力が無いと駄目というわけではないか。」
「そこに関しては無理強いいたしませんのでご安心を。」
博士がこっちの会話に来たという事は終わったのかな?
「お疲れ様ですミド博士、鑑定のほうは終わられたんですか?」
「今で半分といったところか。とりあえず選別はしているから後はイラーナが分類してくれるだろう。」
後ろではせっせと仕分けをするイラーナ助手が見える。
つまりは博士だけ休憩というわけか。
「それで、私の力が必要というのは具体的にどうすればいいんだ?」
「博士には彼らとの偽の契約をする際に、契約書へのサインと契約金の受け取りをお願いしたいのです。」
「なんだそれだけか。」
「本物の魔石研究所職員、しかもそのトップであるミド博士が相手となれば彼らも契約するのに何の疑いも持たないでしょうから。」
本物のハリウッドスターが眼の前でサインしているのにそれを疑うバカはいないだろう。
それと一緒だ。
「だが、私に頼みたいのはそれだけではないのだろう?」
「もちろんです。」
そう、ただの契約であればサインするだけで良い。
だが、それを彼らが許すとは到底思えない。
当初の予定と違いお金にも困っているようだから、この契約金を大人しく渡すともおもえない。
なにより、博士を人質にしようと考える可能性だってある。
そういう意味では博士の役割は非常に危険なのだ。
「博士は急流滑りや高所からの滑走などの経験はありますか?」
「なんだそれは。」
「子供の頃に水辺や岩場でそういった遊びをしたことは?」
「いや、ないな。」
「ではそういった行為は苦手ですか?」
「いったい何をさせようというのだい君は。」
ふむ、滑り台の経験はなしか。
でもまぁ高所恐怖症ではないみたいだし。
「シュウイチ、私たちにも分かるように説明してくれないか?」
「そうですね失礼しました。」
「一応断っておくがそういったものへの恐怖は無い、ただ経験が無いだけだ。」
「偽の契約を締結した時ですが、正直に言って彼らがそのまま帰るとは思っていません。おそらくですが身分が判明した博士を捕縛もしくは誘拐しようとするでしょう。」
あくまでも仮定の話だ。
だが、そうなる可能性は0ではない。
むしろそうなる可能性のほうが高いかもしれない。
「確かに、私が研究所のトップであるとわかればそれを利用しようとする可能性はあるな。」
「そうです。そこで彼らに捕まり博士を危険な目に合わせるというのは私の本位ではありません。そこで、博士にはわざと罠にはまって頂こうと思っています。」
「罠に・・・?」
「正確に言えば我々の管理するダンジョンに設置された落とし罠にわざとはまって頂き、その場から脱出して頂きます。彼らからすれば捕まえようとした相手が眼の前で消えるわけですからさぞビックリすることでしょう。」
「なるほど、自前のダンジョンであれば準備に時間もかからず好きなように手を加えることが出来るというわけか。」
その通り。
場所が無いなら自分で用意してしまえばいいのだ。
博士には申し訳ないが一種の脱出装置のつもりで落とし罠にはまって頂きその場から逃走して頂く。
あとは最下層の秘密部屋までにげるか、それまでに騎士団に介入して貰って捕まえるのが先か。
入り口が一つ出口は無い。
入ってしまえば袋のねずみというわけだ。
問題はそこを気にして入ってくれるかどうかが分からないというところだが、そこは上手く誘導するしかないだろう。
「ダンジョンの中に大量の罠を用意し、博士にはそれを上手く利用しながら彼らからの脱出を図って頂きます。落ちた先には我々がいますから後はその誘導に従って一緒に逃げていただくだけで大丈夫ですよ。」
「それは面白い!奴らがどんな顔をするのかを拝むことが出来ないのは残念だが、そういう内容であれば喜んで手をかそう。一度ダンジョンというものがどんな物か経験してみたかったところだ。」
「私と一緒であれば魔物が襲ってくる心配はありません。ただ、はぐれてしまうと大変ですので、そのあたりだけご注意ください。」
「自分の体ぐらい自分で守れる。これでもそれなりの鍛錬は行ってきたつもりだ。」
さすがに年齢分の鍛錬はしているよな。
ひたすら引きこもりというわけでもないわけか。
「ちなみに位を聞いてもよろしいですか?」
「まだ30を越えたぐらいだかな。年の数といいたいところだがそんな暇はあいにく無くてね。」
まって、俺の10倍ですか。
むしろ一人でチンピラ相手に戦えるんじゃないですか?
逆に言えば俺ってどれだけ弱いの。
もしかして最弱?
「でしたら大丈夫だと思います。」
うん、大丈夫だ。
現在のダンジョン深度から計算して適性位は10~15ぐらいだしその倍あれば問題ないだろう。
すみません、もっと弱いとなめてました。
許してください。
「だがシュウイチ、奥に逃げるとして最下層まで行けばさすがに逃げ道は無いぞ。」
「博士が脱出を図ったタイミングで騎士団にはダンジョンに突入して頂ければと思います。出口は入り口と同じですからそこを抑えてしまえば後は袋のネズミです。出来れば我々が最下層に着くまでに全員捕縛して頂けると助かります。」
「もし間に合わなかった場合は?」
「その場合は緊急避難先に逃げますからご安心を。」
白骨死体と一緒なのは許して貰おう。
そこまでかかることはおそらく無い。
脱出装置以外の場所には大量の非殺傷系の罠を配置するのでそれで時間を稼げるだろう。
ついでに来期の障害物競走の良いモデルとなって貰えば良い。
どんな風に動き、何に引っかかりやすいか良いデータが取れるはずだ。
騎士団員の皆さんには申し訳ないが、データの役に立って貰おう。
「人手と時間のなさは自前の物で代用します。シルビアにはダンジョン窃盗犯確保の名目かなにかで騎士団を動かして頂ければ、横流しグループやさっきの連中に感づかれるという事もないでしょう。エミリアには外の騎士団に突入のタイミングを知らせる係を、ユーリはダンジョンの罠の管理を、博士にはエサの役目を、そして私は博士の誘導とその全ての責任を負います。」
自分の庭なら最小限の人員で最高の結果を導き出すことも可能だ。
「相変わらず面白い策を考え出すな、シュウイチは。」
「もともと私がここに呼ばれた理由はこうやってダンジョンを有効利用するためですから。意地の悪い罠の配置はお任せください。」
「シュウイチさんは元の世界でとっても有名なダンジョン攻略家だったんですよ。」
「それはすごい、今度是非面白いダンジョンの話を聞かせてもらいたいものだね。」
面白いダンジョンって何だよ。
なくはないけどさ。
「この策はあくまでも先ほどの連中を捕縛するためだけのものです。魔石横流しの解決には全くといっていいほど関係ありません。ですが、この小さな成功が後の大きな解決に繋がると思っています。時間は少なく、十分な用意も出来ませんがどうか力を貸してください、おねがいします」
一人ではどうにもならないので、今回も他力本願100%でいかせてもらいましょう。
全員に向かって深々と頭を下げる。
「なんとしてでも成功させましょうねシュウイチさん。」
「夫を全力で支えるのが妻の役目だ。」
「たまには仕事以外のことをしてもバチは当たらないでしょう。」
それぞれが俺の意見に賛同してくれる。
いつもほんとうにありがとう。
「博士、完了分の仕分け終了しました。」
「助かった、では残りの鑑定もさっさと済ませてしまおうか。」
「はい!」
ナイスタイミングでイラーナ助手がやってきた。
そして博士は再び鑑定へと戻っていく。
「では我々は詳しい策でも練るとしよう。」
「罠の配置はユーリと一緒の方がいいですね。」
「そうですね、騎士団の突入についてはシルビアにお任せするとして罠の種類についてはユーリの意見を聞く方がいいでしょう。」
「出来れば罠の配置など貰えると助かるのだがな。」
「情報流出の危険を考えて当日にお渡しする形になりますが大丈夫ですか?」
先に渡してしまうと騎士団に横流し本体の関係者がいた場合に情報が流出してしまう危険がある。
当日参加者のみに教えるぐらいなら問題はないだろう。
「命に危険のあるような罠ではないのだろう?」
「非殺傷型の罠であくまでも時間稼ぎを目的としていますから。」
「騎士団員にはダンジョンでの罠対策とでもいえば問題あるまい。」
それでいいんだ。
まぁそっちがそれで行けるなら心強いです。
よろしくおねがいします。
「あとは、相手がこの策にのってくれるかですね。」
「それは私の役目ですから、何が何でも引っ張ってきますよ。」
言い出しっぺは俺だからね。
何を言われようが来てもらわなければならない。
「頼りにしているぞ。」
「お任せください。」
さぁ、やることは決まった。
あとはそれに向かって突き進むだけだ。
作戦名『ワナワナ脱出大作戦』始動です!
13
お気に入りに追加
202
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す
エルリア
ファンタジー
【祝!第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞!】
転売屋(テンバイヤー)が異世界に飛ばされたらチートスキルを手にしていた!
元の世界では疎まれていても、こっちの世界なら問題なし。
相場スキルを駆使して目指せ夢のマイショップ!
ふとしたことで異世界に飛ばされた中年が、青年となってお金儲けに走ります。
お金は全てを解決する、それはどの世界においても同じ事。
金金金の主人公が、授かった相場スキルで私利私欲の為に稼ぎまくります。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる